有価証券報告書-第43期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

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2022/06/27 10:04
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績
当連結会計年度におけるわが国の経済は、長期化している新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けました。緊急事態宣言の解除後、ワクチン接種が進むなかでGo Toキャンペーンによる個人消費の押し上げ、自動車を中心とした輸出の進展等により、緩やかな持ち直しの兆しが見られましたが、年度後半、新たな変異株による感染が再拡大している状況に加え、ウクライナ情勢緊迫化に伴う資源価格上昇の影響など、国内経済の先行きはさらに不透明さが増した状況で推移しました。
このような状況の下、当社グループは新型コロナウイルス感染拡大防止と安全衛生管理を徹底して、引き続き「コンプライアンス経営」、「品質・安全の追求」、「研究開発の強化」及び「海外市場開拓」の取り組みを積極的に推し進めてまいりました。
また、世界で広く認知されている食品安全規格「ISO22000」を食品部門及び水産部門において取得し、工場生産の安全性・信頼性の指標として取り組むと同時に市場開拓の営業展開を強化してまいりましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響は大きく、引き続き外食自粛や団体客需要が鈍い動きとなっているほか、外国人旅行客の水際対策の緩和が広がりつつあるもののインバウンド需要が消失している状況など、経営環境は厳しい状況で推移しました。
その結果、当連結会計年度の業績は、売上高112億86百万円(前期比7.6%減)、営業利益2億5百万円(前期営業損失34百万円)、経常利益3億60百万円(前期経常利益76百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益3百万円(前期親会社株主に帰属する当期純利益2億74百万円)となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下、「収益認識会計基準」という。)等の適用により、売上高は6億78百万円減少し、営業利益、経常利益はそれぞれ0百万円減少しております。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(水産事業)
水産事業におきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、外食産業の低迷による生産物出荷の鈍化等により、養殖環境は厳しい状況が続いております。また、温暖化に伴う夏場の高水温の影響から感染症の発生も多く、これらの対策コスト負担も増加しております。
このような状況のなか、エビ飼料類は、新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴い、養殖業者の稚エビ投入尾数を抑制した動きや感染症による斃死が多く見られたことから、減収となりました。
マダイ飼料類及びヒラメ・トラフグ飼料類は、既存客先のシェアアップで増収となったものの、ハマチ飼料類は、養殖業者の養殖尾数が例年より少なかったことに加え、受託生産販売が減少したことから減収となりました。
子会社におきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響はまだ残っているものの、鮮魚販売事業は相場の上昇により増収となり、養殖事業についても増収となりました。
その結果、売上高は65億82百万円(前期比10.7%減)、セグメント利益は4億18百万円(前期セグメント利益36百万円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は5億61百万円減少し、セグメント利益は0百万円減少しております。
(食品事業)
食品事業におきましては、コロナ禍における巣ごもり需要及び内食需要が落ち着き、売上高は減収となりました。
即席麺類は、インバウンド需要のOEM(相手先商標製品)生産販売は減収となったものの新規開拓やシェア拡大で増収となりました。うどん類、そば類及びそうめん類の乾麺は、昨年のコロナ特需の反動に伴う国内外のスポット採用がなく減収となりました。皿うどん類は、市販品及び業務用とも伸び悩み減収となりました。
子会社におきましては、穀粉類の販売は、昨年は既存大口取引先の商品の内製化の影響を受けて減収となったものの、当期は営業活動による新たな顧客の獲得により、増収となりました。かき揚げ類は、一部取引先で新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたものの、主要取引先である大手小売店からの受注が順調に推移したことにより増収となりました。また、カレールー類及びシチュー類は、量販店における昨年のコロナ特需の反動があったものの、新商品の導入や新規開拓先の積極的な販売拡大により増収となりました。
その結果、売上高は47億3百万円(前期比2.9%減)、セグメント利益は2億51百万円(前期比13.7%減)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は1億17百万円減少し、セグメント利益は0百万円減少しております。
生産、受注及び販売の状況は、次のとおりであります。
(生産実績)
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
水産事業3,976△24.2
食品事業3,4201.5
合計7,396△14.1

(注) 金額は、製造原価によっており、セグメント間の取引がある場合は相殺消去後の金額としております。
(受注実績)
当社グループは、主に需要予測に基づく見込生産を行っているため、記載を省略しております。
(仕入実績)
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
水産事業1,48912.5
食品事業217△12.7
合計1,7078.5

(注) 金額は、仕入価格によっており、セグメント間の取引がある場合は相殺消去後の金額としております。
(販売実績)
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
水産事業6,582△10.7
食品事業4,703△2.9
合計11,286△7.6

(注) 1 セグメント間の取引がある場合は相殺消去後の金額としております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載はありません。

② 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ99百万円増加の120億82百万円となりました。
流動資産は、91百万円減少し61億95百万円となりました。主な増減は、現金及び預金の減少6億11百万円、商品及び製品の増加35百万円、仕掛品の増加23百万円、原材料及び貯蔵品の増加3億57百万円等によるものであります。
固定資産は、1億90百万円増加し58億87百万円となりました。主な増減は、有形固定資産の増加2億86百万円、無形固定資産の減少74百万円、投資その他の資産の減少21百万円によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ1億13百万円増加し68億79百万円となりました。
流動負債は、2億63百万円増加し49億3百万円となりました。主な増減は、買掛金の増加1億10百万円、短期借入金の増加2億70百万円によるものであります。
固定負債は、1億49百万円減少し19億76百万円となりました。主な増減は、長期借入金の減少1億46百万円によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ14百万円減少し52億3百万円となりました。主な増減は、利益剰余金の減少37百万円によるものであります。
③ キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度と比べ6億14百万円減少し15億94百万円となりました。
各活動におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によって得られた資金は前連結会計年度と比べ8億13百万円減少し51百万円となりました。
主な要因は、税金等調整前当期純利益の減少3億46百万円、減価償却費の減少76百万円、棚卸資産の増加4億15百万円などの資金の減少要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によって支出した資金は7億82百万円(前連結会計年度は1億90百万円の支出)となりました。
主な要因は、有形固定資産の取得による支出7億85百万円があったことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によって得られた資金は78百万円(前連結会計年度は92百万円の支出)となりました。
主な要因は、短期借入金の増加4億85百万円、長期借入れによる収入4億80百万円の資金の増加要因があった一方で、長期借入金の返済による支出8億40百万円、配当金の支払額35百万円などの資金の減少要因があったことなどによるものであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループでは、財務健全性を維持し、収益力と資産効率の向上によることを基本としています。当連結会計年度においては、48億58百万円の有利子負債残高があります。また、資金の流動性に関しては、不測の事態に備え一定の余裕を持ちながら、資本効率も意識した水準を維持してまいります。
なお、食品事業において新工場への設備投資を行う計画がありますが、当社グループの生み出す営業キャッシュ・フロー、資産の内容、経済情勢、金融環境などを考慮し安定的な資金調達により対応してまいります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
また、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 経営成績
水産事業におきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、外食産業の低迷による生産物出荷の鈍化等により、養殖環境は厳しい状況が続いております。また、温暖化に伴う夏場の高水温の影響から感染症の発生も多く、これらの対策コスト負担も増加しております。
このような状況のなか、エビ飼料類は、新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴い、養殖業者の稚エビ投入尾数を抑制した動きや感染症による斃死が多く見られたことから、減収となりました。
マダイ飼料類及びヒラメ・トラフグ飼料類は、既存客先のシェアアップで増収となったものの、ハマチ飼料類は、養殖業者の養殖尾数が例年より少なかったことに加え、受託生産販売が減少したことから減収となりました。
子会社におきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響はまだ残っているものの、鮮魚販売事業は相場の上昇により増収となり、養殖事業についても増収となりました。
その結果、売上高は65億82百万円(前期比10.7%減)、セグメント利益は4億18百万円(前期セグメント利益36百万円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は5億61百万円減少し、セグメント利益は0百万円減少しております。
食品事業におきましては、コロナ禍における巣ごもり需要及び内食需要が落ち着き、売上高は減収となりました。
即席麺類は、インバウンド需要のOEM(相手先商標製品)生産販売は減収となったものの新規開拓やシェア拡大で増収となりました。うどん類、そば類及びそうめん類の乾麺は、昨年のコロナ特需の反動に伴う国内外のスポット採用がなく減収となりました。皿うどん類は、市販品及び業務用とも伸び悩み減収となりました。
子会社におきましては、穀粉類の販売は、昨年は既存大口取引先の商品の内製化の影響を受けて減収となったものの、当期は営業活動による新たな顧客の獲得により、増収となりました。かき揚げ類は、一部取引先で新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたものの、主要取引先である大手小売店からの受注が順調に推移したことにより増収となりました。また、カレールー類及びシチュー類は、量販店における昨年のコロナ特需の反動があったものの、新商品の導入や新規開拓先の積極的な販売拡大により増収となりました。
その結果、売上高は47億3百万円(前期比2.9%減)、セグメント利益は2億51百万円(前期比13.7%減)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は1億17百万円減少し、セグメント利益は0百万円減少しております。
上記の他、当連結会計年度における経営成績の前連結会計年度との比較分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。
② 今後の見通し
2023年3月期につきましては、新型コロナウイルス感染状況の先行き不透明感が強く、また、ウクライナ情勢緊迫化が長期化することにより、資源価格の上昇やマーケットの混乱が社会経済や個人消費に大きな影響を及ぼすものと予想されます。
このような状況の下、水産事業におきましては、配合飼料の主原料である魚粉、燃料及び石油関連資材の高騰及び輸送コスト負担など、更に厳しい事業環境が予想されます。また、水産事業関連の子会社におきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた外食産業の低迷による生産物出荷の鈍化が続いており、厳しい状況は今後も続くものと思われますが、生産効率を高めるとともに親会社との情報連携の深耕及び徹底したコスト削減を行い、業績アップを目指してまいります。
食品事業におきましては、小麦粉等の高騰を中心に原材料費や物流費が値上がり傾向にあるものの、個人消費も徐々に回復するものと思われ、商品開発を進めるとともに量販店や業務用筋の販売展開を積極的に進めてまいります。また、生産能力の増強や多様なニーズに対応するため、皿うどん類及び即席麺類の生産を中心とした新工場建設に2021年9月から着手しており、2023年3月期中には本格稼働できる計画で進めており、さらに新商品開発や市場開拓に取り組んでまいります。
食品事業関連の子会社におきましては、各社の主力商品である「カレールー」、「きな粉」及び「かき揚げ」等々、それぞれの市場やお客様に高評価を得ております。更に市場開拓とともに主力商品の底上げと新商品の開発に努め、新たな顧客獲得につなげてまいります。
その結果、2023年3月期の連結業績見通しにつきましては、売上高124億47百万円、営業利益67百万円、経常利益1億35百万円、親会社株主に帰属する当期純利益58百万円を見込んでおります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産・負債や収益・費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。