訂正有価証券報告書-第18期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2022/10/24 15:55
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【項目】
149項目
[経営施策の内容と取り組み状況]
当社の創業事業である乗換案内サービスは、日常生活での人々の移動をサポートする、利用頻度の高いサービスとして世の中に広く定着しておりますが、スマートフォンの販売ルール変更の影響による、事業環境の変化が生じております。一方で、『MaaS』(Mobility as a Service)と呼ばれる利用者の目的やし好に応じて最適な移動手段を提供し、利用者の利便性を高めるサービスが各交通機関の事業者において実証実験段階に入り、新たな市場が登場しつつあります。また、「働き方改革」に代表されるような、企業の生産性向上・業務効率化ニーズは、ますます高まりを見せております。
このような状況下、当社グループは、2019年5月に公表いたしました中期経営計画において、『MaaS関連サービス』と『働き方改革に関わる業務ソリューション』を成長領域と設定し、技術開発・事業開拓の投資を積極的に進めております。MaaS関連領域においては、MaaS対応新エンジンの開発、観光型MaaS実証実験の推進、旅行会社向けの国内外の観光ガイドブック事業や訪日外国人を対象とする販売プロモーションサービスを法人顧客に提供する事業などを行っております、株式会社ラテラ・インターナショナルの全株式の取得等を実施しました。また、業務ソリューション領域におきましては、大型受託案件の運用の開始、交通費精算サービスである、『駅探Biz』の商用サービス開始、スマートフォン対応の機能強化、住友電工情報システム株式会社の提供するワークフローシステムとの連携等を実施しました。
[経営成績等の概要]
(1)経営成績の状況
当連結会計年度における売上高は2,864,585千円(前年同期比5.6%減)、営業利益は339,119千円(前年同期比比29.4%減)、経常利益は341,846千円(前年同期比28.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は23,402千円(前年同期比92.0%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(コンシューマ向け事業)
コンシューマ向け事業につきましては、第3四半期まではメディア広告・旅行業が好調に推移いたしましたが、2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けました。従来型の月額課金ビジネスについては、スマートフォン販売ルールの変更に伴うプロモーションの環境変化への対応を進めておりますが、メディア広告・旅行業同様に新型コロナウイルス感染症の影響を受けました。
その結果、売上高は1,863,753千円(前年同期比8.2%減)、セグメント利益は461,287千円(前年同期比3.7%減)となりました。
(法人向け事業)
法人向け事業につきましては、ASP・ライセンスビジネスは、積極投資領域である業務系ソリューション領域において新規顧客等からのスポット案件獲得が好調であったほか、BTM分野も含め、既存顧客との取引も堅調に推移しました。また、2018年7月にサービスを開始した「駅探Biz」につきましては、機能強化及び大手ワークフローベンダーとの連携も開始し、当初の想定通りに収益の計上を開始いたしました。株式会社ラテラ・インターナショナルにつきましては、第4四半期において、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大の影響を受け、旅行会社向けの国内外の観光ガイドブック事業や訪日外国人を対象とする販売プロモーションサービスを法人顧客に提供する事業について、大幅な売上減少となりました。
その結果、売上高は1,000,832千円(前年同期比0.4%減)、セグメント利益は262,448千円(前年同期比26.0%減)となりました。
(2)財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は2,892,371千円となり、前連結会計年度末に比べ2,278千円増加しました。固定資産は401,588千円となり、前連結会計年度末に比べ12,469千円減少しました。この結果、総資産は3,293,959千円となり、前連結会計年度末に比べ10,191千円減少しました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は430,633千円となり、前連結会計年度末に比べ21,320千円減少しました。固定負債は96,663千円となり、前連結会計年度末に比べ79,909千円増加しました。この結果、負債合計は527,297千円となり、前連結会計年度末に比べ58,588千円増加しました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は2,766,662千円となり、前連結会計年度末に比べ68,779千円減少しました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,552千円増加し、2,409,412千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、283,213千円の収入(前年同期は404,539千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益203,826千円の計上があったことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、170,981千円の支出(前年同期は130,751千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出78,307千円、新規連結子会社の取得による支出64,961千円、無形固定資産の取得による支出46,541千円などがあったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、111,300千円の支出(前年同期は177,722千円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額109,399千円などがあったことによるものです。
[生産、受注及び販売の実績]
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
コンシューマ向け事業(千円)--
法人向け事業(千円)81,208164.0
合計81,208164.0

(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 コンシューマ向け事業においては、主に乗換案内月額課金サービスの提供を行っており、生産実績を定義することが困難であるため、記載しておりません。
(2)受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
コンシューマ向け事業----
法人向け事業86,92152.61000.2
合計86,92152.61000.2

(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 コンシューマ向け事業においては、主に乗換案内月額課金サービスの提供を行っており、受注実績を定義することが困難であるため、記載しておりません。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
コンシューマ向け事業(千円)1,863,75391.8
法人向け事業(千円)1,000,83299.6
合計2,864,58594.4

(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
株式会社NTTドコモ1,379,24945.41,147,05640.0

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
[経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容]
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等の分析
イ.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高2,864,585千円(前年同期比5.6%減)、営業利益339,119千円(前年同期比29.4%減)、経常利益341,846千円(前年同期比28.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益23,402千円(前年同期比92.0%減)となりました。
(単位:千円)

売上高営業利益経常利益親会社株主に
帰属する当期純利益
2020年3月期2,864,585339,119341,84623,402
2019年3月期3,035,233480,156480,085291,208
増減率△5.6%△29.4%△28.8%△92.0%

(売上高)
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、コンシューマ向け事業が減収になったこと、法人向け事業が前年並みで推移したことにより、前年同期比5.6%減となりました。
(単位:千円)

コンシューマ向け事業法人向け事業
2020年3月期1,863,7531,000,8322,864,585
2019年3月期2,029,9451,005,2873,035,233
増減率△8.2%△0.4%△5.6%

・コンシューマ向け事業
携帯端末販売のルール変更及び新型コロナウイルス感染症による外出自粛が影響し、有料会員登録数が減少し、広告収益が減少いたしました。また、旅行業について、第3四半期までは順調に推移していたものの、第4四半期以降売上が大幅減少いたしました。その結果、売上高は前年同期比で8.2%減となりました。
・法人向け事業
積極投資領域である業務系ソリューションが好調で、2ヶ年連続で事業売上10億円を達成しましたが、新型コロナウイルス感染症による外出自粛の影響を受け、子会社の株式会社ビジネストラベルジャパンの出張管理システム、株式会社ラテラ・インターナショナルの旅行会社向けガイドブック版売、インバウンド向けプロモーション事業は、第4四半期より大幅な売上減少となっており、売上高は前年同期比で0.4%減となりました。
(営業利益、経常利益)
中期経営計画に基づき、人材・システム・M&Aに積極投資した結果、前年同期比で営業利益は29.4%減、経常利益は28.8%減となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
新型コロナウイルス感染症拡大の収束不透明により、子会社の株式会社ラテラ・インターナショナルの減損処理を実施したため、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比で92.0%減となりました。
ロ.財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は2,892,371千円となり、前連結会計年度末に比べ2,278千円増加しました。これは主に、現金及び預金の増加10,552千円、その他流動資産の増加18,211千円、売掛金の減少27,645千円によるものであります。固定資産は401,588千円となり、前連結会計年度末に比べ12,469千円減少しました。これは主に、投資その他の資産の減少77,413千円、有形固定資産の増加63,613千円によるものであります。この結果、総資産は3,293,959千円となり、前連結会計年度末に比べ10,191千円減少しました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は430,633千円となり、前連結会計年度末に比べ21,320千円減少しました。これは主に、買掛金の減少26,940千円、未払法人税等の減少23,125千円、移転損失引当金の減少22,175千円、賞与引当金の減少13,182千円、その他流動負債の増加65,231千円によるものであります。固定負債は96,663千円となり、前連結会計年度末に比べ79,909千円増加しました。これは主に、資産除去債務の増加24,051千円、その他固定負債の増加41,696千円によるものであります。この結果、負債合計は527,297千円となり、前連結会計年度末に比べ58,588千円増加しました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は2,766,662千円となり、前連結会計年度末に比べ68,779千円減少しました。これは主に、剰余金の配当109,561千円、親会社株主に帰属する当期純利益23,402千円の計上によるものであります。この結果、自己資本比率は84.0%となり、前連結会計年度末に比べ1.8ポイント低下しました。
b.経営成績に重要な影響を与える要因
「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,552千円増加し、2,409,412千円となりました。当連結会計年度の区分ごとのキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フロー283,213千円、投資活動によるキャッシュ・フロー△170,981千円、財務活動によるキャッシュ・フロー△111,300千円であります。
当社グループの主な資金需要は、人件費や外注費等の売上原価の支払、販売費及び一般管理費の支払、配当金の支払、借入金の返済及び法人税等の支払等であります。
当社グループは、事業活動に必要な資金を、営業活動によるキャッシュ・フローから生み出される自己資金により賄っており、今後も営業活動によるキャッシュ・フローから継続的に調達することが可能であると考えております。
当連結会計年度末現在、借入金の残高は8,672千円(全額1年内返済予定の長期借入金)であります。また、当社は、取引銀行と当座貸越契約を締結しており、当連結会計年度末における当座貸越契約の極度額の総額は500,000千円であり、借入実行残高はありません。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に以下に示す重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
・無形固定資産(自社利用ソフトウエア)
当社グループは、自社利用ソフトウエアの耐用年数は社内における利用可能期間(5年)で減価償却を行っております。自社利用ソフトウエアについて、サービス開始後に当初見込んだ収益の獲得が困難であることが判明した場合は、減損処理が必要となる可能性があります。
・繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。
将来の課税所得見込額はその時の経営成績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合は、回収可能性の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症の影響等については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。