有価証券報告書-第43期(2022/04/01-2023/03/31)

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2023/06/20 11:11
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129項目
当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較・分析の記載はしておりません。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の行動制限が緩和され、社会経済活動の正常化が進んだことで、個人消費および雇用・所得環境・企業収益の一部に持ち直しの動きがみられました。一方では、世界的な金融引き締め政策や不安定な国際情勢を背景とした景気の下振れリスクから先行き不透明な状況が続きました。
住宅市場につきましては、政府の住宅取得支援策や住宅ローンの低金利環境が継続したものの、新設住宅着工戸数のうち、持家と分譲住宅の合計は、資材価格高騰による建設コストの増加が住宅着工を抑制する要因となったことで、前年同期を下回りました。住宅ローン市場につきましても、住宅価格高騰による消費者の購入意欲の低下などを背景に住宅市場同様に弱い動きとなりました。
このような事業環境のもと、当社グループは中期経営計画「Beyond the Border」の最終年度として「事業規模拡大」、「事業領域拡大」ならびに「企業価値向上」の課題を中心に各種施策に取り組んでまいりました。
事業規模拡大におきましては、金融機関との関係強化や既存住宅ローン市場へのアプローチに取り組みました。金融機関との関係強化につきましては、提携金融機関の利用率向上のため、当社保証商品の説明会や勉強会を実施したほか、例年ご好評いただいておりますキャンペーンを実施し、住宅ローン獲得に向けた営業推進にお役立ていただきました。また、利便性向上に向けた取り組みとして、デジタルを活用したサービスの提供に努めました。既存住宅ローン市場へのアプローチにつきましては、他の保証会社の株式取得(子会社化)について決議したほか、当社グループにとって保証債務残高獲得と同様の効果をもたらすRMBS(住宅ローン担保証券)を取得しました。
事業領域拡大におきましては、住宅購入者、住宅販売者ならびに金融機関の住宅ローンに関する課題を解決すべく、WEB申込とAI審査を利用した住宅ローン申込スキームの実証実験を開始しました。グループ会社を活用した事業領域拡大につきましては、金融機関から債権管理回収業務を受託したほか、他社で対応できない信用保証の領域拡大に引き続き取り組みました。
企業価値向上におきましては、TCFD提言への賛同表明および情報開示を実施したほか、人材育成や女性活躍推進など重要課題(マテリアリティ)解決に向けた取り組みを着実に進めました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、営業収益は50,272百万円となり、営業利益は39,884百万円、経常利益は41,456百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は28,584百万円となりました。
なお、当社グループの報告セグメントは「信用保証事業」のみであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
②財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、442,945百万円となりました。
流動資産は、183,180百万円となりました。この主な内訳は、現金及び預金164,959百万円であります。
固定資産は、259,765百万円となりました。この主な内訳は、投資有価証券227,200百万円であります。
負債合計は、237,326百万円となりました。
流動負債は、32,194百万円となりました。この主な内訳は、前受収益17,559百万円であります。
固定負債は、205,131百万円となりました。この主な内訳は、長期前受収益174,719百万円であります。
純資産合計は、205,619百万円となりました。この主な内訳は、利益剰余金194,979百万円であります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、112,659百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は28,700百万円となりました。主な増加要因は税金等調整前当期純利益41,282百万円等であります。一方、主な減少要因は法人税等の支払額12,462百万円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は36,042百万円となりました。主な減少要因は定期預金の預入による支出60,900百万円、投資有価証券の取得による支出52,807百万円等であります。一方、主な増加要因は定期預金の払戻による収入59,050百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入13,870百万円、有価証券の売却及び償還による収入10,220百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は9,159百万円となりました。減少要因は配当金の支払額9,159百万円であります。
④生産、受注および販売の状況
a)生産実績
該当事項はありません。
b)受注状況
該当事項はありません。
c)販売実績
当連結会計年度の販売実績を示すと、次の通りであります。
セグメント名金額(百万円)
信用保証事業50,272

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、資産・負債の残高および収益・費用の金額に影響を与える会計上の見積り等は、過去の実績や現在の状況ならびに現在入手可能な情報を総合的に勘案し、その時点で最も合理的と考えられる見積り等を採用しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積り等と異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。重要な会計上の見積りおよび仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
②財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容
財政状態および経営成績の状況につきましては、「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況、②財政状態の状況」に記載の通りです。
各種指標については以下の通りです。
a)受付件数、実行件数および新規保証実行金額
民間金融機関住宅ローン保証における受付件数、実行件数および新規保証実行金額につきましては、資材価格高騰による建設コストの増加や住宅価格高騰による消費者の購入意欲の低下などの影響を受け、前期より減少しました。
民間金融機関住宅ローン保証における受付件数、実行件数および新規保証実行金額の推移
(単位:件、百万円)
2021年3月期2022年3月期2023年3月期
受付件数310,416308,120292,807
実行件数57,11361,18854,563
新規保証実行金額1,495,0851,669,6041,573,082

(注) 2022年3月期以前は、当社単体の数値を記載しております。
b)保証債務残高
保証債務残高および保有契約件数は、民間金融機関保証における住宅ローン保証が堅調に推移していることから、増加を続けております。
イ.保証債務残高および保有契約件数の推移
(単位:件、百万円)
2021年3月末2022年3月末2023年3月末
区分件数金額件数金額件数金額
当社グループ合計911,60614,629,759944,55315,356,458969,44715,944,904
当社849,69714,258,758884,81415,011,326912,38015,623,987
民間金融機関834,99814,205,624871,59914,966,584900,55615,586,752
住宅ローン802,63414,137,985837,13114,897,065863,78515,516,164
カードローン19,9491,57022,4731,72425,4791,928
教育ローン825456353721
その他12,33366,01411,93967,75911,25568,638
公的機関・その他14,69953,13313,21544,74211,82437,234
子会社61,909371,00059,739345,13157,067320,917


ロ.当社民間金融機関住宅ローン保証における業態別保証債務残高および保有契約件数の推移
(単位:件、百万円)
2021年3月末2022年3月末2023年3月末
区分件数金額件数金額件数金額
民間金融機関802,63414,137,985837,13114,897,065863,78515,516,164
銀行334,9026,715,790366,1927,428,318392,2668,035,725
信用金庫373,1005,979,209373,4045,965,530372,0705,928,295
信用組合35,141462,15435,845479,19436,271491,871
JA58,005957,26860,082997,10661,5261,032,267
JF・労働金庫・その他1,42123,1491,55026,5761,60127,702
未提携654135834051301

(注) 1.JAとは農業協同組合、信用農業協同組合連合会を指します。
2.JFとは漁業協同組合、信用漁業協同組合連合会を指します。
3.未提携とは、合併や破綻した金融機関が保有していた当社保証付きの住宅ローン債権を引き継ぎ、当社と保証契約が未締結の金融機関を指します。
c)提携金融機関数
当社グループは外部の保証機関を求める金融機関等のニーズに応え、保証シェアの拡大を図るべく未提携金融機関へ新規契約締結に向けたアプローチを継続しております。
金融機関業態別提携金融機関数の推移
(単位:機関)
2021年3月末2022年3月末2023年3月末
銀行959495
信用金庫243243243
信用組合100100100
JA277274265
JF・労働金庫・その他292219
合 計744733722

(注) 1.当社単体の数値を記載しております。
2.JAとは農業協同組合、信用農業協同組合連合会を指します。
3.JFとは漁業協同組合、信用漁業協同組合連合会を指します。
4.各事業年度末時点の提携金融機関数を集計しております。
5.提携金融機関数が減少した理由は、金融機関の合併によるものです。
d)延滞金額
先行き不透明な経済環境が続くなか、延滞初期段階から金融機関と協調し返済正常化を目的とした相談・助言を行い、保証委託者の実態について早期把握に努めたことから、保証債務残高に対する延滞金額の割合は低位で推移しております。
延滞金額の推移
(単位:百万円)
2021年3月末
(金額:2020年9月末時点)
2022年3月末
(金額:2021年9月末時点)
2023年3月末
(金額:2022年9月末時点)
延滞金額23,32120,62922,494

(注) 1.2022年3月末以前は、当社単体の数値を記載しております。
2.延滞金額につきましては、延滞期間が3ヶ月以上の保証引受金額を集計しています。
e)代位弁済金額および求償債権回収金額
イ.代位弁済金額
延滞初期段階から保証委託者の現状と将来の返済能力を早期に把握し、延滞長期化の防止および返済正常化に取り組んでいることから、保証債務残高に対する代位弁済金額の割合は低位で推移しております。
代位弁済金額の推移
(単位:百万円)
2021年3月期2022年3月期2023年3月期
代位弁済金額10,4849,39610,778

(注) 2022年3月期以前は、当社単体の数値を記載しております。
ロ.求償債権回収金額
当社グループが代位弁済後において取得する求償債権につきましては、その殆どに不動産担保が設定されております。回収期間の短縮化と回収金額の最大化を図るという基本方針に基づき、保証委託者の実態に応じた物件売却(任意売却・競売)を実施し、迅速かつ最大限の回収に努めております。
求償債権回収金額の推移
(単位:百万円)
2021年3月期2022年3月期2023年3月期
求償債権回収金額7,7517,1247,103

(注) 2022年3月期以前は、当社単体の数値を記載しております。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況につきましては、「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載の通りです。
資本の財源および資金の流動性につきましては、以下の通りです。
当社グループにおける運転資金の需要は、代位弁済金の支払ならびに販売費および一般管理費等の営業費用の支払となります。当社のビジネスモデルにおいては、保証引受の役務と同時に対価である保証料を収受することが多く、必要資金の流動性および源泉の安定的確保が可能であることから、運転資金については自己資金にて対応することとしております。
④経営戦略の現状と見通し
当社グループを取り巻く事業環境といたしましては、当面は安定した雇用環境や政府の住宅取得支援策に支えられ、住宅市場および住宅ローン市場は底堅く推移することが見込まれるものの、長期的には少子高齢化に伴う人口・世帯数の減少により新築住宅市場の縮小が見込まれます。
こうした事業環境を踏まえ、当社グループでは2023年度から2025年度までの3事業年度を計画期間とする中期経営計画「Next Phase~成長と価値創造~」を策定しております。この中期経営計画では「更なる成長と価値創造を実現する住宅ローンプラットフォーマーを目指す」をビジョンとして掲げ、①基幹事業の拡大、②周辺事業への進出、③企業価値の向上、の3つの基本方針に基づき各種課題の解決に取り組んでまいります。
なお、2024年3月期の業績見通しについては、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)目標とする経営指標」に記載の通りです。