有価証券報告書-第21期(平成30年6月1日-令和1年5月31日)

【提出】
2019/08/29 15:33
【資料】
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【項目】
162項目
(1)経営成績等の状況の概要
1.財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、年度末にかけ、米中貿易摩擦とこれによる中国経済の減速から景気の先行きに不透明感が増したものの、引き続き雇用・所得環境は堅調を維持し、2019年10月に予定される消費税率10%への引き上げを前に、消費者マインドは底堅い水準で推移しました。
当社グループの属する住宅業界におきましては、引き続き住宅ローン金利が低水準で推移したこと等もあり、新設住宅着工戸数は前年度比ほぼ横ばいの95万戸となりました。
このような状況の中、当社グループにおきましては、2019年5月期よりスタートした中期経営計画「タマステップ2021」に則り、「注文住宅着工棟数№1を目指し、事業改革にて新たな事業の柱を構築する」を基本方針とし、地域特性に合わせた販売戦略を策定し実施するとともに、各事業における収益力の向上に努めてまいりました。
当社グループの連結経営成績につきましては、売上高186,874百万円(前連結会計年度比11.3%増)となりました。利益につきましては営業利益7,366百万円(同58.3%増)、経常利益6,955百万円(同72.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,934百万円(同92.1%増)となりました。
また、当社グループの当連結会計年度末における資産総額は、89,497百万円(前連結会計年度比1.4%減)となりました。流動資産は、現金及び預金の減少4,613百万円があったものの、未成工事支出金の増加3,356百万円、営業貸付金の増加1,834百万円などにより62,920百万円(同3.1%増)となりました。なお、現金及び現金同等物は「2.キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり、27,013百万円(同14.6%減)となりました。固定資産は建物及び構築物の減少などにより26,577百万円(同10.7%減)となりました。
また、負債総額は、71,307百万円(同5.2%減)となりました。流動負債は、未成工事受入金の増加などにより60,691百万円(同14.3%増)となりました。固定負債は、長期借入金の減少などにより10,615百万円(同52.1%減)となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益3,934百万円などにより18,190百万円(同17.3%増)となりました。
2.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ4,613百万円減少し、当連結会計年度末には27,013百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動による資金の増加は、12,525百万円(前連結会計年度は4,501百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益5,756百万円(同3,036百万円)、減価償却費1,775百万円(同1,902百万円)、未成工事受入金の増加5,936百万円(同3,333百万円)等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の減少は、1,531百万円(同1,494百万円)となりました。これは、新規支店の開設等の有形固定資産の取得による支出1,393百万円(同1,605百万円)等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の減少は、15,605百万円(前連結会計年度は1,918百万円の増加)となりました。これは、長期借入金の返済による支出19,880百万円(同8,726百万円)等によるものであります。
3.生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当社グループ(当社及び連結子会社)が営む住宅事業、不動産事業、金融事業、エネルギー事業及びその他事業では生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載しておりません。
(2)受注実績
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)
住宅事業189,526+ 14.8126,903+ 22.4
不動産事業77
合計189,534+ 14.8126,910+ 22.4

(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 金融事業、エネルギー事業、その他事業では、受注活動を行っていないため記載しておりません。
4 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
住宅事業151,647+ 6.9
不動産事業26,640+ 47.8
金融事業1,165+ 0.1
エネルギー事業882+ 0.3
その他事業6,538+ 8.9
合計186,874+ 11.3

(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 主たる販売先は不特定多数の一般消費者であり、相手先別販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の販売先はありません。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
1.重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性の存在により、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しているとおりでありますが、会計基準等の新設・更新や連結財務諸表に重要な影響を及ぼす事象が発生した場合は、基本的には会計処理基準に準拠する方法によることとしており、新たに見積りを必要とする場合は、蓋然性の高い見積り方法による方針としております。
2.当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(当連結会計年度の経営成績等)
当社グループの売上高は、注文住宅事業において、引き続き受注が好調に推移し引渡棟数が増加したことが大きな要因となり、186,874百万円(前連結会計年度比11.3%増)となりました。利益面では、不動産事業をはじめとする非住宅事業が牽引し、営業利益は7,366百万円(同58.3%増)、経常利益は6,955百万円(同72.6%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、グループ会社の不採算事業整理に伴う法人税等の減少により、3,934百万円(同92.1%増)となりました。1株当たり当期純利益は130円89銭(前連結会計年度は68円12銭)となりました。
当社グループの中核をなす注文住宅事業は増収減益となりましたが、これは2019年5月期よりスタートした中期経営計画「タマステップ2021」の基本戦略の一つ「注文住宅事業で各都道府県にてシェア№1を目指す」を達成するため、戦略的に価格競争力を高めた「地域限定商品」の販売に努めた結果、受注棟数の増加に合わせ広告宣伝費および人件費等の費用が先行して発生したことによるものであり、今後の引渡棟数の増加に伴い増益基調に転ずるものと捉えています。
セグメントごとの経営成績等の詳細は、「(3)セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析」に記載しているとおりであります。
(資金の財源及び資金の流動性について)
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、不動産事業における販売用不動産取得のための費用の発生があります。また、設備投資資金需要の主なものとしては、注文住宅事業における展示場の新設および移転によるものがあります。当社グループの事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用、金融機関からの借入等を行っており、自己資本比率等の財務健全性指標を注視しながら、最適な選択を実施していきます。
なお、当連結会計年度における借入金及びリース債務等を含む有利子負債の残高は20,013百万円(前連結会計年度は34,077百万円)となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、27,013百万円となっております。
(3)セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析
(住宅事業)
住宅事業においては、新しく12ヶ所(うち移転4ヶ所)の出店を行い、営業拠点は245ヶ所になりました。また、モデルハウス、ショールームのリニューアルを24ヶ所において実施しました。
創業20周年を記念した来場キャンペーンや、地域特性を生かした商品である「地域限定商品」の広範な展開による好調な受注に下支えされ、引渡棟数が前年同期比で6.7%増加しました。
引渡棟数が増加した一方、販売戦略として価格と利益率を抑えて設定した地域限定商品の比率が高くなったこと、また、受注増に関わる販売費及び一般管理費等、売上拡大に向けた費用が増加した結果、増収減益となりました。地域限定商品については、今後とも住宅設備の仕様と販売価格、利益率と販売実績を勘案しつつ、地域におけるシェア№1を目指して展開していく方針です。
また、リフォーム事業においては、入居後10年を経過したお客様を中心に、保証延長工事等のリフォーム受注活動を積極的に展開し増収となりましたが、利益面では、市場ニーズの変化に伴う受注商品の構成変化により粗利率が低下した結果、減益となりました。今後も、築年数やお客様のニーズに応じて、最適なリフォーム商品の販売を進めてまいります。
以上の結果、当事業の売上高は151,647百万円(前連結会計年度比6.9%増)、営業利益は801百万円(同67.2%減)となりました。
(不動産事業)
不動産事業においては、資金回転率を重視した10区画以下の小規模分譲地を中心とした仕入、販売に取り組みました。その結果、受注・引渡ともに好調に推移しました。引き続き良質な販売用地の確保に注力していきます。
マンション事業においては大型プロジェクトがすべて完売しました。今後は新規プロジェクトのほか、中古マンションのリノベーション再販等、営業機会を拡げ、新たなプロジェクトを進めていきます。
オフィス区分所有権販売事業においては、当連結会計年度より本格的に始動し売上が計上されたこと、また、販売用不動産を売却したため、売上高、営業利益ともに前連結会計年度を大きく上回ることとなりました。販売用不動産の売却につきましては、2018年10月30日に公表しました「(開示事項の経過)販売用不動産の売却および売却益計上に関するお知らせ」をご参照ください。
以上の結果、当事業の売上高は26,640百万円(前連結会計年度比47.8%増)、営業利益は5,553百万円(同301.5%増)となりました。
(金融事業)
金融事業においては、積極的な保険営業とつなぎ融資の取り扱いにより売上が堅調に推移したものの、販売体制強化のための販売費及び一般管理費増のため、減益となりました。また、生命保険販売は、ファイナンシャル・プランナーの収益性の向上に努めており、人員の強化を進めることで収益拡大を図っています。
以上の結果、当事業の売上高は1,165百万円(前連結会計年度比0.1%増)、営業利益は432百万円(同16.1%減)となりました。
(エネルギー事業)
エネルギー事業においては、福岡県大牟田市においてメガソーラー発電施設の商業運転が引き続き堅調に推移しました。
以上の結果、当事業の売上高は882百万円(前連結会計年度比0.3%増)、営業利益は327百万円(同1.1%減)となりました。
(その他事業)
その他事業においては、住宅事業における引渡棟数の増加により住宅周辺事業が好調に推移しました。
以上の結果、当事業の売上高は6,538百万円(前連結会計年度比8.9%増)、営業利益は135百万円(前連結会計年度は53百万円の営業損失)となりました。