四半期報告書-第9期第1四半期(平成30年4月1日-平成30年6月30日)

【提出】
2018/08/13 11:10
【資料】
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【項目】
12項目
(1)経営成績
全般
当第1四半期連結累計期間(2018年4月1日~2018年6月30日)においては、米国と中国との貿易摩擦拡大等による景気減速の懸念はあるものの、米国及びEUのほか、アジアにおいても雇用情勢と所得環境が安定したことから、世界経済は全体として堅調に推移しました。
わが国経済については、企業収益及び雇用情勢の改善を背景に、緩やかに回復しました。
同期間における原油価格(ドバイ原油)は、期初の1バーレル当たり67ドルから、OPECの協調減産継続への期待感や中東における地政学リスク懸念により77ドルまで上昇し、期末には76ドルとなり、期平均では前年同期比22ドル高の1バーレル当たり72ドルとなりました。
銅の国際価格(LME[ロンドン金属取引所]価格)は、期初の1ポンド当たり306セントから、概ね310セント付近で推移していましたが、6月に入ると南米有力銅鉱山におけるストライキの懸念等により、一時329セントまで上昇しました。その後、ストライキ懸念の収束や米中貿易摩擦による景気減速懸念を材料に下落に転じ、期末は301セント、期平均では前年同期比55セント高の1ポンド当たり312セントとなりました。
円の対米ドル相場は、期初の106円から徐々に円安が進み、期末は111円、期平均では前年同期比2円円高の109円となりました。
こうした状況のもと、当第1四半期連結累計期間の連結業績は、前年同期に比べ、原油価格の上昇等に伴う石油製品販売価格の改善及び金属価格の上昇を主因に、売上高は前年同期比15.4%増の2兆5,669億円となり、また、こうした増収のほか、原油価格の上昇等に伴う在庫評価益及び事業ポートフォリオの見直しによるエネルギーセグメントにおける子会社株式売却等により、営業利益は2,273億円(前年同期は450億円)となりました。在庫影響(総平均法及び簿価切下げによる棚卸資産の評価が売上原価に与える影響)を除いた営業利益相当額は1,852億円(前年同期は736億円)となりました。
金融収益と金融費用の純額101億円を差し引いた結果、税引前四半期利益は2,172億円(前年同期は380億円)となり、法人所得税費用646億円を差し引き、四半期利益は1,526億円(前年同期は201億円)となりました。
なお、四半期利益の内訳は、親会社の所有者に帰属する四半期利益が1,451億円、非支配持分に帰属する四半期利益が74億円となりました。
セグメント別の概況は、次のとおりです。
エネルギー
石油製品事業については、国内石油製品需要は自動車の低燃費化や電力の燃料転換などの構造的な変化に加え、原発再稼働の影響もあり減少しました。石油製品市況は国内、海外ともに堅調に推移しました。
石油化学製品事業については、アジア域内の需給環境の悪化等の影響により、主力製品であるパラキシレン及びベンゼンの市況は前年同期に比べ悪化しました。
現在、統合シナジー(中期経営計画の最終年度である2019年度に1,000億円の収益改善)の早期達成・最大化に向け、製造、供給、購買等の各部門において合理化・効率化に取り組んでおり、当第1四半期連結累計期間において、173億円の収益改善を実現しました。
こうした状況のもと、エネルギー事業の当第1四半期連結累計期間における売上高は前年同期比16.1%増の2兆1,710億円、営業利益は1,779億円(前年同期は234億円)となり、原油価格の上昇を主因とする在庫影響による会計上の利益が417億円(前年同期は298億円の損失)発生したことから、在庫影響を除いた営業利益相当額は1,362億円(前年同期は532億円)となりました。
石油・天然ガス開発
原油及び天然ガスの生産量は、前年同期に比べ減少しました。これは、2018年2月のカナダのシンクルード・オイルサンド・プロジェクトの全保有権益の売却及び同月パプアニューギニアで発生した地震による生産減、その他プロジェクトにおける油田・ガス田の自然減退などの影響によるものです。また、原油及び天然ガスの販売価格は、原油市況を反映し前年同期に比べ上昇しました。
こうした状況のもと、石油・天然ガス開発事業の当第1四半期連結累計期間における売上高は前年同期並みの336億円(前年同期は337億円)、営業利益は173億円(前年同期は31億円)となりました。
金属
資源開発事業については、前年同期に比べ、銅価が上昇したことなどから損益が改善しました。なお、チリのカセロネス銅鉱山については、プロジェクトを機動的かつ一元的に管理するための組織を設置し、一層の生産性の向上とコスト削減に取り組んでいます。
銅製錬事業については、電気銅価格(銅建値)は、銅のLME価格上昇により前年同期を上回る水準となりました。電気銅の販売量は輸出の増加を主因に前年同期に比べ増加しました。また、銅鉱石の買鉱条件は前年同期に比べて悪化したものの、硫酸の販売価格は市況改善に伴い上昇しました。
電材加工事業については、各製品の販売量は、スマートフォン・サーバー向け等のIT分野での需要拡大を主因に、概ね前年同期を上回りました。
環境リサイクル事業については、リサイクル原料の集荷量は、金属価格の上昇によるスクラップ市況の回復を背景に、前年同期に比べ増加しました。
チタン事業については、金属チタン製品の販売量が国内販売を中心に前年同期に比べ増加したほか、機能化学品の販売が堅調に推移しました。
こうした状況のもと、金属事業の当第1四半期連結累計期間における売上高は前年同期比19.8%増の2,694億円、営業利益は211億円(前年同期は87億円)となりました。
その他
その他の事業の当第1四半期連結累計期間における売上高は前年同期比4.0%減の1,063億円、営業利益は89億円(前年同期は72億円)となりました。
建設事業については、公共投資は底堅く推移し、設備投資も緩やかに増加しているものの、労務需給や原材料価格等の動向に注意を要するなど、引き続き厳しい経営環境が続いています。こうした状況下、技術の優位性を活かした受注活動やアスファルト合材などの製品販売の強化に努めるとともに、コスト削減・業務効率化に努めています。
上記各セグメント別の売上高には、セグメント間の内部売上高133億円(前年同期は134億円)が含まれています。
(2)財政状態
①資産 当第1四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末比384億円減少の8兆4,192億円となりました。
②負債 当第1四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末比1,413億円減少の5兆3,963億円となりました。有利子負債残高は、前連結会計年度末比227億円減少の2兆2,372億円となりました。また、手元資金が前連結会計年度末比1,834億円減少したことにより、ネット有利子負債は1,607億円増加の1兆9,711億円となりました。
③資本 当第1四半期連結会計期間末における資本合計は、前連結会計年度末比1,029億円増加の3兆229億円となりました。
なお、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末比1.2ポイント上昇し31.2%、1株当たり親会社の所有者帰属持分は前連結会計年度末比32.52円増加の775.88円、ネットD/Eレシオ(ネット・デット・エクイティ・レシオ)は前連結会計年度末比0.03ポイント悪化し0.65倍(資本合計ベース)となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は2,573億円となり、期首に比べ1,799億円減少しました。当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果、資金は477億円減少しました(前年同期は1,983億円の増加)。これは、棚卸資産の増加額(1,814億円)、法人所得税の支払額(955億円)等の資金減少要因が、営業債権及びその他の債権の減少額(1,344億円)、減価償却費及び償却費(595億円)等の資金増加要因を上回ったことによるものです。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果、資金は397億円減少しました(前年同期は728億円の減少)。これは、主として製油所における石油精製設備の維持・更新のための投資及び石油・天然ガス開発事業への投資によるものです。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果、資金は921億円減少しました(前年同期は1,465億円の減少)。これは、長期借入金の返済及び社債の償還による支出(743億円)、配当金の支払(408億円)、自己株式の取得による支出(181億円)等の資金減少要因が、長期借入れによる収入(303億円)等の資金増加要因を上回ったことによるものです。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費は、4,362百万円です。