有価証券報告書-第71期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号2018年2月16日)等を当事業年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前事業年度との比較・分析を行っております。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しております。この財務諸表の作成にあたり、決算日における資産、負債の報告数値及び報告期間における収入、費用の報告数値に影響を与える見積りを行わなければなりません。
経営陣は、貸倒債権、たな卸資産、投資、引当金、退職給付債務、繰延税金資産、資産除去債務、法人税等及び財務活動等に関する見積り及び判断に対して継続して評価を行っております。また、過去の実績や状況に応じて合理的だと考えられる見積りおよび判断を行いますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
(2) 財政状態
当事業年度末における総資産は、前事業年度末の24,538百万円に比べて780百万円増加し、25,318百万円となりました。
(流動資産)
当事業年度末における流動資産は、前事業年度末の16,127百万円に比べて392百万円増加し、16,519百万円となりました。これは、現金及び預金が549百万円減少しましたが、完成工事未収入金が662百万円、未成工事支出金が134百万円、受取手形が81百円増加したことが、主な要因であります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産は、前事業年度末の8,411百万円に比べて388百万円増加し、8,799百万円となりました。
当事業年度末における固定資産のうち有形固定資産は、前事業年度末の5,268百万円に比べて328百万円増加 し、5,597百万円となりました。これは、新事業場の建設に伴い建設仮勘定が552百万円減少し、建物及び構築物が 893百万円増加したことが、主な要因であります。
無形固定資産は、前事業年度末の46百万円に比べて11百万円減少し、35百万円となりました。これは、減価償却等によりリース資産が11百万円減少したことが、主な要因であります。
投資その他の資産は、前事業年度末の3,096百万円に比べて70百万円増加し、3,166百万円となりました。これは、事業所移転等により保証金が精算されたことに伴い25百万円減少し、繰延税金資産が107百万円増加したことが、主な要因であります。
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末の10,176百万円に比べて432百万円増加し、10,609百万円となりました。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債は、前事業年度末の8,026百万円に比べて678百万円増加し、8,704百万円となり ました。これは、未成工事受入金が198百万円減少しましたが、工事未払金が648百万円増加、賞与引当金が176百 万円増加したことが、主な要因であります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債は、前事業年度末の2,149百万円に比べて245百万円減少し、1,904百万円となりました。これは、新事業場建設のための土地取得・建築費に充てた借入金を返済したことにより、長期借入金が 240百万円減少したことが、主な要因であります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末の14,362百万円に比べて347百万円増加し、14,709百万円と なりました。これは、その他有価証券評価差額金が161百万円減少したことに加え、配当金に係る利益剰余金が230百万円減少しましたが、当期純利益を738百万円計上したことなどが、主な要因であります。
(3) 経営成績
当事業年度におけるわが国の経済は、企業収益は年度後半にはやや足踏みがみられはじめたものの、日銀による金融緩和策の継続や政府の積極的な経済財政政策を背景に、高水準を維持しており、設備投資についても人手不足に対応するための省力化投資や生産性を高めるための情報化投資へのニーズが根強いことに加え、AIやIoTの活用促進のための研究開発投資なども増加いたしました。また、個人消費についても、記録的な猛暑や豪雨、地震などの自然災害の影響により、一時的には停滞の動きが見られたものの、良好な雇用情勢を反映した賃金所得の増加を背景に、旅行などのサービス消費が持ち直したことや、自動車や家電といった耐久財消費の需要が好調を維持するなど、全体として緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、米中貿易摩擦の動向や英国のEU離脱問題を巡る欧米の政治的混乱が世界経済に与える影響や、金融資本市場の変動の影響などに留意する必要があり、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
このような状況のなか、不動産・建設業界におきましては、東京オリンピック・パラリンピックの開催を控えたインフラ整備事業が継続したほか、首都圏の再開発・宿泊施設の建設も引き続き堅調に推移いたしました。また、大規模地震の発生確率の増加、異常気象の頻発・激甚化など、近年の災害から得られた貴重な教訓や社会経済情勢の変化等を踏まえて、さらなる加速化・深化を図ることを目的に国土強靭化基本計画の見直しが実施されております。一方で、新設住宅着工戸数については、相続税改正を背景に好調であった賃貸物件がサブリース契約の問題化などにより、7年ぶりに減少に転じ、前年を22,271戸下回る942,370戸となり、2年続けて減少となりました。技能者の処遇の改善や技能の研鑽を図ることを目指す「建設キャリアアップシステム」の構築や外国人労働者受け入れ拡大に向けた法改正など政府においても対策を講じているものの、需要に対する慢性的な技術者不足は改善されておらず、建設資材の価格高騰に伴う建設コストの上昇要因も相まって、工期の長期化やコスト増などの可能性が懸念されております。
また、エネルギー業界におきましては、2016年の電力に続く、2017年4月の都市ガス小売全面自由化により、関連企業における資本・業務提携や提供する各社サービスの多様化や既存のエリアを越えたエネルギー大手事業者間、また業界の枠を越えた企業の提携が進むなど、エネルギー事業者間の競争が激化しており、電力・ガスともに一層の競争原理の導入により、設備投資計画に伴う工事の発注単価への影響が懸念されるなど、ガス事業者の政策転換や工事会社に対する取引方針の見直しにより、今後においては、当社の事業環境にも大きな影響を及ぼすものと想定されます。
さて、当社のこの1年を振り返りますと、ガス工事事業においては、主要取引先であります東京ガス株式会社をはじめ、静岡ガス株式会社からの設備投資計画による受注が堅調に推移したほか、ガス設備新設工事やGHP工事の受注も堅調に推移いたしました。また、建築・土木工事事業においても、東京電力パワーグリッド株式会社の設備投資計画に伴う管路埋設工事やゴルフ場等のイリゲーション工事(緑化散水設備工事)が減少したものの、新築建物に関連した給排水衛生設備工事や工場施設関連の営繕工事において、堅調に受注を確保することができました。
第3四半期累計期間までは前事業年度比減収減益で推移しておりましたが、発注者との綿密な打ち合わせを行い、無駄のない工事計画のもと、工程管理を徹底したことおよび悪天候による工事遅延も少なかったことなどにより、潤沢であった手持工事高を順調に施工進捗させることができました。
これらの結果、売上高は34,374百万円と前年同期と比べ325百万円(1.0%)の増収となりました。また、利益面につきましては、営業利益は987百万円と前年同期と比べ38百万円(4.1%)の増益、売上高営業利益率は2.9%となり、経常利益は当事業年度の営業外収益が148百万円となり、営業外費用が33百万円であったため、1,103百万円と前年同期に比べ45百万円(4.3%)の増益、売上高経常利益率は3.2%となりました。
当期純利益につきましては、昨年度は投資有価証券売却益288百万円が特別利益に計上されていたことにより、738百万円と前年同期に比べ158百万円(17.6%)の減益となりました。
当社は、企業の総合的な収益力を示す指標として、売上高経常利益率を重視し、売上高経常利益率3.0%の安定的な達成を目指しております。当事業年度におきましては、売上高経常利益率3.2%を確保できましたが、今後予想される事業環境の変化に対応し、一層の成長を遂げるために、全社的な多機能化とさらなるコスト競争力を身につけ、企業ビジョンに掲げる『真の総合設備工事会社』への早期転換を目指してまいります。
セグメント別の状況は次のとおりであります。
① ガス工事事業
ガス設備新設工事において集合住宅、給湯・暖房工事は順調に受注を確保したものの、案件の多くが来年度以降の完成となりましたが、大型物件・新築戸建の受注が増加したほか、GHP工事の受注も堅調に推移いたしました。
また、ガス導管工事につきましては、主要取引先であります東京ガス株式会社をはじめ静岡ガス株式会社の設備投資計画による受注は堅調に推移し、厳しい施工環境の現場が増加するなか、拠点間連携を図り、施工管理体制の強化を図ったことにより、完成工事高は29,578百万円と前年同期と比べ15百万円(0.1%)の増収、経常利益1,124百万円と前年同期に比べ12百万円(1.1%)の増益となりました。
なお、手持工事高は13,988百万円と前年同期に比べ1,201百万円の増となりました。
東京ガス株式会社をはじめとした各ガス事業者の設備投資計画が引き続き堅調に推移することが見込まれるほか、住宅着工戸数については、10月に予定されている消費増税による駆け込み需要後の反動減の発生により昨年実績に比べ若干減少することが予想されるものの、リフォーム・リノベーション市場は堅調に推移すると見込まれており、ガス設備事業、ガス導管事業ともに受注環境は堅調に推移するものと想定しております。
一方で、エネルギー業界における「電力・ガス小売り自由化」の進展に伴う事業者間の競争激化が想定されており、電力・ガスともに一層の競争原理の導入により、設備投資計画に伴う工事の発注単価への影響も懸念されますが、各工事における適正利益率の確保や予算管理の徹底などローコストオペレーションを実施するとともに、無駄のない工事計画と工程管理の徹底により工事量の確保および品質向上に努めてまいります。
② 建築・土木工事事業
イリゲーション工事において、顧客企業において「平成30年7月豪雨」や相次ぐ台風で被害を受けたコースの修繕工事を優先したことにより工事量が減少したことに加え、発注金額の厳格化が継続するなど厳しい受注環境で推移いたしました。しかしながら、新築建物に関連した給排水衛生設備工事をはじめ、既築マンションをターゲットとしたリノベーション工事(排水管ライニング工事を含めた改修工事)や水道局関連工事につきましては堅調に推移したほか、工場施設関連の営繕工事においても、顧客企業の各工場から年間を通して受注を確保することができました。
この結果、完成工事高は4,371百万円と前年同期に比べ506百万円(13.1%)の増収、経常利益39百万円(前年同期は13百万円の経常損失)となりました。
なお、手持工事高は2,312百万円と前年同期に比べ151百万円の増となりました。
新設建物に関連した給排水衛生設備工事においては、東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた首都圏の再開発や宿泊施設の建設、国土強靭化基本計画によるインフラ整備事業に伴う需要が引き続き堅調に推移するものと予想しており、採算性や施工力を十分に検討したうえでの選別受注を実施するとともに、工場施設関連の営繕工事においても、顧客企業の各工場における設備投資が見込まれることから、工事担当者の多機能化と協力業者の技量・要員の確保を進めてまいります。
電設・土木関連工事においては、東京電力パワーグリッド株式会社の設備投資計画に伴う管路埋設工事やケーブル保守に伴う工事は発注者側の徹底したコスト管理施策により引き続き厳しい受注環境となることが予想されており、また、イリゲーション工事においても3年計画の大型改修案件を受注しているものの、工事価格査定が厳格化され引き続き厳しい受注環境となることが想定されるため、収益性を確保するために無駄の無い工事計画と適切な要員配置による施工品質の向上を図り、顧客満足の向上に努めてまいります。
③ その他事業
リフォーム工事においては受注拡大を目指し要員のシフトなどを行ってまいりましたが、10月25日に開示いたしましたとおり、本年1月1日付でエネリア静岡東における機器販売事業を静岡ガスリビング株式会社に会社分割(吸収分割)により承継したことにより、売上高は347百万円と前年同期に比べ197百万円(36.3%)の減収、経常損失64百万円(前年同期は56百万円の経常損失)となりました。
(4) 生産、受注及び販売の実績
建設業を営んでいる当社は、生産実績を定義することが困難であるため、「生産の状況」は記載しておりません。
受注高、売上高、繰越高及び施工高
(注) 1 前期以前に受注した工事で契約の更改により請負額に変更のあるものについては、当期受注工事高にその増減額を含みます。従って、当期売上高にも当該増減額が含まれています。
2 次期繰越高の施工高は手持工事高における支出金により推定したものです。
3 金額には、消費税等は含まれていません。
4 セグメント間取引については、相殺消去しております。
5 ガス工事事業の売上は、工材販売手数料等前期75,778千円、当期76,623千円含んでおります。
6 その他事業の次期繰越高(-)は事業分離によるものであります。
7 主な相手先別の売上実績及び割合
8 上記のほか売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
(5)キャッシュ・フローの状況
(現金及び現金同等物)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、6,973百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度末の営業活動による資金は769百万円の収入(前年同期は1,560百万円の収入)となりました。主なプラス要因は税引前当期純利益1,128百万円であったことに加え、減価償却費220百万円、売上債権の減少743百万円、仕入債務の増加731百万円などであり、主なマイナス要因は未成工事受入金の減少198百万円、法人税等の支払額355百万円などであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度末の投資活動による資金は822百万円の支出(前年同期は1,427百万円の支出)となりました。主なマイナス要因は、有形固定資産の取得による支出665百万円、投資有価証券の取得による支出286百万円などであり、主なプラス要因は投資有価証券の売却による収入110百万円などであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度末の財務活動による資金は496百万円の支出(前年同期は758百万円の収入)となりました。これは、長期借入金の返済による支出240百万円、配当金の支払額229百万円などが主な要因であります。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
資本の財源については、収益力及び資産効率の向上によることを基本としており、健全な財務基盤、営業活動で生み出されるキャッシュ・フローにより、通常に必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えております。
資金の流動性については、活動に伴う資金の需要に応じた現金及び現金同等物の適正額を維持することとしております。
また、突発的な資金需要に対しては、主要取引銀行と締結しているコミットメントライン契約を活用することで手許流動性を確保しております。なお、当事業年度末の借入実行残高はありません。
当社のキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。
(注)1 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
2 キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
3 株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
4 有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
5 第68期より非連結決算に移行したため、それ以前については記載しておりません。
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号2018年2月16日)等を当事業年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前事業年度との比較・分析を行っております。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しております。この財務諸表の作成にあたり、決算日における資産、負債の報告数値及び報告期間における収入、費用の報告数値に影響を与える見積りを行わなければなりません。
経営陣は、貸倒債権、たな卸資産、投資、引当金、退職給付債務、繰延税金資産、資産除去債務、法人税等及び財務活動等に関する見積り及び判断に対して継続して評価を行っております。また、過去の実績や状況に応じて合理的だと考えられる見積りおよび判断を行いますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
(2) 財政状態
当事業年度末における総資産は、前事業年度末の24,538百万円に比べて780百万円増加し、25,318百万円となりました。
(流動資産)
当事業年度末における流動資産は、前事業年度末の16,127百万円に比べて392百万円増加し、16,519百万円となりました。これは、現金及び預金が549百万円減少しましたが、完成工事未収入金が662百万円、未成工事支出金が134百万円、受取手形が81百円増加したことが、主な要因であります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産は、前事業年度末の8,411百万円に比べて388百万円増加し、8,799百万円となりました。
当事業年度末における固定資産のうち有形固定資産は、前事業年度末の5,268百万円に比べて328百万円増加 し、5,597百万円となりました。これは、新事業場の建設に伴い建設仮勘定が552百万円減少し、建物及び構築物が 893百万円増加したことが、主な要因であります。
無形固定資産は、前事業年度末の46百万円に比べて11百万円減少し、35百万円となりました。これは、減価償却等によりリース資産が11百万円減少したことが、主な要因であります。
投資その他の資産は、前事業年度末の3,096百万円に比べて70百万円増加し、3,166百万円となりました。これは、事業所移転等により保証金が精算されたことに伴い25百万円減少し、繰延税金資産が107百万円増加したことが、主な要因であります。
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末の10,176百万円に比べて432百万円増加し、10,609百万円となりました。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債は、前事業年度末の8,026百万円に比べて678百万円増加し、8,704百万円となり ました。これは、未成工事受入金が198百万円減少しましたが、工事未払金が648百万円増加、賞与引当金が176百 万円増加したことが、主な要因であります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債は、前事業年度末の2,149百万円に比べて245百万円減少し、1,904百万円となりました。これは、新事業場建設のための土地取得・建築費に充てた借入金を返済したことにより、長期借入金が 240百万円減少したことが、主な要因であります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末の14,362百万円に比べて347百万円増加し、14,709百万円と なりました。これは、その他有価証券評価差額金が161百万円減少したことに加え、配当金に係る利益剰余金が230百万円減少しましたが、当期純利益を738百万円計上したことなどが、主な要因であります。
(3) 経営成績
当事業年度におけるわが国の経済は、企業収益は年度後半にはやや足踏みがみられはじめたものの、日銀による金融緩和策の継続や政府の積極的な経済財政政策を背景に、高水準を維持しており、設備投資についても人手不足に対応するための省力化投資や生産性を高めるための情報化投資へのニーズが根強いことに加え、AIやIoTの活用促進のための研究開発投資なども増加いたしました。また、個人消費についても、記録的な猛暑や豪雨、地震などの自然災害の影響により、一時的には停滞の動きが見られたものの、良好な雇用情勢を反映した賃金所得の増加を背景に、旅行などのサービス消費が持ち直したことや、自動車や家電といった耐久財消費の需要が好調を維持するなど、全体として緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、米中貿易摩擦の動向や英国のEU離脱問題を巡る欧米の政治的混乱が世界経済に与える影響や、金融資本市場の変動の影響などに留意する必要があり、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
このような状況のなか、不動産・建設業界におきましては、東京オリンピック・パラリンピックの開催を控えたインフラ整備事業が継続したほか、首都圏の再開発・宿泊施設の建設も引き続き堅調に推移いたしました。また、大規模地震の発生確率の増加、異常気象の頻発・激甚化など、近年の災害から得られた貴重な教訓や社会経済情勢の変化等を踏まえて、さらなる加速化・深化を図ることを目的に国土強靭化基本計画の見直しが実施されております。一方で、新設住宅着工戸数については、相続税改正を背景に好調であった賃貸物件がサブリース契約の問題化などにより、7年ぶりに減少に転じ、前年を22,271戸下回る942,370戸となり、2年続けて減少となりました。技能者の処遇の改善や技能の研鑽を図ることを目指す「建設キャリアアップシステム」の構築や外国人労働者受け入れ拡大に向けた法改正など政府においても対策を講じているものの、需要に対する慢性的な技術者不足は改善されておらず、建設資材の価格高騰に伴う建設コストの上昇要因も相まって、工期の長期化やコスト増などの可能性が懸念されております。
また、エネルギー業界におきましては、2016年の電力に続く、2017年4月の都市ガス小売全面自由化により、関連企業における資本・業務提携や提供する各社サービスの多様化や既存のエリアを越えたエネルギー大手事業者間、また業界の枠を越えた企業の提携が進むなど、エネルギー事業者間の競争が激化しており、電力・ガスともに一層の競争原理の導入により、設備投資計画に伴う工事の発注単価への影響が懸念されるなど、ガス事業者の政策転換や工事会社に対する取引方針の見直しにより、今後においては、当社の事業環境にも大きな影響を及ぼすものと想定されます。
さて、当社のこの1年を振り返りますと、ガス工事事業においては、主要取引先であります東京ガス株式会社をはじめ、静岡ガス株式会社からの設備投資計画による受注が堅調に推移したほか、ガス設備新設工事やGHP工事の受注も堅調に推移いたしました。また、建築・土木工事事業においても、東京電力パワーグリッド株式会社の設備投資計画に伴う管路埋設工事やゴルフ場等のイリゲーション工事(緑化散水設備工事)が減少したものの、新築建物に関連した給排水衛生設備工事や工場施設関連の営繕工事において、堅調に受注を確保することができました。
第3四半期累計期間までは前事業年度比減収減益で推移しておりましたが、発注者との綿密な打ち合わせを行い、無駄のない工事計画のもと、工程管理を徹底したことおよび悪天候による工事遅延も少なかったことなどにより、潤沢であった手持工事高を順調に施工進捗させることができました。
これらの結果、売上高は34,374百万円と前年同期と比べ325百万円(1.0%)の増収となりました。また、利益面につきましては、営業利益は987百万円と前年同期と比べ38百万円(4.1%)の増益、売上高営業利益率は2.9%となり、経常利益は当事業年度の営業外収益が148百万円となり、営業外費用が33百万円であったため、1,103百万円と前年同期に比べ45百万円(4.3%)の増益、売上高経常利益率は3.2%となりました。
当期純利益につきましては、昨年度は投資有価証券売却益288百万円が特別利益に計上されていたことにより、738百万円と前年同期に比べ158百万円(17.6%)の減益となりました。
当社は、企業の総合的な収益力を示す指標として、売上高経常利益率を重視し、売上高経常利益率3.0%の安定的な達成を目指しております。当事業年度におきましては、売上高経常利益率3.2%を確保できましたが、今後予想される事業環境の変化に対応し、一層の成長を遂げるために、全社的な多機能化とさらなるコスト競争力を身につけ、企業ビジョンに掲げる『真の総合設備工事会社』への早期転換を目指してまいります。
セグメント別の状況は次のとおりであります。
① ガス工事事業
ガス設備新設工事において集合住宅、給湯・暖房工事は順調に受注を確保したものの、案件の多くが来年度以降の完成となりましたが、大型物件・新築戸建の受注が増加したほか、GHP工事の受注も堅調に推移いたしました。
また、ガス導管工事につきましては、主要取引先であります東京ガス株式会社をはじめ静岡ガス株式会社の設備投資計画による受注は堅調に推移し、厳しい施工環境の現場が増加するなか、拠点間連携を図り、施工管理体制の強化を図ったことにより、完成工事高は29,578百万円と前年同期と比べ15百万円(0.1%)の増収、経常利益1,124百万円と前年同期に比べ12百万円(1.1%)の増益となりました。
なお、手持工事高は13,988百万円と前年同期に比べ1,201百万円の増となりました。
東京ガス株式会社をはじめとした各ガス事業者の設備投資計画が引き続き堅調に推移することが見込まれるほか、住宅着工戸数については、10月に予定されている消費増税による駆け込み需要後の反動減の発生により昨年実績に比べ若干減少することが予想されるものの、リフォーム・リノベーション市場は堅調に推移すると見込まれており、ガス設備事業、ガス導管事業ともに受注環境は堅調に推移するものと想定しております。
一方で、エネルギー業界における「電力・ガス小売り自由化」の進展に伴う事業者間の競争激化が想定されており、電力・ガスともに一層の競争原理の導入により、設備投資計画に伴う工事の発注単価への影響も懸念されますが、各工事における適正利益率の確保や予算管理の徹底などローコストオペレーションを実施するとともに、無駄のない工事計画と工程管理の徹底により工事量の確保および品質向上に努めてまいります。
② 建築・土木工事事業
イリゲーション工事において、顧客企業において「平成30年7月豪雨」や相次ぐ台風で被害を受けたコースの修繕工事を優先したことにより工事量が減少したことに加え、発注金額の厳格化が継続するなど厳しい受注環境で推移いたしました。しかしながら、新築建物に関連した給排水衛生設備工事をはじめ、既築マンションをターゲットとしたリノベーション工事(排水管ライニング工事を含めた改修工事)や水道局関連工事につきましては堅調に推移したほか、工場施設関連の営繕工事においても、顧客企業の各工場から年間を通して受注を確保することができました。
この結果、完成工事高は4,371百万円と前年同期に比べ506百万円(13.1%)の増収、経常利益39百万円(前年同期は13百万円の経常損失)となりました。
なお、手持工事高は2,312百万円と前年同期に比べ151百万円の増となりました。
新設建物に関連した給排水衛生設備工事においては、東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた首都圏の再開発や宿泊施設の建設、国土強靭化基本計画によるインフラ整備事業に伴う需要が引き続き堅調に推移するものと予想しており、採算性や施工力を十分に検討したうえでの選別受注を実施するとともに、工場施設関連の営繕工事においても、顧客企業の各工場における設備投資が見込まれることから、工事担当者の多機能化と協力業者の技量・要員の確保を進めてまいります。
電設・土木関連工事においては、東京電力パワーグリッド株式会社の設備投資計画に伴う管路埋設工事やケーブル保守に伴う工事は発注者側の徹底したコスト管理施策により引き続き厳しい受注環境となることが予想されており、また、イリゲーション工事においても3年計画の大型改修案件を受注しているものの、工事価格査定が厳格化され引き続き厳しい受注環境となることが想定されるため、収益性を確保するために無駄の無い工事計画と適切な要員配置による施工品質の向上を図り、顧客満足の向上に努めてまいります。
③ その他事業
リフォーム工事においては受注拡大を目指し要員のシフトなどを行ってまいりましたが、10月25日に開示いたしましたとおり、本年1月1日付でエネリア静岡東における機器販売事業を静岡ガスリビング株式会社に会社分割(吸収分割)により承継したことにより、売上高は347百万円と前年同期に比べ197百万円(36.3%)の減収、経常損失64百万円(前年同期は56百万円の経常損失)となりました。
(4) 生産、受注及び販売の実績
建設業を営んでいる当社は、生産実績を定義することが困難であるため、「生産の状況」は記載しておりません。
受注高、売上高、繰越高及び施工高
| 種類別 | 前期繰越高 (千円) | 当期受注高 (千円) | 計 (千円) | 当期売上高 (千円) | 次期繰越高 | 当期施工高 (千円) | |||
| 手持高 (千円) | うち施工高 | ||||||||
| 割合(%) | 金額 (千円) | ||||||||
| 第70期 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | ガス工事事業 | 11,907,261 | 30,518,870 | 42,426,132 | 29,638,927 | 12,787,204 | 14.4 | 1,838,297 | 29,578,373 |
| 建築・土木工事事業 | 2,248,151 | 3,777,883 | 6,026,034 | 3,864,967 | 2,161,066 | 7.3 | 158,073 | 3,693,826 | |
| 計 | 14,155,412 | 34,296,754 | 48,452,166 | 33,503,895 | 14,948,271 | 13.4 | 1,996,371 | 33,272,200 | |
| その他事業 | 21,320 | 532,657 | 553,977 | 545,231 | 8,746 | 0.6 | 53 | 545,285 | |
| 合計 | 14,176,732 | 34,829,411 | 49,006,144 | 34,049,126 | 14,957,017 | 13.3 | 1,996,425 | 33,817,485 | |
| 第71期 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | ガス工事事業 | 12,787,204 | 30,856,858 | 43,644,062 | 29,655,290 | 13,988,771 | 13.6 | 1,906,814 | 29,723,806 |
| 建築・土木工事事業 | 2,161,066 | 4,522,515 | 6,683,582 | 4,371,424 | 2,312,157 | 10.6 | 245,301 | 4,458,652 | |
| 計 | 14,948,271 | 35,379,373 | 50,327,644 | 34,026,715 | 16,300,929 | 13.2 | 2,152,115 | 34,182,459 | |
| その他事業 | 8,746 | 338,734 | 347,481 | 347,481 | - | - | - | 347,427 | |
| 合計 | 14,957,017 | 35,718,108 | 50,675,126 | 34,374,196 | 16,300,929 | 13.2 | 2,152,115 | 34,529,887 | |
(注) 1 前期以前に受注した工事で契約の更改により請負額に変更のあるものについては、当期受注工事高にその増減額を含みます。従って、当期売上高にも当該増減額が含まれています。
2 次期繰越高の施工高は手持工事高における支出金により推定したものです。
3 金額には、消費税等は含まれていません。
4 セグメント間取引については、相殺消去しております。
5 ガス工事事業の売上は、工材販売手数料等前期75,778千円、当期76,623千円含んでおります。
6 その他事業の次期繰越高(-)は事業分離によるものであります。
7 主な相手先別の売上実績及び割合
| 相手先 | 前事業年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 当事業年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| 東京ガス株式会社 | 21,410,633 | 62.88 | 21,512,535 | 62.58 |
8 上記のほか売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
(5)キャッシュ・フローの状況
(現金及び現金同等物)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、6,973百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度末の営業活動による資金は769百万円の収入(前年同期は1,560百万円の収入)となりました。主なプラス要因は税引前当期純利益1,128百万円であったことに加え、減価償却費220百万円、売上債権の減少743百万円、仕入債務の増加731百万円などであり、主なマイナス要因は未成工事受入金の減少198百万円、法人税等の支払額355百万円などであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度末の投資活動による資金は822百万円の支出(前年同期は1,427百万円の支出)となりました。主なマイナス要因は、有形固定資産の取得による支出665百万円、投資有価証券の取得による支出286百万円などであり、主なプラス要因は投資有価証券の売却による収入110百万円などであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度末の財務活動による資金は496百万円の支出(前年同期は758百万円の収入)となりました。これは、長期借入金の返済による支出240百万円、配当金の支払額229百万円などが主な要因であります。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
資本の財源については、収益力及び資産効率の向上によることを基本としており、健全な財務基盤、営業活動で生み出されるキャッシュ・フローにより、通常に必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えております。
資金の流動性については、活動に伴う資金の需要に応じた現金及び現金同等物の適正額を維持することとしております。
また、突発的な資金需要に対しては、主要取引銀行と締結しているコミットメントライン契約を活用することで手許流動性を確保しております。なお、当事業年度末の借入実行残高はありません。
当社のキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。
| 第67期 | 第68期 | 第69期 | 第70期 | 第71期 | ||
| 自己資本比率(%) | - | 57.1 | 58.2 | 58.5 | 58.1 | |
| 時価ベースの自己資本比率(%) | - | 26.5 | 35.6 | 49.5 | 34.7 | |
| キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) | - | 0.2 | 0.4 | 0.7 | 1.1 | |
| インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | - | 505.2 | 375.1 | 331.8 | 106.5 |
(注)1 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
2 キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
3 株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
4 有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
5 第68期より非連結決算に移行したため、それ以前については記載しておりません。