有価証券報告書-第73期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/22 15:01
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果により、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、物価の上昇に加え、米国の通商・関税政策の動向や中東情勢の不安定化など、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
教育界においては、現行の学習指導要領のもと、2024年度に小学校用教科書、2025年度に中学校用教科書が改訂されました。「英語」では、小中学校において従来の紙の教科書に加えデジタル教科書が導入されるなど、教科書のデジタル化が進展しております。
教育現場では、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を通して、学習指導要領が掲げる「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善が進められております。一方で、児童・生徒への多様な対応や心のケアなど教育課題が複雑化しており、教師の業務負担軽減が重要な課題の一つとなっております。
また、中央教育審議会では、次期学習指導要領の改訂やデジタル教科書の在り方等に関する議論が重ねられ、2025年9月にはこれまでの検討の論点整理が示されました。そこでは、小中学校における授業時数の柔軟な運用を可能とする「調整授業時数制度」の導入や、1人1台端末やクラウド環境等のデジタル学習基盤を活用した情報教育の充実などの方向性が示されました。また、教科書については、将来的にデジタル教科書を正式な教科書として位置付けることが望ましいとの考え方も示されました。現在、各教科における具体的な検討が、2026年度中の答申取りまとめを目指して継続しております。
さらに、教育のICT環境整備を推進してきた「GIGAスクール構想」は第2期の段階に入り、デジタル学習基盤の活用を通じた学力向上や教育の質の向上に加え、教師の業務負担軽減への期待も高まっております。
このような教育環境の変化のもと、当社グループでは、テスト・ドリルなどの紙教材の強みを活かしながらデジタルを効果的に組み合わせた教材開発を進め、教育現場の多様なニーズへの対応を図ってまいりました。また、教師の業務負担軽減にも寄与できるよう、デジタルを活用した保護者と教師をつなぐ連絡支援システムや、児童・生徒の心のケアを支援するシステムなどの開発及び普及にも取り組んでまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比較して136,751千円減少し、19,874,587千円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比較して593,455千円減少し、4,231,817千円となりました。当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末と比較して456,704千円増加し、15,642,769千円となりました。当連結会計年度末の自己資本比率は78.7%で引き続き比較的高い数値を維持しております。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高12,139,172千円(前年同期比2.6%減)と、減収となりました。利益につきましては、営業利益782,296千円(前年同期比9.0%減)、経常利益853,421千円(前年同期比8.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益552,480千円(前年同期比8.2%減)と、減益となりました。
なお、主力商品であるテスト・ドリル等の出版物は、文部科学省が定める学習指導要領や教科書に準拠する必要があるため、その定期的な改訂に伴い内容を見直す必要があります。教科書改訂は小学校においては2024年度に実施され、教育現場のニーズに対応した教材が提供できるかどうかが売上に影響を及ぼします。また、日本が抱える少子化傾向が進行し市場が縮小することも売上に影響を及ぼします。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
・出版
小学校図書教材においては、2024年度に改訂された教科書が2年目を迎えました。教育現場から求められる「知識及び技能」や「思考力・判断力・表現力等」を育み評価できる教材が引き続き教育現場において高く支持されました。
評価教材では、「見方・考え方」を働かせながら、基礎・基本から活用までの学習内容を的確に評価できる紙面企画や新たに開発した児童の学力向上のためのデジタル企画のほか、教師の業務負担軽減を目的とした採点支援ツール等の企画が教育現場から好評を得ることができました。
習熟教材では、基礎的な学習内容が確実に定着する紙面の企画に加え、デジタル端末を活用する企画が受け入れられました。
一方で、市場での競合の激化や採用ニーズの分散化などにより、評価教材・習熟教材ともに売上高が減少いたしました。
中学校教材では、新学期教材は好調に推移した一方、冬休み教材や入試対策教材などが採用制限の影響を受けた結果、売上高が減少いたしました。
この結果、当セグメントの売上高は8,385,700千円(前年同期比3.1%減)、営業利益は1,412,347千円(前年同期比0.5%減)となりました。
・教具
小学校教材・教具においては、原材料費などの高騰や授業における使用頻度の減少傾向が見られました。加えて、新しい教科書に掲載された作品例の変更や採用時期の変化、公費による一括採用を行う自治体の増加などにより、採用状況に大きな変化が見受けられました。
「書道セット」では、学校現場での購入方法が多様化した影響等により、売上高が減少いたしました。
中学校・高等学校向けの家庭科教材では、保護者に対する費用負担軽減の観点から安価な商品を求める現場ニーズが増加したことにより、売上高が減少いたしました。
この結果、当セグメントの売上高は3,753,472千円(前年同期比1.5%減)、営業利益は413,916千円(前年同期比7.6%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して294,657千円減少して6,576,648千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金収支は352,199千円で、前連結会計年度と比較して292,874千円減少(前年同期の資金収支は645,074千円)となりました。営業活動によるキャッシュ・フローが減少した主な要因は、税金等調整前当期純利益が110,926千円減少、棚卸資産の増減額が480,613千円増加、仕入債務の減少額が608,078千円増加したことによります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、取引適正化に向けた法改正への対応として、仕入債務の支払サイトを短縮したことなどにより、減少に推移いたしました。決算期ごとに営業活動によるキャッシュ・フローの推移をみていきますと、2021年3月期781,903千円、2022年3月期739,807千円、2023年3月期784,405千円、2024年3月期472,822千円、2025年3月期645,074千円、2026年3月期352,199千円となっております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金収支は△441,417千円で、前連結会計年度と比較して407,348千円減少(前年同期の資金収支は△34,069千円)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローが減少した主な要因は、投資有価証券の取得による支出が300,000千円減少、投資有価証券の償還による収入が700,000千円減少したことによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、社債の取得による支出と償還による収入の増減により影響を受けております。また、設備投資につきましては、セグメントの出版における製品の製作は外注の印刷会社に委託いたしますので、印刷機械等の有形固定資産の取得による支出はほとんどありません。セグメントの教具における製品の製作も外注に依存しておりますが、裁縫セット、画材セット等を製作するために必要な金型の取得による支出が発生する場合があります。その他の有形固定資産の取得による支出の主な内容は本社建物等の改修費用であり、無形固定資産の取得による支出は主に基幹システムの追加開発や販売目的のソフトウエアの開発による支出であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金収支は△205,439千円で、前連結会計年度と比較して62,460千円減少(前年同期の資金収支は△142,978千円)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローが減少した主な要因は、短期借入金の純増減額が50,000千円減少、配当金の支払額が12,460千円増加したことによります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、2008年3月期より配当金の支払額については、文溪堂単体の当期純利益の40%相当額を目処に年間配当金総額を決定しており、配当金の支払額は当期純利益により変動いたします。また、借入金につきましては、文溪堂単体の借入金は発生しておりませんが、子会社の㈱学宝社において借入金が発生しております。現在のところ、財務活動による資金調達は内部資金及び金融機関からの借入金で対応できると認識しております。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2025年4月1日
至 2026年3月31日)
前年同期比(%)
出版(千円)8,443,91694.8
教具(千円)2,572,82299.8
合計(千円)11,016,73895.9

(注)金額は販売価格によっております。
b.受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2025年4月1日
至 2026年3月31日)
前年同期比(%)
出版(千円)8,385,70096.8
教具(千円)3,753,47298.4
合計(千円)12,139,17297.3

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は19,874,587千円となり、前連結会計年度末と比較して136,751千円減少しました。
流動資産の残高は13,168,399千円で、前連結会計年度末と比較して314,668千円減少しました。流動資産の主な増減は、現金及び預金の減少294,657千円、受取手形及び売掛金の減少47,823千円、有価証券の増加398,800千円、セグメントの出版における小学校図書教材の改訂編集費用の減少により仕掛品の減少364,234千円であります。
固定資産の残高は6,706,188千円で、前連結会計年度末と比較して177,917千円増加しました。固定資産の主な増減は、建物及び構築物の増加118,366千円、ソフトウエアの増加33,781千円、投資有価証券の減少20,019千円、関係会社株式(投資その他の資産その他)の増加45,214千円であります。
流動負債の残高は3,337,577千円で、前連結会計年度末と比較して732,051千円減少しました。流動負債の主な増減は、支払手形及び買掛金の減少82,601千円、電子記録債務の減少793,324千円、短期借入金の増加105,000千円、未払金(流動負債その他)の増加211,087千円であります。
固定負債の残高は894,240千円で、前連結会計年度末と比較して138,596千円増加しました。固定負債の主な増減は、繰延税金負債の増加90,432千円、資産除去債務の増加33,160千円であります。
純資産は15,642,769千円で、前連結会計年度末と比較して456,704千円増加しました。純資産の主な増減は、利益剰余金の増加246,364千円、その他有価証券評価差額金の増加209,037千円であります。
(b)経営成績の分析
当連結会計年度における売上高は12,139,172千円(前年同期比2.6%減)となりました。売上高が減少した主な要因は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
売上原価は6,923,901千円(前年同期比3.8%減)、売上総利益は5,215,271千円(前年同期比1.1%減)となりました。売上原価が減少した主な要因は、セグメントの出版において、売上高の減少と小学校図書教材における編集費用負担が減少したためであります。
販売費及び一般管理費は4,432,975千円(前年同期比0.3%増)となりました。主な増減は、給与及び手当が14,833千円増加、発送業務の外部委託見直しにより賃借料が17,671千円減少、デジタル活用等に伴う支払手数料(その他の経費)が31,591千円増加いたしました。以上の結果、営業利益は782,296千円(前年同期比9.0%減)となりました。
営業外収益は前連結会計年度の76,347千円から増加し76,831千円となりました。主な増減は、受取利息が8,218千円増加となります。以上の結果、経常利益は853,421千円(前年同期比8.6%減)となりました。
特別利益は固定資産売却益を1,338千円計上いたしました。法人税等合計は302,279千円(前年同期比16.8%減)となりました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は552,480千円(前年同期比8.2%減)となりました。
なお、当社では、セグメントの出版では、定期的に実施される教科書改訂に伴い出版物を改訂しているために、下記のような出版物の改訂年度の編集費用の処理方法を行っております。「第5[経理の状況]2[財務諸表等](1)[財務諸表]5.その他財務諸表作成のための基本となる重要な事項」参照
教科書改訂に伴う出版物の改訂編集費用は、改訂初年度50%、2年度30%、3年度20%に按分して製品原価を計算しております。当期の小学校図書教材においては、2025年度品の出版物は改訂2年目にあたるため、教科書改訂に伴う改訂編集費用の30%にて製品原価を計算しております。
上記の出版物の改訂年度の編集費用の処理により、通常は、改訂初年度50%にて計算された原価の製品を販売した決算期の売上原価が高くなり、2年度目、3年度目、4年度目と売上原価が小さくなる傾向があります。ただし、仮に改訂初年度の決算期における売上が減少し、売上を挽回するために2年度目に製品の部分改訂を実施し、編集費用が増加すると売上原価が上昇する要因となります。この2年度以降の部分改訂の編集費用は繰り延べ処理をせずに製造原価を計算しております。また、改訂初年度の前年の決算期においては、改訂する前の製品が次期(改訂初年度)に使用することができず在庫処分となり、その費用が売上原価の増加につながります。なお、通常、中学校の教科書改訂に伴う出版物の改訂は小学校の1年後に実施されます。
セグメントごとの経営成績に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
売上高につきましては、出版が8,385,700千円、教具が3,753,472千円となっており、売上高割合は出版が69.1%、教具が30.9%となっております。
報告セグメントに配分していない管理部門の販売管理費等の全社費用を除いたセグメント利益では、出版が1,412,347千円で売上高セグメント利益率は16.8%、教具が413,916千円で11.0%であります。両セグメントの利益率の差の主な要因は、出版は製作ロット数が多くなれば1冊当たりの原価が低くなりますが、教具は1個当たりの原価が低くならないことが挙げられます。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、「第2[事業の状況]3[事業等のリスク]」に記載しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。営業活動による資金収支に影響を与える要因として編集費用があります。教科書改訂に伴う出版物の改訂編集費用が発生した決算期は、改訂編集費用の支払いが多くなり、営業活動による収支は悪化する傾向にあります。
運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は借入により資金調達することとしております。決算日現在、短期借入金は540,000千円、長期借入金は100,000千円であります。
当社グループの主な運転資金需要は、製品製造のための原材料や加工賃、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。資金繰りの面では必要な手元資金を確保しておりますが、原油価格の上昇に起因する原材料価格の高騰や円安傾向による販管コストの増加を受け、事業活動に影響が出て、突発的な資金手当てが必要となった場合には、借入金にて十分な対応が可能と判断しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用した会計方針は、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][注記事項]」をご参照下さい。
また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等][注記事項](重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

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