有価証券報告書-第52期(令和2年9月1日-令和3年8月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
(経営成績の状況)
当連結会計年度(2020年9月1日~2021年8月31日)のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言が繰り返し発令されるなど、依然として厳しい状況が続きましたが、年度後半には輸出や設備投資の増加を背景に一部の企業では収益の持ち直しの動きが見られました。
このような経済環境の中、当社グループでは、国内外において、DXによる働き方改革やテレワークを始めとしたバーチャルでの執務環境の一体化、クラウドを活用した教育システムであるJESCOアカデミーの構築など、ニューノーマルな時代に適応した体制作りを行ってまいりました。この体制のもと、持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向けて、脱炭素社会構築への取り組みや5G等の通信関連設備、防災減災関連設備など社会インフラ整備に向けて事業拡大を進めてまいりました。
国内においては、太陽光発電等の再生可能エネルギー関連設備工事が評価され、日本経済新聞NEXT1000に「脱炭素 実現支える新興勢」として紹介されるとともに、当社自らが再生エネルギー100%の利用を目指す新たな枠組みである「再エネ100宣言RE Action」に参画し2050年までに使用電力100%再エネルギー化を公表いたしました。さらに、自社保有である那智の滝の保安林(16.7ha、CO2削減330トン当社推定)に加え、新たに吉野杉林(4.6ha)を取得予定で、CO2削減及び水源確保などの環境保全に注力し、ESGへの取り組みを拡大してまいります。
海外においても、ベトナムの設計積算部門ではDXによる国内設計部門との仮想空間での一体化やテレワークにより、新型コロナウイルス感染流行下においても一件の遅延を出すことなく安定的に業務を遂行いたしました。また、スリランカ国バンダラナイケ国際空港ターミナル拡張工事(18万㎡)の電気設備の大型案件(35.4億円)を受注し、同国での更なるEPC案件の受注拡大とともにアセアン地域及び南アジアにおける国際空港や河川災害防止工事、太陽光発電設備工事の受注拡大を図ってまいります。
このような状況のもと、当連結会計年度の業績は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの、前期業績に対して増収増益となりました。
経営成績は、売上高92億68百万円(前年同期比3.1%増)、営業利益5億60百万円(前年同期比64.4%増)、経常利益6億1百万円(前年同期比53.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4億63百万円(前年同期比47.1%増)となりました。
セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。
a 国内EPC事業
国内EPC事業において、JESCO株式会社では、一部で新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの、太陽光発電設備工事の完工量及び元請受注が増加・拡大したことに加え、5G等の環境整備に向けた移動体通信システム関連工事量が増加したことで、増収増益となりました。また、JESCO SUGAYA株式会社においても、大型太陽光発電設備工事や渡良瀬川流域の防災無線工事等が順調に推移し、増収増益となりました。
当連結会計年度における当セグメントの経営成績は、売上高74億54百万円(前年同期比6.1%増)、セグメント利益5億73百万円(前年同期比66.5%増)となりました。
b アセアンEPC事業
アセアンEPC事業において、JESCO ASIA JOINT STOCK COMPANYでは、全社員(180名)がテレワークを実施することで新型コロナウイルス感染症の影響を最小限に抑え、設計積算部門の安定的な事業継続につながりました。また、フエ省防災無線ODAプロジェクト工事が増収に寄与したものの、台風と長雨の影響により工期が延伸したため、全体として増収減益となりました。
一方、JESCO HOA BINH ENGINEERING JOINT STOCK COMPANYでは、前年度から続くホーチミン市における大型集合住宅の投資抑制や新型コロナウイルス感染症の影響による工事の遅延・中断があり、その対応として人員削減(65名)による固定費削減を実施するとともに、新たな大規模リゾート施設電気設備工事への取り組みにより損失は改善傾向にあります。この結果、当事業全体としては減収となったものの、黒字転換となりました。
当連結会計年度における当セグメントの経営成績は、売上高16億12百万円(前年同期比11.7%減)、セグメント利益28百万円(前年同期はセグメント損失85百万円)となりました。
c 不動産管理事業
不動産管理事業においては、当連結会計年度に取得したJESCO新宿御苑ビルの賃貸管理収入により収益が好転したものの、経年劣化に伴うJESCO新中野ビルの大規模修繕工事により、増収減益となりました。
当連結会計年度における当セグメントの経営成績は、売上高2億1百万円(前年同期比40.7%増)、セグメント損失14百万円(前年同期はセグメント利益79百万円)となりました。
(財政状態の状況)
当連結会計年度末における流動資産は、42億28百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億18百万円の減少となりました。これは、現金及び預金が1億75百万円増加し、受取手形・完成工事未収入金等が6億84百万円、未成工事支出金が1億42百万円減少したこと等によるものであります。当連結会計年度末における固定資産は、75億60百万円となり、前連結会計年度末に比べ24億42百万円の増加となりました。これは有形固定資産が、建物及び構築物が6億18百万円、土地が18億57百万円の増加により24億97百万円増加したこと等によるものであります。この結果、当連結会計年度末における資産合計は、117億95百万円となり、18億23百万円の増加となりました。
当連結会計年度末における流動負債は、38億9百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億98百万円の増加となりました。これは、未成工事受入金が1億61百万円減少し、短期借入金が5億16百万円増加したこと等によるものであります。当連結会計年度末における固定負債は、39億92百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億33百万円の増加となりました。これは長期借入金が11億25百万円増加したこと等によるものであります。この結果、当連結会計年度末における負債合計は、78億1百万円となり、14億31百万円の増加となりました。
当連結会計年度末における純資産合計は、39億94百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億92百万円の増加となりました。これは、利益剰余金が3億64百万円増加したこと等によるものであります。
なお、自己資本比率は前連結会計年度末の33.8%から当連結会計年度末は32.1%になりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ3億40百万円増加し、13億55百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フロ-は、売上債権の減少7億13百万円、税金等調整前当期純利益6億48百万円、減価償却費1億14百万円等の増加要因に対し、仕入債務の減少1億4百万円、未成工事受入金の減少1億65百万円等の減少要因により、11億58百万円の収入(前連結会計年度は1億47百万円の支出)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フロ-は、定期預金の払戻による収入3億86百万円、投資有価証券の売却による収入4億17百万円等の増加要因に対し、固定資産の取得による支出25億99百万円、定期預金の預入による支出2億19百万円、投資有価証券の取得による支出3億72百万円等の減少要因により、23億85百万円の支出(前連結会計年度は16億93百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フロ-は、短期借入れによる収入25億59百万円、長期借入による収入13億10百万円等の増加要因に対し、短期借入金の返済による支出20億42百万円、配当金の支払額98百万円、社債の償還による支出50百万円、長期借入金の返済による支出1億12百万円等の減少要因により、15億52百万円の収入(前連結会計年度は16億10百万円の収入)となりました。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループは、主に営業活動から得られるキャッシュ・フローのほか、外部からの資金調達については、銀行借入れ等により実施しております。
また、営業債務や設備投資資金の支払、借入金の返済等に向けた資金需要に備えて、充分な資金を確保するために、適時にグループ各社からの報告に基づき資金繰計画を作成する等の方法により、資金の流動性確保を図りつつ、余剰資金が生じた場合には、財務体質の改善、更なる事業の拡大を目指した今後のM&A資金、海外事業の拡大に向けた投資、業務改革の推進や事業競争力の強化に向けたIT投資等の目的に充当する方針であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため、生産実績は記載しておりません。
b 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前期比(%) | 受注残高(千円) | 前期比(%) |
| 国内EPC事業 | 7,646,537 | 10.0 | 6,485,694 | 3.2 |
| アセアンEPC事業 | 4,341,167 | 135.6 | 5,975,523 | 85.7 |
| 不動産管理事業 | 237,934 | 32.5 | - | - |
| 合計 | 12,225,638 | 36.2 | 12,461,217 | 31.1 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(千円) | 前期比(%) |
| 国内EPC事業 | 7,454,503 | 6.1 |
| アセアンEPC事業 | 1,612,622 | △11.7 |
| 不動産管理事業 | 201,573 | 40.7 |
| その他 | - | - |
| 合計 | 9,268,700 | 3.1 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| Hoa Binh Construction Group Joint Stock Company | 1,174,451 | 13.1 | 465,438 | 5.0 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
d 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 仕入高(千円) | 前期比(%) |
| 国内EPC事業 | 1,773,167 | 18.9 |
| アセアンEPC事業 | 471,205 | 2.8 |
| 合計 | 2,244,373 | 15.1 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 主な相手先別の仕入実績及び総仕入実績に対する割合は、次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| ヤマト電機株式会社 | 245,066 | 12.6 | 242,325 | 10.8 |
3. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
e 外注実績
当連結会計年度における外注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 外注高(千円) | 前期比(%) |
| 国内EPC事業 | 2,627,465 | △8.4 |
| アセアンEPC事業 | 548,855 | 8.3 |
| 合計 | 3,176,321 | △5.9 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを行う必要があります。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症に関する会計上の見積りに関しては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)をご参照ください。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 財政状態の分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 (財政状態の状況)」をご参照ください。
b 経営成績の分析
イ 売上高
当連結会計年度における売上高は、92億68百万円(前年同期比3.1%増)となりました。
当社グループのセグメントごとの外部顧客への売上高の内訳は、国内EPC事業が74億54百万円(同6.1%増)、アセアンEPC事業が16億12百万円(同11.7%減)、不動産管理事業が2億1百万円(同40.7%増)となりました。
グループ全体の売上高につきましても、今後、国内を中心に増加が見込まれる社会インフラ設備のメンテナンス需要や、情報通信技術革新による5G対応設備への対応等、引き続きグループ全体での受注拡大を図ってまいります。
ロ 営業利益
当連結会計年度における営業利益は、5億60百万円(前年同期比64.4%増)となりました。
当社グループのセグメント利益の内訳は、国内EPC事業がセグメント利益5億73百万円(前年同期比66.5%増)、アセアンEPC事業がセグメント利益28百万円(前年同期はセグメント損失85百万円)、不動産管理事業がセグメント損失14百万円(前年同期はセグメント利益79百万円)となりました。
ハ 経常利益
当連結会計年度における経常利益は、6億1百万円(前年同期比53.9%増)となりました。
これは、営業外収益1億円を計上した一方、営業外費用60百万円を計上したことによるものであります。
ニ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、4億63百万円(前年同期比47.1%増)となりました。
これは主に、投資有価証券売却益47百万円を特別利益に計上し、法人税、住民税及び事業税1億41百万円、法人税等調整額66百万円、非支配株主に帰属する当期純損失23百万円を計上したこと等によるものであります。
c キャッシュ・フローの状況の分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
d 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、組織体制、法的規制等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
e 経営戦略の現状と見通し
今後における当社グループの事業を取り巻く経営環境は、原材料の高騰や、同業者間での価格やサービスの競争等により、引き続き厳しい状況で推移していくことが予想されます。
こうした状況のなか、当社グループにおきましては、日本国内において今後も安定した収益基盤を構築するとともに、今後更なるインフラ整備の需要増大が期待されるアセアン地域において、事業の拡大を図るため、積極的な事業展開を図ってまいります。
f 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループが今後の業容を拡大し、より良いサービスを継続的に展開していくためには、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 会社の対処すべき課題」に記載の様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。
これらの課題に対応するために、常に外部環境の構造やその変化に関する情報の入手及び分析を行い、アセアン地域でのシェア拡大、優秀な人材の採用と教育、安全への取り組み、営業体制の強化を図ってまいります。