有価証券届出書(新規公開時)

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2019/05/31 15:00
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80項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 業績等の概要
第13期事業年度(自 2017年6月1日 至 2018年5月31日)
当事業年度におけるわが国の経済は、企業業績及び雇用環境の改善が継続し、緩やかな回復基調で推移したものの、海外においては、米国の貿易政策等による不確実性の高まりにより、景気の先行きについては不透明な状況となっております。その一方で、当社の主要な事業領域であるインターネット広告市場は、利用者の増加や端末の普及に加え、企業等の活動におけるインターネットの利用増加により急速に拡大を続けてまいりました。
このような経済状況のもと、当社では、「『働く』を豊かにする。~B2B領域でイノベーションを起こし続ける~」をミッションに掲げ、情報流通の最適化と効果的な広告運用サービス等を提供してきました。データフィード構築のために当社がこれまでに蓄積した膨大な商品・案件等のデータとその変換・更新ノウハウをもとに、企業が持つ情報を最適な形に加工し、ターゲットユーザーに対して適切な情報を適切なタイミングで適切なデバイスに提供することを実現してまいりました。また、当社は各デジタルプラットフォーマーと良好なリレーションを構築しており、その関係を活かし当社の複数のサービスを連携させることで、企業の顧客開拓支援に止まらずユーザーとの継続的な関係強化に資する包括的な支援に努めてまいりました。営業面においては、人員数及び組織的な管理体制の両面で強化を行い、新規取引先の開拓等の事業展開に対する販売促進活動に注力してまいりました。
この結果、当事業年度の経営成績は、売上高562,148千円(前年同期比15.6%増)、営業損失25,628千円(前事業年度は営業損失28,824千円)、経常損失28,244千円(前事業年度は経常損失31,168千円)、当期純損失28,868千円(前事業年度は当期純損失32,027千円)となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
(プロフェッショナルサービス事業)
主としてエンタープライズを中心とした顧客に対して、個々のニーズに応じたデータフィードの構築サービス「DF PLUS」、プラットフォーム等への広告運用受託サービス「Feedmatic」、サテライトサイトを生成・自動運用するSEO支援サービス「Contents Feeder」を提供しております。
当事業年度の業績は、「Feedmatic」や「Contents Feeder」での解約の影響があったものの新規顧客の獲得や既存顧客での広告運用額増加等により、売上高400,944千円(前年同期比1.8%増)、セグメント利益138,849千円(前年同期比10.3%増)となりました。
(SaaS事業)
データフィードの作成、管理及び最適化を広告担当者自身で行うことができるデータフィード統合管理サービス「dfplus.io」、ECサイトの商品情報を元に自動で最適化した広告を出稿することができる広告配信サービス「EC Booster」、並びにSNS登録情報を利用したWebの会員登録・ログインやダイレクトメッセージ送信による顧客リーチのサポートサービス「ソーシャルPLUS」を提供しております。
当事業年度の業績は、「dfplus.io」及び「ソーシャルPLUS」において新規顧客の獲得が順調に推移し、2018年3月に「EC Booster」のサービス提供を開始したものの、「EC Booster」サービス提供開始までの研究開発費が増加したこと等により、売上高161,204千円(前年同期比74.4%増)、セグメント損失164,478千円(前事業年度はセグメント損失154,750千円)となりました。
第14期第3四半期累計期間(自 2018年6月1日 至 2019年2月28日)
当第3四半期累計期間におけるわが国の経済は、企業収益の改善、設備投資の持ち直し、雇用・所得環境の改善等により、緩やかな回復基調が続いております。
一方、世界経済においては、新興国経済の景気回復の兆しがみられたものの、米中・米欧の貿易摩擦激化によるリスクの高まりなど、景気の先行きは不透明な状況となっております。
このような経済状況のもと、当社では、プロフェッショナルサービス事業においては顧客対応の体制強化によりサービスの充実を図るとともに、SaaS事業においては新規機能の開発を積極的に行いユーザビリティ―の向上に取り組みました。営業面においては、人員数及び組織的な管理体制の両面で強化を行い、新規取引先の開拓等の事業展開に対する販売促進活動に注力してまいりました。
この結果、当第3四半期累計期間の経営成績は、売上高490,241千円、営業利益9,302千円、経常利益7,437千円、四半期純利益7,133千円となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
(プロフェッショナルサービス事業)
当第3四半期累計期間の業績は、「Contents Feeder」での解約が続いたものの、「Feedmatic」において2018年12月以降売上が拡大したこと等により、売上高282,970千円、セグメント利益66,200千円となりました。
(SaaS事業)
当第3四半期累計期間の業績は、開発及びサポートに係る人員の増強を行ったものの、各サービスにおいて新規受注が拡大したことにより、売上高207,270千円、セグメント損失56,897千円となりました。
② 財政状態の状況
第13期事業年度(自 2017年6月1日 至 2018年5月31日)
(資産)
当事業年度末における流動資産は320,451千円となり、前事業年度末に比べ73,693千円減少いたしました。これは主に現金及び預金が57,770千円減少したことによるものであります。固定資産は25,209千円となり、前事業年度末に比べ3,109千円減少いたしました。これは主に有形固定資産が2,411千円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は、345,660千円となり、前事業年度末に比べ76,803千円減少いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は192,068千円となり、前事業年度末に比べ13,227千円減少いたしました。これは主に買掛金が11,613千円減少したことによるものであります。固定負債は99,424千円となり、前事業年度末に比べ34,708千円減少いたしました。これは長期借入金が34,708千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は、291,492千円となり、前事業年度末に比べ47,935千円減少いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は54,168千円となり、前事業年度末に比べ28,868千円減少いたしました。これは当期純損失28,868千円計上による繰越利益剰余金の減少によるものです。
この結果、自己資本比率は15.7%(前事業年度末は19.7%)となりました。
第14期第3四半期累計期間(自 2018年6月1日 至 2019年2月28日)
(資産)
当第3四半期会計期間末における流動資産は391,246千円となり、前事業年度末に比べ70,794千円増加いたしました。これは主に売掛金が66,814千円増加したことによるものであります。固定資産は22,413千円となり、前事業年度末に比べ2,795千円減少いたしました。これは主に有形固定資産が2,041千円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は、413,659千円となり、前事業年度末に比べ67,999千円増加いたしました。
(負債)
当第3四半期会計期間末における流動負債は279,138千円となり、前事業年度末に比べ87,069千円増加いたしました。これは主に短期借入金が80,000千円増加したことによるものであります。固定負債は73,220千円となり、前事業年度末に比べ26,204千円減少いたしました。これは長期借入金が26,204千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は、352,358千円となり、前事業年度末に比べ60,865千円増加いたしました。
(純資産)
当第3四半期会計期間末における純資産合計は61,301千円となり、前事業年度末に比べ7,133千円増加いたしました。これは四半期純利益7,133千円計上したことによる利益剰余金の増加によるものです。
この結果、自己資本比率は14.8%(前事業年度末は15.7%)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
第13期事業年度(自 2017年6月1日 至 2018年5月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末と比較し57,770千円減少し、183,758千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは21,103千円の支出(前年同期は13,835千円の支出)となりました。これは、主に税引前当期純損失28,244千円の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは951千円の支出(前年同期は2,244千円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出951千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、35,716千円の支出(前年同期は156,424千円の収入)となりました。これは、長期借入金の返済による支出105,716千円及び長期借入れによる収入70,000千円があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごと及びサービスごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第13期事業年度
(自 2017年6月1日
至 2018年5月31日)
前年同期比(%)
プロフェッショナルサービス事業(千円)400,944101.8
DF PLUS(千円)177,787114.3
Feedmatic(千円)171,778128.1
その他(千円)51,37849.3
SaaS事業(千円)161,204174.4
dfplus.io(千円)23,6351,505.4
EC Booster(千円)590
ソーシャルPLUS(千円)136,978150.8
合計(千円)562,148115.6

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.「dfplus.io」については第12期事業年度(2016年12月)より販売を開始しております。
3.「EC Booster」については第13期事業年度(2018年3月)より販売を開始しておりますので、前年同期比は記載しておりません。
4.主な相手先別の売上実績及び当該売上実績の総売上実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先が存在しないため、記載を省略しております。
5.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第二部 企業情報 第5 経理の状況 1.財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度における経営成績は、売上高は全体として562,148千円(前年同期比15.6%増)と順調に拡大したものの、事業拡大に伴う人件費及び採用費並びに「EC Booster」の開発に係る費用を計上した結果、損益ベースでは営業損失25,628千円と前事業年度に続いて損失計上となっております。
プロフェッショナルサービス事業では、売上高は400,944千円(前年同期比1.8%増)となっており、当該事業に係るセグメント利益も138,849千円(前年同期比10.3%増)と順調な拡大を実現することができました。これは、「Feedmatic」や「Contents Feeder」での解約の影響があったものの新規顧客の獲得や既存顧客での広告運用額増加等があったことが大きな要因であると考えております。当事業については当社がデータフィード作成及び広告運用の各作業を受託するものであり労働集約的な事業となっていることから、取引先の拡大に加えてオペレーション効率化による利益率の向上を図ることで今後の成長を目指しております。
SaaS事業については、売上高は161,204千円(前年同期比74.4%増)となった一方で、セグメント利益は164,478千円の損失(前年同期は154,750千円の損失)と損失額が拡大しております。これは「ソーシャルPLUS」及び「dfplus.io」において販売件数の大幅な増加があった一方で、2018年3月にリリースした「EC Booster」の開発費用の計上が大きな要因であると考えております。当事業については、個々のサービスにおける開発費用や顧客開拓のマーケティング費用の負担がサービス提供開始前後で大きくなる一方で、継続利用を前提としており長期にわたる安定的な売上が期待できる構造となっていることから、新規顧客の獲得に注力するとともに新機能の追加、カスタマーサポートの充実やUI/UXの改善を行うことで利用単価の増額や解約を防止することにより今後の成長を目指しております。
これらを評価する客観的な指標として「当社サービスの利用案件数」を月次で把握しており、当該指標の推移は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりです。特にSaaS事業における各サービスでの利用案件数は、順調に増加しております。
なお、各セグメント及び各サービスにおける売上高及び損益の推移は、以下のとおりであり、特にSaaS事業において顧客基盤の拡大に伴い、損益面でも大幅に改善しております。
第12期事業年度
(自 2016年6月1日
至 2017年5月31日)
第13期事業年度
(自 2017年6月1日
至 2018年5月31日)
第14期事業年度
第1四半期会計期間
(自 2018年6月1日
至 2018年8月31日)
第14期事業年度
第2四半期会計期間
(自 2018年9月1日
至 2018年11月30日)
第14期事業年度
第3四半期会計期間
(自 2018年12月1日
至 2019年2月28日)
プロフェッショナル
サービス事業
売上高(千円)393,857400,94486,36995,105101,496
DF PLUS155,491177,78742,25642,64044,606
Feedmatic134,110171,77833,75142,55248,453
その他104,25651,37810,3629,9118,436
セグメント損益125,926138,84915,33220,52930,337
SaaS事業
売上高(千円)92,434161,20459,39269,20978,668
dfplus.io1,57023,63510,87314,82417,116
EC Booster-5902,6625,0457,921
ソーシャルPLUS90,864136,97845,85549,33953,631
セグメント損益△154,750△164,478△28,080△19,561△9,255
全社
売上高(千円)486,291562,148145,761164,314180,164
営業損益(千円)△28,824△25,628△12,74896821,082

(注)1.「dfplus.io」については、第12期事業年度(2016年12月)より販売を開始しております。
2.「EC Booster」については、第13期事業年度(2018年3月)より販売を開始しております。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、運転資金の確保は自己資金及び金融機関からの借入によることを基本としており、将来の収益拡大が見込める開発投資や新規事業投資のために必要な資金の確保は新株発行等も含めた多様な資金調達を検討していくこととしております。また、当事業年度の現金及び現金同等物の残高並びにキャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。