訂正有価証券報告書-第41期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績
当連結会計年度におけるわが国の経済は、事業年度中盤までは企業収益の向上や雇用・所得環境などの改善が図られ、緩やかな景気回復基調を下支えしていたとみられたものの、年度後半、消費増税による家計負担、気象変化による大型台風の襲来及び暖冬など、様々なマイナス要因に加え、直近に発生した新型コロナウイルスの感染拡大は、インバウンド需要及び国内個人消費の大幅な下振れ要因となる深刻な影響から、先行きは更に不透明さが増した状況にあります。
このような状況の下、当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大の必要な防止策を浸透させる取り組みのなか、「コンプライアンス経営」、「品質・安全の追求」、「研究開発の強化」、及び「海外市場の開拓」の取り組みを積極的に推し進めて行く一方で、商品の信頼性向上やグローバル社会で通用する食品安全規格「ISO22000」の認証取得において、食品事業は昨年5月に取得し、水産事業は本年7月に取得する予定で進めてまいりました。
また、水産事業及び食品事業において、商品開発、商品リニューアル化及びOEM(相手先ブランド製造)の強化を図り、工場の生産稼働率向上や売上拡大に努めてまいりましたが、子会社における養殖魚生産販売の生産不調や新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けるなど厳しい状況が続いております。
その結果、当連結会計年度の業績は、売上高124億42百万円(前期比1.7%増)、営業損失2億10百万円(前期営業利益2億94百万円)、経常損失90百万円(前期経常利益4億31百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失4億49百万円(前期親会社株主に帰属する当期純利益2億62百万円)と増収減益となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
(水産事業)
水産事業における養殖環境は、天候不順に伴う赤潮の発生や水温の変化、自然災害の頻度増や大型化から漁業被害や感染症の発生も多く、これらの対策負担も増しております。また、各魚種の漁模様、輸入や国内外の需要動向等で、様々な要因の影響を複合的に受けて、魚価変動のリスクに晒されており厳しい環境が続いております。
このような状況のなか、エビ飼料類は、養殖環境が例年と比べ水温が高く細菌感染症等の被害の影響を受けるなどし、前期を下回りました。ハマチ飼料類、ヒラメ飼料類及びマダイ飼料類は、一部地域で赤潮発生による影響を受けたものの、新規販売先の獲得、既存販売先のシェア拡大及び受託生産販売の増加で、前期を大きく上回りました。
子会社におきましては、種苗生産の売上は前期並みに推移したものの、養殖魚の生産不調等から鮮魚関係の売上が振るわず前期を下回り、生産環境改善策のコスト増や魚価安の動きで厳しい事業環境で推移しました。
その結果、売上高は76億19百万円(前期比0.7%増)、セグメント損失は77百万円(前期セグメント利益4億82百万円)となりました。
(食品事業)
食品事業におきましては、国内の食品需要は少子高齢化や人口減少などを背景に、節約志向の高まり、コンビニエンスストアや食品スーパー等の品揃えの拡充に伴い、外食市場規模が縮小傾向にある様相であります。
一方、物流コストの上昇や近年世界各地で発生している異常気象は、原材料調達が不安定で仕入れ価格にも影響し、大手食品メーカーも価格改定を実施する動きなど引き続き厳しい事業環境が続いております。
このような状況のなか、原材料及び物流費コスト上昇から親会社においては4年ぶりに全品価格改定を実施し利益改善に努めてまいりました。
そうめん類は、販売需要期が天候不良、冷夏の影響及びスポット販売の減少で前期を下回りましたが、即席めん類、皿うどん類、うどん・そば類及び棒状ラーメン類は、商品のリニューアル化、値上げに対応した価格訴求品及びOEM商品の取り扱いが増加したことから前期を上回りました。
子会社におきましては、穀粉類等の販売は、他社メーカーとの価格競争及び大口取引先の内製化により減少しました。かき揚げ類は、暖冬による雪不足でスキー場の閉鎖や年明け以降の新型コロナウイルス感染拡大の影響により観光客激減でフードコート先の需要が減少しましたが、ミニかき揚げ商品やかき揚げ丼の具材など企画提案を戦略的に行ったことから前期を上回りました。また、カレールー類及びジャム類は、量販店を中心に定番商品も安定的に伸長し前期を上回りました。
その結果、売上高は48億23百万円(前期比3.4%増)、セグメント利益は3億6百万円(前期比22.6%増)となりました。
生産、受注及び販売の状況は、次のとおりであります。
(生産実績)
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前期比(%) |
水産事業 | 5,128,732 | 24.2 |
食品事業 | 3,350,030 | 3.6 |
合計 | 8,478,762 | 15.1 |
(注) 1 金額は、製造原価によっており、セグメント間の取引がある場合は相殺消去後の金額としております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(受注実績)
当社グループは、主に需要予測に基づく見込生産を行っているため、記載を省略しております。
(仕入実績)
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前期比(%) |
水産事業 | 1,771,360 | △24.0 |
食品事業 | 238,115 | 22.7 |
合計 | 2,009,475 | △20.4 |
(注) 1 金額は、仕入価格によっており、セグメント間の取引がある場合は相殺消去後の金額としております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(販売実績)
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前期比(%) |
水産事業 | 7,619,222 | 0.7 |
食品事業 | 4,823,206 | 3.4 |
合計 | 12,442,429 | 1.7 |
(注) 1 セグメント間の取引がある場合は相殺消去後の金額としております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載はありません。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
② 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ6億23百万円減少の123億87百万円となりました。
流動資産は、4億11百万円減少し61億79百万円となりました。主な増減は、現金及び預金の減少3億32百万円、受取手形及び売掛金の減少76百万円、商品及び製品等のたな卸資産の増加47百万円等によるものであります。
固定資産は、2億12百万円減少し62億8百万円となりました。主な増減は、建物及び構築物等の有形固定資産の減少1億93百万円、のれん及びその他の無形固定資産の減少62百万円、投資その他の資産の増加43百万円によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ1億43百万円減少し74億45百万円となりました。
流動負債は、6億96百万円増加し49億61百万円となりました。主な増減は、買掛金の減少2億2百万円、短期借入金の増加8億13百万円によるものであります。
固定負債は、8億40百万円減少し24億83百万円となりました。主な増減は、長期借入金の減少7億29百万円、役員退職慰労引当金の減少1億4百万円によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ4億80百万円減少し49億42百万円となりました。主な増減は、利益剰余金の減少4億84百万円によるものであります。
③ キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度と比べ3億44百万円減少し16億14百万円となりました。
各活動におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によって得られた資金は1億18百万円(前連結会計年度は6百万円の支出)となりました。
主な要因は、減価償却費4億61百万円、売上債権の減少76百万円などの資金の増加要因があった一方で、税金等調整前当期純損失2億62百万円、仕入債務の減少2億2百万円などの資金の減少要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によって支出した資金は、前連結会計年度と比べ98百万円増加し4億71百万円となりました。
主な要因は、有形固定資産の取得による支出4億22百万円、投資有価証券の取得による支出39百万円があったことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によって得られた資金は前連結会計年度と比べ6億97百万円減少し21百万円となりました。
主な要因は、短期借入金の増加9億75百万円、長期借入による収入7億90百万円の資金の増加要因があった一方で、長期借入金の返済による支出16億80百万円、配当金の支払額34百万円などの資金の減少要因があったことなどによるものであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループでは、財務健全性を維持し、収益力と資産効率の向上によることを基本としています。当連結会計年度においては、54億61百万円の有利子負債残高があります。また、資金の流動性に関しては、不測の事態に備え一定の余裕を持ちながら、資本効率も意識した水準を維持してまいります。
なお、現時点で確定している資本的支出はありませんが、当社グループの生み出す営業キャッシュ・フロー、資産の内容、経済情勢、金融環境などを考慮し安定的な資金調達に対応してまいります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
また、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 経営成績
水産事業においては、エビ飼料類は、養殖環境が例年と比べ水温が高く細菌感染症等の被害の影響を受けるなどし、前期を下回りました。ハマチ飼料類、ヒラメ飼料類及びマダイ飼料類は、一部地域で赤潮発生による影響を受けましたが、新規販売先の獲得、既存販売先のシェア拡大及び受託生産販売の増加で、前期を大きく上回りました。一方、養殖事業においては生産不調や在庫の評価減に加え、新型コロナウイルス感染拡大により、各魚種の需要の減少、魚価の低迷、また出荷ルートの制限などにより収益性が低下している状況から、奄美クルマエビ株式会社においては当該固定資産に係る回収可能性を検討した結果減損損失1億72百万円を計上する結果となり親会社株主に帰属する純損失を計上する要因の一つとなりました。売上高は76億19百万円(前期比0.7%増)、セグメント損失は77百万円(前期セグメント利益4億82百万円)となりました。
食品事業においては、原材料及び物流費コスト上昇から親会社においては4年ぶりに全品価格改定を実施し利益改善に努めてまいりました。うどん・そば類及び棒状ラーメン類は、値上げに対応した価格訴求品及びOEM商品の取り扱いが増加したことから前期を上回りました。子会社におきましては、穀粉類等の販売は、他社メーカーとの価格競争及び大口取引先の内製化により減少しました。かき揚げ類はミニかき揚げ商品やかき揚げ丼の具材など企画提案を戦略的に行ったことから前期を上回りました。カレールー類及びジャム類は、量販店を中心に定番商品も安定的に伸長し前期を上回りました。売上高は48億23百万円(前期比3.4%増)、セグメント利益は3億6百万円(前期比22.6%増)となりました。
上記の他、当連結会計年度における経営成績の前連結会計年度との比較分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。
② 今後の見通し
2021年3月期の事業年度につきましては、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、水産物市場や養殖業界においても厳しい経営環境となっています。政府や自治体が不要不急の外出自粛や人と人の接触機会を減らす要請に、観光地、ホテル及び外食業界の魚需要が激減し、また、事業年度変わりの宴会及びイベント開催等の需要期にもかかわらず相次ぐ中止や休業等により、消費縮小で養殖魚もだぶつき気味となり、高級魚のマグロ、マダイ及びヒラメ等の取引価格も軒並み値下がりしている状況で、長期化すれば様々な業界や社会経済に多大な影響を及ぼすものと予想されます。
このような状況の下、水産事業の養魚用飼料製造販売におきましては、養殖魚の荷動きが鈍く鮮魚価格安の状況で厳しい事業環境にありますことから、養殖業者の支援や情報交換をさらに密にし、販売獲得に繋がる営業マンの質的向上を図ってまいります。また2019年3月期は、受託企業の内製化の影響を受け生産販売の大幅な減少がありましたが、受託企業との協力関係を築きながら安定的な受託生産を行うとともに、自社製品の国内及び海外の販売強化に努めてまいります。一方、新たな商材の「ウナギ用配合飼料」、「マグロ用配合飼料」の品質向上を図り市場開拓に取り組むほか、自社類似商品のアイテムを整理するなど生産性を高めてまいります。
子会社におきましては、鮮魚販売及び種苗生産販売は取引先との信頼関係が築かれ成長過程にあったものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、長期化すれば低調に推移することが予想されますことから、育てる漁業を前面に持続可能な漁業に寄与すべくグループ一丸となって相乗効果を高めてまいります。
食品事業におきましては、主力とする「皿うどん類」、「即席めん類」、「カップ類」及び「カレー・シチュー類」等の持続的成長を図ってまいります。また、既存店のアイテム拡大、新規導入店舗及びOEM取込みなどを積極的に行い、収益性を見極めながら営業強化と販売拡大に努めてまいります。しかしながら、原材料費や物流コストなどの上昇が懸念されますことから、あらゆるコスト削減に取り組んでまいります。
子会社におきましては、かき揚げ事業、香辛料・調味料事業が新型コロナウイルス感染拡大で外食業界取引が激減している状況の影響を受けており、長期化すれば低調に推移することが予想されますことから、情報共有や共同販促などによりグループブランド化に取り組んでまいります。
その結果、2021年3月期の連結業績見通しにつきましては、売上高133億96百万円、営業利益3億66百万円、経常利益4億6百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1億88百万円を見込んでおります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
ⅰ) 固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、主として事業単位を基準としてグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しています。
固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
ⅱ) 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産について、その回収可能性を考慮して、評価性引当額を計上しております。評価性引当額を計上する際には、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。