有価証券報告書-第13期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態の状況及び分析・検討
当連結会計年度末の資産、負債及び純資産の状況は以下のとおりであります。
資産の部合計は、前連結会計年度末比2,522,390百万円減の290,640,154百万円となりました。
主な要因は、運用の多様化をすすめた結果等により、銀行業及び生命保険業における貸出金1,647,661百万円の増、銀行業及び生命保険業における金銭の信託1,111,447百万円の増の一方、銀行業及び生命保険業等における有価証券2,957,513百万円の減、現金預け金2,531,117百万円の減によるものです。
負債の部合計は、前連結会計年度末比2,311,043百万円減の275,896,920百万円となりました。
主な要因は、運用の多様化をすすめた結果等により、銀行業における売現先勘定1,024,348百万円の増、銀行業における貯金484,716百万円の増の一方、生命保険業における責任準備金2,397,936百万円の減、銀行業及び生命保険業における債券貸借取引受入担保金1,107,689百万円の減によるものです。
純資産の部合計は、前連結会計年度末比211,347百万円減の14,743,234百万円となりました。
主な要因は、利益剰余金256,923百万円の増、銀行業及び生命保険業等における繰延ヘッジ損益106,575百万円の増の一方、銀行業及び生命保険業等におけるその他有価証券評価差額金416,943百万円の減によるものです。
各事業セグメント別の資産の状況は以下のとおりであります。
① 郵便・物流事業
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比3,565百万円増の1,971,534百万円となりました。
主な要因は、次世代郵便情報システムの減価償却等によりソフトウエアが10,638百万円減少した一方、現金預け金が7,170百万円増加したほか、ゆうパック・ゆうパケットの引受の増加に伴う営業未収入金(その他資産)が増加したことによるものです。
② 金融窓口事業
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比16,098百万円減の2,692,432百万円となりました。
主な要因は、現金預け金が12,379百万円増加したほか、現金自動入出金機の減価償却の進捗等に伴い工具、器具及び備品(その他の有形固定資産)が減少したことによるものです。
③ 国際物流事業
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比20,428百万円増の441,941百万円となりました。
主な要因は、財務管理システムをはじめとするITシステムの統合に向けた投資に伴いソフトウエアが10,565百万円増加、現金預け金が2,285百万円増加したことによるものです。
④ 銀行業
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比1,060,888百万円増の210,629,793百万円となりました。
主な要因は、運用の高度化・多様化をすすめた結果等により、貸出金が2,081,417百万円増加、金銭の信託が423,616百万円増加した一方、現金預け金が1,993,607百万円減少したことによるものです。
⑤ 生命保険業
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比3,505,498百万円減の76,831,261百万円となりました。
主な要因は、保有契約の減少に伴い有価証券が3,354,379百万円減少したことによるものです。
(2) 経営成績の状況及び分析・検討
当連結会計年度、当社グループは、平成27年度から平成29年度を計画期間とする「日本郵政グループ中期経営計画 ~新郵政ネットワーク創造プラン2017~」(以下「前中期経営計画」といいます。)の総仕上げの年であり、トータル生活サポート企業を目指して、次なる持続的成長・発展への道筋を描く年と位置付け、上場企業グループとしての適切なコーポレートガバナンスを土台として、前中期経営計画の達成、お客さまサービスの拡大・高度化、社員の力が最大限に発揮される職場作りを中心に取り組んでまいりました。
当社におきましては、持株会社として、当社グループの企業価値向上を目指し、グループ各社の収益拡大や経営効率化等が着実に推進するとともに、郵便、貯金及び保険のユニバーサルサービスの確保並びに郵便局ネットワークの維持・活用による安定的なサービスの提供等という目的が達成できるようグループ運営に取り組んでまいりました。また、グループ各社のコンプライアンス・プログラムの策定・推進の状況及び各社の内部監査態勢・監査状況を的確に把握し、必要となる支援・指導を行う等、業務の適正を確保するため、グループとして内部統制及びコーポレートガバナンスの強化の推進に努めました。加えて、集約により効率性が高まる間接業務をグループ各社から受託して実施するほか、病院及び宿泊事業の経営改善を進めました。また、お客さま本位の業務運営のさらなる推進に向け「お客さま本位の業務運営に関する基本方針」を公表いたしました。
さらに、グループ各社が提供するサービスの公益性及び公共性の確保やお客さま満足度の向上に取り組むとともに、当社グループの社会的責任を踏まえたCSR活動や災害復興支援にも、当社グループが一丸となって取り組んでまいりました。
これらの取組みの結果、当連結会計年度における連結経常収益は12,920,375百万円(前期比406,158百万円減)、連結経常利益は916,144百万円(前期比120,907百万円増)となりました。連結経常利益に、価格変動準備金繰入額等による特別損失、契約者配当準備金繰入額等を加減した親会社株主に帰属する当期純利益は460,623百万円(前期は28,976百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となり、前連結会計年度はのれん及び商標権の全額並びに有形固定資産の一部の減損損失を特別損失として計上したこと等により親会社株主に帰属する当期純損失であったこともあり、当連結会計年度は増益となりました。
各事業セグメント別の事業の経過及び成果は、以下のとおりであります。
① 郵便・物流事業
郵便・物流事業につきましては、収益力の強化に向けた取組みとして、年賀状をはじめとしたスマートフォン等を使ったSNS連携サービスや手紙の楽しさを伝える活動等により、郵便の利用の維持・拡大を図るとともに、受取利便性の高いサービスの推進、中小口のお客さまに対する営業の強化、お客さまの幅広いニーズに一元的に対応できる営業体制の構築に取り組みました。
また、郵便物の減少が続く中、機械化等による生産性向上や各種コスト削減に取り組んでいるものの、近年の人件費単価の上昇等により郵便事業の収支が悪化している状況を踏まえ、今後も安定的なサービスの提供を維持するため、平成29年6月に郵便料金等の一部を改定しました。
ゆうパックについて、平成30年3月より、初回配達前に受取日時や場所の指定ができるサービスを開始するとともに、基本運賃の改定等を行いました。また、eコマース市場の拡大により荷物需要が増加する中、業務運行を確保しつつ、ゆうパック等の拡大に対応しました。
さらに、デジタルメッセージサービス(「MyPost(マイポスト)」)については、利用定着を図るとともに、平成29年7月より、政府の進めるマイナポータルと連携したほか、ワンストップサービスにも取り組みました。
生産性の向上・ネットワーク価値向上に向けた取組みとしては、ネットワークの最適化・高度化を目指し、集配局の内務作業の集中・機械化処理を行うため、新たに地域区分郵便局を9局開局する等、郵便・物流ネットワーク再編を推進しました。また、郵便局の業務効率の向上を目指し、引き続き、集配業務の生産性の向上、輸送効率の向上に取り組んだほか、業務運行に必要な労働力を確保できるよう、地域ごとの状況を踏まえた効果的な募集活動及び定着に向けた取組みを行いました。
また、日本郵便(単体)における当事業年度の総取扱物数は郵便物が172億2,211万通(前期比2.9%減)、ゆうメールが36億3,743万個(前期比4.0%増※)、ゆうパック・ゆうパケットが8億7,588万個(前期比25.6%増※)となりました。
これらの取組みの結果、当連結会計年度、郵便・物流事業におきましては、eコマース市場拡大によりゆうパック・ゆうパケットの取扱数量が増加したことに加え、普通郵便の料金改定の影響などにより営業収益が増加しました。一方、ゆうパック・ゆうパケットの取扱数量の増加や一時金(賞与)の引上げなどにより営業費用は増加したものの、営業収益の増加の範囲内となりました。その結果、経常収益は2,025,536百万円(前期比92,449百万円増)、経常利益は43,736百万円(前期比29,411百万円増)となりました。なお、日本郵便の当連結会計年度における郵便・物流事業の営業収益は2,022,526百万円(前期比92,598百万円増)、営業利益は41,903百万円(前期比29,850百万円増)となりました。
※ ゆうメールに含めていたゆうパケットの物数については、平成28年10月より、ゆうパックに含めて表示する方法に変更しました。これに伴い、ゆうメール及びゆうパックの総取扱物数の前期比は、当該変更を期首より反映した前事業年度の物数との比較で算出しております。
引受郵便物等の状況
(注) 1.第一種郵便物、第二種郵便物、第三種郵便物及び第四種郵便物の概要/特徴は、以下のとおりであります。
2.年賀は、年賀郵便物(年賀特別郵便(取扱期間12/15~12/28)及び12/29~1/7に差し出された年賀はがきで消印を省略したもの)の物数であります。
3.選挙は、公職選挙法に基づき、公職の候補者又は候補者届出政党から選挙運動のために差し出された通常はがきの物数であります。別掲で示しております。
4.特殊は、速達、書留、特定記録、本人限定受取等の特殊取扱(オプションサービス)を行った郵便物の物数の合計であります。交付記録郵便物用特定封筒(レターパックプラス)及び電子郵便(レタックス、Webゆうびん、e内容証明)を含んでおります。
5.ゆうパックは、一般貨物法制の規制を受けて行っている宅配便の愛称であります。配送中は、追跡システムにより管理をしております。なお、ゆうメールに含めていたゆうパケットの物数については、平成28年10月より、ゆうパックに含めて表示する方法に変更しました。これに伴い、当事業年度の対前期比については、当該変更を期首より反映した前事業年度の物数との比較で算出しております。また、前事業年度の対前期比についても、当該変更を期首より反映した前々事業年度の物数との比較で算出しております。
6.ゆうメールは、一般貨物法制の規制を受けて行っている3kgまでの荷物の愛称であります。主に冊子とした印刷物やCD・DVDなどをお届けするもので、ゆうパックより安値でポスト投函も可能な商品であります。
② 金融窓口事業
金融窓口事業につきましては、収益力の強化に向けた取組みとして、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険と連携した研修を通じた社員の営業力強化や、投資信託の販売を通じ、金融預かり資産重視の営業スタイルのさらなる浸透や新契約拡大、新規利用顧客の拡大を図りました。また、がん保険等の提携金融サービスについても、研修等を通じ、社員の営業力強化に取り組みました。加えて、物販事業については、商品の拡充・開発を行うとともに、お客さまのニーズに対応するため、販売チャネルの多様化を推進しました。あわせて、不動産事業については、JPタワー等による事務所、商業施設、住宅や保育施設などの賃貸事業等を推進しました。
主なプロジェクトの概要は以下のとおりです。
(注) 平成30年3月31日時点
また、ネットワーク価値向上に向けた取組みとして、郵便局の新規出店、店舗配置の見直し等を通じた郵便局ネットワークの最適化に引き続き取り組みました。郵便局の現金取扱いに関して、機器の増配備により資金管理体制の充実を図るとともに、郵便局への訪問支援や関連ツールの充実等による業務品質の向上に取り組みました。
そのほか、地域住民の利便性の向上に資することを目的とした「郵便局のみまもりサービス」について、平成29年10月より、全国でのサービス提供を開始しました。
これらの取組みの結果、当連結会計年度、金融窓口事業におきましては、提携金融事業が好調を維持し、不動産事業についても堅調であったものの、銀行・保険受託手数料がいずれも減少したことにより営業収益は減少しました。一方、かんぽ生命保険の新契約の減少や各種効率化施策により人件費が減少し、経費抑制に努めたものの、営業費用全体では前期並みとなりました。その結果、経常収益は1,360,676百万円(前期比27,281百万円減)、経常利益は40,983百万円(前期比23,183百万円減)となりました。なお、日本郵便の当連結会計年度における金融窓口事業の営業収益は1,358,798百万円(前期比27,657百万円減)、営業利益は39,771百万円(前期比23,562百万円減)となりました。
郵便局数
なお、日本郵便におきましては、「コンプライアンスは経営上の最重要課題」との基本的な考え方に基づき、部内犯罪・重大事故の防止、顧客情報保護、その他不適正事案の抑止及び社会的な要請への対応に委託元会社とも連携して取り組みました。その取組みの一環として、料金不適正収納事案についても、適正収納対策本部の設置など、その根絶に取り組みました。
③ 国際物流事業
国際物流事業につきましては、引き続き、日本郵便の子会社であるトール社をグローバル展開のための中核と位置づけ、グループの企業価値向上に資するよう、部門の統合・簡素化といった組織体制の見直しや、それに伴う人員削減といった経営改善策を進めたほか、ヘルスケア等の高成長分野における物流ニーズを獲得するといった成長戦略を進める等、業績向上に取り組みました。
これらの取組みの結果、当連結会計年度、国際物流事業におきましては、ロジスティクス事業の収益拡大及び増益、エクスプレス事業・フォワーディング事業の赤字幅の改善により、経常収益は704,890百万円(前期比59,911百万円増)、経常利益は6,544百万円(前期は414百万円の経常損失)となりました。なお、日本郵便の当連結会計年度における国際物流事業については、営業収益は704,302百万円(前期比59,886百万円増)、営業利益は10,254百万円(前期比4,611百万円増)となりました。
④ 銀行業
銀行業につきましては、ゆうちょ銀行において、「お客さま基盤の確保と手数料ビジネスの強化」、「運用の高度化・多様化」、「経営基盤の強化」に取り組みました。
「お客さま基盤の確保と手数料ビジネスの強化」については、お客さまの資産形成のサポートとして、お客さま本位の業務運営の実践により、お客さまのライフスタイルやニーズに応じたコンサルティング営業、郵便局ネットワークを活用した資産運用商品販売を展開しました。また、ATMネットワーク・スマートフォン向けサービスの拡充の取組みとして、引き続き、16言語対応の小型ATMを全国のファミリーマート店舗等へ設置したほか、「ゆうちょ銀行ATM検索アプリ」や「ゆうちょダイレクト残高照会アプリ」といったスマートフォン向けアプリの提供を開始しました。加えて、平成29年7月からビリングシステム株式会社が提供するスマートフォン決済アプリ「PayB(ペイビー)」において、ゆうちょ銀行口座からのお支払いが可能となったほか、即時振替サービスを活用した証券会社等との連携拡大等、決済機能の拡充に努めました。
「運用の高度化・多様化」については、国内の低金利環境が継続する中、海外の投資適格債を中心とした外国証券投資を拡大しました。また、成長が見込まれる未上場企業等へ投資するプライベートエクイティファンド、不動産ファンド、ヘッジファンドなどのオルタナティブ投資の着実な積上げを進めました。加えて、プライベートエクイティ投資によるさらなる収益拡大を図るためかんぽ生命保険と協力し、平成30年2月にJPインベストメント株式会社を設立いたしました。そのほか、お客さまの大切な資金を地域に循環させていくために、引き続き、地域金融機関との連携を通じて、事業承継や起業・創業の支援等を目的として、複数の地域活性化ファンドに参加いたしました。また、運用の高度化・多様化にあわせて、外貨資金の安定的な確保に努めるとともに、外部からの専門的人材の登用・内部人材の育成により、運用態勢の強化に取り組みました。さらに、オルタナティブ投資を始めとする投資対象の拡大に対応し、モニタリングの高度化等により、リスク管理態勢の強化に取り組みました。
「経営基盤の強化」については、「コンプライアンスなくして会社は存続し得ない」との強い信念のもと、各種研修等を通じたコンプライアンス意識のさらなる浸透や、資産運用商品販売におけるお客さま保護など、企業価値向上に向けた内部管理態勢の強化に取り組んだほか、平成29年6月に、「お客さま本位の業務運営に関する基本方針」を公表し、その定着・推進に努めました。
平成29年6月19日、「お客さま本位の良質な金融サービスの提供」、「地域への資金の循環等」、「資金運用の高度化・多様化」の3点を基軸に、さらなる企業価値の向上の観点から、口座貸越サービス、地域金融機関との連携に係る業務等、市場運用関係業務に関し、認可を取得いたしました。
これらの取組みの結果、当連結会計年度、銀行業におきましては、資金利益が国債利息の減少を主因に減少した一方、その他業務利益は、外国為替売買損益の増加等により増加しました。金利が低位で推移するなど厳しい経営環境下にあるものの、経常収益は2,044,929百万円(前期比147,636百万円増)、経常利益は499,642百万円(前期比57,525百万円増)となりました。
なお、ゆうちょ銀行における損益の概要などの詳細な状況については、下記「(参考1) 銀行業を行う当社の子会社であるゆうちょ銀行(単体)の状況」「(参考2) 自己資本比率の状況」「(参考3) 資産の査定」に記載のとおりであります。
(参考1) 銀行業を行う当社の子会社であるゆうちょ銀行(単体)の状況
(a) 損益の概要
当事業年度の業務粗利益は、前事業年度比52,110百万円増加の1,462,367百万円となりました。このうち、資金利益は、国債利息の減少を主因に、前事業年度比47,854百万円の減少となりました。一方、役務取引等利益は、前事業年度比9,828百万円の増加となりました。その他業務利益は、外国為替売買損益の増加等により、前事業年度比90,136百万円の増加となりました。
経費は、前事業年度比11,122百万円減少の1,045,046百万円となりました。
金利が低位で推移するなど厳しい経営環境下にあるものの、業務純益は前事業年度比63,233百万円増加の417,320百万円となりました。
臨時損益は金銭の信託運用損益の減少等により、前事業年度比5,627百万円減少し、経常利益は前事業年度比57,583百万円増加の499,669百万円となりました。当期純利益は352,745百万円、前事業年度比40,480百万円の増益となりました。
(注) 1.業務純益=業務粗利益-経費(除く臨時処理分)-一般貸倒引当金繰入額
2.臨時損益とは、損益計算書中「その他経常収益・費用」から一般貸倒引当金繰入額を除き、金銭の信託運用見合費用及び退職給付費用のうち臨時費用処理分等を加えたものであります。
3.「金銭の信託運用見合費用」とは、金銭の信託取得に係る資金調達費用であり、金銭の信託運用損益が臨時損益に計上されているため、業務費用から控除しているものであります。
4.国債等債券損益=国債等債券売却益+国債等債券償還益-国債等債券売却損-国債等債券償還損-国債等債券償却
5.株式等関係損益=株式等売却益-株式等売却損-株式等償却
6.金額が損失又は費用には△を付しております。
(参考) 与信関係費用
(注) 1.金融再生法開示債権に係る費用を計上しております。
2.金額が損失又は費用には△を付しております。
(b) 国内・国際別の資金利益等
国内業務部門・国際業務部門別の資金利益等は次のとおりとなりました。
当事業年度は、国内業務部門においては、資金利益は665,752百万円、役務取引等利益は95,747百万円、その他業務利益は1,404百万円となりました。
国際業務部門においては、資金利益は509,938百万円、役務取引等利益は700百万円、その他業務利益は188,822百万円となりました。
この結果、国内業務部門、国際業務部門の相殺消去後の合計は、資金利益は1,175,691百万円、役務取引等利益は96,448百万円、その他業務利益は190,227百万円となりました。
イ.国内業務部門
(注) 「国内業務部門」は円建取引であります。
ロ.国際業務部門
(注) 「国際業務部門」は外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引については、「国際業務部門」に含めております。
ハ.合計
(注) 1.資金調達費用は、金銭の信託運用見合費用(前事業年度4,779百万円、当事業年度4,725百万円)を控除しております。
2.「国内業務部門」「国際業務部門」間の内部取引による相殺消去額は下表のとおりであります。
(c) 国内・国際別資金運用/調達の状況
当事業年度の資金運用勘定の平均残高は201,467,351百万円、利回りは0.74%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は191,901,004百万円、利回りは0.17%となりました。
国内・国際別に見ますと、国内業務部門の資金運用勘定の平均残高は195,014,321百万円、利回りは0.43%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は186,524,351百万円、利回りは0.09%となりました。
国際業務部門の資金運用勘定の平均残高は54,248,055百万円、利回りは1.34%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は53,171,677百万円、利回りは0.41%となりました。
イ.国内業務部門
(注) 1.「国内業務部門」は円建取引であります。
2.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度2,646,066百万円、当事業年度2,727,088百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度2,646,066百万円、当事業年度2,727,088百万円)及び利息(前事業年度4,778百万円、当事業年度4,534百万円)を控除しております。
3.預け金等は、譲渡性預け金、日銀預け金、コールローン、買入金銭債権であります。「ロ.国際業務部門」「ハ.合計」においても同様であります。
4.貯金は銀行法施行規則の負債科目「預金」に相当するものであります。「ロ.国際業務部門」「ハ.合計」においても同様であります。
ロ.国際業務部門
(注) 1.「国際業務部門」は外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引については、「国際業務部門」に含めております。
2.ゆうちょ銀行は、海外店及び海外子会社を有しておりません。
3.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度184百万円、当事業年度45,768百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度184百万円、当事業年度45,768百万円)及び利息(前事業年度0百万円、当事業年度191百万円)を控除しております。
ハ.合計
(注) 1.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度2,646,250百万円、当事業年度2,772,856百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度2,646,250百万円、当事業年度2,772,856百万円)及び利息(前事業年度4,779百万円、当事業年度4,725百万円)を控除しております。
2.「国内業務部門」「国際業務部門」間の内部取引による相殺消去額は下表のとおりであります。
(d) 役務取引等利益の状況
当事業年度の役務取引等利益は、投資信託の販売金額が増加したことや、ATMの設置を拡大したこと等により、前事業年度比9,828百万円増加の96,448百万円となりました。
(参考) 投資信託の取扱状況(約定ベース)
(e) 預金残高の状況
当事業年度末の貯金残高は、安定的に推移し、前事業年度末比448,073百万円増加の179,882,759百万円となりました。
○ 預金の種類別残高(末残・構成比)
○ 預金の種類別残高(平残・構成比)
(注) 1.「流動性預金」=振替貯金+通常貯金等+貯蓄貯金
「通常貯金等」=通常貯金+特別貯金(通常郵便貯金相当)
2.「定期性預金」=定期貯金+定額貯金等+特別貯金(教育積立郵便貯金相当)
「定額貯金等」=定額貯金+特別貯金(定額郵便貯金相当)
3.貯金は銀行法施行規則の負債科目「預金」に相当するものであります。「振替貯金」は「当座預金」、「通常貯金」は「普通預金」、「貯蓄貯金」は「貯蓄預金」、「定期貯金」は「定期預金」に相当するものであります。「定額貯金」は「その他の預金」に相当するものでありますが、「定期性預金」に含めております。
4.特別貯金は管理機構からの預り金で、管理機構が公社から承継した郵便貯金に相当するものであります。
5.特別貯金(通常郵便貯金相当)は管理機構からの預り金のうち、管理機構が公社から承継した定期郵便貯金、定額郵便貯金、積立郵便貯金、住宅積立郵便貯金、教育積立郵便貯金に相当する郵便貯金で満期となったものなどであります。
(f) 資産運用の状況(末残・構成比)
当事業年度末の運用資産のうち、国債は62,749,725百万円、その他の証券は59,298,846百万円となりました。
(注) 「預け金等」は譲渡性預け金、日銀預け金、買入金銭債権であります。
(g) 評価損益の状況(末残)
当事業年度末の評価損益(その他目的)は、ヘッジ考慮後で3,774,473百万円(税効果前)となりました。
(注) 「有価証券」には、有価証券のほか、現金預け金中の譲渡性預け金、買入金銭債権を含んでおります。
(h) 業種別貸出金残高の状況(末残・構成比)
(注) 1.「国内」とは本邦居住者に対する貸出、「国際」とは非居住者に対する貸出であります。
2.ゆうちょ銀行は、海外店及び海外子会社を有しておりません。
3.「金融・保険業」のうち管理機構向け貸出金は、前事業年度末951,200百万円、当事業年度末829,243百万円であります。
(参考) リスク管理債権(末残)
(参考2) 自己資本比率の状況
ゆうちょ銀行の自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
なお、ゆうちょ銀行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。
連結自己資本比率(国内基準)
(注) 連結総所要自己資本額は、上記3.に記載しているリスク・アセット等の額に4%を乗じた額であります。
単体自己資本比率(国内基準)
(注) 単体総所要自己資本額は、上記3.に記載しているリスク・アセット等の額に4%を乗じた額であります。
(参考3) 資産の査定
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、ゆうちょ銀行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
(a) 破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
(b) 危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
(c) 要管理債権
要管理債権とは、3カ月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
(d) 正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記(1)から(3)までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額
⑤ 生命保険業
生命保険業につきましては、かんぽ生命保険において、簡易生命保険の「簡易な手続きで、国民の基礎的生活手段を保障する。」という社会的使命を受け継ぎつつ、「いつでもそばにいる。どこにいても支える。すべての人生を守り続けたい。」との経営理念を掲げ、簡易で小口な商品とかんぽつながる安心活動等を通じてあたたかいお客さまサービスの提供に取り組みました。当連結会計年度においては、以下の施策を中心に取り組みました。
お客さまニーズに対応した商品開発については、平成29年10月に、医療技術の進歩、低金利環境の継続、長寿化の進展といった環境の変化やお客さまニーズにお応えするため、入院時の初期費用や外来手術も保障対象とした医療特約、保険料払込期間中の解約等の解約返戻金を低く設定することにより保障内容はそのままで保険料の負担を抑えた終身保険及び長生きするほど年金受取総額が大きくなる年金保険の販売を開始いたしました。
販売チャネルの営業力強化については、かんぽつながる安心活動やライフプラン相談会、キャンペーン等の各種施策の活用を通じて、より多くのお客さまとお会いする機会を増やす販売活動に取り組みました。また、お客さまのライフプランやニーズを的確に把握し、お客さまにご満足いただける商品をご提案できるよう各種研修や保障性商品の販売スキルの向上に取り組んだ結果、保障性商品を確実に販売することができました。
ご高齢のお客さまへのサービスの充実については、お客さまとのすべての接点をご高齢のお客さま目線で業務改革し、安心感、信頼感のあるご高齢のお客さまに優しいサービスをご提供する「かんぽプラチナライフサービス」を推進しました。加えて、平成29年4月に公表した「お客さま本位の業務運営に関する基本方針」に基づき、保険金等の請求手続きを簡素化するなど、お客さま目線で改善し、分かりやすさと品質の向上に取り組みました。
引受から支払まで簡易・迅速・正確に行う態勢整備については、IBM Watsonの導入により保険金支払審査業務の品質向上、お支払いの早期化に取り組んだことに加え、平成29年4月にコールセンター業務に導入し、お客さまサービスの向上と当社の成長に繋がる事務・システム基盤の構築に取り組みました。
運用収益力の向上については、継続的な低金利環境を受け、安定的な利ざやを確保するために、ALM※を基本としつつ、リスクバッファーの範囲で外国債券・株式等を中心に収益追求資産への投資を拡大いたしました。ヘッジファンドや不動産等のオルタナティブ投資も本格的に開始し、資産運用の多様化を着実に推進しております。加えて、プライベートエクイティ投資によるさらなる収益拡大を図るためゆうちょ銀行と協力し、平成30年2月にJPインベストメント株式会社を設立いたしました。
内部管理態勢の強化については、コンプライアンスを推進するための具体的な実践計画である「コンプライアンス・プログラム」を策定し、各種施策や研修等を通じて社員のコンプライアンス意識の向上に取り組んでおります。また、募集品質向上の総合的な対策として、満70歳以上のお客さまを契約者とするお申し込みについて、ご家族にご同席いただくなどした上で、「ご契約内容確認書」等を使用して、商品内容等に関し丁寧にご説明しております。特に、満80歳以上のお客さまは、ご家族に保険契約のお申し込みに同意していただくことを必要としております。
加えて、統合的リスク管理態勢の高度化を進めており、財務の健全性の維持と資本効率の向上を図りつつ、安定的な利益の確保、持続的な企業価値の向上に取り組んでおります。
これらの取組みの結果、当連結会計年度、生命保険業におきましては、個人保険173万9千件、金額5,464,124百万円の新契約を獲得しましたが、保有契約の減少等により、経常収益は7,952,951百万円(前期比706,493百万円減)となりました。一方、資産運用費用の減少等により、経常利益は309,233百万円(前期比29,456百万円増)となりました。
※ ALMとは、Asset Liability Managementの略語で、資産負債の総合管理のことです。
なお、かんぽ生命保険における保険引受及び資産運用の状況などの詳細な状況については、下記「(参考)生命保険業を行う当社の子会社であるかんぽ生命保険の状況」に記載のとおりであります。
(参考)生命保険業を行う当社の子会社であるかんぽ生命保険の状況
(下表(a)イ.~ニ.の個人保険及び個人年金保険には、かんぽ生命保険が管理機構から受再している簡易生命保険契約を含みません。)
(a) 保険引受及び資産運用の状況
イ.保有契約高明細表
(注) 個人年金保険の金額は、年金支払開始前契約の年金支払開始時における年金原資と年金支払開始後契約の責任準備金額を合計したものであります。
ロ.新契約高明細表
(注) 個人年金保険の金額は、年金支払開始時における年金原資であります。
ハ.保有契約年換算保険料明細表
(注) 1.年換算保険料とは、1回あたりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年あたりの保険料に換算した金額であります(一時払契約等は、保険料を保険期間等で除した金額。)。
2.医療保障・生前給付保障等には、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)、保険料払込免除給付(障がいを事由とするものは除きます。特定疾病罹患、介護等を事由とするものを含む。)等に該当する部分の年換算保険料を計上しております。
ニ.新契約年換算保険料明細表
(注) 1.年換算保険料とは、1回あたりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年あたりの保険料に換算した金額であります(一時払契約等は、保険料を保険期間等で除した金額。)。
2.医療保障・生前給付保障等には、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)、保険料払込免除給付(障がいを事由とするものは除きます。特定疾病罹患、介護等を事由とするものを含む。)等に該当する部分の年換算保険料を計上しております。
(参考)かんぽ生命保険が管理機構から受再している簡易生命保険契約の状況
(1) 保有契約高
(注) 計数は、管理機構における公表基準によるものであります。
(2) 保有契約年換算保険料
(注) かんぽ生命保険が管理機構から受再している簡易生命保険契約について、上記ハ.に記載しております個人保険及び個人年金保険の保有契約年換算保険料と同様の計算方法により、かんぽ生命保険が算出した金額であります。
ホ.一般勘定資産の構成
(注) 1.機構貸付とは、管理機構(簡易生命保険勘定)への貸付であります。
2.不動産については、土地・建物・建設仮勘定を合計した金額を計上しております。
ヘ.一般勘定資産の資産別運用利回り
(注) 1.利回り計算式の分母は帳簿価額ベースの日々平均残高、分子は経常損益中、資産運用収益-資産運用費用として算出した利回りであります。
2.一般勘定計には、有価証券信託に係る資産を含めております。
3.海外投融資とは、外貨建資産と円建資産の合計であります。
(b) 基礎利益
基礎利益は、保険料等収入、保険金等支払金、事業費等の保険関係の収支と、利息及び配当金等収入を中心とした運用関係の収支からなる、生命保険会社の基礎的な期間損益の状況を表す指標であります。
かんぽ生命保険の当事業年度における基礎利益は、386,199百万円となりました。
(経常利益等の明細(基礎利益))
(注) 1.金銭の信託に係るインカム・ゲインに相当する額(前事業年度:44,130百万円、当事業年度:55,010百万円)を「その他キャピタル費用」に計上し、基礎利益に含めております。
2.金融派生商品に係るインカム・ゲインに相当する額(前事業年度:33百万円)を「その他キャピタル費用」に計上し、基礎利益に含めております。
3.「その他臨時費用」には、保険業法施行規則第69条第5項の規定により責任準備金を追加して積み立てた額(前事業年度:180,359百万円、当事業年度:197,929百万円)を記載しております。
(c) かんぽ生命保険の連結ソルベンシー・マージン比率
生命保険会社は将来の保険金等の支払いに備えて責任準備金を積み立てており、通常予測できる範囲のリスクについては責任準備金の範囲内で対応できます。
ソルベンシー・マージン比率とは、大災害や株価の大暴落など、通常の予測を超えて発生するリスクに対応できる「支払余力」を有しているかどうかを判断するための行政監督上の指標の一つであります。
この比率が200%を下回った場合は、規制当局によって早期是正措置がとられます。逆にこの比率が200%以上であれば、健全性の一つの基準を満たしていることになります。
当連結会計年度末におけるかんぽ生命保険の連結ソルベンシー・マージン比率は1,131.8%と高い健全性を維持しております。
(注) 保険業法施行規則第86条の2、第88条及び平成23年金融庁告示第23号の規定に基づいて算出しております。
(d) かんぽ生命保険のEV
イ.EVの概要
ⅰ EVについて
エンベディッド・バリュー(以下「EV」といいます。)は対象事業に割り当てられた、資産及び負債から生じる株主への分配可能な利益の価値の見積りであります。ただし、将来の新契約から生じる価値は含みません。この価値は、修正純資産及び保有契約価値で構成されるものであります。
修正純資産は株主に帰属すると考えられる純資産(時価)であり、必要資本とフリー・サープラスで構成されるものであります。
保有契約価値は、保有契約及び保有契約に係る資産から将来発生すると見込まれる株主への分配可能な利益の評価日時点の現在価値であり、必要資本を維持するための費用等を控除したものであります。
生命保険契約は、一般に販売時に多くのコストが発生するため、一時的には損失が発生するものの、契約が継続することで、将来にわたり生み出される利益によりそのコストを回収することが期待される収支構造となっております。現行の法定会計では、このような収支構造をそのまま各年度の損益として把握しておりますが、EVは、全保険期間を通じた損益を現在価値で評価することとなるため、現行の法定会計による財務情報では不足する情報を補うことができる指標の一つと考えております。
ⅱ EEVについて
EVの開示に関する一貫性と透明性の改善を図る目的で、平成16年5月にヨーロッパの主要保険会社のCFO(最高財務責任者)の集まりである、CFOフォーラムが、ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー(以下「EEV」といいます。)原則及び指針(ガイダンス)を制定いたしました。
平成28年5月には、CFOフォーラムによってEEV原則の改正が公表され、EVに平成28年1月から施行された欧州ソルベンシーⅡ等の計算で用いた計算手法及び前提の使用が許容されるようになりました。
ⅲ EEVの計算手法
今回のEEVの計算には、市場整合的手法を用いております。この手法は、資産又は負債から発生するキャッシュ・フローを市場で取引されている金融商品と整合的に評価するものであります。
ロ.簡易生命保険契約について
かんぽ生命保険は、郵政民営化法に基づき、平成19年10月1日に発足しました。また、平成19年9月末までに契約された簡易生命保険契約は、管理機構に承継されるとともに、管理機構が負う保険責任のすべてについて、かんぽ生命保険が受再しております。
かんぽ生命保険は、管理機構との再保険契約において、簡易生命保険契約を他の保険契約と区分して管理すること(簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金も区分して管理すること)、簡易生命保険契約から生じた利益(危険準備金及び価格変動準備金の戻入による利益も含んでおります。)も区分して管理すること、及び管理機構が簡易生命保険契約に対して既に約款で約束している確定配当所要額と再保険損益(確定配当所要額及び法人税等を除いたこの区分における利益)の8割の合計額を、管理機構へ再保険配当をすることを定めております。EEVの計算においては、この管理機構への再保険配当を差し引いた後の利益を反映しております。
このように管理機構への再保険配当の原資に、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金の戻入による利益が含まれることから、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金は修正純資産には含めておらず、将来において戻入する前提で保有契約価値に含めて計算しております。
ハ.EEVの計算結果
かんぽ生命保険のEEVは以下のとおりであります。
ⅰ 修正純資産
修正純資産は、資産の市場価値のうち、契約者に対する負債及びその他の負債の価値を超過する部分であり、株主に帰属すると考えられる価値であります。当期純利益による増加と負債中の内部留保(価格変動準備金及び危険準備金の合計)の積増しを主な理由として、当事業年度末における修正純資産は前事業年度末から増加しております。修正純資産の内訳は以下のとおりであります。
(注) 1.計算対象に子会社を含めているため、かんぽ生命保険の連結貸借対照表の純資産の部合計を計上しております。ただし、その他の包括利益累計額合計を除いております。また、自己株式に計上している株式給付信託が保有するかんぽ生命保険の株式の帳簿価額を加えております。
2.簡易生命保険契約に係る部分を除いております。
3.保険契約に係らない有価証券、貸付金及び不動産の含み損益、一般貸倒引当金並びに退職給付の未積立債務(未認識過去勤務費用及び未認識数理計算上の差異)を計上しております。
当事業年度末の修正純資産を計算する際に除いた保険契約に係る部分は以下のとおりであります。
(注) 1.かんぽ生命保険の連結貸借対照表の純資産の部合計を計上しております。ただし、その他の包括利益累計額合計を除いております。また、自己株式に計上している株式給付信託が保有するかんぽ生命保険の株式の帳簿価額を加えております。
2.保険契約に係る部分(②)は、簡易生命保険契約に係る部分のみとなります。「ロ.簡易生命保険契約について」をご参照ください。
3.有価証券、貸付金及び不動産の含み損益、一般貸倒引当金並びに退職給付の未積立債務(未認識過去勤務費用及び未認識数理計算上の差異)を計上しております。
ⅱ 保有契約価値
保有契約価値は、保有契約の評価日時点における価値を表したもので、保有契約及び保有契約に係る資産から将来発生すると見込まれる株主への分配可能な利益を現在価値に割り引いております。新契約の獲得を主な理由として、当事業年度末における保有契約価値は前事業年度末から増加しております。保有契約価値の内訳は以下のとおりであります。
将来利益の計算において保険契約に係る資産は簿価評価しております。また、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金が将来において戻入する前提で、その戻入による利益を含めて計算しております。「ロ.簡易生命保険契約について」をご参照ください。
ⅲ 新契約価値
新契約価値は、当期間に獲得した新契約(医療特約の切替加入契約については正味増加分のみ)の契約獲得時点における価値を表したものであります。評価に用いられた金利の上昇及び保険料の改定を主な理由として、当事業年度における新契約価値は前事業年度から増加しております。新契約価値の内訳は以下のとおりであります。
なお、新契約マージン(新契約価値の保険料収入現価に対する比率)は以下のとおりであります。
(注) 将来の収入保険料を、新契約価値の計算に用いたリスク・フリー・レートで割り引いております。
ニ.前事業年度末EEVからの変動要因
ⅰ 前事業年度末EEVの調整
かんぽ生命保険は当事業年度において360億円の株主配当金を支払っており、修正純資産がその分減少しております。
ⅱ 当事業年度新契約価値
新契約価値は、当事業年度に新契約を獲得したことによる契約獲得時点における価値を表わしたものであり、契約獲得に係る費用を控除した後の金額が反映されております。
ⅲ 期待収益(リスク・フリー・レート分)
保有契約価値の計算にあたっては、将来の期待収益をリスク・フリー・レートで割り引いておりますので、時間の経過とともに割引の影響が解放されます。これには、オプションと保証の時間価値、必要資本を維持するための費用及びヘッジ不能リスクに係る費用のうち当事業年度分の解放を含んでおります。修正純資産からは、対応する資産からリスク・フリー・レート分(△0.254%)に相当する収益が発生しております。
ⅳ 期待収益(超過収益分)
EEVの計算にあたっては、将来の期待収益としてリスク・フリー・レートを用いておりますが、実際の会社はリスク・フリー・レートを超過する利回りを期待しております。この項目は、その期待される超過収益を表しております。
ⅴ 保有契約価値からの移管
当事業年度に実現が期待されていた利益が、保有契約価値から修正純資産に移管されます。これには、前事業年度末の保有契約から期待される当事業年度の利益と、当事業年度に獲得した新契約からの、契約獲得に係る費用を含めた当事業年度の損益が含まれております。
これらは保有契約価値から修正純資産への振替えであり、EEVの金額には影響しません。
ⅵ 前提条件(非経済前提)と実績の差異
前事業年度末の保有契約価値の計算に用いた前提条件(非経済前提)と、当事業年度の実績の差額であります。
ⅶ 前提条件(非経済前提)の変更
前提条件(非経済前提)を更新したことにより、翌事業年度以降の収支が変化することによる影響であります。
ⅷ 前提条件(経済前提)と実績の差異
市場金利やインプライド・ボラティリティ等の経済前提が、前事業年度末EEV計算に用いたものと異なることによる影響であります。当該影響は、当事業年度の実績及び翌事業年度以降の見積もりの変更を含んでおります。
主に土地等に係る固定資産等処分益により、修正純資産は632億円増加しております。
金利は低下したものの、主にインプライド・ボラティリティの減少及び株価の上昇により、保有契約価値は303億円増加しております。
ホ.感応度(センシティビティ)
前提条件を変更した場合のEEVの感応度は以下のとおりであります。感応度は、一度に1つの前提のみを変化させることとしており、同時に2つの前提を変化させた場合の感応度は、それぞれの感応度の合計とはならないことにご注意ください。
感応度1から4について、修正純資産の変動額は以下のとおりであります。また、感応度5から11については、保有契約価値のみの変動額となります。
(注) 参考値として、会社合計の資産の含み損益の増減額(税引後に換算)を示しております。なお、EEVの計算にあたって、保険契約に係る部分の資産の含み損益については、修正純資産ではなく、保有契約価値の計算に含めて評価しております。
新契約価値の感応度
ⅰ 感応度1:リスク・フリー・レート50bp上昇
(ⅰ)リスク・フリー・レート(フォワード・レート)が各年限とも50bp上昇した場合の影響を表しております。債券・貸付金等、金利の変動により時価が変動する資産を再評価するとともに、将来の運用利回りや割引率を変動させて保有契約価値を再計算しております。
(ⅱ)リスク・フリー・レートについては、補外開始年度以降は終局金利を変えずに補外しております。
ⅱ 感応度2:リスク・フリー・レート50bp低下
(ⅰ)リスク・フリー・レート(フォワード・レート)が各年限とも50bp低下した場合の影響を表しております。なお、リスク・フリー・レートが0%を下回る場合は0%としております。ただし、50bp低下前のリスク・ フリー・レートが0%を下回る場合はその値をそのまま使用しております。
(ⅱ)リスク・フリー・レートについては、補外開始年度以降は終局金利を変えずに補外しております。
ⅲ 感応度3:リスク・フリー・レート50bp低下(低下後の下限なし)
(ⅰ)リスク・フリー・レート(フォワード・レート)が各年限とも50bp低下した場合の影響を表しております。なお、感応度2と異なり、リスク・フリー・レートの正負を判定せず、下限を設けずに50bp低下させております。
(ⅱ)リスク・フリー・レートについては、補外開始年度以降は終局金利を変えずに補外しております。
ⅳ 感応度4:株式・不動産価値10%下落
株式及び不動産の評価日時点の価格が10%下落した場合の影響を表しております。
ⅴ 感応度5:事業費率(維持費)10%減少
事業費率(契約維持に係るもの)が10%減少した場合の影響を表しております。
ⅵ 感応度6:解約失効率10%減少
解約失効率が10%減少(基本となる解約失効率に90%を乗じた水準した場合の影響を表しております。
ⅶ 感応度7:保険事故発生率(死亡保険)5%低下
死亡保険について、保険事故発生率(死亡率・罹患率)が5%低下(基本となる保険事故発生率に95%を乗じた水準)した場合の影響を表しております。
ⅷ 感応度8:保険事故発生率(年金保険)5%低下
年金保険について、保険事故発生率が5%低下(基本となる保険事故発生率に95%を乗じた水準)した場合の影響を表しております。
ⅸ 感応度9:必要資本を法定最低水準に変更
必要資本を法定最低水準(ソルベンシー・マージン比率200%水準)に変更した場合の影響を表しております。
ⅹ 感応度10:株式・不動産のインプライド・ボラティリティ25%上昇
オプションと保証の時間価値の計算に使用する、株式オプションのインプライド・ボラティリティが25%上昇した場合の影響を表しております。
ⅺ 感応度11:金利スワップションのインプライド・ボラティリティ25%上昇
オプションと保証の時間価値の計算に使用する、金利スワップションのインプライド・ボラティリティが25%上昇した場合の影響を表しております。
ヘ.注意事項
EEVの計算においては、リスクと不確実性を伴う将来の見通しを含んだ多くの前提条件を使用し、それらの多くは個別会社の管理能力を超えた領域に属するものであります。また、将来の実績がEEVの計算に使用した前提条件と大きく異なる場合もあり得ます。
これらの理由により、本EEV開示は、EEV計算に用いられた将来の税引後利益が達成されることを表明するものではなく、使用にあたっては、十分な注意を払っていただく必要があります。
ト.その他の特記事項
かんぽ生命保険では、保険数理に関する専門知識を有する第三者機関(アクチュアリー・ファーム)に、EEVについて検証を依頼し、意見書を受領しております。
⑥ その他
上記各報告セグメントにおける事業のほか、病院事業については、地域医療機関との連携や救急患者の受入の強化等による増収対策、調達の効率化等による経費削減、また、経営改善が見込めない逓信病院(3カ所※)を譲渡する等、個々の病院の状況を踏まえた経営改善を進めているところであり、営業収益18,733百万円(前期比2,511百万円減)、営業損失4,879百万円(前期は5,581百万円の営業損失)となりました。今後も引き続き上記増収対策や経費削減等、個々の病院の状況を踏まえた経営改善に取り組みます。
また、宿泊事業については、営業推進態勢の強化やサービス水準向上による魅力ある宿づくりを継続的に進めるとともに、費用管理による経費削減等の経営改善に取り組んでいるところですが、重油価格の高騰や人件費の増加等の影響もあり、営業収益26,514百万円(前期比244百万円増)、営業損失2,976百万円(前期は2,477百万円の営業損失)となりました。今後も、増加傾向にあるインバウンド需要への対応や外部のWebサイトの活用強化等による増収施策、食材等原価管理の徹底、業務フローの効率化等の生産性向上施策を着実に実施することにより、経営改善に取り組みます。
※ 平成29年4月 札幌逓信病院、横浜逓信病院、徳島逓信病院
(3) キャッシュ・フローの状況及び分析・検討
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は当期首から2,531,147百万円減少し、50,694,528百万円となりました。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
税金等調整前当期純利益が709,134百万円と前連結会計年度と比べ538,246百万円の増益となりましたが、銀行業における資金の運用や調達、生命保険業における保険料の収入や保険金の支払等の結果、営業活動においては、2,337,394百万円の支出(前期比1,346,271百万円の支出増)となりました。
主な要因として、運用の多様化をすすめた結果等により、利息及び配当金の受取額1,179,552百万円の収入、責任準備金の減少2,397,936百万円や貸出金の増加2,083,094百万円の支出があげられます。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動においては、銀行業及び生命保険業における有価証券の売却、償還による収入等及び有価証券の取得による支出等の結果、99,012百万円の収入(前期比6,201,685百万円の収入減)となりました。
主な要因として、運用の多様化をすすめた結果等により、有価証券の償還による26,568,676百万円や有価証券の売却による4,623,202百万円の収入、有価証券の取得による支出29,433,620百万円があげられます。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動においては、当社の配当金の支払等の結果、292,041百万円の支出(前期比66,842百万円の支出増)となりました。
主な要因として、借入れによる収入103,644百万円、配当金の支払額203,633百万円や株主還元の強化及び政府保有株式売却に係る株式需給への影響を緩和する観点による自己株式の取得による99,999百万円の支出があげられます。
④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
新中期経営計画において、お客さま満足向上、営業力向上、業務効率化など経営基盤強化に資するインフラ整備を推進するため、郵便・物流事業や金融窓口事業における局舎等工事、金融窓口事業における不動産開発、国際物流事業における船舶更改、銀行業における総合情報システムの開発、生命保険業における基幹系システムの開発等への投資を計画しております。
また、上記の他に、「トータル生活サポート企業グループ」としてグループの成長につながるよう、当社グループ・グループ各社の企業価値向上に資する幅広い分野での資本提携やM&Aも、投資判断基準等に照らして慎重に検討し、適切と判断したものを実施することとしております。その財源は、既存のキャッシュ・フローのほか、潤沢な借入余力を活かした借入金や金融2社株式を売却した場合の売却手取金を想定しています。
なお、現在予定している設備の新設計画としては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1) 重要な設備等の新設等」の記載をご参照ください。
(4) 連結自己資本比率の状況
銀行持株会社としての当社の連結自己資本比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第20号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。
なお、当社は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。
当連結会計年度末における連結自己資本比率は、19.11%となりました。
連結自己資本比率(国内基準)
(注) 連結総所要自己資本額は、上記3.に記載しているリスク・アセット等の額に4%を乗じた額であります。
(5) 連結ソルベンシー・マージン比率の状況
保険持株会社としての当社の連結ソルベンシー・マージン比率は、保険業法施行規則第210条の11の3、第210条の11の4及び平成23年金融庁告示第23号の規定に基づいて算出しております。
ソルベンシー・マージン比率とは、大災害や株価の大暴落など、通常の予測を超えて発生するリスクに対応できる「支払余力」を有しているかどうかを判断するための行政監督上の指標の一つであります。
この比率が200%を下回った場合は、規制当局によって早期是正措置がとられます。逆にこの比率が200%以上であれば、健全性の一つの基準を満たしていることになります。
当連結会計年度末における連結ソルベンシー・マージン比率は、722.7%となりました。
(注) 保険業法施行規則第210条の11の3、第210条の11の4及び平成23年金融庁告示第23号の規定に基づいて算出しております。
(6) 目標とする経営指標の達成状況等
当社グループにおいては、前中期経営計画にて、平成30年3月期の連結経営目標とした連結当期純利益(非支配株主に帰属する当期純利益を含む。)4,500億円に対し、平成30年3月期においては連結当期純利益(非支配株主に帰属する当期純利益を含む。)5,120億円と連結経営目標を達成しました。その内容について、以下の通り分析しております。
日本郵便におきましては、郵便・物流事業セグメントにおいて、eコマース市場の拡大による荷物量の増加基調や、ゆうパックなどのコンビニ受取や「はこぽす」の設置拡大などの受取利便性向上施策が奏功し、平成30年3月期でゆうパック個数は8.8億個となり、目標としていた6.8億個を達成しました。
金融窓口事業セグメントにおいて、提携金融サービスではがん保険の取扱局を2万局に拡大させ、また、物販事業では商品ラインナップを拡充し、順調に収益を拡大させました。不動産事業においては、JPタワーやJPタワー名古屋等の順調な稼働により、目標としていた営業収益250億円を達成しました。
国際物流事業セグメントにおいて、トール社をプラットフォームとした国際物流事業の拡大を目指し、平成27年5月にトール社を子会社化しましたが、資源価格の下落並びに中国経済及び豪州経済の減速等を受けて、トール社の業績が大きく悪化したことに伴い、平成29年3月期の決算において、国際物流事業に係るのれん等の減損を実施いたしました。平成30年3月期は、部門の統合・簡素化といった組織体制の見直しや、それに伴う人員削減といった経営改善策を進めたほか、ヘルスケア等の高成長分野における物流ニーズを獲得するといった成長戦略を進める等、業績向上の取組みにより、ロジスティクス事業は収益拡大及び増益となり、エクスプレス事業・フォワーディング事業は赤字幅が改善しました。
結果、日本郵便の連結営業収益が平成30年3月期の経営目標3.1兆円に対し3.88兆円(国際物流事業セグメントを除くと3.17兆円)、連結経常利益が平成30年3月期の経営目標350億円に対し854億円、連結当期純利益が平成30年3月期の経営目標300億円に対し584億円となりました。
ゆうちょ銀行におきましては、投資信託等の資産運用商品の商品・サービスの充実により、販売額及び残高を拡大させるとともに、ATМ設置を拡大したことにより、役務取引等収支を拡大させました。また、お客さまサービスの向上やゆうちょ銀行の成長に資する分野への投資は積極的に行う一方で、既定経費の削減やBPR(業務プロセスの変革による生産性の向上)を推進するなど、経費の効率的使用に取り組み、前中期経営計画の経営目標としていた物件費削減については、平成27年3月期対比785億円削減となり、目標(500億円削減)を上回りました。加えて、安定的な収益を確保するため、適切なリスク管理の下、運用の高度化・多様化に取り組みました。
結果、ゆうちょ銀行(単体)の経常利益が平成30年3月期の経営目標4,800億円に対し4,996億円、当期純利益が平成30年3月期の経営目標3,300億円に対し3,527億円となりました。
かんぽ生命保険におきましては、かんぽ生命保険が成長するために必要となる経営基盤を確立するとともに、かんぽ生命保険の強みをさらに強固にする商品・サービスをご提供することで、本格的な成長軌道への転換に道筋をつけることとしており、「お客さまニーズに対応した商品開発」、「販売チャネルの営業力強化」、「ご高齢のお客さまへのサービスの充実」、「引受けから支払いまで簡易・迅速・正確に行う態勢整備」、「運用収益力の向上」、「内部管理態勢の強化」、「人材育成の強化」の各戦略に取り組みました。新契約月額保険料(個人保険)については、平成28年3月期に510億円、平成29年3月期に553億円まで拡大し、500億円台の目標を1年前倒しで達成することができました。平成30年3月期においては、保険料改定に伴い保障重視の販売強化への本格的な転換により、新契約月額保険料(個人保険)については414億円となりましたが、商品収益性は大きく改善しました。
結果、かんぽ生命保険(単体)の当期純利益が平成30年3月期の経営目標800億円に対し1,044億円となりました。
(7) 生産、受注及び販売の状況
当社グループは、郵便・物流事業、金融窓口事業、国際物流事業、銀行業及び生命保険業を中心とした広範囲な事業を営んでおり、生産、受注といった区分による表示が困難であることから、「生産、受注及び販売の状況」については、上記「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営成績の状況及び分析・検討」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。
なお、文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態の状況及び分析・検討
当連結会計年度末の資産、負債及び純資産の状況は以下のとおりであります。
資産の部合計は、前連結会計年度末比2,522,390百万円減の290,640,154百万円となりました。
主な要因は、運用の多様化をすすめた結果等により、銀行業及び生命保険業における貸出金1,647,661百万円の増、銀行業及び生命保険業における金銭の信託1,111,447百万円の増の一方、銀行業及び生命保険業等における有価証券2,957,513百万円の減、現金預け金2,531,117百万円の減によるものです。
負債の部合計は、前連結会計年度末比2,311,043百万円減の275,896,920百万円となりました。
主な要因は、運用の多様化をすすめた結果等により、銀行業における売現先勘定1,024,348百万円の増、銀行業における貯金484,716百万円の増の一方、生命保険業における責任準備金2,397,936百万円の減、銀行業及び生命保険業における債券貸借取引受入担保金1,107,689百万円の減によるものです。
純資産の部合計は、前連結会計年度末比211,347百万円減の14,743,234百万円となりました。
主な要因は、利益剰余金256,923百万円の増、銀行業及び生命保険業等における繰延ヘッジ損益106,575百万円の増の一方、銀行業及び生命保険業等におけるその他有価証券評価差額金416,943百万円の減によるものです。
各事業セグメント別の資産の状況は以下のとおりであります。
① 郵便・物流事業
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比3,565百万円増の1,971,534百万円となりました。
主な要因は、次世代郵便情報システムの減価償却等によりソフトウエアが10,638百万円減少した一方、現金預け金が7,170百万円増加したほか、ゆうパック・ゆうパケットの引受の増加に伴う営業未収入金(その他資産)が増加したことによるものです。
② 金融窓口事業
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比16,098百万円減の2,692,432百万円となりました。
主な要因は、現金預け金が12,379百万円増加したほか、現金自動入出金機の減価償却の進捗等に伴い工具、器具及び備品(その他の有形固定資産)が減少したことによるものです。
③ 国際物流事業
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比20,428百万円増の441,941百万円となりました。
主な要因は、財務管理システムをはじめとするITシステムの統合に向けた投資に伴いソフトウエアが10,565百万円増加、現金預け金が2,285百万円増加したことによるものです。
④ 銀行業
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比1,060,888百万円増の210,629,793百万円となりました。
主な要因は、運用の高度化・多様化をすすめた結果等により、貸出金が2,081,417百万円増加、金銭の信託が423,616百万円増加した一方、現金預け金が1,993,607百万円減少したことによるものです。
⑤ 生命保険業
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比3,505,498百万円減の76,831,261百万円となりました。
主な要因は、保有契約の減少に伴い有価証券が3,354,379百万円減少したことによるものです。
(2) 経営成績の状況及び分析・検討
当連結会計年度、当社グループは、平成27年度から平成29年度を計画期間とする「日本郵政グループ中期経営計画 ~新郵政ネットワーク創造プラン2017~」(以下「前中期経営計画」といいます。)の総仕上げの年であり、トータル生活サポート企業を目指して、次なる持続的成長・発展への道筋を描く年と位置付け、上場企業グループとしての適切なコーポレートガバナンスを土台として、前中期経営計画の達成、お客さまサービスの拡大・高度化、社員の力が最大限に発揮される職場作りを中心に取り組んでまいりました。
当社におきましては、持株会社として、当社グループの企業価値向上を目指し、グループ各社の収益拡大や経営効率化等が着実に推進するとともに、郵便、貯金及び保険のユニバーサルサービスの確保並びに郵便局ネットワークの維持・活用による安定的なサービスの提供等という目的が達成できるようグループ運営に取り組んでまいりました。また、グループ各社のコンプライアンス・プログラムの策定・推進の状況及び各社の内部監査態勢・監査状況を的確に把握し、必要となる支援・指導を行う等、業務の適正を確保するため、グループとして内部統制及びコーポレートガバナンスの強化の推進に努めました。加えて、集約により効率性が高まる間接業務をグループ各社から受託して実施するほか、病院及び宿泊事業の経営改善を進めました。また、お客さま本位の業務運営のさらなる推進に向け「お客さま本位の業務運営に関する基本方針」を公表いたしました。
さらに、グループ各社が提供するサービスの公益性及び公共性の確保やお客さま満足度の向上に取り組むとともに、当社グループの社会的責任を踏まえたCSR活動や災害復興支援にも、当社グループが一丸となって取り組んでまいりました。
これらの取組みの結果、当連結会計年度における連結経常収益は12,920,375百万円(前期比406,158百万円減)、連結経常利益は916,144百万円(前期比120,907百万円増)となりました。連結経常利益に、価格変動準備金繰入額等による特別損失、契約者配当準備金繰入額等を加減した親会社株主に帰属する当期純利益は460,623百万円(前期は28,976百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となり、前連結会計年度はのれん及び商標権の全額並びに有形固定資産の一部の減損損失を特別損失として計上したこと等により親会社株主に帰属する当期純損失であったこともあり、当連結会計年度は増益となりました。
各事業セグメント別の事業の経過及び成果は、以下のとおりであります。
① 郵便・物流事業
郵便・物流事業につきましては、収益力の強化に向けた取組みとして、年賀状をはじめとしたスマートフォン等を使ったSNS連携サービスや手紙の楽しさを伝える活動等により、郵便の利用の維持・拡大を図るとともに、受取利便性の高いサービスの推進、中小口のお客さまに対する営業の強化、お客さまの幅広いニーズに一元的に対応できる営業体制の構築に取り組みました。
また、郵便物の減少が続く中、機械化等による生産性向上や各種コスト削減に取り組んでいるものの、近年の人件費単価の上昇等により郵便事業の収支が悪化している状況を踏まえ、今後も安定的なサービスの提供を維持するため、平成29年6月に郵便料金等の一部を改定しました。
ゆうパックについて、平成30年3月より、初回配達前に受取日時や場所の指定ができるサービスを開始するとともに、基本運賃の改定等を行いました。また、eコマース市場の拡大により荷物需要が増加する中、業務運行を確保しつつ、ゆうパック等の拡大に対応しました。
さらに、デジタルメッセージサービス(「MyPost(マイポスト)」)については、利用定着を図るとともに、平成29年7月より、政府の進めるマイナポータルと連携したほか、ワンストップサービスにも取り組みました。
生産性の向上・ネットワーク価値向上に向けた取組みとしては、ネットワークの最適化・高度化を目指し、集配局の内務作業の集中・機械化処理を行うため、新たに地域区分郵便局を9局開局する等、郵便・物流ネットワーク再編を推進しました。また、郵便局の業務効率の向上を目指し、引き続き、集配業務の生産性の向上、輸送効率の向上に取り組んだほか、業務運行に必要な労働力を確保できるよう、地域ごとの状況を踏まえた効果的な募集活動及び定着に向けた取組みを行いました。
また、日本郵便(単体)における当事業年度の総取扱物数は郵便物が172億2,211万通(前期比2.9%減)、ゆうメールが36億3,743万個(前期比4.0%増※)、ゆうパック・ゆうパケットが8億7,588万個(前期比25.6%増※)となりました。
これらの取組みの結果、当連結会計年度、郵便・物流事業におきましては、eコマース市場拡大によりゆうパック・ゆうパケットの取扱数量が増加したことに加え、普通郵便の料金改定の影響などにより営業収益が増加しました。一方、ゆうパック・ゆうパケットの取扱数量の増加や一時金(賞与)の引上げなどにより営業費用は増加したものの、営業収益の増加の範囲内となりました。その結果、経常収益は2,025,536百万円(前期比92,449百万円増)、経常利益は43,736百万円(前期比29,411百万円増)となりました。なお、日本郵便の当連結会計年度における郵便・物流事業の営業収益は2,022,526百万円(前期比92,598百万円増)、営業利益は41,903百万円(前期比29,850百万円増)となりました。
※ ゆうメールに含めていたゆうパケットの物数については、平成28年10月より、ゆうパックに含めて表示する方法に変更しました。これに伴い、ゆうメール及びゆうパックの総取扱物数の前期比は、当該変更を期首より反映した前事業年度の物数との比較で算出しております。
引受郵便物等の状況
区分 | 前事業年度 | 当事業年度 | |||
物数(千通・千個) | 対前期比(%) | 物数(千通・千個) | 対前期比(%) | ||
総数 | 21,925,689 | △0.7 | 21,735,420 | △0.9 | |
郵便物 | 17,730,418 | △1.7 | 17,222,112 | △2.9 | |
内国 | 17,683,959 | △1.7 | 17,174,899 | △2.9 | |
普通 | 17,193,956 | △1.3 | 16,684,269 | △3.0 | |
第一種 | 8,411,787 | △0.6 | 8,098,339 | △3.7 | |
第二種 | 6,276,453 | △0.6 | 6,217,934 | △0.9 | |
第三種 | 211,316 | △4.1 | 203,713 | △3.6 | |
第四種 | 17,728 | △5.7 | 16,689 | △5.9 | |
年賀 | 2,236,551 | △4.9 | 2,097,787 | △6.2 | |
選挙 | 40,121 | △29.4 | 49,807 | 24.1 | |
特殊 | 490,003 | △11.7 | 490,630 | 0.1 | |
国際(差立) | 46,459 | △4.9 | 47,213 | 1.6 | |
通常 | 26,942 | 8.1 | 28,996 | 7.6 | |
小包 | 4,116 | △13.5 | 4,069 | △1.1 | |
国際スピード郵便 | 15,400 | △19.7 | 14,148 | △8.1 | |
荷物 | 4,195,272 | 3.5 | 4,513,308 | 7.6 | |
ゆうパック | 697,266 | 9.6 | 875,883 | 25.6 | |
ゆうメール | 3,498,005 | 2.4 | 3,637,425 | 4.0 |
(注) 1.第一種郵便物、第二種郵便物、第三種郵便物及び第四種郵便物の概要/特徴は、以下のとおりであります。
種類 | 概要/特徴 |
第一種郵便物 | お客さまがよく利用される「手紙」(封書)のことであります。一定の重量及び大きさの定形郵便物とそれ以外の定形外郵便物に分かれます。また、郵便書簡(ミニレター)、特定封筒(レターパックライト)及び小型特定封筒(スマートレター)も含んでおります。 |
第二種郵便物 | お客さまがよく利用される「はがき」のことであります。通常はがき及び往復はがきの2種類があります。年賀郵便物の取扱期間(12/15~1/7)以外に差し出された年賀はがきを含んでおります。 |
第三種郵便物 | 新聞、雑誌など年4回以上定期的に発行する刊行物で、日本郵便の承認を受けたものを内容とするものであります。 |
第四種郵便物 | 公共の福祉の増進を目的として、郵便料金を低料又は無料としているものであります。通信教育用郵便物、点字郵便物、特定録音物等郵便物、植物種子等郵便物、学術刊行物郵便物があります。 |
2.年賀は、年賀郵便物(年賀特別郵便(取扱期間12/15~12/28)及び12/29~1/7に差し出された年賀はがきで消印を省略したもの)の物数であります。
3.選挙は、公職選挙法に基づき、公職の候補者又は候補者届出政党から選挙運動のために差し出された通常はがきの物数であります。別掲で示しております。
4.特殊は、速達、書留、特定記録、本人限定受取等の特殊取扱(オプションサービス)を行った郵便物の物数の合計であります。交付記録郵便物用特定封筒(レターパックプラス)及び電子郵便(レタックス、Webゆうびん、e内容証明)を含んでおります。
5.ゆうパックは、一般貨物法制の規制を受けて行っている宅配便の愛称であります。配送中は、追跡システムにより管理をしております。なお、ゆうメールに含めていたゆうパケットの物数については、平成28年10月より、ゆうパックに含めて表示する方法に変更しました。これに伴い、当事業年度の対前期比については、当該変更を期首より反映した前事業年度の物数との比較で算出しております。また、前事業年度の対前期比についても、当該変更を期首より反映した前々事業年度の物数との比較で算出しております。
6.ゆうメールは、一般貨物法制の規制を受けて行っている3kgまでの荷物の愛称であります。主に冊子とした印刷物やCD・DVDなどをお届けするもので、ゆうパックより安値でポスト投函も可能な商品であります。
② 金融窓口事業
金融窓口事業につきましては、収益力の強化に向けた取組みとして、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険と連携した研修を通じた社員の営業力強化や、投資信託の販売を通じ、金融預かり資産重視の営業スタイルのさらなる浸透や新契約拡大、新規利用顧客の拡大を図りました。また、がん保険等の提携金融サービスについても、研修等を通じ、社員の営業力強化に取り組みました。加えて、物販事業については、商品の拡充・開発を行うとともに、お客さまのニーズに対応するため、販売チャネルの多様化を推進しました。あわせて、不動産事業については、JPタワー等による事務所、商業施設、住宅や保育施設などの賃貸事業等を推進しました。
主なプロジェクトの概要は以下のとおりです。
名称 | 土地面積 (千㎡) | 延床面積 (千㎡) | 簿価 (百万円) | 持分シェア | ||
土地等 | 建物他 | |||||
JPタワー | 約11 | 約212 | 305,873 | 227,783 | 78,089 | 共同事業 メジャーシェア |
大宮JPビルディング | 約6 | 約45 | 11,488 | 3,903 | 7,585 | 単独事業 |
JPタワー名古屋 | 約12 | 約180 | 48,810 | 10,945 | 37,864 | 共同事業 メジャーシェア |
KITTE博多 | 約5 | 約64 | 23,001 | 7,385 | 15,615 | 単独事業 |
(注) 平成30年3月31日時点
また、ネットワーク価値向上に向けた取組みとして、郵便局の新規出店、店舗配置の見直し等を通じた郵便局ネットワークの最適化に引き続き取り組みました。郵便局の現金取扱いに関して、機器の増配備により資金管理体制の充実を図るとともに、郵便局への訪問支援や関連ツールの充実等による業務品質の向上に取り組みました。
そのほか、地域住民の利便性の向上に資することを目的とした「郵便局のみまもりサービス」について、平成29年10月より、全国でのサービス提供を開始しました。
これらの取組みの結果、当連結会計年度、金融窓口事業におきましては、提携金融事業が好調を維持し、不動産事業についても堅調であったものの、銀行・保険受託手数料がいずれも減少したことにより営業収益は減少しました。一方、かんぽ生命保険の新契約の減少や各種効率化施策により人件費が減少し、経費抑制に努めたものの、営業費用全体では前期並みとなりました。その結果、経常収益は1,360,676百万円(前期比27,281百万円減)、経常利益は40,983百万円(前期比23,183百万円減)となりました。なお、日本郵便の当連結会計年度における金融窓口事業の営業収益は1,358,798百万円(前期比27,657百万円減)、営業利益は39,771百万円(前期比23,562百万円減)となりました。
郵便局数
支社名 | 営業中の郵便局(局) | |||||||
前事業年度末 | 当事業年度末 | |||||||
直営の郵便局 | 簡易 郵便局 | 計 | 直営の郵便局 | 簡易 郵便局 | 計 | |||
郵便局 | 分室 | 郵便局 | 分室 | |||||
北海道 | 1,208 | 1 | 278 | 1,487 | 1,208 | 1 | 275 | 1,484 |
東北 | 1,886 | 1 | 619 | 2,506 | 1,890 | 1 | 622 | 2,513 |
関東 | 2,394 | 0 | 179 | 2,573 | 2,396 | 0 | 178 | 2,574 |
東京 | 1,478 | 0 | 6 | 1,484 | 1,475 | 0 | 6 | 1,481 |
南関東 | 954 | 0 | 78 | 1,032 | 954 | 0 | 77 | 1,031 |
信越 | 977 | 0 | 329 | 1,306 | 977 | 0 | 327 | 1,304 |
北陸 | 672 | 0 | 178 | 850 | 668 | 0 | 177 | 845 |
東海 | 2,050 | 2 | 328 | 2,380 | 2,050 | 2 | 327 | 2,379 |
近畿 | 3,096 | 6 | 334 | 3,436 | 3,094 | 6 | 332 | 3,432 |
中国 | 1,752 | 2 | 476 | 2,230 | 1,752 | 2 | 467 | 2,221 |
四国 | 932 | 0 | 224 | 1,156 | 931 | 0 | 222 | 1,153 |
九州 | 2,503 | 2 | 925 | 3,430 | 2,504 | 0 | 914 | 3,418 |
沖縄 | 175 | 0 | 24 | 199 | 175 | 0 | 23 | 198 |
全国計 | 20,077 | 14 | 3,978 | 24,069 | 20,074 | 12 | 3,947 | 24,033 |
なお、日本郵便におきましては、「コンプライアンスは経営上の最重要課題」との基本的な考え方に基づき、部内犯罪・重大事故の防止、顧客情報保護、その他不適正事案の抑止及び社会的な要請への対応に委託元会社とも連携して取り組みました。その取組みの一環として、料金不適正収納事案についても、適正収納対策本部の設置など、その根絶に取り組みました。
③ 国際物流事業
国際物流事業につきましては、引き続き、日本郵便の子会社であるトール社をグローバル展開のための中核と位置づけ、グループの企業価値向上に資するよう、部門の統合・簡素化といった組織体制の見直しや、それに伴う人員削減といった経営改善策を進めたほか、ヘルスケア等の高成長分野における物流ニーズを獲得するといった成長戦略を進める等、業績向上に取り組みました。
これらの取組みの結果、当連結会計年度、国際物流事業におきましては、ロジスティクス事業の収益拡大及び増益、エクスプレス事業・フォワーディング事業の赤字幅の改善により、経常収益は704,890百万円(前期比59,911百万円増)、経常利益は6,544百万円(前期は414百万円の経常損失)となりました。なお、日本郵便の当連結会計年度における国際物流事業については、営業収益は704,302百万円(前期比59,886百万円増)、営業利益は10,254百万円(前期比4,611百万円増)となりました。
④ 銀行業
銀行業につきましては、ゆうちょ銀行において、「お客さま基盤の確保と手数料ビジネスの強化」、「運用の高度化・多様化」、「経営基盤の強化」に取り組みました。
「お客さま基盤の確保と手数料ビジネスの強化」については、お客さまの資産形成のサポートとして、お客さま本位の業務運営の実践により、お客さまのライフスタイルやニーズに応じたコンサルティング営業、郵便局ネットワークを活用した資産運用商品販売を展開しました。また、ATMネットワーク・スマートフォン向けサービスの拡充の取組みとして、引き続き、16言語対応の小型ATMを全国のファミリーマート店舗等へ設置したほか、「ゆうちょ銀行ATM検索アプリ」や「ゆうちょダイレクト残高照会アプリ」といったスマートフォン向けアプリの提供を開始しました。加えて、平成29年7月からビリングシステム株式会社が提供するスマートフォン決済アプリ「PayB(ペイビー)」において、ゆうちょ銀行口座からのお支払いが可能となったほか、即時振替サービスを活用した証券会社等との連携拡大等、決済機能の拡充に努めました。
「運用の高度化・多様化」については、国内の低金利環境が継続する中、海外の投資適格債を中心とした外国証券投資を拡大しました。また、成長が見込まれる未上場企業等へ投資するプライベートエクイティファンド、不動産ファンド、ヘッジファンドなどのオルタナティブ投資の着実な積上げを進めました。加えて、プライベートエクイティ投資によるさらなる収益拡大を図るためかんぽ生命保険と協力し、平成30年2月にJPインベストメント株式会社を設立いたしました。そのほか、お客さまの大切な資金を地域に循環させていくために、引き続き、地域金融機関との連携を通じて、事業承継や起業・創業の支援等を目的として、複数の地域活性化ファンドに参加いたしました。また、運用の高度化・多様化にあわせて、外貨資金の安定的な確保に努めるとともに、外部からの専門的人材の登用・内部人材の育成により、運用態勢の強化に取り組みました。さらに、オルタナティブ投資を始めとする投資対象の拡大に対応し、モニタリングの高度化等により、リスク管理態勢の強化に取り組みました。
「経営基盤の強化」については、「コンプライアンスなくして会社は存続し得ない」との強い信念のもと、各種研修等を通じたコンプライアンス意識のさらなる浸透や、資産運用商品販売におけるお客さま保護など、企業価値向上に向けた内部管理態勢の強化に取り組んだほか、平成29年6月に、「お客さま本位の業務運営に関する基本方針」を公表し、その定着・推進に努めました。
平成29年6月19日、「お客さま本位の良質な金融サービスの提供」、「地域への資金の循環等」、「資金運用の高度化・多様化」の3点を基軸に、さらなる企業価値の向上の観点から、口座貸越サービス、地域金融機関との連携に係る業務等、市場運用関係業務に関し、認可を取得いたしました。
これらの取組みの結果、当連結会計年度、銀行業におきましては、資金利益が国債利息の減少を主因に減少した一方、その他業務利益は、外国為替売買損益の増加等により増加しました。金利が低位で推移するなど厳しい経営環境下にあるものの、経常収益は2,044,929百万円(前期比147,636百万円増)、経常利益は499,642百万円(前期比57,525百万円増)となりました。
なお、ゆうちょ銀行における損益の概要などの詳細な状況については、下記「(参考1) 銀行業を行う当社の子会社であるゆうちょ銀行(単体)の状況」「(参考2) 自己資本比率の状況」「(参考3) 資産の査定」に記載のとおりであります。
(参考1) 銀行業を行う当社の子会社であるゆうちょ銀行(単体)の状況
(a) 損益の概要
当事業年度の業務粗利益は、前事業年度比52,110百万円増加の1,462,367百万円となりました。このうち、資金利益は、国債利息の減少を主因に、前事業年度比47,854百万円の減少となりました。一方、役務取引等利益は、前事業年度比9,828百万円の増加となりました。その他業務利益は、外国為替売買損益の増加等により、前事業年度比90,136百万円の増加となりました。
経費は、前事業年度比11,122百万円減少の1,045,046百万円となりました。
金利が低位で推移するなど厳しい経営環境下にあるものの、業務純益は前事業年度比63,233百万円増加の417,320百万円となりました。
臨時損益は金銭の信託運用損益の減少等により、前事業年度比5,627百万円減少し、経常利益は前事業年度比57,583百万円増加の499,669百万円となりました。当期純利益は352,745百万円、前事業年度比40,480百万円の増益となりました。
前事業年度 (百万円)(A) | 当事業年度 (百万円)(B) | 増減(百万円) (B)-(A) | |
業務粗利益 | 1,410,256 | 1,462,367 | 52,110 |
資金利益 | 1,223,546 | 1,175,691 | △47,854 |
役務取引等利益 | 86,619 | 96,448 | 9,828 |
その他業務利益 | 100,091 | 190,227 | 90,136 |
うち外国為替売買損益 | 99,395 | 194,930 | 95,534 |
うち国債等債券損益 | △2,454 | △6,473 | △4,019 |
経費(除く臨時処理分) | △1,056,168 | △1,045,046 | 11,122 |
人件費 | △125,328 | △128,658 | △3,330 |
物件費 | △854,369 | △838,925 | 15,444 |
税金 | △76,470 | △77,462 | △991 |
業務純益(一般貸倒引当金繰入前) | 354,087 | 417,320 | 63,233 |
一般貸倒引当金繰入額 | 10 | △11 | △21 |
業務純益 | 354,098 | 417,309 | 63,211 |
臨時損益 | 87,987 | 82,359 | △5,627 |
うち株式等関係損益 | 88 | △21,265 | △21,354 |
うち金銭の信託運用損益 | 82,930 | 50,933 | △31,997 |
うち睡眠貯金関係損益 | 7,654 | 60,205 | 52,550 |
経常利益 | 442,085 | 499,669 | 57,583 |
特別損益 | △1,488 | △731 | 757 |
固定資産処分損益 | △529 | △713 | △183 |
減損損失 | △958 | △17 | 941 |
税引前当期純利益 | 440,596 | 498,937 | 58,341 |
法人税、住民税及び事業税 | △133,287 | △174,218 | △40,931 |
法人税等調整額 | 4,954 | 28,025 | 23,070 |
法人税等合計 | △128,332 | △146,192 | △17,860 |
当期純利益 | 312,264 | 352,745 | 40,480 |
(注) 1.業務純益=業務粗利益-経費(除く臨時処理分)-一般貸倒引当金繰入額
2.臨時損益とは、損益計算書中「その他経常収益・費用」から一般貸倒引当金繰入額を除き、金銭の信託運用見合費用及び退職給付費用のうち臨時費用処理分等を加えたものであります。
3.「金銭の信託運用見合費用」とは、金銭の信託取得に係る資金調達費用であり、金銭の信託運用損益が臨時損益に計上されているため、業務費用から控除しているものであります。
4.国債等債券損益=国債等債券売却益+国債等債券償還益-国債等債券売却損-国債等債券償還損-国債等債券償却
5.株式等関係損益=株式等売却益-株式等売却損-株式等償却
6.金額が損失又は費用には△を付しております。
(参考) 与信関係費用
前事業年度 (百万円)(A) | 当事業年度 (百万円)(B) | 増減(百万円) (B)-(A) | |
与信関係費用 | 0 | △11 | △11 |
一般貸倒引当金繰入額 | 0 | △11 | △11 |
貸出金償却 | - | - | - |
個別貸倒引当金繰入額 | - | - | - |
償却債権取立益 | - | - | - |
(注) 1.金融再生法開示債権に係る費用を計上しております。
2.金額が損失又は費用には△を付しております。
(b) 国内・国際別の資金利益等
国内業務部門・国際業務部門別の資金利益等は次のとおりとなりました。
当事業年度は、国内業務部門においては、資金利益は665,752百万円、役務取引等利益は95,747百万円、その他業務利益は1,404百万円となりました。
国際業務部門においては、資金利益は509,938百万円、役務取引等利益は700百万円、その他業務利益は188,822百万円となりました。
この結果、国内業務部門、国際業務部門の相殺消去後の合計は、資金利益は1,175,691百万円、役務取引等利益は96,448百万円、その他業務利益は190,227百万円となりました。
イ.国内業務部門
前事業年度 (百万円)(A) | 当事業年度 (百万円)(B) | 増減(百万円) (B)-(A) | |
資金利益 | 804,038 | 665,752 | △138,285 |
資金運用収益 | 1,046,541 | 852,033 | △194,507 |
うち国債利息 | 793,325 | 611,847 | △181,477 |
資金調達費用 | 242,503 | 186,280 | △56,222 |
役務取引等利益 | 85,883 | 95,747 | 9,864 |
役務取引等収益 | 118,688 | 129,292 | 10,604 |
役務取引等費用 | 32,805 | 33,545 | 739 |
その他業務利益 | 688 | 1,404 | 715 |
その他業務収益 | 2,453 | 7,423 | 4,970 |
その他業務費用 | 1,764 | 6,018 | 4,254 |
(注) 「国内業務部門」は円建取引であります。
ロ.国際業務部門
前事業年度 (百万円)(A) | 当事業年度 (百万円)(B) | 増減(百万円) (B)-(A) | |
資金利益 | 419,508 | 509,938 | 90,430 |
資金運用収益 | 596,691 | 732,171 | 135,479 |
うち外国証券利息 | 595,384 | 730,365 | 134,981 |
資金調達費用 | 177,183 | 222,232 | 45,049 |
役務取引等利益 | 736 | 700 | △35 |
役務取引等収益 | 776 | 748 | △27 |
役務取引等費用 | 40 | 48 | 8 |
その他業務利益 | 99,402 | 188,822 | 89,420 |
その他業務収益 | 111,918 | 204,204 | 92,286 |
その他業務費用 | 12,516 | 15,381 | 2,865 |
(注) 「国際業務部門」は外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引については、「国際業務部門」に含めております。
ハ.合計
前事業年度 (百万円)(A) | 当事業年度 (百万円)(B) | 増減(百万円) (B)-(A) | |
資金利益 | 1,223,546 | 1,175,691 | △47,854 |
資金運用収益 | 1,567,512 | 1,502,747 | △64,765 |
資金調達費用 | 343,966 | 327,056 | △16,910 |
役務取引等利益 | 86,619 | 96,448 | 9,828 |
役務取引等収益 | 119,465 | 130,041 | 10,576 |
役務取引等費用 | 32,845 | 33,593 | 747 |
その他業務利益 | 100,091 | 190,227 | 90,136 |
その他業務収益 | 114,371 | 211,627 | 97,256 |
その他業務費用 | 14,280 | 21,400 | 7,119 |
(注) 1.資金調達費用は、金銭の信託運用見合費用(前事業年度4,779百万円、当事業年度4,725百万円)を控除しております。
2.「国内業務部門」「国際業務部門」間の内部取引による相殺消去額は下表のとおりであります。
前事業年度 (百万円) | 当事業年度 (百万円) | |
国内業務部門・資金運用収益 | 75,719 | 81,456 |
国際業務部門・資金調達費用 | 75,719 | 81,456 |
(c) 国内・国際別資金運用/調達の状況
当事業年度の資金運用勘定の平均残高は201,467,351百万円、利回りは0.74%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は191,901,004百万円、利回りは0.17%となりました。
国内・国際別に見ますと、国内業務部門の資金運用勘定の平均残高は195,014,321百万円、利回りは0.43%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は186,524,351百万円、利回りは0.09%となりました。
国際業務部門の資金運用勘定の平均残高は54,248,055百万円、利回りは1.34%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は53,171,677百万円、利回りは0.41%となりました。
イ.国内業務部門
種類 | 前事業年度 | 当事業年度 | 増減 | ||||
平均残高 | 利息 | 利回り | 平均残高 | 利息 | 利回り | 利回り | |
(百万円) | (百万円) | (%) (A) | (百万円) | (百万円) | (%) (B) | (%) (B)-(A) | |
資金運用勘定 | 193,991,919 | 1,046,541 | 0.53 | 195,014,321 | 852,033 | 0.43 | △0.10 |
うち貸出金 | 3,081,133 | 17,741 | 0.57 | 4,765,201 | 14,008 | 0.29 | △0.28 |
うち有価証券 | 92,901,349 | 926,690 | 0.99 | 82,402,056 | 730,011 | 0.88 | △0.11 |
うち債券貸借取引支払保証金 | 8,318,619 | 1,471 | 0.01 | 8,414,660 | 1,417 | 0.01 | △0.00 |
うち預け金等 | 47,723,014 | 24,916 | 0.05 | 51,583,059 | 25,115 | 0.04 | △0.00 |
資金調達勘定 | 184,991,156 | 242,503 | 0.13 | 186,524,351 | 186,280 | 0.09 | △0.03 |
うち貯金 | 179,251,855 | 200,373 | 0.11 | 180,316,482 | 145,129 | 0.08 | △0.03 |
うち債券貸借取引受入担保金 | 8,385,284 | 844 | 0.01 | 8,903,813 | 1,285 | 0.01 | 0.00 |
(注) 1.「国内業務部門」は円建取引であります。
2.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度2,646,066百万円、当事業年度2,727,088百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度2,646,066百万円、当事業年度2,727,088百万円)及び利息(前事業年度4,778百万円、当事業年度4,534百万円)を控除しております。
3.預け金等は、譲渡性預け金、日銀預け金、コールローン、買入金銭債権であります。「ロ.国際業務部門」「ハ.合計」においても同様であります。
4.貯金は銀行法施行規則の負債科目「預金」に相当するものであります。「ロ.国際業務部門」「ハ.合計」においても同様であります。
ロ.国際業務部門
種類 | 前事業年度 | 当事業年度 | 増減 | ||||
平均残高 | 利息 | 利回り | 平均残高 | 利息 | 利回り | 利回り | |
(百万円) | (百万円) | (%) (A) | (百万円) | (百万円) | (%) (B) | (%) (B)-(A) | |
資金運用勘定 | 48,252,687 | 596,691 | 1.23 | 54,248,055 | 732,171 | 1.34 | 0.11 |
うち貸出金 | 2,151 | 7 | 0.35 | 2,534 | 10 | 0.40 | 0.05 |
うち有価証券 | 48,099,311 | 595,384 | 1.23 | 54,067,069 | 730,365 | 1.35 | 0.11 |
うち債券貸借取引支払保証金 | - | - | - | - | - | - | - |
うち預け金等 | 81,553 | 968 | 1.18 | 68,461 | 1,019 | 1.48 | 0.30 |
資金調達勘定 | 47,375,519 | 177,183 | 0.37 | 53,171,677 | 222,232 | 0.41 | 0.04 |
うち貯金 | - | - | - | - | - | - | - |
うち債券貸借取引受入担保金 | 4,674,255 | 40,697 | 0.87 | 3,995,938 | 53,987 | 1.35 | 0.48 |
(注) 1.「国際業務部門」は外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引については、「国際業務部門」に含めております。
2.ゆうちょ銀行は、海外店及び海外子会社を有しておりません。
3.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度184百万円、当事業年度45,768百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度184百万円、当事業年度45,768百万円)及び利息(前事業年度0百万円、当事業年度191百万円)を控除しております。
ハ.合計
種類 | 前事業年度 | 当事業年度 | 増減 | ||||
平均残高 | 利息 | 利回り | 平均残高 | 利息 | 利回り | 利回り | |
(百万円) | (百万円) | (%) (A) | (百万円) | (百万円) | (%) (B) | (%) (B)-(A) | |
資金運用勘定 | 200,321,045 | 1,567,512 | 0.78 | 201,467,351 | 1,502,747 | 0.74 | △0.03 |
うち貸出金 | 3,083,285 | 17,748 | 0.57 | 4,767,735 | 14,019 | 0.29 | △0.28 |
うち有価証券 | 141,000,661 | 1,522,075 | 1.07 | 136,469,126 | 1,460,377 | 1.07 | △0.00 |
うち債券貸借取引支払保証金 | 8,318,619 | 1,471 | 0.01 | 8,414,660 | 1,417 | 0.01 | △0.00 |
うち預け金等 | 47,804,568 | 25,885 | 0.05 | 51,651,521 | 26,135 | 0.05 | △0.00 |
資金調達勘定 | 190,443,114 | 343,966 | 0.18 | 191,901,004 | 327,056 | 0.17 | △0.01 |
うち貯金 | 179,251,855 | 200,373 | 0.11 | 180,316,482 | 145,129 | 0.08 | △0.03 |
うち債券貸借取引受入担保金 | 13,059,539 | 41,542 | 0.31 | 12,899,752 | 55,272 | 0.42 | 0.11 |
(注) 1.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度2,646,250百万円、当事業年度2,772,856百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度2,646,250百万円、当事業年度2,772,856百万円)及び利息(前事業年度4,779百万円、当事業年度4,725百万円)を控除しております。
2.「国内業務部門」「国際業務部門」間の内部取引による相殺消去額は下表のとおりであります。
前事業年度 | 当事業年度 | |||
平均残高 (百万円) | 利息 (百万円) | 平均残高 (百万円) | 利息 (百万円) | |
国内業務部門・資金運用勘定 | 41,923,561 | 75,719 | 47,795,025 | 81,456 |
国際業務部門・資金調達勘定 | 41,923,561 | 75,719 | 47,795,025 | 81,456 |
(d) 役務取引等利益の状況
当事業年度の役務取引等利益は、投資信託の販売金額が増加したことや、ATMの設置を拡大したこと等により、前事業年度比9,828百万円増加の96,448百万円となりました。
前事業年度 (百万円)(A) | 当事業年度 (百万円)(B) | 増減(百万円) (B)-(A) | |
役務取引等利益 | 86,619 | 96,448 | 9,828 |
為替・決済関連手数料 | 59,142 | 59,170 | 28 |
ATM関連手数料 | 7,287 | 9,210 | 1,922 |
投資信託関連手数料 | 10,549 | 19,036 | 8,487 |
その他 | 9,640 | 9,030 | △609 |
(参考) 投資信託の取扱状況(約定ベース)
前事業年度 (百万円)(A) | 当事業年度 (百万円)(B) | 増減(百万円) (B)-(A) | |
販売金額 | 544,399 | 737,878 | 193,478 |
純資産残高 | 1,310,151 | 1,642,301 | 332,149 |
(e) 預金残高の状況
当事業年度末の貯金残高は、安定的に推移し、前事業年度末比448,073百万円増加の179,882,759百万円となりました。
○ 預金の種類別残高(末残・構成比)
種類 | 前事業年度 | 当事業年度 | 増減 | ||
金額(百万円) (A) | 構成比(%) | 金額(百万円) (B) | 構成比(%) | 金額(百万円) (B)-(A) | |
預金合計 | 179,434,686 | 100.00 | 179,882,759 | 100.00 | 448,073 |
流動性預金 | 67,994,923 | 37.89 | 73,765,405 | 41.00 | 5,770,482 |
振替貯金 | 13,052,115 | 7.27 | 14,437,576 | 8.02 | 1,385,461 |
通常貯金等 | 54,550,845 | 30.40 | 58,931,564 | 32.76 | 4,380,719 |
貯蓄貯金 | 391,963 | 0.21 | 396,265 | 0.22 | 4,301 |
定期性預金 | 111,280,733 | 62.01 | 105,989,336 | 58.92 | △5,291,396 |
うち定期貯金 | 10,065,156 | 5.60 | 8,696,122 | 4.83 | △1,369,033 |
うち定額貯金等 | 101,215,576 | 56.40 | 97,293,213 | 54.08 | △3,922,363 |
その他の預金 | 159,029 | 0.08 | 128,017 | 0.07 | △31,012 |
譲渡性預金 | - | - | - | - | - |
総合計 | 179,434,686 | 100.00 | 179,882,759 | 100.00 | 448,073 |
○ 預金の種類別残高(平残・構成比)
種類 | 前事業年度 | 当事業年度 | 増減 | ||
金額(百万円) (A) | 構成比(%) | 金額(百万円) (B) | 構成比(%) | 金額(百万円) (B)-(A) | |
預金合計 | 179,251,855 | 100.00 | 180,316,482 | 100.00 | 1,064,627 |
流動性預金 | 65,952,601 | 36.79 | 71,585,050 | 39.69 | 5,632,448 |
振替貯金 | 13,133,438 | 7.32 | 13,748,320 | 7.62 | 614,881 |
通常貯金等 | 52,429,547 | 29.24 | 57,442,722 | 31.85 | 5,013,175 |
貯蓄貯金 | 389,616 | 0.21 | 394,007 | 0.21 | 4,391 |
定期性預金 | 113,138,020 | 63.11 | 108,562,006 | 60.20 | △4,576,014 |
うち定期貯金 | 10,752,770 | 5.99 | 9,455,067 | 5.24 | △1,297,703 |
うち定額貯金等 | 102,384,806 | 57.11 | 99,106,938 | 54.96 | △3,277,868 |
その他の預金 | 161,233 | 0.08 | 169,425 | 0.09 | 8,192 |
譲渡性預金 | - | - | - | - | - |
総合計 | 179,251,855 | 100.00 | 180,316,482 | 100.00 | 1,064,627 |
(注) 1.「流動性預金」=振替貯金+通常貯金等+貯蓄貯金
「通常貯金等」=通常貯金+特別貯金(通常郵便貯金相当)
2.「定期性預金」=定期貯金+定額貯金等+特別貯金(教育積立郵便貯金相当)
「定額貯金等」=定額貯金+特別貯金(定額郵便貯金相当)
3.貯金は銀行法施行規則の負債科目「預金」に相当するものであります。「振替貯金」は「当座預金」、「通常貯金」は「普通預金」、「貯蓄貯金」は「貯蓄預金」、「定期貯金」は「定期預金」に相当するものであります。「定額貯金」は「その他の預金」に相当するものでありますが、「定期性預金」に含めております。
4.特別貯金は管理機構からの預り金で、管理機構が公社から承継した郵便貯金に相当するものであります。
5.特別貯金(通常郵便貯金相当)は管理機構からの預り金のうち、管理機構が公社から承継した定期郵便貯金、定額郵便貯金、積立郵便貯金、住宅積立郵便貯金、教育積立郵便貯金に相当する郵便貯金で満期となったものなどであります。
(f) 資産運用の状況(末残・構成比)
当事業年度末の運用資産のうち、国債は62,749,725百万円、その他の証券は59,298,846百万円となりました。
種類 | 前事業年度 | 当事業年度 | 増減 | ||
金額(百万円) (A) | 構成比(%) | 金額(百万円) (B) | 構成比(%) | 金額(百万円) (B)-(A) | |
預け金等 | 51,213,391 | 24.71 | 49,314,634 | 23.73 | △1,898,757 |
コールローン | 470,000 | 0.22 | 480,000 | 0.23 | 10,000 |
債券貸借取引支払保証金 | 8,718,905 | 4.20 | 8,224,153 | 3.95 | △494,752 |
金銭の信託 | 3,817,908 | 1.84 | 4,241,524 | 2.04 | 423,616 |
うち国内株式 | 2,079,290 | 1.00 | 2,286,148 | 1.10 | 206,858 |
うち国内債券 | 1,274,178 | 0.61 | 1,256,039 | 0.60 | △18,139 |
有価証券 | 138,792,448 | 66.98 | 139,201,254 | 67.00 | 408,806 |
国債 | 68,804,989 | 33.20 | 62,749,725 | 30.20 | △6,055,264 |
地方債 | 6,082,225 | 2.93 | 6,405,190 | 3.08 | 322,964 |
短期社債 | 233,998 | 0.11 | 229,998 | 0.11 | △4,000 |
社債 | 10,752,831 | 5.18 | 10,486,327 | 5.04 | △266,504 |
株式 | 1,390 | 0.00 | 31,167 | 0.01 | 29,777 |
その他の証券 | 52,917,013 | 25.53 | 59,298,846 | 28.54 | 6,381,833 |
うち外国債券 | 20,143,467 | 9.72 | 20,244,358 | 9.74 | 100,890 |
うち投資信託 | 32,726,722 | 15.79 | 39,042,659 | 18.79 | 6,315,936 |
貸出金 | 4,064,120 | 1.96 | 6,145,537 | 2.95 | 2,081,417 |
その他 | 116,718 | 0.05 | 126,472 | 0.06 | 9,753 |
合計 | 207,193,492 | 100.00 | 207,733,576 | 100.00 | 540,084 |
(注) 「預け金等」は譲渡性預け金、日銀預け金、買入金銭債権であります。
(g) 評価損益の状況(末残)
当事業年度末の評価損益(その他目的)は、ヘッジ考慮後で3,774,473百万円(税効果前)となりました。
前事業年度(A) | 当事業年度(B) | 増減(B)-(A) | ||||
貸借対照表 計上額 | 評価損益 | 貸借対照表 計上額 | 評価損益 | 貸借対照表 計上額 | 評価損益 | |
(百万円) | (百万円) | (百万円) | (百万円) | (百万円) | (百万円) | |
満期保有目的の債券 | 38,316,923 | 1,456,549 | 31,458,923 | 1,003,574 | △6,857,999 | △452,974 |
前事業年度(A) | 当事業年度(B) | 増減(B)-(A) | |||||
貸借対照表 計上額 /想定元本 | 評価損益 /ネット繰延 損益 | 貸借対照表 計上額 /想定元本 | 評価損益 /ネット繰延 損益 | 貸借対照表 計上額 /想定元本 | 評価損益 /ネット繰延 損益 | ||
(百万円) | (百万円) | (百万円) | (百万円) | (百万円) | (百万円) | ||
その他目的 | 104,609,262 | 4,566,173 | 112,245,771 | 3,769,977 | 7,636,509 | △796,196 | |
有価証券 | ① | 100,791,353 | 3,282,169 | 108,083,520 | 1,912,022 | 7,292,166 | △1,370,147 |
国債 | 33,487,558 | 1,320,778 | 33,645,763 | 1,129,996 | 158,205 | △190,782 | |
外国債券 | 20,078,556 | 1,335,157 | 20,211,925 | 375,390 | 133,368 | △959,766 | |
投資信託 | 32,726,722 | 435,050 | 39,042,659 | 265,830 | 6,315,936 | △169,220 | |
その他 | 14,498,515 | 191,183 | 15,183,171 | 140,805 | 684,656 | △50,378 | |
時価ヘッジ効果額 | ② | ― | 185,342 | ― | 568,753 | ― | 383,410 |
金銭の信託 | ③ | 3,817,908 | 1,098,661 | 4,162,251 | 1,289,201 | 344,342 | 190,540 |
国内株式 | 2,079,290 | 1,058,661 | 2,286,148 | 1,262,041 | 206,858 | 203,380 | |
その他 | 1,738,617 | 40,000 | 1,876,102 | 27,160 | 137,484 | △12,839 | |
デリバティブ取引 (繰延ヘッジ適用分) | ④ | 7,553,302 | △168,039 | 11,326,565 | 4,495 | 3,773,263 | 172,535 |
評価損益合計 ①+②+③+④ | ― | 4,398,134 | ― | 3,774,473 | ― | △623,661 |
(注) 「有価証券」には、有価証券のほか、現金預け金中の譲渡性預け金、買入金銭債権を含んでおります。
(h) 業種別貸出金残高の状況(末残・構成比)
業種別 | 前事業年度 | 当事業年度 | 増減 | ||
金額(百万円) (A) | 構成比(%) | 金額(百万円) (B) | 構成比(%) | 金額(百万円) (B)-(A) | |
国内(除く特別国際金融取引勘定分) | 4,064,120 | 100.00 | 6,140,537 | 100.00 | 2,076,417 |
農業、林業、漁業、鉱業 | - | - | - | - | - |
製造業 | - | - | 15,524 | 0.25 | 15,524 |
電気・ガス等、情報通信業、運輸業 | 75,811 | 1.86 | 92,162 | 1.50 | 16,351 |
卸売業、小売業 | 10,518 | 0.25 | 25,094 | 0.40 | 14,576 |
金融・保険業 | 1,311,274 | 32.26 | 1,121,062 | 18.25 | △190,212 |
建設業、不動産業 | 14,062 | 0.34 | 24,013 | 0.39 | 9,950 |
各種サービス業、物品賃貸業 | 23,044 | 0.56 | 22,837 | 0.37 | △206 |
国、地方公共団体 | 2,440,005 | 60.03 | 4,667,184 | 76.00 | 2,227,179 |
その他 | 189,404 | 4.66 | 172,658 | 2.81 | △16,746 |
国際及び特別国際金融取引勘定分 | - | - | 5,000 | 100.00 | 5,000 |
政府等 | - | - | - | - | - |
金融機関 | - | - | - | - | - |
その他 | - | - | 5,000 | 100.00 | 5,000 |
合計 | 4,064,120 | ― | 6,145,537 | ― | 2,081,417 |
(注) 1.「国内」とは本邦居住者に対する貸出、「国際」とは非居住者に対する貸出であります。
2.ゆうちょ銀行は、海外店及び海外子会社を有しておりません。
3.「金融・保険業」のうち管理機構向け貸出金は、前事業年度末951,200百万円、当事業年度末829,243百万円であります。
(参考) リスク管理債権(末残)
前事業年度 (億円)(A) | 当事業年度 (億円)(B) | 増減(億円) (B)-(A) | |
破綻先債権 | - | - | - |
延滞債権 | - | 0 | 0 |
3カ月以上延滞債権 | - | - | - |
貸出条件緩和債権 | - | - | - |
合計 | - | 0 | 0 |
(参考2) 自己資本比率の状況
ゆうちょ銀行の自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
なお、ゆうちょ銀行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。
連結自己資本比率(国内基準)
(単位:億円、%) | |
平成30年3月31日 | |
1.連結自己資本比率(2/3) | 17.43 |
2.連結における自己資本の額 | 87,788 |
3.リスク・アセット等の額 | 503,422 |
4.連結総所要自己資本額 | 20,136 |
(注) 連結総所要自己資本額は、上記3.に記載しているリスク・アセット等の額に4%を乗じた額であります。
単体自己資本比率(国内基準)
(単位:億円、%) | |
平成30年3月31日 | |
1.自己資本比率(2/3) | 17.42 |
2.単体における自己資本の額 | 87,720 |
3.リスク・アセット等の額 | 503,435 |
4.単体総所要自己資本額 | 20,137 |
(注) 単体総所要自己資本額は、上記3.に記載しているリスク・アセット等の額に4%を乗じた額であります。
(参考3) 資産の査定
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、ゆうちょ銀行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
(a) 破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
(b) 危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
(c) 要管理債権
要管理債権とは、3カ月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
(d) 正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記(1)から(3)までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額
債権の区分 | 平成29年3月31日 | 平成30年3月31日 |
金額(億円) | 金額(億円) | |
破産更生債権及びこれらに準ずる債権 | ― | ― |
危険債権 | ― | 0 |
要管理債権 | ― | ― |
正常債権 | 41,454 | 62,375 |
⑤ 生命保険業
生命保険業につきましては、かんぽ生命保険において、簡易生命保険の「簡易な手続きで、国民の基礎的生活手段を保障する。」という社会的使命を受け継ぎつつ、「いつでもそばにいる。どこにいても支える。すべての人生を守り続けたい。」との経営理念を掲げ、簡易で小口な商品とかんぽつながる安心活動等を通じてあたたかいお客さまサービスの提供に取り組みました。当連結会計年度においては、以下の施策を中心に取り組みました。
お客さまニーズに対応した商品開発については、平成29年10月に、医療技術の進歩、低金利環境の継続、長寿化の進展といった環境の変化やお客さまニーズにお応えするため、入院時の初期費用や外来手術も保障対象とした医療特約、保険料払込期間中の解約等の解約返戻金を低く設定することにより保障内容はそのままで保険料の負担を抑えた終身保険及び長生きするほど年金受取総額が大きくなる年金保険の販売を開始いたしました。
販売チャネルの営業力強化については、かんぽつながる安心活動やライフプラン相談会、キャンペーン等の各種施策の活用を通じて、より多くのお客さまとお会いする機会を増やす販売活動に取り組みました。また、お客さまのライフプランやニーズを的確に把握し、お客さまにご満足いただける商品をご提案できるよう各種研修や保障性商品の販売スキルの向上に取り組んだ結果、保障性商品を確実に販売することができました。
ご高齢のお客さまへのサービスの充実については、お客さまとのすべての接点をご高齢のお客さま目線で業務改革し、安心感、信頼感のあるご高齢のお客さまに優しいサービスをご提供する「かんぽプラチナライフサービス」を推進しました。加えて、平成29年4月に公表した「お客さま本位の業務運営に関する基本方針」に基づき、保険金等の請求手続きを簡素化するなど、お客さま目線で改善し、分かりやすさと品質の向上に取り組みました。
引受から支払まで簡易・迅速・正確に行う態勢整備については、IBM Watsonの導入により保険金支払審査業務の品質向上、お支払いの早期化に取り組んだことに加え、平成29年4月にコールセンター業務に導入し、お客さまサービスの向上と当社の成長に繋がる事務・システム基盤の構築に取り組みました。
運用収益力の向上については、継続的な低金利環境を受け、安定的な利ざやを確保するために、ALM※を基本としつつ、リスクバッファーの範囲で外国債券・株式等を中心に収益追求資産への投資を拡大いたしました。ヘッジファンドや不動産等のオルタナティブ投資も本格的に開始し、資産運用の多様化を着実に推進しております。加えて、プライベートエクイティ投資によるさらなる収益拡大を図るためゆうちょ銀行と協力し、平成30年2月にJPインベストメント株式会社を設立いたしました。
内部管理態勢の強化については、コンプライアンスを推進するための具体的な実践計画である「コンプライアンス・プログラム」を策定し、各種施策や研修等を通じて社員のコンプライアンス意識の向上に取り組んでおります。また、募集品質向上の総合的な対策として、満70歳以上のお客さまを契約者とするお申し込みについて、ご家族にご同席いただくなどした上で、「ご契約内容確認書」等を使用して、商品内容等に関し丁寧にご説明しております。特に、満80歳以上のお客さまは、ご家族に保険契約のお申し込みに同意していただくことを必要としております。
加えて、統合的リスク管理態勢の高度化を進めており、財務の健全性の維持と資本効率の向上を図りつつ、安定的な利益の確保、持続的な企業価値の向上に取り組んでおります。
これらの取組みの結果、当連結会計年度、生命保険業におきましては、個人保険173万9千件、金額5,464,124百万円の新契約を獲得しましたが、保有契約の減少等により、経常収益は7,952,951百万円(前期比706,493百万円減)となりました。一方、資産運用費用の減少等により、経常利益は309,233百万円(前期比29,456百万円増)となりました。
※ ALMとは、Asset Liability Managementの略語で、資産負債の総合管理のことです。
なお、かんぽ生命保険における保険引受及び資産運用の状況などの詳細な状況については、下記「(参考)生命保険業を行う当社の子会社であるかんぽ生命保険の状況」に記載のとおりであります。
(参考)生命保険業を行う当社の子会社であるかんぽ生命保険の状況
(下表(a)イ.~ニ.の個人保険及び個人年金保険には、かんぽ生命保険が管理機構から受再している簡易生命保険契約を含みません。)
(a) 保険引受及び資産運用の状況
イ.保有契約高明細表
区分 | 前事業年度末 | 当事業年度末 | ||
件数(千件) | 金額(百万円) | 件数(千件) | 金額(百万円) | |
個人保険 | 17,150 | 50,097,987 | 17,921 | 52,359,711 |
個人年金保険 | 1,363 | 3,131,186 | 1,333 | 2,742,555 |
(注) 個人年金保険の金額は、年金支払開始前契約の年金支払開始時における年金原資と年金支払開始後契約の責任準備金額を合計したものであります。
ロ.新契約高明細表
区分 | 前事業年度 | 当事業年度 | ||
件数(千件) | 金額(百万円) | 件数(千件) | 金額(百万円) | |
個人保険 | 2,441 | 7,847,481 | 1,739 | 5,464,124 |
個人年金保険 | 10 | 39,797 | 0 | 3,002 |
(注) 個人年金保険の金額は、年金支払開始時における年金原資であります。
ハ.保有契約年換算保険料明細表
(単位:百万円) | |||
区分 | 前事業年度末 | 当事業年度末 | |
個人保険 | 3,207,988 | 3,367,381 | |
個人年金保険 | 569,359 | 491,191 | |
合計 | 3,777,348 | 3,858,573 | |
うち医療保障・ 生前給付保障等 | 333,857 | 382,107 |
(注) 1.年換算保険料とは、1回あたりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年あたりの保険料に換算した金額であります(一時払契約等は、保険料を保険期間等で除した金額。)。
2.医療保障・生前給付保障等には、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)、保険料払込免除給付(障がいを事由とするものは除きます。特定疾病罹患、介護等を事由とするものを含む。)等に該当する部分の年換算保険料を計上しております。
ニ.新契約年換算保険料明細表
(単位:百万円) | |||
区分 | 前事業年度 | 当事業年度 | |
個人保険 | 507,988 | 376,237 | |
個人年金保険 | 19,429 | 264 | |
合計 | 527,417 | 376,502 | |
うち医療保障・ 生前給付保障等 | 55,739 | 59,205 |
(注) 1.年換算保険料とは、1回あたりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年あたりの保険料に換算した金額であります(一時払契約等は、保険料を保険期間等で除した金額。)。
2.医療保障・生前給付保障等には、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)、保険料払込免除給付(障がいを事由とするものは除きます。特定疾病罹患、介護等を事由とするものを含む。)等に該当する部分の年換算保険料を計上しております。
(参考)かんぽ生命保険が管理機構から受再している簡易生命保険契約の状況
(1) 保有契約高
区分 | 前事業年度末 | 当事業年度末 | ||
件数 (千件) | 保険金額・年金額 (百万円) | 件数 (千件) | 保険金額・年金額 (百万円) | |
保険 | 14,412 | 38,605,449 | 12,484 | 33,077,177 |
年金保険 | 2,235 | 799,116 | 1,940 | 682,804 |
(注) 計数は、管理機構における公表基準によるものであります。
(2) 保有契約年換算保険料
(単位:百万円) | |||
区分 | 前事業年度末 | 当事業年度末 | |
保険 | 1,771,625 | 1,492,160 | |
年金保険 | 762,884 | 656,195 | |
合計 | 2,534,509 | 2,148,356 | |
うち医療保障・ 生前給付保障等 | 402,322 | 368,845 |
(注) かんぽ生命保険が管理機構から受再している簡易生命保険契約について、上記ハ.に記載しております個人保険及び個人年金保険の保有契約年換算保険料と同様の計算方法により、かんぽ生命保険が算出した金額であります。
ホ.一般勘定資産の構成
区分 | 前事業年度末 | 当事業年度末 | ||||
金額(百万円) | 構成比(%) | 金額(百万円) | 構成比(%) | |||
現預金・コールローン | 1,510,137 | 1.9 | 1,159,191 | 1.5 | ||
買現先勘定 | ― | ― | ― | ― | ||
債券貸借取引支払保証金 | 3,520,722 | 4.4 | 3,296,222 | 4.3 | ||
買入金銭債権 | 27,561 | 0.0 | 176,069 | 0.2 | ||
商品有価証券 | ― | ― | ― | ― | ||
金銭の信託 | 2,127,042 | 2.6 | 2,814,873 | 3.7 | ||
有価証券 | 63,486,273 | 79.0 | 60,131,893 | 78.3 | ||
公社債 | 57,658,115 | 71.8 | 53,576,426 | 69.7 | ||
株式 | 59,305 | 0.1 | 196,379 | 0.3 | ||
外国証券 | 4,351,731 | 5.4 | 4,347,564 | 5.7 | ||
公社債 | 4,346,732 | 5.4 | 4,235,485 | 5.5 | ||
株式等 | 4,998 | 0.0 | 112,079 | 0.1 | ||
その他の証券 | 1,417,122 | 1.8 | 2,011,524 | 2.6 | ||
貸付金 | 8,060,902 | 10.0 | 7,627,147 | 9.9 | ||
保険約款貸付 | 118,141 | 0.1 | 135,314 | 0.2 | ||
一般貸付 | 873,720 | 1.1 | 919,051 | 1.2 | ||
機構貸付 | 7,069,040 | 8.8 | 6,572,781 | 8.6 | ||
不動産 | 119,011 | 0.1 | 83,920 | 0.1 | ||
うち投資用不動産 | ― | ― | ― | ― | ||
繰延税金資産 | 852,263 | 1.1 | 954,136 | 1.2 | ||
その他 | 633,157 | 0.8 | 589,747 | 0.8 | ||
貸倒引当金 | △658 | △0.0 | △695 | △0.0 | ||
合計 | 80,336,414 | 100.0 | 76,832,508 | 100.0 | ||
うち外貨建資産 | 4,753,649 | 5.9 | 4,748,512 | 6.2 |
(注) 1.機構貸付とは、管理機構(簡易生命保険勘定)への貸付であります。
2.不動産については、土地・建物・建設仮勘定を合計した金額を計上しております。
ヘ.一般勘定資産の資産別運用利回り
(単位:%) | |||
区分 | 前事業年度 | 当事業年度 | |
現預金・コールローン | 0.00 | 0.00 | |
買現先勘定 | ― | ― | |
債券貸借取引支払保証金 | ― | ― | |
買入金銭債権 | 0.23 | 0.91 | |
商品有価証券 | ― | ― | |
金銭の信託 | 3.49 | 4.75 | |
有価証券 | 1.52 | 1.48 | |
うち公社債 | 1.59 | 1.54 | |
うち株式 | 5.23 | 6.68 | |
うち外国証券 | 0.61 | 0.85 | |
貸付金 | 2.10 | 2.04 | |
うち一般貸付 | 1.30 | 1.26 | |
不動産 | ― | ― | |
一般勘定計 | 1.50 | 1.51 | |
うち海外投融資 | 0.82 | 1.01 |
(注) 1.利回り計算式の分母は帳簿価額ベースの日々平均残高、分子は経常損益中、資産運用収益-資産運用費用として算出した利回りであります。
2.一般勘定計には、有価証券信託に係る資産を含めております。
3.海外投融資とは、外貨建資産と円建資産の合計であります。
(b) 基礎利益
基礎利益は、保険料等収入、保険金等支払金、事業費等の保険関係の収支と、利息及び配当金等収入を中心とした運用関係の収支からなる、生命保険会社の基礎的な期間損益の状況を表す指標であります。
かんぽ生命保険の当事業年度における基礎利益は、386,199百万円となりました。
(経常利益等の明細(基礎利益))
(単位:百万円) | |||
項目 | 前事業年度 | 当事業年度 | |
基礎利益 | (A) | 390,070 | 386,199 |
キャピタル収益 | 141,677 | 131,942 | |
金銭の信託運用益 | 56,535 | 95,189 | |
売買目的有価証券運用益 | ― | ― | |
有価証券売却益 | 85,142 | 36,468 | |
金融派生商品収益 | ― | ― | |
為替差益 | ― | 284 | |
その他キャピタル収益 | ― | ― | |
キャピタル費用 | 192,860 | 151,046 | |
金銭の信託運用損 | ― | ― | |
売買目的有価証券運用損 | ― | ― | |
有価証券売却損 | 124,734 | 65,733 | |
有価証券評価損 | ― | ― | |
金融派生商品費用 | 20,599 | 30,301 | |
為替差損 | 3,362 | ― | |
その他キャピタル費用 | 44,163 | 55,010 | |
キャピタル損益 | (B) | △51,182 | △19,103 |
キャピタル損益含み基礎利益 | (A)+(B) | 338,887 | 367,096 |
臨時収益 | 120,819 | 139,678 | |
再保険収入 | ― | ― | |
危険準備金戻入額 | 120,819 | 139,678 | |
個別貸倒引当金戻入額 | ― | ― | |
その他臨時収益 | ― | ― | |
臨時費用 | 180,359 | 197,929 | |
再保険料 | ― | ― | |
危険準備金繰入額 | ― | ― | |
個別貸倒引当金繰入額 | ― | ― | |
特定海外債権引当勘定繰入額 | ― | ― | |
貸付金償却 | ― | ― | |
その他臨時費用 | 180,359 | 197,929 | |
臨時損益 | (C) | △59,539 | △58,250 |
経常利益 | (A)+(B)+(C) | 279,347 | 308,845 |
(注) 1.金銭の信託に係るインカム・ゲインに相当する額(前事業年度:44,130百万円、当事業年度:55,010百万円)を「その他キャピタル費用」に計上し、基礎利益に含めております。
2.金融派生商品に係るインカム・ゲインに相当する額(前事業年度:33百万円)を「その他キャピタル費用」に計上し、基礎利益に含めております。
3.「その他臨時費用」には、保険業法施行規則第69条第5項の規定により責任準備金を追加して積み立てた額(前事業年度:180,359百万円、当事業年度:197,929百万円)を記載しております。
(c) かんぽ生命保険の連結ソルベンシー・マージン比率
生命保険会社は将来の保険金等の支払いに備えて責任準備金を積み立てており、通常予測できる範囲のリスクについては責任準備金の範囲内で対応できます。
ソルベンシー・マージン比率とは、大災害や株価の大暴落など、通常の予測を超えて発生するリスクに対応できる「支払余力」を有しているかどうかを判断するための行政監督上の指標の一つであります。
この比率が200%を下回った場合は、規制当局によって早期是正措置がとられます。逆にこの比率が200%以上であれば、健全性の一つの基準を満たしていることになります。
当連結会計年度末におけるかんぽ生命保険の連結ソルベンシー・マージン比率は1,131.8%と高い健全性を維持しております。
(単位:百万円) | ||||
項目 | 前連結会計年度末 | 当連結会計年度末 | ||
ソルベンシー・マージン総額 | (A) | 5,425,821 | 5,595,880 | |
資本金等 | 1,490,882 | 1,554,624 | ||
価格変動準備金 | 788,712 | 916,743 | ||
危険準備金 | 2,254,027 | 2,114,348 | ||
異常危険準備金 | ― | ― | ||
一般貸倒引当金 | 59 | 60 | ||
(その他有価証券評価差額金(税効果控除前)・繰延ヘッジ 損益(税効果控除前))×90%(マイナスの場合100%) | 399,297 | 501,809 | ||
土地の含み損益×85%(マイナスの場合100%) | 103 | △2,896 | ||
未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の合計額 | 6,064 | 5,218 | ||
全期チルメル式責任準備金相当額超過額 | 486,674 | 506,467 | ||
負債性資本調達手段等 | ― | ― | ||
全期チルメル式責任準備金相当額超過額及び負債性 資本調達手段等のうち、マージンに算入されない額 | ― | ― | ||
控除項目 | ― | △495 | ||
その他 | ― | ― | ||
リスクの合計額 [{(R12+R52)1/2+R8+R9}2+(R2+R3+R7)2]1/2+R4+R6 | (B) | 840,767 | 988,803 | |
保険リスク相当額 | R1 | 153,070 | 147,403 | |
一般保険リスク相当額 | R5 | ― | ― | |
巨大災害リスク相当額 | R6 | ― | ― | |
第三分野保険の保険リスク相当額 | R8 | 69,104 | 63,087 | |
少額短期保険業者の保険リスク相当額 | R9 | ― | ― | |
予定利率リスク相当額 | R2 | 158,838 | 150,450 | |
最低保証リスク相当額 | R7 | ― | ― | |
資産運用リスク相当額 | R3 | 631,036 | 792,075 | |
経営管理リスク相当額 | R4 | 20,240 | 23,060 | |
ソルベンシー・マージン比率 (A)/{(1/2)×(B)}×100 | 1,290.6% | 1,131.8% |
(注) 保険業法施行規則第86条の2、第88条及び平成23年金融庁告示第23号の規定に基づいて算出しております。
(d) かんぽ生命保険のEV
イ.EVの概要
ⅰ EVについて
エンベディッド・バリュー(以下「EV」といいます。)は対象事業に割り当てられた、資産及び負債から生じる株主への分配可能な利益の価値の見積りであります。ただし、将来の新契約から生じる価値は含みません。この価値は、修正純資産及び保有契約価値で構成されるものであります。
修正純資産は株主に帰属すると考えられる純資産(時価)であり、必要資本とフリー・サープラスで構成されるものであります。
保有契約価値は、保有契約及び保有契約に係る資産から将来発生すると見込まれる株主への分配可能な利益の評価日時点の現在価値であり、必要資本を維持するための費用等を控除したものであります。
生命保険契約は、一般に販売時に多くのコストが発生するため、一時的には損失が発生するものの、契約が継続することで、将来にわたり生み出される利益によりそのコストを回収することが期待される収支構造となっております。現行の法定会計では、このような収支構造をそのまま各年度の損益として把握しておりますが、EVは、全保険期間を通じた損益を現在価値で評価することとなるため、現行の法定会計による財務情報では不足する情報を補うことができる指標の一つと考えております。
ⅱ EEVについて
EVの開示に関する一貫性と透明性の改善を図る目的で、平成16年5月にヨーロッパの主要保険会社のCFO(最高財務責任者)の集まりである、CFOフォーラムが、ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー(以下「EEV」といいます。)原則及び指針(ガイダンス)を制定いたしました。
平成28年5月には、CFOフォーラムによってEEV原則の改正が公表され、EVに平成28年1月から施行された欧州ソルベンシーⅡ等の計算で用いた計算手法及び前提の使用が許容されるようになりました。
ⅲ EEVの計算手法
今回のEEVの計算には、市場整合的手法を用いております。この手法は、資産又は負債から発生するキャッシュ・フローを市場で取引されている金融商品と整合的に評価するものであります。
ロ.簡易生命保険契約について
かんぽ生命保険は、郵政民営化法に基づき、平成19年10月1日に発足しました。また、平成19年9月末までに契約された簡易生命保険契約は、管理機構に承継されるとともに、管理機構が負う保険責任のすべてについて、かんぽ生命保険が受再しております。
かんぽ生命保険は、管理機構との再保険契約において、簡易生命保険契約を他の保険契約と区分して管理すること(簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金も区分して管理すること)、簡易生命保険契約から生じた利益(危険準備金及び価格変動準備金の戻入による利益も含んでおります。)も区分して管理すること、及び管理機構が簡易生命保険契約に対して既に約款で約束している確定配当所要額と再保険損益(確定配当所要額及び法人税等を除いたこの区分における利益)の8割の合計額を、管理機構へ再保険配当をすることを定めております。EEVの計算においては、この管理機構への再保険配当を差し引いた後の利益を反映しております。
このように管理機構への再保険配当の原資に、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金の戻入による利益が含まれることから、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金は修正純資産には含めておらず、将来において戻入する前提で保有契約価値に含めて計算しております。
ハ.EEVの計算結果
かんぽ生命保険のEEVは以下のとおりであります。
(単位:億円) | ||||
前事業年度末 | 当事業年度末 | 増減 | ||
EEV | 33,556 | 37,433 | 3,876 | |
修正純資産 | 19,652 | 21,364 | 1,712 | |
保有契約価値 | 13,904 | 16,068 | 2,164 | |
前事業年度 | 当事業年度 | 増減 | ||
新契約価値 | 368 | 2,267 | 1,898 |
ⅰ 修正純資産
修正純資産は、資産の市場価値のうち、契約者に対する負債及びその他の負債の価値を超過する部分であり、株主に帰属すると考えられる価値であります。当期純利益による増加と負債中の内部留保(価格変動準備金及び危険準備金の合計)の積増しを主な理由として、当事業年度末における修正純資産は前事業年度末から増加しております。修正純資産の内訳は以下のとおりであります。
(単位:億円) | ||||
前事業年度末 | 当事業年度末 | 増減 | ||
修正純資産 | 19,652 | 21,364 | 1,712 | |
純資産の部計(注1) | 15,274 | 15,958 | 684 | |
価格変動準備金(注2) | 1,402 | 2,512 | 1,109 | |
危険準備金(注2) | 4,152 | 4,492 | 340 | |
その他(注3) | 526 | 503 | △22 | |
上記項目に係る税効果 | △1,703 | △2,102 | △399 |
(注) 1.計算対象に子会社を含めているため、かんぽ生命保険の連結貸借対照表の純資産の部合計を計上しております。ただし、その他の包括利益累計額合計を除いております。また、自己株式に計上している株式給付信託が保有するかんぽ生命保険の株式の帳簿価額を加えております。
2.簡易生命保険契約に係る部分を除いております。
3.保険契約に係らない有価証券、貸付金及び不動産の含み損益、一般貸倒引当金並びに退職給付の未積立債務(未認識過去勤務費用及び未認識数理計算上の差異)を計上しております。
当事業年度末の修正純資産を計算する際に除いた保険契約に係る部分は以下のとおりであります。
(単位:億円) | ||||
会社合計 ① | 保険契約に 係る部分 ② | 修正純資産 ①-② | ||
修正純資産 | 97,998 | 76,633 | 21,364 | |
純資産の部計(注1) | 15,958 | ― | 15,958 | |
価格変動準備金(注2) | 9,167 | 6,655 | 2,512 | |
危険準備金(注2) | 21,143 | 16,650 | 4,492 | |
その他(注3) | 83,584 | 83,080 | 503 | |
上記項目に係る税効果 | △31,855 | △29,753 | △2,102 |
(注) 1.かんぽ生命保険の連結貸借対照表の純資産の部合計を計上しております。ただし、その他の包括利益累計額合計を除いております。また、自己株式に計上している株式給付信託が保有するかんぽ生命保険の株式の帳簿価額を加えております。
2.保険契約に係る部分(②)は、簡易生命保険契約に係る部分のみとなります。「ロ.簡易生命保険契約について」をご参照ください。
3.有価証券、貸付金及び不動産の含み損益、一般貸倒引当金並びに退職給付の未積立債務(未認識過去勤務費用及び未認識数理計算上の差異)を計上しております。
ⅱ 保有契約価値
保有契約価値は、保有契約の評価日時点における価値を表したもので、保有契約及び保有契約に係る資産から将来発生すると見込まれる株主への分配可能な利益を現在価値に割り引いております。新契約の獲得を主な理由として、当事業年度末における保有契約価値は前事業年度末から増加しております。保有契約価値の内訳は以下のとおりであります。
将来利益の計算において保険契約に係る資産は簿価評価しております。また、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金が将来において戻入する前提で、その戻入による利益を含めて計算しております。「ロ.簡易生命保険契約について」をご参照ください。
(単位:億円) | ||||
前事業年度末 | 当事業年度末 | 増減 | ||
保有契約価値 | 13,904 | 16,068 | 2,164 | |
確実性等価将来利益現価 | 19,601 | 21,055 | 1,453 | |
オプションと保証の時間価値 | △4,082 | △3,537 | 544 | |
必要資本を維持するための費用 | △0 | △0 | △0 | |
ヘッジ不能リスクに係る費用 | △1,614 | △1,448 | 166 |
ⅲ 新契約価値
新契約価値は、当期間に獲得した新契約(医療特約の切替加入契約については正味増加分のみ)の契約獲得時点における価値を表したものであります。評価に用いられた金利の上昇及び保険料の改定を主な理由として、当事業年度における新契約価値は前事業年度から増加しております。新契約価値の内訳は以下のとおりであります。
(単位:億円) | ||||
前事業年度 | 当事業年度 | 増減 | ||
新契約価値 | 368 | 2,267 | 1,898 | |
確実性等価将来利益現価 | 970 | 2,463 | 1,493 | |
オプションと保証の時間価値 | △417 | △141 | 276 | |
必要資本を維持するための費用 | △0 | ― | 0 | |
ヘッジ不能リスクに係る費用 | △183 | △54 | 129 |
なお、新契約マージン(新契約価値の保険料収入現価に対する比率)は以下のとおりであります。
(単位:億円) | |||
前事業年度 | 当事業年度 | 増減 | |
新契約価値 | 368 | 2,267 | 1,898 |
保険料収入現価(注) | 60,587 | 41,507 | △19,080 |
新契約マージン | 0.61% | 5.46% | 4.85ポイント |
(注) 将来の収入保険料を、新契約価値の計算に用いたリスク・フリー・レートで割り引いております。
ニ.前事業年度末EEVからの変動要因
(単位:億円) | ||||
修正純資産 | 保有契約価値 | EEV | ||
前事業年度末EEV | 19,652 | 13,904 | 33,556 | |
① 前事業年度末EEVの調整 | △360 | ― | △360 | |
前事業年度末EEV(調整後) | 19,292 | 13,904 | 33,196 | |
② 当事業年度新契約価値 | ― | 2,267 | 2,267 | |
③ 期待収益(リスク・フリー・レート分) | △38 | 898 | 860 | |
④ 期待収益(超過収益分) | 12 | 252 | 264 | |
⑤ 保有契約価値からの移管 | 1,435 | △1,435 | ― | |
うち前事業年度末保有契約 | 1,629 | △1,629 | ― | |
うち当事業年度新契約 | △194 | 194 | ― | |
⑥ 前提条件(非経済前提)と実績の差異 | 30 | △105 | △75 | |
⑦ 前提条件(非経済前提)の変更 | ― | △17 | △17 | |
⑧ 前提条件(経済前提)と実績の差異 | 632 | 303 | 935 | |
当事業年度末EEV | 21,364 | 16,068 | 37,433 |
ⅰ 前事業年度末EEVの調整
かんぽ生命保険は当事業年度において360億円の株主配当金を支払っており、修正純資産がその分減少しております。
ⅱ 当事業年度新契約価値
新契約価値は、当事業年度に新契約を獲得したことによる契約獲得時点における価値を表わしたものであり、契約獲得に係る費用を控除した後の金額が反映されております。
ⅲ 期待収益(リスク・フリー・レート分)
保有契約価値の計算にあたっては、将来の期待収益をリスク・フリー・レートで割り引いておりますので、時間の経過とともに割引の影響が解放されます。これには、オプションと保証の時間価値、必要資本を維持するための費用及びヘッジ不能リスクに係る費用のうち当事業年度分の解放を含んでおります。修正純資産からは、対応する資産からリスク・フリー・レート分(△0.254%)に相当する収益が発生しております。
ⅳ 期待収益(超過収益分)
EEVの計算にあたっては、将来の期待収益としてリスク・フリー・レートを用いておりますが、実際の会社はリスク・フリー・レートを超過する利回りを期待しております。この項目は、その期待される超過収益を表しております。
ⅴ 保有契約価値からの移管
当事業年度に実現が期待されていた利益が、保有契約価値から修正純資産に移管されます。これには、前事業年度末の保有契約から期待される当事業年度の利益と、当事業年度に獲得した新契約からの、契約獲得に係る費用を含めた当事業年度の損益が含まれております。
これらは保有契約価値から修正純資産への振替えであり、EEVの金額には影響しません。
ⅵ 前提条件(非経済前提)と実績の差異
前事業年度末の保有契約価値の計算に用いた前提条件(非経済前提)と、当事業年度の実績の差額であります。
ⅶ 前提条件(非経済前提)の変更
前提条件(非経済前提)を更新したことにより、翌事業年度以降の収支が変化することによる影響であります。
ⅷ 前提条件(経済前提)と実績の差異
市場金利やインプライド・ボラティリティ等の経済前提が、前事業年度末EEV計算に用いたものと異なることによる影響であります。当該影響は、当事業年度の実績及び翌事業年度以降の見積もりの変更を含んでおります。
主に土地等に係る固定資産等処分益により、修正純資産は632億円増加しております。
金利は低下したものの、主にインプライド・ボラティリティの減少及び株価の上昇により、保有契約価値は303億円増加しております。
ホ.感応度(センシティビティ)
前提条件を変更した場合のEEVの感応度は以下のとおりであります。感応度は、一度に1つの前提のみを変化させることとしており、同時に2つの前提を変化させた場合の感応度は、それぞれの感応度の合計とはならないことにご注意ください。
(単位:億円) | ||
前提条件 | EEV | 増減額 |
当事業年度末EEV | 37,433 | ― |
感応度1:リスク・フリー・レート50bp上昇 | 39,171 | 1,738 |
感応度2:リスク・フリー・レート50bp低下 | 35,075 | △2,357 |
感応度3:リスク・フリー・レート50bp低下(低下後の下限なし) | 34,028 | △3,404 |
感応度4:株式・不動産価値10%下落 | 36,409 | △1,023 |
感応度5:事業費率(維持費)10%減少 | 39,174 | 1,741 |
感応度6:解約失効率10%減少 | 37,886 | 453 |
感応度7:保険事故発生率(死亡保険)5%低下 | 38,597 | 1,164 |
感応度8:保険事故発生率(年金保険)5%低下 | 36,214 | △1,218 |
感応度9:必要資本を法定最低水準に変更 | 37,433 | 0 |
感応度10:株式・不動産のインプライド・ボラティリティ25%上昇 | 36,726 | △706 |
感応度11:金利スワップションのインプライド・ボラティリティ25%上昇 | 36,454 | △978 |
感応度1から4について、修正純資産の変動額は以下のとおりであります。また、感応度5から11については、保有契約価値のみの変動額となります。
(単位:億円) | ||
前提条件 | 増減額 | (参考) 会社合計の増減額 |
感応度1:リスク・フリー・レート50bp上昇 | △689 | △25,300 |
感応度2:リスク・フリー・レート50bp低下 | 145 | 12,218 |
感応度3:リスク・フリー・レート50bp低下(低下後の下限なし) | 728 | 27,514 |
感応度4:株式・不動産価値10%下落 | △52 | △1,910 |
(注) 参考値として、会社合計の資産の含み損益の増減額(税引後に換算)を示しております。なお、EEVの計算にあたって、保険契約に係る部分の資産の含み損益については、修正純資産ではなく、保有契約価値の計算に含めて評価しております。
新契約価値の感応度
(単位:億円) | ||
前提条件 | 新契約価値 | 増減額 |
当事業年度新契約価値 | 2,267 | ― |
感応度1:リスク・フリー・レート50bp上昇 | 2,773 | 505 |
感応度2:リスク・フリー・レート50bp低下 | 1,824 | △442 |
感応度3:リスク・フリー・レート50bp低下(低下後の下限なし) | 1,547 | △719 |
感応度4:株式・不動産価値10%下落 | 2,267 | ― |
感応度5:事業費率(維持費)10%減少 | 2,397 | 129 |
感応度6:解約失効率10%減少 | 2,427 | 159 |
感応度7:保険事故発生率(死亡保険)5%低下 | 2,379 | 112 |
感応度8:保険事故発生率(年金保険)5%低下 | 2,267 | △0 |
感応度9:必要資本を法定最低水準に変更 | 2,267 | ― |
感応度10:株式・不動産のインプライド・ボラティリティ25%上昇 | 2,262 | △4 |
感応度11:金利スワップションのインプライド・ボラティリティ25%上昇 | 2,265 | △2 |
ⅰ 感応度1:リスク・フリー・レート50bp上昇
(ⅰ)リスク・フリー・レート(フォワード・レート)が各年限とも50bp上昇した場合の影響を表しております。債券・貸付金等、金利の変動により時価が変動する資産を再評価するとともに、将来の運用利回りや割引率を変動させて保有契約価値を再計算しております。
(ⅱ)リスク・フリー・レートについては、補外開始年度以降は終局金利を変えずに補外しております。
ⅱ 感応度2:リスク・フリー・レート50bp低下
(ⅰ)リスク・フリー・レート(フォワード・レート)が各年限とも50bp低下した場合の影響を表しております。なお、リスク・フリー・レートが0%を下回る場合は0%としております。ただし、50bp低下前のリスク・ フリー・レートが0%を下回る場合はその値をそのまま使用しております。
(ⅱ)リスク・フリー・レートについては、補外開始年度以降は終局金利を変えずに補外しております。
ⅲ 感応度3:リスク・フリー・レート50bp低下(低下後の下限なし)
(ⅰ)リスク・フリー・レート(フォワード・レート)が各年限とも50bp低下した場合の影響を表しております。なお、感応度2と異なり、リスク・フリー・レートの正負を判定せず、下限を設けずに50bp低下させております。
(ⅱ)リスク・フリー・レートについては、補外開始年度以降は終局金利を変えずに補外しております。
ⅳ 感応度4:株式・不動産価値10%下落
株式及び不動産の評価日時点の価格が10%下落した場合の影響を表しております。
ⅴ 感応度5:事業費率(維持費)10%減少
事業費率(契約維持に係るもの)が10%減少した場合の影響を表しております。
ⅵ 感応度6:解約失効率10%減少
解約失効率が10%減少(基本となる解約失効率に90%を乗じた水準した場合の影響を表しております。
ⅶ 感応度7:保険事故発生率(死亡保険)5%低下
死亡保険について、保険事故発生率(死亡率・罹患率)が5%低下(基本となる保険事故発生率に95%を乗じた水準)した場合の影響を表しております。
ⅷ 感応度8:保険事故発生率(年金保険)5%低下
年金保険について、保険事故発生率が5%低下(基本となる保険事故発生率に95%を乗じた水準)した場合の影響を表しております。
ⅸ 感応度9:必要資本を法定最低水準に変更
必要資本を法定最低水準(ソルベンシー・マージン比率200%水準)に変更した場合の影響を表しております。
ⅹ 感応度10:株式・不動産のインプライド・ボラティリティ25%上昇
オプションと保証の時間価値の計算に使用する、株式オプションのインプライド・ボラティリティが25%上昇した場合の影響を表しております。
ⅺ 感応度11:金利スワップションのインプライド・ボラティリティ25%上昇
オプションと保証の時間価値の計算に使用する、金利スワップションのインプライド・ボラティリティが25%上昇した場合の影響を表しております。
ヘ.注意事項
EEVの計算においては、リスクと不確実性を伴う将来の見通しを含んだ多くの前提条件を使用し、それらの多くは個別会社の管理能力を超えた領域に属するものであります。また、将来の実績がEEVの計算に使用した前提条件と大きく異なる場合もあり得ます。
これらの理由により、本EEV開示は、EEV計算に用いられた将来の税引後利益が達成されることを表明するものではなく、使用にあたっては、十分な注意を払っていただく必要があります。
ト.その他の特記事項
かんぽ生命保険では、保険数理に関する専門知識を有する第三者機関(アクチュアリー・ファーム)に、EEVについて検証を依頼し、意見書を受領しております。
⑥ その他
上記各報告セグメントにおける事業のほか、病院事業については、地域医療機関との連携や救急患者の受入の強化等による増収対策、調達の効率化等による経費削減、また、経営改善が見込めない逓信病院(3カ所※)を譲渡する等、個々の病院の状況を踏まえた経営改善を進めているところであり、営業収益18,733百万円(前期比2,511百万円減)、営業損失4,879百万円(前期は5,581百万円の営業損失)となりました。今後も引き続き上記増収対策や経費削減等、個々の病院の状況を踏まえた経営改善に取り組みます。
また、宿泊事業については、営業推進態勢の強化やサービス水準向上による魅力ある宿づくりを継続的に進めるとともに、費用管理による経費削減等の経営改善に取り組んでいるところですが、重油価格の高騰や人件費の増加等の影響もあり、営業収益26,514百万円(前期比244百万円増)、営業損失2,976百万円(前期は2,477百万円の営業損失)となりました。今後も、増加傾向にあるインバウンド需要への対応や外部のWebサイトの活用強化等による増収施策、食材等原価管理の徹底、業務フローの効率化等の生産性向上施策を着実に実施することにより、経営改善に取り組みます。
※ 平成29年4月 札幌逓信病院、横浜逓信病院、徳島逓信病院
(3) キャッシュ・フローの状況及び分析・検討
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は当期首から2,531,147百万円減少し、50,694,528百万円となりました。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
税金等調整前当期純利益が709,134百万円と前連結会計年度と比べ538,246百万円の増益となりましたが、銀行業における資金の運用や調達、生命保険業における保険料の収入や保険金の支払等の結果、営業活動においては、2,337,394百万円の支出(前期比1,346,271百万円の支出増)となりました。
主な要因として、運用の多様化をすすめた結果等により、利息及び配当金の受取額1,179,552百万円の収入、責任準備金の減少2,397,936百万円や貸出金の増加2,083,094百万円の支出があげられます。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動においては、銀行業及び生命保険業における有価証券の売却、償還による収入等及び有価証券の取得による支出等の結果、99,012百万円の収入(前期比6,201,685百万円の収入減)となりました。
主な要因として、運用の多様化をすすめた結果等により、有価証券の償還による26,568,676百万円や有価証券の売却による4,623,202百万円の収入、有価証券の取得による支出29,433,620百万円があげられます。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動においては、当社の配当金の支払等の結果、292,041百万円の支出(前期比66,842百万円の支出増)となりました。
主な要因として、借入れによる収入103,644百万円、配当金の支払額203,633百万円や株主還元の強化及び政府保有株式売却に係る株式需給への影響を緩和する観点による自己株式の取得による99,999百万円の支出があげられます。
④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
新中期経営計画において、お客さま満足向上、営業力向上、業務効率化など経営基盤強化に資するインフラ整備を推進するため、郵便・物流事業や金融窓口事業における局舎等工事、金融窓口事業における不動産開発、国際物流事業における船舶更改、銀行業における総合情報システムの開発、生命保険業における基幹系システムの開発等への投資を計画しております。
また、上記の他に、「トータル生活サポート企業グループ」としてグループの成長につながるよう、当社グループ・グループ各社の企業価値向上に資する幅広い分野での資本提携やM&Aも、投資判断基準等に照らして慎重に検討し、適切と判断したものを実施することとしております。その財源は、既存のキャッシュ・フローのほか、潤沢な借入余力を活かした借入金や金融2社株式を売却した場合の売却手取金を想定しています。
なお、現在予定している設備の新設計画としては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1) 重要な設備等の新設等」の記載をご参照ください。
(4) 連結自己資本比率の状況
銀行持株会社としての当社の連結自己資本比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第20号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。
なお、当社は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。
当連結会計年度末における連結自己資本比率は、19.11%となりました。
連結自己資本比率(国内基準)
(単位:億円、%) | |
当連結会計年度末 | |
1.連結自己資本比率(2/3) | 19.11 |
2.連結における自己資本の額 | 106,873 |
3.リスク・アセット等の額 | 559,136 |
4.連結総所要自己資本額 | 22,365 |
(注) 連結総所要自己資本額は、上記3.に記載しているリスク・アセット等の額に4%を乗じた額であります。
(5) 連結ソルベンシー・マージン比率の状況
保険持株会社としての当社の連結ソルベンシー・マージン比率は、保険業法施行規則第210条の11の3、第210条の11の4及び平成23年金融庁告示第23号の規定に基づいて算出しております。
ソルベンシー・マージン比率とは、大災害や株価の大暴落など、通常の予測を超えて発生するリスクに対応できる「支払余力」を有しているかどうかを判断するための行政監督上の指標の一つであります。
この比率が200%を下回った場合は、規制当局によって早期是正措置がとられます。逆にこの比率が200%以上であれば、健全性の一つの基準を満たしていることになります。
当連結会計年度末における連結ソルベンシー・マージン比率は、722.7%となりました。
項目 | 前連結会計年度末 (百万円) | 当連結会計年度末 (百万円) | |||
連結ソルベンシー・マージン総額 | (A) | 19,375,176 | 19,026,975 | ||
資本金又は基金等 | 11,580,137 | 11,696,279 | |||
価格変動準備金 | 788,712 | 916,743 | |||
危険準備金 | 2,254,027 | 2,114,348 | |||
異常危険準備金 | ― | ― | |||
一般貸倒引当金 | 376 | 399 | |||
(その他有価証券評価差額金(税効果控除前)・繰延ヘッジ損益 (税効果控除前))×90%(マイナスの場合100%) | 3,817,559 | 3,414,011 | |||
土地の含み損益×85%(マイナスの場合100%) | 108,968 | 80,067 | |||
未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の合計額 | 338,720 | 298,658 | |||
負債性資本調達手段、保険料積立金等余剰部分 | 486,674 | 506,467 | |||
保険料積立金等余剰部分 | 486,674 | 506,467 | |||
負債性資本調達手段等 | ― | ― | |||
不算入額 | ― | ― | |||
少額短期保険業者に係るマージン総額 | ― | ― | |||
控除項目 | ― | ― | |||
その他 | ― | ― | |||
連結リスクの合計額 [{(R12+R52)1/2+R8+R9}2+(R2+R3+R7)2]1/2+R4+R6 | (B) | 4,202,494 | 5,265,094 | ||
保険リスク相当額 | R1 | 153,070 | 147,403 | ||
一般保険リスク相当額 | R5 | ― | ― | ||
巨大災害リスク相当額 | R6 | ― | ― | ||
第三分野保険の保険リスク相当額 | R8 | 69,104 | 63,087 | ||
少額短期保険業者の保険リスク相当額 | R9 | ― | ― | ||
予定利率リスク相当額 | R2 | 158,838 | 150,450 | ||
最低保証リスク相当額 | R7 | ― | ― | ||
資産運用リスク相当額 | R3 | 3,711,234 | 4,802,912 | ||
経営管理リスク相当額 | R4 | 326,050 | 307,261 | ||
連結ソルベンシー・マージン比率 (A)/{(1/2)×(B)}×100 | 922.0% | 722.7% |
(注) 保険業法施行規則第210条の11の3、第210条の11の4及び平成23年金融庁告示第23号の規定に基づいて算出しております。
(6) 目標とする経営指標の達成状況等
当社グループにおいては、前中期経営計画にて、平成30年3月期の連結経営目標とした連結当期純利益(非支配株主に帰属する当期純利益を含む。)4,500億円に対し、平成30年3月期においては連結当期純利益(非支配株主に帰属する当期純利益を含む。)5,120億円と連結経営目標を達成しました。その内容について、以下の通り分析しております。
日本郵便におきましては、郵便・物流事業セグメントにおいて、eコマース市場の拡大による荷物量の増加基調や、ゆうパックなどのコンビニ受取や「はこぽす」の設置拡大などの受取利便性向上施策が奏功し、平成30年3月期でゆうパック個数は8.8億個となり、目標としていた6.8億個を達成しました。
金融窓口事業セグメントにおいて、提携金融サービスではがん保険の取扱局を2万局に拡大させ、また、物販事業では商品ラインナップを拡充し、順調に収益を拡大させました。不動産事業においては、JPタワーやJPタワー名古屋等の順調な稼働により、目標としていた営業収益250億円を達成しました。
国際物流事業セグメントにおいて、トール社をプラットフォームとした国際物流事業の拡大を目指し、平成27年5月にトール社を子会社化しましたが、資源価格の下落並びに中国経済及び豪州経済の減速等を受けて、トール社の業績が大きく悪化したことに伴い、平成29年3月期の決算において、国際物流事業に係るのれん等の減損を実施いたしました。平成30年3月期は、部門の統合・簡素化といった組織体制の見直しや、それに伴う人員削減といった経営改善策を進めたほか、ヘルスケア等の高成長分野における物流ニーズを獲得するといった成長戦略を進める等、業績向上の取組みにより、ロジスティクス事業は収益拡大及び増益となり、エクスプレス事業・フォワーディング事業は赤字幅が改善しました。
結果、日本郵便の連結営業収益が平成30年3月期の経営目標3.1兆円に対し3.88兆円(国際物流事業セグメントを除くと3.17兆円)、連結経常利益が平成30年3月期の経営目標350億円に対し854億円、連結当期純利益が平成30年3月期の経営目標300億円に対し584億円となりました。
ゆうちょ銀行におきましては、投資信託等の資産運用商品の商品・サービスの充実により、販売額及び残高を拡大させるとともに、ATМ設置を拡大したことにより、役務取引等収支を拡大させました。また、お客さまサービスの向上やゆうちょ銀行の成長に資する分野への投資は積極的に行う一方で、既定経費の削減やBPR(業務プロセスの変革による生産性の向上)を推進するなど、経費の効率的使用に取り組み、前中期経営計画の経営目標としていた物件費削減については、平成27年3月期対比785億円削減となり、目標(500億円削減)を上回りました。加えて、安定的な収益を確保するため、適切なリスク管理の下、運用の高度化・多様化に取り組みました。
結果、ゆうちょ銀行(単体)の経常利益が平成30年3月期の経営目標4,800億円に対し4,996億円、当期純利益が平成30年3月期の経営目標3,300億円に対し3,527億円となりました。
かんぽ生命保険におきましては、かんぽ生命保険が成長するために必要となる経営基盤を確立するとともに、かんぽ生命保険の強みをさらに強固にする商品・サービスをご提供することで、本格的な成長軌道への転換に道筋をつけることとしており、「お客さまニーズに対応した商品開発」、「販売チャネルの営業力強化」、「ご高齢のお客さまへのサービスの充実」、「引受けから支払いまで簡易・迅速・正確に行う態勢整備」、「運用収益力の向上」、「内部管理態勢の強化」、「人材育成の強化」の各戦略に取り組みました。新契約月額保険料(個人保険)については、平成28年3月期に510億円、平成29年3月期に553億円まで拡大し、500億円台の目標を1年前倒しで達成することができました。平成30年3月期においては、保険料改定に伴い保障重視の販売強化への本格的な転換により、新契約月額保険料(個人保険)については414億円となりましたが、商品収益性は大きく改善しました。
結果、かんぽ生命保険(単体)の当期純利益が平成30年3月期の経営目標800億円に対し1,044億円となりました。
(7) 生産、受注及び販売の状況
当社グループは、郵便・物流事業、金融窓口事業、国際物流事業、銀行業及び生命保険業を中心とした広範囲な事業を営んでおり、生産、受注といった区分による表示が困難であることから、「生産、受注及び販売の状況」については、上記「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営成績の状況及び分析・検討」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。