訂正有価証券報告書-第94期(2018/04/01-2019/03/31)

【提出】
2023/06/23 15:32
【資料】
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【項目】
174項目
1.経営成績等の状況の概要
(1) 経営成績
当連結会計年度における世界経済は、アジア地域では、中国において景気に減速傾向がみられたものの、タイ、
インドネシアにおいては緩やかな回復がみられました。米国では、着実な景気の回復が続きました。
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善傾向にあるなか、設備投資に増加の動きがみられた一方で、企業収益の改善や鉱工業生産の増加に減速傾向がみられました。
当社グループを取り巻く事業環境は、超硬製品やセメント関連の需要が堅調に推移したものの、銅価格の下落やエネルギーコストの上昇等の影響がありました。
このような状況のもと、当社グループは、10年後を見据えた長期経営方針及び成長戦略の立案・実行に重点を置いた中期経営戦略(2017-2019年度)に基づき、「成長への変革」をテーマに企業価値の向上に向けて、全社方針として掲げている「事業ポートフォリオの最適化」、「事業競争力の徹底追求」及び「新製品・新事業の創出」に向けた諸施策を引き続き推進してまいりました。
この結果、当連結会計年度は、連結売上高は1兆6,629億90百万円(前年度比4.0%増)となりましたが、金属事業における製錬コストの増加及び期末棚卸による棚卸減耗損の発生等の影響により、連結営業利益は368億61百万円(同49.4%減)、連結経常利益は506億79百万円(同36.3%減)となりました。また、当事業年度の業績及び今後の業績の見通し等を踏まえ、繰延税金資産の回収可能性について慎重に検討した結果、当社個別の繰延税金資産のうち、87億円を取り崩しました。これにより、親会社株主に帰属する当期純利益は12億98百万円(同96.2%減)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度より、報告セグメントの変更等を行っております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりです。なお、以下の前年度比較については、前年度の数値を変更後の区分に組み替えた数値で比較しております。
なお、前連結会計年度及び当連結会計年度の報告セグメントごとの営業利益は、有限責任 あずさ監査法人の監査を受けておりません。
(高機能製品)
(単位:億円)

前期当期増減(増減率)
売上高5,3605,709349(6.5%)
営業利益184119△64(△35.1%)
経常利益184132△52(△28.5%)

銅加工品は、MMCカッパープロダクツ社が期初から連結業績に寄与したことなどにより増収となったものの、原材料コストの増加等により、増収減益となりました。
電子材料は、ディスプレイ向け製品、スマートフォン用LSI向け製品及び光通信機器向け製品等の販売が減少したことから、減収減益となりました。
アルミ製品は、飲料用ボトル缶並びに圧延・加工品である自動車向け押出製品及び印刷版用板製品等の販売数量が減少したものの、アルミ地金の価格が上昇したことから売上高は増加しました。一方で、エネルギーコストが上昇しました。この結果、増収減益となりました。
以上により、前年度に比べて事業全体の売上高は増加したものの、営業利益は減少しました。経常利益は、営業利益が減少したことから、減少しました。
(加工事業)
(単位:億円)

前期当期増減(増減率)
売上高1,6111,715103(6.4%)
営業利益185167△17(△9.7%)
経常利益168156△11(△7.1%)

超硬製品は、国内、欧米、中国及び東南アジア等の市場における販売が堅調に推移したことから、増収増益となりました。
焼結製品等は、主要製品である焼結部品が国内及び北米で需要増加となり、増収となりましたが、品質検査及び出荷に係る費用の増加により損失が拡大しました。
以上により、前年度に比べて事業全体の売上高は増加したものの、営業利益は減少しました。経常利益は、営業利益が減少したことから、減少しました。
(金属事業)
(単位:億円)

前期当期増減(増減率)
売上高7,1537,20047(0.7%)
営業利益又は営業損失(△)127△71△199(-%)
経常利益25423△230(△90.9%)

銅地金は、インドネシア・カパー・スメルティング社及び直島製錬所において定期炉修を実施したことなどにより生産量が減少したほか、製錬コストの増加等により、減収減益となりました。
金及びその他の金属は、原料中の含有量の増加により金が増産となったものの、期末棚卸による棚卸減耗損の発生等により、増収減益となりました。
以上により、前年度に比べて事業全体の売上高は増加したものの、営業利益は減少しました。経常利益は、営業利益や受取配当金が減少したことから、減少しました。
(セメント事業)
(単位:億円)

前期当期増減(増減率)
売上高1,9231,98259(3.1%)
営業利益194134△59(△30.6%)
経常利益210154△55(△26.6%)

国内では、首都圏において東京五輪関連施設等の工事、北陸地区において北陸新幹線延伸工事がそれぞれ堅調に推移したものの、エネルギーコスト上昇等の影響により増収減益となりました。
米国では、生コンの販売価格が上昇したものの、燃料費等が上昇したことから、増収減益となりました。
以上により、前年度に比べて事業全体の売上高は増加したものの、営業利益は減少しました。経常利益は、営業利益が減少したことから、減少しました。
(その他の事業)
(単位:億円)

前期当期増減(増減率)
売上高2,4952,55762(2.5%)
営業利益131131△0(△0.1%)
経常利益8314663(76.3%)

エネルギー関連は、原子力関連の販売が減少したものの、石炭の販売価格が上昇したことに加えて、水力発電事業及び地熱発電所への蒸気供給事業が堅調に推移したことから、減収増益となりました。
環境リサイクルは、処理量が増加したものの、新規事業の立ち上げに伴うコストの発生により、増収減益となりました。
エネルギー関連及び環境リサイクル以外の事業は、合算で増収増益となりました。
以上により、前年度に比べてその他の事業全体の売上高は増加したものの、営業利益は減少しました。経常利益は、持分法による投資損失が減少した影響により、増加しました。
(2) キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益に加え、たな卸資産の減少などにより、1,401億円の収入(前期比894億円の収入増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資に係る支出等により、862億円の支出(前期比22億円の支出増加)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動や投資活動の結果、539億円の収入となり、この資金を社債の償還に充当したことなどにより、当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、476億円の支出(前期比365億円の支出増加)となりました。
以上に、換算差額等による増減を加えた結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、996億円(前期末比123億円の増加)となりました。
(3) 生産、受注及び販売の実績
「(1) 経営成績」において、各事業のセグメント情報に関連付けて記載しております。
2.経営者の視点による財政状態、経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループに関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日(2019年6月21日)現在において判断したものであります。
(1) 当連結会計年度の経営成績及び財政状態の分析
① 経営成績
当連結会計年度における経営成績の概況については、「1.経営成績等の状況の概要」に記載しております。
② 財政状態
当連結会計年度末の総資産残高は、前期末比 727億円(3.6%)減少し、1兆9,382億円となりました。流動資産は、たな卸資産の減少等により、前期末比 354億円(3.7%)減少の 9,096億円となりました。固定資産は、投資有価証券の減少等により、前期末比 373億円(3.5%)減少の 1兆286億円となりました。
負債残高は、前期末比 276億円(2.2%)減少し、1兆2,149億円となりました。流動負債は、社債及び借入金の減少等により、前期末比 489億円(6.3%)減少の 7,280億円となりました。固定負債は、借入金の増加等により、前期末比 213億円(4.6%)増加の 4,869億円となりました。なお、借入金に社債を加えた有利子負債残高については、前期末比 266億円(5.1%)減少の 4,947億円となりました。
純資産残高は、その他有価証券評価差額金の減少等により、前期末比 451億円(5.9%)減少の 7,233億円となりました。
この結果、連結ベースの自己資本比率は、前期末の33.9%から32.7%となり、期末発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は 5,211.20円から 4,838.31円に減少しました。
(2) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(3) 事業戦略と見通し
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(4) 資本の財源及び流動性の管理方針
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針とし、内部資金、銀行借入、社債発行等により資金調達を行っております。また、キャッシュマネージメントシステムの導入等によるグループ各社における余剰資金の一元管理を図り、資金効率の向上に努めております。
当社グループの資金の状況については、「1.経営成績等の状況の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(5) 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、収益力、有利子負債等グループの財政状況を認識し、現在の事業規模及び入手可能な情報に基づき経営資源の最も効率的な運用を行い、企業価値を最大限に高めるべく努めております。
(6) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しておりますが、その作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用等、開示に影響を与える判断と見積りが必要となります。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
当社グループが採用している重要な会計方針(「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載)のうち、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼす事項であると考えております。
① 貸倒引当金、関係会社事業損失引当金の計上
当社グループの保有する債権または関係会社への投資に係る損失が見込まれる場合、その損失に充てる必要額を見積もり、引当金を計上しておりますが、将来、債務者や被出資者の財務状況が悪化した場合、引当金の追加計上等による損失が発生する可能性があります。
② 有価証券の減損処理
当社グループの保有する株式については、時価のある有価証券、時価のない有価証券ともに、合理的な判断基準を設定の上、減損処理の要否を検討しております。従って、将来、保有する株式の時価や投資先の財務状況が悪化した場合には、有価証券評価損を計上する可能性があります。
③ 固定資産の減損処理
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会 平成14年8月9日))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号 平成15年10月31日)を適用しております。将来、経済環境の著しい悪化や市場価格の著しい下落の発生如何によっては、減損損失を計上する可能性があります。
④ 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、課税所得がその見積り額を下回る場合、繰延税金資産が取崩され、税金費用が計上される可能性があります。