有価証券報告書-第51期(令和1年9月1日-令和2年8月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
(経営成績の状況)
当連結会計年度(2019年9月1日~2020年8月31日)前半においては、わが国経済は、消費税率の引き上げや相次ぐ自然災害の影響等があったものの、企業を取り巻く環境は緩やかな回復基調が続いておりました。しかしながら、米中貿易摩擦にともなう通商問題の長期化、年初からの新型コロナウイルス感染症の世界規模での拡大は、世界経済に甚大な影響を与えており、国内においても厳しい状況が続くと想定されております。
このような経済環境の中、当社グループは、国内市場においては、長年に渡り積み上げてきた技術力と顧客からの信用力を活かし、無線通信工事及び太陽光発電を中心としたエコプラント工事等の既存事業領域における受注拡大、5G通信インフラへの対応や再生可能エネルギーなど事業領域の拡大、拠点整備による国内ネットワークの強化など、事業の拡充を進めてまいりました。引き続きコスト削減に努め収益力の向上を図ってまいります。また、海外市場においては、ベトナムを中心としたアセアン諸国における建設投資需要を積極的に取り込みつつ、今後成長が期待される太陽光発電設備工事や空港電気設備工事等のODA案件も含めた受注拡大を図ってまいります。
当連結会計年度の業績は、新型コロナウイルス感染症拡大やオリンピック関連工事の1年延期の影響を受けたことにより、売上高は前期より減少したものの、利益面では前期を上回る成績を上げることが出来ました。経営成績は、売上高89億93百万円(前年同期比13.3%減)、営業利益3億40百万円(前年同期は営業損失88百万円)、経常利益3億90百万円(前年同期は経常損失82百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益3億14百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失1億25百万円)となりました。
セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。
a 国内EPC事業 ※
国内EPC事業において、JESCO株式会社では、新型コロナウイルス感染症の影響による工事中断やオリンピック関連工事の延期等により、公共システム関連工事及び電気設備関連工事を中心に減収となりましたが、移動体通信工事等による収益改善により増益となりました。一方、JESCO SUGAYA株式会社では、八ッ場ダム施設の電気工事、電気通信工事及び架空高圧送配電線工事等の受注増により大幅な増収増益となりました。この結果、当事業全体としては減収増益となりました。
当連結会計年度における当セグメントの経営成績は、売上高70億23百万円(前年同期比5.3%減)、セグメント利益3億44百万円(前年同期はセグメント損失1億15百万円)となりました。
b アセアンEPC事業 ※
アセアンEPC事業において、JESCO ASIA JOINT STOCK COMPANYでは、設計積算部門で新規顧客の獲得等により受注量が拡大するとともに、新型コロナウイルス感染症対策として講じたテレワークによる業務継続も順調に進み、収益向上に寄与しました。さらに、「二国間クレジット制度(JCM)」関連等の電気設備工事の受注もあり、増収増益となりました。一方、JESCO HOA BINH ENGINEERING JOINT STOCK COMPANYでは、ホーチミン市の大型集合住宅の電気設備等の工事において、投資抑制による工期の遅延や中断等の影響に加え、未収金の引当などにより減収減益となりました。この結果、当事業全体としては減収減益となりました。
当連結会計年度における当セグメントの経営成績は、売上高18億26百万円(前年同期比35.3%減)、セグメント損失85百万円(前年同期はセグメント損失27百万円)となりました。
c 不動産管理事業
不動産管理事業は、当連結会計年度に取得した不動産により増収となりましたが、管理費用がかさみ減益となりました。
当連結会計年度における当セグメントの経営成績は、売上高1億43百万円(前年同期比10.1%増)、セグメント利益79百万円(前年同期比25.8%減)となりました。
なお、当連結会計年度から、従来「不動産事業」として表示しておりました報告セグメントの名称を、その事業内容をより明瞭にするため、「不動産管理事業」に変更しております。
※ EPC = Engineering(設計)、Procurement(調達)、Construction(建設)の略
(財政状態の状況)
当連結会計年度末における流動資産は、48億46百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億46百万円の減少となりました。これは、現金及び預金が98百万円、受取手形・完成工事未収入金等が4億16百万円減少したこと等によるものであります。当連結会計年度末における固定資産は、51億17百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億14百万円の増加となりました。これは有形固定資産が、建物及び構築物が2億45百万円、土地が12億48百万円の増加により15億8百万円増加したこと等によるものであります。この結果、当連結会計年度末における資産合計は、99億72百万円となり、9億67百万円の増加となりました。
当連結会計年度末における流動負債は、35億11百万円となり、前連結会計年度末に比べ87百万円の減少となりました。これは、支払手形・工事未払金等が8億4百万円、未成工事受入金が1億39百万円減少し、短期借入金が7億89百万円、未払法人税等が88百万円増加したこと等によるものであります。当連結会計年度末における固定負債は、28億59百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億87百万円の増加となりました。これは長期借入金が9億7百万円増加したこと等によるものであります。この結果、当連結会計年度末における負債合計は、63億70百万円となり、7億99百万円の増加となりました。
当連結会計年度末における純資産合計は、36億1百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億67百万円の増加となりました。これは、利益剰余金が2億42百万円増加し、非支配株主持分が84百万円減少したこと等によるものであります。
なお、自己資本比率は前連結会計年度末の34.7%から当連結会計年度末は33.8%になりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2億29百万円減少し、10億15百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フロ-は、売上債権の減少4億5百万円、税金等調整前当期純利益2億67百万円、減価償却費87百万円、投資有価証券評価損54百万円等の増加要因に対し、仕入債務の減少8億10百万円、未成工事受入金の減少1億39百万円等の減少要因により、1億47百万円の支出(前連結会計年度は5億61百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フロ-は、定期預金の払戻による収入6億77百万円、投資有価証券の売却による収入1億25百万円等の増加要因に対し、固定資産の取得による支出15億76百万円、定期預金の預入による支出8億8百万円、投資有価証券の取得による支出1億32百万円等の減少要因により、16億93百万円の支出(前連結会計年度は1億99百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フロ-は、短期借入れによる収入14億17百万円、長期借入れによる収入10億円等の増加要因に対し、短期借入金の返済による支出6億28百万円、配当金の支払額72百万円、社債の償還による支出50百万円、長期借入金の返済による支出47百万円等の減少要因により、16億10百万円の収入(前連結会計年度は5億53百万円の支出)となりました。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループは、主に営業活動から得られるキャッシュ・フローのほか、外部からの資金調達については、銀行借入れ等により実施しております。
また、営業債務や設備投資資金の支払、借入金の返済等に向けた資金需要に備えて、充分な資金を確保するために、適時にグループ各社からの報告に基づき資金繰計画を作成する等の方法により、資金の流動性確保を図りつつ、余剰資金が生じた場合には、財務体質の改善、更なる事業の拡大を目指した今後のM&A資金、海外事業の拡大に向けた投資、業務改革の推進や事業競争力の強化に向けたIT投資等の目的に充当する方針であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため、生産実績は記載しておりません。
b 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前期比(%) | 受注残高(千円) | 前期比(%) |
| 国内EPC事業 | 6,950,866 | 10.4 | 6,286,087 | △1.0 |
| アセアンEPC事業 | 1,842,483 | △33.8 | 3,218,193 | 1.3 |
| 不動産管理事業 | 179,623 | 0.2 | ― | ― |
| 合計 | 8,972,972 | △3.1 | 9,504,280 | △0.2 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(千円) | 前期比(%) |
| 国内EPC事業 | 7,023,377 | △5.3 |
| アセアンEPC事業 | 1,826,644 | △35.3 |
| 不動産管理事業 | 143,263 | 10.1 |
| その他 | ― | ― |
| 合計 | 8,993,284 | △13.3 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| Hoa Binh Construction Group Joint Stock Company | 2,081,036 | 20.1 | 1,174,451 | 13.1 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
d 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 仕入高(千円) | 前期比(%) |
| 国内EPC事業 | 1,490,816 | △21.4 |
| アセアンEPC事業 | 458,542 | △62.3 |
| 合計 | 1,949,358 | △37.4 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 主な相手先別の仕入実績及び総仕入実績に対する割合は、次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| ヤマト電機株式会社 | 390,309 | 12.5 | 245,066 | 12.6 |
3. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
e 外注実績
当連結会計年度における外注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 外注高(千円) | 前期比(%) |
| 国内EPC事業 | 2,867,811 | 1.5 |
| アセアンEPC事業 | 506,735 | △23.9 |
| 合計 | 3,374,547 | △3.4 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを行う必要があります。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に関しては評価性引当金を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額を実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。
将来の課税所得見込額は経営環境等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合は、回収可能性の見直しを実施し繰延税金資産の修正を行います。
工事売上高及び工事損失引当金の計上
当連結会計年度末までの進捗部分について、成果の確実性を見積もることができる工事については工事進行基準(工事の進捗度の見積りは原価比例法)を適用し工事売上高を計上しております。発注者との交渉の状況によって工事売上高総額が変動した場合や想定していなかった原価の発生等により工事原価総額や進捗度が変動した場合は、工事売上高や工事損失引当金の計上額が変動する可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症に関する会計上の見積りに関しては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)をご参照ください。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 財政状態の分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 (財政状態の状況)」をご参照ください。
b 経営成績の分析
イ 売上高
当連結会計年度における売上高は、89億93百万円(前年同期比13.3%減)となりました。
当社グループのセグメントごとの外部顧客への売上高の内訳は、国内EPC事業が70億23百万円(同5.3%減)、アセアンEPC事業が18億26百万円(同35.3%減)、不動産管理事業が1億43百万円(同10.1%増)となりました。
国内EPC事業においては、JESCO株式会社において、新型コロナウイルス感染症の影響により公共システム関連工事及び電気通信設備関連工事を中心として減収となり、JESCO SUGAYA株式会社において、官公庁工事等を中心に増収となりましたが、事業全体としては減収となりました。
また、アセアンEPC事業においては、JESCO HOA BINH ENGINEERING JOINT STOCK COMPANYにおいて、政府による投資抑制による工期の遅延や中断等の影響により減収となりました。さらに、不動産管理事業においては、当連結会計年度後半において、賃貸用資産を2棟購入したことにより増収となりました。
当社グループの経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、次のとおりであります。
当社グループにおいて目標として掲げております海外売上高比率については、前連結会計年度から7ポイント低下の20.3%となりました。ベトナムにおいて前連結会計年度まで民間建設投資需要の拡大に伴い好調を維持していましたが、当連結会計年度においては政策的な投資抑制によりJESCO HOA BINH ENGINEERING JOINT STOCK COMPANYを中心に、該当するアセアンEPC事業の売上高は、前連結会計年度と比較し減収となりました。
経済成長が著しいベトナムを中心とするアセアン地域における事業拡大に向け、海外子会社3社によるローカルビジネスの深耕拡大を図ってまいります。
また、グループ全体の売上高につきましても、今後、国内を中心に増加が見込まれる社会インフラ設備のメンテナンス需要や、情報通信技術革新による5G対応設備への対応等、引き続きグループ全体での受注拡大を図ってまいります。
ロ 営業利益
当連結会計年度における営業利益は、3億40百万円(前年同期は営業損失88百万円)となりました。
当社グループのセグメント利益の内訳は、国内EPC事業がセグメント利益3億44百万円(前年同期はセグメント損失1億15百万円)、アセアンEPC事業がセグメント損失85百万円(前年同期はセグメント損失27百万円)、不動産管理事業がセグメント利益79百万円(前年同期比25.8%減)となりました。
ハ 経常利益
当連結会計年度における経常利益は、3億90百万円(前年同期は経常損失82百万円)となりました。
これは、営業外収益89百万円を計上した一方、営業外費用39百万円を計上したことによるものであります。
ニ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、3億14百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失1億25百万円)となりました。
これは主に、投資有価証券売却益11百万円及び受取保険金3百万円を特別利益に計上した一方、固定資産除却損9百万円、たな卸資産処分損17百万円、事業整理損失引当金繰入額56百万円及び投資有価証券評価損54百万円を特別損失に計上し、法人税、住民税及び事業税1億16百万円、法人税等調整額△78百万円、非支配株主に帰属する当期純損失84百万円を計上したこと等によるものであります。
c キャッシュ・フローの状況の分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
d 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、組織体制、法的規制等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
e 経営戦略の現状と見通し
今後における当社グループの事業を取り巻く経営環境は、原材料の高騰や、同業者間での価格やサービスの競争等により、引き続き厳しい状況で推移していくことが予想されます。
こうした状況のなか、当社グループにおきましては、日本国内において今後も安定した収益基盤を構築するとともに、今後更なるインフラ整備の需要増大が期待されるアセアン地域において、事業の拡大を図るため、積極的な事業展開を図ってまいります。
f 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループが今後の業容を拡大し、より良いサービスを継続的に展開していくためには、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 会社の対処すべき課題」に記載の様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。
これらの課題に対応するために、常に外部環境の構造やその変化に関する情報の入手及び分析を行い、アセアン地域でのシェア拡大、優秀な人材の採用と教育、安全への取り組み、営業体制の強化を図ってまいります。