有価証券報告書-第93期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
1.経営成績等の状況の概要
(1) 業績
当連結会計年度における世界経済は、アジア地域では、中国やタイ、インドネシアにおいて景気に持ち直しの動きがみられたほか、米国において、景気の緩やかな回復基調が続きました。
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益及び雇用・所得環境が改善傾向にあることに加えて、設備投資や鉱工業生産が緩やかに増加しました。
当社グループを取り巻く事業環境は、エネルギー価格の上昇があったものの、銅価格が上昇したほか、米国のセメント関連事業や自動車産業・エレクトロニクス産業向け製品において需要が堅調に推移しました。
このような状況のもと、当社グループは、10年後を見据えた長期経営方針及び成長戦略の立案・実行に重点を置いた中期経営戦略(2017-2019年度)を策定し、「成長への変革」をテーマに企業価値の向上に向けて、全社方針として掲げている「事業ポートフォリオの最適化」、「事業競争力の徹底追求」及び「新製品・新事業の創出」に向けた諸施策を推進してまいりました。
この結果、当連結会計年度は、連結売上高は1兆5,995億33百万円(前年度比22.7%増)、連結営業利益は728億19百万円(同21.9%増)、連結経常利益は796億21百万円(同24.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は345億95百万円(同22.0%増)となりました。
当社は、連結子会社である三菱電線工業株式会社、三菱伸銅株式会社、三菱アルミニウム株式会社、立花金属工業株式会社及び株式会社ダイヤメットが、過去に製造販売した製品の一部について、検査記録データの書き換え等の不適切な行為によりお客様の規格値または社内仕様値を逸脱した製品等(以下、「不適合品」といいます。)を出荷した事案(以下、「本件事案」といいます。)につきまして、過日公表いたしました。
これらの事案につきましては、株主の皆様やお客様をはじめ多くの皆様に、多大なご迷惑とご心配をおかけし、深くお詫び申し上げます。今後このような事態を再び繰り返すことがないよう、品質管理を含むグループガバナンス体制強化のための施策を迅速かつ確実に実行し、当社グループのガバナンスの更なる向上に努めてまいります。
なお、本件事案に関しましては、当連結会計年度において、営業損益の段階で約14億円の減益影響があり、32億2百万円の特別損失を計上いたしました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
なお、前連結会計年度及び当連結会計年度の報告セグメントごとの営業利益は、有限責任 あずさ監査法人の監査を受けておりません。
(セメント事業)
国内では、首都圏において東京五輪関連施設等の工事、九州地区において災害復旧工事や道路関連工事がそれぞれ堅調に推移したことなどから販売数量は増加したものの、エネルギーコスト上昇等の影響により増収減益となりました。
米国では、南カリフォルニア地区における住宅、商業関連施設等の民間需要が好調だったことから、生コンの販売が増加しました。また、セメント販売価格は上昇しました。これらにより増収増益となりました。
以上により、前年度に比べて事業全体の売上高は増加したものの、営業利益は減少しました。経常利益は、持分法による投資利益が増加したことなどから、増加しました。
(金属事業)
銅地金は、直島製錬所において定期炉修を実施したものの、小名浜製錬株式会社への委託量増加、生産量の増加及び銅価格の上昇の影響等により、増収増益となりました。
金及びその他の金属は、鉱石中の含有量の増加により増産となったことなどから、増収増益となりました。
銅加工品は、自動車向け製品等の販売が増加したことに加え、第2四半期連結会計期間よりMMCカッパープロダクツ社の業績を連結損益に含めたことから、増収増益となりました。
以上により、前年度に比べて事業全体の売上高及び営業利益は増加しました。経常利益は、営業利益が増加したことに加え、受取配当金が増加したことから、増加しました。
(加工事業)
超硬製品は、国内、欧米及び東南アジアを中心に、主要顧客である自動車・航空機産業の需要が増加したことに加え、販売促進に積極的に取り組んだことから、増収増益となりました。
高機能製品は、不適合品の出荷に伴う費用負担等があったものの、主要製品である焼結部品の需要増加に加え、新製品立ち上げにより、国内及び欧米で販売が増加したことから、売上高は増加し損失は縮小しました。
以上により、前年度に比べて事業全体の売上高及び営業利益は増加しました。経常利益は、営業利益が増加したことから、増加しました。
(電子材料事業)
機能材料及び化成品は、半導体装置関連製品及びディスプレイ向け製品等の販売が増加したことから、増収増益となりました。
電子デバイスは、家電向け製品等の販売が増加したことから、増収増益となりました。
多結晶シリコンは、半導体市況好調による需要増加等により販売数量は増加したものの、販売価格低下の影響により、増収減益となりました。
以上により、前年度に比べて事業全体の売上高及び営業利益は増加しました。経常利益は、営業利益が増加したことに加えて、受取配当金が増加したことから、増加しました。
(アルミ事業)
飲料用アルミ缶は、通常缶・ボトル缶ともに販売が減少したことに加えて、原材料コストが上昇したことから、減収減益となりました。
アルミ圧延・加工品は、自動車向け熱交板材の販売数量は増加したものの、缶材及び印刷版用板製品等の販売数量が減少したことにより、減収減益となりました。
事業全体では、エネルギーコストが上昇しました。
以上により、前年度に比べて事業全体の売上高及び営業利益は減少しました。経常利益は、営業利益が減少したことから、減少しました。
(その他の事業)
エネルギー関連は、石炭及び原子力関連の販売が増加したことから、増収増益となりました。
家電リサイクルは、処理量が堅調に推移したことに加えて、有価物処分単価の上昇により、増収増益となりました。
エネルギー関連及び家電リサイクル以外の事業は、合算で増収増益となりました。
以上により、前年度に比べてその他の事業全体の売上高と営業利益は増加しました。経常利益は、持分法による投資損失が増加したものの、営業利益が増加したことから、増加しました。
(2) キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、業績が堅調に推移したものの、たな卸資産が増加した影響などにより、507億円の収入(前期比648億円の収入減少)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資に係る支出等により、839億円の支出(前期比574億円の支出増加)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動や投資活動の結果、332億円の支出となり、この資金を借入や社債の発行により調達しましたが、長期借入金の返済に充当したことなどもあり、当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、110億円の支出(前期比46億円の支出減少)となりました。
以上に、換算差額等による増減を加えた結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、873億円(前期末比452億円の減少)となりました。
(3) 生産、受注及び販売の実績
「(1) 業績」において、各事業のセグメント情報に関連付けて記載しております。
2.経営者の視点による財政状態、経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループに関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日(2018年6月22日)現在において判断したものであります。
(1) 当連結会計年度の経営成績及び財政状態の分析
① 経営成績
当連結会計年度における経営成績の概況については、「1.経営成績等の状況の概要」に記載しております。
② 財政状態
当連結会計年度末の総資産残高は、前期末比 1,181億円(6.2%)増加し、2兆150億円となりました。流動資産は、たな卸資産の増加等により、前期末比 866億円(10.0%)増加の 9,541億円となりました。固定資産は、投資有価証券の増加等により、前期末比 314億円(3.1%)増加の 1兆609億円となりました。
負債残高は、前期末比 598億円(5.0%)増加し、1兆2,465億円となりました。流動負債は、支払手形及び買掛金の増加等により、前期末比 704億円(10.0%)増加の 7,770億円となりました。固定負債は、社債及び借入金の減少等により、前期末比 105億円(2.2%)減少の 4,695億円となりました。なお、借入金に社債を加えた有利子負債残高については、前期末比 67億円(1.3%)減少の 5,214億円となりました。
純資産残高は、親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加等により、前期末比 583億円(8.2%)増加の 7,684億円となりました。
この結果、連結ベースの自己資本比率は、前期末の32.8%から33.9%となり、期末発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は 4,743.27円から 5,211.20円に増加しました。
(2) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(3) 事業戦略と見通し
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(4) 資本の財源及び流動性の管理方針
当社グループは、キャッシュマネージメントシステムの導入等によるグループ各社における余剰資金の一元管理を図り、資金効率の向上に努めております。
当社グループの資金の状況については、「1.経営成績等の状況の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(5) 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、収益力、有利子負債等グループの財政状況を認識し、現在の事業規模及び入手可能な情報に基づき経営資源の最も効率的な運用を行い、企業価値を最大限に高めるべく努めております。
(6) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しておりますが、その作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用等、開示に影響を与える判断と見積りが必要となります。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
当社グループが採用している重要な会計方針(「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載)のうち、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼす事項であると考えております。
① 貸倒引当金、関係会社事業損失引当金の計上
当社グループの保有する債権または関係会社への投資に係る損失が見込まれる場合、その損失に充てる必要額を見積もり、引当金を計上しておりますが、将来、債務者や被出資者の財務状況が悪化した場合、引当金の追加計上等による損失が発生する可能性があります。
② 有価証券の減損処理
当社グループの保有する株式については、時価のある有価証券、時価のない有価証券ともに、合理的な判断基準を設定の上、減損処理の要否を検討しております。従って、将来、保有する株式の時価や投資先の財務状況が悪化した場合には、有価証券評価損を計上する可能性があります。
③ 固定資産の減損処理
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会 平成14年8月9日))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号 平成15年10月31日)を適用しております。将来、経済環境の著しい悪化や市場価格の著しい下落の発生如何によっては、減損損失を計上する可能性があります。
④ 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、課税所得がその見積り額を下回る場合、繰延税金資産が取崩され、税金費用が計上される可能性があります。
(1) 業績
当連結会計年度における世界経済は、アジア地域では、中国やタイ、インドネシアにおいて景気に持ち直しの動きがみられたほか、米国において、景気の緩やかな回復基調が続きました。
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益及び雇用・所得環境が改善傾向にあることに加えて、設備投資や鉱工業生産が緩やかに増加しました。
当社グループを取り巻く事業環境は、エネルギー価格の上昇があったものの、銅価格が上昇したほか、米国のセメント関連事業や自動車産業・エレクトロニクス産業向け製品において需要が堅調に推移しました。
このような状況のもと、当社グループは、10年後を見据えた長期経営方針及び成長戦略の立案・実行に重点を置いた中期経営戦略(2017-2019年度)を策定し、「成長への変革」をテーマに企業価値の向上に向けて、全社方針として掲げている「事業ポートフォリオの最適化」、「事業競争力の徹底追求」及び「新製品・新事業の創出」に向けた諸施策を推進してまいりました。
この結果、当連結会計年度は、連結売上高は1兆5,995億33百万円(前年度比22.7%増)、連結営業利益は728億19百万円(同21.9%増)、連結経常利益は796億21百万円(同24.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は345億95百万円(同22.0%増)となりました。
当社は、連結子会社である三菱電線工業株式会社、三菱伸銅株式会社、三菱アルミニウム株式会社、立花金属工業株式会社及び株式会社ダイヤメットが、過去に製造販売した製品の一部について、検査記録データの書き換え等の不適切な行為によりお客様の規格値または社内仕様値を逸脱した製品等(以下、「不適合品」といいます。)を出荷した事案(以下、「本件事案」といいます。)につきまして、過日公表いたしました。
これらの事案につきましては、株主の皆様やお客様をはじめ多くの皆様に、多大なご迷惑とご心配をおかけし、深くお詫び申し上げます。今後このような事態を再び繰り返すことがないよう、品質管理を含むグループガバナンス体制強化のための施策を迅速かつ確実に実行し、当社グループのガバナンスの更なる向上に努めてまいります。
なお、本件事案に関しましては、当連結会計年度において、営業損益の段階で約14億円の減益影響があり、32億2百万円の特別損失を計上いたしました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
なお、前連結会計年度及び当連結会計年度の報告セグメントごとの営業利益は、有限責任 あずさ監査法人の監査を受けておりません。
(セメント事業)
(単位:億円) |
前期 | 当期 | 増減(増減率) | ||
売上高 | 1,775 | 1,923 | 148 | (8.3%) |
営業利益 | 209 | 194 | △14 | (△7.1%) |
経常利益 | 205 | 210 | 5 | (2.6%) |
国内では、首都圏において東京五輪関連施設等の工事、九州地区において災害復旧工事や道路関連工事がそれぞれ堅調に推移したことなどから販売数量は増加したものの、エネルギーコスト上昇等の影響により増収減益となりました。
米国では、南カリフォルニア地区における住宅、商業関連施設等の民間需要が好調だったことから、生コンの販売が増加しました。また、セメント販売価格は上昇しました。これらにより増収増益となりました。
以上により、前年度に比べて事業全体の売上高は増加したものの、営業利益は減少しました。経常利益は、持分法による投資利益が増加したことなどから、増加しました。
(金属事業)
(単位:億円) |
前期 | 当期 | 増減(増減率) | ||
売上高 | 6,294 | 8,627 | 2,332 | (37.1%) |
営業利益 | 173 | 240 | 66 | (38.5%) |
経常利益 | 275 | 362 | 87 | (31.8%) |
銅地金は、直島製錬所において定期炉修を実施したものの、小名浜製錬株式会社への委託量増加、生産量の増加及び銅価格の上昇の影響等により、増収増益となりました。
金及びその他の金属は、鉱石中の含有量の増加により増産となったことなどから、増収増益となりました。
銅加工品は、自動車向け製品等の販売が増加したことに加え、第2四半期連結会計期間よりMMCカッパープロダクツ社の業績を連結損益に含めたことから、増収増益となりました。
以上により、前年度に比べて事業全体の売上高及び営業利益は増加しました。経常利益は、営業利益が増加したことに加え、受取配当金が増加したことから、増加しました。
(加工事業)
(単位:億円) |
前期 | 当期 | 増減(増減率) | ||
売上高 | 1,434 | 1,611 | 177 | (12.4%) |
営業利益 | 117 | 185 | 67 | (57.7%) |
経常利益 | 99 | 168 | 68 | (69.6%) |
超硬製品は、国内、欧米及び東南アジアを中心に、主要顧客である自動車・航空機産業の需要が増加したことに加え、販売促進に積極的に取り組んだことから、増収増益となりました。
高機能製品は、不適合品の出荷に伴う費用負担等があったものの、主要製品である焼結部品の需要増加に加え、新製品立ち上げにより、国内及び欧米で販売が増加したことから、売上高は増加し損失は縮小しました。
以上により、前年度に比べて事業全体の売上高及び営業利益は増加しました。経常利益は、営業利益が増加したことから、増加しました。
(電子材料事業)
(単位:億円) |
前期 | 当期 | 増減(増減率) | ||
売上高 | 630 | 734 | 103 | (16.4%) |
営業利益 | 24 | 34 | 9 | (38.6%) |
経常利益 | 28 | 45 | 17 | (64.0%) |
機能材料及び化成品は、半導体装置関連製品及びディスプレイ向け製品等の販売が増加したことから、増収増益となりました。
電子デバイスは、家電向け製品等の販売が増加したことから、増収増益となりました。
多結晶シリコンは、半導体市況好調による需要増加等により販売数量は増加したものの、販売価格低下の影響により、増収減益となりました。
以上により、前年度に比べて事業全体の売上高及び営業利益は増加しました。経常利益は、営業利益が増加したことに加えて、受取配当金が増加したことから、増加しました。
(アルミ事業)
(単位:億円) |
前期 | 当期 | 増減(増減率) | ||
売上高 | 1,559 | 1,485 | △73 | (△4.7%) |
営業利益 | 78 | 37 | △41 | (△52.1%) |
経常利益 | 74 | 30 | △44 | (△59.6%) |
飲料用アルミ缶は、通常缶・ボトル缶ともに販売が減少したことに加えて、原材料コストが上昇したことから、減収減益となりました。
アルミ圧延・加工品は、自動車向け熱交板材の販売数量は増加したものの、缶材及び印刷版用板製品等の販売数量が減少したことにより、減収減益となりました。
事業全体では、エネルギーコストが上昇しました。
以上により、前年度に比べて事業全体の売上高及び営業利益は減少しました。経常利益は、営業利益が減少したことから、減少しました。
(その他の事業)
(単位:億円) |
前期 | 当期 | 増減(増減率) | ||
売上高 | 2,182 | 2,495 | 312 | (14.3%) |
営業利益 | 101 | 131 | 30 | (30.2%) |
経常利益 | 71 | 83 | 11 | (15.8%) |
エネルギー関連は、石炭及び原子力関連の販売が増加したことから、増収増益となりました。
家電リサイクルは、処理量が堅調に推移したことに加えて、有価物処分単価の上昇により、増収増益となりました。
エネルギー関連及び家電リサイクル以外の事業は、合算で増収増益となりました。
以上により、前年度に比べてその他の事業全体の売上高と営業利益は増加しました。経常利益は、持分法による投資損失が増加したものの、営業利益が増加したことから、増加しました。
(2) キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、業績が堅調に推移したものの、たな卸資産が増加した影響などにより、507億円の収入(前期比648億円の収入減少)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資に係る支出等により、839億円の支出(前期比574億円の支出増加)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動や投資活動の結果、332億円の支出となり、この資金を借入や社債の発行により調達しましたが、長期借入金の返済に充当したことなどもあり、当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、110億円の支出(前期比46億円の支出減少)となりました。
以上に、換算差額等による増減を加えた結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、873億円(前期末比452億円の減少)となりました。
(3) 生産、受注及び販売の実績
「(1) 業績」において、各事業のセグメント情報に関連付けて記載しております。
2.経営者の視点による財政状態、経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループに関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日(2018年6月22日)現在において判断したものであります。
(1) 当連結会計年度の経営成績及び財政状態の分析
① 経営成績
当連結会計年度における経営成績の概況については、「1.経営成績等の状況の概要」に記載しております。
② 財政状態
当連結会計年度末の総資産残高は、前期末比 1,181億円(6.2%)増加し、2兆150億円となりました。流動資産は、たな卸資産の増加等により、前期末比 866億円(10.0%)増加の 9,541億円となりました。固定資産は、投資有価証券の増加等により、前期末比 314億円(3.1%)増加の 1兆609億円となりました。
負債残高は、前期末比 598億円(5.0%)増加し、1兆2,465億円となりました。流動負債は、支払手形及び買掛金の増加等により、前期末比 704億円(10.0%)増加の 7,770億円となりました。固定負債は、社債及び借入金の減少等により、前期末比 105億円(2.2%)減少の 4,695億円となりました。なお、借入金に社債を加えた有利子負債残高については、前期末比 67億円(1.3%)減少の 5,214億円となりました。
純資産残高は、親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加等により、前期末比 583億円(8.2%)増加の 7,684億円となりました。
この結果、連結ベースの自己資本比率は、前期末の32.8%から33.9%となり、期末発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は 4,743.27円から 5,211.20円に増加しました。
(2) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(3) 事業戦略と見通し
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(4) 資本の財源及び流動性の管理方針
当社グループは、キャッシュマネージメントシステムの導入等によるグループ各社における余剰資金の一元管理を図り、資金効率の向上に努めております。
当社グループの資金の状況については、「1.経営成績等の状況の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(5) 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、収益力、有利子負債等グループの財政状況を認識し、現在の事業規模及び入手可能な情報に基づき経営資源の最も効率的な運用を行い、企業価値を最大限に高めるべく努めております。
(6) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しておりますが、その作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用等、開示に影響を与える判断と見積りが必要となります。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
当社グループが採用している重要な会計方針(「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載)のうち、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼす事項であると考えております。
① 貸倒引当金、関係会社事業損失引当金の計上
当社グループの保有する債権または関係会社への投資に係る損失が見込まれる場合、その損失に充てる必要額を見積もり、引当金を計上しておりますが、将来、債務者や被出資者の財務状況が悪化した場合、引当金の追加計上等による損失が発生する可能性があります。
② 有価証券の減損処理
当社グループの保有する株式については、時価のある有価証券、時価のない有価証券ともに、合理的な判断基準を設定の上、減損処理の要否を検討しております。従って、将来、保有する株式の時価や投資先の財務状況が悪化した場合には、有価証券評価損を計上する可能性があります。
③ 固定資産の減損処理
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会 平成14年8月9日))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号 平成15年10月31日)を適用しております。将来、経済環境の著しい悪化や市場価格の著しい下落の発生如何によっては、減損損失を計上する可能性があります。
④ 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、課税所得がその見積り額を下回る場合、繰延税金資産が取崩され、税金費用が計上される可能性があります。