四半期報告書-第10期第3四半期(平成30年10月1日-平成30年12月31日)

【提出】
2019/02/08 9:42
【資料】
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【項目】
38項目
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において判断したものであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
1.経営成績の分析
(単位:百万円)
売上高営業利益経常利益親会社株主に帰属
する四半期純利益
1株当たり
四半期純利益
(円 銭)
当第3四半期
連結累計期間
950,69879,60480,90361,893426.80
前第3四半期
連結累計期間
936,82472,16874,31250,720349.30
前年同期比
(%)
101.5110.3108.9122.0-

当社グループは「2020中期経営計画」の初年度を迎え、基本コンセプト「継続的戦略課題への取り組み」と「成長に向けた新たな挑戦」に基づき、「コア事業での高シェア・高収益の実現」「海外市場での成長基盤の確立に向けた積極的な事業拡大」「健康を軸とした新たな価値領域での仕掛け」「構造改革の継続的な実行と個別事業課題の克服」「経営基盤の進化とCSRの推進」に向けて取り組みを進めています。
2019年3月期は、2020中期経営計画の達成に向けて、食品・医薬品の両セグメントともにコア領域・成長領域に経営資源を重点的に投下し、さらなる売り上げ拡大に取り組むとともに、海外事業の展開も積極的に進めています。また、食品セグメントでは物流費や人件費の上昇、医薬品セグメントでは薬価改定の影響を大きく受けるなど両セグメントともに厳しい環境下において、費用の効率的な支出や生産性向上に取り組んでいます。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は 9,506億98百万円(前年同期比 1.5%増)、営業利益は 796億4百万円(同 10.3%増)、経常利益は 809億3百万円(同 8.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は 618億93百万円(同 22.0%増)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりです。
(単位:百万円)
報告セグメント合計
食品医薬品
前第3四半期連結累計期間当第3四半期連結累計期間増減前第3四半期連結累計期間当第3四半期連結累計期間増減前第3四半期連結累計期間当第3四半期連結累計期間増減
売上高815,500803,176△12,323122,343148,29925,956937,843951,47613,632
セグメント
利益
64,94764,922△247,56915,1577,58872,51780,0807,563

(注)売上高、セグメント利益は、セグメント間の取引を消去する前の金額によっております。
(1)食品
当セグメントには発酵デイリー(ヨーグルト、牛乳類、飲料等)、加工食品(チーズ、バター・マーガリン、クリーム、アイスクリーム、冷凍食品等)、菓子(チョコレート、グミ、ガム等)、栄養(スポーツ栄養、粉ミルク、流動食、美容、OTC等)、海外、飼料、畜産品、砂糖及び糖化穀粉等の製造・販売、運送等が含まれております。
売上高は、前第3四半期連結累計期間を下回りました。加工食品事業、栄養事業、海外事業は前第3四半期連結累計期間を上回りましたが、プロバイオティクスの減収により発酵デイリー事業は前第3四半期連結累計期間を下回り、菓子事業は取引制度変更の影響やチョコレートが減収となったことから前第3四半期連結累計期間を大幅に下回りました。
セグメント利益は、主力のプロバイオティクスやチョコレートの減収による影響を、宣伝費等の削減により補い前第3四半期連結累計期間並みとなりました。
事業別の売り上げ概況は次のとおりです。
■発酵デイリー事業
売上高は、リニューアルした「明治ブルガリアヨーグルト」のプレーンタイプが好調に推移しましたが、プロバイオティクスの減収により、前第3四半期連結累計期間を下回りました。
営業利益は、減収の影響や物流費等の増加により前第3四半期連結累計期間を下回りました。
■加工食品事業
売上高は、「明治北海道十勝カマンベールチーズ」や業務用クリームが好調に推移したことに加え、アイスクリームも「明治エッセルスーパーカップ」シリーズが増収となり、前第3四半期連結累計期間を上回りました。
営業利益は、主要製品の増収により前第3四半期連結累計期間を大幅に上回りました。
■菓子事業
売上高は、2018年4月からの取引制度見直しによる販売価格の変更やチョコレートの減収により前第3四半期連結累計期間を大幅に下回りました。
営業利益は、宣伝費等の削減に努めましたが、減収の影響により前第3四半期連結累計期間を下回りました。
■栄養事業
売上高は、「ザバス」が好調に推移し、流動食「明治メイバランス」シリーズも増収となった結果、前第3四半期連結累計期間を上回りました。
営業利益は、販促費等が増加したものの主要製品の増収により前第3四半期連結累計期間並みとなりました。
■海外事業
売上高は、台湾での粉ミルク販売や、牛乳を中心に乳製品が好調に推移した中国子会社の増収が寄与し、前第3四半期連結累計期間を大幅に上回りました。
営業利益は、中国子会社の増収により前第3四半期連結累計期間を大幅に上回りました。
■その他国内子会社
売上高は、砂糖商社や畜産品会社の減収の影響がありましたが、物流会社や飼料会社の増収により前第3四半期連結累計期間並みとなりました。
営業利益は、畜産品会社等の減収により前第3四半期連結累計期間を大幅に下回りました。
(2)医薬品
当セグメントには、国内外の医療用医薬品及び農薬・動物薬並びに生物学的製剤等の製造・販売が含まれております。
売上高は、2018年4月に実施された薬価改定の影響がありましたが、国内主力品の販売数量の伸長や海外子会社が好調に推移したほか、2018年7月よりKMバイオロジクス株式会社を新たに連結したことにより前第3四半期連結累計期間を大幅に上回りました。
セグメント利益は、前第3四半期連結累計期間を大幅に上回りました。薬価改定の影響を受けましたが、主力品の増収に加え、原料調達価格の見直しや普及費等の削減でカバーしました。また、新規連結したKMバイオロジクス株式会社のヒト用ワクチン販売も寄与しました。
事業別の売り上げ概況は次のとおりです。
■国内事業
売上高は、前第3四半期連結累計期間を上回りました。薬価改定の影響がありましたが、統合失調症治療薬「シクレスト」やアレルギー性疾患治療薬「ビラノア」が大幅に伸長し、2018年9月より新たに発売したインフルエンザワクチンも寄与しました。
営業利益は、主力品の増収や原料調達価格の見直し等により前第3四半期連結累計期間を大幅に上回りました。
■海外事業
売上高は、インドやインドネシアの子会社が好調に推移したことにより、前第3四半期連結累計期間を上回りました。
営業利益は、輸出品のコストアップにより、前第3四半期連結累計期間を大幅に下回りました。
■生物学的製剤事業
売上高は、主力のインフルエンザワクチンや4種混合ワクチン「クアトロバック」が好調に推移しました。
営業利益は、主力品が好調に推移したことにより拡大しました。
2.財政状態の分析
[資産]
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は 1兆250億64百万円となり、前連結会計年度末に比べて 998億27百万円増加しました。これは現金及び預金が 51億96百万円減少した一方、受取手形及び売掛金が 302億45百万円、商品及び製品が 175億84百万円、建物及び構築物(純額)が 169億3百万円、機械装置及び運搬具(純額)が 152億20百万円、建設仮勘定が 122億16百万円、原材料及び貯蔵品が 73億75百万円増加したことなどによるものです。
[負債]
当第3四半期連結会計期間末における負債合計は 4,623億2百万円となり、前連結会計年度末に比べて 322億42百万円増加しました。これは短期借入金が 85億62百万円減少した一方、コマーシャル・ペーパーが 230億円、長期借入金 141億22百万円、支払手形及び買掛金が 59億69百万円増加したことなどによるものです。
[純資産]
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は 5,627億62百万円となり、前連結会計年度末に比べて 675億85百万円増加しました。これは利益剰余金が 416億92百万円、非支配株主持分 263億55百万円増加したことなどによるものです。
なお、自己資本比率は 51.6%(前連結会計年度末は 52.7%)となりました。
3.経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
4.事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、KMバイオロジクス株式会社を連結子会社化したことに伴い、医薬品セグメントで新たに発生した対処すべき課題は、次のとおりであります。
<医薬品>■生物学的製剤(ヒト用ワクチン・動物用ワクチン・血漿分画製剤)
生物学的製剤事業では、強固なガバナンス体制および事業運営における法規遵守等の体制強化、並びに厳格な品質・生産管理体制の徹底に努めてまいります。
近年、世界的に感染予防の重要性が高まる環境下、ワクチンと血漿分画製剤の安定供給に貢献し、公衆衛生及びお客さまの健康寄与に努めてまいります。
また、グループ会社間での連携強化に努め、医薬品セグメントの売上拡大に取り組んでまいります。
5.研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は 200億46百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において連結子会社化したKMバイオロジクス株式会社は、ヒト用ワクチン、動物用ワクチン、血漿分画製剤の研究開発から製造販売まで行う体制を持ち、また新生児のマススクリーニングなどを行う臨床検査センターを保有しております。
同社においては、ヒト用ワクチン、動物用ワクチンならびに血漿分画製剤の3領域の研究開発を行っており、それぞれの領域における具体的な開発品目の進捗状況は、以下のとおりです。
ヒト用ワクチンにつきましては、「デング熱ワクチン(KD-382)」の臨床第一相試験を2018年8月よりオーストラリアで開始しております。また「小児用5種混合ワクチン(KD-370)」の国内臨床第三相試験を継続実施中です。
血漿分画製剤については提携先と共同で静注用人免疫グロブリン製剤であるベニロンの適応拡大試験を継続実施中です。組換え血漿たんぱく製剤を用いた先天性疾病の治療薬についても共同開発先と国際共同治験を継続実施中です。また、ボルヒールを用いた再生医療分野の治験を準備中です。
動物用ワクチンにつきましては、鶏用ワクチンとして「KD-390」、豚用ワクチンとして「KD-386」「KD-387」の3製品を農水省に製造販売承認申請中です。
6.従業員数
当第3四半期連結累計期間において、KMバイオロジクス株式会社を連結子会社化したこと等に伴い、前連結会計年度末と比べて医薬品セグメントの従業員数は 1,205人増加し 6,788人、有期契約従業員数は 1,022人増加し 2,956人となりました。
なお、従業員数は就業人員数(当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む)です。
7.生産、受注及び販売の実績
当第3四半期連結累計期間において、KMバイオロジクス株式会社を連結子会社化したこと等に伴い、医薬品セグメントの生産実績は 763億45百万円(前年同期比 129.6%)、販売実績は 1,479億34百万円(前年同期比 121.5%)となりました。なお、生産実績は販売価額により算出しており、生産実績及び販売実績に消費税等及びセグメント間の取引は含まれておりません。また、受注実績に著しい変動はありません。
8.主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、KMバイオロジクス株式会社を連結子会社化したことにより、以下の設備が主要な設備に加わりました。
2018年12月31日現在

会社名事業所名
(所在地)
セグメントの名称設備の
内容
帳簿価額従業員数
(人)
建物及び構築物
(百万円)
機械装置及び運搬具
(百万円)
土地
(百万円)
(面積㎡)
リース資産
(百万円)
その他
(百万円)
合計
(百万円)
KMバイオロジクス㈱本社/熊本事業所
(熊本県
熊本市)
医薬品本社/
生産設備
7,0182,6601,562
(132,391)
4747811,766727
(691)
菊池研究所
(熊本県
菊池市)
医薬品生産設備4,4031,021184
(190,009)
-4106,020246
(165)
合志事業所
(熊本県
合志市)
医薬品生産設備7,613550239
(103,262)
-1238,52813
(5)

(注)1 帳簿価額のうち「その他」欄は、工具、器具及び備品であり建設仮勘定を含んでおりません。なお、金額には消費税等を含んでおりません。
2 「従業員数」欄の( )内は、有期契約従業員数で外数であります。
また、当第3四半期連結累計期間において、新たに確定した重要な設備の新設計画は次のとおりであります。
会社名
事業所名
所在地セグメントの名称設備の内容投資予定金額資金調達
方法
着手及び完了予定年月
総額
(百万円)
既支払額
(百万円)
着手完了
㈱明治
埼玉工場
埼玉県
春日部市
食品製造棟及び
粉ミルク
生産設備
11,980910自己資金
及び借入金
2018年7月2021年3月

(注) 上記金額には、消費税は含まれておりません。