有価証券報告書-第18期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1)経営成績等の概要
当事業年度における、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の概況の概要は次のとおりであります。
① 当期の経営成績の概況
当事業年度(平成29年4月1日から平成30年3月31日まで)におけるわが国経済は、政府による各種経済政策等の効果により、企業収益の改善が続き、個人消費につきましても堅調な雇用・所得情勢を背景に底堅く、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。一方、海外経済は、米国、欧州ともに堅調な回復ペースを持続しておりますが、各国の政治政策動向及び地政学的リスクの高まりによる景気下振れ懸念は残っており、予断を許さない状況が続いております。
当社が属する出版業界におきましては、引き続き厳しい状況が続いております。出版科学研究所によると、平成29年(1月から12月まで)の紙の出版物の推定販売金額は、前年比6.9%減の1兆3,701億円で13年連続のマイナスとなりました。その内訳は、「書籍」が同3.0%減となる7,152億円、「雑誌」は同10.8%減の6,548億円となっており、「雑誌」が特に厳しい状況となっております。一方、電子出版物については、同16.0%増の2,215億円となり、堅調に成長を続けております。
こうした環境の中、インターネット発の出版の先駆者である当社は、「これまでのやり方や常識に全くとらわれず」、「良いもの面白いもの望まれるものを徹底的に追求していく」というミッションの下、インターネット時代の新しいエンターテインメントを創造することを目的とし、インターネット上で話題となっている小説・漫画等のコンテンツを書籍化する事業に取り組んでまいりました。
当事業年度におきましては、当社主力タイトルの代表格である『ゲート』を筆頭とした既存大型タイトルの売行きが引き続き堅調であったことに加え、当社投稿サイトから誕生した新シリーズタイトルの出版が軒並み好調な結果となりました。また、ライトノベルに次ぐ柱として積極的に強化中の漫画につきましても、計画以上に成長させることができました。更に、漫画ジャンルをはじめ、当社書籍群と親和性が高い電子書籍も売上を大きく伸ばし、出版事業の業績を牽引いたしました。
以上の活動の結果、当事業年度の売上高は4,213,546千円(前期比32.3%増)、営業利益は757,579千円(同335.1%増)、経常利益は757,197千円(同332.1%増)、当期純利益は513,158千円(同407.6%増)となりました。
当事業年度におけるセグメント別の業績は、次のとおりであります。
(出版事業)
1.ライトノベル
当事業年度の刊行点数は前事業年度とほぼ同等となる225点(前期比11点減)となりました。各書籍の売行きにつきましては、新シリーズ海自編をスタートした『ゲート』を筆頭に、『Re:Monster』や『とあるおっさんのVRMMO活動記』など、既存人気タイトルは引き続き堅調に推移いたしました。
また、当第4四半期会計期間では、平成29年9月開催の「ファンタジー小説大賞」から誕生した『いずれ最強の錬金術師?』や『じい様が行く』などの新シリーズタイトルを刊行し、何れも好調な売行きとなりました。これらタイトルは、当社Webサイトに投稿された作品であり、市場の競争が激しさを増す中でも、Webの人気作を自社サイトから確実に調達、出版し、ヒットさせる体制が、より一層強固なものとなりました。
電子書籍においても、取扱い電子書店の増加や当社Webサイトにて新たに開始した新規サービス「レンタル」など、積極的な売り伸ばしを行うとともに、電子書籍における人気ジャンルである女性向け恋愛小説「エタニティブックス」が業績を牽引するかたちで、売上は大きく伸張いたしました。
以上の結果、ライトノベルの売上高は前事業年度を上回りました。特に、当第4四半期会計期間の売上高は、過去最高を更新いたしました。
2.漫画
当事業年度の刊行点数は前事業年度を上回る75点(前期比11点増)となりました。各書籍の売行きにつきましては、『ゲート』や『Re:Monster』などの既存人気タイトルが引続き順調であったことに加え、当第4四半期会計期間で新たに刊行した『最強の職業は勇者でも賢者でもなく鑑定士(仮)らしいですよ?1』(本書提出日現在、3刷・3.8万部を突破)などの、新規コミカライズタイトルの売行きも好調に推移いたしました。
電子書籍においても、ライトノベルと同様に積極的な売り伸ばしを図ったことに加え、電子書籍と親和性の高い漫画ジャンル自体の強化が進んだことで、その売上は大きく伸長いたしました。
以上の結果、漫画の売上高は前事業年度を大きく上回りました。特に、当第4四半期会計期間の売上高は、ライトノベルと同様、過去最高を更新いたしました。
3.文庫
当事業年度の刊行点数は前事業年度をやや下回る129点(前期比8点減)となりました。しかしながら、平成30年4月よりTVドラマ放送が開始されている『居酒屋ぼったくり』の文庫版を、TVドラマ化決定の告知とあわせて新たに刊行した結果、好調な売上高となり、業績を牽引いたしました。
以上の結果、第3四半期会計期間末まではやや苦戦傾向にあった文庫についても、売上高は前事業年度を上回るとともに、当第4四半期会計期間の売上高は、1億円を突破いたしました。
4.その他
当事業年度の刊行点数は前事業年度を下回る24点(前期比8点減)となりました。しかしながら、文庫と同様に、平成30年4月よりTVドラマ放送が開始されている小説『居酒屋ぼったくり』単行本版の売行きが好調であり、業績を牽引いたしました。また、「絵本・児童書大賞」に応募された文字のみのストーリーであった作品に、人気イラストレーターの絵を付けることで誕生した絵本『わたしのげぼく』の売行きも好調であったことから、その他ジャンルにおける売上高も前事業年度を上回る結果となりました。
以上の結果、当事業年度における出版事業の売上高は3,877,416千円(前期比38.5%増)、セグメント利益は1,351,034千円(同75.0%増)となり、収益性は大幅に回復いたしました。特に、当第4四半期会計期間における出版事業の売上高は12億円を突破し、四半期単位での過去最高を更新する結果となりました。
(ゲーム事業)
当社は、平成27年5月8日に、当社経営理念「新しい時代のエンターテインメントの追求へ」に基づき、「ゲーム事業」という新たなエンターテインメント分野に進出いたしました。ゲーム事業では、これまでの出版事業を通して蓄積した自社IP(小説、漫画、キャラクターなど)を活かしてオリジナルゲームを開発・運用することで、ゲーム事業単体の売上高拡大だけでなく、メディアミックスによる相乗効果を狙って展開してまいりました。しかしながら、競争環境が厳しく、ゲーム開発・運営ノウハウが十分に蓄積されていない当社のみでの収益化は困難であると判断いたしました。
そこで、当事業年度において、平成30年1月に当社ゲーム事業を当社が34%出資する関連会社である株式会社アルファゲームスへ事業譲渡することを決定し、同年1月をもって同社への事業譲渡が完了いたしました。
譲渡前の期間における、当事業年度のゲーム事業の売上高は336,129千円(前期比12.8%減)、セグメント損失は153,801千円(前事業年度は208,163千円のセグメント損失)となりました。
② 当期の財政状態の概況
(資産)
当事業年度末の流動資産は、前事業年度末と比較して781,361千円増加し、5,451,454千円となりました。これは主に、出版事業が好調であったことに伴い現金及び預金(前事業年度末比674,903千円増)並びに売掛金(同182,844千円増)が大きく増加したことによるものであります。
固定資産は、前事業年度末と比較して101,046千円減少し、188,663千円となりました。これは主に、ゲーム事業の譲渡に伴い無形固定資産(同60,092千円減)並びに繰延税金資産(同57,805千円減)が減少したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末の流動負債は、前事業年度末に比べ197,719千円増加し、1,190,826千円となりました。これは主に、出版事業売上高が堅調に推移したことに伴い未払法人税等(前事業年度末比111,040千円増)並びに未払消費税等(同64,345千円増)が増加したことによるものであります。
固定負債は、前事業年度末に比べ30,425千円減少し、22,803千円となりました。これは主に、借入金の返済に伴い長期借入金が減少(同34,421千円減)したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べ513,020千円増加し、4,426,488千円となりました。これは主に当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加(前事業年度末比513,158千円増)によるものであります。
③ 当期のキャッシュ・フローの概況
当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は前事業年度末より674,903千円増加し、3,152,938千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは731,293千円の収入(前事業年度は26,202千円の収入)となりました。主な増加要因は、税引前当期純利益の増加、並びに法人税等の還付等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは12,567千円の支出(前事業年度は87,404千円の支出)となりました。これは「絵本」ジャンルの強化に向けて絵本投稿サイト「絵本ひろば」を制作したことに伴う無形固定資産の取得による支出が発生したこと、及び、株式会社アルファゲームス設立時の出資にかかわる支出、並びに株式会社アルファゲームスへのゲーム事業譲渡に伴う売却収入によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは43,822千円の支出(前事業年度は33,228千円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、ゲーム事業につきましては、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
受注生産を行っておりませんので、受注状況に関する記載はしておりません。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表」の「注記事項(重要な会計方針)」に記載しているとおりであります。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当社の経営成績等について
当社の属する出版業界は、平成29年(1月から12月まで)の紙の出版物の推定販売金額が前年比6.9%減の1兆3,701億円となり、13年連続のマイナスとなる厳しい状況が続いております。一方、電子出版物については、同16.0%増の2,215億円となり、堅調に成長を続けております。
このような環境の中、当社が経営上の目標の達成状況を判断するための指標として用いている、売上高、営業利益及び当期純利益は次のような結果となりました。
上記表の通り、出版市場が縮小する中において、各指標が大きく成長したのは次の要因からであります。
1点目は、当社ビジネスモデルがより強固になったことが挙げられます。
当社主力であるライトノベル市場は、徐々に競争環境が厳しくなってきており、特にWeb上の良質なコンテンツは各出版社での奪い合いが生じている状況にあります。このような状況下において、当社では、良質なコンテンツを当社投稿サイトに投稿いただき、その中から、ヒット作を生み出すことを目指してまいりました。その結果、当事業年度においては、当社投稿サイトから『異世界ゆるり紀行』や『いずれ最強の錬金術師?』に代表される新シリーズタイトルを、数多く出版することに成功し、かつ、それらの売行きは軒並み好調となりました。この結果は、Webの人気作を自社サイトから確実に調達、出版し、ヒットさせる体制が、より一層強固なものとなったといえます。
2点目は、戦略的に強化を図っております漫画が好調であったことが挙げられます。
当社は、上場以来、更なる業績拡大及びポートフォリオ最適化の観点から、今後は特定のジャンルに依存しないよう取扱書籍のジャンル拡大を図る必要があると考えてきておりました。その中でも、漫画は、市場として非常に有望であり、かつ、電子書籍との親和性も高いことから、当社といたしましては最も注力したいジャンルと位置づけてきました。その漫画の当事業年度の刊行点数は前事業年度を上回る75点(前事業年度比11点増)となりました。また、各書籍の売行きにつきましては、『ゲート』や『Re:Monster』などの既存人気タイトルが引続き堅調であったことに加え、当事業年度で新たに刊行した『最強の職業は勇者でも賢者でもなく鑑定士(仮)らしいですよ?1』(本書提出日現在、3刷・3.8万部を突破)などの、新規コミカライズタイトルの売行きも好調に推移し、業績を牽引いたしました。
3点目は、電子書籍の販売体制が強化されたことが挙げられます。
当社は、電子書籍の普及率や市場規模が市場関係者の期待どおりに進んでいない状況にあること、及び、電子書籍の売上の大部分が漫画であることから、これまで電子書籍専用端末やスマートフォン向けの電子書籍販売は、戦略的に静観する方針としておりました。しかしながら、電子書籍が徐々に普及してきたことに加え、当社の漫画ジャンルが強化されてきたことから、平成28年1月より、電子書籍取次経由での電子書籍の販売を開始いたしました。当事業年度では、その販売体制が強化されたことに加え、当社書籍群と電子書籍は親和性が高いことから、紙書籍と電子書籍の市場規模比率以上に、電子書籍の売上高を拡大させることに成功し、業績を大きく牽引する成果を挙げることができました。
そして最後に、ゲーム事業の展開の方向性が定まったことが挙げられます。
当社は、平成27年5月に、当社経営理念「新しい時代のエンターテインメントの追求へ」に基づき、「ゲーム事業」という新たなエンターテインメント分野に進出いたしました。しかしながら、競争環境が厳しく、ゲーム開発・運営ノウハウが十分に蓄積されていない当社のみでの収益化が困難であると判断いたしました。そこで、ゲーム開発・運営部隊というリソースを持ち、ゲーム事業のノウハウが豊富な株式会社キューマックスと組むことで、ゲーム事業の確かな強化、そしてゲーム事業の次なる成長展開へと挑むことにいたしました。具体的には、平成30年1月に当社ゲーム事業を、株式会社キューマックスと当社の共同出資により新たに設立した株式会社アルファゲームスに譲渡いたしました。譲渡先となる株式会社アルファゲームスの代表取締役には、ゲーム事業の経営経験が豊富な株式会社キューマックス代表取締役・吉武直志氏が就任しており、今後のゲーム事業展開については、一定の方向性を打ち立てることができました。
上記により、市場環境が厳しい中、当事業年度における当社の各指標(売上高、営業利益並びに当期純利益)は、大きく成長いたしました。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性について
当社の運転資金需要のうち主なものは、出版事業に係わる製造費(印刷費、印税など含む。)、販売費及び一般管理費等の営業費であります。投資を目的とした資金需要は、当社ビジネスモデルの基幹となる投稿サイトに対する開発費となります。
当社は、運転資金及び投資を目的とした資金につきましては、内部資金または借り入れにより資金調達することとしております。
なお、当事業年度末における借入金の残高は、53,729千円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、3,152,938千円となっております。
当事業年度における、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の概況の概要は次のとおりであります。
① 当期の経営成績の概況
当事業年度(平成29年4月1日から平成30年3月31日まで)におけるわが国経済は、政府による各種経済政策等の効果により、企業収益の改善が続き、個人消費につきましても堅調な雇用・所得情勢を背景に底堅く、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。一方、海外経済は、米国、欧州ともに堅調な回復ペースを持続しておりますが、各国の政治政策動向及び地政学的リスクの高まりによる景気下振れ懸念は残っており、予断を許さない状況が続いております。
当社が属する出版業界におきましては、引き続き厳しい状況が続いております。出版科学研究所によると、平成29年(1月から12月まで)の紙の出版物の推定販売金額は、前年比6.9%減の1兆3,701億円で13年連続のマイナスとなりました。その内訳は、「書籍」が同3.0%減となる7,152億円、「雑誌」は同10.8%減の6,548億円となっており、「雑誌」が特に厳しい状況となっております。一方、電子出版物については、同16.0%増の2,215億円となり、堅調に成長を続けております。
こうした環境の中、インターネット発の出版の先駆者である当社は、「これまでのやり方や常識に全くとらわれず」、「良いもの面白いもの望まれるものを徹底的に追求していく」というミッションの下、インターネット時代の新しいエンターテインメントを創造することを目的とし、インターネット上で話題となっている小説・漫画等のコンテンツを書籍化する事業に取り組んでまいりました。
当事業年度におきましては、当社主力タイトルの代表格である『ゲート』を筆頭とした既存大型タイトルの売行きが引き続き堅調であったことに加え、当社投稿サイトから誕生した新シリーズタイトルの出版が軒並み好調な結果となりました。また、ライトノベルに次ぐ柱として積極的に強化中の漫画につきましても、計画以上に成長させることができました。更に、漫画ジャンルをはじめ、当社書籍群と親和性が高い電子書籍も売上を大きく伸ばし、出版事業の業績を牽引いたしました。
以上の活動の結果、当事業年度の売上高は4,213,546千円(前期比32.3%増)、営業利益は757,579千円(同335.1%増)、経常利益は757,197千円(同332.1%増)、当期純利益は513,158千円(同407.6%増)となりました。
当事業年度におけるセグメント別の業績は、次のとおりであります。
(出版事業)
1.ライトノベル
当事業年度の刊行点数は前事業年度とほぼ同等となる225点(前期比11点減)となりました。各書籍の売行きにつきましては、新シリーズ海自編をスタートした『ゲート』を筆頭に、『Re:Monster』や『とあるおっさんのVRMMO活動記』など、既存人気タイトルは引き続き堅調に推移いたしました。
また、当第4四半期会計期間では、平成29年9月開催の「ファンタジー小説大賞」から誕生した『いずれ最強の錬金術師?』や『じい様が行く』などの新シリーズタイトルを刊行し、何れも好調な売行きとなりました。これらタイトルは、当社Webサイトに投稿された作品であり、市場の競争が激しさを増す中でも、Webの人気作を自社サイトから確実に調達、出版し、ヒットさせる体制が、より一層強固なものとなりました。
電子書籍においても、取扱い電子書店の増加や当社Webサイトにて新たに開始した新規サービス「レンタル」など、積極的な売り伸ばしを行うとともに、電子書籍における人気ジャンルである女性向け恋愛小説「エタニティブックス」が業績を牽引するかたちで、売上は大きく伸張いたしました。
以上の結果、ライトノベルの売上高は前事業年度を上回りました。特に、当第4四半期会計期間の売上高は、過去最高を更新いたしました。
2.漫画
当事業年度の刊行点数は前事業年度を上回る75点(前期比11点増)となりました。各書籍の売行きにつきましては、『ゲート』や『Re:Monster』などの既存人気タイトルが引続き順調であったことに加え、当第4四半期会計期間で新たに刊行した『最強の職業は勇者でも賢者でもなく鑑定士(仮)らしいですよ?1』(本書提出日現在、3刷・3.8万部を突破)などの、新規コミカライズタイトルの売行きも好調に推移いたしました。
電子書籍においても、ライトノベルと同様に積極的な売り伸ばしを図ったことに加え、電子書籍と親和性の高い漫画ジャンル自体の強化が進んだことで、その売上は大きく伸長いたしました。
以上の結果、漫画の売上高は前事業年度を大きく上回りました。特に、当第4四半期会計期間の売上高は、ライトノベルと同様、過去最高を更新いたしました。
3.文庫
当事業年度の刊行点数は前事業年度をやや下回る129点(前期比8点減)となりました。しかしながら、平成30年4月よりTVドラマ放送が開始されている『居酒屋ぼったくり』の文庫版を、TVドラマ化決定の告知とあわせて新たに刊行した結果、好調な売上高となり、業績を牽引いたしました。
以上の結果、第3四半期会計期間末まではやや苦戦傾向にあった文庫についても、売上高は前事業年度を上回るとともに、当第4四半期会計期間の売上高は、1億円を突破いたしました。
4.その他
当事業年度の刊行点数は前事業年度を下回る24点(前期比8点減)となりました。しかしながら、文庫と同様に、平成30年4月よりTVドラマ放送が開始されている小説『居酒屋ぼったくり』単行本版の売行きが好調であり、業績を牽引いたしました。また、「絵本・児童書大賞」に応募された文字のみのストーリーであった作品に、人気イラストレーターの絵を付けることで誕生した絵本『わたしのげぼく』の売行きも好調であったことから、その他ジャンルにおける売上高も前事業年度を上回る結果となりました。
以上の結果、当事業年度における出版事業の売上高は3,877,416千円(前期比38.5%増)、セグメント利益は1,351,034千円(同75.0%増)となり、収益性は大幅に回復いたしました。特に、当第4四半期会計期間における出版事業の売上高は12億円を突破し、四半期単位での過去最高を更新する結果となりました。
(ゲーム事業)
当社は、平成27年5月8日に、当社経営理念「新しい時代のエンターテインメントの追求へ」に基づき、「ゲーム事業」という新たなエンターテインメント分野に進出いたしました。ゲーム事業では、これまでの出版事業を通して蓄積した自社IP(小説、漫画、キャラクターなど)を活かしてオリジナルゲームを開発・運用することで、ゲーム事業単体の売上高拡大だけでなく、メディアミックスによる相乗効果を狙って展開してまいりました。しかしながら、競争環境が厳しく、ゲーム開発・運営ノウハウが十分に蓄積されていない当社のみでの収益化は困難であると判断いたしました。
そこで、当事業年度において、平成30年1月に当社ゲーム事業を当社が34%出資する関連会社である株式会社アルファゲームスへ事業譲渡することを決定し、同年1月をもって同社への事業譲渡が完了いたしました。
譲渡前の期間における、当事業年度のゲーム事業の売上高は336,129千円(前期比12.8%減)、セグメント損失は153,801千円(前事業年度は208,163千円のセグメント損失)となりました。
② 当期の財政状態の概況
(資産)
当事業年度末の流動資産は、前事業年度末と比較して781,361千円増加し、5,451,454千円となりました。これは主に、出版事業が好調であったことに伴い現金及び預金(前事業年度末比674,903千円増)並びに売掛金(同182,844千円増)が大きく増加したことによるものであります。
固定資産は、前事業年度末と比較して101,046千円減少し、188,663千円となりました。これは主に、ゲーム事業の譲渡に伴い無形固定資産(同60,092千円減)並びに繰延税金資産(同57,805千円減)が減少したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末の流動負債は、前事業年度末に比べ197,719千円増加し、1,190,826千円となりました。これは主に、出版事業売上高が堅調に推移したことに伴い未払法人税等(前事業年度末比111,040千円増)並びに未払消費税等(同64,345千円増)が増加したことによるものであります。
固定負債は、前事業年度末に比べ30,425千円減少し、22,803千円となりました。これは主に、借入金の返済に伴い長期借入金が減少(同34,421千円減)したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べ513,020千円増加し、4,426,488千円となりました。これは主に当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加(前事業年度末比513,158千円増)によるものであります。
③ 当期のキャッシュ・フローの概況
当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は前事業年度末より674,903千円増加し、3,152,938千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは731,293千円の収入(前事業年度は26,202千円の収入)となりました。主な増加要因は、税引前当期純利益の増加、並びに法人税等の還付等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは12,567千円の支出(前事業年度は87,404千円の支出)となりました。これは「絵本」ジャンルの強化に向けて絵本投稿サイト「絵本ひろば」を制作したことに伴う無形固定資産の取得による支出が発生したこと、及び、株式会社アルファゲームス設立時の出資にかかわる支出、並びに株式会社アルファゲームスへのゲーム事業譲渡に伴う売却収入によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは43,822千円の支出(前事業年度は33,228千円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、ゲーム事業につきましては、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
| セグメントの名称 | 当事業年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 出版事業(千円) | 3,502,296 | 92.2 |
| ゲーム事業(千円) | - | - |
| 合計(千円) | 3,502,296 | 92.2 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
受注生産を行っておりませんので、受注状況に関する記載はしておりません。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当事業年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 出版事業(千円) | 3,877,416 | 138.5 |
| ゲーム事業(千円) | 336,129 | 87.2 |
| 合計(千円) | 4,213,546 | 132.3 |
(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前事業年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) | 当事業年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| 株式会社星雲社 | 2,251,885 | 70.7 | 2,299,252 | 54.6 |
| 株式会社出版デジタル機構 | 453,861 | 14.2 | 1,339,107 | 31.8 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表」の「注記事項(重要な会計方針)」に記載しているとおりであります。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当社の経営成績等について
当社の属する出版業界は、平成29年(1月から12月まで)の紙の出版物の推定販売金額が前年比6.9%減の1兆3,701億円となり、13年連続のマイナスとなる厳しい状況が続いております。一方、電子出版物については、同16.0%増の2,215億円となり、堅調に成長を続けております。
このような環境の中、当社が経営上の目標の達成状況を判断するための指標として用いている、売上高、営業利益及び当期純利益は次のような結果となりました。
| 指標 | 前事業年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) | 当事業年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | 前年同期比 (%) |
| 売上高 | 3,185,536千円 | 4,213,546千円 | 132.3 |
| 営業利益 | 174,101 | 757,579 | 435.1 |
| 当期純利益 | 101,098 | 513,158 | 507.6 |
上記表の通り、出版市場が縮小する中において、各指標が大きく成長したのは次の要因からであります。
1点目は、当社ビジネスモデルがより強固になったことが挙げられます。
当社主力であるライトノベル市場は、徐々に競争環境が厳しくなってきており、特にWeb上の良質なコンテンツは各出版社での奪い合いが生じている状況にあります。このような状況下において、当社では、良質なコンテンツを当社投稿サイトに投稿いただき、その中から、ヒット作を生み出すことを目指してまいりました。その結果、当事業年度においては、当社投稿サイトから『異世界ゆるり紀行』や『いずれ最強の錬金術師?』に代表される新シリーズタイトルを、数多く出版することに成功し、かつ、それらの売行きは軒並み好調となりました。この結果は、Webの人気作を自社サイトから確実に調達、出版し、ヒットさせる体制が、より一層強固なものとなったといえます。
2点目は、戦略的に強化を図っております漫画が好調であったことが挙げられます。
当社は、上場以来、更なる業績拡大及びポートフォリオ最適化の観点から、今後は特定のジャンルに依存しないよう取扱書籍のジャンル拡大を図る必要があると考えてきておりました。その中でも、漫画は、市場として非常に有望であり、かつ、電子書籍との親和性も高いことから、当社といたしましては最も注力したいジャンルと位置づけてきました。その漫画の当事業年度の刊行点数は前事業年度を上回る75点(前事業年度比11点増)となりました。また、各書籍の売行きにつきましては、『ゲート』や『Re:Monster』などの既存人気タイトルが引続き堅調であったことに加え、当事業年度で新たに刊行した『最強の職業は勇者でも賢者でもなく鑑定士(仮)らしいですよ?1』(本書提出日現在、3刷・3.8万部を突破)などの、新規コミカライズタイトルの売行きも好調に推移し、業績を牽引いたしました。
3点目は、電子書籍の販売体制が強化されたことが挙げられます。
当社は、電子書籍の普及率や市場規模が市場関係者の期待どおりに進んでいない状況にあること、及び、電子書籍の売上の大部分が漫画であることから、これまで電子書籍専用端末やスマートフォン向けの電子書籍販売は、戦略的に静観する方針としておりました。しかしながら、電子書籍が徐々に普及してきたことに加え、当社の漫画ジャンルが強化されてきたことから、平成28年1月より、電子書籍取次経由での電子書籍の販売を開始いたしました。当事業年度では、その販売体制が強化されたことに加え、当社書籍群と電子書籍は親和性が高いことから、紙書籍と電子書籍の市場規模比率以上に、電子書籍の売上高を拡大させることに成功し、業績を大きく牽引する成果を挙げることができました。
そして最後に、ゲーム事業の展開の方向性が定まったことが挙げられます。
当社は、平成27年5月に、当社経営理念「新しい時代のエンターテインメントの追求へ」に基づき、「ゲーム事業」という新たなエンターテインメント分野に進出いたしました。しかしながら、競争環境が厳しく、ゲーム開発・運営ノウハウが十分に蓄積されていない当社のみでの収益化が困難であると判断いたしました。そこで、ゲーム開発・運営部隊というリソースを持ち、ゲーム事業のノウハウが豊富な株式会社キューマックスと組むことで、ゲーム事業の確かな強化、そしてゲーム事業の次なる成長展開へと挑むことにいたしました。具体的には、平成30年1月に当社ゲーム事業を、株式会社キューマックスと当社の共同出資により新たに設立した株式会社アルファゲームスに譲渡いたしました。譲渡先となる株式会社アルファゲームスの代表取締役には、ゲーム事業の経営経験が豊富な株式会社キューマックス代表取締役・吉武直志氏が就任しており、今後のゲーム事業展開については、一定の方向性を打ち立てることができました。
上記により、市場環境が厳しい中、当事業年度における当社の各指標(売上高、営業利益並びに当期純利益)は、大きく成長いたしました。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性について
当社の運転資金需要のうち主なものは、出版事業に係わる製造費(印刷費、印税など含む。)、販売費及び一般管理費等の営業費であります。投資を目的とした資金需要は、当社ビジネスモデルの基幹となる投稿サイトに対する開発費となります。
当社は、運転資金及び投資を目的とした資金につきましては、内部資金または借り入れにより資金調達することとしております。
なお、当事業年度末における借入金の残高は、53,729千円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、3,152,938千円となっております。