有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/08/21 15:01
【資料】
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【項目】
86項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
第13期事業年度(自 2017年7月1日 至 2018年6月30日)
(資産)
流動資産は1,876,692千円と前事業年度末比291,357千円増加しました。これは主に原材料及び貯蔵品162,020千円の増加、電子記録債権140,555千円の増加によるものであります。
固定資産は145,342千円と前事業年度末比6,437千円減少しました。これは主にソフトウェア8,993千円の減少によるものであります。
以上の結果、当事業年度末の総資産は2,022,035千円となり、前事業年度末比284,920千円増加しました。
(負債)
流動負債は1,072,807千円と前事業年度末比132,463千円増加しました。これは主に買掛金69,238千円の増加、短期借入金50,000千円の増加によるものであります。
固定負債は116,591千円と前事業年度末比37,396千円減少しました。これは長期借入金37,396千円の減少によるものであります。
以上の結果、当事業年度末の負債合計は1,189,398千円となり、前事業年度末比95,067千円増加しました。
(純資産)
純資産は832,636千円と前事業年度末比189,852千円増加しました。これは利益剰余金189,852千円の増加によるものであります。
第14期第3四半期累計期間(自 2018年7月1日 至 2019年3月31日)
(「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を第1四半期 会計期間の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前事業年度末の数値で比較を行っております。
(資産)
当第3四半期会計期間末における流動資産は2,846,942千円となり、前事業年度末と比べ1,014,851千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が584,891千円、売掛金が455,183千円増加したことによるものであります。
固定資産は198,482千円となり、前事業年度末と比べ8,538千円増加いたしました。これは主にソフトウェアが15,428千円増加したことによるものであります。
以上の結果、総資産は3,045,424千円となり、前事業年度末に比べ1,023,389千円増加いたしました。
(負債)
当第3四半期会計期間末における流動負債は1,797,178千円となり、前事業年度末と比べ724,370千円増加いたしました。これは主に短期借入金が350,000千円、前受金が238,081千円増加したことによるものであります。
固定負債は146,918千円となり、前事業年度末と比べ30,327千円増加いたしました。これは長期借入金が30,327千円増加したことによるものであります。
以上の結果、負債合計は1,944,096千円となり、前事業年度末に比べ754,697千円増加いたしました。
(純資産)
当第3四半期会計期間末における純資産合計は1,101,328千円となり、前事業年度末と比べ268,692千円増加いたしました。これは主に四半期純利益267,353千円によるものであります。
② 経営成績の状況
第13期事業年度(自 2017年7月1日 至 2018年6月30日)
当事業年度における我が国経済は、雇用環境・所得環境の改善傾向が続き、個人消費が堅調に推移した他、企業収益の改善を背景に設備投資が緩やかに増加するなど、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。そうした中、当社の属するコンピューティング業界は、米中日欧の国際的な技術開発競争が激しさを増す一方で、さまざまな分野においてユーザの戦略的IT活用の重要性が高まっており、AIやディープラーニング、IoTなどの市場が急速に拡大しています。我が国も、第四次産業革命や技術革新を取り入れ、「Society5.0」をいち早く実現することで中長期的な成長を図っていくこととしており、コンピューティング業界は、堅調に推移しております。
このような経営環境の下、当社は経営理念である「人とコンピューティングの力で世界平和に貢献する」のもと、科学技術計算用コンピュータ事業(HPC事業)及び産業用コンピュータ事業(CTO事業)の収益拡大に取り組んでおります。
科学技術計算用コンピュータを展開しているHPC事業は、従来の大学研究室や公的研究機関からの受注を確保しつつ、企業の研究部門に対する大規模・高精度な科学技術計算向け高性能計算機の拡販を強化し、継続的な受注に繋げております。また、人工知能(AI)やディープラーニング、ビッグデータ処理などの注目技術について、常に最新のHPC技術やサービスを追求しながら、研究者やエンジニアにとって最適な計算環境を提案することで、さまざまな分野の研究活動に貢献しております。
また、産業用コンピュータを展開しているCTO事業は、2017年12月開催の「国際画像機器展2017」等の展示会に積極的に出展するなど、新規顧客の獲得に注力してまいりました。IoT投資の拡大やそれにより取得した大規模データの解析などに対する組込計算機への投資ニーズは拡大しております。
以上の結果、当事業年度における売上高は、4,053,088千円(前年同期比3.9%増)、営業利益282,218千円(前年同期比15.6%増)、経常利益291,743千円(前年同期比14.8%増)、当期純利益189,852千円(前年同期比16.5%増)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(HPC事業)
HPC事業におきましては、ハードウェアからソフトウェア、システムインテグレーションサービス、受託計算サービス、運用サービス、自社開発ソフトウェア販売などHPC分野のワンストップサービスを積極的に展開しております。特に自動運転分野の設備投資需要からの受注獲得、マテリアルズ・インフォマティクス分野においては反応経路システムに関する入札の受注獲得等を進めましたが、前事業年度に計上した液浸サーバシステム販売に係る大口の販売による減少を吸収するにはいたりませんでした。
以上の結果、HPC事業の売上高は2,648,451千円(前年同期比3.3%減)、セグメント利益は138,841千円(前年同期比8.6%減)となりました。
(CTO事業)
CTO事業におきましては、パートナーとの連携強化、展示会への出展を通して認知度・信頼性の向上に努め、従前の既存顧客からの受注を確保しつつ、東京オリンピック・パラリンピックに関連するデジタルサイネージ分野や空港防犯システム等のセキュリティ分野の新規受注を獲得致しました。
以上の結果、CTO事業の売上高は1,404,637千円(前年同期比20.8%増)、セグメント利益は143,377千円(前年同期比55.3%増)となりました。
第14期第3四半期累計期間(自 2018年7月1日 至 2019年3月31日)
当第3四半期累計期間における我が国経済は、企業収益や雇用環境は改善傾向となり、設備投資の増加や個人消費にも持ち直しの動きがみられるなど緩やかな回復傾向となりました。そうした中、当社の属するコンピューティング業界では、クラウド、AIやディープラーニング、ビックデータ処理、IoTなどの技術革新の進展、東京オリンピック・パラリンピックに向けた設備投資などを背景に、高い市場成長が続いております。また、自動運転や材料探索などその適用範囲が広がるとともにユーザも拡がり、世界的に見ても高い成長と市場拡大が続いております。
このような環境において当社は、経営理念である「人とコンピューティングの力で世界平和に貢献する」のもと、科学技術計算用コンピュータ事業及び産業用コンピュータ事業の収益拡大に取り組んでおります。
科学技術計算用コンピュータを展開しているHPC事業は、従来の大学研究室や公的研究機関からの受注を確保しつつ、民間企業の研究所・R&Dセンターなどで実施されている大規模・高精度な科学技術計算向け高性能計算機の拡販を強化し、受注に繋げております。
産業用組込コンピュータを展開しているCTO事業は、半導体検査装置、医療装置、アミューズメント機器向け既存顧客の受注継続に努めるほか、画像処理、ディープラーニング、スマートファクトリーなどを戦略分野と定め、展示会への積極出展などを通じ新規顧客の獲得に注力しております。
以上の結果、当第3四半期累計期間における売上高は4,521,946千円、営業利益430,686千円、経常利益427,753千円、四半期純利益267,353千円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(HPC事業)
データセンター向け液浸サーバシステムの大口販売の他、積極的な設備投資を背景に民間企業向け科学技術計算用高性能計算機の販売が好調に推移しました。又、大学研究室など公的機関向け高性能計算機の販売についても堅調に推移しました。
以上の結果、HPC事業の売上高は3,272,826千円、セグメント利益は281,334千円となりました。
(CTO事業)
半導体検査装置、アミューズメント機器向けなどの既存顧客の受注が堅調に推移したほか、画像処理分野での新しいパートナーとの協業や戦略分野であるディープラーニング分野においてデータサイエンティスト向けワークステーションの大口販売などがあり好調に推移しました。
以上の結果、CTO事業の売上高は1,249,119千円、セグメント利益は149,351千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
第13期事業年度(自 2017年7月1日 至 2018年6月30日)
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ218,723千円減少し、575,674千円となりました。
当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、資金は190,575千円の減少(前事業年度は200,004千円の増加)となりました。これは主に税引前当期純利益が305,673千円となったものの、たな卸資産の増加279,490千円と売上債権の増加193,716千円及び法人税等の支払額121,476千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、資金は47,366千円の減少(前事業年度は41,792千円の減少)となりました。これは主に有形及び無形固定資産の取得による支出48,112千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、資金は19,085千円の増加(前事業年度は254,156千円の増加)となりました。これは主に短期借入金の返済による支出730,000千円があった一方、短期借入れによる収入780,000千円との差額によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
第13期事業年度及び第14期第3四半期累計期間の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第13期事業年度
(自 2017年7月1日
至 2018年6月30日)
第14期第3四半期累計期間
(自 2018年7月1日
至 2019年3月31日)
生産高(台)前年同期比(%)生産高(台)
CTO事業7,09822.35,785
合計7,09822.35,785

(注) 1.HPC事業については生産を行っておりませんので、該当事項はございません。
b.受注実績
第13期事業年度及び第14期第3四半期累計期間の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第13期事業年度
(自 2017年7月1日
至 2018年6月30日)
第14期第3四半期累計期間
(自 2018年7月1日
至 2019年3月31日)
受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)受注高(千円)
HPC事業2,841,947△11.13,160,878
CTO事業1,495,48434.41,241,844
合計4,337,4320.44,402,722

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.受注残高については、システムによる集計が困難のため、記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
C.販売実績
第13期事業年度及び第14期第3四半期累計期間の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第13期事業年度
(自 2017年7月1日
至 2018年6月30日)
第14期第3四半期累計期間
(自 2018年7月1日
至 2019年3月31日)
販売高(千円)前年同期比(%)販売高(千円)
HPC事業2,648,451△3.33,272,826
CTO事業1,404,63720.81,249,119
合計4,053,0883.94,521,946

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先第12期事業年度
(自 2016年7月1日
至 2017年6月30日)
第13期事業年度
(自 2017年7月1日
至 2018年6月30日)
第14期第3四半期累計期間
(自 2018年7月1日
至 2019年3月31日)
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
ヤフー株式会社439,35611.3

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者により会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等の「重要な会計方針」」に記載のとおりであります。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の経営成績等については、売上高は前事業年度の液浸サーバシステムの大口販売の反動があったものの、大学公官庁からの受注が堅調に推移した他、企業の設備投資も拡大していることで、科学技術計算用コンピュータと産業用コンピュータの販売が好調となり、前事業度と比べ152,295千円増加の4,053,088千円となりました。
営業利益は、人件費増加に伴う販売費及び一般管理費が増加(121,810千円)したものの、利益率の改善により37,987千円増加の282,218千円となりました。
経常利益は、為替差益の計上(12,924千円)等により37,508千円増加の291,743千円となりました。
当期純利益は、固定資産売却益の計上(13,930千円)により26,890千円増加の189,852千円となりました。
当社は売上高成長率と営業利益成長率を重要な経営指標としておりますが、当事業年度の売上高成長率につきましては、HPC事業においては、前事業年度に計上した液浸サーバシステム販売に係る大口の販売による減少を吸収するにはいたりませんでしたが、CTO事業においては新規顧客の獲得等により前事業年度に対し売上高を伸ばし、全社では前事業年度に対し3.9%の成長となりました。営業利益率につきましては、CTO事業におけるセグメント利益の改善により、HPC事業の同利益の減少を吸収したため前事業年度に対し15.6%の成長となりました。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、主に金融機関からの借入れによる資金調達を行うことを基本としております。当事業年度末における借入金の残高は719,319千円となっております。なお、資金調達の機動性と安定性を図るため、取引先金融機関4行と当座貸越契約を締結しております。当座貸越枠の合計は900,000千円であり、当事業年度において、本契約に基づく当座貸越残高は500,000千円となっております。