有価証券報告書-第20期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/24 15:10
【資料】
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【項目】
103項目
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度(2019年4月1日から2020年3月31日まで)におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善により緩やかな回復基調で推移したものの、新型コロナウイルス感染症の影響により足下で大幅に下押しされており、厳しい状況にあります。また、当該感染症が内外経済をさらに下振れさせる懸念もあり、景気は依然として先行き不透明な状況で推移しております。
当社が属する出版業界におきましては、紙の出版物の市場は引き続き厳しい傾向にあるものの、一方で電子出版の市場は順調な成長を続けております。出版科学研究所によると、2019年(1月から12月まで)の紙と電子出版を合算した推定販売金額は、前年比0.2%増となる1兆5,432億円となり、その内訳は、紙の出版物については同4.3%減となる1兆2,360億円、電子出版については同23.9%増の3,072億円となっております。
こうした環境の中、インターネット発の出版の先駆者である当社は、「これまでのやり方や常識に全くとらわれず」、「良いもの面白いもの望まれるものを徹底的に追求していく」というミッションの下、インターネット時代の新しいエンターテインメントを創造することを目的とし、インターネット上で話題となっている小説・漫画等のコンテンツを書籍化する事業に取り組んでまいりました。
当事業年度における書籍のジャンル別の概況は、次のとおりであります。
(ライトノベル)
当事業年度の刊行点数は202点(前事業年度比6点減)となりました。各書籍の売れ行きにつきましては、『異世界ゆるり紀行』、『いずれ最強の錬金術師?』、『素材採取家の異世界旅行記』等の当社投稿サイトから誕生した人気シリーズの続刊が引き続き好調に推移いたしました。また、電子書籍につきましては、親和性の高い女性向け小説を中心に販売数を伸ばし、売上を牽引いたしました。
しかし、当事業年度における刊行点数が前事業年度から減少したこと等により、当事業年度の売上高は前事業年度を僅かばかり下回る着地となりました。
(漫画)
当事業年度の刊行点数は前事業年度を上回る102点(前事業年度比11点増)となりました。シリーズ累計117万部を突破した『月が導く異世界道中』等の人気シリーズが堅調に推移したことに加え、『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』等のライトノベル人気作の新規コミカライズが好調な売れ行きを示しました。また、当ジャンルとの親和性が極めて高い電子書籍につきましては、新刊配信点数が増加したことに比例して販売数も伸長し、さらに人気シリーズの新刊配信月においてはまとめ買い等により当該シリーズの既刊書籍も大きく動いたこと等により、売上は大幅に増加いたしました。
結果、当事業年度の売上高は前事業年度を大きく上回り、過去最高を大幅に更新いたしました。
(文庫)
当事業年度の刊行点数は138点(前事業年度比9点減)となりました。各書籍の売れ行きにつきましては、シリーズ累計110万部を突破した『居酒屋ぼったくり』の文庫版が引き続き好調に推移し、売上を牽引いたしました。また、キャラ文芸大賞の受賞作『晴明さんちの不憫な大家』の第2弾を刊行する等、新たなジャンルの強化を図ってまいりました。
しかしながら、刊行点数の減少を主因として、当事業年度の売上高は前事業年度を下回る結果となりました。
(その他)
当事業年度の刊行点数は24点(前事業年度比1点増)となりました。当ジャンルにおきましては、人気絵本作家・新井洋行氏の新作絵本『赤ちゃんと四季の絵本シリーズ』4冊を刊行する等、引き続き取り扱いジャンルの拡大に向けた活動に注力してまいりました。
しかし、刊行書籍1点あたりの発行部数は前事業年度に及ばず、当事業年度の売上高は前事業年度を下回る金額で着地いたしました。
以上の活動の結果、当事業年度の売上高は5,631,353千円(前事業年度比13.1%増)となり、過去最高を更新いたしました。
一方利益面におきましては、期首に見込んでいなかった本社移転及びポイント引当金による一時費用の計上や採用強化に係る人材投資費用の計画以上の発生、さらに本社移転に係る特別損失の計上が利益を押し下げる要因となったものの、営業利益は1,461,998千円(同7.6%増)、経常利益は1,461,387千円(同7.7%増)、当期純利益は880,089千円(同4.5%増)となり、それぞれ過去最高を更新いたしました。
また、当事業年度末における資産合計は7,614,935千円(前事業年度末比10.7%増)、負債合計は1,466,104千円(同8.9%減)、純資産合計は6,148,830千円(同16.7%増)となりました。
(注)シリーズ累計部数:同作品の続編に加え同作品の漫画及び文庫を含み、部数は電子書籍販売数を含む。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は前事業年度末より332,511千円増加し、4,546,132千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは437,667千円の収入(前事業年度は1,052,884千円の収入)となりました。主な増加要因は、税引前当期純利益の計上、未払金及びポイント引当金の増加によるものであります。また、主な減少要因は、売上債権の増加、返品調整引当金の減少、たな卸資産の増加及び法人税等の支払によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは116,394千円の支出(前事業年度は1,664千円の支出)となりました。これは主に、敷金及び保証金の差入による支出81,775千円及び有形固定資産の取得による支出29,430千円が発生したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは11,238千円の収入(前事業年度は9,462千円の収入)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出37,216千円があった一方で、長期借入れによる収入50,000千円が発生したことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社は出版事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
a.生産実績
事業区分当事業年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
出版事業(千円)3,248,04692.1
合計(千円)3,248,04692.1

(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
受注生産を行っておりませんので、受注状況に関する記載はしておりません。
c.販売実績
事業区分当事業年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
出版事業(千円)5,631,353113.1
合計(千円)5,631,353113.1

(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前事業年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
当事業年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
株式会社メディアドゥ2,319,20146.62,974,40252.8
株式会社星雲社2,334,86846.92,122,06837.7

(注)株式会社出版デジタル機構と株式会社メディアドゥは2019年3月1日をもって合併し、株式会社出版デジタル機構は株式会社メディアドゥに社名を変更しております。上記の株式会社メディアドゥの売上高には株式会社出版デジタル機構の売上高を含めております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(資産)
当事業年度末の流動資産は、前事業年度末と比較して628,498千円増加し、7,300,795千円となりました。これは主に、現金及び預金が増加(前事業年度末比332,511千円増)したこと並びに売掛金が増加(同221,396千円増)したことによるものであります。
固定資産は、前事業年度末と比較して108,299千円増加し、314,139千円となりました。これは主に、本社移転に伴い敷金が増加(同87,711千円増)したこと及び建物附属設備が増加(同18,096千円増)したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末の流動負債は、前事業年度末に比べ164,098千円減少し、1,407,674千円となりました。これは主に、未払金の増加(前事業年度末比48,957千円増)及びポイント引当金の増加(同26,880千円増)があった一方で、未払法人税等の減少(同194,485千円減)及び返品調整引当金の減少(同59,549千円減)があったことによるものであります。
固定負債は、前事業年度末に比べ20,899千円増加し、58,429千円となりました。これは主に、長期借入金の増加(同22,352千円増)によるものであります。
(純資産)
当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べ879,996千円増加し、6,148,830千円となりました。これは主に、当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加(前事業年度末比880,089千円増)によるものであります。
b.経営成績の分析
(売上高)
当事業年度の売上高は5,631,353千円となり、前事業年度に比べ653,767千円の増加となりました。これは主に、当社投稿サイト発の新シリーズの売行きが軒並み好調であったことに加え、電子書籍の販売体制強化により電子書籍売上が大幅に伸長したことによるものであります。
(営業利益)
当事業年度の営業利益は1,461,998千円となり、前事業年度に比べ103,774千円の増加となりました。これは主に、売上高が増加したことによるものであります。
(当期純利益)
当事業年度の当期純利益は880,089千円となり、前事業年度に比べ37,743千円の増加となりました。
c.経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性について
当社の運転資金需要のうち主なものは、出版事業に係わる製造費(印刷費、印税など含む。)、販売費及び一般管理費等の営業費であります。投資を目的とした資金需要は、当社ビジネスモデルの基幹となる投稿サイトに対する開発費となります。
当社は、運転資金及び投資を目的とした資金につきましては、内部資金または借り入れにより資金調達することとしております。
なお、当事業年度末における借入金の残高は、77,428千円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、4,546,132千円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 追加情報」に記載のとおりであります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
a.繰延税金資産
当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しておりますが、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、将来の不確実な経済条件の変動等により課税所得の見積り額が減少した場合には、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
b.返品調整引当金
出版業界における特殊な慣行として、取次及び書店に配本した出版物について配本後も返品を受け入れることを条件とする、委託販売制度があります。当社は、これらの返品による損失に備えるため、原価率、返品率、再出庫率等を計算基礎として返品調整引当金を計上しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動等によりこれらの計算基礎に変動が生じた場合には、認識する返品調整引当金の金額に重要な影響を与える可能性があります。

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