有価証券報告書-第28期(平成30年9月1日-令和1年8月31日)

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2019/11/29 12:02
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善などを背景として緩やかながら景気の回復傾向が続いております。一方、世界経済に目を転じると、米中間の貿易摩擦の激化、英国の合意なきEU離脱への懸念の高まりといった国際的な通商問題や中国・欧州の減速の影響により、景気の先行きは依然として不透明な状況のまま推移しております。
当社が属するカジュアルファッション業界におきましても、他社の過剰なサービス競争の激化、人手不足、物流費の高騰に加えて、冷夏等の天候不順なども影響し、依然として厳しい経営環境が継続しております。
このような状況の下、当社は2016年4月から開始いたしました再生プロジェクトが前連結会計年度まででほぼ完了し、当連結会計年度よりさらなる事業拡大のため成長戦略へと舵を切ってまいりました。
具体的には、前連結会計年度から継続している自社サイト強化のためのシステム開発及び検証、ブランド価値を最大化するためのプロモーション及びAI等を駆使した業務効率化、連結子会社ATLABが展開するEC支援事業の拡大等の施策をとっております。自社サイトにつきましては、2019年5月に外部委託していたアプリを内製化するなどした結果、UI/UXの改善が進み、客単価が向上するなど、効果が表れはじめております。一方で、ブランド価値を最大化するためのプロモーション強化につきましては、施策はとっているものの、効果波及までに時間を要しており、サイトの来訪客数が想定より伸び悩んでいるという状況となっております。また今後の事業成長加速のために、人員配置の効率化を進めつつ、優秀な人材獲得に動いております。連結子会社ATLABについては、当社グループ全体に与える影響は大きくないものの、概ね想定通りの事業拡大は続けており、今後はさらに成長加速していく見込みです。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高6,261百万円(前連結会計年度比5.5%減)、営業利益88百万円(前連結会計年度比74.7%減)、経常利益は91百万円(前連結会計年度比73.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益62百万円(前連結会計年度比75.6%減)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(インターネット販売事業)
インターネット販売事業につきましては、他社のサービスに負けないよう、最先端の技術を駆使した自社サイトのシステム再構築に取り組んできた結果、客単価は向上したものの、前述のとおりサイトの来訪客数の伸び悩みが影響し、売上高が減少しております。一方で、今後の革新的な事業拡大を目指す投資が先行している状況も継続中です。
以上により、売上高は3,505百万円(前連結会計年度比4.9%減)、セグメント利益は218百万円(前連結会計年度比51.8%減)となりました。
(店舗販売事業)
店舗販売事業につきましては、前連結会計年度末より退店4店舗を行った結果、当連結会計年度末における店舗数は28店舗になりました。売上高は退店した店舗の影響もありましたが、既存店舗は前連結会計年度より引き続き好調を維持しております。利益面に関しては、人件費増加や物流費の高騰に加え、店舗備品の入替等を行った結果、減少しております。
以上により、売上高は2,471百万円(前連結会計年度比7.6%減)、セグメント利益は196百万円(前連結会計年度比8.9%減)となりました。
(卸売販売事業)
卸売販売事業につきましては、既存の取引先に対する販売増加に伴い、売上高が増加しております。
以上により、売上高は230百万円(前連結会計年度比6.3%増)、セグメント損失は14百万円(前連結会計年度はセグメント損失13百万円)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ470百万円減少し、897百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果支出した資金は222百万円(前連結会計年度は394百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益87百万円、減価償却費54百万円、未払金の増加額26百万円による増加、退職給付に係る負債の減少額19百万円、売上債権の増加額63百万円、たな卸資産の増加額225百万円、未収消費税等の増加額24百万円、預り金の減少額15百万円、法人税等の支払額48百万円による減少の結果であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は200百万円(前連結会計年度は168百万円の収入)となりました。これは主に、敷金及び保証金の回収による収入41百万円による増加、有形固定資産の取得による支出58百万円、有形固定資産の除却による支出14百万円、無形固定資産の取得による支出55百万円、敷金及び保証金の差入による支出107百万円による減少の結果であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果支出した資金は47百万円(前連結会計年度は51百万円の支出)となりました。これは、短期借入金の純増加額310百万円による増加、長期借入金の返済による支出116百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出7百万円、自己株式取得による支出206百万円、配当金の支払額26百万円による減少の結果であります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
2015年
8月期
2016年
8月期
2017年
8月期
2018年
8月期
2019年
8月期
自己資本比率(%)35.840.156.363.357.7
時価ベースの
自己資本比率(%)
30.243.9118.4148.185.0
キャッシュ・フロー対
有利子負債比率(年)
2.31.50.8
インタレスト・
カバレッジ・レシオ(倍)
47.970.8129.1

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1) 2017年8月期以前の各指標は、連結子会社が存在しないため個別ベースの財務諸表により計算しております。
(注2) 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注3) 2015年8月期、2019年8月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオにつきましては、キャッシュ・フローがマイナスのため、記載しておりません。
(注4) キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注5) 有利子負債は、連結貸借対照表(貸借対照表)に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループにおける事業は、提供するサービスの性格上、生産実績及び仕入実績についてセグメント別の記載になじまないため、記載しておりません。なお、生産実績につきましては、取扱製品別に区分して記載しており、仕入実績につきましては、種別に区分して記載しております。また販売実績につきましては、セグメント別及び種別に区分して記載しております。
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績については、次のとおりであります。
(単位:千円)
品目前連結会計年度
(自 2017年9月1日
至 2018年8月31日)
当連結会計年度
(自 2018年9月1日
至 2019年8月31日)
前年同期比(%)
ワンピース75,48571,31194.5
スカート33,21126,97981.2
トップス32,54926,79282.3
パンツ29,72117,16757.8
コート14,25525,688180.2
ジャケット6,8655,54380.8
セットアップ6,1556,438104.6
ニット6,1071,62526.6
合計204,351181,54788.8

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.一部のブランドにつきましては、外注加工先にて生産を行っております。
b.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績については、次のとおりであります。
(単位:千円)
種別前連結会計年度
(自 2017年9月1日
至 2018年8月31日)
当連結会計年度
(自 2018年9月1日
至 2019年8月31日)
前年同期比(%)
レディースカジュアル1,748,2351,816,204103.9
キッズ・ジュニア701,926754,101107.4
雑貨11,1728,26674.0
合計2,461,3342,578,572104.8

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当社グループは、受注後遅滞なく出荷を行うため、受注残高の金額は僅少であり、当該記載を省略しております。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績については、次のとおりであります。
(セグメント別販売実績)
(単位:千円)
セグメントの名称前連結会計年度
(自 2017年9月1日
至 2018年8月31日)
当連結会計年度
(自 2018年9月1日
至 2019年8月31日)
前年同期比(%)
インターネット販売事業3,686,6083,505,01695.1
店舗販売事業2,675,9302,471,91892.4
卸売販売事業216,415230,090106.3
その他48,16854,056112.2
合計6,627,1226,261,08194.5

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(種別販売実績)
(単位:千円)
種別前連結会計年度
(自 2017年9月1日
至 2018年8月31日)
当連結会計年度
(自 2018年9月1日
至 2019年8月31日)
前年同期比(%)
レディースカジュアル4,896,9734,562,92793.2
キッズ・ジュニア1,637,5881,619,00898.9
雑貨・メンズ30,69017,19856.0
その他61,87061,946100.1
合計6,627,1226,261,08194.5

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、当社グループの連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等の分析
1) 財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は2,250百万円となり、前連結会計年度末に比べ151百万円減少いたしました。これは主に、受取手形及び売掛金が63百万円、商品及び製品が224百万円、その他が30百万円それぞれ増加した一方で、現金及び預金が470百万円減少したことによるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は637百万円となり、前連結会計年度末に比べ136百万円増加いたしました。これは主に、建物が48百万円、ソフトウェアが34百万円、敷金及び保証金が66百万円それぞれ増加した一方で、繰延税金資産が16百万円減少したことによるものです。
(繰延資産)
当連結会計年度末における繰延資産の残高は0百万円となり、前連結会計年度末に比べ0百万円減少いたしました。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は922百万円となり、前連結会計年度末に比べ171百万円増加いたしました。これは主に、買掛金が14百万円、短期借入金が310百万円それぞれ増加した一方で、未払法人税等が38百万円、その他が111百万円それぞれ減少したことによるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は293百万円となり、前連結会計年度末に比べ11百万円減少いたしました。これは、資産除去債務が15百万円増加した一方で、リース債務が7百万円、退職給付に係る負債が19百万円それぞれ減少したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は1,672百万円となり、前連結会計年度末に比べ175百万円減少いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益計上に伴い利益剰余金が62百万円増加した一方で、配当金の支払により利益剰余金が27百万円、自己株式の取得により206百万円それぞれ減少したことによるものです。
2) 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高6,261百万円、営業利益88百万円、経常利益91百万円、親会社株主に帰属する当期純利益62百万円となりました。
(単位:百万円)
売上高営業利益経常利益親会社株主に帰属する当期純利益
2019年8月期(連結)6,261889162
2018年8月期(連結)6,627349340255
増減率△5.5%△74.7%△73.0%△75.6%

(売上高)
卸売販売事業は既存の取引先に対する販売が好調に推移し増収となりましたが、インターネット販売事業及び店舗販売事業は減収となり、前連結会計年度比5.5%減となりました。
(単位:百万円)
インターネット
販売事業
店舗販売事業卸売販売事業その他(注)
2019年8月期(連結)3,5052,471230546,261
2018年8月期(連結)3,6862,675216486,627
増減率△4.9%△7.6%6.3%12.2%△5.5%

(注) 「その他」の区分は、報告セグメントに含まれていない事業セグメントであり、ライセンス事業等を含んでおります。
・インターネット販売事業
他社サイト販売においては、各社のサービス競争激化の影響はあるものの、新たな販売サイトへの新規出店を進め、僅かに減収ながらも利益面では増益となりました。自社サイト販売は前述のとおりサイトの来訪客数の伸び悩みが影響し減収減益となり、セグメント全体の売上高は前連結会計年度比で4.9%減となりました。
・店舗販売事業
既存店は売上高前年同期比105%超と好調に推移したものの、退店等の影響もあり、売上高は前連結会計年度比で7.6%減となりました。
・卸売販売事業
既存の取引先に対する販売増加に伴い、売上高は前連結会計年度比で6.3%増となりました。
(営業利益、経常利益)
自社サイト強化のための先行投資、物流費の高騰、冷夏等の天候不順などが影響し、前連結会計年度比で営業利益は74.7%減、経常利益は73.0%減となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
上記の経常利益の減益要因に伴い、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比で75.6%減となりました。
b.経営成績に重要な影響を与える要因
「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、897百万円となりました。当連結会計年度の区分ごとのキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フロー△222百万円、投資活動によるキャッシュ・フロー△200百万円、財務活動によるキャッシュ・フロー△47百万円であります。
当社グループの主な資金需要は、仕入先等の売上原価の支払、販売費及び一般管理費の支払、自社サイト強化に対する投資、新規出店に対する投資、配当金の支払、借入金の返済及び法人税等の支払等であります。
当社グループは、事業活動に必要な資金を営業活動によるキャッシュ・フローから生み出される自己資金により賄っており、今後も営業活動によるキャッシュ・フローから継続的に調達することが可能であると考えております。