有価証券報告書-第24期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表を作成するに当たり、重要である会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
この連結財務諸表の作成において、損益または資産の状況に影響を与える見積り、判断は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
① 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産を計上しており、その繰延税金資産の回収可能性がないと考えられる金額については、その資産の帳簿価額を調整するため評価性引当額を設定しております。繰延税金資産の評価は将来の課税所得の見積りと税務上の実現可能と見込まれる計画に依拠します。仮に将来の市場環境や経営成績の悪化により将来の課税所得が見込みを下回る場合は繰延税金資産の金額が大きく影響を受ける可能性があります。
② 貸倒引当金
当社グループは、営業債権及び利息を含む金融債権について、顧客の返済能力を考慮し、回収不能額を見積もった上で、貸倒引当金を計上しています。また、特定の顧客について債務の返済が困難であることが明らかになった場合には、債権の担保資産の価格を考慮の上、個別に引当を行います。貸倒引当金の金額に重大な影響を及ぼす状況としては、国内及び主な海外市場の経済状況の悪化や医療関係諸制度の変更に伴い顧客の財政状態が悪化した場合や、債権の担保となっている顧客の資産価値が下落した場合が考えられます。
③ 投資有価証券
当社グループは、毎期末に投資有価証券の評価の見直しを行っております。
その他有価証券のうち時価のあるものについては、決算期末日の市場価格等に基づく時価法によっております(評価差額は、全部純資産直入法により処理し、時価と比較する取得原価は移動平均法により算定)。時価が著しく下落したときは、その回復可能性につきまして、合理的な判断を行うようにしております。
また、その他有価証券のうち時価のないものについては、移動平均法による原価法によっております。実質価額が著しく低下したときは、事業計画等によりその回復可能性につきまして、合理的な判断を行うようにしております。
④ 重要な収益認識
SMO事業収入は、治験の実態等を鑑み、治験症例単位ごとの業務終了に基づく検収基準により計上しております。
(2) 経営成績
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行は依然として収束しておらず、新型コロナウイルスに対するワクチンおよび治療薬の研究開発が急ピッチで進められています。
当社グループにおいても、基盤技術として保有するセンダイウイルスベクターを用いた新型コロナウイルスに対する新規ワクチンの開発を進めており、実施中の非臨床試験において、免疫原性の評価に求められる主要なデータを得ました。新型ウイルスに対するワクチンの開発であることから、科学的根拠に基づいて慎重に進めるために、引き続き非臨床試験において十分な有効性および安全性の評価を行った上で、臨床試験を目指してまいります。小児、高齢者、高リスク患者にも使用が想定されることから、より安全性の高いワクチンの開発を目指しており、非臨床試験段階での評価・検討・検証を慎重に行っています。
当社グループは、新型コロナウイルスのさらなる感染拡大や将来の再流行を防ぐための重要な手段として、新型コロナウイルスに対する新規ワクチンの開発を最重点課題として位置付けています。新型コロナウイルスワクチンの新製造施設の建設や、「第一種医薬品製造販売業」および「第一種医療機器製造販売業」の業許可を取得するなど、研究開発と並行して国産ワクチンの安定供給に向けた体制構築も進めており、引き続き当社グループの総力をあげて開発を推進してまいります。
また、iPS細胞培養上清液を化粧品原料として使用した「iPSスーパーネイタントアプリケーション」の販売を開始しました。当社グループの先端医療の技術を健康や美容に応用することにより、より多くの人が、より身近に最先端の技術を利用することができるように研究開発を進めています。
既存の事業については、オーストラリアに保有する臨床試験実施施設において新規試験の受託が拡大したことにより、海外のCRO事業の業績が大きく伸長いたしました。SMO事業および国内のCRO事業においては、新型コロナウイルス感染症の流行および緊急事態宣言の発令があった影響により、一時的に一部の臨床試験において開始時期の延期や実施中試験の中断等が発生いたしましたが、その後再開しております。先端医療事業においては、iPS細胞作製キットの販売やiPS細胞を作製する技術の特許実施許諾に関わるライセンス事業等が堅調に推移いたしましたが、一方で、新型コロナウイルスワクチンをはじめとする研究開発にかかる経費が増加しています。メディカルサポート事業においては、クリニックモール事業による安定した収益をあげるとともに保有不動産のオフバランス化による当社グループの財務基盤の強化に取り組みました。
その結果、売上高は12,906百万円(前年同期比21.8%増)、営業利益は1,068百万円(前年同期比11.6%減)、経常利益は1,352百万円(前年同期比17.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,373百万円(前年同期比11.1%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
SMO事業
当セグメントにおきましては、医薬品・医療機器等の臨床試験において多様化する手法に対応するとともに、GCP(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)ガイダンスの改正に対応するため、継続的にCRC(Clinical Research Coordinator:臨床研究コーディネーター)の教育研修制度や社内認定制度等の充実に取り組んでいます。また、医薬品開発における疾患領域がアンメット・メディカル・ニーズの高いがんや難治性疾患等にシフトしているため、がんや腎疾患の専門研修を実施し、大学病院や専門医療センター等の基幹病院との提携を広げています。
一方で、新型コロナウイルス感染症の流行および緊急事態宣言の発令により、一部の臨床試験において、開始時期の延期や新規被験者登録の中断が発生いたしました。延期・中断していた臨床試験は順次再開しておりますが、開始時期が遅延したことにより、受託済の大型案件の売上発生が翌期にずれ込んでおります。
その結果、売上高は6,005百万円(前年同期比3.9%減)、営業利益は1,986百万円(前年同期比10.6%減)となりました。
CRO事業
当セグメントにおきましては、日本・オーストラリア両国にて保有する臨床試験実施施設において、欧米や日本を含むアジア・オセアニア地域の製薬企業等の早期段階の医薬品開発を支援しています。また、国内において、医師主導治験や臨床研究の支援、企業主導治験のモニタリング等の開発業務の支援を行っています。
海外においては、前期(2020年3月期)に受託した臨床試験が当期の業績に寄与するとともに、新規試験の受託が拡大し、業績が大きく伸長いたしました。
国内においては、㈱IBERICAのグループ化による統計解析分野の強みを活かし、アカデミアを中心とした新規臨床試験の受託が堅調に推移いたしました。引き続き事業環境の整備を進めており、さらなる事業の拡大や収益の向上に取り組んでいます。
また、国内の臨床試験実施施設においては、新型コロナウイルス感染症の流行および緊急事態宣言の発令により、一時的に臨床試験の延期や中断が発生いたしましたが、その後再開しております。
その結果、売上高は3,216百万円(前年同期比28.9%増)、営業利益は86百万円(前年同期比11.4%減)となりました。
先端医療事業
当セグメントにおきましては、新型コロナウイルスに対する新規ワクチンの開発を進めており、実施中の非臨床試験において、免疫原性の評価に求められる主要なデータを得ました。引き続き非臨床試験において十分な有効性および安全性の評価を行ってまいります。また、新型コロナウイルスワクチンの新製造施設の建設や、「第一種医薬品製造販売業」および「第一種医療機器製造販売業」の業許可取得など、研究開発と並行して国産ワクチンの安定供給に向けた体制構築も進めています。虚血肢治療製剤(DVC1-0101)および網膜色素変性治療製剤(DVC1-0401)については、実施中の臨床試験において実施施設の追加を行い、早期の投与終了を目指しています。一方で、新型コロナウイルスワクチンをはじめとする研究開発にかかる経費が増加しています。
基盤技術であるセンダイウイルスベクターを用いたiPS細胞作製キットの販売や、iPS細胞を作製する技術の特許実施許諾に関わるライセンス事業等は堅調に推移しています。センダイウイルスベクターについては、新たに抗結核菌ワクチンおよび神経系細胞の作製方法に関する特許査定を受けており、事業機会の創出および基盤技術の利用拡大を推進しています。
また、iPS細胞培養上清液を化粧品原料として使用した「iPSスーパーネイタントアプリケーション」の販売を開始しました。より多くの人が、より身近に最先端の技術を利用することができるよう研究開発を進めています。
国内および中国における一般用医薬品や医薬部外品、化粧品等のEC事業(Electronic Commerce:電子商取引)も堅調に推移いたしました。
その結果、売上高は1,061百万円(前年同期比3.6%増)、営業利益は11百万円(前年同期比44.9%減)となりました。
メディカルサポート事業
当セグメントにおきましては、開発事業者や不動産会社などと連携して、駅からのアクセスや地域の医療機関の需要などの様々な条件を満たす主に新築の物件を厳選してクリニックモールを開設し、運営しています。あわせて、クリニックモールでの開業を検討する医師に対して開業支援を手がけるとともに、開業後の医療機関に臨床試験を紹介するなどその経営を多角的に支援しており、収益は堅調に推移しています。
また、当連結会計年度において、保有する不動産の売却による売上および利益を計上いたしました。
その結果、売上高は2,604百万円(前年同期比228.0%増)、営業利益は321百万円(前年同期比60.4%増)となりました。
その他
その他の事業におきましては、上記以外の事業等により、売上高は18百万円(前年同期比36.8%減)、営業利益は42百万円(前年同期比105.5%増前年同期は営業利益20百万円)となりました。
(注)売上高は外部取引のみの合計であり、セグメントの営業利益は、セグメント間の内部取引による利益を含んだ合計であります。
生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記金額は販売価格によっております。
3 上記金額には消費税等は含まれておりません。
4 CRO事業、先端医療事業、メディカルサポート事業、及びその他は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載しておりません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記金額には消費税等は含まれておりません。
2 CRO事業、先端医療事業、メディカルサポート事業、及びその他は、提供するサービスの性格上、受注状況の記載に馴染まないため、記載しておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 上記金額には消費税等は含まれておりません。
3 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、100分の10以上の販売先がないため、記載を省略しております。
4 当連結会計年度において、メディカルサポート事業において、販売実績に著しい変動がありました。これは、販売用不動産の売却があったことによるものであります。
(3) 財政状態
総資産につきましては、前連結会計年度末より5,783百万円増加し、20,889百万円となりました。これは現金及び預金、建設仮勘定並びに投資有価証券が増加した一方、売却により、土地・建物が減少したことが主な要因となっております。
負債につきましては、前連結会計年度末より4,238百万円増加し、12,176百万円となりました。これは短期借入金及び長期借入金が増加したことが主な要因となっております。
純資産につきましては、前連結会計年度末より1,545百万円増加し、8,712百万円となりました。これは、資本金、資本剰余金の増加及び親会社株主に帰属する当期純利益の計上が主な要因となっております。
セグメントごとの財政状態は、次のとおりであります。
SMO事業
当セグメント資産は、前連結会計年度末と比べて254百万円増加し、3,858百万円となりました。これは売掛金が増加したことが主な要因となっております。
当セグメント負債は、前連結会計年度末と比べて237百万円増加し、2,197百万円となりました。
CRO事業
当セグメント資産は、前連結会計年度末と比べて357百万円増加し、2,801百万円となりました。これは売掛金及び有形固定資産が増加したことが主な要因となっております。
当セグメント負債は、前連結会計年度末と比べて158百万円増加し、1,896百万円となりました。これは短期借入金が増加したことが主な要因となっております。
先端医療事業
当セグメント資産は、前連結会計年度末と比べて46百万円増加し、1,623百万円となりました。
当セグメント負債は、前連結会計年度末と比べて102百万円増加し、1,020百万円となりました。これは短期借入金及び長期借入金が増加したことが主な要因となっております。
メディカルサポート事業
当セグメント資産は、前連結会計年度末と比べて3,057百万円増加し、8,126百万円となりました。これは建設仮勘定及び販売用不動産が増加した一方、売却により土地・建物及び構築物が減少したことが主な要因となっております。
当セグメント負債は、前連結会計年度末と比べて2,554百万円増加し、6,559百万円となりました。これは短期借入金及び長期借入金が増加したことが主な要因となっております。
(4) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末のキャッシュ・フローについては、営業活動により374百万円増加し、投資活動により1,468百万円減少し、財務活動により2,754百万円増加した結果、現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、期首残高2,174百万円よりも1,685百万円増加し、3,859百万円(前年同期比77.5%増)となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、374百万円(前年同期は637百万円の取得)となりました。
これは、税金等調整前当期純利益の計上1,687百万円が主な要因となっております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、1,468百万円(前年同期は1,542百万円の支出)となりました。
これは、有形固定資産の取得による支出2,636百万円、有形固定資産の売却による収入1,948百万円が主な要因となっております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、2,754百万円(前年同期は258百万円の取得)となりました。
これは、長期借入金の借入による収入4,115百万円、長期借入金の返済による支出2,659百万円が主な要因となっております。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループの資金状況における運転資金及び設備投資資金につきましては、主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び銀行等からの借入金により資金調達をしております。資金計画につきましては営業活動により得られた資金を有効活用しております。当社は、当事業年度末現在の現金及び現金同等物、今後の営業活動によって得られるキャッシュ・フロー並びに既存の調達による資金が、当面の営業活動を維持するのに十分な水準であると考えております。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注)1 いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しております。
4 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利息を支払っている全ての負債を対象としております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表を作成するに当たり、重要である会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
この連結財務諸表の作成において、損益または資産の状況に影響を与える見積り、判断は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
① 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産を計上しており、その繰延税金資産の回収可能性がないと考えられる金額については、その資産の帳簿価額を調整するため評価性引当額を設定しております。繰延税金資産の評価は将来の課税所得の見積りと税務上の実現可能と見込まれる計画に依拠します。仮に将来の市場環境や経営成績の悪化により将来の課税所得が見込みを下回る場合は繰延税金資産の金額が大きく影響を受ける可能性があります。
② 貸倒引当金
当社グループは、営業債権及び利息を含む金融債権について、顧客の返済能力を考慮し、回収不能額を見積もった上で、貸倒引当金を計上しています。また、特定の顧客について債務の返済が困難であることが明らかになった場合には、債権の担保資産の価格を考慮の上、個別に引当を行います。貸倒引当金の金額に重大な影響を及ぼす状況としては、国内及び主な海外市場の経済状況の悪化や医療関係諸制度の変更に伴い顧客の財政状態が悪化した場合や、債権の担保となっている顧客の資産価値が下落した場合が考えられます。
③ 投資有価証券
当社グループは、毎期末に投資有価証券の評価の見直しを行っております。
その他有価証券のうち時価のあるものについては、決算期末日の市場価格等に基づく時価法によっております(評価差額は、全部純資産直入法により処理し、時価と比較する取得原価は移動平均法により算定)。時価が著しく下落したときは、その回復可能性につきまして、合理的な判断を行うようにしております。
また、その他有価証券のうち時価のないものについては、移動平均法による原価法によっております。実質価額が著しく低下したときは、事業計画等によりその回復可能性につきまして、合理的な判断を行うようにしております。
④ 重要な収益認識
SMO事業収入は、治験の実態等を鑑み、治験症例単位ごとの業務終了に基づく検収基準により計上しております。
(2) 経営成績
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行は依然として収束しておらず、新型コロナウイルスに対するワクチンおよび治療薬の研究開発が急ピッチで進められています。
当社グループにおいても、基盤技術として保有するセンダイウイルスベクターを用いた新型コロナウイルスに対する新規ワクチンの開発を進めており、実施中の非臨床試験において、免疫原性の評価に求められる主要なデータを得ました。新型ウイルスに対するワクチンの開発であることから、科学的根拠に基づいて慎重に進めるために、引き続き非臨床試験において十分な有効性および安全性の評価を行った上で、臨床試験を目指してまいります。小児、高齢者、高リスク患者にも使用が想定されることから、より安全性の高いワクチンの開発を目指しており、非臨床試験段階での評価・検討・検証を慎重に行っています。
当社グループは、新型コロナウイルスのさらなる感染拡大や将来の再流行を防ぐための重要な手段として、新型コロナウイルスに対する新規ワクチンの開発を最重点課題として位置付けています。新型コロナウイルスワクチンの新製造施設の建設や、「第一種医薬品製造販売業」および「第一種医療機器製造販売業」の業許可を取得するなど、研究開発と並行して国産ワクチンの安定供給に向けた体制構築も進めており、引き続き当社グループの総力をあげて開発を推進してまいります。
また、iPS細胞培養上清液を化粧品原料として使用した「iPSスーパーネイタントアプリケーション」の販売を開始しました。当社グループの先端医療の技術を健康や美容に応用することにより、より多くの人が、より身近に最先端の技術を利用することができるように研究開発を進めています。
既存の事業については、オーストラリアに保有する臨床試験実施施設において新規試験の受託が拡大したことにより、海外のCRO事業の業績が大きく伸長いたしました。SMO事業および国内のCRO事業においては、新型コロナウイルス感染症の流行および緊急事態宣言の発令があった影響により、一時的に一部の臨床試験において開始時期の延期や実施中試験の中断等が発生いたしましたが、その後再開しております。先端医療事業においては、iPS細胞作製キットの販売やiPS細胞を作製する技術の特許実施許諾に関わるライセンス事業等が堅調に推移いたしましたが、一方で、新型コロナウイルスワクチンをはじめとする研究開発にかかる経費が増加しています。メディカルサポート事業においては、クリニックモール事業による安定した収益をあげるとともに保有不動産のオフバランス化による当社グループの財務基盤の強化に取り組みました。
その結果、売上高は12,906百万円(前年同期比21.8%増)、営業利益は1,068百万円(前年同期比11.6%減)、経常利益は1,352百万円(前年同期比17.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,373百万円(前年同期比11.1%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
SMO事業
当セグメントにおきましては、医薬品・医療機器等の臨床試験において多様化する手法に対応するとともに、GCP(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)ガイダンスの改正に対応するため、継続的にCRC(Clinical Research Coordinator:臨床研究コーディネーター)の教育研修制度や社内認定制度等の充実に取り組んでいます。また、医薬品開発における疾患領域がアンメット・メディカル・ニーズの高いがんや難治性疾患等にシフトしているため、がんや腎疾患の専門研修を実施し、大学病院や専門医療センター等の基幹病院との提携を広げています。
一方で、新型コロナウイルス感染症の流行および緊急事態宣言の発令により、一部の臨床試験において、開始時期の延期や新規被験者登録の中断が発生いたしました。延期・中断していた臨床試験は順次再開しておりますが、開始時期が遅延したことにより、受託済の大型案件の売上発生が翌期にずれ込んでおります。
その結果、売上高は6,005百万円(前年同期比3.9%減)、営業利益は1,986百万円(前年同期比10.6%減)となりました。
CRO事業
当セグメントにおきましては、日本・オーストラリア両国にて保有する臨床試験実施施設において、欧米や日本を含むアジア・オセアニア地域の製薬企業等の早期段階の医薬品開発を支援しています。また、国内において、医師主導治験や臨床研究の支援、企業主導治験のモニタリング等の開発業務の支援を行っています。
海外においては、前期(2020年3月期)に受託した臨床試験が当期の業績に寄与するとともに、新規試験の受託が拡大し、業績が大きく伸長いたしました。
国内においては、㈱IBERICAのグループ化による統計解析分野の強みを活かし、アカデミアを中心とした新規臨床試験の受託が堅調に推移いたしました。引き続き事業環境の整備を進めており、さらなる事業の拡大や収益の向上に取り組んでいます。
また、国内の臨床試験実施施設においては、新型コロナウイルス感染症の流行および緊急事態宣言の発令により、一時的に臨床試験の延期や中断が発生いたしましたが、その後再開しております。
その結果、売上高は3,216百万円(前年同期比28.9%増)、営業利益は86百万円(前年同期比11.4%減)となりました。
先端医療事業
当セグメントにおきましては、新型コロナウイルスに対する新規ワクチンの開発を進めており、実施中の非臨床試験において、免疫原性の評価に求められる主要なデータを得ました。引き続き非臨床試験において十分な有効性および安全性の評価を行ってまいります。また、新型コロナウイルスワクチンの新製造施設の建設や、「第一種医薬品製造販売業」および「第一種医療機器製造販売業」の業許可取得など、研究開発と並行して国産ワクチンの安定供給に向けた体制構築も進めています。虚血肢治療製剤(DVC1-0101)および網膜色素変性治療製剤(DVC1-0401)については、実施中の臨床試験において実施施設の追加を行い、早期の投与終了を目指しています。一方で、新型コロナウイルスワクチンをはじめとする研究開発にかかる経費が増加しています。
基盤技術であるセンダイウイルスベクターを用いたiPS細胞作製キットの販売や、iPS細胞を作製する技術の特許実施許諾に関わるライセンス事業等は堅調に推移しています。センダイウイルスベクターについては、新たに抗結核菌ワクチンおよび神経系細胞の作製方法に関する特許査定を受けており、事業機会の創出および基盤技術の利用拡大を推進しています。
また、iPS細胞培養上清液を化粧品原料として使用した「iPSスーパーネイタントアプリケーション」の販売を開始しました。より多くの人が、より身近に最先端の技術を利用することができるよう研究開発を進めています。
国内および中国における一般用医薬品や医薬部外品、化粧品等のEC事業(Electronic Commerce:電子商取引)も堅調に推移いたしました。
その結果、売上高は1,061百万円(前年同期比3.6%増)、営業利益は11百万円(前年同期比44.9%減)となりました。
メディカルサポート事業
当セグメントにおきましては、開発事業者や不動産会社などと連携して、駅からのアクセスや地域の医療機関の需要などの様々な条件を満たす主に新築の物件を厳選してクリニックモールを開設し、運営しています。あわせて、クリニックモールでの開業を検討する医師に対して開業支援を手がけるとともに、開業後の医療機関に臨床試験を紹介するなどその経営を多角的に支援しており、収益は堅調に推移しています。
また、当連結会計年度において、保有する不動産の売却による売上および利益を計上いたしました。
その結果、売上高は2,604百万円(前年同期比228.0%増)、営業利益は321百万円(前年同期比60.4%増)となりました。
その他
その他の事業におきましては、上記以外の事業等により、売上高は18百万円(前年同期比36.8%減)、営業利益は42百万円(前年同期比105.5%増前年同期は営業利益20百万円)となりました。
(注)売上高は外部取引のみの合計であり、セグメントの営業利益は、セグメント間の内部取引による利益を含んだ合計であります。
生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
SMO事業 | 5,953 | 92.9 |
合計 | 5,953 | 92.9 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記金額は販売価格によっております。
3 上記金額には消費税等は含まれておりません。
4 CRO事業、先端医療事業、メディカルサポート事業、及びその他は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載しておりません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) |
SMO事業 | 7,203 | 145.9 | 8,558 | 115.3 |
合計 | 7,203 | 145.9 | 8,558 | 115.3 |
(注) 1 上記金額には消費税等は含まれておりません。
2 CRO事業、先端医療事業、メディカルサポート事業、及びその他は、提供するサービスの性格上、受注状況の記載に馴染まないため、記載しておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高 (百万円) | 前年同期比(%) |
SMO事業 | 6,005 | 96.1 |
CRO事業 | 3,216 | 128.9 |
先端医療事業 | 1,061 | 103.6 |
メディカルサポート事業 | 2,604 | 328.0 |
その他 | 18 | 63.2 |
合計 | 12,906 | 121.8 |
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 上記金額には消費税等は含まれておりません。
3 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、100分の10以上の販売先がないため、記載を省略しております。
4 当連結会計年度において、メディカルサポート事業において、販売実績に著しい変動がありました。これは、販売用不動産の売却があったことによるものであります。
(3) 財政状態
総資産につきましては、前連結会計年度末より5,783百万円増加し、20,889百万円となりました。これは現金及び預金、建設仮勘定並びに投資有価証券が増加した一方、売却により、土地・建物が減少したことが主な要因となっております。
負債につきましては、前連結会計年度末より4,238百万円増加し、12,176百万円となりました。これは短期借入金及び長期借入金が増加したことが主な要因となっております。
純資産につきましては、前連結会計年度末より1,545百万円増加し、8,712百万円となりました。これは、資本金、資本剰余金の増加及び親会社株主に帰属する当期純利益の計上が主な要因となっております。
セグメントごとの財政状態は、次のとおりであります。
SMO事業
当セグメント資産は、前連結会計年度末と比べて254百万円増加し、3,858百万円となりました。これは売掛金が増加したことが主な要因となっております。
当セグメント負債は、前連結会計年度末と比べて237百万円増加し、2,197百万円となりました。
CRO事業
当セグメント資産は、前連結会計年度末と比べて357百万円増加し、2,801百万円となりました。これは売掛金及び有形固定資産が増加したことが主な要因となっております。
当セグメント負債は、前連結会計年度末と比べて158百万円増加し、1,896百万円となりました。これは短期借入金が増加したことが主な要因となっております。
先端医療事業
当セグメント資産は、前連結会計年度末と比べて46百万円増加し、1,623百万円となりました。
当セグメント負債は、前連結会計年度末と比べて102百万円増加し、1,020百万円となりました。これは短期借入金及び長期借入金が増加したことが主な要因となっております。
メディカルサポート事業
当セグメント資産は、前連結会計年度末と比べて3,057百万円増加し、8,126百万円となりました。これは建設仮勘定及び販売用不動産が増加した一方、売却により土地・建物及び構築物が減少したことが主な要因となっております。
当セグメント負債は、前連結会計年度末と比べて2,554百万円増加し、6,559百万円となりました。これは短期借入金及び長期借入金が増加したことが主な要因となっております。
(4) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末のキャッシュ・フローについては、営業活動により374百万円増加し、投資活動により1,468百万円減少し、財務活動により2,754百万円増加した結果、現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、期首残高2,174百万円よりも1,685百万円増加し、3,859百万円(前年同期比77.5%増)となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、374百万円(前年同期は637百万円の取得)となりました。
これは、税金等調整前当期純利益の計上1,687百万円が主な要因となっております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、1,468百万円(前年同期は1,542百万円の支出)となりました。
これは、有形固定資産の取得による支出2,636百万円、有形固定資産の売却による収入1,948百万円が主な要因となっております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、2,754百万円(前年同期は258百万円の取得)となりました。
これは、長期借入金の借入による収入4,115百万円、長期借入金の返済による支出2,659百万円が主な要因となっております。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループの資金状況における運転資金及び設備投資資金につきましては、主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び銀行等からの借入金により資金調達をしております。資金計画につきましては営業活動により得られた資金を有効活用しております。当社は、当事業年度末現在の現金及び現金同等物、今後の営業活動によって得られるキャッシュ・フロー並びに既存の調達による資金が、当面の営業活動を維持するのに十分な水準であると考えております。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
2019年3月期 | 2020年3月期 | 2021年3月期 | |
自己資本比率(%) | 44.5 | 47.2 | 41.5 |
時価ベースの自己資本比率(%) | 128.6 | 101.9 | 141.1 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) | 10.4 | 8.9 | 23.5 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 9.9 | 8.6 | 4.8 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注)1 いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しております。
4 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利息を支払っている全ての負債を対象としております。