四半期報告書-第23期第3四半期(令和1年10月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/02/07 9:01
【資料】
PDFをみる
【項目】
32項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、難治性疾患に対する革新的な治療法として注目されている遺伝子治療や細胞治療等の新しい医療技術・医薬品の開発に貢献すべく、SMO(Site Management Organization:治験施設支援機関)事業、CRO(Contract Research Organization:開発業務受託機関)事業、先端医療事業、メディカルサポート事業を展開しており、創業以来の中核事業であるSMO事業における利益を元に、先端医療事業において遺伝子治療製剤、細胞治療製剤の開発推進や新規事業の開発に取り組んでいます。
開発中の虚血肢治療製剤(DVC1-0101)および網膜色素変性治療製剤(DVC1-0401)については、実施中の臨床試験のデータ利用等に関するライセンス契約を締結し、国内外の製薬企業への導出も視野に入れて上市に向けた開発を推進しています。また、新しいiPS細胞作製キットCytoTuneEX™ -iPSおよび新規の安全・精密なゲノム編集技術を用いた遺伝子改変キットGenoTune™ の販売を開始しました。再生医療を進めている大学等のアカデミアへの寄附等も継続して行っており、日本における遺伝子治療・再生医療の進展に寄与する活動を進めています。さらに、株式会社IBERICAおよび株式会社ICEの株式を取得してグループ会社とし、CRO事業、先端医療事業の拡大を図っています。
当第3四半期連結累計期間においては、新たにグループ会社となった子会社の売上が寄与したこと等により先端医療事業の売上が増加しましたが、前年同四半期においてメディカルサポート事業の不動産取引による売上を計上していること等から前年同四半期比で減収となりました。また、CRO事業における人件費や業務委託費が増加したことおよび寄附による費用が増加したこと等により前年同四半期比で減益となりました。
その結果、当第3四半期連結累計期間においては、売上高は7,278百万円(前年同四半期比8.5%減)、営業利益は581百万円(前年同四半期比33.5%減)、経常利益は697百万円(前年同四半期比18.8%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は518百万円(前年同四半期比24.7%減)となりました。
事業の特性からこれまで売上発生が下期偏重の傾向であり今期も同様と見込んでおり、現時点で2019年5月10日公表の2020年3月期(2019年4月1日〜2020年3月31日)の連結業績予想に変更はございません。今後、業績の見込みに変更が生じた場合には速やかに開示をさせていただきます。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
① SMO事業
当セグメントにおきましては、医薬品・医療機器等の臨床試験において多様化する手法に対応するとともに、GCP(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)ガイダンスの改正に対応するため、CRC(Clinical Research Coordinator:臨床研究コーディネーター)の教育研修制度や社内認定制度等の充実を継続的に推進しています。また、医薬品開発における疾患領域が、比較的規模の大きい臨床試験が実施される生活習慣病等から、アンメット・メディカル・ニーズの高いがんやその他の希少疾患にシフトしているため、がんや腎疾患の専門研修を開始し、大学病院や専門医療センター等の基幹病院との提携を広げており、当社グループが支援する臨床試験の件数は堅調に推移しております。臨床試験の複雑化かつ高度化、疾患領域毎・試験毎に異なる手順等、支援内容に応じた適切な受託単価の設定による収益向上も引き続き推進しております。
その結果、大型案件の開始時期が後ろ倒しとなった影響等から、売上高は4,756百万円(前年同四半期比5.4%減)、基幹病院での試験増加に合わせた人的資源の投入促進や受託単価の見直し等により、営業利益は1,815百万円(前年同四半期比6.9%増)となりました。
② CRO事業
当セグメントにおきましては、日本・オーストラリア両国にて保有する臨床試験実施施設において、欧米や日本を含むアジア・オセアニア地域の製薬企業等の早期段階の医薬品開発を支援しています。
海外においては、新規臨床試験の受託が増加するとともに、開始が延期となっていた試験も順次開始しています。
国内においては、早期臨床試験で失注となった大型案件の補填を進めるとともに、医師主導治験や臨床研究の支援、企業主導治験のモニタリング業務の受託を推進しています。新たにグループ会社化した株式会社IBERICAの強みであるモニタリングおよび統計解析分野を強化し、さらなる事業の拡大を図っています。また、これまで委託していた業務を内製化することにより、業務委託費等の費用を削減し、収益の見直しを進めています。
その結果、早期臨床試験失注の影響から、売上高は1,582百万円(前年同四半期比5.6%減)、人件費や業務委託費等が増加したことから、営業損失は174百万円(前年同四半期は営業利益87百万円)となりました。
③ 先端医療事業
当セグメントにおきましては、臨床用および研究用のiPS細胞作製キットの販売事業において、新しいiPS細胞作製キットCytoTuneEX™ -iPSの販売を開始しました。また、新規の安全・精密なゲノム編集技術を用いた遺伝子改変キットGenoTune™ の販売を開始しました。
開発を進めている虚血肢治療製剤(DVC1-0101)および網膜色素変性治療製剤(DVC1-0401)については、同製剤を用いた臨床試験を実施している大学病院と、臨床試験の結果等のデータ利用等に関するライセンス契約を締結し、国内外の製薬企業への導出も視野に入れて本品の上市に向けた開発を推進しています。また、褐色脂肪細胞製造技術を用いて、褐色脂肪様細胞による細胞治療を開始するために、提携医療機関より褐色脂肪様細胞を用いたメタボリックシンドローム等に対する細胞治療の再生医療等提供計画の申請を行いました。
その結果、売上高は321百万円(前年同四半期比42.4%増)、研究開発の強化のため販売管理費等が増加したことから、営業損失は120百万円(前年同四半期は営業損失73百万円)となりました。
④ メディカルサポート事業
当セグメントにおきましては、開発事業者や不動産会社などと連携して、駅からのアクセスや地域の医療機関の需要など様々な条件を満たす、主に新築の物件を厳選してクリニックモールを開設しています。また、クリニックモールでの開業を検討する医師に対して開業支援を手がけるとともに、開業後の医療機関に臨床試験を紹介するなどその経営を多角的に支援しており、収益は堅調に推移しています。
その結果、前年同四半期に不動産取引による売上を計上していることから、売上高は590百万円(前年同四半期比42.3%減)、営業利益は143百万円(前年同四半期は営業利益11百万円)となりました。
⑤ その他
その他の事業におきましては、上記以外の事業等により、売上高は27百万円(前年同四半期比603.4%増)、営業損失は48百万円(前年同四半期は営業損失14百万円)となりました。
(注)売上高は外部取引のみの合計であり、セグメントの営業利益は、セグメント間の内部取引による利益を含んだ合計であります。
(2) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、106百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。