有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/03/22 15:00
【資料】
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【項目】
89項目
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。
(1) 経営成績の状況
第12期事業年度(自 2017年11月1日 至 2018年10月31日)
当事業年度におけるわが国経済は、企業収益の改善を背景とした設備投資の増加や、個人消費の持ち直しが続くなど、景気は緩やかな回復基調となっておりますが、人手不足の深刻化、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動など、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
また、インターネットテクノロジーが急速に進化している現代社会において、インターネットテクノロジーはますます複雑化しており、これを逆手にとって悪用する犯罪や安心・安全な生活を脅かす脅威はますます大きくなっております。警察庁の発表によると、「オレオレ詐欺」「架空請求詐欺」「還付金詐欺」等に代表される特殊詐欺の被害額は、2017年において約390億円にも上っており、今後ますます深刻化する高齢化社会において、その被害件数の拡大が懸念されております。
このような経営環境のもと、当社は、スマートフォンを初めとするデジタルデバイスの普及により近年社会問題となっている特殊詐欺に有効な、迷惑電話を判定するための様々な情報を統合するデータベースについて研究開発を行い、迷惑電話を自動的に判定するスマートフォンアプリの提供を含む「迷惑情報フィルタ事業」の拡大に注力し、主に通信事業者やメーカー、自治体等との提携によるBtoBtoCの販路により、安定的な顧客基盤を構築しております。
以上の結果、当事業年度における売上高は842,458千円(前期比42.3%増)、営業利益は228,941千円(前期比19.5%増)、経常利益は222,748千円(前期比15.9%増)、当期純利益は147,942千円(前期比35.2%増)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
(迷惑情報フィルタ事業)
当セグメントにおきましては、主力サービスである「トビラフォンモバイル」及び「トビラフォンBiz」へ重点的に投資を行い、知名度の向上、販路拡大に注力してまいりました。また、「固定電話向けフィルタサービス」において新たなパートナーを獲得したことにより同サービスの提供基盤が拡大いたしました。
その結果、当事業年度における迷惑情報フィルタ事業の売上高は762,682千円(前期比66.1%増)となり、セグメント利益は423,085千円(前期比33.9%増)となりました。
(その他事業)
ホームページの制作運営支援システム「HP4U」や受託開発事業等を「その他事業」に含めており、当事業年度におけるその他事業の売上高は79,776千円(前期比39.9%減)となり、セグメント利益は42,425千円(前期比22.8%減)となりました。
第13期第1四半期累計期間(自 2018年11月1日 至 2019年1月31日)
当第1四半期累計期間におけるわが国経済は、各種政策を背景に企業収入や雇用環境の改善が続き、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。一方、海外経済においては、米中間の通商問題や金融資本市場変動の影響等に留意する必要があり、先行きは依然として不透明な状況で推移いたしました。
このような経営環境のもと、当社は、引き続き、社会問題の一つである特殊詐欺に有効な製品・サービスとして、データベースを用いた独自の迷惑電話番号抽出技術により生成された迷惑電話番号リストにより、利用者にとって未知の迷惑電話番号であっても自動的に着信拒否設定がなされる迷惑情報フィルタ事業の拡大に注力し、主に通信事業者やメーカー、自治体等との提携によるBtoBtoCの販路により、安定的な顧客基盤を構築してまいりました。
以上の結果、当第1四半期累計期間における売上高は214,831千円、営業利益は103,037千円、経常利益は102,930千円、四半期純利益は67,050千円となりました。
セグメント別の業績は、以下のとおりであります。
(迷惑情報フィルタ事業)
迷惑情報フィルタ事業におきましては、主力サービスであるモバイル向けフィルタサービス、固定電話向けフィルタサービス及びビジネスフォン向けフィルタサービスにおいて安定したサービス提供を行うため、サービスインフラの強化を実施いたしました。さらに、新機能の開発や新サービスのための研究開発活動も積極的に行い、サービス基盤の強化・拡大に注力してまいりました。また、モバイル向けフィルタサービスにおいては、ソフトバンク株式会社(Y!mobile)と新たなサービスの契約を締結し、第2四半期において同サービスの提供開始によりさらなる収益基盤の拡大を見込んでおります。
その結果、当第1四半期累計期間における迷惑情報フィルタ事業の売上高は193,836千円となり、セグメント利益は144,114千円となりました。
(その他事業)
ホームページの制作運営支援システム「HP4U」や受託開発事業等を「その他事業」に含めており、当第1四半期累計期間におけるその他事業の売上高は20,994千円となり、セグメント利益は12,298千円となりました。
(2) 財政状態の状況
第12期事業年度(自 2017年11月1日 至 2018年10月31日)
(資産)
当事業年度末における総資産は469,150千円となり、前事業年度末に比べ55,340千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が29,809千円増加したこと、棚卸資産が8,905千円増加したこと及び無形固定資産が18,704千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は198,285千円となり、前事業年度末に比べ95,801千円減少いたしました。これは主に、未払金が9,371千円増加したこと及び前受金が29,420千円増加したことに対し、長期借入金(一年内返済予定を含む)が113,192千円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は270,864千円となり、前事業年度末に比べ151,142千円増加いたしました。これは当期純利益を147,942千円計上したこと及び無担保転換社債型新株予約権付社債の新株予約権の権利行使により資本金及び資本準備金が3,200千円増加したことによるものであります。
なお、自己資本比率は57.7%(前事業年度末は28.9%)となりました。
第13期第1四半期累計期間(自 2018年11月1日 至 2019年1月31日)
(資産)
当第1四半期会計期間末における総資産は546,737千円となり、前事業年度末に比べ77,586千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が48,201千円増加したこと、売上債権が10,205千円増加したこと、仕掛品が5,294千円増加したこと及び無形固定資産が9,669千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当第1四半期会計期間末における負債は208,821千円となり、前事業年度末に比べ10,535千円増加いたしました。これは主に、前受金が30,987千円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当第1四半期会計期間末における純資産は337,915千円となり、前事業年度末に比べ67,050千円増加いたしました。これは四半期純利益を67,050千円計上したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
第12期事業年度(自 2017年11月1日 至 2018年10月31日)
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べて29,809千円増加し、226,249千円となりました。各キャッシュ・フローの主な状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動の結果、前事業年度末に比べ215,264千円資金が増加いたしました。これは主に、法人税等の支払額が72,278千円、たな卸資産の増加が8,905千円及び仕入債務の減少が3,607千円あったものの、税引前当期純利益を205,508千円、減価償却費を33,727千円及び自己新株予約権消却損を16,800千円計上したこと、未払金の増加が12,552千円、前受金の増加が29,420千円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動の結果、前事業年度末に比べ52,121千円資金が減少いたしました。これは主に、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動の結果、前事業年度末に比べ133,982千円資金が減少いたしました。これは主に、長期借入金113,192千円の返済及び自己新株予約権16,800千円の取得等による支出であります。
(4) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。
② 受注実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。
③ 販売実績
第12期事業年度及び第13期第1四半期累計期間における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第12期事業年度
(自 2017年11月1日
至 2018年10月31日)
第13期第1四半期累計期間
(自 2018年11月1日
至 2019年1月31日)
販売高(千円)前期比(%)販売高(千円)
迷惑情報フィルタ事業762,682166.1193,836
その他事業79,77660.120,994
合計842,458142.3214,831

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先第11期事業年度
(自 2016年11月1日
至 2017年10月31日)
第12期事業年度
(自 2017年11月1日
至 2018年10月31日)
第13期第1四半期累計期間
(自 2018年11月1日
至 2019年1月31日)
販売高
(千円)
割合
(%)
販売高
(千円)
割合
(%)
販売高
(千円)
割合
(%)
ソフトバンク株式会社349,26559.0377,07644.8101,50747.3
株式会社NTTドコモ134,16615.936,25016.9
KDDI株式会社118,34914.024,72211.5

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.株式会社NTTドコモとKDDI株式会社は、第11期事業年度において総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。
(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりまして、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績や現状等を勘案し合理的に見積り、計上しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
② 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の運転資金需要のうち主なものは、人件費、通信費等の費用であります。投資を目的とした資金需要はサーバ等インフラ設備、機器や本社移転に伴う敷金の差入等によるものであります。
運転資金は自己資金を基本としており、投資資金は自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。なお、当事業年度末における借入金残高は50,908千円となっております。また、当事業年度末の現金及び現金同等物は226,249千円であり、流動性を確保しております。
③ 経営者の問題認識と今後の方針について
「第2 事業の状況 1(経営方針、経営環境及び対処すべき課題等)」をご参照ください。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2(事業等のリスク)」をご参照ください。
⑤ 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
第12期事業年度(自 2017年11月1日 至 2018年10月31日)
当事業年度の経営成績については、主力事業である迷惑情報フィルタ事業のモバイル向けフィルタサービスについて、大手通信キャリアとの新たな契約の締結ができたことや、固定電話向けフィルタサービスにおいても大手通信事業者との新たな契約が締結できたこと等から、迷惑情報フィルタ事業における月間利用者数は前事業年度対比で2倍以上に増加したことにより、売上高は842,458千円(前期比42.3%増)、営業利益は228,941千円(前期比19.5%増)、経常利益は222,748千円(前期比15.9%増)、当期純利益は147,942千円(前期比35.2%増)となりました。
一方で、「第2 事業の状況 1(経営方針、経営環境及び対処すべき課題等)」に記載のとおり、当社の迷惑情報フィルタ事業は、通信キャリアのオプション契約に組み込まれるサービス運営を中心とするビジネスモデルに依存している状況にあり、新規・周辺ビジネスの立ち上げが課題であると認識しております。
このため、中長期的な経営戦略において、当事業年度は新規事業への挑戦を行う時期と位置づけ、積極的な研究開発の実施及び当社製品の認知度向上を目的としたマーケティング活動を推進しました。具体的には、ビジネスフォン向けフィルタサービスの拡大に注力するため、2017年6月より販売開始した「トビラフォンBiz 光回線用」の認知度向上を図った広告宣伝や、ビジネスフォン向けフィルタサービスの次期製品開発に向けた研究開発の実施を行ってまいりました。これにより、ビジネスフォン向けフィルタサービスは、販売パートナーを通じた販売モデルを行う方針としておりますが、積極的な広告宣伝の効果により、当事業年度において一定程度の販売パートナーの新規開拓ができました。
今後は、迷惑情報フィルタ事業における更なる月間利用者数の増加に向けた通信キャリアや通信回線事業者への支援活動や、固定電話向けフィルタサービスにおける新たなアライアンスパートナー開拓に向けた提案活動、現状は一部の通信キャリアのみに提供している新機能「迷惑メールフィルタ」の他の通信キャリアへの展開に向けた提案活動、また、ビジネスフォン向けフィルタサービスの更なる拡販に向けた営業活動を実施することで、収益の獲得手段を拡充し、一層の収益力の強化を図ってまいります。
第13期第1四半期累計期間(自 2018年11月1日 至 2019年1月31日)
当第1四半期累計期間の経営成績については、安定したサービス提供を行うため、サービスインフラの強化を中心に、新機能の開発や新サービスのための研究開発活動も積極的に行い、サービス基盤の強化・拡大に注力してまいりました。その結果、迷惑情報フィルタ事業における月間利用者数は前事業年度末から21.1%増加し、特にモバイル向けフィルタサービスの利用者数は好調に推移しております。これにより、売上高は214,831千円、営業利益は103,037千円、経常利益は102,930千円、四半期純利益は67,050千円となりました。
一方で、引き続き、新規・周辺ビジネスの立ち上げが課題であると認識しており、当期においては、迷惑情報フィルタ事業における更なる月間利用者数の増加に向けた通信キャリアや通信回線事業者への支援活動や、固定電話向けフィルタサービスにおける新たなアライアンスパートナー開拓に向けた提案活動、現状は一部の通信キャリアのみに提供している新機能「迷惑メールフィルタ」の他の通信キャリアへの展開に向けた提案活動、また、ビジネスフォン向けフィルタサービスの次期製品開発を進め、収益の獲得手段を拡充し、一層の収益力の強化を図ってまいります。