有価証券報告書-第50期(平成30年9月1日-令和1年8月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
① 財政状態及び経営成績の状況
(経営成績の状況)
当連結会計年度(2018年9月1日~2019年8月31日)においては、米中間の通商問題を発端とする世界経済の下振れリスクの増大、中東・アジア地域における地政学的リスクへの懸念等、海外経済の先行きは依然として不透明な状況が続いております。一方、わが国経済は、今年10月の消費税率の引き上げ等、同様に不透明な状況ではあるものの、全般的に企業を取り巻く環境は緩やかな回復基調が続きました。
このような経済環境と見通しの中、当社グループは、国内市場においては、長年に渡り積み上げてきた技術力と顧客からの信用力を活かし、今後も既存事業領域における受注拡大を図るとともに、新規事業領域・拠点等での事業の拡充を進めてまいります。また、海外市場においては、堅調な経済成長を続けるベトナムにおける建設投資需要を積極的に取り込みつつ、受注の拡大を図ってまいります。
当連結会計年度の経営成績は、売上高103億70百万円(前年同期比12.1%増)、営業損失88百万円(前年同期は営業利益1億62百万円)、経常損失82百万円(前年同期は経常利益1億51百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失 1億25百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益10億99百万円)となりました。
セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。
a 国内EPC事業 ※
国内EPC事業においては、JESCO CNS株式会社において、ETC、CCTV等の高速道路付帯設備及び太陽光発電設備工事を中心として若干の増収となりましたが、特に第4四半期において工事竣工前に繁忙期と重なったことによる外注労務単価の高騰等の影響により大幅な減益となりました。また、JESCO SUGAYA株式会社においては、電気設備関連及び太陽光発電設備工事を中心に増収増益となりました。
当連結会計年度における当セグメントの経営成績は、売上高74億18百万円(前年同期比10.0%増)、セグメント損失1億15百万円(前年同期はセグメント利益1億5百万円)となりました。
b アセアンEPC事業 ※
アセアンEPC事業においては、JESCO ASIA JOINT STOCK COMPANYにおいて、電気を中心に設計業務の出来高が増加したものの、前期に大型工事案件が完工したこと等により減収となりました。また、JESCO HOA BINH ENGINEERING JOINT STOCK COMPANYにおいては、ホーチミン市の大型集合住宅の電気設備、空調換気設備、給排水衛生設備等の工事が進行したことにより増収となりましたが、競争激化に伴う受注粗利の低下及び材料費の上昇等から大幅な減益となりました。
当連結会計年度における当セグメントの経営成績は、売上高28億21百万円(前年同期比22.1%増)、セグメント損失27百万円(前年同期はセグメント利益1億24百万円)となりました。
c 不動産事業
不動産事業は、前第4四半期連結会計期間において、賃貸用資産(JESCO新宿御苑ビル)を売却したこと等により減収となりましたが、引き続き賃貸管理収入により安定した収益事業となっております。
当連結会計年度における当セグメントの経営成績は、売上高1億30百万円(前年同期比35.8%減)、セグメント利益1億6百万円(同32.9%減)となりました。
※ EPC = Engineering(設計)、Procurement(調達)、Construction(建設)の略
(財政状態の状況)
当連結会計年度末における流動資産は、53億92百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億71百万円の減少となりました。これは、受取手形・完成工事未収入金等が7億75百万円、未成工事支出金が1億64百万円減少したこと等によるものであります。当連結会計年度末における固定資産は、36億3百万円となり、前連結会計年度末に比べ63百万円の減少となりました。これは有形固定資産が、主に減価償却費の計上により1億4百万円減少し、投資その他の資産が、投資有価証券を中心に44百万円増加したこと等によるものであります。この結果、当連結会計年度末における資産合計は、90億4百万円となり、11億36百万円の減少となりました。
当連結会計年度末における流動負債は、35億98百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億32百万円の減少となりました。これは、未払法人税等が3億95百万円、短期借入金が3億90百万円、支払手形・工事未払金等が2億 49百万円減少し、未成工事受入金が4億22百万円増加したこと等によるものであります。当連結会計年度末における固定負債は、19億72百万円となり、前連結会計年度末に比べ78百万円の減少となりました。これは社債が 50百万円減少したこと等によるものであります。この結果、当連結会計年度末における負債合計は、55億71百万円となり、9億10百万円の減少となりました。
当連結会計年度末における純資産合計は、34億33百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億25百万円の減少となりました。これは資本金が24百万円、資本剰余金が44百万円増加し、利益剰余金が1億89百万円、非支配株主持分が66百万円減少したこと等によるものであります。
なお、自己資本比率は前連結会計年度末の32.3%から当連結会計年度末は34.7%になりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2億45百万円減少し、12億45百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フロ-は、売上債権の減少7億23百万円、未成工事受入金の増加4億39百万円等の増加要因に対し、仕入債務の減少2億38百万円、法人税等の支払額3億89百万円等の減少要因により、5億61百万円の収入(前連結会計年度は2億41百万円の支出)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フロ-は、投資有価証券の売却による収入20百万円等の増加要因に対し、定期預金の預入による支出1億4百万円、投資有価証券の取得による支出1億4百万円等の減少要因により、1億99百万円の支出(前連結会計年度は22億90百万円の収入)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フロ-は、短期借入れによる収入9億83百万円等の増加要因に対し、短期借入金の返済による支出13億48百万円、社債の償還による支出50百万円、配当金の支払額64百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出30百万円等の減少要因により、5億53百万円の支出(前連結会計年度は11億71百万円の支出)となりました。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループは、主に営業活動から得られるキャッシュ・フローのほか、外部からの資金調達については、銀行借入れ等により実施しております。
また、営業債務や設備投資資金の支払、借入金の返済等に向けた資金需要に備えて、充分な資金を確保するために、適時にグループ各社からの報告に基づき資金繰計画を作成する等の方法により、資金の流動性確保を図りつつ、余剰資金が生じた場合には、財務体質の改善、更なる事業の拡大を目指した今後のM&A資金、海外事業の拡大に向けた投資、業務改革の推進や事業競争力の強化に向けたIT投資等の目的に充当する方針であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため、生産実績は記載しておりません。
b 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前期比(%) | 受注残高(千円) | 前期比(%) |
| 国内EPC事業 | 6,294,973 | △31.9 | 6,348,789 | △14.7 |
| アセアンEPC事業 | 2,782,251 | △25.4 | 3,175,802 | △0.6 |
| 不動産事業 | 179,320 | △11.5 | ― | ― |
| 合計 | 9,256,544 | △29.7 | 9,524,591 | △10.5 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(千円) | 前期比(%) |
| 国内EPC事業 | 7,418,958 | 10.0 |
| アセアンEPC事業 | 2,821,721 | 22.1 |
| 不動産事業 | 130,177 | △35.8 |
| その他 | ― | △100.0 |
| 合計 | 10,370,857 | 12.1 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| Hoa Binh Construction Group Joint Stock Company | 1,146,433 | 12.4 | 2,081,036 | 20.1 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
d 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 仕入高(千円) | 前期比(%) |
| 国内EPC事業 | 1,897,768 | 1.5 |
| アセアンEPC事業 | 1,214,625 | 43.6 |
| 合計 | 3,112,393 | 14.6 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 主な相手先別の仕入実績及び総仕入実績に対する割合は、次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| ヤマト電機株式会社 | 659,684 | 24.3 | 390,309 | 12.5 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
e 外注実績
当連結会計年度における外注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 外注高(千円) | 前期比(%) |
| 国内EPC事業 | 2,826,174 | 2.1 |
| アセアンEPC事業 | 666,030 | 76.9 |
| 合計 | 3,492,205 | 11.0 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを行う必要があります。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 財政状態の分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 (財政状態の状況)」をご参照ください。
b 経営成績の分析
イ 売上高
当連結会計年度における売上高は、103億70百万円(前年同期比12.1%増)となりました。
当社グループのセグメントごとの外部顧客への売上高の内訳は、国内EPC事業が74億18百万円(同10. 0%増)、アセアンEPC事業が28億21百万円(同22.1%増)、不動産事業が1億30百万円(同35.8%減)となりました。
国内EPC事業においては、JESCO CNS株式会社において、高速道路付帯設備等を中心として若干の増収となり、JESCO SUGAYA株式会社において、電気設備関連及び太陽光発電設備工事を中心に増収となり、事業全体としても増収となりました。
また、アセアンEPC事業においては、JESCO HOA BINH ENGINEERING JOINT STOCK COMPANYにおいて、ホーチミン市の大型集合住宅の電気設備等の工事が進行したこと、また、不動産事業においては、前連結会計年度後半において、賃貸用資産(JESCO新宿御苑ビル)を売却したこと等によるものであります。
当社グループの経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、次のとおりであります。
当社グループにおいて目標として掲げております海外売上高比率については、前連結会計年度から2ポイント増加の27.2%となりました。ベトナムにおける民間建設投資需要の拡大に伴い好調を維持しているJESCO HOA BINH ENGINEERING JOINT STOCK COMPANYを中心に、該当するアセアンEPC事業の売上高は、前連結会計年度と比較し増収となっております。
今後も、経済成長が著しいベトナムを中心とするアセアン地域における事業拡大に向け、海外子会社3社によるローカルビジネスの深耕拡大を図ってまいります。
また、グループ全体の売上高につきましても、今後、国内を中心に増加が見込まれる社会インフラ設備のメンテナンス需要や、情報通信技術革新による5G対応設備への対応等、引き続きグループ全体での受注拡大を図ってまいります。
ロ 営業利益
当連結会計年度における営業損失は、88百万円(前年同期は営業利益1億62百万円)となりました。
当社グループのセグメント利益の内訳は、国内EPC事業がセグメント損失1億15百万円(前年同期はセグメント利益1億5百万円)、アセアンEPC事業がセグメント損失27百万円(前年同期はセグメント利益1億24百万円)、不動産事業がセグメント利益1億6百万円(前年同期比32.9%減)となりました。
ハ 経常利益
当連結会計年度における経常損失は、82百万円(前年同期は経常利益1億51百万円)となりました。
これは、営業外収益42百万円を計上した一方、営業外費用36百万円を計上したことによるものであります。
ニ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損失は、1億25百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益10億99百万円)となりました。
これは主に、投資有価証券売却益7百万円を特別利益に計上した一方、固定資産除却損9百万円及び減損損失8百万円を特別損失に計上し、法人税、住民税及び事業税11百万円、法人税等調整額26百万円、非支配株主に帰属する当期純損失6百万円を計上したこと等によるものであります。
c キャッシュ・フローの状況の分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
d 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、組織体制、法的規制等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
e 経営戦略の現状と見通し
今後における当社グループの事業を取り巻く経営環境は、原材料の高騰や、同業者間での価格やサービスの競争等により、引き続き厳しい状況で推移していくことが予想されます。
こうした状況のなか、当社グループにおきましては、日本国内において今後も安定した収益基盤を構築するとともに、今後更なるインフラ整備の需要増大が期待されるアセアン地域において、事業の拡大を図るため、積極的な事業展開を図ってまいります。
f 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループが今後の業容を拡大し、より良いサービスを継続的に展開していくためには、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 会社の対処すべき課題」に記載の様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。
これらの課題に対応するために、常に外部環境の構造やその変化に関する情報の入手及び分析を行い、アセアン地域でのシェア拡大、優秀な人材の採用と教育、安全への取り組み、営業体制の強化を図ってまいります。