四半期報告書-第10期第3四半期(令和1年10月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/02/14 10:00
【資料】
PDFをみる
【項目】
18項目
(1)経営成績
全般
当第3四半期連結累計期間(2019年4月1日~2019年12月31日)においては、米国と中国との貿易協議の動向や英国のEU離脱を巡る混乱の影響は見られるものの、米国や欧州での雇用情勢と所得環境の安定による堅調な個人消費等に支えられ、世界経済は底堅く推移しました。
わが国経済については、輸出は製造業を中心に弱さが長引いているものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復基調が継続しました。
同期間における原油価格(ドバイ原油)は、OPECの協調減産進展や中東での石油施設攻撃による供給リスクの高まりを受けて一時的に急騰する場面もありましたが、米中貿易協議の動向による景気減速懸念などを背景に、期平均では前年同期比7ドル安の64ドルとなりました。
銅の国際価格(LME[ロンドン金属取引所]価格)は、米中貿易協議の動向や中国景気の減速懸念から低調に推移しました。第3四半期はチリ騒乱の影響により資源大手企業が銅生産見通しを下方修正するなど需給の引き締まりが意識されたものの、期平均では前年同期比20セント安の269セントとなりました。
円の対米ドル相場は、期初の111円から、米長期金利の低下と連動して緩やかに円高が進行し、期末は110円、期平均では前年同期比2円円高の109円となりました。
こうした状況のもと、当第3四半期連結累計期間の連結業績について、売上高は、原油価格の下落に伴う石油製品販売価格及び金属価格の下落等により、前年同期比8.7%減の7兆6,072億円となりました。また、営業利益は、前期の原油価格上昇に伴う在庫評価益が当期は損失へ転じたこと、エネルギーセグメントにおける子会社株式売却益の反転等の影響により、2,214億円(前年同期は4,593億円)となりました。在庫影響(総平均法及び簿価切下げによる棚卸資産の評価が売上原価に与える影響)を除いた営業利益相当額は、2,722億円(前年同期は4,400億円)となりました。
金融収益と金融費用の純額187億円を差し引いた結果、税引前四半期利益は2,027億円(前年同期は4,355億円)となり、法人所得税費用573億円を差し引き、四半期利益は1,454億円(前年同期は3,018億円)となりました。
なお、四半期利益の内訳は、親会社の所有者に帰属する四半期利益が1,246億円、非支配持分に帰属する四半期利益が209億円となりました。
セグメント別の概況は、次のとおりです。
エネルギー
石油製品事業については、国内石油製品需要は、自動車の低燃費化など構造的な変化の影響等により減少しました。石油製品市況は国内、海外ともに概ね前年同期並みに推移しました。
石油化学製品事業については、パラキシレン、ベンゼンともに市況は前年同期に比べ悪化しました。
現在、統合シナジー(中期経営計画の最終年度である2019年度に1,000億円の収益改善)の達成・最大化に向け、製造、供給、購買等の各部門において合理化・効率化に取り組んでおり、当第3四半期連結累計期間において、894億円の収益改善を実現しました。
こうした状況のもと、エネルギー事業の当第3四半期連結累計期間における売上高は前年同期比9.9%減の6兆4,279億円、営業利益は1,016億円(前年同期は3,006億円)となり、原油価格の下落を主因とする在庫影響による会計上の損失が488億円(前年同期は186億円の利益)発生したことから、在庫影響を除いた営業利益相当額は1,504億円(前年同期は2,820億円)となりました。
石油・天然ガス開発
原油及び天然ガスの生産量については、新規に生産を開始したプロジェクトの貢献があったものの、その他の油田・ガス田の自然減退などの影響により、前年同期に比べ減少しました。また、原油及び天然ガスの販売価格は、原油市況を反映し前年同期に比べ下落しました。
開発・生産事業については、2019年6月に、JX石油開発株式会社が100%出資する英国法人 JX Nippon Exploration & Production (U.K.) Limitedが権益を保有する英国北海のカリーンガス田において、天然ガスの生産を開始しました。また、同年8月に、同社が権益を保有する英国北海のマリナー油田において、原油の生産を開始しました。さらに、同年12月に、JXマレーシア石油開発株式会社が権益を保有するラヤン油ガス田において、原油の生産を開始しました。
こうした状況のもと、石油・天然ガス開発事業の当第3四半期連結累計期間における売上高は前年同期比14.1%減の982億円、営業利益は401億円(前年同期は580億円)となりました。
金属
資源開発事業については、チリのカセロネス銅鉱山における生産量は前年同期に比べて増加しました。また、同鉱山においては、引き続き生産性の向上とコスト削減に取り組んでいます。
銅製錬事業については、銅鉱石の買鉱条件は悪化したものの、硫酸の販売価格は前年同期の水準を上回り、増益となりました。
電材加工事業については、スマートフォン関連需要の調整を主因として、多くの製品において販売量が低調に推移しました。
環境リサイクル事業については、リサイクル原料の集荷量は、スクラップ市況の回復を背景に、前年同期に比べ増加しました。
チタン事業については、金属チタン製品は概ね堅調に推移したものの、機能化学品は電子部品向け材料の販売量が、スマートフォン関連需要減少等を背景に、前年同期を下回りました。
こうした状況のもと、金属事業の当第3四半期連結累計期間における売上高は前年同期比2.8%減の7,485億円、営業利益は484億円(前年同期は598億円)となりました。
その他
その他の事業の当第3四半期連結累計期間における売上高は、前年同期比4.2%増の3,714億円、営業利益は281億円(前年同期は314億円)となりました。
建設事業については、公共投資が堅調に推移し、民間設備投資も緩やかな増加傾向にありますが、労働需給や原材料価格等の動向に注意を要するなど、依然として厳しい経営環境が続いています。こうした状況のもと、技術の優位性を活かした受注活動やアスファルト合材などの製品販売の強化に努めるとともに、コスト削減・業務効率化に努めています。
上記各セグメント別の売上高には、セグメント間の内部売上高388億円(前年同期は443億円)が含まれています。
(2)財政状態
①資産 当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、IFRS第16号「リース」の適用に伴う使用権資産の増加を主要因として、前連結会計年度末比3,943億円増加の8兆8,721億円となりました。なお、当該使用権資産は要約四半期連結財政状態計算書上の有形固定資産に含めています。
②負債 当第3四半期連結会計期間末における負債合計は、IFRS第16号「リース」の適用に伴うリース負債の増加を主要因として、前連結会計年度末比4,266億円増加の5兆7,846億円となりました。有利子負債残高は、前連結会計年度末比1,655億円増加の2兆3,835億円となり、また、手元資金を控除したネット有利子負債は1,799億円増加の2兆100億円となりました。
③資本 当第3四半期連結会計期間末における資本合計は、四半期利益の積み上がりがあったものの、配当金の支払や自己株式の取得による減少等があり、その結果、前連結会計年度末比323億円減少の3兆875億円となりました。
なお、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末比1.8ポイント悪化し30.3%、1株当たり親会社の所有者帰属持分は前連結会計年度末比17.44円増加の833.83円、ネットD/Eレシオ(ネット・デット・エクイティ・レシオ)は前連結会計年度末比0.06ポイント悪化し0.65倍となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は3,647億円となり、期首に比べ143億円減少しました。当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、次のとおりです。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果、資金は2,825億円増加しました(前年同期は1,229億円の減少)。これは、税引前四半期利益や減価償却費(IFRS第16号「リース」の適用による増加額を含む)等の資金増加要因によるものです。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果、資金は2,771億円減少しました(前年同期は2,085億円の減少)。これは、主として再生可能エネルギー事業への投資や、製油所における石油精製設備の維持・更新のための投資、石油・天然ガス開発事業への投資によるものです。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果、資金は148億円減少しました(前年同期は2,874億円の増加)。これは、コマーシャル・ペーパーの増加等による資金増加要因を、長期借入金の返済による支出、自己株式の取得、配当金の支払による支出及びリース負債の返済(IFRS第16号「リース」の適用による増加額を含む)等の資金減少要因が上回ったことによるものです。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費は、15,723百万円です。