有価証券報告書-第40期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/27 14:33
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当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
また、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国の経済は、一部地域において、夏場に相次いだ自然災害の影響がみられましたが、全体として企業収益の向上や雇用情勢の改善を背景に緩やかな回復傾向を維持しています。
しかしながら、消費者マインドは力強さを欠いた状況が続き、また、将来の政情不安による原油価格上昇の懸念や消費税増税予定等から家計負担に影響を及ぼし個人消費の低迷を引き起こすことが不安材料となっていることなど、同業者企業間における価格競争が一層増すなど厳しい経営環境が続くものと思われます。
このような環境の下、当社グループは、「コンプライアンス経営」の意識をより強く持ち、社会からの要請に都度対応しながら、経営理念の実現に向けた取り組みを行っております。また、「品質・安全の追求」、「研究開発の強化」、「海外市場の開拓」等の取り組みを積極的に推し進めるなか、品質・安全においては、食品事業及び水産事業に対する商品の信頼性向上やグローバル化した社会で通用する食品安全規格「ISO22000」の認証を取得する取り組みを行っております。
また、利益面におきましては、昨年、一部子会社が黒字転換できたことや収益性の悪化による減損損失の計上が軽減されたことにより、利益は回復しております。
その結果、当連結会計年度の業績は、売上高122億32百万円(前期比9.7%減)、営業利益2億94百万円(前期比19.2%減)、経常利益4億42百万円(前期比8.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2億72百万円(前期比106.8%増)と減収増益になりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
(水産事業)
水産事業における養魚用配合飼料の販売におきましては、エビ飼料類は、大型台風の接近や急激な高・低水温の変動の煽りを受けるなどし、また、一部取引先の養殖池老朽化が進んでいることなどを背景に、エビ生産における歩留低下及び生産不調等で、給餌量の制限に伴い販売が伸びず前期を下回りました。
また、魚飼料類のヒラメ飼料類及びトラフグ飼料類は、既存客先のシェアアップにより前期を上回りましたが、ハマチ飼料類及びマダイ飼料類は、自社販売は伸びましたが、受託生産販売の大幅な落ち込みがあり前期を大きく下回りました。
なお、受託生産の販売数量は大きく落ち込みましたが、比較的利益率が高い自社製品の販売数量は5%アップで前期を上回りました。
その他、海外向けの販売に関しましては、営業展開や販売の強化を図り海外市場開拓が実りつつあるものの、各国の水産用配合飼料輸入において、近年、原材料使用等の規制が厳しく制限されていることなどの影響を受け、前期と同等の業績となりました。
子会社におきましては、マリンテック株式会社(水産用飼料製造販売及び魚介類種苗生産販売)は、種苗生産販売が振るわず前期を下回りましたが、永屋水産株式会社(生鮮魚介類の卸売販売)及び奄美クルマエビ株式会社(エビの養殖生産販売)は順調に推移し前期を上回りました。
その結果、売上高は75億67百万円(前期比15.1%減)、セグメント利益は4億82百万円(前期比1.0%減)となりました。
(食品事業)
食品事業におきましては、そうめん類は、前期並みに推移しましたが、うどん類及びそば類は、近年、乾麺の消費は食の多様化や少子高齢化等により乾麺離れが進む傾向にあり厳しい環境が続いており前期を下回りました。また、皿うどん類は、一部商品が終売となったことや特売企画販売が減少したことなどから前期を下回りました。一方、即席めん類及び棒状ラーメンは、顧客ブランドの受託製造(OEM)販売が順調に推移したほか、カップ商品「カップ皿うどん」、「体にやさしい五穀スープ類」は、新規取り扱い店が着実に伸びていることもあって前期を上回りました。
子会社におきましては、コスモ食品株式会社(カレールー及び調味料等の製造販売)は前期並みに推移しましたが、株式会社向井珍味堂(穀粉・香辛料等の製造販売)は、商品類の取り扱いが減少し前期を下回りました。株式会社なかしま(冷凍食品の製造販売)は、白えびかき揚げ類等の販売が業績を伸ばし前期を上回りました。
その結果、売上高は46億64百万円(前期比0.7%増)、セグメント利益は2億49百万円(前期比9.9%減)となりました。
生産、受注及び販売の状況は、次のとおりであります。
(生産実績)
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)前期比(%)
水産事業4,130,154△26.6
食品事業3,233,1224.2
合計7,363,276△15.6

(注) 1 金額は、製造原価によっており、セグメント間の取引がある場合は相殺消去後の金額としております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(受注実績)
当社グループは、主に需要予測に基づく見込生産を行っているため、記載を省略しております。
(仕入実績)
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)前期比(%)
水産事業2,331,51617.9
食品事業194,054△37.0
合計2,525,57110.5

(注) 1 金額は、仕入価格によっており、セグメント間の取引がある場合は相殺消去後の金額としております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(販売実績)
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)前期比(%)
水産事業7,567,488△15.1
食品事業4,664,5930.7
合計12,232,082△9.7

(注) 1 セグメント間の取引がある場合は相殺消去後の金額としております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
フィード・ワン株式会社2,079,81215.3

3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
4 当連結会計年度については、当該割合が10%未満のため、記載を省略しております。
(2) 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ10億64百万円増加の130億11百万円となりました。
流動資産は、10億82百万円増加し65億91百万円となりました。主な増減は、現金及び預金の増加2億22百万円、受取手形及び売掛金の増加1億81百万円、商品及び製品等のたな卸資産の増加7億20百万円等によるものです。
固定資産は、17百万円減少し64億20百万円となりました。主な増減は、機械装置及び運搬具等の有形固定資産の増加2億22百万円による一方で、のれん及びその他の無形固定資産の減少1億15百万円、投資その他の資産の減少1億24百万円によるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ17億95百万円増加し75億88百万円となりました。
流動負債は、9億28百万円増加し42億64百万円となりました。主な増減は、買掛金の増加68百万円、短期借入金の増加9億16百万円による一方で、未払法人税等の減少19百万円によるものです。
固定負債は、8億67百万円増加し33億23百万円となりました。主な増減は、長期借入金の増加7億76百万円によるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ7億31百万円減少し54億22百万円となりました。主な増減は、利益剰余金の増加2億19百万円による一方で、資本効率向上のため自己株式9億21百万円を取得したことなどによるものです。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度と比べ3億34百万円増加し19億59百万円となりました。
各活動におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によって支出した資金は6百万円(前連結会計年度は4億76百万円の収入)となりました。
主な要因は、減価償却費4億30百万円、仕入債務の増加額68百万円などの資金の増加要因があった一方で、売上債権の増加額1億81百万円、たな卸資産の増加額7億20百万円などの資金の減少要因があったことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によって支出した資金は、前連結会計年度と比べ2億82百万円減少し3億72百万円となりました。
主な要因は、保険積立金の解約による収入1億89百万円があった一方で、有形固定資産の取得による支出5億91百万円、投資有価証券の取得による支出1億23百万円があったことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によって得られた資金は7億19百万円(前連結会計年度は2億99百万円の支出)となりました。
主な要因は、長期借入金の返済による支出7億41百万円、配当金の支払額42百万円、自己株式の取得による支出9億21百万円などの資金の減少要因があった一方で、短期借入金の増加額5億60百万円、長期借入れによる収入の18億75百万円の資金の増加要因があったことなどによるものです。
(4) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループでは、財務健全性を維持し、収益力と資産効率の向上によることを基本としています。当連結会計年度においては、53億83百万円の有利子負債残高があります。また、資金の流動性に関しては、不測の事態に備え一定の余裕を持ちながら、資本効率も意識した水準を維持してまいります。
なお、現時点で確定している資本的支出はありませんが、当社グループの生み出す営業キャッシュ・フロー、資産の内容、経済情勢、金融環境などを考慮し安定的な資金調達に対応してまいります。
(5) 今後の見通し
セグメント別の「水産事業」におきましては、主力の養魚用飼料製造販売において、受託生産においては、一定の生産確保を行うなかで、工場の生産稼働率を安定させ、併せて自社製品の販売について重点的に強化を図ってまいります。また、新たな商材の「ウナギ用配合飼料」、「マグロ用配合飼料」の品質向上及び市場開拓に取り組んでまいります。
また、海外向けに関しましては、エリアごとに適した人材を配置し、主要なアジア圏や新規販路としての中南米での取り組みに力を入れてまいります。
子会社におきましては、永屋水産株式会社は、「鮮魚販売」を中心に堅調な推移を見込んでおります。マリンテック株式会社は、「アユ・ヒラメ等の種苗生産」が安定しており、産学連携の種苗生産研究や海外向け種苗生産コンサルティング事業にも取り組んでおります。奄美クルマエビ株式会社は、養殖池改修工事後、エビ育成状況も良好で推移しており売上増加を見込んでおります。株式会社ヤンバル琉宮水産は、マグロの養殖生産も順調に進んでおり、配合飼料による完全養殖を目指し、今後、養殖生産物の売上を見込んでおります。
水産事業は、育てる漁業を前面に持続可能な漁業に寄与すべくグループ一体となって相乗効果を高めてまいります。
「食品事業」におきましては、主力とする「皿うどん類」、「即席めん類」及び「カップ類」の販売を伸ばしてまいりますが、原材料費や物流費用などのコスト上昇による収益圧迫が予想されます。対策として、営業を強化し既存店のアイテム拡大と新規導入店舗の拡大に努めます。チャネルとして、コンビニエンスストア、土産ルート、高価格帯スーパー、ノベルティ、総菜ルート、海外販売、OEM向けに営業を強化してまいります。
子会社におきましては、コスモ食品株式会社の「カレールー」や株式会社向井珍味堂の「きな粉」など、マーケットにおいて高い評価を得ている製品においては引き続き安定した売上を確保できる見込みです。「冷凍かき揚げ」を手掛ける株式会社なかしまに関しても、子会社化以降取り組んでまいりました各現場における内部統制も整備され、攻めの営業を展開してまいります。
食品事業は、情報共有や共同販促などによりグループブランド化に取り組んでまいります。
その結果、2020年3月期の連結業績見通しにつきましては、売上高142億3百万円、営業利益4億9百万円、経常利益4億58百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2億40百万円を見込んでおります。
(6) 重要な会計方針及び見積もり
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成しております。また、連結財務諸表の作成にあたっては、見積もりが必要なものについては、合理的な基準に基づいて行っております。