四半期報告書-第24期第1四半期(令和2年4月1日-令和2年6月30日)

【提出】
2020/08/07 9:08
【資料】
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【項目】
32項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行により、世界中の人々の健康で安全な生活が脅かされている中、医療業界においては、全世界で新型コロナウイルスに対するワクチンおよび治療薬の開発が待ち望まれており、国内外での研究・開発が急ピッチで進められています。
当社グループにおいても、基盤技術として保有するセンダイウイルスベクターを用いた新型コロナウイルスに対する新規ワクチンの開発を進めており、現在、非臨床試験を実施しています。センダイウイルスベクターを用いたワクチン開発については、これまでに国立感染症研究所や中国の研究機関等と共同で、エイズ(HIV)ワクチンや結核菌ワクチン等の研究開発を進めています。それらの研究開発の成果から、センダイウイルスベクターを用いたワクチンは高い安全性と有効性が期待でき、そのワクチン製造技術は日本やアジアだけでなく世界的に意義深いものであります。
当社グループは、新型コロナウイルスのさらなる感染拡大や第二波・第三波といった将来の再流行を防ぐための重要な手段として、新型コロナウイルスに対する新規ワクチンの開発を最重点課題として位置付けており、引き続き当社グループの総力をあげて開発を推進してまいります。
既存の事業については、当第1四半期連結累計期間において、新型コロナウイルス感染症の流行および緊急事態宣言の発令があったことにより、SMO事業の一部の臨床試験における新規臨床試験の開始時期の延期や実施中試験の新規被験者登録の中断、CRO事業の国内の臨床試験実施施設における臨床試験の延期や中断等の影響が発生しています。
一方で、新規臨床試験の受託が増加しており、また、緊急事態宣言の解除に伴い延期・中断している臨床試験が再開し始めていることから通期の業績予想に変更はありません。
その結果、当第1四半期連結累計期間においては、売上高は2,209百万円(前年同四半期比8.3%減)、営業利益は33百万円(前年同四半期比88.1%減)、経常利益は102百万円(前年同四半期比52.6%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は51百万円(前年同四半期比70.1%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
①SMO事業
当セグメントにおきましては、医薬品・医療機器等の臨床試験において多様化する手法に対応するとともに、GCP(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)ガイダンスの改正に対応するため、CRC(Clinical Research Coordinator:臨床研究コーディネーター)の教育研修制度や社内認定制度等の充実を継続的に推進しています。また、医薬品開発における疾患領域がアンメット・メディカル・ニーズの高いがんや難治性疾患等にシフトしているため、がんや腎疾患の専門研修を実施し、大学病院や専門医療センター等の基幹病院との提携を広げております。
一部の臨床試験においては、新型コロナウイルス感染症の流行および緊急事態宣言の発令により、開始時期の延期や新規被験者登録の中断が発生しておりますが、一方で、新規臨床試験の受託が増加しており、また、緊急事態宣言の解除に伴い延期・中断している臨床試験が再開し始めています。
なお、売上および営業利益が前年同四半期比で減少しておりますが、これは上記要因に加えて、前年同四半期において腎疾患領域の大型案件による売上計上があったことによるものです。
その結果、売上高は1,259百万円(前年同四半期比25.2%減)、営業利益は409百万円(前年同四半期比45.0%減)となりました。
②CRO事業
当セグメントにおきましては、日本・オーストラリア両国にて保有する臨床試験実施施設において、欧米や日本を含むアジア・オセアニア地域の製薬企業等の早期段階の医薬品開発を支援しています。また、国内において、医師主導治験や臨床研究の支援、企業主導治験のモニタリング等の開発業務の支援を行っています。
海外においては、前期(2020年3月期)に受託した臨床試験が引き続き業績に寄与するとともに、新規臨床試験の受託も増加しており、堅調に推移しています。
国内においては、2019年11月にグループ化した㈱IBERICAの統計解析分野の強みを活かし、アカデミアを中心とした新規臨床試験の受託が増加しています。グループ化という体制の強化により事業環境が整い、さらなる事業の拡大や収益の向上に取り組んでいます。
国内の臨床試験実施施設においては、新型コロナウイルス感染症の流行および緊急事態宣言の発令により、臨床試験の延期や中断が発生しておりましたが、緊急事態宣言の解除に伴い順次再開しています。
その結果、売上高は533百万円(前年同四半期比29.1%増)、営業利益は16百万円(前年同四半期は営業損失116百万円)となりました。
③先端医療事業
当セグメントにおきましては、新型コロナウイルスに対する新規ワクチンの開発を進めており、現在、非臨床試験を実施しています。虚血肢治療製剤(DVC1-0101)および網膜色素変性治療製剤(DVC1-0401)については、実施中の臨床試験において実施施設の追加を進めており、早期の投与終了を目指しています。
治験国内管理人(ICCC:In-Country Clinical Caretaker)サービスにおいては、新たに便失禁自家細胞移植療法の開発を受託し、日本での治験開始に向けて準備を進めています。保有する臨床用GMPベクター製造施設および併設する細胞培養加工施設において、再生医療等製品製造業の許可を取得し、遺伝子治療製剤や再生医療等製品が上市した際の製造体制を整備したことにより、海外の先端医療開発企業に対し、治験国内管理人サービスに加えて、製造販売承認取得後の受託製造も含めた支援が可能となっています。
また、国内および中国における一般用医薬品や医薬部外品、化粧品等の販売が堅調に推移しています。
一方で、新型コロナウイルスワクチンをはじめとする研究開発をさらに推進するために体制強化を進めており、人件費等が増加しています。
その結果、売上高は211百万円(前年同四半期比126.3%増)、営業損失は52百万円(前年同四半期は営業損失42百万円)となりました。
④メディカルサポート事業
当セグメントにおきましては、開発事業者や不動産会社などと連携して、駅からのアクセスや地域の医療機関の需要など、様々な条件を満たす主に新築の物件を厳選してクリニックモールを開設しています。また、クリニックモールでの開業を検討する医師に対して開業支援を手がけるとともに、開業後の医療機関に臨床試験を紹介するなどその経営を多角的に支援しており、収益は堅調に推移しています。
その結果、売上高は202百万円(前年同四半期比4.8%増)、営業利益は55百万円(前年同四半期比108.0%増)となりました。
⑤その他
当セグメントにおきましては、上記以外の事業等により、売上高は2百万円(前年同四半期は売上高25百万円)、営業損失は22百万円(前年同四半期は営業利益8百万円)となりました。
(2) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は46百万円であります。