有価証券報告書-第25期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響など不透明な状況が続いております。このような厳しい環境ではありましたが、当社グループでは、BCPに則り全社リモートワークへの迅速な移行を行い、ウィズコロナ/アフターコロナのオンライン・非対面化が進む社会情勢の中で、企業のWebサイト分析・解析支援を行うマーケティングSaaS事業や、Web広告・メディアを中心とした広告・メディア事業、オンライン本人確認/eKYCツールやDX支援などの新規事業及び新商品開発を通じて企業価値の向上に取り組んでまいりました。
当社グループが事業展開する主要マーケットの1つである、国内デジタルマーケティング市場は、2024年にCAGR(年平均成長率)4.8%の5,299億円(※1)と高い成長率が見込まれます。また、国内DX市場規模は、2030年には3兆425億円に拡大する見通しです。(※2)
※1:IDC 国内デジタルマーケティング関連サービス市場 セグメント別/産業分野別予測、2020~2024年より
※2:株式会社富士キメラ総研『2020デジタルトランスフォーメーションの市場の将来展望』より
これに伴い、当社グループはWebサイト最適化技術によるDX支援SaaSを中心に、オンラインビジネスのコンバージョン率(成約率)UPを実現する、Webマーケティング支援事業を展開しております。具体的には、特許技術(国内外)を活用したクラウド型のWebサイト最適化サービス「ナビキャストシリーズ」の提供や、Webサイトにおける不正アクセスなどに対するセキュリティ強化を目的とした「ProTechシリーズ」の提供をしております。当社グループの培ったユーザビリティの高いSaaS技術を活用し、社会の「不」を解消する価値の高いサービスを提供してまいります。
また、連結子会社は投資関連事業を行う株式会社Showcase Capitalの1社となります。
昨今の新型コロナウイルス感染拡大により、リモートワーク環境やビデオ会議、ビデオ教育導入などの国内のインフラ改革は急速なスピードで進んでおり、デジタル急進、不正口座利用問題による本人確認や多要素認証ニーズの急拡大を受け、非対面取引の市場が急拡大しております。当社グループの事業領域は今まで以上に大きなビジネスチャンスが期待できる市場に対して、引き続き、積極的な事業展開を進めてまいります。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
(a)財政状態
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ721,057千円増加し、2,949,802千円となりました。当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ499,794千円減少し、779,504千円となりました。当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,220,852千円増加し、2,170,297千円となりました。
(b)経営成績
当連結会計年度における売上高は1,530,069千円(前年同期比1.4%増)、営業利益は45,542千円(前年同期比51.0%減)、経常利益は58,860千円(前年同期は経常損失14,206千円)、親会社株主に帰属する当期純利益は25,933千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失183,166千円)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメント区分の変更を行っております。変更の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) セグメント情報」の「1.報告セグメントの概要 (3) 報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。
<マーケティングSaaS事業>「ナビキャストシリーズ」については、入力フォームの最適化サービス「フォームアシスト」を中心に事業を展開しております。特に「フォームアシスト」においては、高い改善効果が確認されている様々なオプション機能の提案を、昨年度に引き続き金融機関の顧客を中心に展開をしておりますが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、カスタマイズ商談が大幅に減少したことで新規販売数が伸び悩みました。
「ProTechシリーズ」については、一昨年リリースしたオンライン本人確認/eKYCシステム「ProTech ID Checker」は銀行、カードローン、古物商及び法律事務所などのクライアントへの導入が進み、引き続きアカウント数を増加させ、業績に貢献しております。さらに、保険証の自動マスキング機能などのサービスラインナップが増え、今後も多様な業種への販売を進めてまいります。
オンライン取引や非対面取引の需要拡大、そして、デジタルマーケティング需要の拡大を受け、Webセミナーや広告宣伝による集客を強化し、営業案件は増加傾向のため、第4四半期の販売回復を実現いたしました。
以上の結果、マーケティングSaaS事業全体における売上高は881,105千円(前年同期比15.4%減)、セグメント利益は592,560千円(前年同期比16.5%減)となりました。
<広告・メディア事業>(広告関連サービス)
広告関連サービスについては、従来から提供してきた「ナビキャストAd」など運用広告関連サービスに加え、顧客のニーズに合わせたSNS広告、スマートフォンアプリ対応の動画アドプラットフォーム「SHOWCASE Ad」などは引き続き安定的に売上貢献をしております。
(オウンドメディア)
主力となるスマートフォン関連ニュース系メディア「bitWave」は引き続きアフィリエイト収益が大きく業績へ貢献しております。新型iPhone12のオンライン販売により業績に貢献いたしました。お金に関わる情報をわかりやすくお伝えする金融関連情報メディア「金融Lab.」、美容メディア「ARVO」も堅調な成長により業績へ貢献いたしました。YouTubeを活用したメディアは既存メディアへの新たな流入チャネルとしてPV数の増加に貢献しております。
今後も、注力事業として積極的な投資を行いさらなる事業成長を目指してまいります。
以上の結果、広告・メディア事業全体における売上高は434,913千円(前年同期比15.4%増)、一方で人員の増加や広告費等への投資により、セグメント利益は65,109千円(前年同期比44.8%減)となりました。
<クラウドインテグレーション事業>当社の強みであるSaaSプロダクト開発ノウハウと大手企業の業務ノウハウを融合したDX開発の事業をスタートいたしました。あらゆる業界へ向けSaaS事業を積極的に展開し、市場構造改革が起こり始めたDX市場において、企業の情報システムのクラウド化を支援してまいります。2020年2月にスタートした、広報・PR支援事業を行う株式会社プラップジャパン(東証JQS:2449)との合弁会社であるプラップノード株式会社は企業のPR活動のデジタル化を推進するためのプロダクトが2020年9月1日にリリースされ、下期の業績に貢献しております。また、金融機関のDX支援として、株式会社横浜銀行様への目的別ローンにおける契約内容を確認するクラウドシステムを開発し2020年12月21日にリリースし、業績に貢献いたしました。今後も、営業力とエンジニアリングリソースへの投資を行い、各界のリーディングカンパニーとのDX推進を積極的に展開してまいります。
以上の結果、クラウドインテグレーション事業全体における売上高は119,103千円、セグメント損失は1,314千円となりました。
なお、クラウドインテグレーション事業は当連結会計年度より新たに開始したため、前年同期との比較は行っておりません。
<投資関連事業>投資関連事業を手掛ける「株式会社Showcase Capital」は、事業会社やVC、CVCとスタートアップ企業をオンラインでマッチングするプラットフォームを開発し、マッチングプラットフォームサービス「SmartPitch」をリリースいたしました。登録スタートアップは100社を超え、今後も積極的な投資活動により早期収益化を目指してまいります。また、国内外のユニークな技術保有やサービス提供を行なっているスタートアップへの投資を行っており、当連結会計年度においては「株式会社イメージ・マジック」の保有株式売却を行いました。
以上の結果、投資関連事業全体における売上高は93,761千円(前年同期は-千円)、セグメント利益は19,032千円(前年同期はセグメント損失69,715千円)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、2,198,553千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び主な変動要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、96,389千円(前年同期は239,213千円の獲得)となりました。主な減少要因は、法人税等の支払額48,225千円、投資事業組合運用益30,726千円であります。主な増加要因は、減価償却費65,515千円、税金等調整前当期純利益51,664千円、営業投資有価証券の減少額60,596千円、法人税等の還付額30,568千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、61,717千円(前年同期は204千円の使用)となりました。投資事業組合からの分配による収入26,405千円、投資有価証券の売却による収入24,121千円、貸付金の回収による収入16,008千円により資金を獲得した一方で、無形固定資産の取得による支出93,215千円、投資有価証券の取得による支出29,450千円により資金を使用したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は、735,217千円(前年同期は218,073千円の使用)となりました。短期借入金の純減少額300,000千円、長期借入金の返済による支出290,561千円により資金を使用した一方で、株式の発行による収入1,220,654千円、長期借入れによる収入150,000千円により資金を獲得したことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
(1) 生産実績
当社グループは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
(2) 受注実績
当社グループのサービスは、受注から納品までの期間がきわめて短いため、記載を省略しております。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(千円) | 前年同期比(%) |
| マーケティングSaaS事業 | 881,105 | 84.6 |
| 広告・メディア事業 | 434,913 | 115.4 |
| クラウドインテグレーション事業 | 119,103 | - |
| 投資関連事業 | 93,761 | - |
| その他 (注) | 1,185 | 2.0 |
| 合計 | 1,530,069 | 101.4 |
(注)「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、経営管理業務受託事業等であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う会計上の見積りに与える影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
(a)繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、将来の事業計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。
当該課税所得の見積りにあたって前提とした条件や仮定に変更が生じた場合には、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
(b)固定資産の減損
当社グループは、減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額がこれらの帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。回収可能価額には正味売却価額と使用価値のいずれか高い方を用いており、使用価値については、継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローの現在価値を見積っております。
事業環境の変化などにより、当該見積りにあたって前提とした条件や仮定に変更が生じた場合には、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、2,949,802千円(前連結会計年度末比721,057千円の増加)となりました。これは主に、営業投資有価証券が60,596千円減少した一方で、現金及び預金が769,890千円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、779,504千円(同499,794千円の減少)となりました。これは主に、短期借入金が300,000千円、長期借入金(1年内返済予定含む)が140,561千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、2,170,297千円(同1,220,852千円の増加)となりました。これは主に、第三者割当増資等により資本金が616,107千円、資本剰余金が616,107千円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は73.6%(前連結会計年度は42.6%)となりました。
(b)経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、既存事業の営業回復と新規事業の業績貢献により1,530,069千円(前連結会計年度比1.4%増)となりました。
(営業利益)
売上原価は、420,337千円(同6.0%増)、販売費及び一般管理費は1,064,189千円(同4.4%増)となりました。売上原価は受託開発が増加したことによるものであります。また、販売費及び一般管理費の主な増加要因は、人件費の増加によるものであります。この結果、営業利益は45,542千円(前年同期比51.0%減)となりました。
(経常利益)
株式交付費が発生した一方で、投資事業組合運用益が発生したことなどにより、経常利益は58,860千円(前年同期は経常損失14,206千円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
固定資産売却益が発生した一方で、固定資産除却損や投資有価証券評価損が発生したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は25,933千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失183,166千円)となりました。
(3) 資本の財源及び資金の流動性
① キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
② 資金需要
当社グループの主な運転資金需要は、今後の成長基盤となる開発人員・営業人員に対する投資及び開発に係る業務委託や広告宣伝費などであります。また、主な投資資金需要は、外部リソースを積極的にグループに取り入れるためのM&Aやベンチャーキャピタル投資における新規案件への投資に係るものであります。
③ 財務政策
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保すること、将来の不確実性に備えて比較的厚めのキャッシュポジションとすることを基本方針としております。そのうえで、短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を、投資資金や長期運転資金の調達につきましては金融機関からの長期借入や第三者割当増資による調達を行う方針であります。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりでありますが、外部要因と内部要因に大別されます。
外部要因としては、自然災害によるサーバ停止、インターネット関連市場の新たな規制や技術革新、競合他社との競争激化、法的規制の変化等により影響を受ける可能性がありますが、このような環境下において、当社グループの売上は堅調に推移しております。
内部要因としては、システム障害、コア事業であるマーケティングSaaS事業への依存、特定人物への依存、優秀な人材の確保や育成、情報漏洩による情報セキュリティの管理等の影響を受ける可能性がありますが、組織体制の整備及び内部管理体制の強化により、これらのリスク要因に対応するよう努めてまいります。
(5) 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりでありますが、収益拡大のためには既存事業の拡大及び知名度の向上のための広報活動、新規事業及び新商品の開発や投資事業によるシナジー創出が必要不可欠であると認識しております。そのためには、優秀な人材の確保や組織体制の整備をこれまで以上に強化し、これらの課題に対して企業価値向上を図るべく、当社グループ経営陣は最善の事業戦略を立案するよう努めてまいります。
(6) 経営戦略の現状と見通し
当社グループは、2019年12月期から「第二創業」をスタートし、新経営執行体制のもと「おもてなしテクノロジーで人を幸せに」をコアバリューに掲げ、中期的企業価値の向上と株主還元を中心とした経営戦略を立て、本業回帰を行い、収益性・成長性の高い事業への集中投資を実施いたしました。
また、2020年11月30日にリリースいたしましたAI inside株式会社との資本業務提携は、今後進めていく新製品開発やDX推進事業に同社の優れたAI-OCRやドキュメントの自動仕分けなどの技術を活用し、また、当社のこれまでのサイト改善ノウハウを同社の製品やサービスに提供することで、双方のプロダクトを強化し、サービスの付加価値をあげることができると考えております。さらに、両社の販売網や顧客基盤において、様々なサービスをアドオンすることにより、両社の業績を大きく向上することができると考えております。今後は、これまで以上に既存事業の更なる強化と新サービスの開発、販売、運営を加速させてまいります。