四半期報告書-第16期第3四半期(令和2年10月1日-令和2年12月31日)
文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当第3四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態の状況及び分析・検討
当第3四半期連結会計期間末の資産、負債及び純資産の状況は以下のとおりであります。
資産の部合計は、前連結会計年度末比11,140,614百万円増の297,239,064百万円となりました。
主な要因は、現金預け金10,038,004百万円の増、銀行業等における金銭の信託2,115,522百万円増の一方、銀行業及び生命保険業における貸出金635,257百万円の減、銀行業及び生命保険業等における繰延税金資産384,612百万円の減によるものです。
負債の部合計は、前連結会計年度末比7,693,519百万円増の281,175,194百万円となりました。
主な要因は、銀行業における貯金6,625,982百万円の増、銀行業等における借用金3,657,177百万円の増の一方、生命保険業における責任準備金2,187,897百万円の減、銀行業及び生命保険業における債券貸借取引受入担保金1,098,614百万円の減によるものです。
純資産の部合計は、前連結会計年度末比3,447,094百万円増の16,063,869百万円となりました。
主な要因は、銀行業等におけるその他有価証券評価差額金2,538,294百万円の増、非支配株主持分561,434百万円の増、銀行業及び生命保険業等における利益剰余金288,917百万円の増によるものです。
(2) 経営成績の状況及び分析・検討
当第3四半期連結累計期間のわが国の経済情勢を顧みますと、新型コロナウイルス感染症の影響によって、企業収益が大幅に減少しており、依然として厳しい状況にありますが、個人消費に一部足踏みする動きがあるものの、輸出・生産等も含め総じて持ち直してきていることから、景気の先行きについても持ち直しの動きが期待される状況となっています。ただし、新型コロナウイルス感染症の再拡大によって社会経済活動が下振するリスクにも十分注意する必要がある状況でもあります。
また、世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響により、厳しい状況が続いているものの、米国やアジアでは持ち直しの動きが見られます。一方、ユーロ圏では新型コロナウイルス感染症の再拡大により、経済活動が抑制されており、景気は弱い動きとなっています。
我が国の金融資本市場では、日本銀行が大規模かつ矢継ぎ早に流動性供給と信用支援を進めた結果、10年国債利回りは0%近傍で推移しました。米国においては、2020年9月15日~16日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の誘導目標水準を0.00%から0.25%に据え置くことを決定したほか、10年国債利回りについては景気刺激策への期待再燃などにより、2020年12月に0.9%まで上昇しました。
日経平均株価は、2020年4月当初に17,800円台を記録したものの、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大がもたらす景気低迷への警戒が和らいだことや経済対策への期待感により上昇してきました。2020年10月は、米国での追加経済対策への期待を背景に、一時的に23,700円台まで上昇したものの、新型コロナウイルス感染症の拡大が収まらなかったことから、月末には23,000円台を割り込みました。その後、新型コロナウイルス感染症に対するワクチンの有効性が示されたことを受けて、経済活動の停滞に歯止めをかける期待感が高まったことから、2020年11月は株価が大幅に反発し、一時的に26,800円台まで上昇し、月末は26,400円台まで上昇となりました。2020年12月になると、海外で新型コロナウイルスのワクチン接種が始まったことや、米国の経済対策の成立、英国の欧州連合離脱交渉がまとまったことも追い風となり、世界的な株高基調に乗ったことから一時27,600円台を記録し、月末には27,400円台となり1990年以来の高い水準となりました。
このように、当社グループを取り巻く経済情勢は、新型コロナウイルス感染症の影響から持ち直す動きが見られるものの、新型コロナウイルス感染症が再拡大している等、全体としては引き続き先行き不透明かつ厳しい環境が継続しております。
このような事業環境にあって、当第3四半期連結累計期間における連結経常収益は8,700,507百万円(前年同期比354,050百万円減)、連結経常利益は708,807百万円(前年同期比19,927百万円増)、連結経常利益に、特別損益、契約者配当準備金繰入額、法人税等及び非支配株主に帰属する四半期純利益を加減した親会社株主に帰属する四半期純利益は、390,013百万円(前年同期比31,992百万円減)となりました。
当社グループは、昨年度発覚したかんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題など金融商品販売に係る不祥事や、今年度発覚したゆうちょ銀行が提供する各種サービスの不正利用被害の発生を受け、お客さまからの信頼回復にグループ一丸となって取り組んでいるところであります。
その一方で、当社グループはこの厳しい事業環境において、国内人口の減少やデジタル化の進展の他、ポストコロナにおける社会・経済の大きな変化に対応し成長していくために、新たな成長戦略を推進することが重要と考えており、当社においては、グループ横断的な新規事業等に関する企画立案・調整等を担う「新規ビジネス室」及びグループ横断的なDX施策の推進に関する企画立案・ 調整等を担う「DX推進室」を、社長直属のプロジェクトとして2020年10月1日に立ち上げましたが、加えて成長に向けたビジョンを描いていくことが喫緊の重要課題であると捉えております。
当社グループではまずはお客さまの信頼回復を第一に取り組み、そのうえで新たな成長を図るべく、2021年度からの新しい中期経営計画の検討に取り組んでおり、その基本的な考え方を2020年11月13日に公表いたしました。
なお、2020年12月4日に、普通扱いとする郵便物の配達頻度の変更(週6日以上とされている郵便物の配達頻度を週5日以上に変更)、送達日数の変更(原則3日以内とされている郵便物の送達速度を原則4日以内に変更)等を内容とする改正郵便法が公布されました。この改正郵便法の施行日は、公布日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日とされております。日本郵便としては、お客さまに丁寧な周知を行ったうえでサービスの見直しを実施し、週末・深夜労働に依存した労働環境の改善を図って働き方改革を推進するとともに、増加する荷物に対応するため、郵便から荷物分野への経営資源のシフトを進めてまいります。
各事業セグメント別の業績は、以下のとおりであります。
① 郵便・物流事業
当第3四半期連結累計期間の郵便・物流事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を主因として、巣ごもり消費増加等に伴うEC需要の拡大が続き、ゆうパック等の荷物が増加したものの、普通郵便、国際郵便、年賀葉書の減少もあり、収益は、減少しました。費用は、コストコントロールの取組等により引き続き減少しました。結果、経常収益は1,555,562百万円(前年同期比48,081百万円減)、経常利益は88,233百万円(前年同期比32,231百万円減)となりました。なお、日本郵便の当第3四半期連結累計期間における郵便・物流事業の営業収益は1,553,305百万円(前年同期比48,363百万円減)、営業利益は86,798百万円(前年同期比32,523百万円減)となりました。
(参考)引受郵便物等の状況
(注) 1.第一種郵便物、第二種郵便物、第三種郵便物及び第四種郵便物の概要/特徴は、以下のとおりであります。
2.年賀郵便物(年賀特別郵便(取扱期間12/15~12/28)及び12/29~1/7に差し出された年賀はがきで消印を省略したもの)は除いております。
3.選挙は、公職選挙法に基づき、公職の候補者又は候補者届出政党から選挙運動のために差し出された通常はがきの物数であります。別掲で示しております。
4.特殊は、速達、書留、特定記録、本人限定受取等の特殊取扱(オプションサービス)を行った郵便物の物数の合計であります。交付記録郵便物用特定封筒(レターパックプラス)及び電子郵便(レタックス、Webゆうびん、e内容証明)を含んでおります。
5.国際通常郵便物は、2019年4月以降の集計方法を変更しております。なお、対前年同期比の算定にあたり、過去の通数との整合性を確保するため、過年度分については組替えを行っておりません。
6.ゆうパックは、一般貨物法制の規制を受けて行っている宅配便の愛称であります。配送中は、追跡システムにより管理をしております。
7.ゆうパケットは、一般貨物法制の規制を受けて行っている宅配便の愛称であります。小型の荷物をお届けするもので、ゆうパックより安値でポスト投函も可能な商品であります。配送中は、追跡システムにより管理をしております。
8.ゆうメールは、一般貨物法制の規制を受けて行っている1kgまでの荷物の愛称であります。主に冊子とした印刷物やCD・DVDなどをお届けするもので、ゆうパックより安値でポスト投函も可能な商品であります。
② 金融窓口事業
当第3四半期連結累計期間の金融窓口事業におきましては、日本郵便とかんぽ生命保険が引き続き検討を行っておりました保険手数料について、2021年3月期においては維持・集金手数料の単価の見直しを行い、その影響を反映(4月分からの差額を12月に一括で計上)したものの、かんぽ生命保険商品の積極的な提案を控えていることにより、累計では大幅に減少しました。また、物販事業や提携金融事業の減収も続き、結果、経常収益は955,515百万円(前年同期比50,116百万円減)、経常利益は41,883百万円(前年同期比10,232百万円減)となりました。なお、日本郵便の当第3四半期連結累計期間における金融窓口事業の営業収益は954,590百万円(前年同期比50,193百万円減)、営業利益は41,603百万円(前年同期比10,177百万円減)となりました。
(参考)郵便局数
③ 国際物流事業
当第3四半期連結累計期間の国際物流事業におきましては、収益については、引き続きロジスティクス事業アジア部門における新型コロナウイルス感染症予防対策物資の大口取扱継続を主因として増加しました。費用については前年同期より増加しましたが、エクスプレス事業におけるコスト削減等に取組んだことにより費用の増加が収益の増加を下回りました。この結果、営業損益の赤字幅が減少し、経常収益は564,268百万円(前年同期比77,571百万円増)、経常損失は8,339百万円(前年同期は15,605百万円の経常損失)となりました。なお、日本郵便の当第3四半期連結累計期間における国際物流事業の営業収益は564,164百万円(前年同期比77,700百万円増)、営業損失は776百万円(前年同期は5,913百万円の営業損失)となりました。
なお、トール社は当第3四半期連結会計期間の末日現在において引き続き債務超過の状態にありますが、安定的な業務運営のため、日本郵便による債務保証も実施し必要な資金を確保しております。
また、トール社の取締役会は2020年11月5日、赤字が継続している同社のエクスプレス事業の売却を検討する旨を決定し、同日、当社においてもこれを開示しております。
④ 銀行業
当第3四半期連結累計期間の銀行業におきましては、金利が低位で推移するなど厳しい経営環境下において、有価証券利息が減少し、資金利益が減少したほか、投資信託関連手数料の減少を主因に役務取引等利益が減少したものの、外貨調達コストの低下もありその他業務利益が増加したことにより、業務粗利益が増加しました。経常収益は1,313,684百万円(前年同期比44,789百万円減)、経常利益は313,882百万円(前年同期比24,627百万円増)となりました。
(参考)銀行業を行う当社の子会社であるゆうちょ銀行(単体)の状況
(a) 損益の概要
当第3四半期累計期間の業務粗利益は、前年同期比253億円増加の1兆414億円となりました。このうち、資金利益は、低金利環境の継続など厳しい経営環境下、有価証券利息が減少し、前年同期比493億円の減少となりました。役務取引等利益は、前年同期比5億円の減少となりました。その他業務利益は、外貨調達コストの低下もあり、前年同期比752億円の増加となりました。
経費は、前年同期比107億円減少の7,584億円となりました。
業務純益は、前年同期比360億円増加の2,829億円となりました。
経常利益は、前年同期比243億円増加の3,135億円となりました。
この結果、四半期純利益は、2,257億円、前年同期比160億円の増益となりました。
(注) 1.業務純益=業務粗利益-経費(除く臨時処理分)-一般貸倒引当金繰入額
2.臨時損益とは、損益計算書中「その他経常収益・費用」から一般貸倒引当金繰入額を除き、金銭の信託運用見合費用及び退職給付費用のうち臨時費用処理分等を加えたものであります。
3.「金銭の信託運用見合費用」とは、金銭の信託取得に係る資金調達費用であり、金銭の信託運用損益が臨時損益に計上されているため、業務費用から控除しているものであります。
4.国債等債券損益=国債等債券売却益+国債等債券償還益-国債等債券売却損-国債等債券償還損-国債等債券償却
5.株式等関係損益=株式等売却益-株式等売却損-株式等償却
6.金額が損失又は費用には△を付しております。
(b) 国内・国際別の資金利益等
国内業務部門・国際業務部門別の資金利益等は次のとおりとなりました。
当第3四半期累計期間は、国内業務部門においては、資金利益は3,685億円、役務取引等利益は976億円、その他業務利益は△56億円となりました。
国際業務部門においては、資金利益は3,347億円、役務取引等利益は0億円、その他業務利益は2,460億円となりました。
この結果、国内業務部門、国際業務部門の相殺消去後の合計は、資金利益は7,032億円、役務取引等利益は977億円、その他業務利益は2,404億円となりました。
イ.国内業務部門
(注) 「国内業務部門」は円建取引であります。
ロ.国際業務部門
(注) 「国際業務部門」は外貨建取引であります。ただし、円建の対非居住者取引については、「国際業務部門」に含めております。
ハ.合計
(注) 1.資金調達費用は、金銭の信託運用見合費用(前第3四半期累計期間5,316百万円、当第3四半期累計期間4,635百万円)を控除しております。
2.「国内業務部門」「国際業務部門」間の内部取引による相殺消去額等は下表のとおりであります。
(c) 役務取引等利益の状況
当第3四半期累計期間の役務取引等利益は、投資信託関連手数料の減少を主因に、前年同期比5億円減少の977億円となりました。
(参考) 投資信託の取扱状況(約定ベース)
(d) 預金残高の状況
当第3四半期会計期間末の貯金残高は、前事業年度末比6兆7,482億円増加の189兆7,530億円となりました。
○ 預金の種類別残高(末残・構成比)
(注) 1.「通常貯金等」=通常貯金+特別貯金(通常郵便貯金相当)
2.貯金は銀行法施行規則の負債科目「預金」に相当するものであります。「振替貯金」は「当座預金」、「通常貯金」は「普通預金」、「貯蓄貯金」は「貯蓄預金」、「定期貯金」は「定期預金」に相当するものであります。「定額貯金」は「その他の預金」に相当するものでありますが、「定期性預金」に含めております。
3.特別貯金(通常郵便貯金相当)は独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構(以下「郵政管理・支援機構」といいます。)からの預り金のうち、郵政管理・支援機構が日本郵政公社(以下「公社」といいます。)から承継した定期郵便貯金、定額郵便貯金、積立郵便貯金、住宅積立郵便貯金、教育積立郵便貯金に相当する郵便貯金で満期となったものなどであります。
(e) 資産運用の状況(末残・構成比)
当第3四半期会計期間末の運用資産のうち、国債は50.2兆円、その他の証券は70.0兆円となりました。
(注) 「預け金等」は譲渡性預け金、日銀預け金、買入金銭債権であります。
(f) 業種別貸出金残高の状況(末残・構成比)
(注) 1.「国内」とは本邦居住者に対する貸出、「国際」とは非居住者に対する貸出であります。
2.ゆうちょ銀行は、海外店及び海外子会社を有しておりません。
3.「金融・保険業」のうち郵政管理・支援機構向け貸出金は、前事業年度末439,734百万円、当第3四半期会計期間末390,032百万円であります。
(g) 金融再生法開示債権(末残)
⑤ 生命保険業
当第3四半期連結累計期間の生命保険業におきましては、保有契約の減少及び積極的なかんぽ生命保険商品の募集自粛に伴う新契約の減少による保険料等収入の減少等により、経常収益は5,127,335百万円(前年同期比334,216百万円減)となりました。また、新契約の減少に伴う事業費の減少等により基礎利益(生命保険会社の基礎的な期間損益の状況を表す指標)が増加したことに加え、金融派生商品費用の減少等によりキャピタル損益が改善したこと等から、経常利益は260,892百万円(前年同期比26,915百万円増)となりました。
(参考1)生命保険業を行う当社の子会社であるかんぽ生命保険の保険引受の状況
(個人保険及び個人年金保険は、かんぽ生命保険が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約を含みません。)
(a) 保有契約高明細表
(注) 個人年金保険の金額は、年金支払開始前契約の年金支払開始時における年金原資と年金支払開始後契約の責
任準備金額を合計したものであります。
(b) 新契約高明細表
(注) 個人年金保険の金額は、年金支払開始時における年金原資であります。
(c) 保有契約年換算保険料明細表
(注) 1.年換算保険料とは、1回あたりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年あたりの保険料に換算した金額であります(一時払契約等は、保険料を保険期間等で除した金額)。
2.医療保障・生前給付保障等には、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)、保険料払込免除給付(障がいを事由とするものは除きます。特定疾病罹患、介護等を事由とするものを含みます。)等に該当する部分の年換算保険料を計上しております。
(d) 新契約年換算保険料明細表
(注) 1.年換算保険料とは、1回あたりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年あたりの保険料に換算した金額であります(一時払契約等は、保険料を保険期間等で除した金額)。
2.医療保障・生前給付保障等には、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)、保険料払込免除給付(障がいを事由とするものは除きます。特定疾病罹患、介護等を事由とするものを含みます。)等に該当する部分の年換算保険料を計上しております。
(参考2)かんぽ生命保険が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約の状況
(a) 保有契約高
(注) 計数は、郵政管理・支援機構における公表基準によるものであります。
(b) 保有契約年換算保険料
(注) かんぽ生命保険が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約について、(参考1)(c)に記載しております個人保険及び個人年金保険の保有契約年換算保険料と同様の計算方法により、かんぽ生命保険が算出した金額であります。
⑥ その他
当第3四半期連結累計期間における上記各報告セグメントの事業のほか、病院事業については、地域医療機関との連携や救急患者の受入の強化等による増収対策、業務の効率化等による経費削減等、個々の病院の状況を踏まえた経営改善を進めているところですが、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた患者数の減少等により、営業収益9,883百万円(前年同期比715百万円減)、営業損失は2,869百万円(前年同期は2,580百万円の営業損失)となりました。今後も引き続き上記増収対策や経費削減等、個々の病院の状況を踏まえた経営改善に取り組みます。
宿泊事業については、営業推進態勢の強化やサービス水準向上による魅力ある宿づくりを継続的に進めるとともに、費用管理による経費削減等の経営改善に取り組んでいるところですが、一部施設の営業終了、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う緊急事態宣言を受けた一部施設の一時休館、3密回避を図った宿泊者数の上限設定による利用者数の減少等の理由により、営業収益は5,297百万円(前年同期比10,649百万円減)、営業損失は8,189百万円(前年同期は3,746百万円の営業損失)となりました。今後も、ウィズコロナの生活様式に適した安心・安全の施設であることをアピールしつつ、政府・自治体によるGo To トラベル等キャンペーンの再開を見据えたWebセールスの充実等による増収施策、原価管理の徹底等の生産性向上施策を着実に実施することにより、経営改善に取り組みます。
不動産事業については、当社の子会社である日本郵政不動産株式会社において、不動産投資を行うとともに、「ホテル メルパルク」の賃貸・管理事業を行いました。今般の新型コロナウイルス感染症の拡大の影響によるテナント賃料の減免及び支払猶予が一部発生しており、開発中の案件における竣工時期の遅延等も想定されますので、今後のマーケットへの影響、動向を引き続き注視し、必要な対策を適時適切に実施しつつ、不動産事業を慎重に進めてまいります。
投資事業については、日本郵政グループの新事業の種を探すため、ネットワーク、ブランド力等を活用して成長が期待できる企業への出資を行い、出資先企業と当社グループとの連携を進めました。今後も、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大の影響など、投資先の事業環境の変化による投資先の価値や将来の成長性を見極めながら、出資等に取り組みます。
(3) かんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題について
当第3四半期連結累計期間開始日以降、本第3四半期報告書提出日までの間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「かんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題について」につきまして、重要な進捗等があった事項は以下のとおりです。
前連結会計年度において発生したかんぽ生命保険及び日本郵便の募集品質に係る諸問題について、業務改善計画に掲げたご契約調査及びお客さまの不利益解消に向けた契約復元等の対応、募集品質の改善に向けた取組みは、概ね計画どおりに進捗しております。
募集人資格に係る処分、募集人及び管理者等に対する人事上の処分、日本郵便及びかんぽ生命保険の本社・支社・エリア本部等の責任者の人事処分については、順次、実施しております。
かんぽ生命保険商品の販売については、2019年7月以降、2020年1月から3月までの業務停止命令期間を含め、郵便局及びかんぽ生命保険支店におけるかんぽ生命保険商品の積極的な営業活動を控えておりましたが、JP改革実行委員会より、当社、日本郵便及びかんぽ生命保険にて設定した営業再開条件について概ね充足したとの評価を受けるとともに、信頼回復に向けた業務運営の趣旨が、社員へ共有・徹底されていること等が確認できたことから、2020年10月5日以降、ただちにかんぽ生命保険商品の積極的な営業活動をするのではなく、当面はお客さまへのお詫びを第一とした信頼回復に向けた業務運営を行っております。また、かんぽ生命保険支店においては、2021年2月10日以降、支店の法人のお客さまの保険ニーズが高まる3月に向け、これまでかんぽ生命保険からご訪問等をさせていただいたことのある法人のお客さまや、説明のご要望等をいただいた法人のお客さまに対し、募集品質を最優先としながら、これまでの活動に加えて、かんぽ生命保険からの保険商品やサービスのご案内・ご提案も行っております。なお、これまでご訪問等をさせていただいたことのない新規の法人のお客さまへのご訪問・ご案内は引き続き控えさせていただいております。今後も、2020年度は営業目標の設定は行わずに、お客さまからの信頼回復に向けた活動に最優先で取り組んでまいります。 また、信頼回復に向けた業務運営の開始に当たっては、募集状況の可視化(録音・保管)、郵便局の管理者による事前・事後チェックの強化、かんぽ生命保険コールセンター等によるお客さまへの重層的な意向確認の実施といった改善策を講じることにより、募集管理態勢の強化を図ってまいりました。引き続き、これらの取組みにかかる効果検証や必要な見直しを行うとともに、真にお客さま本位の営業活動を実践するための募集人研修を継続実施することにより、不適正募集を再演しない態勢を確立してまいります。
さらに、かんぽ生命保険においては、2021年4月にお客さま本位の保障の見直しの制度として、既契約を解約することなく新たな内容の契約に移行できる契約転換制度の導入を予定しております。また、低金利環境の継続による主力商品の魅力低下を踏まえ、お客さまニーズが高く、市場が拡大している保障性商品の商品ラインナップの拡充について継続的に検討を行っており、定期保険・特別養老保険の保険期間延長等に関する見直しに向けた準備を進めていくとともに、日本郵便においても、引き続き、管理者やコンサルタント等に対する研修を実施することにより、募集品質の向上、お客さま本位の意識の徹底等を図ってまいります。
今後とも、業務改善計画に掲げる各種施策については、定期的に外部のモニタリングを受けながら着実に進捗管理を実施し、当社グループの全役職員が一丸となって推進してまいります。
(4) 対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「対処すべき課題」につきまして、以下の追加すべき事項が生じております。
① 当社グループの「お客さまの信頼回復に向けた約束」について
2019年度に発覚したかんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題など金融商品販売に係る不祥事等により、当社グループはお客さまからの信頼を大きく失うこととなりました。お客さまから失った信頼を取り戻し、再びお客さまに安心して当社グループの商品・サービスをご利用していただけるようになるためには、同様の事案を発生させないための再発防止策を徹底することはもとより、当社グループが真にお客さま本位の企業グループに生まれ変わることが必要と考えております。
その決意を幅広く公表するために、外部専門家で構成されるJP改革実行委員会の助言も受けながら、「お客さまの信頼回復に向けた約束」を策定いたしました。
今後、当社グループで働く一人ひとりの社員がこの約束を実践していくことで、お客さまからの信頼が回復できるよう、グループ一丸となって取り組んでまいります。
お客さまの信頼回復に向けた約束
「目指す姿の約束」
一人ひとりのお客さまに寄り添い、お客さまの満足と安心に最優先で取り組み、信頼していただける会社になることを約束します。
「活動の約束」
〇 お客さま本位の事業運営を徹底し、お客さまにご満足いただける丁寧な対応を行います。
〇 お客さまの声をサービス向上に反映するため、お客さまの声に誠実に耳を傾けます。
〇 社員の専門性を高め、お客さまにご納得いただけるよう正確にわかりやすく説明します。
〇 法令・ルールを遵守し、お客さまが安心してご利用いただける高品質のサービスを提供します。
〇 お客さまのニーズを踏まえ、お客さまに喜んでいただける商品・サービスを提供します。
② かんぽ生命保険商品と投資信託の横断的な販売への対応について
日本郵便において、かんぽ生命保険商品と投資信託を同一のお客さまに販売した際に、お客さま本位でない営業が行われた可能性のある苦情が複数発生している状況を把握しました。
これは、かんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題を契機に、お客さま本位の業務運営ができているかリスク感度を上げて確認するため、2020年4月よりグループ会社各社が連携して複数の商品にまたがるお客さまの苦情を分析したことにより発覚したものです。当社グループでは本事案の発覚を受けて、以下の取組みを実施しております。
(a) 苦情をお申し出のお客さまへの対応
苦情をお申し出されたお客さまのうち、ご連絡の取れているお客さまには改めてご意向確認を行い、再度取引内容の精査を実施し、一部お客さまの取引について法令等違反の認定をいたしました。また、一部お客さまから契約無効等のご要望を頂いており、順次必要な対応を実施しております。
なお、ご連絡が取れていないお客さまについては、ご連絡が取れ次第、順次同様の対応を行ってまいります。
(b) 特にお客さま本位でない懸念のある取引への対応
お客さまからお申し出のあった苦情のうち、かんぽ生命保険商品を解約し、その返戻金をもとに分配型投資信託を購入し、その分配金を新たに加入したかんぽ生命保険商品の保険料の支払いに充てていた事例については、お客さま本位とは言えない取引の可能性があるため、苦情の有無にかかわらず、過去5年に遡って、外形上同様の取引が行われたお客さま全員について、ご意向確認を実施しております。
ご意向確認の結果、詳細確認が必要なお客さまについては、ご訪問などにより事実関係等の確認を実施しております。また、詳細確認を行う中で、お客さまから契約無効等のご要望を頂いた場合は、ご意向をよく確認のうえ真摯に対応してまいります。
なお、ご連絡が取れていないお客さまについては、引き続き対応してまいります。
(c) (a)、(b)に関連する社員への対応
(a)、(b)に関連する社員については、営業活動を順次停止し、調査を実施しております。調査の結果、法令違反等に該当すると判断された場合には、法令等に従い厳正に対処してまいります。
(d) その他のお客さまへの対応
かんぽ生命保険商品と投資信託の同一のお客さまに対する販売において、一定期間内に両方の取引をいただいているお客さまについても、ご意向確認を実施しております。
(e) 改善に向けた取組み
お客さま本位でない営業を防止するため、社内ルールの整備(「投資信託の分配金が一定期間定額であり、かんぽ生命保険商品の保険料を賄える等の勧誘話法の禁止」、「不適切な商品間の乗換え防止の観点で、投資信託購入時の原資及び分配金の使用使途について確認」)、金融商品間の横断的な取引についてデータモニタリングによる取引内容の精査等の取組みを実施しました。
③ ゆうちょ銀行のキャッシュレス決済サービスの不正利用等に関する各種対応について
2020年9月に公表した、ゆうちょ銀行の即時振替サービスにおける不正利用、mijica(Visaデビット・プリペイドカード)を使用した不正送金等に係る対応として、即時振替サービスについては、2020年9月初旬から中旬にかけて、一部の決済事業者について、即時振替サービスの提供を停止しました。また、不正利用等による被害のお申し出に対しては、決済事業者と連携して調査を実施のうえ、補償対象となったお客さまについては速やかに補償手続きを行っております。
mijicaについては、2020年9月中旬に送金機能の取扱いを、同年10月初旬にはmijicaの専用Webサイト及び新規申し込みを停止しました。また、mijica会員間の不正送金の被害に遭われたお客さまへの補償手続きは完了しております。
さらに、ゆうちょ銀行代表執行役社長が直接指揮するセキュリティ総点検タスクフォースを設置し、ゆうちょ銀行が提供する即時振替サービス、ゆうちょPay、mijica等のキャッシュレス決済サービスに関してセキュリティの堅牢性やお客さまのご利用状況のモニタリング等態勢の総点検を行い、その結果を踏まえたセキュリティ強化策等を着実に実行しました。
また、今回の事案を受けて行われた、ゆうちょ銀行監査委員会による「即時振替サービス等の不正利用事案に係るガバナンス検証」の結果等を踏まえ、ゆうちょ銀行において、総合的な苦情・相談態勢の強化及びセキュリティ検証態勢の強化に向けた態勢整備を行いました。
即時振替サービスについては、決済事業者における態勢整備(全国銀行協会ガイドライン及び日本資金決済業協会ガイドラインに基づいた顧客保護態勢等)が確認できた事業者から、順次サービスを再開しております。
mijicaについては、新たなブランドデビットカードへ移行し、新ブランドデビットカード発行後は、mijicaのサービスは終了する方針等を2021年1月に公表いたしました。
ゆうちょ銀行は、キャッシュレス決済サービスを経営戦略上の重要施策と考えており、今般の経験と反省を踏まえ、お客さまにより安全・安心にサービスをご利用いただけるよう、一層のセキュリティ強化に取り組むとともに、リスク感度の向上とお客さま本位の業務運営に更に努めてまいります。
当社においては、ゆうちょ銀行のセキュリティ総点検結果、セキュリティ強化策を踏まえつつ、グループのガバナンスの更なる強化に向け、今回の事案及びこれに関連するゆうちょ銀行のガバナンスの現状と課題等について、JP改革実行委員会に検証を依頼し、2021年1月29日に改善に向けた提言をいただきました。
今後は、この提言を踏まえ、グループのガバナンスの更なる強化に努めてまいります。
なお、当社は本件事案に関して、2020年10月1日にゆうちょ銀行のガバナンスの確実な実施について報告の要請を総務省から受けたため、2020年11月9日に報告書を提出いたしました。
(5) 主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、著しい変動があった主要な設備の計画は次のとおりであります。
2020年12月31日現在
(注) 1.上記の金額には消費税及び地方消費税を含んでおりません。
2.投資予定額については、当第3四半期連結会計期間末に計画されている投資予定額の総額から既支払額を差し引いた金額を記載しております。
3.郵便局施設・設備の改修及び貨物船の建造については、新型コロナウイルス感染症の影響によるスケジュールの遅延により、完了予定年月を変更しております。
4.ゆうちょ総合情報システムについては、追加開発に係る投資予定額の確定等により、投資予定額、完了予定年月を変更しております。
5.蔵前不動産開発については、2020年3月末時点において未定であった投資予定額が確定したため記載しております。
6.五反田不動産開発については、着工予定が2020年10月から2021年度に変更となったことから、着手年月を変更しております。着手年月は、着工予定年度を記載しております。
(1) 財政状態の状況及び分析・検討
当第3四半期連結会計期間末の資産、負債及び純資産の状況は以下のとおりであります。
資産の部合計は、前連結会計年度末比11,140,614百万円増の297,239,064百万円となりました。
主な要因は、現金預け金10,038,004百万円の増、銀行業等における金銭の信託2,115,522百万円増の一方、銀行業及び生命保険業における貸出金635,257百万円の減、銀行業及び生命保険業等における繰延税金資産384,612百万円の減によるものです。
負債の部合計は、前連結会計年度末比7,693,519百万円増の281,175,194百万円となりました。
主な要因は、銀行業における貯金6,625,982百万円の増、銀行業等における借用金3,657,177百万円の増の一方、生命保険業における責任準備金2,187,897百万円の減、銀行業及び生命保険業における債券貸借取引受入担保金1,098,614百万円の減によるものです。
純資産の部合計は、前連結会計年度末比3,447,094百万円増の16,063,869百万円となりました。
主な要因は、銀行業等におけるその他有価証券評価差額金2,538,294百万円の増、非支配株主持分561,434百万円の増、銀行業及び生命保険業等における利益剰余金288,917百万円の増によるものです。
(2) 経営成績の状況及び分析・検討
当第3四半期連結累計期間のわが国の経済情勢を顧みますと、新型コロナウイルス感染症の影響によって、企業収益が大幅に減少しており、依然として厳しい状況にありますが、個人消費に一部足踏みする動きがあるものの、輸出・生産等も含め総じて持ち直してきていることから、景気の先行きについても持ち直しの動きが期待される状況となっています。ただし、新型コロナウイルス感染症の再拡大によって社会経済活動が下振するリスクにも十分注意する必要がある状況でもあります。
また、世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響により、厳しい状況が続いているものの、米国やアジアでは持ち直しの動きが見られます。一方、ユーロ圏では新型コロナウイルス感染症の再拡大により、経済活動が抑制されており、景気は弱い動きとなっています。
我が国の金融資本市場では、日本銀行が大規模かつ矢継ぎ早に流動性供給と信用支援を進めた結果、10年国債利回りは0%近傍で推移しました。米国においては、2020年9月15日~16日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の誘導目標水準を0.00%から0.25%に据え置くことを決定したほか、10年国債利回りについては景気刺激策への期待再燃などにより、2020年12月に0.9%まで上昇しました。
日経平均株価は、2020年4月当初に17,800円台を記録したものの、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大がもたらす景気低迷への警戒が和らいだことや経済対策への期待感により上昇してきました。2020年10月は、米国での追加経済対策への期待を背景に、一時的に23,700円台まで上昇したものの、新型コロナウイルス感染症の拡大が収まらなかったことから、月末には23,000円台を割り込みました。その後、新型コロナウイルス感染症に対するワクチンの有効性が示されたことを受けて、経済活動の停滞に歯止めをかける期待感が高まったことから、2020年11月は株価が大幅に反発し、一時的に26,800円台まで上昇し、月末は26,400円台まで上昇となりました。2020年12月になると、海外で新型コロナウイルスのワクチン接種が始まったことや、米国の経済対策の成立、英国の欧州連合離脱交渉がまとまったことも追い風となり、世界的な株高基調に乗ったことから一時27,600円台を記録し、月末には27,400円台となり1990年以来の高い水準となりました。
このように、当社グループを取り巻く経済情勢は、新型コロナウイルス感染症の影響から持ち直す動きが見られるものの、新型コロナウイルス感染症が再拡大している等、全体としては引き続き先行き不透明かつ厳しい環境が継続しております。
このような事業環境にあって、当第3四半期連結累計期間における連結経常収益は8,700,507百万円(前年同期比354,050百万円減)、連結経常利益は708,807百万円(前年同期比19,927百万円増)、連結経常利益に、特別損益、契約者配当準備金繰入額、法人税等及び非支配株主に帰属する四半期純利益を加減した親会社株主に帰属する四半期純利益は、390,013百万円(前年同期比31,992百万円減)となりました。
当社グループは、昨年度発覚したかんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題など金融商品販売に係る不祥事や、今年度発覚したゆうちょ銀行が提供する各種サービスの不正利用被害の発生を受け、お客さまからの信頼回復にグループ一丸となって取り組んでいるところであります。
その一方で、当社グループはこの厳しい事業環境において、国内人口の減少やデジタル化の進展の他、ポストコロナにおける社会・経済の大きな変化に対応し成長していくために、新たな成長戦略を推進することが重要と考えており、当社においては、グループ横断的な新規事業等に関する企画立案・調整等を担う「新規ビジネス室」及びグループ横断的なDX施策の推進に関する企画立案・ 調整等を担う「DX推進室」を、社長直属のプロジェクトとして2020年10月1日に立ち上げましたが、加えて成長に向けたビジョンを描いていくことが喫緊の重要課題であると捉えております。
当社グループではまずはお客さまの信頼回復を第一に取り組み、そのうえで新たな成長を図るべく、2021年度からの新しい中期経営計画の検討に取り組んでおり、その基本的な考え方を2020年11月13日に公表いたしました。
なお、2020年12月4日に、普通扱いとする郵便物の配達頻度の変更(週6日以上とされている郵便物の配達頻度を週5日以上に変更)、送達日数の変更(原則3日以内とされている郵便物の送達速度を原則4日以内に変更)等を内容とする改正郵便法が公布されました。この改正郵便法の施行日は、公布日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日とされております。日本郵便としては、お客さまに丁寧な周知を行ったうえでサービスの見直しを実施し、週末・深夜労働に依存した労働環境の改善を図って働き方改革を推進するとともに、増加する荷物に対応するため、郵便から荷物分野への経営資源のシフトを進めてまいります。
各事業セグメント別の業績は、以下のとおりであります。
① 郵便・物流事業
当第3四半期連結累計期間の郵便・物流事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を主因として、巣ごもり消費増加等に伴うEC需要の拡大が続き、ゆうパック等の荷物が増加したものの、普通郵便、国際郵便、年賀葉書の減少もあり、収益は、減少しました。費用は、コストコントロールの取組等により引き続き減少しました。結果、経常収益は1,555,562百万円(前年同期比48,081百万円減)、経常利益は88,233百万円(前年同期比32,231百万円減)となりました。なお、日本郵便の当第3四半期連結累計期間における郵便・物流事業の営業収益は1,553,305百万円(前年同期比48,363百万円減)、営業利益は86,798百万円(前年同期比32,523百万円減)となりました。
(参考)引受郵便物等の状況
区分 | 前第3四半期累計期間 | 当第3四半期累計期間 | |||
物数(千通・千個) | 対前年同期比(%) | 物数(千通・千個) | 対前年同期比(%) | ||
総数 | 14,575,538 | △0.7 | 13,592,984 | △6.7 | |
郵便物 | 11,205,921 | △0.5 | 10,330,643 | △7.8 | |
内国 | 11,174,888 | △0.5 | 10,313,866 | △7.7 | |
普通 | 10,794,407 | △0.6 | 9,934,274 | △8.0 | |
第一種 | 6,153,376 | 0.3 | 5,892,250 | △4.2 | |
第二種 | 4,427,490 | △2.6 | 3,887,755 | △12.2 | |
第三種 | 145,369 | △3.0 | 135,236 | △7.0 | |
第四種 | 11,822 | △4.5 | 12,773 | 8.0 | |
選挙 | 56,350 | 487.1 | 6,260 | △88.9 | |
特殊 | 380,480 | 2.5 | 379,591 | △0.2 | |
国際(差立) | 31,034 | △1.7 | 16,777 | △45.9 | |
通常 | 19,152 | 6.1 | 9,725 | △49.2 | |
小包 | 2,185 | △21.3 | 1,738 | △20.4 | |
国際スピード郵便 | 9,696 | △9.8 | 5,314 | △45.2 | |
荷物 | 3,369,617 | △1.3 | 3,262,342 | △3.2 | |
ゆうパック | 731,308 | 0.6 | 846,244 | 15.7 | |
(再掲)ゆうパケット | 312,870 | 18.7 | 387,561 | 23.9 | |
ゆうメール | 2,638,309 | △1.8 | 2,416,098 | △8.4 |
(注) 1.第一種郵便物、第二種郵便物、第三種郵便物及び第四種郵便物の概要/特徴は、以下のとおりであります。
種類 | 概要/特徴 |
第一種郵便物 | お客さまがよく利用される「手紙」(封書)のことであります。一定の重量及び大きさの定形郵便物とそれ以外の定形外郵便物に分かれます。また、郵便書簡(ミニレター)、特定封筒(レターパックライト)及び小型特定封筒(スマートレター)も含んでおります。 |
第二種郵便物 | お客さまがよく利用される「はがき」のことであります。通常はがき及び往復はがきの2種類があります。年賀郵便物の取扱期間(12/15~1/7)以外に差し出された年賀はがきを含んでおります。 |
第三種郵便物 | 新聞、雑誌など年4回以上定期的に発行する刊行物で、日本郵便の承認を受けたものを内容とするものであります。 |
第四種郵便物 | 公共の福祉の増進を目的として、郵便料金を低料又は無料としているものであります。通信教育用郵便物、点字郵便物、特定録音物等郵便物、植物種子等郵便物、学術刊行物郵便物があります。 |
2.年賀郵便物(年賀特別郵便(取扱期間12/15~12/28)及び12/29~1/7に差し出された年賀はがきで消印を省略したもの)は除いております。
3.選挙は、公職選挙法に基づき、公職の候補者又は候補者届出政党から選挙運動のために差し出された通常はがきの物数であります。別掲で示しております。
4.特殊は、速達、書留、特定記録、本人限定受取等の特殊取扱(オプションサービス)を行った郵便物の物数の合計であります。交付記録郵便物用特定封筒(レターパックプラス)及び電子郵便(レタックス、Webゆうびん、e内容証明)を含んでおります。
5.国際通常郵便物は、2019年4月以降の集計方法を変更しております。なお、対前年同期比の算定にあたり、過去の通数との整合性を確保するため、過年度分については組替えを行っておりません。
6.ゆうパックは、一般貨物法制の規制を受けて行っている宅配便の愛称であります。配送中は、追跡システムにより管理をしております。
7.ゆうパケットは、一般貨物法制の規制を受けて行っている宅配便の愛称であります。小型の荷物をお届けするもので、ゆうパックより安値でポスト投函も可能な商品であります。配送中は、追跡システムにより管理をしております。
8.ゆうメールは、一般貨物法制の規制を受けて行っている1kgまでの荷物の愛称であります。主に冊子とした印刷物やCD・DVDなどをお届けするもので、ゆうパックより安値でポスト投函も可能な商品であります。
② 金融窓口事業
当第3四半期連結累計期間の金融窓口事業におきましては、日本郵便とかんぽ生命保険が引き続き検討を行っておりました保険手数料について、2021年3月期においては維持・集金手数料の単価の見直しを行い、その影響を反映(4月分からの差額を12月に一括で計上)したものの、かんぽ生命保険商品の積極的な提案を控えていることにより、累計では大幅に減少しました。また、物販事業や提携金融事業の減収も続き、結果、経常収益は955,515百万円(前年同期比50,116百万円減)、経常利益は41,883百万円(前年同期比10,232百万円減)となりました。なお、日本郵便の当第3四半期連結累計期間における金融窓口事業の営業収益は954,590百万円(前年同期比50,193百万円減)、営業利益は41,603百万円(前年同期比10,177百万円減)となりました。
(参考)郵便局数
支社名 | 営業中の郵便局(局) | |||||||
前事業年度末 | 当第3四半期会計期間末 | |||||||
直営の郵便局 | 簡易 郵便局 | 計 | 直営の郵便局 | 簡易 郵便局 | 計 | |||
郵便局 | 分室 | 郵便局 | 分室 | |||||
北海道 | 1,208 | 1 | 268 | 1,477 | 1,207 | 1 | 264 | 1,472 |
東北 | 1,892 | 1 | 603 | 2,496 | 1,893 | 1 | 594 | 2,488 |
関東 | 2,394 | 0 | 171 | 2,565 | 2,395 | 0 | 162 | 2,557 |
東京 | 1,473 | 0 | 5 | 1,478 | 1,470 | 0 | 6 | 1,476 |
南関東 | 953 | 0 | 71 | 1,024 | 953 | 0 | 71 | 1,024 |
信越 | 974 | 0 | 318 | 1,292 | 976 | 0 | 314 | 1,290 |
北陸 | 668 | 0 | 167 | 835 | 668 | 0 | 162 | 830 |
東海 | 2,050 | 1 | 309 | 2,360 | 2,047 | 1 | 305 | 2,353 |
近畿 | 3,094 | 6 | 326 | 3,426 | 3,092 | 6 | 321 | 3,419 |
中国 | 1,751 | 2 | 450 | 2,203 | 1,752 | 2 | 447 | 2,201 |
四国 | 930 | 0 | 211 | 1,141 | 930 | 0 | 208 | 1,138 |
九州 | 2,501 | 0 | 895 | 3,396 | 2,498 | 0 | 889 | 3,387 |
沖縄 | 175 | 0 | 21 | 196 | 175 | 0 | 21 | 196 |
全国計 | 20,063 | 11 | 3,815 | 23,889 | 20,056 | 11 | 3,764 | 23,831 |
③ 国際物流事業
当第3四半期連結累計期間の国際物流事業におきましては、収益については、引き続きロジスティクス事業アジア部門における新型コロナウイルス感染症予防対策物資の大口取扱継続を主因として増加しました。費用については前年同期より増加しましたが、エクスプレス事業におけるコスト削減等に取組んだことにより費用の増加が収益の増加を下回りました。この結果、営業損益の赤字幅が減少し、経常収益は564,268百万円(前年同期比77,571百万円増)、経常損失は8,339百万円(前年同期は15,605百万円の経常損失)となりました。なお、日本郵便の当第3四半期連結累計期間における国際物流事業の営業収益は564,164百万円(前年同期比77,700百万円増)、営業損失は776百万円(前年同期は5,913百万円の営業損失)となりました。
なお、トール社は当第3四半期連結会計期間の末日現在において引き続き債務超過の状態にありますが、安定的な業務運営のため、日本郵便による債務保証も実施し必要な資金を確保しております。
また、トール社の取締役会は2020年11月5日、赤字が継続している同社のエクスプレス事業の売却を検討する旨を決定し、同日、当社においてもこれを開示しております。
④ 銀行業
当第3四半期連結累計期間の銀行業におきましては、金利が低位で推移するなど厳しい経営環境下において、有価証券利息が減少し、資金利益が減少したほか、投資信託関連手数料の減少を主因に役務取引等利益が減少したものの、外貨調達コストの低下もありその他業務利益が増加したことにより、業務粗利益が増加しました。経常収益は1,313,684百万円(前年同期比44,789百万円減)、経常利益は313,882百万円(前年同期比24,627百万円増)となりました。
(参考)銀行業を行う当社の子会社であるゆうちょ銀行(単体)の状況
(a) 損益の概要
当第3四半期累計期間の業務粗利益は、前年同期比253億円増加の1兆414億円となりました。このうち、資金利益は、低金利環境の継続など厳しい経営環境下、有価証券利息が減少し、前年同期比493億円の減少となりました。役務取引等利益は、前年同期比5億円の減少となりました。その他業務利益は、外貨調達コストの低下もあり、前年同期比752億円の増加となりました。
経費は、前年同期比107億円減少の7,584億円となりました。
業務純益は、前年同期比360億円増加の2,829億円となりました。
経常利益は、前年同期比243億円増加の3,135億円となりました。
この結果、四半期純利益は、2,257億円、前年同期比160億円の増益となりました。
前第3四半期累計期間 (百万円)(A) | 当第3四半期累計期間 (百万円)(B) | 増減(百万円) (B)-(A) | |
業務粗利益 | 1,016,133 | 1,041,456 | 25,323 |
資金利益 | 752,685 | 703,291 | △49,393 |
役務取引等利益 | 98,315 | 97,758 | △556 |
その他業務利益 | 165,132 | 240,406 | 75,273 |
うち外国為替売買損益 | 158,930 | 226,198 | 67,267 |
うち国債等債券損益 | 7,025 | 14,386 | 7,360 |
経費(除く臨時処理分) | △769,212 | △758,476 | 10,736 |
人件費 | △91,688 | △89,051 | 2,637 |
物件費 | △637,479 | △627,766 | 9,713 |
税金 | △40,044 | △41,658 | △1,614 |
業務純益(一般貸倒引当金繰入前) | 246,920 | 282,980 | 36,060 |
一般貸倒引当金繰入額 | - | - | - |
業務純益 | 246,920 | 282,980 | 36,060 |
臨時損益 | 42,298 | 30,540 | △11,758 |
うち株式等関係損益 | 11,114 | △13,229 | △24,343 |
うち金銭の信託運用損益 | 32,300 | 43,179 | 10,878 |
経常利益 | 289,218 | 313,520 | 24,301 |
特別損益 | △184 | △390 | △206 |
固定資産処分損益 | △184 | △390 | △206 |
減損損失 | △0 | - | 0 |
税引前四半期純利益 | 289,034 | 313,130 | 24,095 |
法人税、住民税及び事業税 | △79,743 | △97,923 | △18,179 |
法人税等調整額 | 486 | 10,590 | 10,103 |
法人税等合計 | △79,256 | △87,333 | △8,076 |
四半期純利益 | 209,777 | 225,797 | 16,019 |
(注) 1.業務純益=業務粗利益-経費(除く臨時処理分)-一般貸倒引当金繰入額
2.臨時損益とは、損益計算書中「その他経常収益・費用」から一般貸倒引当金繰入額を除き、金銭の信託運用見合費用及び退職給付費用のうち臨時費用処理分等を加えたものであります。
3.「金銭の信託運用見合費用」とは、金銭の信託取得に係る資金調達費用であり、金銭の信託運用損益が臨時損益に計上されているため、業務費用から控除しているものであります。
4.国債等債券損益=国債等債券売却益+国債等債券償還益-国債等債券売却損-国債等債券償還損-国債等債券償却
5.株式等関係損益=株式等売却益-株式等売却損-株式等償却
6.金額が損失又は費用には△を付しております。
(b) 国内・国際別の資金利益等
国内業務部門・国際業務部門別の資金利益等は次のとおりとなりました。
当第3四半期累計期間は、国内業務部門においては、資金利益は3,685億円、役務取引等利益は976億円、その他業務利益は△56億円となりました。
国際業務部門においては、資金利益は3,347億円、役務取引等利益は0億円、その他業務利益は2,460億円となりました。
この結果、国内業務部門、国際業務部門の相殺消去後の合計は、資金利益は7,032億円、役務取引等利益は977億円、その他業務利益は2,404億円となりました。
イ.国内業務部門
前第3四半期累計期間 (百万円)(A) | 当第3四半期累計期間 (百万円)(B) | 増減(百万円) (B)-(A) | |
資金利益 | 449,688 | 368,521 | △81,166 |
資金運用収益 | 509,751 | 417,713 | △92,037 |
うち国債利息 | 331,985 | 282,653 | △49,331 |
資金調達費用 | 60,062 | 49,191 | △10,870 |
役務取引等利益 | 98,023 | 97,671 | △351 |
役務取引等収益 | 122,046 | 119,588 | △2,458 |
役務取引等費用 | 24,023 | 21,917 | △2,106 |
その他業務利益 | 3,205 | △5,634 | △8,839 |
その他業務収益 | 3,843 | 2,073 | △1,769 |
その他業務費用 | 638 | 7,708 | 7,069 |
(注) 「国内業務部門」は円建取引であります。
ロ.国際業務部門
前第3四半期累計期間 (百万円)(A) | 当第3四半期累計期間 (百万円)(B) | 増減(百万円) (B)-(A) | |
資金利益 | 302,996 | 334,769 | 31,773 |
資金運用収益 | 600,283 | 534,116 | △66,167 |
うち外国証券利息 | 598,804 | 533,715 | △65,089 |
資金調達費用 | 297,287 | 199,347 | △97,940 |
役務取引等利益 | 291 | 87 | △204 |
役務取引等収益 | 466 | 347 | △118 |
役務取引等費用 | 174 | 260 | 85 |
その他業務利益 | 161,927 | 246,040 | 84,113 |
その他業務収益 | 162,185 | 248,569 | 86,383 |
その他業務費用 | 258 | 2,529 | 2,270 |
(注) 「国際業務部門」は外貨建取引であります。ただし、円建の対非居住者取引については、「国際業務部門」に含めております。
ハ.合計
前第3四半期累計期間 (百万円)(A) | 当第3四半期累計期間 (百万円)(B) | 増減(百万円) (B)-(A) | |
資金利益 | 752,685 | 703,291 | △49,393 |
資金運用収益 | 1,009,790 | 880,665 | △129,125 |
資金調達費用 | 257,105 | 177,373 | △79,731 |
役務取引等利益 | 98,315 | 97,758 | △556 |
役務取引等収益 | 122,513 | 119,936 | △2,576 |
役務取引等費用 | 24,197 | 22,177 | △2,020 |
その他業務利益 | 165,132 | 240,406 | 75,273 |
その他業務収益 | 166,029 | 250,317 | 84,288 |
その他業務費用 | 896 | 9,911 | 9,014 |
(注) 1.資金調達費用は、金銭の信託運用見合費用(前第3四半期累計期間5,316百万円、当第3四半期累計期間4,635百万円)を控除しております。
2.「国内業務部門」「国際業務部門」間の内部取引による相殺消去額等は下表のとおりであります。
前第3四半期累計期間 (百万円) | 当第3四半期累計期間 (百万円) | |
国内業務部門・資金運用収益 | 100,244 | 71,165 |
国際業務部門・資金調達費用 | 100,244 | 71,165 |
国内業務部門・その他業務収益 | - | 325 |
国際業務部門・その他業務費用 | - | 325 |
(c) 役務取引等利益の状況
当第3四半期累計期間の役務取引等利益は、投資信託関連手数料の減少を主因に、前年同期比5億円減少の977億円となりました。
前第3四半期累計期間 (百万円)(A) | 当第3四半期累計期間 (百万円)(B) | 増減(百万円) (B)-(A) | |
役務取引等利益 | 98,315 | 97,758 | △556 |
為替・決済関連手数料 | 60,956 | 63,589 | 2,633 |
ATM関連手数料 | 13,818 | 15,298 | 1,480 |
投資信託関連手数料 | 16,938 | 11,194 | △5,744 |
その他 | 6,602 | 7,676 | 1,074 |
(参考) 投資信託の取扱状況(約定ベース)
前第3四半期累計期間 (百万円)(A) | 当第3四半期累計期間 (百万円)(B) | 増減(百万円) (B)-(A) | |
販売金額 | 562,632 | 212,042 | △350,589 |
純資産残高 | 2,592,550 | 2,501,088 | △91,461 |
(d) 預金残高の状況
当第3四半期会計期間末の貯金残高は、前事業年度末比6兆7,482億円増加の189兆7,530億円となりました。
○ 預金の種類別残高(末残・構成比)
種類 | 前事業年度 | 当第3四半期会計期間 | 増減 | ||
金額(百万円) (A) | 構成比(%) | 金額(百万円) (B) | 構成比(%) | 金額(百万円) (B)-(A) | |
預金合計 | 183,004,733 | 100.00 | 189,753,018 | 100.00 | 6,748,285 |
流動性預金 | 87,567,568 | 47.84 | 99,543,855 | 52.45 | 11,976,286 |
振替貯金 | 7,712,325 | 4.21 | 8,822,479 | 4.64 | 1,110,153 |
通常貯金等 | 79,346,271 | 43.35 | 90,131,448 | 47.49 | 10,785,177 |
貯蓄貯金 | 508,971 | 0.27 | 589,927 | 0.31 | 80,955 |
定期性預金 | 95,298,907 | 52.07 | 90,025,916 | 47.44 | △5,272,991 |
定期貯金 | 5,225,651 | 2.85 | 4,805,349 | 2.53 | △420,301 |
定額貯金 | 90,073,256 | 49.21 | 85,220,566 | 44.91 | △4,852,689 |
その他の預金 | 138,256 | 0.07 | 183,246 | 0.09 | 44,989 |
譲渡性預金 | - | - | - | - | - |
総合計 | 183,004,733 | 100.00 | 189,753,018 | 100.00 | 6,748,285 |
(注) 1.「通常貯金等」=通常貯金+特別貯金(通常郵便貯金相当)
2.貯金は銀行法施行規則の負債科目「預金」に相当するものであります。「振替貯金」は「当座預金」、「通常貯金」は「普通預金」、「貯蓄貯金」は「貯蓄預金」、「定期貯金」は「定期預金」に相当するものであります。「定額貯金」は「その他の預金」に相当するものでありますが、「定期性預金」に含めております。
3.特別貯金(通常郵便貯金相当)は独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構(以下「郵政管理・支援機構」といいます。)からの預り金のうち、郵政管理・支援機構が日本郵政公社(以下「公社」といいます。)から承継した定期郵便貯金、定額郵便貯金、積立郵便貯金、住宅積立郵便貯金、教育積立郵便貯金に相当する郵便貯金で満期となったものなどであります。
(e) 資産運用の状況(末残・構成比)
当第3四半期会計期間末の運用資産のうち、国債は50.2兆円、その他の証券は70.0兆円となりました。
種類 | 前事業年度 | 当第3四半期会計期間 | 増減 | ||
金額(百万円) (A) | 構成比(%) | 金額(百万円) (B) | 構成比(%) | 金額(百万円) (B)-(A) | |
預け金等 | 51,485,414 | 24.80 | 61,923,101 | 28.04 | 10,437,687 |
コールローン | 1,040,000 | 0.50 | 930,000 | 0.42 | △110,000 |
買現先勘定 | 9,731,897 | 4.68 | 9,672,153 | 4.38 | △59,744 |
債券貸借取引支払保証金 | 112,491 | 0.05 | 810,220 | 0.36 | 697,728 |
金銭の信託 | 4,549,736 | 2.19 | 5,874,558 | 2.66 | 1,324,822 |
うち国内株式 | 1,859,682 | 0.89 | 2,351,890 | 1.06 | 492,207 |
うち国内債券 | 1,419,008 | 0.68 | 2,061,508 | 0.93 | 642,499 |
有価証券 | 135,198,460 | 65.14 | 136,688,900 | 61.91 | 1,490,440 |
国債 | 53,636,113 | 25.84 | 50,285,685 | 22.77 | △3,350,427 |
地方債 | 5,986,349 | 2.88 | 5,479,191 | 2.48 | △507,158 |
短期社債 | 806,975 | 0.38 | 1,734,005 | 0.78 | 927,030 |
社債 | 9,108,252 | 4.38 | 9,097,719 | 4.12 | △10,532 |
株式 | 3,255 | 0.00 | 3,255 | 0.00 | - |
その他の証券 | 65,657,514 | 31.63 | 70,089,042 | 31.74 | 4,431,528 |
うち外国債券 | 23,706,870 | 11.42 | 22,410,472 | 10.15 | △1,296,397 |
うち投資信託 | 41,901,017 | 20.19 | 47,611,279 | 21.56 | 5,710,262 |
貸出金 | 4,961,733 | 2.39 | 4,672,711 | 2.11 | △289,022 |
その他 | 439,879 | 0.21 | 203,089 | 0.09 | △236,789 |
合計 | 207,519,613 | 100.00 | 220,774,735 | 100.00 | 13,255,122 |
(注) 「預け金等」は譲渡性預け金、日銀預け金、買入金銭債権であります。
(f) 業種別貸出金残高の状況(末残・構成比)
業種別 | 前事業年度 | 当第3四半期会計期間 | 増減 | ||
金額(百万円) (A) | 構成比(%) | 金額(百万円) (B) | 構成比(%) | 金額(百万円) (B)-(A) | |
国内(除く特別国際金融取引勘定分) | 4,942,412 | 100.00 | 4,647,139 | 100.00 | △295,272 |
農業、林業、漁業、鉱業 | - | - | - | - | - |
製造業 | 43,524 | 0.88 | 73,370 | 1.57 | 29,846 |
電気・ガス等、情報通信業、運輸業 | 108,064 | 2.18 | 133,967 | 2.88 | 25,903 |
卸売業、小売業 | 31,155 | 0.63 | 34,318 | 0.73 | 3,163 |
金融・保険業 | 773,676 | 15.65 | 752,112 | 16.18 | △21,564 |
建設業、不動産業 | 12,983 | 0.26 | 31,733 | 0.68 | 18,749 |
各種サービス業、物品賃貸業 | 48,437 | 0.98 | 82,110 | 1.76 | 33,672 |
国、地方公共団体 | 3,782,410 | 76.52 | 3,449,276 | 74.22 | △333,133 |
その他 | 142,159 | 2.87 | 90,250 | 1.94 | △51,909 |
国際及び特別国際金融取引勘定分 | 19,321 | 100.00 | 25,571 | 100.00 | 6,250 |
政府等 | - | - | - | - | - |
その他 | 19,321 | 100.00 | 25,571 | 100.00 | 6,250 |
合計 | 4,961,733 | ― | 4,672,711 | ― | △289,022 |
(注) 1.「国内」とは本邦居住者に対する貸出、「国際」とは非居住者に対する貸出であります。
2.ゆうちょ銀行は、海外店及び海外子会社を有しておりません。
3.「金融・保険業」のうち郵政管理・支援機構向け貸出金は、前事業年度末439,734百万円、当第3四半期会計期間末390,032百万円であります。
(g) 金融再生法開示債権(末残)
前事業年度 (億円、%) | 当第3四半期会計期間 (億円、%) | ||
破産更生債権及びこれらに準ずる債権 | - | - | |
危険債権 | 0 | - | |
要管理債権 | - | - | |
合計(A) | 0 | - | |
正常債権 | 51,116 | 47,971 | |
総計(B) | 51,116 | 47,971 | |
不良債権比率(A)/(B) | 0.00 | - |
⑤ 生命保険業
当第3四半期連結累計期間の生命保険業におきましては、保有契約の減少及び積極的なかんぽ生命保険商品の募集自粛に伴う新契約の減少による保険料等収入の減少等により、経常収益は5,127,335百万円(前年同期比334,216百万円減)となりました。また、新契約の減少に伴う事業費の減少等により基礎利益(生命保険会社の基礎的な期間損益の状況を表す指標)が増加したことに加え、金融派生商品費用の減少等によりキャピタル損益が改善したこと等から、経常利益は260,892百万円(前年同期比26,915百万円増)となりました。
(参考1)生命保険業を行う当社の子会社であるかんぽ生命保険の保険引受の状況
(個人保険及び個人年金保険は、かんぽ生命保険が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約を含みません。)
(a) 保有契約高明細表
区分 | 前事業年度末 | 当第3四半期会計期間末 | ||
件数(千件) | 金額(百万円) | 件数(千件) | 金額(百万円) | |
個人保険 | 17,163 | 49,915,586 | 16,185 | 46,840,943 |
個人年金保険 | 1,164 | 1,930,642 | 1,041 | 1,651,069 |
(注) 個人年金保険の金額は、年金支払開始前契約の年金支払開始時における年金原資と年金支払開始後契約の責
任準備金額を合計したものであります。
(b) 新契約高明細表
区分 | 前第3四半期累計期間 | 当第3四半期累計期間 | ||
件数(千件) | 金額(百万円) | 件数(千件) | 金額(百万円) | |
個人保険 | 634 | 1,859,437 | 89 | 281,038 |
個人年金保険 | 0 | 3,527 | 0 | 121 |
(注) 個人年金保険の金額は、年金支払開始時における年金原資であります。
(c) 保有契約年換算保険料明細表
(単位:百万円) | |||
区分 | 前事業年度末 | 当第3四半期会計期間末 | |
個人保険 | 3,144,610 | 2,908,149 | |
個人年金保険 | 412,062 | 368,664 | |
合計 | 3,556,673 | 3,276,814 | |
うち医療保障・ 生前給付保障等 | 393,881 | 370,891 |
(注) 1.年換算保険料とは、1回あたりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年あたりの保険料に換算した金額であります(一時払契約等は、保険料を保険期間等で除した金額)。
2.医療保障・生前給付保障等には、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)、保険料払込免除給付(障がいを事由とするものは除きます。特定疾病罹患、介護等を事由とするものを含みます。)等に該当する部分の年換算保険料を計上しております。
(d) 新契約年換算保険料明細表
(単位:百万円) | |||
区分 | 前第3四半期累計期間 | 当第3四半期累計期間 | |
個人保険 | 143,867 | 22,340 | |
個人年金保険 | 314 | 10 | |
合計 | 144,182 | 22,351 | |
うち医療保障・ 生前給付保障等 | 22,016 | 1,045 |
(注) 1.年換算保険料とは、1回あたりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年あたりの保険料に換算した金額であります(一時払契約等は、保険料を保険期間等で除した金額)。
2.医療保障・生前給付保障等には、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)、保険料払込免除給付(障がいを事由とするものは除きます。特定疾病罹患、介護等を事由とするものを含みます。)等に該当する部分の年換算保険料を計上しております。
(参考2)かんぽ生命保険が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約の状況
(a) 保有契約高
区分 | 前事業年度末 | 当第3四半期会計期間末 | ||
件数 (千件) | 保険金額・年金額 (百万円) | 件数 (千件) | 保険金額・年金額 (百万円) | |
保険 | 9,908 | 26,143,225 | 9,192 | 24,264,769 |
年金保険 | 1,540 | 524,117 | 1,449 | 487,823 |
(注) 計数は、郵政管理・支援機構における公表基準によるものであります。
(b) 保有契約年換算保険料
(単位:百万円) | |||
区分 | 前事業年度末 | 当第3四半期会計期間末 | |
保険 | 1,174,082 | 1,087,446 | |
年金保険 | 511,933 | 479,192 | |
合計 | 1,686,015 | 1,566,639 | |
うち医療保障・ 生前給付保障等 | 321,656 | 308,840 |
(注) かんぽ生命保険が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約について、(参考1)(c)に記載しております個人保険及び個人年金保険の保有契約年換算保険料と同様の計算方法により、かんぽ生命保険が算出した金額であります。
⑥ その他
当第3四半期連結累計期間における上記各報告セグメントの事業のほか、病院事業については、地域医療機関との連携や救急患者の受入の強化等による増収対策、業務の効率化等による経費削減等、個々の病院の状況を踏まえた経営改善を進めているところですが、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた患者数の減少等により、営業収益9,883百万円(前年同期比715百万円減)、営業損失は2,869百万円(前年同期は2,580百万円の営業損失)となりました。今後も引き続き上記増収対策や経費削減等、個々の病院の状況を踏まえた経営改善に取り組みます。
宿泊事業については、営業推進態勢の強化やサービス水準向上による魅力ある宿づくりを継続的に進めるとともに、費用管理による経費削減等の経営改善に取り組んでいるところですが、一部施設の営業終了、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う緊急事態宣言を受けた一部施設の一時休館、3密回避を図った宿泊者数の上限設定による利用者数の減少等の理由により、営業収益は5,297百万円(前年同期比10,649百万円減)、営業損失は8,189百万円(前年同期は3,746百万円の営業損失)となりました。今後も、ウィズコロナの生活様式に適した安心・安全の施設であることをアピールしつつ、政府・自治体によるGo To トラベル等キャンペーンの再開を見据えたWebセールスの充実等による増収施策、原価管理の徹底等の生産性向上施策を着実に実施することにより、経営改善に取り組みます。
不動産事業については、当社の子会社である日本郵政不動産株式会社において、不動産投資を行うとともに、「ホテル メルパルク」の賃貸・管理事業を行いました。今般の新型コロナウイルス感染症の拡大の影響によるテナント賃料の減免及び支払猶予が一部発生しており、開発中の案件における竣工時期の遅延等も想定されますので、今後のマーケットへの影響、動向を引き続き注視し、必要な対策を適時適切に実施しつつ、不動産事業を慎重に進めてまいります。
投資事業については、日本郵政グループの新事業の種を探すため、ネットワーク、ブランド力等を活用して成長が期待できる企業への出資を行い、出資先企業と当社グループとの連携を進めました。今後も、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大の影響など、投資先の事業環境の変化による投資先の価値や将来の成長性を見極めながら、出資等に取り組みます。
(3) かんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題について
当第3四半期連結累計期間開始日以降、本第3四半期報告書提出日までの間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「かんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題について」につきまして、重要な進捗等があった事項は以下のとおりです。
前連結会計年度において発生したかんぽ生命保険及び日本郵便の募集品質に係る諸問題について、業務改善計画に掲げたご契約調査及びお客さまの不利益解消に向けた契約復元等の対応、募集品質の改善に向けた取組みは、概ね計画どおりに進捗しております。
募集人資格に係る処分、募集人及び管理者等に対する人事上の処分、日本郵便及びかんぽ生命保険の本社・支社・エリア本部等の責任者の人事処分については、順次、実施しております。
かんぽ生命保険商品の販売については、2019年7月以降、2020年1月から3月までの業務停止命令期間を含め、郵便局及びかんぽ生命保険支店におけるかんぽ生命保険商品の積極的な営業活動を控えておりましたが、JP改革実行委員会より、当社、日本郵便及びかんぽ生命保険にて設定した営業再開条件について概ね充足したとの評価を受けるとともに、信頼回復に向けた業務運営の趣旨が、社員へ共有・徹底されていること等が確認できたことから、2020年10月5日以降、ただちにかんぽ生命保険商品の積極的な営業活動をするのではなく、当面はお客さまへのお詫びを第一とした信頼回復に向けた業務運営を行っております。また、かんぽ生命保険支店においては、2021年2月10日以降、支店の法人のお客さまの保険ニーズが高まる3月に向け、これまでかんぽ生命保険からご訪問等をさせていただいたことのある法人のお客さまや、説明のご要望等をいただいた法人のお客さまに対し、募集品質を最優先としながら、これまでの活動に加えて、かんぽ生命保険からの保険商品やサービスのご案内・ご提案も行っております。なお、これまでご訪問等をさせていただいたことのない新規の法人のお客さまへのご訪問・ご案内は引き続き控えさせていただいております。今後も、2020年度は営業目標の設定は行わずに、お客さまからの信頼回復に向けた活動に最優先で取り組んでまいります。 また、信頼回復に向けた業務運営の開始に当たっては、募集状況の可視化(録音・保管)、郵便局の管理者による事前・事後チェックの強化、かんぽ生命保険コールセンター等によるお客さまへの重層的な意向確認の実施といった改善策を講じることにより、募集管理態勢の強化を図ってまいりました。引き続き、これらの取組みにかかる効果検証や必要な見直しを行うとともに、真にお客さま本位の営業活動を実践するための募集人研修を継続実施することにより、不適正募集を再演しない態勢を確立してまいります。
さらに、かんぽ生命保険においては、2021年4月にお客さま本位の保障の見直しの制度として、既契約を解約することなく新たな内容の契約に移行できる契約転換制度の導入を予定しております。また、低金利環境の継続による主力商品の魅力低下を踏まえ、お客さまニーズが高く、市場が拡大している保障性商品の商品ラインナップの拡充について継続的に検討を行っており、定期保険・特別養老保険の保険期間延長等に関する見直しに向けた準備を進めていくとともに、日本郵便においても、引き続き、管理者やコンサルタント等に対する研修を実施することにより、募集品質の向上、お客さま本位の意識の徹底等を図ってまいります。
今後とも、業務改善計画に掲げる各種施策については、定期的に外部のモニタリングを受けながら着実に進捗管理を実施し、当社グループの全役職員が一丸となって推進してまいります。
(4) 対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「対処すべき課題」につきまして、以下の追加すべき事項が生じております。
① 当社グループの「お客さまの信頼回復に向けた約束」について
2019年度に発覚したかんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題など金融商品販売に係る不祥事等により、当社グループはお客さまからの信頼を大きく失うこととなりました。お客さまから失った信頼を取り戻し、再びお客さまに安心して当社グループの商品・サービスをご利用していただけるようになるためには、同様の事案を発生させないための再発防止策を徹底することはもとより、当社グループが真にお客さま本位の企業グループに生まれ変わることが必要と考えております。
その決意を幅広く公表するために、外部専門家で構成されるJP改革実行委員会の助言も受けながら、「お客さまの信頼回復に向けた約束」を策定いたしました。
今後、当社グループで働く一人ひとりの社員がこの約束を実践していくことで、お客さまからの信頼が回復できるよう、グループ一丸となって取り組んでまいります。
お客さまの信頼回復に向けた約束
「目指す姿の約束」
一人ひとりのお客さまに寄り添い、お客さまの満足と安心に最優先で取り組み、信頼していただける会社になることを約束します。
「活動の約束」
〇 お客さま本位の事業運営を徹底し、お客さまにご満足いただける丁寧な対応を行います。
〇 お客さまの声をサービス向上に反映するため、お客さまの声に誠実に耳を傾けます。
〇 社員の専門性を高め、お客さまにご納得いただけるよう正確にわかりやすく説明します。
〇 法令・ルールを遵守し、お客さまが安心してご利用いただける高品質のサービスを提供します。
〇 お客さまのニーズを踏まえ、お客さまに喜んでいただける商品・サービスを提供します。
② かんぽ生命保険商品と投資信託の横断的な販売への対応について
日本郵便において、かんぽ生命保険商品と投資信託を同一のお客さまに販売した際に、お客さま本位でない営業が行われた可能性のある苦情が複数発生している状況を把握しました。
これは、かんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題を契機に、お客さま本位の業務運営ができているかリスク感度を上げて確認するため、2020年4月よりグループ会社各社が連携して複数の商品にまたがるお客さまの苦情を分析したことにより発覚したものです。当社グループでは本事案の発覚を受けて、以下の取組みを実施しております。
(a) 苦情をお申し出のお客さまへの対応
苦情をお申し出されたお客さまのうち、ご連絡の取れているお客さまには改めてご意向確認を行い、再度取引内容の精査を実施し、一部お客さまの取引について法令等違反の認定をいたしました。また、一部お客さまから契約無効等のご要望を頂いており、順次必要な対応を実施しております。
なお、ご連絡が取れていないお客さまについては、ご連絡が取れ次第、順次同様の対応を行ってまいります。
(b) 特にお客さま本位でない懸念のある取引への対応
お客さまからお申し出のあった苦情のうち、かんぽ生命保険商品を解約し、その返戻金をもとに分配型投資信託を購入し、その分配金を新たに加入したかんぽ生命保険商品の保険料の支払いに充てていた事例については、お客さま本位とは言えない取引の可能性があるため、苦情の有無にかかわらず、過去5年に遡って、外形上同様の取引が行われたお客さま全員について、ご意向確認を実施しております。
ご意向確認の結果、詳細確認が必要なお客さまについては、ご訪問などにより事実関係等の確認を実施しております。また、詳細確認を行う中で、お客さまから契約無効等のご要望を頂いた場合は、ご意向をよく確認のうえ真摯に対応してまいります。
なお、ご連絡が取れていないお客さまについては、引き続き対応してまいります。
(c) (a)、(b)に関連する社員への対応
(a)、(b)に関連する社員については、営業活動を順次停止し、調査を実施しております。調査の結果、法令違反等に該当すると判断された場合には、法令等に従い厳正に対処してまいります。
(d) その他のお客さまへの対応
かんぽ生命保険商品と投資信託の同一のお客さまに対する販売において、一定期間内に両方の取引をいただいているお客さまについても、ご意向確認を実施しております。
(e) 改善に向けた取組み
お客さま本位でない営業を防止するため、社内ルールの整備(「投資信託の分配金が一定期間定額であり、かんぽ生命保険商品の保険料を賄える等の勧誘話法の禁止」、「不適切な商品間の乗換え防止の観点で、投資信託購入時の原資及び分配金の使用使途について確認」)、金融商品間の横断的な取引についてデータモニタリングによる取引内容の精査等の取組みを実施しました。
③ ゆうちょ銀行のキャッシュレス決済サービスの不正利用等に関する各種対応について
2020年9月に公表した、ゆうちょ銀行の即時振替サービスにおける不正利用、mijica(Visaデビット・プリペイドカード)を使用した不正送金等に係る対応として、即時振替サービスについては、2020年9月初旬から中旬にかけて、一部の決済事業者について、即時振替サービスの提供を停止しました。また、不正利用等による被害のお申し出に対しては、決済事業者と連携して調査を実施のうえ、補償対象となったお客さまについては速やかに補償手続きを行っております。
mijicaについては、2020年9月中旬に送金機能の取扱いを、同年10月初旬にはmijicaの専用Webサイト及び新規申し込みを停止しました。また、mijica会員間の不正送金の被害に遭われたお客さまへの補償手続きは完了しております。
さらに、ゆうちょ銀行代表執行役社長が直接指揮するセキュリティ総点検タスクフォースを設置し、ゆうちょ銀行が提供する即時振替サービス、ゆうちょPay、mijica等のキャッシュレス決済サービスに関してセキュリティの堅牢性やお客さまのご利用状況のモニタリング等態勢の総点検を行い、その結果を踏まえたセキュリティ強化策等を着実に実行しました。
また、今回の事案を受けて行われた、ゆうちょ銀行監査委員会による「即時振替サービス等の不正利用事案に係るガバナンス検証」の結果等を踏まえ、ゆうちょ銀行において、総合的な苦情・相談態勢の強化及びセキュリティ検証態勢の強化に向けた態勢整備を行いました。
即時振替サービスについては、決済事業者における態勢整備(全国銀行協会ガイドライン及び日本資金決済業協会ガイドラインに基づいた顧客保護態勢等)が確認できた事業者から、順次サービスを再開しております。
mijicaについては、新たなブランドデビットカードへ移行し、新ブランドデビットカード発行後は、mijicaのサービスは終了する方針等を2021年1月に公表いたしました。
ゆうちょ銀行は、キャッシュレス決済サービスを経営戦略上の重要施策と考えており、今般の経験と反省を踏まえ、お客さまにより安全・安心にサービスをご利用いただけるよう、一層のセキュリティ強化に取り組むとともに、リスク感度の向上とお客さま本位の業務運営に更に努めてまいります。
当社においては、ゆうちょ銀行のセキュリティ総点検結果、セキュリティ強化策を踏まえつつ、グループのガバナンスの更なる強化に向け、今回の事案及びこれに関連するゆうちょ銀行のガバナンスの現状と課題等について、JP改革実行委員会に検証を依頼し、2021年1月29日に改善に向けた提言をいただきました。
今後は、この提言を踏まえ、グループのガバナンスの更なる強化に努めてまいります。
なお、当社は本件事案に関して、2020年10月1日にゆうちょ銀行のガバナンスの確実な実施について報告の要請を総務省から受けたため、2020年11月9日に報告書を提出いたしました。
(5) 主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、著しい変動があった主要な設備の計画は次のとおりであります。
2020年12月31日現在
セグメント の名称 | 設備の内容 | 投資予定額 (百万円) | 資金調達方法 | 着手及び完了予定年月 | |
着手 | 完了 | ||||
郵便・物流事業 | 郵便局施設・設備の改修 (注3) | 18,051 | 自己資金 | 2014年4月 | 2021年度 |
金融窓口事業 | 郵便局施設・設備の改修 (注3) | 4,896 | 自己資金 | 2014年4月 | 2021年度 |
国際物流 事業 | 貨物船の建造 (注3) | 百万豪ドル 7 | 借入金 | 2016年7月 | 2021年度 |
銀行業 | ゆうちょ総合情報システム(2023年度) (注4) | 68,596 | 自己資金 | 2020年3月 | 2024年度 |
その他 | 蔵前不動産開発(オフィス、高齢者施設、賃貸住宅、物流施設等) (注5) | 25,097 | 自己資金 | 2020年9月 | 2022年度 |
五反田不動産開発(オフィス、ホテル、ホール他) (注6) | 未定 | 自己資金 | 2021年度 | 2023年度 |
(注) 1.上記の金額には消費税及び地方消費税を含んでおりません。
2.投資予定額については、当第3四半期連結会計期間末に計画されている投資予定額の総額から既支払額を差し引いた金額を記載しております。
3.郵便局施設・設備の改修及び貨物船の建造については、新型コロナウイルス感染症の影響によるスケジュールの遅延により、完了予定年月を変更しております。
4.ゆうちょ総合情報システムについては、追加開発に係る投資予定額の確定等により、投資予定額、完了予定年月を変更しております。
5.蔵前不動産開発については、2020年3月末時点において未定であった投資予定額が確定したため記載しております。
6.五反田不動産開発については、着工予定が2020年10月から2021年度に変更となったことから、着手年月を変更しております。着手年月は、着工予定年度を記載しております。