四半期報告書-第23期第1四半期(平成31年4月1日-令和1年6月30日)

【提出】
2019/08/09 9:01
【資料】
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【項目】
32項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
医療業界は世界的に治療技術の発展が目覚ましい状況が続いています。遺伝子治療は免疫不全症・血液系疾患・代謝異常症などの難治性疾患に対する革新的な治療法として注目され、再生医療分野では患者様を対象とした臨床試験が世界の複数国で開始されています。また、がんを対象とした細胞治療が保険適用になるなど、患者様の新たな治療の選択肢が広がっています。そのような世界的な潮流の中で、当社グループは、新しい医療技術・医薬品の開発に貢献すべく、再生医療等の領域において技術開発を推進するとともに、医薬品等の臨床開発を多角的に支援しています。
創業以来の中核事業であるSMO(Site Management Organization:治験施設支援機関)事業におきましては、製薬企業の医薬品の開発ニーズが、がんやその他の希少疾患に変化してきているとともに、医薬品・医療機器等の開発のグローバル化、開発期間の短縮化、ならびに開発手法の変化等により臨床試験に対するニーズも多様化してきています。このような市場環境の変化に対応すべく、CRC(Clinical Research Coordinator:臨床研究コーディネーター)の質を高めるため、教育研修制度や社内認定制度等の充実を図るとともに、積極的なM&Aや業務提携により、高度専門医療機関を中心とした医療機関との提携を広げています。さらに、オーストラリアにおいて南オーストラリア州アデレード市を拠点としてSMO事業を開始しており、SMO事業のグローバル展開にも取り組んでいます。
CRO(Contract Research Organization:開発業務受託機関)事業では、日本・オーストラリア両国にて保有する臨床試験実施施設において、欧米や日本を含むアジア・オセアニア地域の製薬企業等の早期段階の医薬品開発を支援しています。特に南オーストラリア州において臨床試験実施施設を運営するCMAX CLINICAL RESEARCH PTY LTDでは、被験薬をヒトに対して世界で初めて投与するFIH(First In Human)試験やグローバルな人種を包括した臨床試験等の早期臨床試験の支援を行っており、その豊富な実績とサービスの品質が国際的に高く評価されています。
先端医療事業では、臨床用および研究用のiPS細胞作製キットCytoTune®-iPSを全世界で販売するとともに、茨城県つくば市にあるGMP(Good Manufacturing Practice:医薬品等の製造管理および品質管理に関する基準)ベクター製造施設・CPC(Cell Processing Center:細胞培養加工施設)において、医薬品製造受託機関として、臨床用ベクター・遺伝子治療製剤・再生医療等製品を受託製造しています。さらに、フランチャイズ・システムによるiPS細胞や樹状細胞等の細胞の培養・加工および長期保管に係る細胞バンク事業において、中国上海市のバイオ企業と戦略的パートナーシップ契約を締結し、積極的な事業展開を図っています。また、基盤技術として持つセンダイウイルスベクター等のベクター技術を用いた遺伝子編集技術や遺伝子治療製剤等の研究開発を進めています。
メディカルサポート事業においては、クリニックモールの開設・運営を通じて患者様の利便を図り通院の負担を軽減する医療環境の提案を行っています。医療機関・薬局などに対しては、新規開業のための診療圏の調査や物件紹介等を行うことに加え、グループの知見を活かし、クリニックの開業を目指す医師を強力にサポートしています。
その結果、当第1四半期連結累計期間においては、売上高は2,410百万円(前年同四半期比5.3%増)、営業利益は278百万円(前年同四半期比13.8%増)、経常利益は216百万円(前年同四半期比11.3%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は171百万円(前年同四半期比4.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
①SMO事業
当セグメントにおきましては、グループシナジーを活かした支援疾患領域や支援地域の拡大に加え、積極的な施設開拓により、大学病院や専門医療センター等の基幹病院との提携拡大が進んでおり、がんや難治性疾患等の疾患領域の新規受託が好調に推移しました。当社グループが支援する臨床試験の件数は堅調に推移しており、その中でも特にがん・腎疾患領域の割合が伸びています。難治性疾患を中心に臨床試験が複雑化かつ高度化していることに伴い、より高品質なサービス提供を進めるとともに、支援内容に応じた適切な受託単価の設定により収益向上を図っています。
その結果、売上高は1,684百万円(前年同四半期比9.0%増)、営業利益は744百万円(前年同四半期比76.2%増)となりました。
②CRO事業
当セグメントにおきましては、日本・オーストラリア両国にて保有する臨床試験実施施設における早期臨床試験の支援を中心とした事業拡大を進めています。新規臨床試験の受託は順調に推移しておりますが、当四半期に開始を予定していた臨床試験のうち一部の試験においては開始時期が変更となっています。また、南オーストラリア州の医師会であるGPパートナーズとの提携による現地医師会と連携した臨床試験の受託が進んでおり、今後、オーストラリアにおける事業拡大が進む見込みです。
国内においては、企業主導の臨床試験支援を行うとともに、大学での難治性疾患等の医師主導型治験・臨床研究支援を行っています。当期におきましては、企業主導の臨床試験受託数が増加するとともに、当社グループの注力領域である先端医療製品等の臨床試験支援数が拡大しております。
その結果、売上高は413百万円(前年同四半期比17.7%減)、オーストラリアの医師会との連携による臨床試験実施のための人材確保等を進めたことから、営業損失は116百万円(前年同四半期は営業利益52百万円)となりました。
③先端医療事業
当セグメントにおきましては、iPS細胞作製キットの販売が堅調に推移するとともに、センダイウイルスベクターを用いたiPS細胞を作製する技術の特許実施許諾に関わる引き合い・ライセンス契約数が増加しています。また、複数の企業や研究機関と、創薬スクリーニングや各種分化細胞の誘導を目的とした共同研究を積極的に実施することで、センダイウイルスベクターを用いた事業機会を創出し、基盤技術の利用拡大を推進しています。
GMPベクター製造施設・CPCにおいては、国内外の製薬企業・研究機関・バイオベンチャー等からの臨床用ベクターの製造や細胞培養等の受託件数や、臨床試験に用いられる遺伝子治療製剤の受託製造等が堅調に伸びています。また、医療機関において提供される第三種再生医療等に用いられる細胞の培養受託も開始しており、研究から臨床への事業拡大が進んでいます。製造体制や品質の更なる強化を図りながら、当社グループのSMO事業がもつ医療機関とのネットワーク等を活かすことで、同様の案件を積極的に受託し、製造実績を積み重ねてまいります。
さらに、フランチャイズ・システムによるiPS細胞や樹状細胞等の細胞の培養・加工および長期保管に係る細胞バンク事業においては、パートナーシップ契約等の積極的な事業展開を図っています。
開発を進めている虚血肢治療製剤については、日本、オーストラリア、および中国での臨床試験を推進しており、引き続き早期上市に向けて進めてまいります。
その結果、売上高は93百万円(前年同四半期比17.3%増)、新規に開始した細胞バンク事業の本格化や自社開発品の研究促進に向けた設備投資や研究員等の人材確保等の体制強化により、営業損失は42百万円(前年同四半期は営業損失15百万円)となりました。
④メディカルサポート事業
当セグメントにおきましては、開発事業者や不動産会社などと連携して、駅からのアクセスや地域の医療機関の需要など、様々な条件を満たす主に新築の物件を厳選してクリニックモールを開設しています。また、クリニックモールでの開業を検討する医師に対して開業支援を手がけるとともに、開業後の医療機関に臨床試験を紹介するなどその経営を多角的に支援しており、収益は堅調に推移しています。
その結果、売上高は193百万円(前年同四半期比20.1%増)、営業利益は26百万円(前年同四半期比12.7%減)となりました。
⑤その他
当セグメントにおきましては、上記以外の事業等により、売上高は25百万円(前年同四半期は売上高1百万円)、営業利益は8百万円(前年同四半期は営業損失4百万円)となりました。
(2) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は44百万円であります。