訂正有価証券報告書-第10期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/08/07 9:52
【資料】
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【項目】
159項目
(1)業績等の概要
①業績
(単位:百万円)
売上高営業利益経常利益親会社株主に帰属する当期純利益1株当たり
当期純利益
(円 銭)
当連結会計年度1,254,38098,38399,70961,868426.61
前連結会計年度1,240,86094,67395,87761,278422.15
前年同期比(%)101.1103.9104.0101.0-

当社グループは「2020中期経営計画」の初年度を迎え、基本コンセプト「継続的戦略課題への取り組み」と「成長に向けた新たな挑戦」に基づき、「コア事業での高シェア・高収益の実現」「海外市場での成長基盤の確立に向けた積極的な事業拡大」「健康を軸とした新たな価値領域での仕掛け」「構造改革の継続的な実行と個別事業課題の克服」「経営基盤の進化とCSRの推進」に向けて取り組みを進めています。
2019年3月期は、「2020中期経営計画」の達成に向けて、食品・医薬品の両セグメントともにコア領域・成長領域に経営資源を重点的に投下し、さらなる売り上げ拡大に取り組むとともに、海外事業の展開も積極的に進めました。また、食品セグメントでは物流費や人件費の上昇、医薬品セグメントでは薬価改定の影響を大きく受けるなど両セグメントともに厳しい環境下において、費用の効率的な支出や生産性向上に取り組みました。
この結果、当連結会計年度の売上高は1兆2,543億80百万円(前年同期比 1.1%増)、営業利益は 983億83百万円(同 3.9%増)、経常利益は 997億9百万円(同 4.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は 618億68百万円(同 1.0%増)となりました。また、ROE(自己資本利益率)は 12.2%、EPS(1株当たり当期純利益)は 426.61円となりました。
また、流動資産は 4,214億47百万円、固定資産は 5,826億96百万円、総資産は 1兆41億43百万円、流動負債は 2,915億4百万円、固定負債は 1,520億8百万円、純資産は 5,606億30百万円となりました。
なお、2018年7月2日付で当社および当社の事業子会社であるMeiji Seika ファルマ㈱は、一般財団法人化学及血清療法研究所の主要事業を現物出資により承継したKMバイオロジクス㈱の株式を一部取得し、連結子会社化しました。
②キャッシュ・フローの状況
区分前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
増減額
(百万円)
営業活動によるキャッシュ・フロー108,775112,1003,325
投資活動によるキャッシュ・フロー△64,394△100,202△35,807
財務活動によるキャッシュ・フロー△40,121△13,98026,141
現金及び現金同等物に係る換算差額1△393△395
現金及び現金同等物の増減額(△減少)4,260△2,475△6,735
現金及び現金同等物の期首残高22,62426,9134,288
新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額-4343
合併に伴う現金及び現金同等物の増加額28-△28
現金及び現金同等物の期末残高26,91324,481△2,431

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ 33億25百万円収入増の 1,121億円の収入となりました。これは仕入債務の減少により支出が増加した一方、売上債権の減少により収入が増加したことなどによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より 358億7百万円支出増の 1,002億2百万円の支出となりました。これは連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が増加したことなどによるものです。
これにより、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計額)は、前連結会計年度より 324億81百万円収入減の 118億98百万円の収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ 261億41百万円支出減の 139億80百万円の支出となりました。これは社債の償還による支出が減少したことなどによるものです。
これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は 244億81百万円となりました。
(2)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度の生産実績を事業のセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
食品799,258101.2
医薬品101,143124.7
報告セグメント計900,401103.4
合計900,401103.4

(注)1 上記金額は、消費税等抜きの販売価額により表示しております。
2 セグメント間の取引は含まれておりません。
②受注実績
当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画を立てて生産しております。
一部受注生産を行っておりますが、受注高及び受注残高の金額に重要性はありません。
③販売実績
当連結会計年度の販売実績を事業のセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
食品1,056,10798.4
医薬品198,273118.2
報告セグメント計1,254,380101.1
合計1,254,380101.1

(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2 総販売実績に対する売上の割合が10%以上の相手先はありません。
3 セグメント間の取引は含まれておりません。
(3)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)を当連結会計年度の期首から適用しており、前連結会計年度に係る主要な経営指標等については、当該会計基準を遡って適用した後の指標等になっております。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たっては、主として期末日現在の判断に基づく見積りによるものがあります。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②経営成績の分析
「2020中期経営計画」の初年度である2018年度は、売上高・営業利益ともに前期を上回り、ROEは12.2%となりました。引き続き、営業利益成長率は年平均で1桁台半ば以上を目指してまいります。海外売上高も食品・医薬品ともに前期を上回り、着実な成長を続けています。2019年度も「2020中期経営計画」の各重点方針に取り組み、事業成長のみならず、ガバナンスの強化やCSRの推進にも積極的に取り組んでまいります。
配当については増配を実施し、株主還元の充実に努めました。今後も安定的継続的な利益還元を実施します。
セグメントの業績は次のとおりであります。
(単位:百万円)
報告セグメント合計
食品医薬品
前連結
会計年度
当連結
会計年度
増減前連結
会計年度
当連結
会計年度
増減前連結
会計年度
当連結
会計年度
増減
売上高1,073,6551,056,637△17,017168,466198,68830,2221,242,1211,255,32613,205
セグメント
利益
84,18984,76357411,02514,2433,21895,21499,0073,792

(注)売上高、セグメント利益は、セグメント間の取引を消去する前の金額によっております。
セグメントの業績の詳細は次のとおりであります。
Ⅰ.食品
当セグメントには発酵デイリー(ヨーグルト、牛乳類、飲料等)、加工食品(チーズ、バター・マーガリン、クリーム、アイスクリーム、冷凍食品等)、菓子(チョコレート、グミ、ガム等)、栄養(スポーツ栄養、粉ミルク、流動食、美容、一般用医薬品等)、海外、飼料、畜産品、砂糖及び糖化穀粉等の製造・販売、運送等が含まれております。
売上高は、前連結会計年度を下回りました。加工食品事業、栄養事業、海外事業は前連結会計年度を上回りましたが、発酵デイリー事業はプロバイオティクスの減収により前連結会計年度を下回り、菓子事業は取引制度変更の影響やスナックの販売エリア縮小などにより前連結会計年度を下回りました。
セグメント利益は、主力のプロバイオティクスの減収による影響がありましたが、商品政策や各種費用の削減により前連結会計年度並みとなりました。
事業別の概況は次のとおりです。
■発酵デイリー事業(ヨーグルト、牛乳類、飲料等)
売上高は、リニューアルした「明治ブルガリアヨーグルト」のプレーンタイプが好調に推移しましたが、プロバイオティクスの減収により前連結会計年度を下回りました。そうした中、「ザバスミルクプロテイン」シリーズはラインアップ強化により、前連結会計年度を大幅に上回りました。
営業利益は、減収の影響や物流費の増加により前連結会計年度を下回りました。
■加工食品事業(チーズ、バター・マーガリン、クリーム、アイスクリーム、冷凍食品等)
売上高は、「明治北海道十勝カマンベールチーズ」や業務用クリームが好調に推移したことに加え、アイスクリームも「明治エッセルスーパーカップ」シリーズが増収となり、前連結会計年度を上回りました。
営業利益は、主要製品の増収により前連結会計年度を大幅に上回りました。
■菓子事業(チョコレート、グミ、ガム等)
売上高は、2018年4月からの取引制度見直しによる販売価格の変更やスナックの販売エリア縮小により前連結会計年度を下回りました。
営業利益は、減収の影響があったものの経費等の削減により前連結会計年度を上回りました。
■栄養事業(スポーツ栄養、粉ミルク、流動食、美容、一般用医薬品等)
売上高は、スポーツ栄養の「ザバス」や「ヴァーム」が好調に推移し、流動食「明治メイバランス」シリーズも増収となった結果、前連結会計年度を上回りました。
営業利益は、販促費等が増加しましたが主要製品の増収により、前連結会計年度を上回りました。
■海外事業(海外子会社、輸出)
売上高は、台湾での粉ミルクや中国の乳製品が好調に推移した結果、前連結会計年度を上回りました。
営業利益は、中国子会社の増収により前連結会計年度を大幅に上回りました。
■その他国内子会社(飼料、畜産品、砂糖および糖化穀粉、運送等)
売上高は、砂糖商社や畜産品会社の減収の影響がありましたが、物流会社や飼料会社の増収により前連結会計年度並みとなりました。
営業利益は、砂糖商社や畜産品会社等の減収により前連結会計年度を大幅に下回りました。
Ⅱ.医薬品
当セグメントには、医療用医薬品及び農薬・動物薬等の製造・販売が含まれております。
売上高は、2018年4月に実施された薬価改定の影響がありましたが、国内主力品の販売数量の伸長や、2018年7月よりKMバイオロジクス㈱を新たに連結したことにより、前連結会計年度を大幅に上回りました。
セグメント利益は、前連結会計年度を大幅に上回りました。薬価改定の影響は受けたものの、主力品の増収に加え、原料調達価格の見直しや普及費等の削減で増益を図りました。また、新規連結したKMバイオロジクス㈱も寄与しました。
事業別の概況は次のとおりです。
■国内事業
売上高は、前連結会計年度を上回りました。薬価改定の影響がありましたが、統合失調症治療薬「シクレスト」やアレルギー性疾患治療薬「ビラノア」が大幅に伸長し、2018年9月より新たに発売したインフルエンザワクチンも寄与しました。
営業利益は、主力品の増収や原料調達価格の見直し等により前連結会計年度を大幅に上回りました。
■海外事業
売上高は、インドネシアをはじめとした子会社が好調に推移したことにより、前連結会計年度を上回りました。
営業利益は、輸出品のコストアップにより前連結会計年度を大幅に下回りました。
■KMバイオロジクス
売上高は、主力のインフルエンザワクチンや4種混合ワクチン「クアトロバック」が順調に推移しました。
営業利益は、主力品が順調に推移したことで見込み通りとなりました。
③財政状態の分析
Ⅰ.資産
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて 789億6百万円増加し、1兆41億43百万円となりました。これはのれんが 105億17百万円減少した一方、建物及び構築物(純額)が 195億76百万円、機械装置及び運搬具(純額)が 193億58百万円、商品及び製品が 188億27百万円、建設仮勘定が 96億65百万円、原材料及び貯蔵品が 93億94百万円、受取手形及び売掛金が 64億32百万円増加したことなどによるものです。
Ⅱ.負債
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて 134億53百万円増加し、4,435億12百万円となりました。これは短期借入金が 161億52百万円減少した一方、長期借入金が 134億34百万円、支払手形及び買掛金が 53億71百万円、退職給付に係る負債が 34億99百万円、未払法人税等が 27億70百万円、未払費用が 23億66百万円、賞与引当金が 10億37百万円増加したことなどによるものです。
Ⅲ.純資産
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて 654億53百万円増加し、5,606億30百万円となりました。これは為替換算調整勘定が 20億19百万円減少した一方、利益剰余金が 416億67百万円、非支配株主持分が 254億53百万円増加したことなどによるものです。
なお、自己資本比率は前連結会計年度末の 52.7%から 52.5%に、1株当たり純資産は前連結会計年度末の 3,360円70銭から 3,635円79銭になりました。
④資金の財源及び資金の流動性の分析
Ⅰ.キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況については、「(1)②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
また、キャッシュ・フロー指標のトレンドは、次のとおりです。
区分第6期第7期第8期第9期第10期
自己資本比率(%)42.247.850.852.752.5
時価ベースの自己資本比率(%)122.9155.6153.6126.9129.8
債務償還年数(年)2.61.41.61.11.0
インタレスト・カバレッジ・レシオ76.2104.1105.1140.3143.2

(注)各指標の算出方法自己資本比率:(純資産の部-非支配株主持分)/総資産時価ベースの自己資本比率:株式時価総額(期末株価終値×発行済株式総数)/総資産債務償還年数:有利子負債(社債、借入金、コマーシャル・ペーパー)/営業活動によるキャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/利払い(利息の支払額)※ 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式総数をベースに計算しております。
Ⅱ.資金需要
設備投資、運転資金、借入金の返済及び利息の支払い並びに配当及び法人税の支払い等に資金を充当しております。
当社グループは、グループ会社を対象に、資金調達の安定化と調達コストの低減を図るため、グループファイナンス制度を導入しております。
Ⅲ.資金の源泉
主として営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入、社債及びコマーシャル・ペーパーの発行等によって調達しております。