有価証券報告書-第22期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 財政状態の状況
① 資産
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ944,299千円増加し、8,061,009千円となりました。このうち、流動資産は1,160,246千円減少し、2,949,603千円となり、非流動資産は2,104,546千円増加し、5,111,407千円となりました。これらの主な要因は、流動資産においては、営業債権及びその他の債権366,504千円の減少、現金及び現金同等物800,026千円の減少によります。非流動資産においては、有形固定資産(主に使用権資産)891,479千円の増加、その他の金融資産(主に関係会社株式)1,515,773千円の増加、のれん457,156千円の減少によります。
② 負債
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,462,217千円増加し、3,189,474千円となりました。このうち、流動負債は214,969千円増加し、1,308,370千円となり、非流動負債は1,247,249千円増加し、1,881,104千円となりました。これらの主な要因は、流動負債においては、借入金(短期)142,800千円の増加、未払法人所得税等120,394千円の減少、その他の流動負債168,574千円の減少によります。非流動負債においては、借入金(長期)785,800千円の増加、その他の金融負債(主にリース負債)494,138千円の増加によります。
③ 資本
当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ517,918千円減少し、4,871,535千円となりました。この主な要因は、非支配持分143,343千円の増加に対し、資本剰余金103,009千円の減少、その他の資本の構成要素250,737千円の減少によります。
(2) 経営成績の状況
主力製品である「ASTERIA Warp」(アステリア ワープ)、「Handbook」(ハンドブック)の販売が堅調に推移した結果、エンタープライズとネットサービスの2つのビジネスユニットについては増収となりました。一方で、デザインサービスビジネスユニットは新規企業からの受注を獲得したものの、第1〜第3四半期においては、重要な顧客2社の経営に関わる問題により発生した当社が関与するプロジェクト遅延の影響、第4四半期においては、新型コロナウイルスによる影響を受け、大幅な減収となりました。結果として、エンタープライズ、ネットサービスは伸長したもののデザインサービスの減収をカバーすることができず、当連結会計年度における売上収益は2,676,744千円(前連結会計年度比23.0%減)と減収になりました。
利益につきましては、デザインサービスの経営合理化によるコストの軽減も行いましたが、売上収益の減少による影響が大きく、営業損失は262,052千円(前連結会計年度比167.4%減)、税引前損失158,748千円(前連結会計年度比134.3%減)となり、親会社の所有者に帰属する当期損失は175,525千円(前連結会計年度比164.9%減)となりました。
※当連結会計年度の営業損失には、のれんの減損として350,037千円、シアトルオフィスの固定資産の除却損50,921千円が含まれております。
≪当社グループの取り組み≫
当社グループは、主力製品「ASTERIA Warp」において「サブスクリプション」型への移行に注力しつつ、すでに「サブスクリプション」型への移行が完了した「Handbook」において新たなセールステック市場の開拓に注力しています。また、IoT関連のAI搭載エッジウェア製品として「Gravio」(グラヴィオ)、モバイルアプリ制作ツールとして「Platio」(プラティオ)をラインアップするなど、積極的な事業展開を行っております。さらに、海外市場においては、2017年に買収したThis Place社を中心としたデザイン戦略コンサルティング事業を展開しています。
当連結会計年度においては、国内にAI専業の子会社アステリアART合同会社、米国テキサス州に投資専業の子会社Asteria Vision Fund Inc.を設立し、将来への布石を打っています。なお、2020年1月から世界的な影響を及ぼし始めた新型コロナウイルスに関しては、当社グループは1月末の段階からテレワークを推奨するなど早めの対応を行った結果、ソフトウェア(エンタープライズ、ネットサービス)事業に関しては大きな影響が無かったものの、デザイン戦略コンサルティング事業においては、第4四半期に計画していたリカバリーに大きな影響を及ぼす結果となりました。
当連結会計年度における、ビジネスユニット別の経営成績の分析は以下のとおりです。
① エンタープライズ
本ビジネスユニットは、データ連携ミドルウェア製品「ASTERIA Warp」とAI搭載IoT統合エッジウェア製品「Gravio」を展開しています。
RPAツールやkintone等のグループウェアとの連携ニーズが堅調に推移し、サブスクリプション版「ASTERIA Warp Core」は販売数量・売上収益ともに前期比でほぼ倍増を達成しました。また、AI搭載IoT統合エッジウェア「Gravio」は2019年8月にバージョンアップを行い、画像認識AIや独自開発のブロックチェーンを搭載し大幅な機能アップを実施。2020年2月に業務提携を締結した炭素新素材グラフェン開発企業Imagine社(豪国)とは、「Gravio」との製品連携に向けた研究開発活動も開始しています。
このような活動の結果、本ビジネスユニットの売上収益は前連結会計年度比102.9%となりました。
② ネットサービス
本ビジネスユニットは、モバイル向けコンテンツ管理システムサービス「Handbook」とモバイルアプリ制作プラットフォームサービス「Platio」を展開しています。
セールステックが様々な業界で広がるなかで、「Handbook」の販売は増加トレンドが続いています。また、新型コロナウイルス感染予防対策としてテレワークや遠隔授業、従業員の健康管理ツールなどの導入検討も広がっており、「Platio」への引き合いも増えている状況です。
このような活動の結果、本ビジネスユニットの売上収益は前連結会計年度比106.9%となりました。
③ デザイン
本ビジネスユニットは、顧客企業のブランディング戦略のコンサルティング、ウェブやモバイルアプリのデザインに関するコンサルティング、開発支援等を提供しています。
重要な顧客2社の経営に関わる問題により、当社グループの関与するプロジェクトの大幅な遅延が生じたため、大幅な減収となりました。また、第4四半期においては、新型コロナウイルス感染症の広がりが、計画していたリカバリーに大きな影響を及ぼす結果となりました。
このような活動の結果、本ビジネスユニットの売上収益は前連結会計年度比44.8%となりました。
また、当連結会計年度における、セグメント状況は下記のとおりとなります。
① 報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当企業集団の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものです。
当社グループは、本連結会計期間より新たに投資事業を開始したことから、「ソフトウェア事業」および「投資事業」の2つを報告セグメントとし、2つの事業を基礎として組織が構成されております。
「ソフトウェア事業」には、「エンタープライズ」、「ネットサービス」、「デザインサービス」の3つのビジネスユニットで構成されています。
「投資事業」は、米国に拠点を置く100%子会社Asteria Vision Fund Inc.が管理する投資で構成されています。
② 報告セグメントごとの売上収益、利益又は損失、及び資産の金額に関する情報
前連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
投資事業については、当連結会計年度より開始されたため、前連結会計年度は、単一セグメントとなっております。
当連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
(注)1.「調整額」は、主としてセグメント間取引消去額を表示しております。
2.セグメント利益は、売上収益から売上原価及び販売費及び一般管理費を控除しております。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループが重視している経営指標は、従業員一人当たり売上収益、売上総利益率および営業利益率です。それぞれの指標の今期の実績は以下のとおりです。当期においては、のれんの減損による影響により、営業損失となっております。
(4) キャッシュ・フローの状況
① 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より800,026千円減少し、2,477,322千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は503,069千円となりました。主に税引前損失158,748千円及び減価償却費及び償却費326,564千円の発生、営業債権及びその他の債権330,585千円の減少、営業債務及びその他の債務16,293千円の減少、法人所得税の支払額204,380千円によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は1,926,249千円となりました。主に関連会社株式1,549,828千円の取得及び投資有価証券269,882千円の取得によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、獲得した資金は728,465千円となりました。主に長期借入れによる収入1,000,000千円によります。
② 当社の資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、顧客からの注文に基づく受託開発ではなく、独自の製品を自ら企画開発して提供する事業形態であるために、市場やニーズの変化に先行して製品化を行っております。そのため、先端技術を習得した技術者の採用によって研究開発を推進することに加え、企業買収等によって時間と優秀な技術者を獲得することや、世界的な視野において当社の投資領域である「4D」(Data, Device, Decentralized, Design)に合致する企業への効率的な投資を行うために金融機関から借入金10億円を調達し投資を行いました。
また、資本効率の向上、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の一環として、自己株式の取得129,980千円を行いました。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の金額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定を行うことが要求されております。実際の業績は、これらの見積りとは異なる場合があります。
見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直されます。会計上の見積りの見直しによる影響は、見積りを見直した会計期間及びそれ以降の将来の会計期間において認識されます。
経営者が行った連結財務諸表の金額に重要な影響を与える判断及び見積りは以下のとおりであります。
① 非金融資産の減損
当社グループは、有形固定資産、のれんを含む無形資産について、減損テストを実施しております。減損テストにおける回収可能額の算定においては、資産の耐用年数、将来キャッシュ・フロー、税引前割引率及び長期成長率等について一定の仮定を設定していります。これらの仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の不確実な経営条件の変動の結果により影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表等において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
② 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、資産及び負債の連結財政状態計算書上の帳簿価額と税務上の基準額との間に生じる一時差異に対して、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しております。当該繰延税金資産及び繰延税金負債の算定には、期末日において施行され、又は実質的に施行されている法令に基づき、関連する繰延税金資産が実現する時、または繰延税金負債が決済される時において適用されると予想される税率を使用しております。繰延税金資産は、将来の課税所得を稼得する可能性が高い範囲内で、全ての将来減算一時差異及び全ての未使用の繰越欠損金及び税額控除について認識しております。将来の課税所得の見積りは、経営者により承認された事業計画等に基づき算定しております。当該前提とした状況の変化や将来の税法の改正等により、繰延税金資産や繰延税金負債の金額に重要な影響を及ぼす可能性があるため、当社グループでは、当該見積りは重要なものであると判断しております。
③ 公正価値で測定する金融商品の公正価値の決定方法
当社グループが保有する公正価値で測定する金融資産及び金融負債が、活発な市場における公表価格によって測定できない場合には、当該資産又は負債について直接に又は間接に観察可能な前述の公表価格以外のインプットを使用して算定された公正価値、もしくは観察不能なインプットを含む評価技法によって算定された公正価値を用いて評価しております。特に、観察不能なインプットを含む評価技法によって算定される公正価値は、適切な基礎率、仮定及び採用する計算モデルの選択など、当社グループの経営者による判断や仮定を前提としております。これらの見積り及び仮定は、前提とした状況の変化等により、金融商品の公正価値の算定に重要な影響を及ぼす可能性があるため、当社グループでは、当該見積りは重要なものであると判断しております。
④ 新型コロナウイルス感染症の感染拡大について
新型コロナウイルス感染症については、収束時期等についての統一的な見解は発表されておりません。そのため、感染拡大に伴う影響については、各地域における経済活動の再開に伴い、来期に向けて徐々に収束していくものと仮定し、非金融資産(有形固定資産、のれん、無形資産等)の減損及び繰延税金資産の回収可能性等に関する会計上の見積りを行っております。なお、新型コロナウイルス感染症の収束に向けた動きが上述の想定とは異なった場合には、非金融資産の減損損失が増加し、繰延税金資産の回収可能性が見込まれなくなる可能性があります。
(6) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
事業の特性上、事業区分別の生産規模を金額あるいは数量で示すことはいたしておりません。
② 受注実績
事業の特性上、事業区分別の受注規模を金額あるいは数量で示すことはいたしておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績を売上区分ごとに示すと、次のとおりであります。なお、全てソフトウェア事業からになります。
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.SCSK株式会社の前連結会計年度及びT-Mobile Inc.の当連結会計年度については、10%未満であるため記載を省略しております。
① 資産
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ944,299千円増加し、8,061,009千円となりました。このうち、流動資産は1,160,246千円減少し、2,949,603千円となり、非流動資産は2,104,546千円増加し、5,111,407千円となりました。これらの主な要因は、流動資産においては、営業債権及びその他の債権366,504千円の減少、現金及び現金同等物800,026千円の減少によります。非流動資産においては、有形固定資産(主に使用権資産)891,479千円の増加、その他の金融資産(主に関係会社株式)1,515,773千円の増加、のれん457,156千円の減少によります。
② 負債
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,462,217千円増加し、3,189,474千円となりました。このうち、流動負債は214,969千円増加し、1,308,370千円となり、非流動負債は1,247,249千円増加し、1,881,104千円となりました。これらの主な要因は、流動負債においては、借入金(短期)142,800千円の増加、未払法人所得税等120,394千円の減少、その他の流動負債168,574千円の減少によります。非流動負債においては、借入金(長期)785,800千円の増加、その他の金融負債(主にリース負債)494,138千円の増加によります。
③ 資本
当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ517,918千円減少し、4,871,535千円となりました。この主な要因は、非支配持分143,343千円の増加に対し、資本剰余金103,009千円の減少、その他の資本の構成要素250,737千円の減少によります。
(2) 経営成績の状況
主力製品である「ASTERIA Warp」(アステリア ワープ)、「Handbook」(ハンドブック)の販売が堅調に推移した結果、エンタープライズとネットサービスの2つのビジネスユニットについては増収となりました。一方で、デザインサービスビジネスユニットは新規企業からの受注を獲得したものの、第1〜第3四半期においては、重要な顧客2社の経営に関わる問題により発生した当社が関与するプロジェクト遅延の影響、第4四半期においては、新型コロナウイルスによる影響を受け、大幅な減収となりました。結果として、エンタープライズ、ネットサービスは伸長したもののデザインサービスの減収をカバーすることができず、当連結会計年度における売上収益は2,676,744千円(前連結会計年度比23.0%減)と減収になりました。
利益につきましては、デザインサービスの経営合理化によるコストの軽減も行いましたが、売上収益の減少による影響が大きく、営業損失は262,052千円(前連結会計年度比167.4%減)、税引前損失158,748千円(前連結会計年度比134.3%減)となり、親会社の所有者に帰属する当期損失は175,525千円(前連結会計年度比164.9%減)となりました。
※当連結会計年度の営業損失には、のれんの減損として350,037千円、シアトルオフィスの固定資産の除却損50,921千円が含まれております。
≪当社グループの取り組み≫
当社グループは、主力製品「ASTERIA Warp」において「サブスクリプション」型への移行に注力しつつ、すでに「サブスクリプション」型への移行が完了した「Handbook」において新たなセールステック市場の開拓に注力しています。また、IoT関連のAI搭載エッジウェア製品として「Gravio」(グラヴィオ)、モバイルアプリ制作ツールとして「Platio」(プラティオ)をラインアップするなど、積極的な事業展開を行っております。さらに、海外市場においては、2017年に買収したThis Place社を中心としたデザイン戦略コンサルティング事業を展開しています。
当連結会計年度においては、国内にAI専業の子会社アステリアART合同会社、米国テキサス州に投資専業の子会社Asteria Vision Fund Inc.を設立し、将来への布石を打っています。なお、2020年1月から世界的な影響を及ぼし始めた新型コロナウイルスに関しては、当社グループは1月末の段階からテレワークを推奨するなど早めの対応を行った結果、ソフトウェア(エンタープライズ、ネットサービス)事業に関しては大きな影響が無かったものの、デザイン戦略コンサルティング事業においては、第4四半期に計画していたリカバリーに大きな影響を及ぼす結果となりました。
当連結会計年度における、ビジネスユニット別の経営成績の分析は以下のとおりです。
① エンタープライズ
本ビジネスユニットは、データ連携ミドルウェア製品「ASTERIA Warp」とAI搭載IoT統合エッジウェア製品「Gravio」を展開しています。
RPAツールやkintone等のグループウェアとの連携ニーズが堅調に推移し、サブスクリプション版「ASTERIA Warp Core」は販売数量・売上収益ともに前期比でほぼ倍増を達成しました。また、AI搭載IoT統合エッジウェア「Gravio」は2019年8月にバージョンアップを行い、画像認識AIや独自開発のブロックチェーンを搭載し大幅な機能アップを実施。2020年2月に業務提携を締結した炭素新素材グラフェン開発企業Imagine社(豪国)とは、「Gravio」との製品連携に向けた研究開発活動も開始しています。
このような活動の結果、本ビジネスユニットの売上収益は前連結会計年度比102.9%となりました。
② ネットサービス
本ビジネスユニットは、モバイル向けコンテンツ管理システムサービス「Handbook」とモバイルアプリ制作プラットフォームサービス「Platio」を展開しています。
セールステックが様々な業界で広がるなかで、「Handbook」の販売は増加トレンドが続いています。また、新型コロナウイルス感染予防対策としてテレワークや遠隔授業、従業員の健康管理ツールなどの導入検討も広がっており、「Platio」への引き合いも増えている状況です。
このような活動の結果、本ビジネスユニットの売上収益は前連結会計年度比106.9%となりました。
③ デザイン
本ビジネスユニットは、顧客企業のブランディング戦略のコンサルティング、ウェブやモバイルアプリのデザインに関するコンサルティング、開発支援等を提供しています。
重要な顧客2社の経営に関わる問題により、当社グループの関与するプロジェクトの大幅な遅延が生じたため、大幅な減収となりました。また、第4四半期においては、新型コロナウイルス感染症の広がりが、計画していたリカバリーに大きな影響を及ぼす結果となりました。
このような活動の結果、本ビジネスユニットの売上収益は前連結会計年度比44.8%となりました。
また、当連結会計年度における、セグメント状況は下記のとおりとなります。
① 報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当企業集団の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものです。
当社グループは、本連結会計期間より新たに投資事業を開始したことから、「ソフトウェア事業」および「投資事業」の2つを報告セグメントとし、2つの事業を基礎として組織が構成されております。
「ソフトウェア事業」には、「エンタープライズ」、「ネットサービス」、「デザインサービス」の3つのビジネスユニットで構成されています。
「投資事業」は、米国に拠点を置く100%子会社Asteria Vision Fund Inc.が管理する投資で構成されています。
② 報告セグメントごとの売上収益、利益又は損失、及び資産の金額に関する情報
前連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
投資事業については、当連結会計年度より開始されたため、前連結会計年度は、単一セグメントとなっております。
当連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
報告セグメント | 調整額 (注)1 | 連結 | |||||||
ソフトウェア事業 | 投資事業 | 計 | |||||||
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
売上収益 | |||||||||
外部収益 | 2,676,744 | - | 2,676,744 | - | 2,676,744 | ||||
セグメント間収益 | 65 | 45,651 | 45,716 | △45,716 | - | ||||
合計 | 2,676,809 | 45,651 | 2,722,460 | △45,716 | 2,676,744 | ||||
セグメント利益(△損失)(注)2 | 149,724 | △7,600 | 142,123 | △53 | 142,070 | ||||
その他の収益及び費用 | △404,122 | ||||||||
金融収益 | 157,544 | ||||||||
金融費用 | 59,724 | ||||||||
持分法による投資損益 | 5,484 | ||||||||
税引前損失(△) | △158,748 | ||||||||
その他の項目 | |||||||||
減価償却費及び償却費 | 326,426 | 138 | 326,564 | - | 326,564 | ||||
減損損失 | 350,037 | - | 350,037 | - | 350,037 |
(注)1.「調整額」は、主としてセグメント間取引消去額を表示しております。
2.セグメント利益は、売上収益から売上原価及び販売費及び一般管理費を控除しております。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループが重視している経営指標は、従業員一人当たり売上収益、売上総利益率および営業利益率です。それぞれの指標の今期の実績は以下のとおりです。当期においては、のれんの減損による影響により、営業損失となっております。
前期実績 | 当期実績 | |
従業員一人当たり売上収益 | 24,845千円 | 24,785千円 |
売上総利益率 | 60.5% | 70.7% |
営業利益率 | 11.2% | △9.8% |
(4) キャッシュ・フローの状況
① 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より800,026千円減少し、2,477,322千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は503,069千円となりました。主に税引前損失158,748千円及び減価償却費及び償却費326,564千円の発生、営業債権及びその他の債権330,585千円の減少、営業債務及びその他の債務16,293千円の減少、法人所得税の支払額204,380千円によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は1,926,249千円となりました。主に関連会社株式1,549,828千円の取得及び投資有価証券269,882千円の取得によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、獲得した資金は728,465千円となりました。主に長期借入れによる収入1,000,000千円によります。
② 当社の資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、顧客からの注文に基づく受託開発ではなく、独自の製品を自ら企画開発して提供する事業形態であるために、市場やニーズの変化に先行して製品化を行っております。そのため、先端技術を習得した技術者の採用によって研究開発を推進することに加え、企業買収等によって時間と優秀な技術者を獲得することや、世界的な視野において当社の投資領域である「4D」(Data, Device, Decentralized, Design)に合致する企業への効率的な投資を行うために金融機関から借入金10億円を調達し投資を行いました。
また、資本効率の向上、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の一環として、自己株式の取得129,980千円を行いました。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の金額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定を行うことが要求されております。実際の業績は、これらの見積りとは異なる場合があります。
見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直されます。会計上の見積りの見直しによる影響は、見積りを見直した会計期間及びそれ以降の将来の会計期間において認識されます。
経営者が行った連結財務諸表の金額に重要な影響を与える判断及び見積りは以下のとおりであります。
① 非金融資産の減損
当社グループは、有形固定資産、のれんを含む無形資産について、減損テストを実施しております。減損テストにおける回収可能額の算定においては、資産の耐用年数、将来キャッシュ・フロー、税引前割引率及び長期成長率等について一定の仮定を設定していります。これらの仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の不確実な経営条件の変動の結果により影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表等において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
② 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、資産及び負債の連結財政状態計算書上の帳簿価額と税務上の基準額との間に生じる一時差異に対して、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しております。当該繰延税金資産及び繰延税金負債の算定には、期末日において施行され、又は実質的に施行されている法令に基づき、関連する繰延税金資産が実現する時、または繰延税金負債が決済される時において適用されると予想される税率を使用しております。繰延税金資産は、将来の課税所得を稼得する可能性が高い範囲内で、全ての将来減算一時差異及び全ての未使用の繰越欠損金及び税額控除について認識しております。将来の課税所得の見積りは、経営者により承認された事業計画等に基づき算定しております。当該前提とした状況の変化や将来の税法の改正等により、繰延税金資産や繰延税金負債の金額に重要な影響を及ぼす可能性があるため、当社グループでは、当該見積りは重要なものであると判断しております。
③ 公正価値で測定する金融商品の公正価値の決定方法
当社グループが保有する公正価値で測定する金融資産及び金融負債が、活発な市場における公表価格によって測定できない場合には、当該資産又は負債について直接に又は間接に観察可能な前述の公表価格以外のインプットを使用して算定された公正価値、もしくは観察不能なインプットを含む評価技法によって算定された公正価値を用いて評価しております。特に、観察不能なインプットを含む評価技法によって算定される公正価値は、適切な基礎率、仮定及び採用する計算モデルの選択など、当社グループの経営者による判断や仮定を前提としております。これらの見積り及び仮定は、前提とした状況の変化等により、金融商品の公正価値の算定に重要な影響を及ぼす可能性があるため、当社グループでは、当該見積りは重要なものであると判断しております。
④ 新型コロナウイルス感染症の感染拡大について
新型コロナウイルス感染症については、収束時期等についての統一的な見解は発表されておりません。そのため、感染拡大に伴う影響については、各地域における経済活動の再開に伴い、来期に向けて徐々に収束していくものと仮定し、非金融資産(有形固定資産、のれん、無形資産等)の減損及び繰延税金資産の回収可能性等に関する会計上の見積りを行っております。なお、新型コロナウイルス感染症の収束に向けた動きが上述の想定とは異なった場合には、非金融資産の減損損失が増加し、繰延税金資産の回収可能性が見込まれなくなる可能性があります。
(6) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
事業の特性上、事業区分別の生産規模を金額あるいは数量で示すことはいたしておりません。
② 受注実績
事業の特性上、事業区分別の受注規模を金額あるいは数量で示すことはいたしておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績を売上区分ごとに示すと、次のとおりであります。なお、全てソフトウェア事業からになります。
売上区分 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) |
ライセンス(千円) | 554,217 | 86.9 |
サポート(千円) | 923,937 | 105.3 |
サービス(千円) | 1,198,590 | 61.0 |
合計 | 2,676,744 | 77.0 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | ||
金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
SCSK株式会社 | ― | ― | 290,974 | 10.87 |
T-Mobile Inc. | 802,337 | 23.07 | ― | ― |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.SCSK株式会社の前連結会計年度及びT-Mobile Inc.の当連結会計年度については、10%未満であるため記載を省略しております。