四半期報告書-第12期第1四半期(令和3年4月1日-令和3年6月30日)

【提出】
2021/08/13 14:43
【資料】
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【項目】
40項目
(1)経営成績
[全般]
当第1四半期連結累計期間(2021年4月1日~2021年6月30日)においては、新型コロナウイルスのワクチン接種の進展等を背景に、経済活動の正常化が進んだことで世界経済は回復のペースを速めました。
わが国経済については、4月に3回目となる緊急事態宣言が発出され、対象地域の拡大・期限の延長により、依然として厳しい状況が続きました。世界経済の回復を受けて輸出は増加しましたが、インバウンド需要は引き続き低迷しています。
同期間における原油価格(ドバイ原油)は、期初は1バーレル当たり62ドルから始まり、期末には73ドル、期平均では前年同期比36ドル高の67ドルとなりました。3月までに大きく回復してきた原油価格は、新型コロナウイルスのワクチン接種進展による景気回復期待を受け、6月には70ドル台へ乗せました。その後も、米国での活動制限の大幅緩和、OPECプラスによる協調減産の縮小合意が進展しなかったこと等を受け、依然として高水準で推移しています。
銅の国際価格(LME[ロンドン金属取引所]価格)は、期初は1ポンド当たり398セントから始まり、期末には426セント、期平均では前年同期比198セント高の440セントとなりました。各国経済対策による景気回復や中国の銅需要への拡大期待等から、5月には10年ぶりに過去最高値を更新(486セント)しました。その後は中国による国家備蓄放出等の価格抑制策が懸念され、6月には反落しました。
円の対米ドル相場は、期平均では前年同期比1円円安の109円となりました。
こうした状況のもと、当第1四半期連結累計期間の連結業績は、売上高は、原油価格の上昇に伴う石油製品販売価格の上昇、金属価格の上昇等により、前年同期比43.8%増の2兆2,241億円となりました。また、営業利益は、原油価格上昇による在庫影響等により、1,620億円(前年同期は210億円)となりました。在庫影響(総平均法及び簿価切下げによる棚卸資産の評価が売上原価に与える影響)を除いた営業利益相当額は、745億円(前年同期は832億円)となりました。
金融収益と金融費用の純額48億円を差し引いた結果、税引前四半期利益は1,572億円(前年同期は146億円)となり、法人所得税費用470億円を差し引き、四半期利益は1,102億円(前年同期は35億円)となりました。
なお、四半期利益の内訳は、親会社の所有者に帰属する四半期利益が976億円、非支配持分に帰属する四半期利益が126億円となりました。
セグメント別の概況は、次のとおりです。
[エネルギー]
エネルギー事業については、新型コロナウイルス感染症の影響緩和等により、石油、石油化学製品需要の回復傾向が見られたものの、自動車の低燃費化に代表される構造的な需要の減少等により、販売数量は、前年同期に比べ国内向けは0.3%増、輸出は7.5%減となりました。
こうした状況のもと、エネルギー事業の当第1四半期連結累計期間における売上高は、原油価格の上昇等により、前年同期比48.0%増の1兆7,695億円となりました。営業利益は950億円(前年同期は184億円の損失)となりました。これには原油価格の上昇を主因とする在庫影響による会計上の利益が875億円(前年同期は622億円の損失)含まれており、在庫影響を除いた営業利益相当額は、75億円(前年同期は438億円)となりました。
[石油・天然ガス開発]
原油及び天然ガスの生産量については、自然減退等による減少があったものの、既存プロジェクトの追加開発からの生産貢献等もあり、前年同期に比べ増加しました。また、原油及び天然ガスの販売価格は、原油市況を反映し前年同期に比べ上昇しました。
こうした状況のもと、石油・天然ガス開発事業の当第1四半期連結累計期間における売上高は前年同期比82.8%増の415億円、営業利益は153億円(前年同期は7億円)となりました。
[金属]
機能材料・薄膜材料事業については、各製品の販売量は、スマートフォン、サーバー、通信インフラ等高機能IT分野での需要の増加を主因に、概ね前年同期を上回りました。
資源事業については、チリのカセロネス銅鉱山における生産量は、前年同期に比べて減少したものの、銅価の上昇を主因として増益となりました。なお、同鉱山においては、引き続き生産性の向上とコスト削減に取り組んでいます。
製錬・リサイクル事業については、銅鉱石の買鉱条件悪化があったものの、金属価格の上昇及び硫酸国際市況の改善を主因として増益となりました。
こうした状況のもと、金属事業の当第1四半期連結累計期間における売上高は前年同期比40.2%増の3,107億円、営業利益は408億円(前年同期は192億円)となりました。
[その他]
建設事業については、公共投資が底堅く推移し、民間設備投資も持ち直しの動きが見られたものの、労働需給や原材料価格等の動向に引き続き注意を要する等、依然として厳しい経営環境が続いており、技術の優位性を活かした受注活動やアスファルト合材等の製品販売を強化するとともに、コスト削減・業務効率化に努めました。
こうした状況のもと、その他の事業の当第1四半期連結累計期間における売上高は前年同期比4.0%減の1,129億円、営業利益は99億円(前年同期は162億円)となりました。
上記各セグメント別の売上高には、セグメント間の内部売上高が合計105億円(前年同期は116億円)含まれています。
(2)財政状態
①資産 当第1四半期連結会計期間末における資産合計は、資源価格上昇による棚卸資産の増加等により、前連結会計年度末比2,821億円増加の8兆3,409億円となりました。
②負債 当第1四半期連結会計期間末における負債合計は、棚卸資産の増加に伴う運転資金の増加等により、前連結会計年度末比2,009億円増加の5兆5,072億円となりました。有利子負債残高は、前連結会計年度末比3,248億円増加の2兆3,617億円となり、また、手元資金を控除したネット有利子負債は3,152億円増加の1兆9,331億円となりました。
③資本 当第1四半期連結会計期間末における資本合計は、配当金の支払があったものの、四半期利益の計上等により、前連結会計年度末比811億円増加の2兆8,337億円となりました。
なお、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末比0.1ポイント減少し28.8%、1株当たり親会社の所有者帰属持分は前連結会計年度末比23.12円増加の747.30円、ネットD/Eレシオ(ネット・デット・エクイティ・レシオ)は前連結会計年度末比0.09ポイント悪化し、0.68倍となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は4,227億円となり、期首に比べ104億円増加しました。当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、次のとおりです。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果、資金は1,400億円減少しました(前年同期は1,888億円の増加)。これは、税引前四半期利益や減価償却費等の資金増加要因があったものの、前連結会計年度分の揮発油税等の支払いが当第1四半期連結累計期間にずれ込んだことに加え、資源価格上昇による運転資金の増加や法人所得税の支払等の資金減少要因が上回ったことによるものです。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果、資金は1,157億円減少しました(前年同期は820億円の減少)。これは、主としてLNG火力発電所の建設や製油所における石油精製設備の維持・更新のための投資によるものです。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果、資金は2,639億円増加しました(前年同期は357億円の減少)。これは、配当金の支払等の資金減少要因があったものの、ハイブリッド社債の発行等の資金増加要因が上回ったことによるものです。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費は、5,900百万円です。