有価証券報告書-第9期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/26 14:15
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度の連結業績は、売上高は前年同期比8.0%増の11兆1,296億円、営業利益は5,371億円(前年同期は4,875億円)、親会社の所有者に帰属する当期利益は3,223億円(前年同期は3,619億円)、ROEは12.3%となりました。なお、在庫影響(総平均法及び簿価切下げによる棚卸資産の評価が売上原価に与える影響)を除いた場合の営業利益相当額は5,157億円(前年同期は3,726億円)となりました。
当社グループの経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりです。
当連結会計年度における世界経済は、米中貿易摩擦等の影響により中国において減速し、欧州も下振れしたものの、好調な米国経済に下支えされ、引き続き緩やかに成長しました。
アジアの指標原油価格であるドバイ原油の価格は、OPEC及び一部の非OPEC産油国による原油増産の見送り、米国のイラン制裁による原油供給量の減少懸念等を背景に、期初の1バーレル当たり67ドルから、10月には84ドルまで上昇しました。その後、米国によるイラン制裁の一部緩和、OPECの減産方針に対する米国大統領の牽制発言等に起因して50ドルを割る水準まで下落したものの、OPEC及び一部の非OPEC産油国による協調減産が実行されたことなどから再び上昇に転じ、当連結会計年度末時点では1バーレル当たり67ドルとなりました。
銅の国際指標価格であるLME(ロンドン金属取引所)銅価格は、期初は1トン当たり6,756ドル(1ポンド当たり306セント)でしたが、世界最大の銅鉱山におけるストライキが懸念されたことにより、6月には7,263ドル(329セント)まで上昇しました。その後、ストライキ懸念の収束、米中間の通商摩擦拡大による景気減速懸念等を背景に急落し、6,000ドル(272セント)前後で推移しましたが、2019年1月以降、米中摩擦緩和への期待感等から上昇に転じ、当連結会計年度末時点では1トン当たり6,485ドル(1ポンド当たり294セント)となりました。
日本経済は、民間設備投資の増加に加え、雇用・所得環境の改善に伴う個人消費の持ち直しにより、緩やかに回復しました。一方、国内の石油製品需要については、低燃費車の普及を主因とするガソリンの減少、冬場の気温が前期に比べて高めに推移したことに伴う灯油の減少等により、前連結会計年度を下回りました。
0102010_006.png(注)上図内の原油代、銅価、為替レートは期平均値です
セグメント別の概況は、次のとおりです。
エネルギー事業(JXTGエネルギーグループ)
将来にわたり国内燃料油需要の減少が続く一方、海外では石油製品・石油化学製品の需要増が見込まれます。このような事業環境を踏まえ、エネルギー事業においては、国内安定供給の責務を果たしつつ、海外での熾烈な競争に打ち勝つべく、コア事業の競争力強化と次世代の柱となる事業の育成・拡大に努めました。
●コア事業の競争力強化
石油精製販売・化学品事業については、統合シナジー(第1次中期経営計画の最終年度である2019年度に1,000億円の収益改善)の早期実現・最大化に向け、製造、供給、購買等の各部門において徹底的な合理化・効率化に引き続き取り組みました。その結果、当期において787億円の収益改善を実現しました。
また、生産面では、水島製油所における石油コークス発電設備の稼働、川崎製油所と川崎製造所との2019年4月1日付統合等、さらなる競争力強化及び安全・安定操業の徹底を図りました。一方、販売面では、お客様の利便性を一層向上させるため、サービスステーション(SS)の「ENEOS」ブランドへの統一を進めるとともに、新たなセルフSSブランド「EneJet」を展開しました。加えて、国内最大のSSネットワークを活かした新サービスの可能性を追求する一環として、カーシェアリングサービス及びコインランドリー併設事業のトライアルを開始しました。
化学品事業では、アジアを中心に需要が伸長したものの、競合他社の新設装置稼働に伴い競争が激化しました。このような厳しい環境下、世界最大級の供給能力を有するパラキシレンをはじめ、各製品の販売面を中心に収益力強化に努めました。
●次世代の柱となる事業の育成・拡大
電気事業については、「ENEOSでんき」及び「myでんき」の拡販に努めた結果、当連結会計年度末時点での契約件数が合計約51万件となりました。また、電力の供給源を確保するため、2019年3月に株式会社JERAとの合弁会社を設立し、千葉県市原市において、環境負荷が小さいLNGを燃料とする発電所の建設計画を進めています。
ガス事業については、2019年2月から「ENEOS都市ガス」のブランド名で家庭向け都市ガス小売事業を開始しました。早期に10万件の契約を獲得することを目指し、シンプルで分かりやすく、かつ、お客様にメリットを感じていただけるような料金メニューを設定するとともに、「ENEOSでんき」とのセット割引特典を用意し、家庭向け電気小売事業との相乗効果による拡販を図りました。
水素事業については、中国国内及び第三国における事業展開を企図し、中国石油化工集団有限公司との間で協業の検討を開始しました。また、国内においては、2019年3月に41か所目となる千葉幕張水素ステーションを開所したことに加え、株式会社JERA(プレスリリース時:東京電力フュエル&パワー株式会社)とともに、2020年度初めの営業開始を目標として、東京大井地区における大規模な水素ステーションの建設計画に着手しました。
再生可能エネルギー事業については、事業を機動的に展開するための専門組織を設置したほか、世界的に開発余地の大きい洋上風力発電事業の知見を得るため、台湾最大の洋上風力発電事業への参画を決定しました。
技術立脚型事業については、世界各地で展開している潤滑油事業及び機能材事業の拡大・収益力強化に取り組み、海外事業については、経済成長が続くアジアの需要を獲得するべく、戦略的パートナーであるVietnam National Petroleum Group社との間で、麻里布製油所における共同事業に関する検討を進めました。
●事業ポートフォリオの最適化
当社グループの培地事業を担ってきたIrvine Scientific Sales社及び株式会社アイエスジャパンについては、コア事業及び次世代の柱となる事業に経営資源を集中するため、その発行済株式の全部を売却しました。
(エネルギー事業の業績) こうした状況のもと、エネルギー事業の売上高は前年同期比9.0%増の9兆4,813億円、営業利益は3,754億円(前年同期は4,166億円)となりました。在庫影響を除いた営業利益相当額は、石油製品における販売数量減及び石化製品におけるマージン悪化等の減益要因はあったものの、統合シナジーの積み上げ、培地事業売却益等により前年同期比505億円増の3,541億円(前年同期は3,036億円)となりました。
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石油・天然ガス開発事業(JX石油開発グループ)
●石油・天然ガスの生産量
当連結会計年度においては、マレーシアのベリルガス田において生産を開始し、また、2017年11月に生産を開始したアラブ首長国連邦のヘイル油田が年間を通じて生産量の増加に寄与したものの、選択と集中の方針の下で2018年2月にカナダのシンクルード・オイルサンド・プロジェクトの全保有権益を売却したこと、同時期にパプアニューギニアで発生した地震の影響等により、石油・天然ガスの生産量は、前連結会計年度を下回る日量10万5千バーレルとなりました。
●生産拡大に向けた取り組み
マレーシアにおいては、2018年9月、SK10鉱区内のベリルガス田で天然ガスの商業生産を開始しました。同ガス田から生産された天然ガスは、同じ鉱区内に位置するヘランガス田及びラヤン油ガス田から生産された天然ガスとともに、JXTGエネルギー株式会社が出資するMalaysia LNG Tiga社のプラントで液化された後、日本、中国等の需要家に販売されています。また、ラヤン油ガス田では、2020年中の原油生産開始を目指して開発を進めています。
英国北海においては、2019年中の商業生産開始に向けて、カリーンガス田及びマリナー油田で生産関連設備を建設中です。
このほか、2018年4月、オーストラリアにブリスベン事務所を開設し、今後も安定的なキャッシュ・フローの創出が見込まれるパプアニューギニアにおける油ガス田事業の推進体制を強化しました。
●CO2-EOR技術の活用
CO2-EOR技術は、老朽化した油田にCO2を圧入することにより、CO2削減と原油回収率向上に寄与する技術です。米国におけるCO2-EORプロジェクトでは、火力発電所の石炭燃焼排ガスから回収したCO2を活用しており、2018年12月末にはCO2回収量が累計200万トンを超えました。また、2018年10月、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構とともに、インドネシアの国営石油会社であるPertamina社との間で、CO2-EOR技術の活用を含む上流事業全般の共同事業検討に関する覚書を締結しました。
(石油・天然ガス開発事業の業績) こうした状況のもと、石油・天然ガス開発事業の売上高は、前年同期比4.2%減の1,492億円、営業利益は、期末資産評価による一過性の損失や権益売却等による数量減はあるものの、油価上昇影響や数量減に伴う操業費等の減少によりほぼ前年同期並みの378億円(前年同期は376億円)となりました。
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金属事業(JX金属グループ)
●銅の資源開発事業及び製錬事業の取り組み
チリのカセロネス・プロジェクトについては、2018年5月、プロジェクトをより機動的かつ一元的に管理する専門組織を設置し、操業の安定化、生産性向上及びコスト管理に一層注力しました。その結果、当期は操業成績が大きく改善するとともに、大幅なコスト削減を実現しました。また、チリのロス・ぺランブレス鉱山において、設備増強計画の実行を決定し、建設工事を開始しました。
また、製錬事業については、各製錬所において効率化・コスト削減施策に取り組み、さらなる競争力強化に努めました。
●電材加工事業の取り組み
電材加工事業については、IT関連分野での需要増を背景に、主力製品であるスパッタリングターゲット及び圧延銅箔の販売が堅調に推移しました。足元ではスマートフォン市場の成長鈍化が見られるものの、中長期的にはIoT・AI社会の進展に伴う需要拡大が見込まれることから、スパッタリングターゲット、圧延銅箔及び高機能銅合金条の製造設備増強を決定し、2020年度までには生産能力をそれぞれ約30%増強(2017年度比)します。
●環境リサイクル事業の取り組み
環境リサイクル事業については、廃リチウムイオン電池のリサイクルの事業化に向けた技術開発を進めるとともに、他社との協業も含め、国内外におけるビジネスモデル構築のための検討を開始しました。これらの取り組みは、循環型社会の形成に資するものです。
●チタン事業の取り組み
チタン事業については、航空機向けを中心に金属チタンの販売が増加したことに加えて、触媒や電子部品材料といった機能化学品の販売も総じて堅調に推移しました。
●技術立脚型事業の推進に向けた取り組み
2018年7月、タンタル・ニオブ製品(高純度金属粉)の開発・製造・販売を行うH.C. Starck Tantalum and Niobium社(ドイツ法人)の全株式取得を完了し、経営管理体制の早期移行を進めました。
また、2018年6月、国立大学法人東北大学発のベンチャー企業である株式会社マテリアル・コンセプトの株式の一部を取得し、銅ペースト事業に参画しました。同社は、電子機器の配線及び電極を形成する銅ペーストの高い製造技術を有しており、2018年8月、国立研究開発法人科学技術振興機構主催の「大学発ベンチャー表彰2018」において、文部科学大臣賞を受賞しました。さらに、2018年9月には、電子材料分野における次世代配線材料をはじめとする研究開発及び人材育成を共同で推進するべく、国立大学法人東北大学との間で組織的連携協力協定を締結しました。
(金属事業の業績)
こうした状況のもと、金属事業の売上高は、前年同期比7.6%増の1兆418億円、営業利益は682億円(前年同期は603億円の損失)となりました。在庫影響を除いた営業利益相当額は銅価下落影響はあったものの、カセロネスの生産量増や、前年同期に計上したカセロネス減損の反転等により、前年同期比1,303億円増益の681億円(前年同期は622億円の損失)となりました。
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その他の事業
その他の事業の売上高は前年同期比3.0%減の5,276億円、営業利益は424億円(前年同期は426億円)となりました。
●株式会社NIPPO
株式会社NIPPOは、舗装、土木及び建築の各工事並びにアスファルト合材の製造・販売を主要な事業内容としています。当連結会計年度は、民間設備投資が増加したものの、公共投資の弱含み、労務費や原材料価格の上昇等により、引き続き厳しい経営環境が続きました。このような状況下、同社は、強みである技術力を背景に、工事の受注獲得に尽力するとともに、一層のコスト削減・効率化に取り組み、収益確保に努めました。
なお、同社は、東京都等が発注する舗装工事に関して実施された入札における独占禁止法違反により、公正取引委員会から排除措置命令及び課徴金納付命令を受けました。これを受け、2018年6月7日、国土交通省から建設業法に基づき営業停止処分(2018年6月22日から2018年7月21日までの30日間)を受けました。
同社では、再発防止に向けて、各種社内規程、マニュアル等を見直し、その内容を営業担当者に周知徹底することに加えて、内部監査部門、法務部門及び弁護士によるモニタリングを継続的かつ計画的に実行するなど、独占禁止法の遵守に取り組んでいます。当社といたしましても、引き続き同社を指導してまいります。
●JXエンジニアリング株式会社及び新興プランテック株式会社の経営統合
2018年12月、JXエンジニアリング株式会社は、2019年7月1日付で新興プランテック株式会社と経営統合することに合意しました。統合により誕生する新会社「レイズネクスト株式会社」は、両社の強みを組み合わせることにより、高度なエンジニアリング力を有するプラントメンテナンスの国内におけるリーディングカンパニーとなることを目指します。
上記各セグメント別の売上高には、セグメント間の内部売上高704億円(前年同期は671億円)が含まれています。
(2)生産、受注及び販売の実績
ア.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
エネルギー6,281,467115.4
石油・天然ガス開発148,93995.8
金属875,783106.4
その他112,30397.5
合計7,418,492113.5

(注)1.上記の金額は、各セグメントに属する製造会社の製品生産金額の総計(セグメント間の内部振替前)を記載しています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
イ.受注実績
当社グループでは主要製品について受注生産を行っていません。
ウ.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
エネルギー9,475,637109.0
石油・天然ガス開発149,24395.8
金属1,039,312107.6
その他465,43896.1
合計11,129,630108.0

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(3)財政状態及びキャッシュ・フローの概況
①流動性と資金の源泉
当社は、効率的で安定的な資金の確保と、事業活動のための流動性の維持を、財務活動の取り組みとして重視しています。効率的な調達に向けて、コマーシャル・ペーパーや社債等の直接金融と、金融機関からの借入等の間接金融を、機動的に選択しています。
当社は安定的な資金の確保に向けて、直接金融市場への継続的なアクセスを図るとともに、間接金融についても原油備蓄資金のための制度融資なども活用しており、政府系金融機関及び市中金融機関と幅広く関係を維持し、調達ソースの多様化を図って十分な流動性を確保しています。
また、金融市場の環境変化にも対応できる流動性を維持するために、現金及び現金同等物を確保する他、取引金融機関と特定融資枠契約(コミットメントライン契約)を締結しています。当該契約の極度額は当連結会計年度末では4,500億円であり、また同契約に係る借入残高はありません。
連結における資金管理では、当社を中心に集中して資金調達を行い、国内外の金融子会社を通じてグループ各社に資金を配分するというグループファイナンス制度を設けています。その運営においてキャッシュマネジメントシステムを活用しており、流動性資金の一元管理及び効率化を実現しています。
当社は、資金調達とグローバルなビジネスを円滑に行うため、格付投資情報センター(R&I)、日本格付研究所(JCR)、ムーディーズ・ジャパン(ムーディーズ)の3社から格付けを取得しています。3社の2019年5月時点の当社に対する格付け(長期/短期)は、R&IがA+(見通し安定的)/a-1、JCRがA+(見通しポジティブ)/A-1、ムーディーズがBaa2(見通し安定的)/(短期は取得無し)となっています。
②連結財政状態計算書
ア.資産 当連結会計年度末における資産合計は、油価上昇による棚卸資産の増加及び未収法人所得税、有形固定資産、無形資産等の増加が売掛金及びその他の金融資産(株式等)等の減少を上回り、前連結会計年度末比202億円増加の8兆4,778億円となりました。
イ.負債 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末比1,796億円減少の5兆3,580億円となりました。このうち有利子負債残高は、前連結会計年度末比419億円減少の2兆2,180億円となり、また、手元資金を控除したネット有利子負債は、前連結会計年度末比197億円増加の1兆8,301億円となりました。有利子負債除きの負債残高は、買掛金、未払法人所得税、未払揮発油税及び軽油税、その他の流動負債等の減少により前連結会計年度末比1,377億円減少の3兆1,400億円となりました。
ウ.資本 当連結会計年度末における資本合計は、利益増による資本の積み上がりにより前連結会計年度末比1,998億円増加の3兆1,198億円となりました。
なお、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末比2.1ポイント上昇し32.1%、1株当たり親会社所有者帰属持分は前連結会計年度末比73.03円増加の816.39円、ネットD/Eレシオ(ネット・デット・エクイティ・レシオ)は前連結会計年度末比0.03ポイント改善し、0.59倍(資本合計ベース)となりました。
③連結キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は3,789億円となり、期首に比べ582億円減少しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
法人税等の支払及び油価上昇による運転資金の増加があったものの、税引前利益、減価償却費等により、営業活動によるキャッシュ・フローは3,442億円プラスになりました。
エネルギーセグメントにおける子会社株式(Irvine Scientific Sales Company, Inc. 及び株式会社アイエスジャパン)の売却及び不動産売却等の収入があったものの、製油所における石油精製設備の維持・更新のための投資及び石油・天然ガス開発事業への投資により、投資活動によるキャッシュ・フローは2,069億円マイナスになりました。
上記の結果、フリー・キャッシュ・フローは1,373億円プラスとなりました。
コマーシャル・ペーパーの増加、長期借入れによる収入等があったものの、長期借入金の返済及び社債の償還による支出、配当金の支払、自己株式の取得による支出等により、財務活動によるキャッシュ・フローは1,967億円マイナスになりました。
0102010_010.png(4)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表はIFRSに準拠して作成しています。当社は「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たすことから、同規則第93条の規定を適用しています。
重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記3、4」を参照してください。
また、IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異は以下のとおりです。なお、当該差異については、当社グループは日本基準に基づく連結財務諸表を作成していないため、概算額で記載しています。
ア.連結の範囲
IFRSに準拠して連結の範囲を検討した結果、IFRSと日本基準における連結の範囲が相違しています。
主な相違として日本基準で連結の範囲に含まれない子会社等がIFRSの範囲には含まれますが、この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当連結会計年度において当期利益は53億円(前年同期は59億円)増加しています。
イ.バーター取引
日本基準において売上高に計上している取引のうち、IFRSでは販売された物品が同様の性質及び価値をもつ物品と交換されている部分については、収益を生み出す取引とはみなされず、売上高と売上原価を相殺しています。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当連結会計年度において売上高並びに売上原価は1兆2,535億円(前年同期は1兆3,039億円)減少しています。
ウ.大規模修繕費
日本基準においては、将来の大規模定期修繕に伴う支出に備えて修繕引当金を計上し、実際に修繕した時点で引当金を充当しています。IFRSでは、(a)当該修繕引当金は引当金の要件を満たさないため取崩すとともに、(b)修繕した時点で支出を資産計上し、その後当該資産について減価償却を行っています。
(a)の影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当連結会計年度において引当金は933億円(前年同期は874億円)減少し、(b)の影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当連結会計年度において有形固定資産は862億円(前年同期は822億円)増加しています。また、(a)及び(b)の影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当連結会計年度において当期利益は43億円(前年同期は45億円)増加しています。
エ.のれん償却費
日本基準において、のれんは、その効果が継続すると見込まれる期間を見積り、その年数で償却することとしていますが、IFRSでは、のれんの償却を行っていません。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当連結会計年度において販売費及び一般管理費は91億円減少しています。
オ.非上場株式の公正価値評価
日本基準において取得原価で評価を行っている非上場株式について、IFRSでは、公正価値で評価を行っています。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当連結会計年度においてその他の金融資産は845億円(前年同期は972億円)増加しています。