四半期報告書-第10期第2四半期(令和1年7月1日-令和1年9月30日)

【提出】
2019/11/13 10:48
【資料】
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【項目】
18項目
(1)経営成績
全般
当第2四半期連結累計期間(2019年4月1日~2019年9月30日)においては、米国と中国との貿易摩擦激化による景気減速の顕在化や英国のEU離脱を巡る混乱の影響は見られるものの、米国や欧州での雇用情勢と所得環境の安定による堅調な個人消費等に支えられ、世界経済は底堅く推移しました。
わが国経済については、輸出の弱さが長引いているものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復基調が継続しました。
同期間における原油価格(ドバイ原油)は、期初の1バーレル当たり68ドルから、OPECの協調減産進展やサウジアラビアの石油施設攻撃による供給リスクの高まりを受けて急騰する場面もありましたが、攻撃を受けた石油施設の早期復旧見通しや米中貿易摩擦による景気減速懸念などを背景に、期末には61ドル、期平均では前年同期比9ドル安の64ドルとなりました。
銅の国際価格(LME[ロンドン金属取引所]価格)は、期初の1ポンド当たり295セントから、米中貿易摩擦激化が懸念されたことにより下落傾向が続きました。期末は260セント、期平均では前年同期比24セント安の270セントとなりました。
円の対米ドル相場は、期初の111円から、米長期金利の低下と連動して緩やかに円高が進行し、期末は108円、期平均では前年同期比1円円高の109円となりました。
こうした状況のもと、当第2四半期連結累計期間の連結業績について、売上高は、原油価格の下落に伴う石油製品販売価格及び金属価格の下落等により、前年同期比6.8%減の5兆631億円となりました。また、営業利益は、前期の原油価格上昇に伴う在庫評価益が、当期は損失へ転じたこと、エネルギーセグメントにおける子会社株式売却益の反転等の影響により、1,309億円(前年同期は4,412億円)となりました。在庫影響(総平均法及び簿価切下げによる棚卸資産の評価が売上原価に与える影響)を除いた営業利益相当額は、1,702億円(前年同期は3,411億円)となりました。
金融収益と金融費用の純額130億円を差し引いた結果、税引前四半期利益は1,179億円(前年同期は4,241億円)となり、法人所得税費用352億円を差し引き、四半期利益は827億円(前年同期は3,012億円)となりました。
なお、四半期利益の内訳は、親会社の所有者に帰属する四半期利益が710億円、非支配持分に帰属する四半期利益が117億円となりました。
セグメント別の概況は、次のとおりです。
エネルギー
石油製品事業については、国内石油製品需要は、自動車の低燃費化など構造的な変化の影響等により減少しました。石油製品市況は国内、海外ともに総じて前年同期に比べ悪化しました。
石油化学製品事業については、パラキシレン、ベンゼンともに市況は前年同期に比べ悪化しました。
現在、統合シナジー(中期経営計画の最終年度である2019年度に1,000億円の収益改善)の早期達成・最大化に向け、製造、供給、購買等の各部門において合理化・効率化に取り組んでおり、当第2四半期連結累計期間において、546億円の収益改善を実現しました。
こうした状況のもと、エネルギー事業の当第2四半期連結累計期間における売上高は前年同期比7.9%減の4兆2,804億円、営業利益は492億円(前年同期は3,437億円)となり、原油価格の下落を主因とする在庫影響による会計上の損失が381億円(前年同期は996億円の利益)発生したことから、在庫影響を除いた営業利益相当額は873億円(前年同期は2,441億円)となりました。
石油・天然ガス開発
原油及び天然ガスの生産量については、新規に生産を開始したプロジェクトの貢献があったものの、その他の油田・ガス田の自然減退などの影響により、前年同期に比べ減少しました。また、原油及び天然ガスの販売価格は、原油市況を反映し前年同期に比べ下落しました。
開発・生産事業については、2019年6月に、JX石油開発株式会社が100%出資する英国法人 JX Nippon Exploration & Production (U.K.) Limitedが権益を保有する英国北海のカリーンガス田において、天然ガスの生産を開始しました。また、同年8月に、同社が権益を保有する英国北海のマリナー油田において、原油の生産を開始しました。
こうした状況のもと、石油・天然ガス開発事業の当第2四半期連結累計期間における売上高は前年同期比16.5%減の591億円、営業利益は248億円(前年同期は356億円)となりました。
金属
資源開発事業については、チリのカセロネス銅鉱山における生産量は前年同期に比べて増加しました。また、同鉱山においては、引き続き生産性の向上とコスト削減に取り組んでいます。
銅製錬事業については、銅鉱石の買鉱条件は前年同期に比べて悪化したものの、硫酸の販売価格は上昇しました。
電材加工事業については、スマートフォン関連需要の調整を主因として、多くの製品において販売量が低調に推移しました。
環境リサイクル事業については、リサイクル原料の集荷量は、スクラップ市況の回復を背景に、前年同期に比べ増加しました。
チタン事業については、金属チタン製品は概ね堅調に推移したものの、機能化学品のうち電子部品材料の販売量については、スマートフォン関連需要減少等を背景に、前年同期を下回りました。
こうした状況のもと、金属事業の当第2四半期連結累計期間における売上高は前年同期比3.6%減の4,991億円、営業利益は352億円(前年同期は406億円)となりました。
その他
その他の事業の当第2四半期連結累計期間における売上高は前年同期比13.3%増の2,511億円、営業利益は169億円(前年同期は179億円)となりました。
建設事業については、設備投資は緩やかな増加傾向にあり、公共投資も底堅さが増していますが、労務費や原材料価格の上昇などの影響もあり、厳しい経営環境が続いています。こうした状況のもと、技術の優位性を活かした受注活動やアスファルト合材などの製品販売の強化に努めるとともに、コスト削減・業務効率化に努めています。
上記各セグメント別の売上高には、セグメント間の内部売上高266億円(前年同期は259億円)が含まれています。
(2)財政状態
①資産 当第2四半期連結会計期間末における資産合計は、前期末日の休日影響がなくなったことによる営業債権の減少があったものの、一方で、IFRS第16号「リース」の適用による有形固定資産に含まれる使用権資産の増加等もあり、前連結会計年度末比153億円増加の8兆4,931億円となりました。
②負債 当第2四半期連結会計期間末における負債合計は、資産と同様に、前期末日の休日影響がなくなったことによる営業債務の減少があったものの、一方で、IFRS第16号「リース」の適用によるリース負債の増加を主要因として前連結会計年度末比921億円増加の5兆4,501億円となりました。有利子負債残高は、前連結会計年度末比1,100億円増加の2兆3,280億円となり、また、手元資金を控除したネット有利子負債は1,480億円増加の1兆9,781億円となりました。
③資本 当第2四半期連結会計期間末における資本合計は、配当金の支払及び自己株式の取得等で前連結会計年度末比768億円減少の3兆431億円となりました。
なお、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末比0.9ポイント悪化し31.2%、1株当たり親会社の所有者帰属持分は前連結会計年度末比6.88円増加の823.27円、ネットD/Eレシオ(ネット・デット・エクイティ・レシオ)は前連結会計年度末比0.06ポイント悪化し0.65倍となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は3,413億円となり、期首に比べ377億円減少しました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、次のとおりです。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果、資金は1,702億円増加しました(前年同期は233億円の減少)。これは、税引前四半期利益や減価償却費(IFRS第16号「リース」の適用による増加額を含む)等の資金増加要因によるものです。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果、資金は1,866億円減少しました(前年同期は1,355億円の減少)。これは、主として再生可能エネルギー事業への投資や、製油所における石油精製設備の維持・更新のための投資、石油・天然ガス開発事業への投資によるものです。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果、資金は141億円減少しました(前年同期は1,612億円の増加)。これは、短期借入金の増加等による資金増加要因を、長期借入金の返済による支出、自己株式の取得、配当金の支払による支出及びリース負債の返済(IFRS第16号「リース」の適用による増加額を含む)等の資金減少要因が上回ったことによるものです。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費は、10,051百万円です。