有価証券報告書-第100期(2024/04/01-2025/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」とい
う。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
■事業を取り巻く環境
当連結会計年度の世界経済は、リスクが高まる中でも底堅い成長を維持しました。世界貿易が回復基調となる一方で、各国のトップや政権交代により政策の不確実性が高い状態が継続しています。当社はこれまで現地生産・現地調達化の取り組みを進めてきましたが、今後も事業活動に影響を及ぼす各国の政策動向を注視し、適切かつ迅速な対応をしていきます。
自動車業界においては、原材料費や物流費の高止まりは依然としてあるものの、生産量は堅実に推移し、市場全体の売上規模は回復傾向にあった前年度とほぼ同レベルとなりました。一方、カーボンニュートラルに向けたBEV※1市場の成長は、各国における関連政策変更などの影響を受けて鈍化し、市場参入した多くのメーカーによる競争激化や淘汰が進みました。また、自動運転技術やコネクテッドカー技術の進展、SDV※2への関心の高まりなど、業界は技術革新と市場の変動が交錯し、変化に富んだものとなってきています。
■当期の事業概況
a.足許の競争力強化
当社は、原材料費、物流費が高止まりする中で、自動車生産台数の変動に柔軟に対応しつつ、販売価格と調達価格の両面で、適正な価格を維持することに努めてまいりました。また、従来から取り組んできましたシート骨格構成部品から完成シートまでの一貫した開発・生産体制の構築に向け、ものづくりのさらなる競争力強化を進めました。さらに、原価企画やVA※3の推進による変動費改善や、各地域の事業体ごとにきめ細やかな収益改善策を実施し、収益力強化を図りました。
b.中長期目線での取り組み
2030年中期経営計画で発表した当社の「2030年目指す姿」である「インテリアスペースクリエイター※4として快適な移動空間を実現し、製品、顧客の幅を広げながら社会課題の解決に貢献している会社」の実現に向けて取り組むため、2024年4月1日付で製品事業分野と技術開発分野の組織・体制を見直し、移動空間企画本部、移動空間開発本部、ユニット部品事業本部、技術開発本部に改編しました。車室空間全体の企画提案に適した体制となり、様々な取り組みを加速しています。
北京国際モーターショー2024では、くつろぎの空間を演出した空間コンセプトモック「LOUNZE」を、上海国際モーターショー2025では、お客さまが多彩なシーンに合わせて自在にアレンジできる居心地の良い車室空間コンセプトモック「MX OASIS」を提案しました。また、人とくるまのテクノロジー展2024では、リサイクル炭素繊維や天然繊維などを使用し軽量化と環境配慮を両立させたリカーボンシェルシートや、ナノレベルの構造制御技術を活用し天然繊維と樹脂(ポリプロピレン)を複合させることで、剛性と耐衝撃特性の両立を実現したCNF※5強化樹脂などを初出品しました。今後も、環境に配慮した技術・製品の開発や、価値を高めた車室空間・移動空間をみなさまにご提案し事業化につなげることで、企業価値向上に努めます。
※1 BEV(Battery Electric Vehicle):電気自動車
※2 SDV(Software Defined Vehicle):自動車を制御するソフトウェアのアップデートによって製造・販売されたあとも継続的に進化
する自動車
※3 VA(Value Analysis):提案製品の品質や機能を落とすことなく設計変更や工程変更によりコストダウンを実現するための手法の
一つ
※4 インテリアスペースクリエイター:構成部品一つからトータルコーディネートまで、お客さまの期待を超えるソリューションを創
造し、QUALITY OF TIME AND SPACE(すべてのモビリティーへ提供する“上質な時空間”)を提供できるリーディングカンパニー
※5 CNF(Cellulose Nano Fiber):セルロースナノファイバー
当連結会計年度の業績につきましては、連結売上収益は、グローバルでの生産台数の減少はあるものの、為替
影響により、前連結会計年度に比べ5億円(0.0%)増加の1兆9,542億円となりました。利益につきましては、減産影響や諸経費の増加に加え、減損損失の計上により、連結営業利益は、前連結会計年度に比べ368億円(△46.5%)減少の423億円、税引前利益は、前連結会計年度に比べ409億円(△46.5%)減少の470億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ418億円(△71.4%)減少の167億円となりました。
当連結会計年度末の財政状態につきましては、資産は、営業債権及びその他の債権の減少などにより、前連結会計年度末に比べ336億円減少の1兆948億円となりました。一方、負債は、前連結会計年度末に比べ300億円減少し、6,047億円となりました。主な要因は、営業債務及びその他の債務の減少によるものです。資本は、前連結会計年度末に比べ35億円減少し、4,900億円となりました。主な要因は、在外営業活動体の外貨換算差額の減少などによるものです。
セグメントごとの業績は、次のとおりであります。
<日本>売上収益は、生産台数は減少しているものの、車種構成の変化により、前連結会計年度に比べ164億円(1.8%)増加の9,392億円となりました。営業利益は、前年度の体質強化費用の影響やモデルチェンジに伴う新製品効果、車種構成の変化はあるものの、諸経費の増加や減損損失の計上により、前連結会計年度に比べ4億円(△4.5%)減少の101億円となりました。
<北中南米>売上収益は、為替影響はあるものの、生産台数の減少などにより、前連結会計年度に比べ112億円(△2.3%)減少の4,890億円となりました。営業損失は、合理化はあるものの、減産影響に加え、減損損失の計上により、260億円(前年同期は営業利益6億円)となりました。
<中国>売上収益は、生産台数の減少などにより、前連結会計年度に比べ27億円(△1.1%)減少の2,335億円となりました。営業利益は、合理化や為替影響はあるものの、減産影響などにより、前連結会計年度に比べ19億円(△10.4%)減少の165億円となりました。
<アジア>売上収益は、為替影響により、前連結会計年度に比べ122億円(4.5%)増加の2,862億円となりました。営業利益は、合理化や為替影響はあるものの、車種構成の変化や諸経費の増加により、前連結会計年度に比べ14億円(△3.7%)減少の361億円となりました。
<欧州・アフリカ>売上収益は、生産台数の減少などにより、前連結会計年度に比べ130億円(△10.0%)減少の1,181億円となりました。営業利益は、合理化や為替影響はあるものの、減産影響や車種構成の変化により、前連結会計年度に比べ64億円(△54.2%)減少の54億円となりました。
なお、当社は2024年3月15日に取得したSHIROKI AUTOMOTIVE INDIA PRIVATE LIMITED(現TOYOTA BOSHOKU DEVICE INDIA PRIVATE LIMITED)に係る暫定的な会計処理が、当連結会計年度において確定しています。これらの影響を遡及修正した後の数値に基づき、前連結会計年度との対比を行っております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物の期末残高は、2,497億円と前連結会計年度末に
比べ55億円(2.3%)の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動の結果増加した現金及び現金同等物は1,218億円となりました。これは主に、税引前利益470億円、減価償却費及び償却費560億円などにより資金が増加したことによるものです。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動の結果減少した現金及び現金同等物は609億円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による
支出726億円などにより資金が減少したことによるものです。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動の結果減少した現金及び現金同等物は543億円となりました。これは主に、リース負債の返済による支出
330億円、配当金の支払153億円などにより資金が減少したことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 北中南米セグメントにおいて、生産台数の減少などにより、生産実績が減少しております。
b.受注実績
当社グループは、主にトヨタ自動車株式会社をはじめとする各納入先より、四半期毎及び翌月の生産計画の提示を受け、生産能力を勘案して生産計画を立て生産しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 日本セグメントにおいて、生産台数の増加などにより、販売実績が増加しております。
3 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針及び4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、連結売上収益が、前連結会計年度に比べ5億円(0.0%)増加の1兆9,542億円となりました。連結営業利益は、前連結会計年度に比べ368億円(△46.5%)減少の423億円となりました。連結税引前利益は、前連結会計年度に比べ409億円(△46.5%)減少の470億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ418億円(△71.4%)減少の167億円となりました。
なお、当社グループは、経営成績に重要な影響を与える要因として、取引先である自動車メーカーの自動車生産
台数、販売台数及び販売車種等の変動の影響を受けております。
a.売上収益
売上収益は、グローバルでの生産台数の減少はあるものの、為替影響により、前連結会計年度に比べ5億円(0.0%)増加の1兆9,542億円となりました。
b.営業利益
営業利益は、減産影響や諸経費の増加に加え、減損損失の計上により、前連結会計年度に比べ368億円
(△46.5%)減少の423億円となりました。
c.税引前利益
税引前利益は、営業利益の減少などにより、前連結会計年度に比べ409億円(△46.5%)減少の470億円となりました。
d.法人所得税費用
法人所得税費用は、前連結会計年度に比べ14億円(7.1%)増加の212億円となりました。また、税引前
利益に対する比率は、前連結会計年度の22.6%から45.2%となりました。
e.親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ418億円(△71.4%)減少の167億円となり、基本的1株当たり当期利益は93円65銭となりました。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッ
シュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b.経営及び財務に関する考え方
当社グループは、経済的価値向上の成果をステークホルダーに長期安定的に還元するとともに、将来の成長分野へ積極的に投資することで、中長期的に企業価値の向上をはかることを「経営の目指す姿」とし、経営基盤と競争力を強化しつつ、お客さまや社会に対する提供価値の多面化や事業領域の拡大を進めております。
c.資金調達の方針及び方法
当社グループは、事業活動の継続、適切な流動性の維持及び財務構造の安定化、成長への投資を目的として、資金調達を実施しております。資金調達の方法については、直接金融、間接金融双方の市場環境を踏まえ、資金
調達方法の多様化や経済合理性の観点から総合的に判断し、決定しております。
設備投資や研究開発費などの長期資金需要については、金融機関からの長期借入金及び社債の発行にて対応し
ております。その際、返済負担の軽減を図るために、年度別の返済・償還額の平準化をしております。運転資金需要については短期借入金にて対応しております。
また、多様化する資金調達環境下において、安定的に資金調達可能な環境を確保すべく、当社グループは国
内の格付機関から格付を取得しております。本報告書提出日現在において、株式会社日本格付研究所より格付
AA(安定的)を付与されております。こうした外部機関からの当社グループへの財務状況に対する評価は一定
のキャッシュポジションを維持していることなどによるものであります。
また、緊急的な資金需要に対して、コミットメントラインを設定し、資金を確保できる体制を整えておりま
す。
④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成の状況を判断するための客観的な指標等
2023年11月に発表した中期経営計画において、2030年目指す姿を「インテリアスペースクリエイターとして快適な移動空間を実現し、製品、顧客の幅を広げながら社会課題の解決に貢献している会社」とし、2030年の財務目標として、売上収益2兆2,000億円、営業利益1,500億円、営業利益率7%を目標に掲げました。
2024年度の財務実績は、売上収益は、前期比5億円増加の1兆9,542億円、営業利益は、減損損失を計上したことなどにより、前期比368億円減少の423億円となりました。
2030年中期経営計画で定めた目標を達成するために、付加価値を向上させた新製品の投入や米国を中心とした収益改善活動を着実に進め、安定した収益構造の確立に取り組むとともに、人材戦略投資や研究開発などの先行投資を効率的に執行してまいります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」とい
う。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
■事業を取り巻く環境
当連結会計年度の世界経済は、リスクが高まる中でも底堅い成長を維持しました。世界貿易が回復基調となる一方で、各国のトップや政権交代により政策の不確実性が高い状態が継続しています。当社はこれまで現地生産・現地調達化の取り組みを進めてきましたが、今後も事業活動に影響を及ぼす各国の政策動向を注視し、適切かつ迅速な対応をしていきます。
自動車業界においては、原材料費や物流費の高止まりは依然としてあるものの、生産量は堅実に推移し、市場全体の売上規模は回復傾向にあった前年度とほぼ同レベルとなりました。一方、カーボンニュートラルに向けたBEV※1市場の成長は、各国における関連政策変更などの影響を受けて鈍化し、市場参入した多くのメーカーによる競争激化や淘汰が進みました。また、自動運転技術やコネクテッドカー技術の進展、SDV※2への関心の高まりなど、業界は技術革新と市場の変動が交錯し、変化に富んだものとなってきています。
■当期の事業概況
a.足許の競争力強化
当社は、原材料費、物流費が高止まりする中で、自動車生産台数の変動に柔軟に対応しつつ、販売価格と調達価格の両面で、適正な価格を維持することに努めてまいりました。また、従来から取り組んできましたシート骨格構成部品から完成シートまでの一貫した開発・生産体制の構築に向け、ものづくりのさらなる競争力強化を進めました。さらに、原価企画やVA※3の推進による変動費改善や、各地域の事業体ごとにきめ細やかな収益改善策を実施し、収益力強化を図りました。
b.中長期目線での取り組み
2030年中期経営計画で発表した当社の「2030年目指す姿」である「インテリアスペースクリエイター※4として快適な移動空間を実現し、製品、顧客の幅を広げながら社会課題の解決に貢献している会社」の実現に向けて取り組むため、2024年4月1日付で製品事業分野と技術開発分野の組織・体制を見直し、移動空間企画本部、移動空間開発本部、ユニット部品事業本部、技術開発本部に改編しました。車室空間全体の企画提案に適した体制となり、様々な取り組みを加速しています。
北京国際モーターショー2024では、くつろぎの空間を演出した空間コンセプトモック「LOUNZE」を、上海国際モーターショー2025では、お客さまが多彩なシーンに合わせて自在にアレンジできる居心地の良い車室空間コンセプトモック「MX OASIS」を提案しました。また、人とくるまのテクノロジー展2024では、リサイクル炭素繊維や天然繊維などを使用し軽量化と環境配慮を両立させたリカーボンシェルシートや、ナノレベルの構造制御技術を活用し天然繊維と樹脂(ポリプロピレン)を複合させることで、剛性と耐衝撃特性の両立を実現したCNF※5強化樹脂などを初出品しました。今後も、環境に配慮した技術・製品の開発や、価値を高めた車室空間・移動空間をみなさまにご提案し事業化につなげることで、企業価値向上に努めます。
※1 BEV(Battery Electric Vehicle):電気自動車
※2 SDV(Software Defined Vehicle):自動車を制御するソフトウェアのアップデートによって製造・販売されたあとも継続的に進化
する自動車
※3 VA(Value Analysis):提案製品の品質や機能を落とすことなく設計変更や工程変更によりコストダウンを実現するための手法の
一つ
※4 インテリアスペースクリエイター:構成部品一つからトータルコーディネートまで、お客さまの期待を超えるソリューションを創
造し、QUALITY OF TIME AND SPACE(すべてのモビリティーへ提供する“上質な時空間”)を提供できるリーディングカンパニー
※5 CNF(Cellulose Nano Fiber):セルロースナノファイバー
当連結会計年度の業績につきましては、連結売上収益は、グローバルでの生産台数の減少はあるものの、為替
影響により、前連結会計年度に比べ5億円(0.0%)増加の1兆9,542億円となりました。利益につきましては、減産影響や諸経費の増加に加え、減損損失の計上により、連結営業利益は、前連結会計年度に比べ368億円(△46.5%)減少の423億円、税引前利益は、前連結会計年度に比べ409億円(△46.5%)減少の470億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ418億円(△71.4%)減少の167億円となりました。
当連結会計年度末の財政状態につきましては、資産は、営業債権及びその他の債権の減少などにより、前連結会計年度末に比べ336億円減少の1兆948億円となりました。一方、負債は、前連結会計年度末に比べ300億円減少し、6,047億円となりました。主な要因は、営業債務及びその他の債務の減少によるものです。資本は、前連結会計年度末に比べ35億円減少し、4,900億円となりました。主な要因は、在外営業活動体の外貨換算差額の減少などによるものです。
セグメントごとの業績は、次のとおりであります。
<日本>売上収益は、生産台数は減少しているものの、車種構成の変化により、前連結会計年度に比べ164億円(1.8%)増加の9,392億円となりました。営業利益は、前年度の体質強化費用の影響やモデルチェンジに伴う新製品効果、車種構成の変化はあるものの、諸経費の増加や減損損失の計上により、前連結会計年度に比べ4億円(△4.5%)減少の101億円となりました。
<北中南米>売上収益は、為替影響はあるものの、生産台数の減少などにより、前連結会計年度に比べ112億円(△2.3%)減少の4,890億円となりました。営業損失は、合理化はあるものの、減産影響に加え、減損損失の計上により、260億円(前年同期は営業利益6億円)となりました。
<中国>売上収益は、生産台数の減少などにより、前連結会計年度に比べ27億円(△1.1%)減少の2,335億円となりました。営業利益は、合理化や為替影響はあるものの、減産影響などにより、前連結会計年度に比べ19億円(△10.4%)減少の165億円となりました。
<アジア>売上収益は、為替影響により、前連結会計年度に比べ122億円(4.5%)増加の2,862億円となりました。営業利益は、合理化や為替影響はあるものの、車種構成の変化や諸経費の増加により、前連結会計年度に比べ14億円(△3.7%)減少の361億円となりました。
<欧州・アフリカ>売上収益は、生産台数の減少などにより、前連結会計年度に比べ130億円(△10.0%)減少の1,181億円となりました。営業利益は、合理化や為替影響はあるものの、減産影響や車種構成の変化により、前連結会計年度に比べ64億円(△54.2%)減少の54億円となりました。
なお、当社は2024年3月15日に取得したSHIROKI AUTOMOTIVE INDIA PRIVATE LIMITED(現TOYOTA BOSHOKU DEVICE INDIA PRIVATE LIMITED)に係る暫定的な会計処理が、当連結会計年度において確定しています。これらの影響を遡及修正した後の数値に基づき、前連結会計年度との対比を行っております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物の期末残高は、2,497億円と前連結会計年度末に
比べ55億円(2.3%)の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動の結果増加した現金及び現金同等物は1,218億円となりました。これは主に、税引前利益470億円、減価償却費及び償却費560億円などにより資金が増加したことによるものです。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動の結果減少した現金及び現金同等物は609億円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による
支出726億円などにより資金が減少したことによるものです。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動の結果減少した現金及び現金同等物は543億円となりました。これは主に、リース負債の返済による支出
330億円、配当金の支払153億円などにより資金が減少したことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 前年同期比(%) |
日本 | 876,205 | 0.8 |
北中南米 | 454,121 | △3.0 |
中国 | 209,644 | 0.7 |
アジア | 256,306 | 4.1 |
欧州・アフリカ | 97,554 | △9.4 |
合計 | 1,893,832 | △0.3 |
(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 北中南米セグメントにおいて、生産台数の減少などにより、生産実績が減少しております。
b.受注実績
当社グループは、主にトヨタ自動車株式会社をはじめとする各納入先より、四半期毎及び翌月の生産計画の提示を受け、生産能力を勘案して生産計画を立て生産しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 前年同期比(%) |
日本 | 863,370 | 1.8 |
北中南米 | 483,972 | △2.3 |
中国 | 222,065 | △1.2 |
アジア | 269,372 | 5.4 |
欧州・アフリカ | 115,438 | △10.8 |
合計 | 1,954,218 | 0.0 |
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 日本セグメントにおいて、生産台数の増加などにより、販売実績が増加しております。
3 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
トヨタ自動車㈱ | 450,992 | 23.1 | 448,758 | 23.0 |
トヨタ車体㈱ | 199,711 | 10.2 | 220,899 | 11.3 |
トヨタ モーター ノース アメリカ㈱ | 228,214 | 11.7 | 207,926 | 10.6 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針及び4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、連結売上収益が、前連結会計年度に比べ5億円(0.0%)増加の1兆9,542億円となりました。連結営業利益は、前連結会計年度に比べ368億円(△46.5%)減少の423億円となりました。連結税引前利益は、前連結会計年度に比べ409億円(△46.5%)減少の470億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ418億円(△71.4%)減少の167億円となりました。
なお、当社グループは、経営成績に重要な影響を与える要因として、取引先である自動車メーカーの自動車生産
台数、販売台数及び販売車種等の変動の影響を受けております。
a.売上収益
売上収益は、グローバルでの生産台数の減少はあるものの、為替影響により、前連結会計年度に比べ5億円(0.0%)増加の1兆9,542億円となりました。
b.営業利益
営業利益は、減産影響や諸経費の増加に加え、減損損失の計上により、前連結会計年度に比べ368億円
(△46.5%)減少の423億円となりました。
c.税引前利益
税引前利益は、営業利益の減少などにより、前連結会計年度に比べ409億円(△46.5%)減少の470億円となりました。
d.法人所得税費用
法人所得税費用は、前連結会計年度に比べ14億円(7.1%)増加の212億円となりました。また、税引前
利益に対する比率は、前連結会計年度の22.6%から45.2%となりました。
e.親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ418億円(△71.4%)減少の167億円となり、基本的1株当たり当期利益は93円65銭となりました。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッ
シュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b.経営及び財務に関する考え方
当社グループは、経済的価値向上の成果をステークホルダーに長期安定的に還元するとともに、将来の成長分野へ積極的に投資することで、中長期的に企業価値の向上をはかることを「経営の目指す姿」とし、経営基盤と競争力を強化しつつ、お客さまや社会に対する提供価値の多面化や事業領域の拡大を進めております。
c.資金調達の方針及び方法
当社グループは、事業活動の継続、適切な流動性の維持及び財務構造の安定化、成長への投資を目的として、資金調達を実施しております。資金調達の方法については、直接金融、間接金融双方の市場環境を踏まえ、資金
調達方法の多様化や経済合理性の観点から総合的に判断し、決定しております。
設備投資や研究開発費などの長期資金需要については、金融機関からの長期借入金及び社債の発行にて対応し
ております。その際、返済負担の軽減を図るために、年度別の返済・償還額の平準化をしております。運転資金需要については短期借入金にて対応しております。
また、多様化する資金調達環境下において、安定的に資金調達可能な環境を確保すべく、当社グループは国
内の格付機関から格付を取得しております。本報告書提出日現在において、株式会社日本格付研究所より格付
AA(安定的)を付与されております。こうした外部機関からの当社グループへの財務状況に対する評価は一定
のキャッシュポジションを維持していることなどによるものであります。
また、緊急的な資金需要に対して、コミットメントラインを設定し、資金を確保できる体制を整えておりま
す。
④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成の状況を判断するための客観的な指標等
2023年11月に発表した中期経営計画において、2030年目指す姿を「インテリアスペースクリエイターとして快適な移動空間を実現し、製品、顧客の幅を広げながら社会課題の解決に貢献している会社」とし、2030年の財務目標として、売上収益2兆2,000億円、営業利益1,500億円、営業利益率7%を目標に掲げました。
2024年度の財務実績は、売上収益は、前期比5億円増加の1兆9,542億円、営業利益は、減損損失を計上したことなどにより、前期比368億円減少の423億円となりました。
2030年中期経営計画で定めた目標を達成するために、付加価値を向上させた新製品の投入や米国を中心とした収益改善活動を着実に進め、安定した収益構造の確立に取り組むとともに、人材戦略投資や研究開発などの先行投資を効率的に執行してまいります。