有価証券報告書-第25期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/17 15:07
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138項目
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来に関する事項には、不確実性を内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と異なる可能性を含んでおりますのでご留意ください。
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、停滞を続けていた米中貿易摩擦協議等による中国経済を中心とした世界経済の減速、10月に実施された消費税率引き上げによる消費の落ち込み等を受け、多くの業種で景況感が下振れとなっております。さらに、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響により、国内外の経済活動が抑制され、先行きが極めて不透明な状況となっております。 このような事業環境のもと、当社グループが属する業界は、一部のIT関連需要の低迷を背景に設備投資を先送りする動きがみられる一方で、人手不足を背景とした自動化、省力化への投資、昨今のクラウドファーストの考え方の浸透や、デジタルトランスフォーメーションへの関心の高まりから、市場は大きく成長しております。 当社グループは、IT業界における時代の変化に乗り遅れることなく、最新の技術動向を見据え、迅速な意思決定並びに機動力を持った経営推進を行い、事業会社の成長と持株会社によるガバナンス強化により、更なる企業価値の向上に努め、顧客の「売上向上」、「生産性向上」の観点からサービスの提供に取り組んでまいりました。 デジタルマーケティング関連事業におきましては、成長市場を確実に捉え、当社グループの新たな事業の柱として、AR(拡張現実)からWebサイト誘導、サイト分析で見込み顧客や潜在顧客へ電子メールを自動発信するなど、マーケティングオートメーション化を支援すべく統合型デジタルマーケティングサービスの「Cloud Circus(クラウドサーカス)」を拡販するなど、引き続きARや、MA (マーケティングオートメーション) ツールの提供などを行い、顧客が持っている情報をITサービスで最適化し、利益向上を支援してまいりました。 また、ITインフラ関連事業におきましては、約2万社超の中小・中堅企業の顧客基盤と強固なリレーションシップを図り、オフィスに欠かせない基幹設備から事務サポートまでIT技術を手段として顧客に「解決」を提案・提供し、IT技術により顧客の事業運営をより良い方向に変化させるべく取り組みを行い、オーガニック成長をしてまいりました。
その結果、当連結会計年度における業績は、売上高、12,778,643千円(前期比7.3%増)となりました。
売上原価は7,062,898千円(前期比7.3%増)となりました。これは主に、前期に引き続きITインフラ関連事業においてUTMをはじめとする情報セキュリティ商材及び新電力の取り次ぎが好調に推移したことなどによるものであります。
販売費及び一般管理費は4,982,924千円(前期比3.6%増)となりました。これは主に、ITインフラ関連事業において新拠点開設に伴う費用の増加や、営業機能効率化のためのシステム関連費用の増加などによるものであります。
その結果、営業利益は732,820千円(前期比41.6%増)となりました。営業利益率は前連結会計年度4.3%から当連結会計年度5.7%に増加いたしました。
経常利益は、株式給付信託(従業員持株会処分型)における受取保証料の計上や、持分法による投資利益を計上したことなどにより、771,326千円(前期比34.5%増)となりました。
また、当連結会計年度において、持分法適用関連会社である西安思达典雅軟件有限公司の株式を一部売却したことに伴う関係会社株式売却益の計上や、保有する投資有価証券を一部売却したことに伴う投資有価証券売却益を特別利益として計上いたしました(当関係会社株式の一部売却によって、西安思达典雅軟件有限公司は持分法適用の範囲から除外することとなりました)。
一方で、特別損失として、当第4四半期連結会計期間において、当社連結べースで154,373千円の減損損失を計上することといたしました。
当連結会計年度におけるデジタルマーケティング関連事業(以下「同事業」といいます)においては、デジタルマーケティングツールのパッケージ販売であるフロー型(売切り型)売上とサブスクリプション型(継続課金型)売上の両輪にて計画策定し、進めてまいりました。しかしながら、高単価のフロー型売上においては、顧客側の導入障壁が高く、苦戦を強いられ、また、経営資源もフロー型とサブスクリプション型とでそれぞれの体制への分散を余儀なくされたことで、当初策定した計画に対して大幅に遅れる結果となりました。
これらの状況を踏まえ、次期2021年3月期以降の同事業においては、従来のフローモデルに代わり、顧客から一度に得られる収益は少額でもそれがストックとして継続的に積み上がっていくサブスクリプションモデルにビジネスモデル及び経営資源を集中し、さらなる開発体制の強化とマーケティング活動への投資を行ってまいります。この方針転換によって、同事業においては今後2年程度は収益が大幅に減少する見込みですが、中長期的には、従来のフロー型売上を上回る収益獲得に繋げ、高収益化成長を達成してまいります。
以上のことから、当連結会計年度におけるデジタルマーケティング関連事業は、当初策定した計画を見直したことによって今後2年程度は収益が大幅に減少する見込みと判断したため、減損損失を認識いたしました。
なお、減損損失の測定における回収可能価額は使用価値によっておりますが、当該資産の減価償却残存期間においては将来キャッシュフローが見込まれないことから、当該資産の帳簿価額の全額を減損損失として計上しております。
税金等調整前当期純利益は659,669千円(前期比10.2%増)となり、スターティアラボ株式会社において、今後の業績推移を踏まえ繰延税金資産を全額取り崩すこととし、新たに75,421千円(損失)の法人税等調整額を計上したことなどによって、税効果会計適用後の法人税等負担額は441,409千円(前期比52.7%増)となりました。上記の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、219,943千円(前期比32.0%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次の通りであります。
なお、当連結会計年度より、従来「ビジネスアプリケーション関連事業」として独立区分していた報告セグメントについて、「ITインフラ関連事業」がメインターゲットとする中小企業顧客が同事業においてもメインターゲットであり、また、事業としての親和性も高いことから、経営管理体制を統合し、同一セグメントとして事業運営することが当社グループの企業価値向上に資すると判断したため、当連結会計年度より報告セグメント区分を変更いたしました。以下の前年比較につきましては、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
<デジタルマーケティング関連事業>当連結会計年度におけるデジタルマーケティング関連事業は、以下の通りであります。
デジタルマーケティング関連事業におきましては、誰でも簡単にデジタルコンテンツによる情報発信を実現するアプリケーション群(サイトCMS、AR、電子ブック、スマホLP、スマホアプリ、商品DB)と、これらコンテンツやサイトに効率よく集客して見込み客を獲得するためのサービス群(Webサイト制作、マーケティングコンサル、広告運用)に加え、獲得した見込み客を効率よく顧客化するためのMAをリリースしたことで、マーケティングプロセスの上流から下流までをオールインワンでサポートする「Cloud Circus」として統合化やフリーミアム展開を進めており、潜在的なデジタルシフトニーズに対応することで1社に複数のサービスを提供しております。
当連結会計年度におきましては、電子ブックやAR、MAなどの先進技術分野において大手企業に向けた成果報酬型コンサルティングやBPO業務、開発などの請負事業が好調に推移しました。
また、デジタルマーケティングツールのパッケージ販売であるフロー型(売切り型)売上とサブスクリプション型(継続課金型)売上の両輪にて計画策定し、進めてまいりましたが、サブスクリプション型売上は堅調に推移した一方、高単価のフロー型売上においては、顧客側の導入障壁が高く、経営資源もフロー型とサブスクリプション型とでそれぞれの体制への分散を余儀なくされたことで、フロー型売上は苦戦を強いられました。
その結果、デジタルマーケティング関連事業の当連結会計年度における業績は、売上高2,257,795千円(前期比9.9%増)、セグメント利益(営業利益)137,750千円(前期比11.1%減)となりました。
当連結会計年度におけるITインフラ関連事業は、以下の通りであります。
ITインフラ関連事業におきましては、MFP(複合機)、UTM(統合脅威管理)、ネットワーク機器、ビジネスフォン等の情報通信機器の販売・施工・保守並びにサーバ構築から運用保守まで一貫したシステムインテグレーション及び機器メンテナンスを行っております。また、今期より、それぞれの事業の強みが融合することによるシナジー効果を期待し、旧ビジネスアプリケーション関連事業のセグメントを変更しております。旧ビジネスアプリケーション関連事業は、クラウドストレージサービスの「セキュアSAMBA」と、オフィスワーク業務を自動化するソリューションの「RPA(Robotic Process Automation)製品の「Robo-Pat(ロボパット)」の導入及び、企業の労働力不足や生産性向上といった課題に対するサービスとして、最適なツール選択から、導入後活用が軌道に乗るまでのコンサルティング業務を行っております。
IT機器・サービスは近年では高性能化と低価格化が進み、ITインフラ関連事業のターゲットである中小企業がこうした機器・サービスを活用し、売上向上や生産性アップに取り組む経営環境が一段と整備されてまいりました。
しかしながら、中小企業におきましては、人的制約からIT部門やIT専任者を社内に置くことができない、またはそうした人材を十分確保できないことが大半で、IT機器・サービスを導入できず、十分に活用できないといったことが課題になっております。
このような課題に対して、当社は顧客の健全な成長と存続に寄り添うことをミッションとし、お客様の目線に立って、最適なIT機器・サービスや関連するオフィス環境を提案し、販売・サポートを行ってまいりました。
当連結会計年度におきましては、前期に引き続きUTMをはじめとする情報セキュリティ商材及び新電力の取り次ぎ、MFP販売が堅調に推移いたしました。情報セキュリティ商材、新電力の取り次ぎについては、直販が好調なこと、またMFP販売においては、直販及び戦略的に推進しているOA機器の販売店等に対する卸売販売が前期よりも増加したことにより、販売台数を伸ばしました。
クラウドストレージサービス「セキュアSAMBA」、「RPA」製品の販売をメインとしている旧ビジネスアプリケーション関連事業につきましては、既存のシステムを変えずにパソコン業務を自動化することで、品質向上、スピードアップ、コスト削減を実現することが可能になる「RPA」製品の引き合いが大幅に増加したことを受け、販売が堅調に推移したことにより、ストック収益が積み上がりました。
また、自社商材である「ビジネスで役に立つ」を軸として、多種多様なサービスを定額で提供する「ビジ助」も前期以上のペースで顧客数を伸ばし、ストック収益の増加に寄与いたしました。
その結果、ITインフラ関連事業の当連結会計年度における業績は、売上高10,395,237千円(前期比7.1%増)、セグメント利益(営業利益)598,886千円(前期比163.4%増)となりました。
当連結会計年度におけるCVC関連事業は、以下の通りであります。
CVC関連事業におきましては、当社の100%子会社であるStartia Asia Pte. Ltd.(本社シンガポール)が当社グループの新事業創出への貢献を目的としたベンチャー企業への投資を行っております。従来より活動の中心を東南アジアに置き、斬新なアイデアや革新的なテクノロジーによって新しいビジネスの創造に挑むアジアのIT系スタートアップ企業に出資する方針です。当期においては既存投資先へのモニタリングの強化と経営支援に注力し、新規の投資実行はありませんでした。
その結果、CVC関連事業の当連結会計年度における業績は、売上高269千円(前年同期:売上高なし)、セグメント損失(営業損失)51,581千円(前期はセグメント損失(営業損失)30,479千円)となりました。
<海外関連事業>当連結会計年度における海外関連事業は、以下の通りであります。
海外関連事業におきましては、中国・シンガポールなどの現地法人において事業活動を行い、主に、大きな市場が見込める中国を中心としたビジネスを展開する上海スターティア(上海思達典雅信息系統有限公司)が推進しております。上海スターティアでは、日本と中国を結ぶ国際回線を用いた日中間ブロードバンドインターネットを提供する「Global Gateway」を中心としたビジネスを展開しております。 当連結会計年度は、将来のビジネスを見据え、事業内容の整理と組織体制の見直しを行ってまいりましたが、中国武漢で発症した新型コロナウイルス感染症の拡大により、中国及び日本双方において出張者、観光客の激減、民間企業の企業活動自粛などの影響を受け、ビジネス環境が大きく変化いたしました。しかしながら、中国市場はなお、世界における有望な市場の一つであり、当社の海外事業戦略においてもこの機会をとらえ、一層の事業拡大をすべく、経営資源の配分をおこない、新規事業や既存事業領域における付加価値を高めるサービスを行うべく、準備を進めております。
その結果、海外関連事業の当連結会計年度における業績は、売上高121,286千円(前期比14.2%減)、セグメント利益(営業利益)3,009千円(前期はセグメント損失(営業損失)11,656千円)となりました。

(2) 財政状態
① 流動資産
当連結会計年度末の流動資産は6,187,280千円となり、前連結会計年度末と比較して67,341千円増加いたしました。その主な内容は、現金及び預金の増加121,579千円、受取手形及び売掛金の増加160,398千円、原材料の増加96,834千円がありましたが、その一方で、営業投資有価証券の減少55,101千円、その他の流動資産の減少236,770千円があったことなどによるものであります。
② 固定資産
固定資産は1,723,051千円となり、前連結会計年度末と比較して375,094千円減少いたしました。その主な内容は、のれんの減少53,356千円、ソフトウエアの減少85,584千円、投資有価証券の減少122,608千円、繰延税金資産の減少86,281千円があったことなどによるものであります。
③ 流動負債
流動負債は2,644,254千円となり、前連結会計年度末と比較して98,516千円減少いたしました。その主な内容は、1年内返済予定の長期借入金の増加133,420千円がありましたが、その一方で、未払金の減少85,816千円、未払消費税等の減少102,219千円、賞与引当金の減少82,795千円があったことなどによるものであります。
④ 固定負債
固定負債は564,446千円となり、前連結会計年度末と比較して280,997千円減少いたしました。その主な内容は、長期借入金の減少239,085千円及び繰延税金負債の減少54,705千円があったことなどによるものであります。
⑤ 純資産
純資産は4,701,630千円となり、前連結会計年度末と比較して71,760千円増加いたしました。その主な内容は、親会社株主に帰属する当期純利益219,943千円の計上がありましたが、その一方で、その他有価証券評価差額金の減少96,427千円、配当金の支払90,175千円があったことなどによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は3,414,998千円と前連結会計年度末と比較して121,579千円(前期比3.7%増)の増加となりました。
当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下の通りです。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは525,548千円の収入となりました(前連結会計年度は194,002千円の収入)。その主な内容は、税金等調整前当期純利益659,669千円、減価償却費259,876千円がありましたが、その一方で、法人税等の支払額335,459千円があったことなどによるものであります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは231,123千円の支出となりました(前連結会計年度は537,081千円の支出)。その主な内容は、投資有価証券の売却による収入49,456千円があった一方で、固定資産の取得による支出270,534千円、差入保証金の差入による支出5,734千円があったことなどによるものであります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは163,072千円の支出となりました(前連結会計年度は73,739千円の支出)。その主な内容は、長期借入れによる収入400,000千円がありましたが、その一方で、長期借入金の返済による支出505,665千円、配当金の支払額90,175千円があったことなどによるものであります。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
(生産、受注及び販売の状況)
当社グループは事業の性質上、生産・受注の実績はありません。
(1) 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称仕入高(千円)前年同期比(%)
デジタルマーケティング関連事業425241.0
ITインフラ関連事業4,411,812111.1
CVC関連事業--
海外関連事業56,614120.4
その他--
合計4,468,852111.2

(注) 1 金額は、仕入価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 外注実績
当連結会計年度における外注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称外注高(千円)前年同期比(%)
デジタルマーケティング関連事業525,613121.0
ITインフラ関連事業424,79799.1
CVC関連事業--
海外関連事業--
その他--
合計950,410110.1

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)
デジタルマーケティング関連事業2,257,795109.9
ITインフラ関連事業10,395,237107.1
CVC関連事業269-
海外関連事業121,28685.8
その他4,055258.2
合計12,778,643107.3

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先前連結会計年度当連結会計年度
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
オリックス株式会社1,423,66612.01,508,84211.8

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。