有価証券報告書-第149期(2025/04/01-2026/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当年度の業績および財政状態は以下のとおりとなりました。
なお、当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントのため、セグメントごとの経営成績の記載を
省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」をご参照下さい。
③ 生産、受注及び販売の状況
(a) 生産実績
当年度における生産実績は次のとおりであります。
(注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。
2 生産実績金額は、販売価格によっております。
(b) 受注状況
当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画をたてて生産しており、一部の受注生産における受注高および受注残高の金額に重要性はありません。
(c) 販売実績
当年度における販売実績は次のとおりであります。
(注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。
2 販売実績は、外部顧客に対する売上収益を表示しております。
3 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 当年度の経営成績の分析
(a) 当社グループの経営成績に影響を与える事項
事業の概況
当社グループは、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業として、消化器系・炎症性疾患、ニューロサイエンス、およびオンコロジーの重点疾患領域において、革新的な医薬品を創出し続けることを追求するとともに、血漿分画製剤およびワクチンをお届けすることにも注力しています。当社グループはパートナーとともに、強固なパイプラインを通じて、患者さんの治療体験の向上を図り、希少疾患および有病率がより高い疾患のいずれにおいても治療パラダイムの変革に取り組んでいます。また、バリューチェーン全体にわたり先進技術や人工知能(AI)の統合を進めることで、事業運営の有効性と効率性を高め、イノベーションを促進し、ステークホルダーへの提供価値の向上につなげています。当社グループは、約80の国と地域で医薬品を販売しており、世界中に製造拠点を有するとともに、日本および米国に主要な研究拠点を有しています。販売においては、米国、日本および欧州において非常に高いプレゼンスを有しており、中国においても成長している事業を展開しています。当社グループの従業員は、私たちの存在意義のもとに結束し、2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に根ざして行動しています。
当社グループの事業は単一セグメントであり、資源配分、業績評価、および将来業績の予測においてマネジメントの財務情報に対する視点と整合しております。2026年3月期における売上収益および営業利益はそれぞれ4兆5,057億円および62億円であります。
当社グループの経営成績に影響を与える事項
当社グループの経営成績は、グローバルな業界トレンドや事業環境における以下の事項に影響を受けます。
特許保護と後発品との競争
医薬品は特に、特許保護や規制上の独占権によって市場競争が規制されることにより、当社グループの業績に貢献する場合があります。代替治療の利用が容易でない新製品は当社グループの売上の増加に貢献します。ただし、保護されている製品についても、効能、副作用や価格面で他社との競争が存在します。一方で、特許保護もしくは規制上の独占権の喪失や満了により、後発品が市場に参入するため、当社グループの業績に大きな悪影響を及ぼすことがあります。当社グループの主要製品の一部は、特許やその他の知的財産権保護の満了により、厳しい競争に晒されており、あるいは晒されると予想しています。以下は、過去2年間において、後発品またはバイオシミラーが発売された当社の一部の主要製品の業績を示しています。(「CER(Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベース」の増減は、IFRSに準拠した指標ではありません。詳細については、「④ 当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。)
(単位:億円、%以外)
後発品の浸透の影響により、2023年8月に米国において物質特許が満了したVYVANSE/ELVANSEおよび2023年2月に日本において後発品が医薬品医療機器総合機構(PMDA)により承認されたアジルバ(競合品の薬価収載は2023年6月に承認)について、関連する国・地域において、両製品の売上収益が減少しました。VYVANSE/ELVANSEの売上収益は2025年3月期の3,506億円から2026年3月期には2,032億円に減少し、アジルバの売上収益は2025年3月期の118億円から2026年3月期には71億円に減少しました。2027年3月期においても、両製品ともに減少傾向が続くと見込んでいます。さらに、2026年3月期に1,218億円の売上収益を計上しているトリンテリックスについても、2026年12月に一定の独占期間が満了することに伴い、後発医薬品との競争に直面することが見込まれています。
なお、後発品を販売する他社が特許権の有効性に対する申し立てに成功する場合、もしくは想定される特許侵害訴訟に係る費用以上のベネフィットを前提として参入することを決定する場合があります。また、当社グループの特許権の有効性、あるいは製品保護に対する申し立てが提起された場合には、関連する無形資産の減損損失を認識する可能性があります。
新製品の開発・商業化および既存製品の拡大
当社は特に売上収益を伸長し、独占権喪失の影響を相殺することを目指しており、当社の事業において、新規のバイオ医薬品の開発・商業化のほか、既存製品の適応拡大および(または)地理的市場拡大による既存製品の拡大は重要な取組みです。これらの目標達成までのプロセスは長期にわたり多額の費用を伴い、多額の研究開発費が発生します。これらは当社の連結損益計算書上営業費用として計上しています。当社の研究開発の取組みに関する詳細については、本報告書の「6.研究開発活動」、製品に関連する研究開発費(償却および減損を含む)および無形資産の会計方針については、本報告書の「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3 重要性がある会計方針」をご参照ください。
2026年3月期において、当社は、当社のポートフォリオのうち一部の製品を「成長製品・新製品(注)」として特定し、当社の経営陣はこれらの製品を将来の主要な成長ドライバーとしてモニタリングしておりました。これらの成長製品・新製品は、2026年3月期において、当社の連結売上収益の51%を占める2兆3,133億円でありました。2026年3月期の内訳としては、ENTYVIOは9,580億円(当社の連結売上収益の21%)、当社の免疫グロブリン製剤(GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトル)は7,906億円(当社の連結売上収益の18%)、アルブミン製剤は1,403億円(当社の連結売上収益の3%)、タクザイロは2,239億円(当社の連結売上収益の5%)となりました。
2027年3月期より、当社は、「成長製品・新製品」の区分を廃止し、発売後5年以内の製品から構成される「新製品(New Launches)」および、発売後6年以上が経過し、年間売上収益が1,000億円以上であり、かつ引き続き積極的に販売活動を行っている製品から構成される「コア製品(Core In-line Brands)」という区分を新たに設定しております。
ライフサイクルの初期段階にある新製品は、連結売上収益への貢献は限定的である場合がありますが、当社の経営者はこれらの製品を将来の主要な成長ドライバーとしてモニターしており、これらの製品に関する情報は、当社が今後成長を見込んでいる領域を投資家に理解していただくにあたり有用であると考えています。
当グループを構成する製品は随時変更され、臨床試験の結果や規制当局の認可取得等により、製品を追加または除外する場合があります。
2027年3月期の期首時点において、新製品(New Launches)はEOHILIA、リブテンシティ、アジンマ、FRUZAQLAおよびQDENGAから構成され、コア製品(Core In-line Brands)はENTYVIO、GATTEX/レベスティブ、タケキャブ/VOCINTI、タクザイロ、免疫グロブリン製剤(GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む)、アルブミン製剤(HUMAN ALBUMIN/FLEXBUMINを含む)およびアドセトリスから構成されています。
2026年3月期において、当期に達成した良好な臨床第3相試験結果に基づき、oveporextonおよびrusfertideについてFDAへの承認申請を行い、これらの申請はFDAに受理され、両資産について優先審査(Priority Review)が付与されました。さらに、zasocitinibについては良好な臨床第3相試験結果が得られており、近い将来にFDAへの承認申請を行うことを見込んでいます。
これらの資産について上記が成功した場合には、2026年から2027年にかけて上市され、当社が開示する製品区分において新製品(New Launches)として位置づけられる可能性があります。
(注)本報告書日現在において、2026年3月期の成長製品・新製品は、以下のとおりです。
ENTYVIO、EOHILIA、タクザイロ、リブテンシティ、アジンマ、免疫グロブリン製剤(GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む)、アルブミン製剤(HUMAN ALBUMIN、FLEXBUMINを含む)、FRUZAQLA、アルンブリグおよびQDENGA
買収
当社グループは、研究開発能力を拡大し(新たな手法に展開することを含みます。)、新しい製品(開発パイプラインや上市済み製品)やその他の戦略的領域を獲得するために、新たな事業または資産を買収する可能性があります。同様に、当社グループの主な成長ドライバーに注力するため、また当社グループのポートフォリオを維持するために、事業や製品ラインを売却しております。
これらの買収は企業結合または資産の取得として会計処理されております。企業結合の場合、取得した資産および引き受けた負債は公正価値で計上されております。当社グループの業績は、通常、棚卸資産の公正価値の増加や、取得した有形固定資産および無形資産の償却費により影響を受けます。また、資産の取得の場合、取得した資産は取引価格で計上されております。企業結合または資産の取得の対価が追加的な借入金で賄われている場合、支払利息の増加も当社グループの業績に影響を与えます。
2025年3月期および2026年3月期、ならびに本報告書提出日までにおいて、重要な事業または資産の買収はありません。なお、共同研究、ライセンス契約およびその他の資産取得については、本報告書の「6 研究開発活動 ライセンスおよび共同研究開発契約」ならびに「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 13 共同研究開発契約、ライセンス契約、その他の資産取得等」をご参照ください。
事業売却
買収に加え、当社グループは、主要な成長ドライバーに注力し、また長期借入金を速やかに返済するための追加キャッシュ・フローを創出するため、事業や製品ラインを売却しております。以下は、2025年3月期において実施または発表された重要な事業売却になります。なお、2026年3月期、ならびに2026年4月1日から本報告書提出日までの期間において、重要な事業売却はありません。
当社グループは、2025年3月期にTeva Pharmaceutical Industries Ltd.(「テバ社」)と日本国内において展開するジェネリック医薬品および長期収載品を中心とした合弁事業について、これを解消する方向でテバ社と協議することを決定しました。これに伴い、武田テバファーマ株式会社の全株式である関連会社株式を売却目的で保有する資産に分類し、2025年3月期において189億円の減損損失を計上しました。2025年3月に当該譲渡が完了したことによる売却収入は508億円の受取配当金を含む565億円であり、2025年3月期の連結キャッシュ・フロー計算書に計上された関連会社株式の売却による収入577億円の大部分を構成しています。また、過去の取引で発生した未実現利益が譲渡完了時に実現したことにより17億円と38億円をそれぞれ売上収益とその他の営業収益に計上しました。
原材料の調達による影響
重要な原材料を社内外から調達することができない場合に、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、ヒト血漿は当社グループの血漿分画製剤において重要な原材料であります。血漿をより多く収集するため、調達および外部との契約を強化し、原料血漿の収集や血漿分画に関連する施設への委託、および規制当局から承認を受けることに成功するための取り組みを行っております。
外国為替変動
2025年3月期および2026年3月期において、当社グループでは日本以外の売上がそれぞれ90.9%、90.4%を占めております。当社グループの業績は、特に当社の表示通貨である日本円に対する米ドルおよびユーロの外国為替レートの変動に影響を受けます。円安は日本円以外の通貨による収益の増加要因となり当社グループの業績に好影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の増加により相殺される可能性があります。とりわけ、2025年3月期および2026年3月期において、他の通貨に対する円安により、当社の売上収益はプラスの影響を受けました。反対に、円高は日本円以外の通貨による収益減少要因となり当社グループの業績に悪影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の減少により相殺される可能性があります。前年度からの為替レートの変動が当社グループの業績に与える影響を投資家がより良く理解できるよう、当社グループは、補足的にCER(Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベースの増減を「CER」の表記で示しています。IFRSに準拠した実勢レート(Actual Exchange Rate)ベースの増減は「AER」の表記で示しています。CERベースの増減率に基づく対前年度の業績比較分析については、下記の「(c) 当年度における業績の概要」及び「(d) 当年度におけるCore業績の概要」をご参照ください。
また、「CERベースの増減」は、国際会計基準(IFRS)に準拠した指標ではありません。詳細については、「④ 当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。
なお、為替変動リスクを低減するため、当社グループは重要な一部の外貨建取引について、特定のヘッジ手段を利用しております。これには、主に個別に重要な外貨建取引に対する先物為替予約、通貨スワップおよび通貨オプションが含まれます。
季節的要因
当社グループの売上収益は、2025年3月期および2026年3月期において第4四半期に減少しています。これは、年末年始休暇および価格引き上げを控え、各国・地域において卸売業者が発注を増加させること、および暦年の年初の米国における保険の年間免責額の改定等によるものです。
(b) 重要な会計方針
当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠して作成されております。当連結財務諸表の作成にあたり、経営者は資産および負債の金額、決算日現在の偶発資産および偶発負債の開示、ならびに報告期間における収益および費用の金額に影響を及ぼす見積りおよび仮定の設定を行うことが求められております。見積りおよび仮定は、継続的に見直されます。経営者は、過去の経験、ならびに見積りおよび仮定が設定された時点において合理的であると判断されたその他の様々な要因に基づき当該見積りおよび仮定を設定しております。実際の結果はこれらの見積りおよび仮定とは異なる場合があります。
経営者の見積りおよび仮定に影響を受ける重要な会計方針は以下のとおりであります。なお、見積りおよび仮定の変更が連結財務諸表に重大な影響を及ぼす可能性があります。
収益認識
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3 重要性がある会計方針 (5) 収益」をご参照ください。
のれんおよび無形資産の減損
当社グループは、のれんおよび無形資産について、資産の帳簿価額が回収不能であるかもしれないことを示す事象または状況の変化がある場合には、減損テストを行っております。のれんおよび償却開始前の無形資産については、年次および減損の兆候を捕捉した時点で減損テストを実施しております。2026年3月31日時点において、当社グループはのれんおよび無形資産をそれぞれ5兆8,090億円および3兆4,193億円計上しており、これは総資産の59.5%を占めております。
上市後製品に係る無形資産は特許が存続する見込期間または見込まれる経済的便益に応じた他の指標に基づき、3年から20年の耐用年数を用いて定額法で償却しております。仕掛研究開発品に係る無形資産は、特定の市場における商用化が規制当局により承認されるまで償却をしておりません。商用化が承認された時点で、当該資産の見積耐用年数を確定し、償却を開始しております。
のれんおよび無形資産は、通常、連結財政状態計算書上の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には減損していると判断されます。無形資産にかかる回収可能価額は個別資産、またはその資産が他の資産と共同で資金を生成する場合はより大きな資金生成単位ごとに見積られます。資金生成単位は独立したキャッシュ・インフローを形成する最小の識別可能な資産グループであります。のれんの減損テストは単一の事業セグメント単位(単一の資金生成単位)で実施しており、これはのれんを内部管理目的で監視している単位を表しています。回収可能価額の見積りには以下を含む複数の仮定の設定が必要となります。
·将来キャッシュ・フローの金額および時期
·競合他社の動向(競合製品の販売開始、マーケティングイニシアチブ等)
·規制当局からの承認の取得可能性
·将来の税率
·永続成長率
·割引率
将来キャッシュ・フローの金額および時期を見積るための重要な仮定には、研究開発プロジェクトの成功見込みおよび製品に係る売上予測があります。特にのれんにかかる回収可能価額の見積りにおいては、米国における特定の製品に係る売上予測が重要な仮定となります。これらの仮定に影響を与える事象としては、開発の中止、大幅な上市の遅延、規制当局の承認が得られないことによる研究開発プロジェクトの失敗、もしくは一般的には新たな競合製品の販売開始や供給不足による、一部の上市後製品にかかる売上予測の低下があげられます。これらの事象が発生した場合、プロジェクト獲得以降に実施した当初もしくは事後の研究開発投資額が回収できない、もしくは見積った将来キャッシュ・フローが回収できない可能性があります。
これらの仮定に変更が生じた場合は、当該連結会計年度において減損損失および、のれんを除き、減損損失の戻入れを認識しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 11 のれん および 12 無形資産」をご参照ください。
訴訟に係る偶発事象
当社グループは、通常の営業活動において主に製造物責任訴訟および賠償責任訴訟に関与しております。詳細については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 31 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。
偶発負債は、その特性から不確実なものであり複雑な判断や可能性に基づいております。訴訟およびその他の偶発事象に係る引当金を算定する際には、該当する訴訟の根拠や管轄、その他の類似した現在および過去の訴訟案件の顛末および発生数、製品の性質、訴訟に関する科学的な事項の評価、和解の可能性ならびに現時点における和解にむけた進行状況等を勘案しております。さらに、未だ提訴されていない製造物責任訴訟については、主に過去の訴訟の経験や製品の使用に係るデータに基づき、費用を合理的に見積ることができる範囲で引当金を計上しております。当社グループが関与する重要な訴訟のうち、それらの最終的な結果により財務上の影響が見込まれる場合であっても、その額について信頼性のある見積りが不可能な訴訟等については、引当金の計上は行っておりません。また、保険の補償範囲期間内である場合は保険による補償についても考慮しております。補償範囲の検討の際に、当社グループは、保険契約の制限や除外、保険会社による補償の拒否の可能性、保険業者の財政状態、ならびに回収可能性および回収期間を考慮しております。引当金および関連する保険補償額の見積りは、連結財政状態計算書上において負債および資産として総額で計上しております。2026年3月31日現在において、係争中の訴訟案件およびその他の案件について4,157億円の引当金を計上しております。
法人所得税
当社グループは、税法および税規制の解釈に基づき税務申告を行っており、これらの判断および解釈に基づき税金引当額を計上しております。通常の営業活動において、当社グループの税務申告は様々な税務当局による税務調査の対象であり、これらの調査の結果、追加税額、利息、または罰金の支払いが課される場合があります。各法域における法律、規制および司法判断に基づく税法改正等により、多くの不確実な税務ポジションの評価には固有の不確実性を伴います。税務当局が当社グループの税務ポジションを認める可能性が高くないと判断した場合、当社グループは、当該不確実性の予想される解決に基づき負債を認識します。また、不確実な税務ポジションは、事実および状況の変化に伴い調整されます。これらの税務ポジションは、例えば、現行の税法の改正、税務当局による新たな規制または行政上の解釈指針の発行、税務調査の際に入手した新たな情報、または税務調査の解決により調整が行われる可能性があります。当社グループは、不確実な税務ポジションに係る当社グループの見積りは、現時点において判明している事実および状況に基づき合理的であり、適切に反映されていると判断しております。しかしながら、これらの事項の最終的な結果は、計上された金額と重要な差異が生じる場合があります。
また、各報告期間の末日において、繰延税金資産について実現可能額を評価しております。繰延税金資産の回収可能性の評価においては、将来加算一時差異の解消予定、予想される将来課税所得およびタックスプランニングを考慮しております。予想される将来課税所得は、当社グループの事業計画に基づき見積られております。事業計画に用いられる売上収益の予測に関する判断が変更された場合、認識される繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。過去の課税所得の水準および一時差異が損金算入可能となる期間における将来課税所得の見積りに基づき、実現する可能性が高いと判断される税務上の便益の額を算定しております。2026年3月31日現在における繰延税金資産を認識していない未使用の繰越欠損金、将来減算一時差異、および未使用の繰越税額控除は、それぞれ1兆2,073億円、7,138億円、および294億円であります。将来における見積りおよび仮定の変更は、法人所得税費用に重要な影響を与える可能性があります。
事業構造再編費用
当社グループでは、費用削減に関連した取り組みに関連して事業構造再編費用が発生します。退職金が事業構造再編費用の主な内訳であり、事業構造再編に係る引当金は、事業構造再編に係る詳細な公式計画を策定し、かつ計画の実施や影響を受ける関係者への主要な特徴の公表を通じて、影響を受ける関係者に当該事業構造再編が実行されるであろうという妥当な期待を惹起した時点で認識しております。事業構造再編に係る引当金の認識には、支払時期や、事業再編により影響を受ける従業員数等の見積りが必要となります。最終的なコストは当初の見積りから異なる可能性があります。
2024年5月9日に当社は、事業の成長と利益率の改善を促進するための複数年にわたる全社的な効率化プログラムを実施することについて、公表しました。本プログラムには、人員の最適化策を伴う組織構造の簡素化、組織全体での生産性と効率性の向上を図るためのDD&Tへの投資、サプライチェーンおよびベンダー管理プロセスにおけるコスト削減と効率化が含まれております。主に、2024 年5月に公表した当該取り組みにより、2025年3月期に1,281億円の事業構造再編費用を計上し、2026年3月期には708億円を計上しました。2026年3月25日に当社は、長期的な成長力の向上および新製品上市の実行加速を目指す取り組みの次なるステップについて、取締役会が承認したことを公表しました。当該取り組みには、高度なテクノロジーの活用によるコーポレート機能の合理化およびプロセスの簡素化が含まれております。2027年3月期には1,700億円の事業構造再編費用の発生を見込んでおり、2028年3月期および2029年3月期には、事業構造再編費用は減少する見込みです。
2026年3月31日現在、279億円の事業構造再編に係る引当金を計上しております。事業構造再編に係る引当金及び対前期比の変動の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 22 引当金」をご参照ください。
(c) 当年度における業績の概要
前年度および当年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。
本項において、前年度に対する、国際会計基準(IFRS)に準拠した実勢レート(Actual Exchange Rate)ベースの増減額および増減率は「AER」の表記で示し、国際会計基準(IFRS)に準拠しない恒常為替レート(Constant Exchange Rate)ベースの増減率は「CER」の表記で示しています。「CERベースの増減率」の定義については、「④ 当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。
[売上収益]
売上収益は、4兆5,057億円(△758億円および△1.7% AER、△2.7% CER)となりました。この減収は、主に当社の6つの主要なビジネスエリアの一つであるニューロサイエンス(神経精神疾患)における減収によるものです。ニューロサイエンスにおける減収は、主に米国における注意欠陥/多動性障害(ADHD)治療剤VYVANSEの後発品の市場浸透による減収影響を引き続き受けたことによるものです。当社の他の主要なビジネスエリアである消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、およびワクチンにおける売上収益は増収となりました。一部の製品は米国におけるメディケア・パートDの再設計および340Bプログラムの拡大による影響を受けたものの、米国以外の地域におけるその他の製品の需要は堅調に推移しました。当社の6つの主要なビジネスエリア以外の売上収益は、2,240億円(△334億円および△13.0% AER、△15.9% CER)となりました。
地域別売上収益
各地域の売上収益は以下のとおりです。
(単位:億円、%以外)
(注) その他の地域は中東、オセアニアおよびアフリカを含みます。
当社グループの売上収益の大部分は、主要な医療用医薬品により占められております。当年度の各ビジネスエリアにおける主要製品の売上は以下のとおりです。
(注)1 国内製品名:エンタイビオ
2 配合剤、パック製剤を含む。
3 国内製品名:フリュザクラ
4 国内製品名:ビバンセ
各ビジネスエリアにおける売上収益の前年度からの増減は、主に以下の製品によるものです。
- 消化器系疾患
消化器系疾患の売上収益は、1兆4,075億円(+504億円および+3.7% AER、+3.1% CER)となりました。
潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤ENTYVIO(国内製品名:エンタイビオ)の売上は、9,580億円(+439億円および+4.8% AER、+4.2% CER)となりました。米国における売上は、6,237億円(+45億円および+0.7% AER)となりました。この増収は、皮下注射製剤の売上が伸長したことによるものですが、対米ドルでの円高による減収影響により相殺されました。欧州およびカナダにおける売上は、2,567億円(+293億円および+12.9% AER)となりました。この増収は、主に皮下注射製剤の継続的な使用拡大に伴い患者が増加したことに加え、対ユーロでの円安による増収影響によるものです。
酸関連疾患治療剤タケキャブ/VOCINTIの売上は、1,437億円(+129億円および+9.9% AER、+9.6% CER)となりました。この増収は、中国および日本における堅調な需要によるものです。
好酸球性食道炎治療剤EOHILIAの売上は、88億円(+33億円および+61.0% AER, +63.2% CER)となりました。この増収は、米国における堅調な需要によるものです。
慢性特発性便秘症治療剤RESOLOR/MOTEGRITYの売上は、73億円(△122億円および△62.7% AER、△62.8% CER)となりました。この減収は、主に米国において2025年1月から複数の後発品が参入したことによるものです。
- 希少疾患
希少疾患の売上収益は、7,627億円(+99億円および+1.3% AER、△0.3% CER)となりました。
移植後のサイトメガロウイルス感染/感染症治療剤リブテンシティの売上は、469億円(+139億円および+42.2% AER、+41.0% CER)となりました。この増収は、主に米国において市場浸透が継続して好調に進んだことに加え、欧州および成長新興国において引き続き販売エリアが拡大したことによるものです。
先天性血栓性血小板減少性紫斑病治療剤アジンマの売上は、120億円(+49億円および+68.8% AER、+65.1% CER)となりました。この増収は、欧州において上市以降、売上が着実に増加したことによるもので、超希少疾患患者さんのアンメット・ニーズを反映しています。
フォン・ヴィレブランド病治療剤ボンベンディの売上は、253億円(+43億円および+20.8% AER、+18.6% CER)となりました。この増収は、ボンベンディの適応拡大(成人患者に対する出血傾向の抑制のための定期補充療法)によるものです。
血友病A治療剤アディノベイト/ADYNOVIの売上は567億円(△79億円および△12.3% AER、△13.1% CER)となりました。この減収は、主に米国における競争の激化によるものです。
血友病A治療剤アドベイトの売上は1,055億円(△62億円および△5.6% AER、△6.8% CER)となりました。この減収は、主に米国における競争の激化によるものです。
- 血漿分画製剤
血漿分画製剤の売上収益は、1兆575億円(+249億円および+2.4% AER、+1.9% CER)となりました。
主に原発性免疫不全症、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎および多巣性運動ニューロパチーの治療に用いられる免疫グロブリン製剤の売上合計は、7,906億円(+328億円および+4.3% AER、+4.1% CER)となりました。この増収は、皮下注射製剤のキュービトルとハイキュービアの売上が伸長したことによるものです。静脈注射製剤のGAMMAGARD LIQUID/KIOVIGの売上は、米国におけるメディケア・パートDの再設計および対米ドルでの円高による減収影響を受けたものの、わずかに増収となりました。
血友病Aおよび血友病B治療剤ファイバの売上は、329億円(△66億円および△16.6% AER、△17.7% CER)となりました。この減収は、全ての地域において、遺伝子組換え製剤との競争が激化したことによるものです。
- オンコロジー
オンコロジーの売上収益は、5,801億円(+197億円および+3.5% AER、+2.0% CER)となりました。
悪性リンパ腫治療剤アドセトリスの売上は、1,402億円(+112億円および+8.7% AER、+5.3% CER)となりました。この増収は、欧州および成長新興国における堅調な需要に加え、対ユーロでの円安による増収影響によるものです。
大腸がん治療剤FRUZAQLA(国内製品名:フリュザクラ)の売上は、551億円(+72億円および+14.9% AER、+14.6% CER)となりました。この増収は、本剤が転移性大腸がんにおける新たな治療選択肢として、欧州、日本および成長新興国において上市後、着実に市場浸透したことによるものです。この増収は、米国における売上がメディケア・パートDの再設計による影響を受けて減少したことで一部相殺されました。
白血病治療剤アイクルシグの売上は、750億円(+43億円および+6.1% AER、+5.6% CER)となりました。この増収は、主にカナダにおける売上が増加したことによるものです。
子宮内膜症・子宮筋腫・閉経前乳がん・前立腺がん等の治療に用いられるリュープリン/ENANTONEの売上は、1,208億円(+15億円および+1.3% AER、△0.4% CER)となりました。この増収は、主に対ユーロでの円安による増収影響によるものです。
多発性骨髄腫治療剤ニンラーロの売上は、821億円(△91億円および△10.0% AER、△10.5% CER)となりました。この減収は、主に米国における競争の激化と需要の減少によるものです。この減収は、成長新興国における売上が増加したことにより一部相殺されました。
- ワクチン
ワクチンの売上収益は、596億円(+42億円および+7.6% AER、+5.1% CER)となりました。
デング熱ワクチンQDENGAの売上は、408億円(+52億円および+14.6% AER、+10.7% CER)となりました。この増収は、成長新興国における高い需要により上市以降、売上が増加したことによるものです。
その他のワクチンの売上合計は、減収となりました。この減収は、主に日本における麻しん風しん混合ワクチンであるMRワクチンの一時的な出荷停止が継続したことによるものです。
- ニューロサイエンス
ニューロサイエンスの売上収益は、4,143億円(△1,515億円および△26.8% AER、△27.2% CER)となりました。
ADHD治療剤VYVANSE/ELVANSE(国内製品名:ビバンセ)の売上は、2,032億円(△1,474億円および△42.0% AER、△43.0% CER)となりました。この減収は、主に米国において後発品の市場浸透が引き続き進んだことによるものです。
[売上原価]
売上原価は、1兆5,716億円(△86億円および△0.5% AER、△1.9% CER)となりました。この減少は、売上収益の減少に加え、在庫に積み上がった為替影響を認識するプロセスの導入に伴い前年度に売上原価の調整を計上したことによるものです。一方で、これらの減少は、特に米国におけるVYVANSE後発品の市場浸透により製品構成が変化したことによる原価率の上昇や、対ユーロでの円安による為替影響により、大部分が相殺されました。
[販売費及び一般管理費]
販売費及び一般管理費は、1兆842億円(△206億円および△1.9% AER、△2.5% CER)となりました。この減少は、主に全社的な効率化プログラムのコスト節減効果により費用が削減されたことによるものです。
[研究開発費]
研究開発費は、6,759億円(△543億円および△7.4% AER、△7.0% CER)となりました。この減少は、ザソシチニブやelriterceptをはじめとする一部の後期開発パイプラインに係る費用が増加したものの、その他の開発プログラムにおいて開発の中止や臨床試験の進捗に伴い費用が減少したこと、メザギタマブに関しては共同開発資金を研究開発費の減額として認識したこと、および全社的な効率化プログラムのコスト節減効果による費用の減少があったことによるものです。
[製品に係る無形資産償却費及び減損損失]
製品に係る無形資産償却費及び減損損失は、6,335億円(△97億円および△1.5% AER、△1.7% CER)となりました。この減少は、無形資産減損損失が増加(+342億円)したものの、VYVANSE/ELVANSEに係る無形資産の償却終了などに伴い、無形資産償却費が減少(△439億円)したことによるものです。当年度の減損損失には、細胞療法研究の中止の決定に伴い計上したガンマ・デルタT細胞療法プラットフォームおよび関連するオンコロジーのプログラムに係る減損損失582億円、および将来の売上予測の低下により計上した非小細胞肺がん治療剤アルンブリグに係る減損損失319億円が含まれます。前年度の減損損失には、Maverick Therapeutics Inc.の買収により獲得したTAK-186およびTAK-280の開発中止の決定に伴い計上した減損損失278億円、およびソチクレスタット(TAK-935)の臨床第3相試験において主要評価項目を達成できなかったことにより計上した減損損失215億円が含まれます。
[その他の営業収益]
その他の営業収益は、247億円(△15億円および△5.6% AER、△4.4% CER)となりました。この減少は、主に前年度において条件付対価契約に関する金融負債の公正価値変動に伴う収益を計上したこと、および当年度におけるその他の収益の減少によるものの、当年度に計上した事業売却益の増加により大部分が相殺されたものです。
[その他の営業費用]
その他の営業費用は、5,590億円(+3,522億円および+170.4% AER、+168.9% CER)となりました。この増加は、主として、当年度において、AMITIZAに係る米国の反トラスト訴訟における陪審評決を受けて、関連する訴訟引当金4,035億円を計上したことによるものです。一方、全社的な効率化プログラムに関連する費用を含む事業構造再編費用が573億円減少したことにより、増加の一部は相殺されました。
[営業利益]
営業利益は、上記の要因を反映し、62億円(△3,364億円および△98.2% AER)となりました。
[金融損益]
金融収益と金融費用をあわせた金融損益は1,464億円の損失(△171億円および△10.5% AER、△7.5% CER)となりました。この減少は、主に武田テバファーマ株式会社の株式の売却に係る減損損失189億円を前年度に計上したことによるものです。
[持分法による投資損益]
持分法による投資損益は、22億円の損失(△18億円および△45.4% AER、△52.9% CER)となりました。
[法人所得税費用]
法人所得税費用は、98億円(△572億円および△85.4% AER、△97.6% CER)となりました。この減少は主に、当年度において、AMITIZAに係る米国の反トラスト訴訟における陪審評決を受けて訴訟引当金を計上したことに関連し、繰延税金資産が584億円増加したことによるものです。
[当期利益(△は損失)]
上記要因を反映し、当期損失は、△1,521億円 (△2,603億円、前年度は1,081億円の利益)、当期損失(親会社の所有者帰属分)は、△1,524億円(△2,603億円、前年度は1,079億円の利益)となりました。
(d) 当年度におけるCore業績の概要
補足的分析:Core財務指標に基づく業績(IFRSに準拠しない指標)
IFRSに準拠して作成された業績に加え、当社グループは、補足的に、Core財務指標に基づく業績も表示しております。投資家におかれましては、Core財務指標の定義、有用性の限界、最も良く対応するIFRSに準拠した財務指標への調整を含む、より詳細な情報については、「④ 当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。
当社グループは、また、Core財務指標のCERベースの増減率についても表示しております。詳細については、「④ 当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。
Core業績
[Core売上収益]
Core売上収益は、4兆5,057億円(△741億円および△1.6% AER、△2.6% CER)となりました。この減収は、主に米国においてVYVANSEの後発品の市場浸透が引き続き進んだ影響を受けたことにより、ニューロサイエンスの売上収益が減少したことによるものです。
タケダの成長製品・新製品(注)の売上収益は2兆3,133億円(+1,114億円および+5.1% AER、+4.5% CER)となりました。
(注)当年度のタケダの成長製品・新製品消化器系疾患:ENTYVIO、EOHILIA希少疾患:タクザイロ、リブテンシティ、アジンマ血漿分画製剤(免疫疾患):GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む免疫グロブリン製剤、
HUMAN ALBUMIN、FLEXBUMINを含むアルブミン製剤オンコロジー:アルンブリグ、FRUZAQLAワクチン:QDENGA
[Core営業利益]
Core営業利益は、1兆1,725億円(+98億円および+0.8% AER、△0.9% CER)となりました。Core営業利益の内訳は以下のとおりです。
報告期間における上記項目の増減は以下のとおりです。
[Core売上原価]
Core売上原価は、1兆5,726億円(△92億円および△0.6% AER、△1.9% CER)となりました。この減少は、売上収益の減少に加え、在庫に積み上がった為替影響を認識するプロセスの導入に伴い前年度に売上原価の調整を計上したことによるものです。一方で、これらの減少は、特に米国におけるVYVANSE後発品の市場浸透により製品構成が変化したことによる原価率の上昇や、対ユーロでの円安による為替影響により、大部分が相殺されました。
[Core販売費及び一般管理費]
Core販売費及び一般管理費は、1兆847億円(△204億円および△1.8% AER、△2.5% CER)となりました。この減少は、主に全社的な効率化プログラムのコスト節減効果により費用が削減されたことによるものです。
[Core研究開発費]
Core研究開発費は、6,760億円(△544億円および△7.4% AER、△7.0% CER)となりました。この減少は、ザソシチニブやelriterceptをはじめとする一部の後期開発パイプラインに係る費用が増加したものの、その他の開発プログラムにおいて開発の中止や臨床試験の進捗に伴い費用が減少したこと、メザギタマブに関しては共同開発資金を研究開発費の減額として認識したこと、および全社的な効率化プログラムのコスト節減効果による費用の減少があったことによるものです。
[Core当期利益]
Core当期利益は、8,144億円(+386億円および+5.0% AER、+2.9% CER)、Core当期利益(親会社の所有者帰属分)は、8,141億円(+385億円および+5.0% AER、+2.9% CER)となりました。Core当期利益は、Core営業利益に基づき、以下のとおり算出されます。
報告期間における上記項目の増減は以下のとおりです。
[Core金融損益]
Core金融収益とCore金融費用をあわせた金融損益は、1,332億円の損失(△75億円および△5.3% AER、△1.9% CER)となりました。
[Core持分法による投資損益]
Core持分法による投資損益は、1億円の損失(△13億円)となりました。
[Core税引前当期利益]
Core税引前当期利益は、1兆392億円(+161億円および+1.6% AER、△0.9% CER)となりました。
[Core法人所得税費用]
Core法人所得税費用は、2,248億円(△225億円および△9.1% AER、△12.8% CER)となりました。この減少は主に、当年度における繰延税金資産の回収可能性の見直しにより、Core法人所得税費用が減少したことによるものです。
[Core EPS]
Core EPSは、517円(+26円および+5.2% AER、+3.1% CER)となりました。
② 当年度の財政状態の分析
[資産]
当年度末における資産合計は、15兆5,115億円(+1兆2,632億円)となりました。主に為替換算の影響により、のれん、棚卸資産および有形固定資産が増加(+4,846億円、+1,793億円および+1,524億円)しております。主に、AMITIZAに係る米国の反トラスト訴訟における陪審評決を受けて訴訟引当金を計上したことに関連し、繰延税金資産が584億円増加したことや、無形資産の償却およびその他の繰延税金資産の回収可能性の見直しにより、繰延税金資産が増加(+1,755億円)しております。米国における売上債権の売却プログラムを減額したことなどによる売上債権残高の増加、ならびに為替換算の影響により、売上債権及びその他の債権が増加(+1,348億円)しております。主に日本における金利通貨スワップに係る公正価値変動により、その他の金融資産合計が増加(+1,102億円)しております。加えて、現金及び現金同等物が増加(+2,099億円)しております。これらの増加は、主に償却および減損による無形資産の減少(△2,122億円)により一部相殺されております。
[負債]
当年度末における負債合計は、8兆809億円(+7,685億円)となりました。主にAMITIZAに係る米国の反トラスト訴訟における陪審評決を受けて訴訟引当金を計上したことにより、引当金合計が増加(+4,677億円)しております。社債及び借入金合計は4兆8,818億円(注)(+3,666億円)となり、償還および返済により一部相殺されたものの、主に為替の影響に加え、円貨建無担保普通社債および米ドル建保証付無担保普通社債の発行、ならびに新たなバイラテラルローンの借入により増加しております。
(注)当年度末における社債及び借入金の帳簿価額はそれぞれ4兆6,568億円および2,250億円です。なお、社債及び借入金の内訳は以下のとおりです。
社債:
借入金:
当社グループは、2025年4月25日に、バイラテラルローン100億円を満期返済しました。2025年6月12日には、発行総額1,840億円、償還期日2030年6月12日から2035年6月12日の円貨建無担保社債(「本円建社債」)を発行しました。本円建社債の発行により調達した資金は、コマーシャル・ペーパーの償還に充当されました。その後、2025年6月23日には、米ドル建無担保普通社債800百万米ドルを満期償還しました。また、2025年3月31日に借入れた500百万米ドルのバイラテラルローンについては、2025年7月3日まで月次で借換をしています。
2025年7月2日には、発行総額2,400百万米ドル、償還期日2035年7月7日および2055年7月7日の米ドル建保証付無担保普通社債(「本米ドル建社債」)を、当社の間接的な完全子会社である武田U.S.ファイナンシング Inc.により発行しました。本米ドル建社債の発行により調達した資金は、2025年7月3日の500百万米ドルのバイラテラルローンの返済と2025年7月のコマーシャル・ペーパーの償還に主に充当されました。
当社グループは、2026年3月31日に、満期を迎えたバイラテラルローン750億円を返済するとともに、同日に、返済期日2034年3月31日の新たなバイラテラルローン600億円の借入を実行しました。また、同日、円建3,500億円および米ドル建2,100百万米ドルのコミットメントファシリティー契約をそれぞれ締結しました。本コミットメントファシリティーはどちらも2026年3月31日から最低5年間有効です。なお、本コミットメントファシリティーの契約締結にあたり、2026年9月に期間満了を迎える予定であった既存の円建7,000億円のコミットメントファシリティー契約は、同日付で解約しました。新たに設定した本コミットメントファシリティーの使途は一般事業資金です。
(注)上記の社債及び借入金に関する説明に記載している金額は、元本金額で表示しております。
[資本]
当年度末における資本合計は、7兆4,306億円(+4,947億円)となりました。この増加は、主に円安の影響による為替換算調整勘定の変動により、その他の資本の構成要素が増加(+9,455億円)したことによるものです。この増加は、配当金の支払いに伴う3,125億円の減少、ならびに当期損失1,521億円の計上に伴い、利益剰余金が減少(△4,752億円)したことにより一部相殺されております。
③ 流動性および資金調達源
資金の調達および使途
当社グループにおいて流動性は、主に営業活動に必要な現金、資本支出、契約上の義務、債務の返済、利息や配当の支払いに関連して必要となります。営業活動においては、研究開発費、マイルストン支払い、販売およびマーケティングに係る費用、人件費およびその他の一般管理費、原材料費等の支払いにあたり現金が必要となります。また、法人所得税の支払いや運転資金にも多額の現金が必要となります。
当社グループは、生産設備の能力増強・合理化、減価償却を終えた資産の入れ替え、業務管理の効率化等のために設備投資を行っています。無形資産に係る資本的支出は、主に第三者のパートナーから導入したライセンス製品に対するマイルストン支払い、およびソフトウェア開発費です。連結財政状態計算書に計上されている有形固定資産および無形資産に係る資本支出は、2025年3月期および2026年3月期において、それぞれ3,194億円および4,269億円であります。また、2026年3月31日現在において、有形固定資産の取得に関する契約上のコミットメントは77億円であります。加えて、2026年3月31日現在において、無形資産の取得に関して契約上の取決めを有しております。無形資産に係るマイルストン支払いの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 31 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。また、資本管理の一環として、当社グループは、資金需要、市場等の環境、またはその他の関連する要因に照らして、定期的に資本的支出の評価を行っております。
当社の配当金の支払額は、2025年3月期および2026年3月期において、それぞれ3,039億円および3,132億円であります。2026年3月期については、1株当たり年間配当金額を200円(中間配当金および期末配当金それぞれ100円)としましたが、2027年3月期については、1株当たり、中間配当金および期末配当金をそれぞれ102円ずつとし、年間204円とすることを目指しています。当社の配当政策については「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。
当社グループは、有利子負債に対し元本と利息を支払う必要があります。2026年3月31日現在において、1年内に必要となる利息の支払額および負債の返済額は、それぞれ1,401億円、5,140億円であります。詳細は、「有利子負債および金融債務」をご参照ください。
当社グループの資金の主な調達源は、主に現金及び現金同等物、短期コマーシャル・ペーパー、金融機関からのコミットメントラインによる借入、グローバル資本市場における社債発行を含む長期債務による資金調達であります。さらに、当社グループは、コンティンジェンシーの調達源として、2025年3月31日において金融機関から極度額1,500億円および750百万米ドルの短期アンコミットメントライン契約を、2026年3月31日現在において、金融機関から極度額1,500億円および650百万米ドルの短期アンコミットメントライン契約を締結しております。
当社グループは、キャッシュ・フロー予測に基づき保有外貨を監視し、調整しております。当社グループの事業の大部分は日本国外で行っており、多額の現金及び現金同等物を日本国外に保有しております。日本国内で必要なキャッシュ・フローを創出するために外貨を使用することは国内規制による影響を受ける可能性があり、また比較的影響は小さいものの、日本へ現金を移転することから生じる所得税による影響も受けます。
当社グループは、引き続き、資金調達の状況について注視しており、短期的には、一般的な市況による資金調達不足または流動性不足は現在見込んではおりません。なお、必要に応じた市場およびその他の供給源からの追加の資金調達力に加えて、当社グループの資本支出計画を必要かつ適切な範囲で見直すことによって、資金調達および流動性の需要を管理する場合があります。
2026年3月31日現在において、当社グループは、売上債権の売却プログラムに関係して当社が第三者に代わり一時的に保有していた預り金792億円を含む、5,951億円の現金及び現金同等物と、3,500億円および2,100百万米ドルの未使用のバンク・コミットメントライン契約を保有しております。加えて、公正価値ヒエラルキーにてレベル1に分類される米国債851億円を保持しております。したがって、利用可能な流動性の合計は1兆2,862億円となり、現在の事業活動に必要となる資金は十分に確保できていると考えております。また、当社グループは、事業活動を支えるため、持続的に高い流動性を保ち、資本市場へのアクセス拡大を追求していきます。
連結キャッシュ・フロー
連結キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。
(単位:億円)
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動によるキャッシュ・フローは、1兆414億円(△158億円)となりました。この減少は主に、その他の金融負債の減少などにより、引当金を調整した資産および負債の増減額が減少したことによるものです。この減少は、先物為替予約の決済(純額)による正味キャッシュ・フローが増加したこと、および非資金項目およびその他の調整項目を調整した当期利益(損失)の増加などにより相殺されております。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動によるキャッシュ・フローは、△3,691億円(△21億円)となりました。無形資産の取得による支出の増加や、投資の取得による支出の減少など、個々の投資活動における変動が相殺されたことにより、前年度と比べ微減となりました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動によるキャッシュ・フローは、△4,968億円(+2,546億円)となりました。この増加は主に、社債および借入金の発行および償還・返済に伴う正味キャッシュ・フローの増加によるものです。
補足的分析:フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フロー(IFRSに準拠しない財務指標)
フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは、IFRSに準拠しない(以下、「Non-IFRS」)指標であります。詳細については、「④ 当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。IFRSに準拠した指標の中で、フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローが最も類似します。
(単位:億円)
フリー・キャッシュ・フローは、8,654億円(+90億円)となりました。この増加は、主に有形固定資産の取得による支出の減少によるものです。この増加は、営業活動によるキャッシュ・フローの減少により、一部相殺されております。
調整後フリー・キャッシュ・フローは、6,845億円(△844億円)となりました。この減少は、主に無形資産の取得による支出が増加したことによるものです。
有利子負債および金融債務
2025年3月31日および2026年3月31日現在において社債および借入金はそれぞれ4兆5,153億円、4兆8,818億円であります。これらの有利子負債は、当社グループが発行した無担保社債、普通社債、バイラテラルローン、およびシンジケートローン、また、Shire社買収に必要な資金の一部を調達するための借入金、およびShire社買収により引き受けた負債、借り換えた負債を含み、連結財政状態計算書に計上されております。当社グループの借入金は主に買収関連で発生したものであり、季節性によるものではありません。
当社グループは、2025年4月25日に、バイラテラルローン100億円を満期返済しました。2025年6月12日には、発行総額1,840億円、償還期日が2030年6月12日から2035年6月12日の円貨建無担保普通社債(本円建社債)を発行しました。本円建社債の発行により調達した資金はコマーシャル・ペーパーの償還に充当されました。その後、2025年6月23日には、米ドル建無担保普通社債800百万米ドルを満期償還しました。また、当初借入実行日が2025年3月31日、満期日が2025年7月3日の500百万米ドルのバイラテラルローンの借換を実行しました。2025年7月2日には、発行総額2,400百万米ドル、償還期日2035年7月7日および2055年7月7日の米ドル建保証付普通社債(米ドル建社債)を、間接的な完全子会社である武田U.S.ファイナンシング Inc.により発行しました。米ドル建社債の発行により調達した資金は、2025年7月3日の500百万米ドルのバイラテラルローンの返済と2025年7月のコマーシャル・ペーパーの償還に主に充当されました。また、当社グループは、2026年3月31日に、満期を迎えたバイラテラルローン750億円を返済するとともに、同日に、返済期日2034年3月31日の新たなバイラテラルローン600億円の借入を実行しました。
2026年3月31日に、3,500億および2,100百万米ドルのコミットメントファシリティー契約を締結しました。これらのコミットメントファシリティーの有効期間は最低5年間です。また、一定の制限条項が含まれており、制限条項に違反した場合には、当該コミットメントファシリティーの利用が制限される可能性があります。2026年3月31日現在において当社グループは当該制限条項を遵守しております。新たに設定した本コミットメントファシリティーの使途は一般事業資金です。新たにファシリティーを締結したことに伴い、2019年に設定され、2026年9月に失効予定の7,000億円のコミットメントファシリティーを、同日に解約しました。
当社グループは、短期の流動性の管理のため、日本の無担保コマーシャル・ペーパープログラムを保有しております。2025年3月31日におけるコマーシャル・ペーパーの発行残高は2,700億円であり、2026年3月31日現在において、コマーシャル・ペーパーは保有しておりません。当社グループは、さらに2025年3月31日および2026年3月31日現在において、極度額1,500億円および750百万米ドル(2026年3月31日現在において、650百万米ドル)の短期アンコミットメントライン契約を締結しておりますが、借入はしておりません。
社債及び借入金の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 19 社債及び借入金」をご参照ください。
信用格付け
当社グループの信用格付けは、当社グループの財務の健全性、業績、債務の返済能力等に関する各格付機関の意見が反映されております。本報告書時点における当社グループの信用格付けは以下のとおりです。
この格付けは、社債の購入、売却、保有を推奨するものではありません。この格付けは指定された格付機関によって適宜改訂あるいは撤回される可能性があります。それぞれの財務の健全性レーティングは、独立評価されたものであります。
重要な契約上の負債
2026年3月31日現在における契約上の負債は以下のとおりです。
(単位:億円)
(注)1 2026年3月31日現在における日本円以外の通貨建債務は、期末為替レートで日本円に換算しており、為替レートの変動により金額が異なる可能性があります。
2 利息支払義務を含みます。
3 「3年超5年以内」の契約額には、2024年ハイブリッド社債(劣後特約付社債)の元本4,600億円および2024年シンジケート ハイブリッド ローン(劣後特約付ローン)の元本400億円が含まれております。これは、それぞれ2029年6月25日の初回繰上償還日および同年10月3日の初回期日前弁済日に、全額が償還、弁済される見込みであるためです。ハイブリッド社債およびシンジケート ハイブリッド ローンの元本および利息の詳細については、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 19 社債及び借入金」をご参照ください。
4 2027年4月以降の年金および退職後給付制度への拠出額については、拠出の時期が不確実であり、利率、運用収益、法律およびその他の変動要因に依存するため、確定することはできません。
5 確定給付債務、訴訟引当金および長期未払法人税等、時期を見積もることができない契約上の負債、また、金額が公正価値の変動により変化するデリバティブ負債および条件付対価契約に関する金融負債は含まれておりません。なお、2026年3月31日現在のデリバティブ負債および条件付対価契約に関する金融負債の帳簿価額は、それぞれ205億円および32億円であります。また、特定の将来の事象の発生に左右されるマイルストン支払いも含んでおりません。
6 通常の事業活動における購買に関する発注は含んでおりません。
オフバランス取引
マイルストン支払
新製品の開発に係る第三者との提携契約に基づき、当社グループは、パイプライン品目の開発、新製品の上市および上市後の販売等にかかる一定のマイルストン達成に応じた支払義務が生じる場合があります。2026年3月31日現在における潜在的なマイルストン支払の契約金額は1兆3,336億円であります。これらは、潜在的なコマーシャルマイルストン支払を除いた金額であります。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 13 共同研究開発契約、ライセンス契約、その他の資産取得等 および 31 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。
補足的分析:財務レバレッジ(調整後有利子負債/調整後EBITDA倍率)(IFRSに準拠しない指標)
特に、Shire社買収に伴い、投資家、アナリストおよび格付機関は、当社グループの(調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率で表される)財務レバレッジを綿密にモニターしております。調整後純有利子負債、調整後EBITDAおよび調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率はすべて、IFRSに準拠しない財務指標です。社債および借入金から調整後純有利子負債への調整、当期利益からEBITDAおよび調整後EBITDAへの調整等、最も良く対応するIFRS財務指標への調整を含む詳細については、「④ 当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。各報告日現在における当社グループの調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率および最も良く対応するIFRS財務指標の各比率は以下のとおりです。
(単位:億円、倍率以外)
④ 当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標
IFRSに準拠して表示される業績に加えて、当社グループは、IFRSに準拠しない(以下、「Non-IFRS」)補足的財務指標を表示しております。これらの財務指標には、CER(Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベースの増減、Core財務指標、純有利子負債、調整後純有利子負債、EBITDA、調整後EBITDA、フリー・キャッシュ・フロー、調整後フリー・キャッシュ・フローが含まれます。
当社グループの経営陣は業績および財政状態の評価並びに経営及び投資判断を、IFRSに準拠した指標及び本セクションに記載のNon-IFRS財務指標に基づいて行っています。当社グループは、当社グループの経営成績および財政状態の分析における追加情報として、また、当社の経営陣が経営成績および財政状態をどのように評価しているかを投資家に理解いただくにあたり、両指標を表示しております。当社グループのNon-IFRS財務指標においては、最も良く対応するIFRSに準拠した財務指標では含まれることとなる一定の利益、コスト、キャッシュ・フローまたは財政状態計算書上の項目を除外または調整しております。これらの財務指標は、IFRSに準拠するものではなく、補足的なものであり、また、IFRSに準拠した財務指標に代替するものではありません(IFRSに準拠した財務指標を「財務ベース」指標として参照している場合があります)。投資家におかれましては、当社グループの過去の財務諸表全体を確認し、IFRSに準拠して表示されている指標を当社グループの業績評価の主要な指標として使用することを強く推奨します。また、Non-IFRS財務指標の定義と、これらに最も良く対応するIFRSに準拠した財務指標との調整表を併せてご参照ください。さらに、これらのNon-IFRS財務指標に関する記載、特にこれらの財務指標の有用性の限界について把握し、製薬業界における他社が表示している、類似の名称を付した財務指標との相違についてご理解ください。
Core財務指標
当社グループのCore売上収益、Core営業利益、Core当期利益(親会社の所有者帰属分)、Core EPSをはじめとするCore財務指標は、売却に伴う収益、製品(仕掛研究開発品を含む)に係る無形資産償却費及び減損損失、その他、非定常的な事象に基づく影響、企業結合会計影響や買収関連費用など、当社グループの中核事業の本質的な業績に関連しない事象による影響を控除しています。Core売上収益は、財務ベースの売上収益から、当社グループの中核事業の本質的な業績に関連しない売上収益に係る影響(主に、事業売却および清算に係る売上収益および関連する調整)を控除して算出します。Core営業利益は、財務ベースの営業利益から、その他の営業収益及びその他の営業費用、製品(仕掛研究開発品を含む)に係る無形資産償却費及び減損損失、その他、非資金項目または当社グループの中核事業の本質的な業績に関連しない事象による影響を控除して算出します。Core当期利益(親会社の所有者帰属分)は、財務ベースの当期利益(親会社の所有者帰属分)から、Core営業利益の算出において控除された項目、および特別、非定常的な事象に基づく影響、または当社グループの中核事業の本質的な業績に関連しない事象による影響を控除し、これらの調整項目に係る税金影響を控除して算出します。これらの調整項目には、条件付対価に係る公正価値変動(時間的価値の変動を含む)影響などが含まれます。Core EPSは、Core当期利益(親会社の所有者帰属分)を報告期間の自己株式控除後の平均発行済株式総数で除して算出します。
当社グループがCore財務指標を表示する理由は、これらの指標が、当社グループの中核事業の本質的な業績に関連しない事象による影響を控除するものであり、当社グループ事業の本質的な業績を理解していただくにあたり有用であると考えているためです。控除される項目には、(i) 前年度から著しく変動する項目、もしくは毎年度発生するものではない項目、または(ii)当社グループの中核事業の本質的な業績の変動とはほぼ相関関係がないと認められる項目が含まれます。同様の指標は、同業他社においても頻繁に使用されていると認識しており、本指標を表示することは、投資家が当社グループの業績を過年度の業績と比較される際だけではなく、同業他社と類似の基準に基づき比較される際にも有用になると考えています。また、当社グループがCore財務指標を表示する理由は、これらの指標が予算の策定や報酬の設定(CEOおよびCFOのインセンティブ報酬を含む、当社グループの短期インセンティブならびに長期インセンティブ報酬プログラムに係る一定の目標はCore財務指標の結果に関連して設定。「(4)役員の報酬等」をご参照ください)に用いられているためです。
投資家にとってのCore財務指標の有用性には、一例として次の限界があります。例えば、(i) 製薬業界における他社を含む、他社において用いられている類似の名称を付した財務指標とは必ずしも同一ではありません、(ii) 訴訟引当金、無形資産の売却や償却などの非資金費用の影響を含む、当社グループの業績、価値又は将来見通しの評価において重要とみなされる可能性のある財務情報や事象が除外されています、(iii) 将来にわたって継続的に発生する可能性のある項目又は項目の種類が除外されています(ただし、当社グループの方針として、事業運営に必要な経常的に発生する営業費用の支出については調整していません)、(iv) 投資家が当社グループの業績を理解する上で重要とみなす可能性のあるすべての項目が含まれていない、又は、重要とみなさないであろうすべての項目が除外されていない場合があります。
下表は、各報告期間における、当社グループのCore財務指標とIFRSに準拠して作成し、表示された最も良く対応するIFRS財務指標との間の調整を示しています。これには、(i) Core売上収益とIFRSに準拠して表示された売上収益、(ii) Core営業利益とIFRSに準拠して表示された営業利益、および (iii) Core当期利益(親会社の所有者帰属分)とIFRSに準拠して表示された当期利益(親会社の所有者帰属分)が含まれます。
当年度の売上収益および営業利益からCore売上収益およびCore営業利益への調整は次のとおりです。
(単位:億円)
(注)1 製品に係る無形資産には、仕掛研究開発品を含みます。
2 その他の営業収益(営業費用)には、事業譲渡及び子会社株式売却益、サブリースに係る賃貸借料、事業構造再編費用、承認前在庫に係る評価損、寄付金、条件付対価契約に関する金融資産及び金融負債の公正価値変動額、有形固定資産および投資不動産の売却損益、訴訟引当金、オプション権に係る評価損、非定常的なその他の営業収益(営業費用)を含みます。
3 その他:売上原価には、2019年3月期に完了したShire社の買収に関連する有形固定資産の公正価値の費用化を含みます。
前年度の売上収益および営業利益からCore売上収益およびCore営業利益への調整は次のとおりです。
(単位:億円)
(注)1 製品に係る無形資産には、仕掛研究開発品を含みます。
2 その他の営業収益(営業費用)には、条件付対価契約に関する金融資産及び金融負債の公正価値変動額、有形固定資産および投資不動産の売却損益、事業譲渡及び子会社株式売却益、寄付金、 サブリースに係る賃貸借料、事業構造再編費用、承認前在庫に係る評価損、治験終了後投与に係る費用、売却目的で保有する資産の減損、訴訟引当金、オプション権に係る評価損、非定常的なその他の営業収益(営業費用)を含みます。
3 その他:売上収益およびその他の営業収益(営業費用)には、2025年3月期に行った武田テバ薬品株式会社(以下、「テバ社」)の株式売却に伴う、テバ社に売却した資産について認識された17億円の繰延収益および38億円のテバ社への事業譲渡に係る繰延利益を含みます。売上原価には、2019年3月期に完了したShire社の買収に関連する有形固定資産の公正価値の費用化を含みます。
当年度の当期利益(△は損失)(親会社の所有者帰属分)からCore当期利益(親会社の所有者帰属分)への調整は次のとおりです。
(単位:億円、%以外)
(注)1 その他:金融収益及び費用(純額)には、超インフレ経済下にあり、IAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」が適用されている子会社の非資金項目に係る損失、ならびにノン・コア取引に係る金融収益および費用を含みます。持分法による投資損益には、事業売却および清算に係る損益ならびにその他の公正価値調整を含みます。
2 IFRS会計基準に基づく業績とCore業績との間の調整に係る税金は、当該調整が計上される管轄地域において項目に適用される法定税率を考慮しています。税引前当期利益に対するCore調整額(1兆1,815億円)に係る法人所得税費用は2,150億円であり、Core調整に係る平均税率は18.2%でした。
前年度の当期利益(親会社の所有者帰属分)からCore当期利益(親会社の所有者帰属分)への調整は次のとおりです。
(単位:億円、%以外)
(注)1 その他:金融収益及び費用(純額)には、超インフレ経済下にあり、IAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」が適用されている子会社の非資金項目に係る損失、ならびにノン・コア取引に係る金融収益および費用を含みます。持分法による投資損益には、事業売却および清算に係る損益ならびにその他の公正価値調整を含みます。
2 IFRS会計基準に基づく業績とCore業績との間の調整に係る税金は、当該調整が計上される管轄地域において項目に適用される法定税率を考慮しています。税引前当期利益に対するCore調整額(8,480億円)に係る法人所得税費用は1,803億円であり、Core調整に係る平均税率は21.3%でした。
CER(Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベースの増減
CER ベースの増減は、当期の国際会計基準(IFRS)に準拠した業績またはCore財務指標(Non-IFRS)について、前年同期に適用した為替レートを用いて換算することにより、前年同期との比較において為替影響を控除するものです。ただし、超インフレが発生し、IAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」が適用されている子会社の業績についてはCERベースの増減調整は行わないこととし、当該子会社の業績はIAS第29号に基づいて算出しています。
当社グループがCERベースの増減を表示する理由は、変動する為替レートが当社グループの事業に与える影響を踏まえ、為替影響がなかった場合の経営成績の増減について投資家に理解していただくにあたり有用であると考えているためです。CERベースの増減は、当社グループの経営陣が経営成績を評価するに際して使用する主な指標になっています。また、製薬業界における各社が為替影響を調整した同様の業績指標を頻繁に用いているため、証券アナリスト、投資家その他の関係者が各社の経営成績を評価するに際しても、本指標が有用であると考えています。
ただし、CERベースの増減の有用性には、一例として次の限界があります。例えば、CERベースの増減は、前年度においてIFRSに準拠した業績を算定するために用いた為替レートと同一の為替レートを用いますが、そのことは必ずしも、当年度の取引が前年度と同一の為替レートで実施され得た、あるいは計上され得たことを示すものではありません。また、類似の名称の指標を用いている同業他社が、当社グループとは異なる方法で指標を定義し、算定している可能性があるため、そのような指標との比較可能性に欠け得るものです。従って、CERベースの増減はIFRSに準拠して作成、表示された業績と切り離して考慮してはならず、また、これらの代替と捉えてはならないものです。
以下は、対前年度の増減率を含む、IFRSに準拠して算定、表示された当社グループの経営成績であり、各項目についてCERベースの増減率を示しております。
CERベースの増減(財務ベース指標)
CERベースの増減(Non-IFRS)
フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フロー
当社グループのフリー・キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローから有形固定資産の取得による支出を控除したものです。調整後フリー・キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローから、有形固定資産の取得による支出、無形資産の取得による支出、投資の取得による支出(公正価値ヒエラルキーのレベル1に区分される債券投資の取得による支出の控除後)、関連会社株式の取得による支出、事業の取得による支出(取得した現金及び現金同等物の純額の控除後)およびそれらに実質的に関連または類似していると見做されるその他の支出を控除した上で、有形固定資産の売却による収入、投資の売却・償還による収入(公正価値ヒエラルキーのレベル1に区分される債券投資の売却・償還による収入の控除後)、関連会社株式の売却による収入、事業の売却による収入(処分した現金及び現金同等物の純額の控除後)を加味し、さらに、当社グループが即時的または一般的な業務用に使用できないいかなるその他の現金の支出入を調整し、算出しています。
当社グループがフリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローを表示する理由は、証券アナリスト、投資家その他の関係者が製薬業界における各社の評価を行うに際して頻繁に用いられる流動性についての同様の指標として、これらの指標が投資家にとって有用であると考えているためです。調整後フリー・キャッシュ・フローは、流動性要件を満たす能力を測り、資本配分方針をサポートする指標として流動性及びキャッシュ・フローの評価を行うに際して、当社グループの経営陣によっても使用されています。また、フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは、投資家が、当社グループの戦略的な買収や事業の売却がどのようにキャッシュ・フローや流動性に貢献するかを理解される上で有用であると考えています。
投資家にとってのフリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローの有用性には、一例として次の限界があります。例えば、(i) 同業他社を含め、用いられている類似の名称の指標との比較可能性に欠け得るものです、(ii) 当社グループの、資本の使用又は配分を必要とする現在及び将来の契約上その他のコミットメントの影響は反映されていません、(iii) 投資の売却・償還による収入、事業の売却による収入(処分した現金及び現金同等物の純額の控除後)は、中核である継続的な事業からの収入を示すものではありません。フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは、IFRSに基づく指標である営業活動によるキャッシュ・フロー及びその他の流動性指標と切り離して考慮してはならず、また、これらの代替と捉えてはならないものです。IFRSに準拠した指標の中で、フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローが最も類似します。
下表は、2025年3月期および2026年3月期における、IFRSに準拠して表示された最も対応する指標である営業活動によるキャッシュ・フローからフリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローへの調整を示しております。
(単位:億円)
(注)1 当社が第三者に代わり一時的に保有するキャッシュの調整は、当社が即時的または一般的な業務用に使用できない、ワクチン運営および売上債権の売却プログラムに関係して当社が第三者に代わり一時的に保有する現金の変動を指します。
2 一部の重要性が低い取引を除き、無形資産の売却による収入は、営業活動によるキャッシュ・フローに含まれています。
3 前年度において、公正価値ヒエラルキーのレベル1に区分される債券投資の取得による支出801億円を控除しております。
EBITDAおよび調整後EBITDA
当社グループにおいて、EBITDAは、法人所得税費用、減価償却費及び償却費、ならびに純支払利息控除前の連結当期利益を指します。また、調整後EBITDAは、減損損失、その他の営業収益及びその他の営業費用(減価償却費及び償却費ならびに減損損失を除く)、金融収益及び費用(純支払利息を除く)、持分法による投資損益、株式報酬に係る非資金性の費用を含むその他の非資金性項目、および売却した製品に係るEBITDA、企業結合会計影響や買収関連費用などの当社グループの中核事業に関連しないその他の項目を除外するように調整されたEBITDAを指します。
当社グループがEBITDA及び調整後EBITDAを表示する理由は、これらの指標が証券アナリスト、投資家その他の関係者が製薬業界における各社の評価を行う際に頻繁に用いられるものであり、投資家にとって有用であると考えているためです。 当社グループは、調整後EBITDAを主に財務レバレッジをモニターするために使用しています。「(c)流動性および資金調達源 補足的分析:財務レバレッジ(調整後有利子負債/調整後EBITDA倍率)(IFRSに準拠しない指標)」 および以下の「調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率」をご参照ください。また、調整後EBITDAは、継続的な事業に関連しない特定の事象(変化に富み予測が困難である一方で、経営成績に重大な影響を与える可能性があり、一定期間にわたる業績を一貫性をもって評価することが困難な事象)から生じる不透明さを排除することから、投資家にとって、事業の動向を把握するに際して有用な指標であると考えています。
投資家にとってのEBITDA及び調整後EBITDAの有用性には、一例として次の限界があります。例えば、(i) 同業他社を含め、用いられている類似の指標との比較可能性に欠け得るものです。また、(ii) 企業買収や無形資産の償却による影響などを含む、当社グループの業績、価値又は将来見通しの評価において重要とみなされる可能性のある財務情報や事象が除外されています、(iii) 将来にわたって継続的に発生する可能性のある項目又は項目の種類が除外されています、(iv) 投資家が当社グループの業績を理解する上で重要とみなす可能性のあるすべての項目が含まれていない、又は、重要とみなさないであろうすべての項目が除外されていない場合があります。EBITDAおよび調整後EBITDAは、IFRSに準拠した指標である営業利益、当期利益、その他の業績指標と切り離して考慮してはならず、また、これらの代替と捉えてはならないものです。IFRSに準拠した指標の中で、EBITDAおよび調整後EBITDAは、当期利益が最も類似します。
下表は、2025年3月期および2026年3月期における、当期利益からEBITDAおよび調整後EBITDAへの調整を示しております。
(単位:億円)
(注)その他の調整項目には、株式報酬にかかる非資金性の費用を含む非資金性項目、および企業結合会計影響や買収関連費用などの当社グループの中核事業に関連しないその他の項目の調整、調整後EBITDAの算出にあたり除外された、前年度におけるテバ社への資産売却に係る17億円の非資金性の収益調整を含む、売却した製品に係るEBITDAの調整が含まれます。
調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率
当社グループは、純有利子負債を連結財政状態計算書上の社債及び借入金の簿価に現金及び現金同等物のみを調整したものと定義しており、当社グループの調整後純有利子負債は、次のとおり算出しています。まず、連結財政状態計算書に記載されている社債及び借入金の流動部分と非流動部分合計を計算します。その上で、(i) 第4四半期期首時点に残存する外貨建て負債を当年度末時点の直近12か月の期中平均レートを用いて換算し、第4四半期中に計上した新規の外貨建て負債および償還した既存の外貨建て負債については対応するスポットレートを用いて換算し、当社グループの経営陣が当社グループのレバレッジをモニターするために使用する方法論を反映しています。また、(ii) 当社グループの劣後特約付きハイブリッド債について、その株式に似た特徴を踏まえ、S&Pグローバル・レーティング・ジャパンの格付手法に基づきエクイティクレジットを適用しています。この数字から、ワクチン運営および売上債権の売却プログラムに関係して当社が第三者に代わり一時的に保有している現金を除いた現金及び現金同等物、およびその他の金融資産に計上され公正価値ヒエラルキーのレベル1に区分される債券投資を控除し、調整後純有利子負債を算出しています。
当社グループが、純有利子負債および調整後純有利子負債を表示する理由は、当社グループの経営陣が、当社グループの現金及び現金同等物控除後の負債をモニター及び分析するためにこれらの指標を使用し、また当社グループのレバレッジをモニターするために本指標を調整後EBITDAと併せて使用しており、投資家にとって有用であると考えているためです(なお、調整後純有利子負債および調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率は、当社グループの流動性の指標を表すものではないことにご留意ください)。また、負債についての同様の指標が、証券アナリスト、投資家その他の関係者が製薬業界における各社の評価を行うに際して頻繁に用いられるものであると考えています。 特に、Shire社買収に伴い、投資家、アナリストおよび格付機関は、当社グループの(調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率で表される)財務レバレッジを綿密にモニターしています。格付機関が本指標を特に重視していることから、これらの情報は、当社グループの財務レバレッジだけではなく、格付機関が当社グループの信用力評価にあたって財務レバレッジの水準をどのように評価しているかについて、投資家が理解していただくにあたり有用であると考えています。そのため、後述のとおり、当社グループは、調整後純有利子負債を調整して、格付機関が一部の劣後債に適用している「エクイティクレジット」を反映しています(ただし、IFRS上、当該債務は資本として取り扱われません)。
調整後純有利子負債の有用性には、一例として次の限界があります。例えば、(i) 同業他社を含め、用いられている類似の指標との比較可能性に欠け得るものです、(ii) 当社グループの負債に係る利息の金額を反映していません、(iii) 負債の早期返済又は償還に係る制限を反映していません、(iv) 当社グループが現金同等物を現金に換金する際に、現金をある通貨から他の通貨に換金する際に、又は当社グループ内で現金を移動する際に係る手数料や費用を反映していません、(v) 有利子負債には、資金調達の契約と整合性のある平均為替レートを適用・調整していますが、これは当社グループがある通貨を他の通貨に換金することができる実際の為替レートを反映していません、(vi) 当社グループの劣後債はIFRS上資本として取り扱われないものの、エクイティクレジットを反映しています。当該調整は、合理的で、投資家にとって有用な調整であると考えています。調整後純有利子負債は、IFRSに基づく指標である社債及び借入金、又はその他の負債指標と切り離して考慮してはならず、また、これらの代替と捉えてはならないものです。IFRSに準拠した指標の中で、純有利子負債は、社債及び借入金が最も類似します。
当社グループの調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率は以下のとおりです。
(単位:億円、倍率以外)
下表は、2025年3月31日および2026年3月31日現在の社債及び借入金から調整後純有利子負債への調整を示しております。
(単位:億円)
(注)1 ワクチン運営および売上債権の売却プログラムに関係して当社が第三者に代わり一時的に保有する、即時的または一般的な業務に使用できない現金、およびその他の金融資産に計上され公正価値ヒエラルキーのレベル1に区分される債券投資を調整しております。
2 期中平均レートで換算される調整後EBITDA計算と整合させるため、外貨建て負債の換算において、当年度末時点の直近12ヶ月の平均為替レートを用いることにより、月末為替レートとの差異による変動を調整するものです。第4四半期期首時点に残存する外貨建て負債については、当年度末時点の直近12ヶ月の期中平均レートを用いて換算しております。また、第4四半期中に計上した新規の外貨建て負債および償還した既存の外貨建て負債については、当該日の対応するスポットレートを用いて換算しております。
3 ハイブリッド(劣後)社債及びローンの元本総額5,000億円分について、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン(格付機関)より認定された50%のエクイティクレジットを適用し、2,500億円を負債から控除しております。これらの金融負債は、レバレッジ評価において一定のエクイティクレジットが認められております。
① 財政状態及び経営成績の状況
当年度の業績および財政状態は以下のとおりとなりました。
| 売上収益 | 4兆5,057億円 | [前年度比 | 758億円 | ( | 1.7%) 減 | ] | |
| 研究開発費 | 6,759億円 | [ 〃 | 543億円 | ( | 7.4%) 減 | ] | |
| 営業利益 | 62億円 | [ 〃 | 3,364億円 | ( | 98.2%) 減 | ] | |
| 税引前当期損失 | △1,424億円 | [ 〃 | 3,174億円 | ( | -) 減 | ] | |
| 当期損失 | △1,521億円 | [ 〃 | 2,603億円 | ( | -) 減 | ] | |
| 基本的1株当たり損失 | △96円75銭 | [ 〃 | 165円11銭 | ( | -) 減 | ] | |
| 資産合計 | 15兆5,115億円 | [前年度末比 | 1兆2,632億円 | ( | 8.9%) 増 | ] | |
| 負債合計 | 8兆809億円 | [ 〃 | 7,685億円 | ( | 10.5%) 増 | ] | |
| 資本合計 | 7兆4,306億円 | [ 〃 | 4,947億円 | ( | 7.1%) 増 | ] |
なお、当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントのため、セグメントごとの経営成績の記載を
省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」をご参照下さい。
③ 生産、受注及び販売の状況
(a) 生産実績
当年度における生産実績は次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 医薬品事業 | 2,686,982 | 19.5 |
| 合計 | 2,686,982 | 19.5 |
(注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。
2 生産実績金額は、販売価格によっております。
(b) 受注状況
当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画をたてて生産しており、一部の受注生産における受注高および受注残高の金額に重要性はありません。
(c) 販売実績
当年度における販売実績は次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) | ||||
| 医薬品事業 | 4,505,720 | △1.7 | ||||
| (国内) | ( | 433,110 | ) | ( | 3.5 | ) |
| (海外) | ( | 4,072,610 | ) | ( | △2.2 | ) |
| 連結損益計算書計上額 (うちライセンス供与による収益・役務収益) | 4,505,720 | △1.7 | ||||
| ( | 82,609 | ) | ( | △3.5 | ) | |
(注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。
2 販売実績は、外部顧客に対する売上収益を表示しております。
3 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
| 相手先 | 前年度 | 当年度 | ||
| 金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
| マッケソン・コーポレーションおよびそのグループ会社 | 592,323 | 12.9 | 539,890 | 12.0 |
| センコラ Inc.(旧称:アメリソースバーゲン・コーポレーション)およびそのグループ会社 | 577,017 | 12.6 | 470,295 | 10.4 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 当年度の経営成績の分析
(a) 当社グループの経営成績に影響を与える事項
事業の概況
当社グループは、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業として、消化器系・炎症性疾患、ニューロサイエンス、およびオンコロジーの重点疾患領域において、革新的な医薬品を創出し続けることを追求するとともに、血漿分画製剤およびワクチンをお届けすることにも注力しています。当社グループはパートナーとともに、強固なパイプラインを通じて、患者さんの治療体験の向上を図り、希少疾患および有病率がより高い疾患のいずれにおいても治療パラダイムの変革に取り組んでいます。また、バリューチェーン全体にわたり先進技術や人工知能(AI)の統合を進めることで、事業運営の有効性と効率性を高め、イノベーションを促進し、ステークホルダーへの提供価値の向上につなげています。当社グループは、約80の国と地域で医薬品を販売しており、世界中に製造拠点を有するとともに、日本および米国に主要な研究拠点を有しています。販売においては、米国、日本および欧州において非常に高いプレゼンスを有しており、中国においても成長している事業を展開しています。当社グループの従業員は、私たちの存在意義のもとに結束し、2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に根ざして行動しています。
当社グループの事業は単一セグメントであり、資源配分、業績評価、および将来業績の予測においてマネジメントの財務情報に対する視点と整合しております。2026年3月期における売上収益および営業利益はそれぞれ4兆5,057億円および62億円であります。
当社グループの経営成績に影響を与える事項
当社グループの経営成績は、グローバルな業界トレンドや事業環境における以下の事項に影響を受けます。
特許保護と後発品との競争
医薬品は特に、特許保護や規制上の独占権によって市場競争が規制されることにより、当社グループの業績に貢献する場合があります。代替治療の利用が容易でない新製品は当社グループの売上の増加に貢献します。ただし、保護されている製品についても、効能、副作用や価格面で他社との競争が存在します。一方で、特許保護もしくは規制上の独占権の喪失や満了により、後発品が市場に参入するため、当社グループの業績に大きな悪影響を及ぼすことがあります。当社グループの主要製品の一部は、特許やその他の知的財産権保護の満了により、厳しい競争に晒されており、あるいは晒されると予想しています。以下は、過去2年間において、後発品またはバイオシミラーが発売された当社の一部の主要製品の業績を示しています。(「CER(Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベース」の増減は、IFRSに準拠した指標ではありません。詳細については、「④ 当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。)
(単位:億円、%以外)
| 売上収益 | 増減額 | CERベース 増減率 | ||
| 前年度 | 当年度 | |||
| VYVANSE/ELVANSE | 3,506 | 2,032 | △1,474 | △43% |
| アジルバ | 118 | 71 | △47 | △39.5% |
後発品の浸透の影響により、2023年8月に米国において物質特許が満了したVYVANSE/ELVANSEおよび2023年2月に日本において後発品が医薬品医療機器総合機構(PMDA)により承認されたアジルバ(競合品の薬価収載は2023年6月に承認)について、関連する国・地域において、両製品の売上収益が減少しました。VYVANSE/ELVANSEの売上収益は2025年3月期の3,506億円から2026年3月期には2,032億円に減少し、アジルバの売上収益は2025年3月期の118億円から2026年3月期には71億円に減少しました。2027年3月期においても、両製品ともに減少傾向が続くと見込んでいます。さらに、2026年3月期に1,218億円の売上収益を計上しているトリンテリックスについても、2026年12月に一定の独占期間が満了することに伴い、後発医薬品との競争に直面することが見込まれています。
なお、後発品を販売する他社が特許権の有効性に対する申し立てに成功する場合、もしくは想定される特許侵害訴訟に係る費用以上のベネフィットを前提として参入することを決定する場合があります。また、当社グループの特許権の有効性、あるいは製品保護に対する申し立てが提起された場合には、関連する無形資産の減損損失を認識する可能性があります。
新製品の開発・商業化および既存製品の拡大
当社は特に売上収益を伸長し、独占権喪失の影響を相殺することを目指しており、当社の事業において、新規のバイオ医薬品の開発・商業化のほか、既存製品の適応拡大および(または)地理的市場拡大による既存製品の拡大は重要な取組みです。これらの目標達成までのプロセスは長期にわたり多額の費用を伴い、多額の研究開発費が発生します。これらは当社の連結損益計算書上営業費用として計上しています。当社の研究開発の取組みに関する詳細については、本報告書の「6.研究開発活動」、製品に関連する研究開発費(償却および減損を含む)および無形資産の会計方針については、本報告書の「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3 重要性がある会計方針」をご参照ください。
2026年3月期において、当社は、当社のポートフォリオのうち一部の製品を「成長製品・新製品(注)」として特定し、当社の経営陣はこれらの製品を将来の主要な成長ドライバーとしてモニタリングしておりました。これらの成長製品・新製品は、2026年3月期において、当社の連結売上収益の51%を占める2兆3,133億円でありました。2026年3月期の内訳としては、ENTYVIOは9,580億円(当社の連結売上収益の21%)、当社の免疫グロブリン製剤(GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトル)は7,906億円(当社の連結売上収益の18%)、アルブミン製剤は1,403億円(当社の連結売上収益の3%)、タクザイロは2,239億円(当社の連結売上収益の5%)となりました。
2027年3月期より、当社は、「成長製品・新製品」の区分を廃止し、発売後5年以内の製品から構成される「新製品(New Launches)」および、発売後6年以上が経過し、年間売上収益が1,000億円以上であり、かつ引き続き積極的に販売活動を行っている製品から構成される「コア製品(Core In-line Brands)」という区分を新たに設定しております。
ライフサイクルの初期段階にある新製品は、連結売上収益への貢献は限定的である場合がありますが、当社の経営者はこれらの製品を将来の主要な成長ドライバーとしてモニターしており、これらの製品に関する情報は、当社が今後成長を見込んでいる領域を投資家に理解していただくにあたり有用であると考えています。
当グループを構成する製品は随時変更され、臨床試験の結果や規制当局の認可取得等により、製品を追加または除外する場合があります。
2027年3月期の期首時点において、新製品(New Launches)はEOHILIA、リブテンシティ、アジンマ、FRUZAQLAおよびQDENGAから構成され、コア製品(Core In-line Brands)はENTYVIO、GATTEX/レベスティブ、タケキャブ/VOCINTI、タクザイロ、免疫グロブリン製剤(GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む)、アルブミン製剤(HUMAN ALBUMIN/FLEXBUMINを含む)およびアドセトリスから構成されています。
2026年3月期において、当期に達成した良好な臨床第3相試験結果に基づき、oveporextonおよびrusfertideについてFDAへの承認申請を行い、これらの申請はFDAに受理され、両資産について優先審査(Priority Review)が付与されました。さらに、zasocitinibについては良好な臨床第3相試験結果が得られており、近い将来にFDAへの承認申請を行うことを見込んでいます。
これらの資産について上記が成功した場合には、2026年から2027年にかけて上市され、当社が開示する製品区分において新製品(New Launches)として位置づけられる可能性があります。
(注)本報告書日現在において、2026年3月期の成長製品・新製品は、以下のとおりです。
ENTYVIO、EOHILIA、タクザイロ、リブテンシティ、アジンマ、免疫グロブリン製剤(GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む)、アルブミン製剤(HUMAN ALBUMIN、FLEXBUMINを含む)、FRUZAQLA、アルンブリグおよびQDENGA
買収
当社グループは、研究開発能力を拡大し(新たな手法に展開することを含みます。)、新しい製品(開発パイプラインや上市済み製品)やその他の戦略的領域を獲得するために、新たな事業または資産を買収する可能性があります。同様に、当社グループの主な成長ドライバーに注力するため、また当社グループのポートフォリオを維持するために、事業や製品ラインを売却しております。
これらの買収は企業結合または資産の取得として会計処理されております。企業結合の場合、取得した資産および引き受けた負債は公正価値で計上されております。当社グループの業績は、通常、棚卸資産の公正価値の増加や、取得した有形固定資産および無形資産の償却費により影響を受けます。また、資産の取得の場合、取得した資産は取引価格で計上されております。企業結合または資産の取得の対価が追加的な借入金で賄われている場合、支払利息の増加も当社グループの業績に影響を与えます。
2025年3月期および2026年3月期、ならびに本報告書提出日までにおいて、重要な事業または資産の買収はありません。なお、共同研究、ライセンス契約およびその他の資産取得については、本報告書の「6 研究開発活動 ライセンスおよび共同研究開発契約」ならびに「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 13 共同研究開発契約、ライセンス契約、その他の資産取得等」をご参照ください。
事業売却
買収に加え、当社グループは、主要な成長ドライバーに注力し、また長期借入金を速やかに返済するための追加キャッシュ・フローを創出するため、事業や製品ラインを売却しております。以下は、2025年3月期において実施または発表された重要な事業売却になります。なお、2026年3月期、ならびに2026年4月1日から本報告書提出日までの期間において、重要な事業売却はありません。
当社グループは、2025年3月期にTeva Pharmaceutical Industries Ltd.(「テバ社」)と日本国内において展開するジェネリック医薬品および長期収載品を中心とした合弁事業について、これを解消する方向でテバ社と協議することを決定しました。これに伴い、武田テバファーマ株式会社の全株式である関連会社株式を売却目的で保有する資産に分類し、2025年3月期において189億円の減損損失を計上しました。2025年3月に当該譲渡が完了したことによる売却収入は508億円の受取配当金を含む565億円であり、2025年3月期の連結キャッシュ・フロー計算書に計上された関連会社株式の売却による収入577億円の大部分を構成しています。また、過去の取引で発生した未実現利益が譲渡完了時に実現したことにより17億円と38億円をそれぞれ売上収益とその他の営業収益に計上しました。
原材料の調達による影響
重要な原材料を社内外から調達することができない場合に、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、ヒト血漿は当社グループの血漿分画製剤において重要な原材料であります。血漿をより多く収集するため、調達および外部との契約を強化し、原料血漿の収集や血漿分画に関連する施設への委託、および規制当局から承認を受けることに成功するための取り組みを行っております。
外国為替変動
2025年3月期および2026年3月期において、当社グループでは日本以外の売上がそれぞれ90.9%、90.4%を占めております。当社グループの業績は、特に当社の表示通貨である日本円に対する米ドルおよびユーロの外国為替レートの変動に影響を受けます。円安は日本円以外の通貨による収益の増加要因となり当社グループの業績に好影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の増加により相殺される可能性があります。とりわけ、2025年3月期および2026年3月期において、他の通貨に対する円安により、当社の売上収益はプラスの影響を受けました。反対に、円高は日本円以外の通貨による収益減少要因となり当社グループの業績に悪影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の減少により相殺される可能性があります。前年度からの為替レートの変動が当社グループの業績に与える影響を投資家がより良く理解できるよう、当社グループは、補足的にCER(Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベースの増減を「CER」の表記で示しています。IFRSに準拠した実勢レート(Actual Exchange Rate)ベースの増減は「AER」の表記で示しています。CERベースの増減率に基づく対前年度の業績比較分析については、下記の「(c) 当年度における業績の概要」及び「(d) 当年度におけるCore業績の概要」をご参照ください。
また、「CERベースの増減」は、国際会計基準(IFRS)に準拠した指標ではありません。詳細については、「④ 当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。
なお、為替変動リスクを低減するため、当社グループは重要な一部の外貨建取引について、特定のヘッジ手段を利用しております。これには、主に個別に重要な外貨建取引に対する先物為替予約、通貨スワップおよび通貨オプションが含まれます。
季節的要因
当社グループの売上収益は、2025年3月期および2026年3月期において第4四半期に減少しています。これは、年末年始休暇および価格引き上げを控え、各国・地域において卸売業者が発注を増加させること、および暦年の年初の米国における保険の年間免責額の改定等によるものです。
(b) 重要な会計方針
当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠して作成されております。当連結財務諸表の作成にあたり、経営者は資産および負債の金額、決算日現在の偶発資産および偶発負債の開示、ならびに報告期間における収益および費用の金額に影響を及ぼす見積りおよび仮定の設定を行うことが求められております。見積りおよび仮定は、継続的に見直されます。経営者は、過去の経験、ならびに見積りおよび仮定が設定された時点において合理的であると判断されたその他の様々な要因に基づき当該見積りおよび仮定を設定しております。実際の結果はこれらの見積りおよび仮定とは異なる場合があります。
経営者の見積りおよび仮定に影響を受ける重要な会計方針は以下のとおりであります。なお、見積りおよび仮定の変更が連結財務諸表に重大な影響を及ぼす可能性があります。
収益認識
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3 重要性がある会計方針 (5) 収益」をご参照ください。
のれんおよび無形資産の減損
当社グループは、のれんおよび無形資産について、資産の帳簿価額が回収不能であるかもしれないことを示す事象または状況の変化がある場合には、減損テストを行っております。のれんおよび償却開始前の無形資産については、年次および減損の兆候を捕捉した時点で減損テストを実施しております。2026年3月31日時点において、当社グループはのれんおよび無形資産をそれぞれ5兆8,090億円および3兆4,193億円計上しており、これは総資産の59.5%を占めております。
上市後製品に係る無形資産は特許が存続する見込期間または見込まれる経済的便益に応じた他の指標に基づき、3年から20年の耐用年数を用いて定額法で償却しております。仕掛研究開発品に係る無形資産は、特定の市場における商用化が規制当局により承認されるまで償却をしておりません。商用化が承認された時点で、当該資産の見積耐用年数を確定し、償却を開始しております。
のれんおよび無形資産は、通常、連結財政状態計算書上の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には減損していると判断されます。無形資産にかかる回収可能価額は個別資産、またはその資産が他の資産と共同で資金を生成する場合はより大きな資金生成単位ごとに見積られます。資金生成単位は独立したキャッシュ・インフローを形成する最小の識別可能な資産グループであります。のれんの減損テストは単一の事業セグメント単位(単一の資金生成単位)で実施しており、これはのれんを内部管理目的で監視している単位を表しています。回収可能価額の見積りには以下を含む複数の仮定の設定が必要となります。
·将来キャッシュ・フローの金額および時期
·競合他社の動向(競合製品の販売開始、マーケティングイニシアチブ等)
·規制当局からの承認の取得可能性
·将来の税率
·永続成長率
·割引率
将来キャッシュ・フローの金額および時期を見積るための重要な仮定には、研究開発プロジェクトの成功見込みおよび製品に係る売上予測があります。特にのれんにかかる回収可能価額の見積りにおいては、米国における特定の製品に係る売上予測が重要な仮定となります。これらの仮定に影響を与える事象としては、開発の中止、大幅な上市の遅延、規制当局の承認が得られないことによる研究開発プロジェクトの失敗、もしくは一般的には新たな競合製品の販売開始や供給不足による、一部の上市後製品にかかる売上予測の低下があげられます。これらの事象が発生した場合、プロジェクト獲得以降に実施した当初もしくは事後の研究開発投資額が回収できない、もしくは見積った将来キャッシュ・フローが回収できない可能性があります。
これらの仮定に変更が生じた場合は、当該連結会計年度において減損損失および、のれんを除き、減損損失の戻入れを認識しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 11 のれん および 12 無形資産」をご参照ください。
訴訟に係る偶発事象
当社グループは、通常の営業活動において主に製造物責任訴訟および賠償責任訴訟に関与しております。詳細については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 31 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。
偶発負債は、その特性から不確実なものであり複雑な判断や可能性に基づいております。訴訟およびその他の偶発事象に係る引当金を算定する際には、該当する訴訟の根拠や管轄、その他の類似した現在および過去の訴訟案件の顛末および発生数、製品の性質、訴訟に関する科学的な事項の評価、和解の可能性ならびに現時点における和解にむけた進行状況等を勘案しております。さらに、未だ提訴されていない製造物責任訴訟については、主に過去の訴訟の経験や製品の使用に係るデータに基づき、費用を合理的に見積ることができる範囲で引当金を計上しております。当社グループが関与する重要な訴訟のうち、それらの最終的な結果により財務上の影響が見込まれる場合であっても、その額について信頼性のある見積りが不可能な訴訟等については、引当金の計上は行っておりません。また、保険の補償範囲期間内である場合は保険による補償についても考慮しております。補償範囲の検討の際に、当社グループは、保険契約の制限や除外、保険会社による補償の拒否の可能性、保険業者の財政状態、ならびに回収可能性および回収期間を考慮しております。引当金および関連する保険補償額の見積りは、連結財政状態計算書上において負債および資産として総額で計上しております。2026年3月31日現在において、係争中の訴訟案件およびその他の案件について4,157億円の引当金を計上しております。
法人所得税
当社グループは、税法および税規制の解釈に基づき税務申告を行っており、これらの判断および解釈に基づき税金引当額を計上しております。通常の営業活動において、当社グループの税務申告は様々な税務当局による税務調査の対象であり、これらの調査の結果、追加税額、利息、または罰金の支払いが課される場合があります。各法域における法律、規制および司法判断に基づく税法改正等により、多くの不確実な税務ポジションの評価には固有の不確実性を伴います。税務当局が当社グループの税務ポジションを認める可能性が高くないと判断した場合、当社グループは、当該不確実性の予想される解決に基づき負債を認識します。また、不確実な税務ポジションは、事実および状況の変化に伴い調整されます。これらの税務ポジションは、例えば、現行の税法の改正、税務当局による新たな規制または行政上の解釈指針の発行、税務調査の際に入手した新たな情報、または税務調査の解決により調整が行われる可能性があります。当社グループは、不確実な税務ポジションに係る当社グループの見積りは、現時点において判明している事実および状況に基づき合理的であり、適切に反映されていると判断しております。しかしながら、これらの事項の最終的な結果は、計上された金額と重要な差異が生じる場合があります。
また、各報告期間の末日において、繰延税金資産について実現可能額を評価しております。繰延税金資産の回収可能性の評価においては、将来加算一時差異の解消予定、予想される将来課税所得およびタックスプランニングを考慮しております。予想される将来課税所得は、当社グループの事業計画に基づき見積られております。事業計画に用いられる売上収益の予測に関する判断が変更された場合、認識される繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。過去の課税所得の水準および一時差異が損金算入可能となる期間における将来課税所得の見積りに基づき、実現する可能性が高いと判断される税務上の便益の額を算定しております。2026年3月31日現在における繰延税金資産を認識していない未使用の繰越欠損金、将来減算一時差異、および未使用の繰越税額控除は、それぞれ1兆2,073億円、7,138億円、および294億円であります。将来における見積りおよび仮定の変更は、法人所得税費用に重要な影響を与える可能性があります。
事業構造再編費用
当社グループでは、費用削減に関連した取り組みに関連して事業構造再編費用が発生します。退職金が事業構造再編費用の主な内訳であり、事業構造再編に係る引当金は、事業構造再編に係る詳細な公式計画を策定し、かつ計画の実施や影響を受ける関係者への主要な特徴の公表を通じて、影響を受ける関係者に当該事業構造再編が実行されるであろうという妥当な期待を惹起した時点で認識しております。事業構造再編に係る引当金の認識には、支払時期や、事業再編により影響を受ける従業員数等の見積りが必要となります。最終的なコストは当初の見積りから異なる可能性があります。
2024年5月9日に当社は、事業の成長と利益率の改善を促進するための複数年にわたる全社的な効率化プログラムを実施することについて、公表しました。本プログラムには、人員の最適化策を伴う組織構造の簡素化、組織全体での生産性と効率性の向上を図るためのDD&Tへの投資、サプライチェーンおよびベンダー管理プロセスにおけるコスト削減と効率化が含まれております。主に、2024 年5月に公表した当該取り組みにより、2025年3月期に1,281億円の事業構造再編費用を計上し、2026年3月期には708億円を計上しました。2026年3月25日に当社は、長期的な成長力の向上および新製品上市の実行加速を目指す取り組みの次なるステップについて、取締役会が承認したことを公表しました。当該取り組みには、高度なテクノロジーの活用によるコーポレート機能の合理化およびプロセスの簡素化が含まれております。2027年3月期には1,700億円の事業構造再編費用の発生を見込んでおり、2028年3月期および2029年3月期には、事業構造再編費用は減少する見込みです。
2026年3月31日現在、279億円の事業構造再編に係る引当金を計上しております。事業構造再編に係る引当金及び対前期比の変動の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 22 引当金」をご参照ください。
(c) 当年度における業績の概要
前年度および当年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。
| (単位:億円、%以外) | ||||||||
| 前年度 | 当年度 | AERベース | CERベース | |||||
| 増減額 | 増減率 | 増減率 | ||||||
| 売上収益 | 45,816 | 45,057 | △758 | △1.7 | % | △2.7 | % | |
| 売上原価 | △15,802 | △15,716 | 86 | △0.5 | % | △1.9 | % | |
| 販売費及び一般管理費 | △11,048 | △10,842 | 206 | △1.9 | % | △2.5 | % | |
| 研究開発費 | △7,302 | △6,759 | 543 | △7.4 | % | △7.0 | % | |
| 製品に係る無形資産償却費及び減損損失 | △6,432 | △6,335 | 97 | △1.5 | % | △1.7 | % | |
| その他の営業収益 | 262 | 247 | △15 | △5.6 | % | △4.4 | % | |
| その他の営業費用 | △2,067 | △5,590 | △3,522 | 170.4 | % | 168.9 | % | |
| 営業利益 | 3,426 | 62 | △3,364 | △98.2 | % | - | ||
| 金融収益及び費用(純額) | △1,635 | △1,464 | 171 | △10.5 | % | △7.5 | % | |
| 持分法による投資損益 | △40 | △22 | 18 | △45.4 | % | △52.9 | % | |
| 税引前当期利益(△は損失) | 1,751 | △1,424 | △3,174 | - | - | |||
| 法人所得税費用 | △669 | △98 | 572 | △85.4 | % | △97.6 | % | |
| 当期利益(△は損失) | 1,081 | △1,521 | △2,603 | - | - | |||
| 当期利益(△は損失)(親会社の所有者帰属分) | 1,079 | △1,524 | △2,603 | - | - | |||
本項において、前年度に対する、国際会計基準(IFRS)に準拠した実勢レート(Actual Exchange Rate)ベースの増減額および増減率は「AER」の表記で示し、国際会計基準(IFRS)に準拠しない恒常為替レート(Constant Exchange Rate)ベースの増減率は「CER」の表記で示しています。「CERベースの増減率」の定義については、「④ 当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。
[売上収益]
売上収益は、4兆5,057億円(△758億円および△1.7% AER、△2.7% CER)となりました。この減収は、主に当社の6つの主要なビジネスエリアの一つであるニューロサイエンス(神経精神疾患)における減収によるものです。ニューロサイエンスにおける減収は、主に米国における注意欠陥/多動性障害(ADHD)治療剤VYVANSEの後発品の市場浸透による減収影響を引き続き受けたことによるものです。当社の他の主要なビジネスエリアである消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、およびワクチンにおける売上収益は増収となりました。一部の製品は米国におけるメディケア・パートDの再設計および340Bプログラムの拡大による影響を受けたものの、米国以外の地域におけるその他の製品の需要は堅調に推移しました。当社の6つの主要なビジネスエリア以外の売上収益は、2,240億円(△334億円および△13.0% AER、△15.9% CER)となりました。
地域別売上収益
各地域の売上収益は以下のとおりです。
(単位:億円、%以外)
| 売上収益: | 前年度 | 当年度 | AERベース | CERベース | ||
| 増減額 | 増減率 | 増減率 | ||||
| 日本 | 4,185 | 4,331 | 146 | 3.5% | 3.4% | |
| 米国 | 23,797 | 21,648 | △2,148 | △9.0% | △7.7% | |
| 欧州およびカナダ | 10,553 | 11,462 | 910 | 8.6% | 3.0% | |
| 中南米 | 2,358 | 2,541 | 183 | 7.8% | 4.9% | |
| 中国 | 1,917 | 1,951 | 34 | 1.8% | 1.4% | |
| アジア(日本および中国を除く) | 994 | 987 | △7 | △0.7% | △0.3% | |
| ロシア/CIS | 724 | 797 | 74 | 10.2% | 0.7% | |
| その他(注) | 1,288 | 1,339 | 50 | 3.9% | 1.0% | |
| 合計 | 45,816 | 45,057 | △758 | △1.7% | △2.7% | |
(注) その他の地域は中東、オセアニアおよびアフリカを含みます。
当社グループの売上収益の大部分は、主要な医療用医薬品により占められております。当年度の各ビジネスエリアにおける主要製品の売上は以下のとおりです。
| (単位:億円、%以外) | |||||
| 前年度 | 当年度 | AERベース | CERベース | ||
| 増減額 | 増減率 | 増減率 | |||
| 消化器系疾患: | |||||
| ENTYVIO(注)1 | 9,141 | 9,580 | 439 | 4.8% | 4.2% |
| GATTEX/レベスティブ | 1,463 | 1,457 | △6 | △0.4% | △0.1% |
| タケキャブ/VOCINTI(注)2 | 1,308 | 1,437 | 129 | 9.9% | 9.6% |
| DEXILANT | 385 | 373 | △13 | △3.3% | △5.2% |
| EOHILIA | 55 | 88 | 33 | 61.0% | 63.2% |
| RESOLOR/MOTEGRITY | 195 | 73 | △122 | △62.7% | △62.8% |
| その他 | 1,024 | 1,068 | 44 | 4.3% | 1.5% |
| 消化器系疾患 合計 | 13,570 | 14,075 | 504 | 3.7% | 3.1% |
| 希少疾患: | |||||
| タクザイロ | 2,232 | 2,239 | 8 | 0.3% | △0.4% |
| アドベイト | 1,118 | 1,055 | △62 | △5.6% | △6.8% |
| エラプレース | 972 | 1,005 | 32 | 3.3% | 0.8% |
| リプレガル | 779 | 804 | 26 | 3.3% | △0.5% |
| アディノベイト/ADYNOVI | 646 | 567 | △79 | △12.3% | △13.1% |
| リブテンシティ | 330 | 469 | 139 | 42.2% | 41.0% |
| ボンベンディ | 209 | 253 | 43 | 20.8% | 18.6% |
| アジンマ | 71 | 120 | 49 | 68.8% | 65.1% |
| その他 | 1,172 | 1,115 | △57 | △4.8% | △6.2% |
| 希少疾患合計 | 7,528 | 7,627 | 99 | 1.3% | △0.3% |
| 血漿分画製剤: | |||||
| 免疫グロブリン製剤 | 7,578 | 7,906 | 328 | 4.3% | 4.1% |
| アルブミン製剤 | 1,414 | 1,403 | △11 | △0.8% | △2.1% |
| ファイバ | 394 | 329 | △66 | △16.6% | △17.7% |
| HEMOFIL/IMMUNATE/IMMUNINE | 256 | 254 | △2 | △0.8% | △4.8% |
| その他 | 685 | 684 | △1 | △0.1% | △0.8% |
| 血漿分画製剤合計 | 10,327 | 10,575 | 249 | 2.4% | 1.9% |
| オンコロジー: | |||||
| アドセトリス | 1,290 | 1,402 | 112 | 8.7% | 5.3% |
| リュープリン/ENANTONE | 1,193 | 1,208 | 15 | 1.3% | △0.4% |
| ニンラーロ | 912 | 821 | △91 | △10.0% | △10.5% |
| アイクルシグ | 707 | 750 | 43 | 6.1% | 5.6% |
| FRUZAQLA(注)3 | 480 | 551 | 72 | 14.9% | 14.6% |
| アルンブリグ | 364 | 369 | 5 | 1.4% | 0.2% |
| その他 | 658 | 699 | 41 | 6.3% | 5.0% |
| オンコロジー 合計 | 5,604 | 5,801 | 197 | 3.5% | 2.0% |
| ワクチン: | |||||
| QDENGA | 356 | 408 | 52 | 14.6% | 10.7% |
| その他 | 198 | 188 | △10 | △5.0% | △5.0% |
| ワクチン 合計 | 554 | 596 | 42 | 7.6% | 5.1% |
| ニューロサイエンス: | |||||
| VYVANSE/ELVANSE(注)4 | 3,506 | 2,032 | △1,474 | △42.0% | △43.0% |
| トリンテリックス | 1,257 | 1,218 | △39 | △3.1% | △1.9% |
| ADDERALL XR | 284 | 247 | △37 | △13.0% | △12.1% |
| その他 | 610 | 645 | 35 | 5.7% | 4.4% |
| ニューロサイエンス 合計 | 5,658 | 4,143 | △1,515 | △26.8% | △27.2% |
| (単位:億円、%以外) | |||||
| 前年度 | 当年度 | AERベース | CERベース | ||
| 増減額 | 増減率 | 増減率 | |||
| その他: | |||||
| ホスレノール | 79 | 88 | 9 | 11.8% | 7.4% |
| アジルバ(注)2 | 118 | 71 | △47 | △39.5% | △39.5% |
| その他 | 2,377 | 2,080 | △297 | △12.5% | △15.5% |
| その他 合計 | 2,574 | 2,240 | △334 | △13.0% | △15.9% |
| 総合計 | 45,816 | 45,057 | △758 | △1.7% | △2.7% |
(注)1 国内製品名:エンタイビオ
2 配合剤、パック製剤を含む。
3 国内製品名:フリュザクラ
4 国内製品名:ビバンセ
各ビジネスエリアにおける売上収益の前年度からの増減は、主に以下の製品によるものです。
- 消化器系疾患
消化器系疾患の売上収益は、1兆4,075億円(+504億円および+3.7% AER、+3.1% CER)となりました。
潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤ENTYVIO(国内製品名:エンタイビオ)の売上は、9,580億円(+439億円および+4.8% AER、+4.2% CER)となりました。米国における売上は、6,237億円(+45億円および+0.7% AER)となりました。この増収は、皮下注射製剤の売上が伸長したことによるものですが、対米ドルでの円高による減収影響により相殺されました。欧州およびカナダにおける売上は、2,567億円(+293億円および+12.9% AER)となりました。この増収は、主に皮下注射製剤の継続的な使用拡大に伴い患者が増加したことに加え、対ユーロでの円安による増収影響によるものです。
酸関連疾患治療剤タケキャブ/VOCINTIの売上は、1,437億円(+129億円および+9.9% AER、+9.6% CER)となりました。この増収は、中国および日本における堅調な需要によるものです。
好酸球性食道炎治療剤EOHILIAの売上は、88億円(+33億円および+61.0% AER, +63.2% CER)となりました。この増収は、米国における堅調な需要によるものです。
慢性特発性便秘症治療剤RESOLOR/MOTEGRITYの売上は、73億円(△122億円および△62.7% AER、△62.8% CER)となりました。この減収は、主に米国において2025年1月から複数の後発品が参入したことによるものです。
- 希少疾患
希少疾患の売上収益は、7,627億円(+99億円および+1.3% AER、△0.3% CER)となりました。
移植後のサイトメガロウイルス感染/感染症治療剤リブテンシティの売上は、469億円(+139億円および+42.2% AER、+41.0% CER)となりました。この増収は、主に米国において市場浸透が継続して好調に進んだことに加え、欧州および成長新興国において引き続き販売エリアが拡大したことによるものです。
先天性血栓性血小板減少性紫斑病治療剤アジンマの売上は、120億円(+49億円および+68.8% AER、+65.1% CER)となりました。この増収は、欧州において上市以降、売上が着実に増加したことによるもので、超希少疾患患者さんのアンメット・ニーズを反映しています。
フォン・ヴィレブランド病治療剤ボンベンディの売上は、253億円(+43億円および+20.8% AER、+18.6% CER)となりました。この増収は、ボンベンディの適応拡大(成人患者に対する出血傾向の抑制のための定期補充療法)によるものです。
血友病A治療剤アディノベイト/ADYNOVIの売上は567億円(△79億円および△12.3% AER、△13.1% CER)となりました。この減収は、主に米国における競争の激化によるものです。
血友病A治療剤アドベイトの売上は1,055億円(△62億円および△5.6% AER、△6.8% CER)となりました。この減収は、主に米国における競争の激化によるものです。
- 血漿分画製剤
血漿分画製剤の売上収益は、1兆575億円(+249億円および+2.4% AER、+1.9% CER)となりました。
主に原発性免疫不全症、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎および多巣性運動ニューロパチーの治療に用いられる免疫グロブリン製剤の売上合計は、7,906億円(+328億円および+4.3% AER、+4.1% CER)となりました。この増収は、皮下注射製剤のキュービトルとハイキュービアの売上が伸長したことによるものです。静脈注射製剤のGAMMAGARD LIQUID/KIOVIGの売上は、米国におけるメディケア・パートDの再設計および対米ドルでの円高による減収影響を受けたものの、わずかに増収となりました。
血友病Aおよび血友病B治療剤ファイバの売上は、329億円(△66億円および△16.6% AER、△17.7% CER)となりました。この減収は、全ての地域において、遺伝子組換え製剤との競争が激化したことによるものです。
- オンコロジー
オンコロジーの売上収益は、5,801億円(+197億円および+3.5% AER、+2.0% CER)となりました。
悪性リンパ腫治療剤アドセトリスの売上は、1,402億円(+112億円および+8.7% AER、+5.3% CER)となりました。この増収は、欧州および成長新興国における堅調な需要に加え、対ユーロでの円安による増収影響によるものです。
大腸がん治療剤FRUZAQLA(国内製品名:フリュザクラ)の売上は、551億円(+72億円および+14.9% AER、+14.6% CER)となりました。この増収は、本剤が転移性大腸がんにおける新たな治療選択肢として、欧州、日本および成長新興国において上市後、着実に市場浸透したことによるものです。この増収は、米国における売上がメディケア・パートDの再設計による影響を受けて減少したことで一部相殺されました。
白血病治療剤アイクルシグの売上は、750億円(+43億円および+6.1% AER、+5.6% CER)となりました。この増収は、主にカナダにおける売上が増加したことによるものです。
子宮内膜症・子宮筋腫・閉経前乳がん・前立腺がん等の治療に用いられるリュープリン/ENANTONEの売上は、1,208億円(+15億円および+1.3% AER、△0.4% CER)となりました。この増収は、主に対ユーロでの円安による増収影響によるものです。
多発性骨髄腫治療剤ニンラーロの売上は、821億円(△91億円および△10.0% AER、△10.5% CER)となりました。この減収は、主に米国における競争の激化と需要の減少によるものです。この減収は、成長新興国における売上が増加したことにより一部相殺されました。
- ワクチン
ワクチンの売上収益は、596億円(+42億円および+7.6% AER、+5.1% CER)となりました。
デング熱ワクチンQDENGAの売上は、408億円(+52億円および+14.6% AER、+10.7% CER)となりました。この増収は、成長新興国における高い需要により上市以降、売上が増加したことによるものです。
その他のワクチンの売上合計は、減収となりました。この減収は、主に日本における麻しん風しん混合ワクチンであるMRワクチンの一時的な出荷停止が継続したことによるものです。
- ニューロサイエンス
ニューロサイエンスの売上収益は、4,143億円(△1,515億円および△26.8% AER、△27.2% CER)となりました。
ADHD治療剤VYVANSE/ELVANSE(国内製品名:ビバンセ)の売上は、2,032億円(△1,474億円および△42.0% AER、△43.0% CER)となりました。この減収は、主に米国において後発品の市場浸透が引き続き進んだことによるものです。
[売上原価]
売上原価は、1兆5,716億円(△86億円および△0.5% AER、△1.9% CER)となりました。この減少は、売上収益の減少に加え、在庫に積み上がった為替影響を認識するプロセスの導入に伴い前年度に売上原価の調整を計上したことによるものです。一方で、これらの減少は、特に米国におけるVYVANSE後発品の市場浸透により製品構成が変化したことによる原価率の上昇や、対ユーロでの円安による為替影響により、大部分が相殺されました。
[販売費及び一般管理費]
販売費及び一般管理費は、1兆842億円(△206億円および△1.9% AER、△2.5% CER)となりました。この減少は、主に全社的な効率化プログラムのコスト節減効果により費用が削減されたことによるものです。
[研究開発費]
研究開発費は、6,759億円(△543億円および△7.4% AER、△7.0% CER)となりました。この減少は、ザソシチニブやelriterceptをはじめとする一部の後期開発パイプラインに係る費用が増加したものの、その他の開発プログラムにおいて開発の中止や臨床試験の進捗に伴い費用が減少したこと、メザギタマブに関しては共同開発資金を研究開発費の減額として認識したこと、および全社的な効率化プログラムのコスト節減効果による費用の減少があったことによるものです。
[製品に係る無形資産償却費及び減損損失]
製品に係る無形資産償却費及び減損損失は、6,335億円(△97億円および△1.5% AER、△1.7% CER)となりました。この減少は、無形資産減損損失が増加(+342億円)したものの、VYVANSE/ELVANSEに係る無形資産の償却終了などに伴い、無形資産償却費が減少(△439億円)したことによるものです。当年度の減損損失には、細胞療法研究の中止の決定に伴い計上したガンマ・デルタT細胞療法プラットフォームおよび関連するオンコロジーのプログラムに係る減損損失582億円、および将来の売上予測の低下により計上した非小細胞肺がん治療剤アルンブリグに係る減損損失319億円が含まれます。前年度の減損損失には、Maverick Therapeutics Inc.の買収により獲得したTAK-186およびTAK-280の開発中止の決定に伴い計上した減損損失278億円、およびソチクレスタット(TAK-935)の臨床第3相試験において主要評価項目を達成できなかったことにより計上した減損損失215億円が含まれます。
[その他の営業収益]
その他の営業収益は、247億円(△15億円および△5.6% AER、△4.4% CER)となりました。この減少は、主に前年度において条件付対価契約に関する金融負債の公正価値変動に伴う収益を計上したこと、および当年度におけるその他の収益の減少によるものの、当年度に計上した事業売却益の増加により大部分が相殺されたものです。
[その他の営業費用]
その他の営業費用は、5,590億円(+3,522億円および+170.4% AER、+168.9% CER)となりました。この増加は、主として、当年度において、AMITIZAに係る米国の反トラスト訴訟における陪審評決を受けて、関連する訴訟引当金4,035億円を計上したことによるものです。一方、全社的な効率化プログラムに関連する費用を含む事業構造再編費用が573億円減少したことにより、増加の一部は相殺されました。
[営業利益]
営業利益は、上記の要因を反映し、62億円(△3,364億円および△98.2% AER)となりました。
[金融損益]
金融収益と金融費用をあわせた金融損益は1,464億円の損失(△171億円および△10.5% AER、△7.5% CER)となりました。この減少は、主に武田テバファーマ株式会社の株式の売却に係る減損損失189億円を前年度に計上したことによるものです。
[持分法による投資損益]
持分法による投資損益は、22億円の損失(△18億円および△45.4% AER、△52.9% CER)となりました。
[法人所得税費用]
法人所得税費用は、98億円(△572億円および△85.4% AER、△97.6% CER)となりました。この減少は主に、当年度において、AMITIZAに係る米国の反トラスト訴訟における陪審評決を受けて訴訟引当金を計上したことに関連し、繰延税金資産が584億円増加したことによるものです。
[当期利益(△は損失)]
上記要因を反映し、当期損失は、△1,521億円 (△2,603億円、前年度は1,081億円の利益)、当期損失(親会社の所有者帰属分)は、△1,524億円(△2,603億円、前年度は1,079億円の利益)となりました。
(d) 当年度におけるCore業績の概要
補足的分析:Core財務指標に基づく業績(IFRSに準拠しない指標)
IFRSに準拠して作成された業績に加え、当社グループは、補足的に、Core財務指標に基づく業績も表示しております。投資家におかれましては、Core財務指標の定義、有用性の限界、最も良く対応するIFRSに準拠した財務指標への調整を含む、より詳細な情報については、「④ 当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。
当社グループは、また、Core財務指標のCERベースの増減率についても表示しております。詳細については、「④ 当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。
Core業績
| (単位:億円、%以外) | ||||||||
| 前年度 | 当年度 | AERベース | CERベース | |||||
| 増減額 | 増減率 | 増減率 | ||||||
| Core売上収益 | 45,798 | 45,057 | △741 | △1.6 | % | △2.6 | % | |
| Core営業利益 | 11,626 | 11,725 | 98 | 0.8 | % | △0.9 | % | |
| Core当期利益 | 7,758 | 8,144 | 386 | 5.0 | % | 2.9 | % | |
| Core当期利益 (親会社の所有者帰属分) | 7,756 | 8,141 | 385 | 5.0 | % | 2.9 | % | |
| Core EPS(円) | 491 | 517 | 26 | 5.2 | % | 3.1 | % | |
[Core売上収益]
Core売上収益は、4兆5,057億円(△741億円および△1.6% AER、△2.6% CER)となりました。この減収は、主に米国においてVYVANSEの後発品の市場浸透が引き続き進んだ影響を受けたことにより、ニューロサイエンスの売上収益が減少したことによるものです。
タケダの成長製品・新製品(注)の売上収益は2兆3,133億円(+1,114億円および+5.1% AER、+4.5% CER)となりました。
(注)当年度のタケダの成長製品・新製品消化器系疾患:ENTYVIO、EOHILIA希少疾患:タクザイロ、リブテンシティ、アジンマ血漿分画製剤(免疫疾患):GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む免疫グロブリン製剤、
HUMAN ALBUMIN、FLEXBUMINを含むアルブミン製剤オンコロジー:アルンブリグ、FRUZAQLAワクチン:QDENGA
[Core営業利益]
Core営業利益は、1兆1,725億円(+98億円および+0.8% AER、△0.9% CER)となりました。Core営業利益の内訳は以下のとおりです。
| (単位:億円、%以外) | ||||||||
| 前年度 | 当年度 | AERベース | CERベース | |||||
| 増減額 | 増減率 | 増減率 | ||||||
| Core売上収益 | 45,798 | 45,057 | △741 | △1.6 | % | △2.6 | % | |
| Core売上原価 | △15,818 | △15,726 | 92 | △0.6 | % | △1.9 | % | |
| Core販売費及び一般管理費 | △11,050 | △10,847 | 204 | △1.8 | % | △2.5 | % | |
| Core研究開発費 | △7,304 | △6,760 | 544 | △7.4 | % | △7.0 | % | |
| Core営業利益 | 11,626 | 11,725 | 98 | 0.8 | % | △0.9 | % | |
報告期間における上記項目の増減は以下のとおりです。
[Core売上原価]
Core売上原価は、1兆5,726億円(△92億円および△0.6% AER、△1.9% CER)となりました。この減少は、売上収益の減少に加え、在庫に積み上がった為替影響を認識するプロセスの導入に伴い前年度に売上原価の調整を計上したことによるものです。一方で、これらの減少は、特に米国におけるVYVANSE後発品の市場浸透により製品構成が変化したことによる原価率の上昇や、対ユーロでの円安による為替影響により、大部分が相殺されました。
[Core販売費及び一般管理費]
Core販売費及び一般管理費は、1兆847億円(△204億円および△1.8% AER、△2.5% CER)となりました。この減少は、主に全社的な効率化プログラムのコスト節減効果により費用が削減されたことによるものです。
[Core研究開発費]
Core研究開発費は、6,760億円(△544億円および△7.4% AER、△7.0% CER)となりました。この減少は、ザソシチニブやelriterceptをはじめとする一部の後期開発パイプラインに係る費用が増加したものの、その他の開発プログラムにおいて開発の中止や臨床試験の進捗に伴い費用が減少したこと、メザギタマブに関しては共同開発資金を研究開発費の減額として認識したこと、および全社的な効率化プログラムのコスト節減効果による費用の減少があったことによるものです。
[Core当期利益]
Core当期利益は、8,144億円(+386億円および+5.0% AER、+2.9% CER)、Core当期利益(親会社の所有者帰属分)は、8,141億円(+385億円および+5.0% AER、+2.9% CER)となりました。Core当期利益は、Core営業利益に基づき、以下のとおり算出されます。
| (単位:億円、%以外) | ||||||||
| 前年度 | 当年度 | AERベース | CERベース | |||||
| 増減額 | 増減率 | 増減率 | ||||||
| Core営業利益 | 11,626 | 11,725 | 98 | 0.8 | % | △0.9 | % | |
| Core金融収益及び費用(純額) | △1,407 | △1,332 | 75 | △5.3 | % | △1.9 | % | |
| Core持分法による投資損益 | 11 | △1 | △13 | - | △82.1 | % | ||
| Core税引前当期利益 | 10,231 | 10,392 | 161 | 1.6 | % | △0.9 | % | |
| Core法人所得税費用 | △2,473 | △2,248 | 225 | △9.1 | % | △12.8 | % | |
| Core当期利益 | 7,758 | 8,144 | 386 | 5.0 | % | 2.9 | % | |
| Core当期利益 (親会社の所有者帰属分) | 7,756 | 8,141 | 385 | 5.0 | % | 2.9 | % | |
報告期間における上記項目の増減は以下のとおりです。
[Core金融損益]
Core金融収益とCore金融費用をあわせた金融損益は、1,332億円の損失(△75億円および△5.3% AER、△1.9% CER)となりました。
[Core持分法による投資損益]
Core持分法による投資損益は、1億円の損失(△13億円)となりました。
[Core税引前当期利益]
Core税引前当期利益は、1兆392億円(+161億円および+1.6% AER、△0.9% CER)となりました。
[Core法人所得税費用]
Core法人所得税費用は、2,248億円(△225億円および△9.1% AER、△12.8% CER)となりました。この減少は主に、当年度における繰延税金資産の回収可能性の見直しにより、Core法人所得税費用が減少したことによるものです。
[Core EPS]
Core EPSは、517円(+26円および+5.2% AER、+3.1% CER)となりました。
② 当年度の財政状態の分析
| (単位:億円) | |||
| 前年度末 | 当年度末 | 増減額 | |
| 資産合計 | 142,483 | 155,115 | 12,632 |
| 負債合計 | 73,124 | 80,809 | 7,685 |
| 資本合計 | 69,360 | 74,306 | 4,947 |
[資産]
当年度末における資産合計は、15兆5,115億円(+1兆2,632億円)となりました。主に為替換算の影響により、のれん、棚卸資産および有形固定資産が増加(+4,846億円、+1,793億円および+1,524億円)しております。主に、AMITIZAに係る米国の反トラスト訴訟における陪審評決を受けて訴訟引当金を計上したことに関連し、繰延税金資産が584億円増加したことや、無形資産の償却およびその他の繰延税金資産の回収可能性の見直しにより、繰延税金資産が増加(+1,755億円)しております。米国における売上債権の売却プログラムを減額したことなどによる売上債権残高の増加、ならびに為替換算の影響により、売上債権及びその他の債権が増加(+1,348億円)しております。主に日本における金利通貨スワップに係る公正価値変動により、その他の金融資産合計が増加(+1,102億円)しております。加えて、現金及び現金同等物が増加(+2,099億円)しております。これらの増加は、主に償却および減損による無形資産の減少(△2,122億円)により一部相殺されております。
[負債]
当年度末における負債合計は、8兆809億円(+7,685億円)となりました。主にAMITIZAに係る米国の反トラスト訴訟における陪審評決を受けて訴訟引当金を計上したことにより、引当金合計が増加(+4,677億円)しております。社債及び借入金合計は4兆8,818億円(注)(+3,666億円)となり、償還および返済により一部相殺されたものの、主に為替の影響に加え、円貨建無担保普通社債および米ドル建保証付無担保普通社債の発行、ならびに新たなバイラテラルローンの借入により増加しております。
(注)当年度末における社債及び借入金の帳簿価額はそれぞれ4兆6,568億円および2,250億円です。なお、社債及び借入金の内訳は以下のとおりです。
社債:
| 銘柄 (外貨建発行額) | 発行時期 | 償還期限 | 帳簿価額 |
| 米ドル建無担保普通社債 (500百万米ドル) | 2015年6月 | 2045年6月 | 813億円 |
| 米ドル建無担保普通社債 (1,500百万米ドル) | 2016年9月 | 2026年9月 | 2,377億円 |
| ユーロ建無担保普通社債 (3,000百万ユーロ) | 2018年11月 | 2026年11月 ~2030年11月 | 5,476億円 |
| 米ドル建無担保普通社債 (1,750百万米ドル) | 2018年11月 | 2028年11月 | 2,784億円 |
| 米ドル建無担保普通社債 (7,000百万米ドル) | 2020年7月 | 2030年3月 ~2060年7月 | 1兆1,111億円 |
| ユーロ建無担保普通社債 (3,600百万ユーロ) | 2020年7月 | 2027年7月 ~2040年7月 | 6,558億円 |
| 円貨建無担保普通社債 | 2021年10月 | 2031年10月 | 2,496億円 |
| ハイブリッド社債 (劣後特約付社債) | 2024年6月 | 2084年6月 | 4,584億円 |
| 米ドル建無担保普通社債 (3,000百万米ドル) | 2024年7月 | 2034年7月 ~2064年7月 | 4,738億円 |
| 円貨建無担保普通社債 | 2025年6月 | 2030年6月 ~2035年6月 | 1,836億円 |
| 米ドル建無担保普通社債 (2,400百万米ドル) | 2025年7月 | 2035年7月 ~2055年7月 | 3,794億円 |
| 合計 | 4兆6,568億円 |
借入金:
| 名称 (外貨建借入額) | 借入時期 | 返済期限 | 帳簿価額 |
| バイラテラルローン | 2023年3月 ~2026年3月 | 2029年3月 ~2034年3月 | 1,850億円 |
| シンジケート ハイブリッド ローン(劣後特約付ローン) | 2024年10月 | 2084年10月 | 400億円 |
| その他 | 0億円 | ||
| 合計 | 2,250億円 |
当社グループは、2025年4月25日に、バイラテラルローン100億円を満期返済しました。2025年6月12日には、発行総額1,840億円、償還期日2030年6月12日から2035年6月12日の円貨建無担保社債(「本円建社債」)を発行しました。本円建社債の発行により調達した資金は、コマーシャル・ペーパーの償還に充当されました。その後、2025年6月23日には、米ドル建無担保普通社債800百万米ドルを満期償還しました。また、2025年3月31日に借入れた500百万米ドルのバイラテラルローンについては、2025年7月3日まで月次で借換をしています。
2025年7月2日には、発行総額2,400百万米ドル、償還期日2035年7月7日および2055年7月7日の米ドル建保証付無担保普通社債(「本米ドル建社債」)を、当社の間接的な完全子会社である武田U.S.ファイナンシング Inc.により発行しました。本米ドル建社債の発行により調達した資金は、2025年7月3日の500百万米ドルのバイラテラルローンの返済と2025年7月のコマーシャル・ペーパーの償還に主に充当されました。
当社グループは、2026年3月31日に、満期を迎えたバイラテラルローン750億円を返済するとともに、同日に、返済期日2034年3月31日の新たなバイラテラルローン600億円の借入を実行しました。また、同日、円建3,500億円および米ドル建2,100百万米ドルのコミットメントファシリティー契約をそれぞれ締結しました。本コミットメントファシリティーはどちらも2026年3月31日から最低5年間有効です。なお、本コミットメントファシリティーの契約締結にあたり、2026年9月に期間満了を迎える予定であった既存の円建7,000億円のコミットメントファシリティー契約は、同日付で解約しました。新たに設定した本コミットメントファシリティーの使途は一般事業資金です。
(注)上記の社債及び借入金に関する説明に記載している金額は、元本金額で表示しております。
[資本]
当年度末における資本合計は、7兆4,306億円(+4,947億円)となりました。この増加は、主に円安の影響による為替換算調整勘定の変動により、その他の資本の構成要素が増加(+9,455億円)したことによるものです。この増加は、配当金の支払いに伴う3,125億円の減少、ならびに当期損失1,521億円の計上に伴い、利益剰余金が減少(△4,752億円)したことにより一部相殺されております。
③ 流動性および資金調達源
資金の調達および使途
当社グループにおいて流動性は、主に営業活動に必要な現金、資本支出、契約上の義務、債務の返済、利息や配当の支払いに関連して必要となります。営業活動においては、研究開発費、マイルストン支払い、販売およびマーケティングに係る費用、人件費およびその他の一般管理費、原材料費等の支払いにあたり現金が必要となります。また、法人所得税の支払いや運転資金にも多額の現金が必要となります。
当社グループは、生産設備の能力増強・合理化、減価償却を終えた資産の入れ替え、業務管理の効率化等のために設備投資を行っています。無形資産に係る資本的支出は、主に第三者のパートナーから導入したライセンス製品に対するマイルストン支払い、およびソフトウェア開発費です。連結財政状態計算書に計上されている有形固定資産および無形資産に係る資本支出は、2025年3月期および2026年3月期において、それぞれ3,194億円および4,269億円であります。また、2026年3月31日現在において、有形固定資産の取得に関する契約上のコミットメントは77億円であります。加えて、2026年3月31日現在において、無形資産の取得に関して契約上の取決めを有しております。無形資産に係るマイルストン支払いの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 31 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。また、資本管理の一環として、当社グループは、資金需要、市場等の環境、またはその他の関連する要因に照らして、定期的に資本的支出の評価を行っております。
当社の配当金の支払額は、2025年3月期および2026年3月期において、それぞれ3,039億円および3,132億円であります。2026年3月期については、1株当たり年間配当金額を200円(中間配当金および期末配当金それぞれ100円)としましたが、2027年3月期については、1株当たり、中間配当金および期末配当金をそれぞれ102円ずつとし、年間204円とすることを目指しています。当社の配当政策については「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。
当社グループは、有利子負債に対し元本と利息を支払う必要があります。2026年3月31日現在において、1年内に必要となる利息の支払額および負債の返済額は、それぞれ1,401億円、5,140億円であります。詳細は、「有利子負債および金融債務」をご参照ください。
当社グループの資金の主な調達源は、主に現金及び現金同等物、短期コマーシャル・ペーパー、金融機関からのコミットメントラインによる借入、グローバル資本市場における社債発行を含む長期債務による資金調達であります。さらに、当社グループは、コンティンジェンシーの調達源として、2025年3月31日において金融機関から極度額1,500億円および750百万米ドルの短期アンコミットメントライン契約を、2026年3月31日現在において、金融機関から極度額1,500億円および650百万米ドルの短期アンコミットメントライン契約を締結しております。
当社グループは、キャッシュ・フロー予測に基づき保有外貨を監視し、調整しております。当社グループの事業の大部分は日本国外で行っており、多額の現金及び現金同等物を日本国外に保有しております。日本国内で必要なキャッシュ・フローを創出するために外貨を使用することは国内規制による影響を受ける可能性があり、また比較的影響は小さいものの、日本へ現金を移転することから生じる所得税による影響も受けます。
当社グループは、引き続き、資金調達の状況について注視しており、短期的には、一般的な市況による資金調達不足または流動性不足は現在見込んではおりません。なお、必要に応じた市場およびその他の供給源からの追加の資金調達力に加えて、当社グループの資本支出計画を必要かつ適切な範囲で見直すことによって、資金調達および流動性の需要を管理する場合があります。
2026年3月31日現在において、当社グループは、売上債権の売却プログラムに関係して当社が第三者に代わり一時的に保有していた預り金792億円を含む、5,951億円の現金及び現金同等物と、3,500億円および2,100百万米ドルの未使用のバンク・コミットメントライン契約を保有しております。加えて、公正価値ヒエラルキーにてレベル1に分類される米国債851億円を保持しております。したがって、利用可能な流動性の合計は1兆2,862億円となり、現在の事業活動に必要となる資金は十分に確保できていると考えております。また、当社グループは、事業活動を支えるため、持続的に高い流動性を保ち、資本市場へのアクセス拡大を追求していきます。
連結キャッシュ・フロー
連結キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。
(単位:億円)
| 前年度 | 当年度 | 増減額 | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 10,572 | 10,414 | △158 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △3,671 | △3,691 | △21 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | △7,514 | △4,968 | 2,546 |
| 現金及び現金同等物の増減額 | △613 | 1,755 | 2,368 |
| 現金及び現金同等物の期首残高 | 4,578 | 3,851 | △727 |
| 現金及び現金同等物に係る換算差額 | △114 | 345 | 459 |
| 現金及び現金同等物の期末残高 | 3,851 | 5,951 | 2,099 |
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動によるキャッシュ・フローは、1兆414億円(△158億円)となりました。この減少は主に、その他の金融負債の減少などにより、引当金を調整した資産および負債の増減額が減少したことによるものです。この減少は、先物為替予約の決済(純額)による正味キャッシュ・フローが増加したこと、および非資金項目およびその他の調整項目を調整した当期利益(損失)の増加などにより相殺されております。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動によるキャッシュ・フローは、△3,691億円(△21億円)となりました。無形資産の取得による支出の増加や、投資の取得による支出の減少など、個々の投資活動における変動が相殺されたことにより、前年度と比べ微減となりました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動によるキャッシュ・フローは、△4,968億円(+2,546億円)となりました。この増加は主に、社債および借入金の発行および償還・返済に伴う正味キャッシュ・フローの増加によるものです。
補足的分析:フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フロー(IFRSに準拠しない財務指標)
フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは、IFRSに準拠しない(以下、「Non-IFRS」)指標であります。詳細については、「④ 当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。IFRSに準拠した指標の中で、フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローが最も類似します。
(単位:億円)
| 前年度 | 当年度 | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー(IFRS) | 10,572 | 10,414 |
| フリー・キャッシュ・フロー(Non-IFRS) | 8,564 | 8,654 |
| 調整後フリー・キャッシュ・フロー(Non-IFRS) | 7,690 | 6,845 |
フリー・キャッシュ・フローは、8,654億円(+90億円)となりました。この増加は、主に有形固定資産の取得による支出の減少によるものです。この増加は、営業活動によるキャッシュ・フローの減少により、一部相殺されております。
調整後フリー・キャッシュ・フローは、6,845億円(△844億円)となりました。この減少は、主に無形資産の取得による支出が増加したことによるものです。
有利子負債および金融債務
2025年3月31日および2026年3月31日現在において社債および借入金はそれぞれ4兆5,153億円、4兆8,818億円であります。これらの有利子負債は、当社グループが発行した無担保社債、普通社債、バイラテラルローン、およびシンジケートローン、また、Shire社買収に必要な資金の一部を調達するための借入金、およびShire社買収により引き受けた負債、借り換えた負債を含み、連結財政状態計算書に計上されております。当社グループの借入金は主に買収関連で発生したものであり、季節性によるものではありません。
当社グループは、2025年4月25日に、バイラテラルローン100億円を満期返済しました。2025年6月12日には、発行総額1,840億円、償還期日が2030年6月12日から2035年6月12日の円貨建無担保普通社債(本円建社債)を発行しました。本円建社債の発行により調達した資金はコマーシャル・ペーパーの償還に充当されました。その後、2025年6月23日には、米ドル建無担保普通社債800百万米ドルを満期償還しました。また、当初借入実行日が2025年3月31日、満期日が2025年7月3日の500百万米ドルのバイラテラルローンの借換を実行しました。2025年7月2日には、発行総額2,400百万米ドル、償還期日2035年7月7日および2055年7月7日の米ドル建保証付普通社債(米ドル建社債)を、間接的な完全子会社である武田U.S.ファイナンシング Inc.により発行しました。米ドル建社債の発行により調達した資金は、2025年7月3日の500百万米ドルのバイラテラルローンの返済と2025年7月のコマーシャル・ペーパーの償還に主に充当されました。また、当社グループは、2026年3月31日に、満期を迎えたバイラテラルローン750億円を返済するとともに、同日に、返済期日2034年3月31日の新たなバイラテラルローン600億円の借入を実行しました。
2026年3月31日に、3,500億および2,100百万米ドルのコミットメントファシリティー契約を締結しました。これらのコミットメントファシリティーの有効期間は最低5年間です。また、一定の制限条項が含まれており、制限条項に違反した場合には、当該コミットメントファシリティーの利用が制限される可能性があります。2026年3月31日現在において当社グループは当該制限条項を遵守しております。新たに設定した本コミットメントファシリティーの使途は一般事業資金です。新たにファシリティーを締結したことに伴い、2019年に設定され、2026年9月に失効予定の7,000億円のコミットメントファシリティーを、同日に解約しました。
当社グループは、短期の流動性の管理のため、日本の無担保コマーシャル・ペーパープログラムを保有しております。2025年3月31日におけるコマーシャル・ペーパーの発行残高は2,700億円であり、2026年3月31日現在において、コマーシャル・ペーパーは保有しておりません。当社グループは、さらに2025年3月31日および2026年3月31日現在において、極度額1,500億円および750百万米ドル(2026年3月31日現在において、650百万米ドル)の短期アンコミットメントライン契約を締結しておりますが、借入はしておりません。
社債及び借入金の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 19 社債及び借入金」をご参照ください。
信用格付け
当社グループの信用格付けは、当社グループの財務の健全性、業績、債務の返済能力等に関する各格付機関の意見が反映されております。本報告書時点における当社グループの信用格付けは以下のとおりです。
| 格付会社 | カテゴリー | 信用格付 | アウトルック | 評価構造 |
| S&Pグローバル・レーティング | 発行体格付け/外貨長期および国内通貨長期 | BBB+ | 安定的 | 11段階の格付けのうち上から4番目であり、同じカテゴリーの中で1番目 (例:BBB+,BBB,BBB-は同じカテゴリーに属する) |
| 発行体格付け(短期) | A-2 | 6段階の格付けのうちの2番目 | ||
| ムーディーズ | 長期発行体格付および長期優先無担保格付け | Baa1 | 安定的 | 9段階の格付けのうち上から4番目であり、同じカテゴリーの中で1番目 (例:Baa1,Baa2,Baa3は同じカテゴリーに属する) |
この格付けは、社債の購入、売却、保有を推奨するものではありません。この格付けは指定された格付機関によって適宜改訂あるいは撤回される可能性があります。それぞれの財務の健全性レーティングは、独立評価されたものであります。
重要な契約上の負債
2026年3月31日現在における契約上の負債は以下のとおりです。
(単位:億円)
| 総契約額(注)1 | 1年以内 | 1年超3年以内 | 3年超5年以内 | 5年超 | |
| 社債及び借入金の返済(注) 2 | |||||
| 社債(注)3 | 64,487 | 6,506 | 6,688 | 15,915 | 35,377 |
| 借入金(注)3 | 2,462 | 35 | 825 | 455 | 1,147 |
| 有形固定資産の取得に関する義務 | 77 | 77 | — | — | — |
| リース負債の返済 | 8,470 | 654 | 1,209 | 1,070 | 5,537 |
| 開始していないリース | 2,383 | 77 | 268 | 284 | 1,753 |
| 確定給付制度への拠出(注)4 | 161 | 161 | — | — | — |
| 合計(注)5,6 | 78,041 | 7,511 | 8,991 | 17,724 | 43,814 |
(注)1 2026年3月31日現在における日本円以外の通貨建債務は、期末為替レートで日本円に換算しており、為替レートの変動により金額が異なる可能性があります。
2 利息支払義務を含みます。
3 「3年超5年以内」の契約額には、2024年ハイブリッド社債(劣後特約付社債)の元本4,600億円および2024年シンジケート ハイブリッド ローン(劣後特約付ローン)の元本400億円が含まれております。これは、それぞれ2029年6月25日の初回繰上償還日および同年10月3日の初回期日前弁済日に、全額が償還、弁済される見込みであるためです。ハイブリッド社債およびシンジケート ハイブリッド ローンの元本および利息の詳細については、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 19 社債及び借入金」をご参照ください。
4 2027年4月以降の年金および退職後給付制度への拠出額については、拠出の時期が不確実であり、利率、運用収益、法律およびその他の変動要因に依存するため、確定することはできません。
5 確定給付債務、訴訟引当金および長期未払法人税等、時期を見積もることができない契約上の負債、また、金額が公正価値の変動により変化するデリバティブ負債および条件付対価契約に関する金融負債は含まれておりません。なお、2026年3月31日現在のデリバティブ負債および条件付対価契約に関する金融負債の帳簿価額は、それぞれ205億円および32億円であります。また、特定の将来の事象の発生に左右されるマイルストン支払いも含んでおりません。
6 通常の事業活動における購買に関する発注は含んでおりません。
オフバランス取引
マイルストン支払
新製品の開発に係る第三者との提携契約に基づき、当社グループは、パイプライン品目の開発、新製品の上市および上市後の販売等にかかる一定のマイルストン達成に応じた支払義務が生じる場合があります。2026年3月31日現在における潜在的なマイルストン支払の契約金額は1兆3,336億円であります。これらは、潜在的なコマーシャルマイルストン支払を除いた金額であります。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 13 共同研究開発契約、ライセンス契約、その他の資産取得等 および 31 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。
補足的分析:財務レバレッジ(調整後有利子負債/調整後EBITDA倍率)(IFRSに準拠しない指標)
特に、Shire社買収に伴い、投資家、アナリストおよび格付機関は、当社グループの(調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率で表される)財務レバレッジを綿密にモニターしております。調整後純有利子負債、調整後EBITDAおよび調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率はすべて、IFRSに準拠しない財務指標です。社債および借入金から調整後純有利子負債への調整、当期利益からEBITDAおよび調整後EBITDAへの調整等、最も良く対応するIFRS財務指標への調整を含む詳細については、「④ 当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。各報告日現在における当社グループの調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率および最も良く対応するIFRS財務指標の各比率は以下のとおりです。
(単位:億円、倍率以外)
| 前年度 | 当年度 | |
| IFRS: | ||
| 社債及び借入金 | △45,153 | △48,818 |
| 当期利益 | 1,081 | △1,521 |
| 社債及び借入金/当期利益倍率 | 41.8x | - |
| Non-IFRS: | ||
| 調整後純有利子負債 | △39,755 | △38,176 |
| 調整後EBITDA | 14,410 | 14,572 |
| 調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率 | 2.8x | 2.6x |
④ 当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標
IFRSに準拠して表示される業績に加えて、当社グループは、IFRSに準拠しない(以下、「Non-IFRS」)補足的財務指標を表示しております。これらの財務指標には、CER(Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベースの増減、Core財務指標、純有利子負債、調整後純有利子負債、EBITDA、調整後EBITDA、フリー・キャッシュ・フロー、調整後フリー・キャッシュ・フローが含まれます。
当社グループの経営陣は業績および財政状態の評価並びに経営及び投資判断を、IFRSに準拠した指標及び本セクションに記載のNon-IFRS財務指標に基づいて行っています。当社グループは、当社グループの経営成績および財政状態の分析における追加情報として、また、当社の経営陣が経営成績および財政状態をどのように評価しているかを投資家に理解いただくにあたり、両指標を表示しております。当社グループのNon-IFRS財務指標においては、最も良く対応するIFRSに準拠した財務指標では含まれることとなる一定の利益、コスト、キャッシュ・フローまたは財政状態計算書上の項目を除外または調整しております。これらの財務指標は、IFRSに準拠するものではなく、補足的なものであり、また、IFRSに準拠した財務指標に代替するものではありません(IFRSに準拠した財務指標を「財務ベース」指標として参照している場合があります)。投資家におかれましては、当社グループの過去の財務諸表全体を確認し、IFRSに準拠して表示されている指標を当社グループの業績評価の主要な指標として使用することを強く推奨します。また、Non-IFRS財務指標の定義と、これらに最も良く対応するIFRSに準拠した財務指標との調整表を併せてご参照ください。さらに、これらのNon-IFRS財務指標に関する記載、特にこれらの財務指標の有用性の限界について把握し、製薬業界における他社が表示している、類似の名称を付した財務指標との相違についてご理解ください。
Core財務指標
当社グループのCore売上収益、Core営業利益、Core当期利益(親会社の所有者帰属分)、Core EPSをはじめとするCore財務指標は、売却に伴う収益、製品(仕掛研究開発品を含む)に係る無形資産償却費及び減損損失、その他、非定常的な事象に基づく影響、企業結合会計影響や買収関連費用など、当社グループの中核事業の本質的な業績に関連しない事象による影響を控除しています。Core売上収益は、財務ベースの売上収益から、当社グループの中核事業の本質的な業績に関連しない売上収益に係る影響(主に、事業売却および清算に係る売上収益および関連する調整)を控除して算出します。Core営業利益は、財務ベースの営業利益から、その他の営業収益及びその他の営業費用、製品(仕掛研究開発品を含む)に係る無形資産償却費及び減損損失、その他、非資金項目または当社グループの中核事業の本質的な業績に関連しない事象による影響を控除して算出します。Core当期利益(親会社の所有者帰属分)は、財務ベースの当期利益(親会社の所有者帰属分)から、Core営業利益の算出において控除された項目、および特別、非定常的な事象に基づく影響、または当社グループの中核事業の本質的な業績に関連しない事象による影響を控除し、これらの調整項目に係る税金影響を控除して算出します。これらの調整項目には、条件付対価に係る公正価値変動(時間的価値の変動を含む)影響などが含まれます。Core EPSは、Core当期利益(親会社の所有者帰属分)を報告期間の自己株式控除後の平均発行済株式総数で除して算出します。
当社グループがCore財務指標を表示する理由は、これらの指標が、当社グループの中核事業の本質的な業績に関連しない事象による影響を控除するものであり、当社グループ事業の本質的な業績を理解していただくにあたり有用であると考えているためです。控除される項目には、(i) 前年度から著しく変動する項目、もしくは毎年度発生するものではない項目、または(ii)当社グループの中核事業の本質的な業績の変動とはほぼ相関関係がないと認められる項目が含まれます。同様の指標は、同業他社においても頻繁に使用されていると認識しており、本指標を表示することは、投資家が当社グループの業績を過年度の業績と比較される際だけではなく、同業他社と類似の基準に基づき比較される際にも有用になると考えています。また、当社グループがCore財務指標を表示する理由は、これらの指標が予算の策定や報酬の設定(CEOおよびCFOのインセンティブ報酬を含む、当社グループの短期インセンティブならびに長期インセンティブ報酬プログラムに係る一定の目標はCore財務指標の結果に関連して設定。「(4)役員の報酬等」をご参照ください)に用いられているためです。
投資家にとってのCore財務指標の有用性には、一例として次の限界があります。例えば、(i) 製薬業界における他社を含む、他社において用いられている類似の名称を付した財務指標とは必ずしも同一ではありません、(ii) 訴訟引当金、無形資産の売却や償却などの非資金費用の影響を含む、当社グループの業績、価値又は将来見通しの評価において重要とみなされる可能性のある財務情報や事象が除外されています、(iii) 将来にわたって継続的に発生する可能性のある項目又は項目の種類が除外されています(ただし、当社グループの方針として、事業運営に必要な経常的に発生する営業費用の支出については調整していません)、(iv) 投資家が当社グループの業績を理解する上で重要とみなす可能性のあるすべての項目が含まれていない、又は、重要とみなさないであろうすべての項目が除外されていない場合があります。
下表は、各報告期間における、当社グループのCore財務指標とIFRSに準拠して作成し、表示された最も良く対応するIFRS財務指標との間の調整を示しています。これには、(i) Core売上収益とIFRSに準拠して表示された売上収益、(ii) Core営業利益とIFRSに準拠して表示された営業利益、および (iii) Core当期利益(親会社の所有者帰属分)とIFRSに準拠して表示された当期利益(親会社の所有者帰属分)が含まれます。
当年度の売上収益および営業利益からCore売上収益およびCore営業利益への調整は次のとおりです。
(単位:億円)
| 財務ベース(IFRS) | 無形資産に係る償却費 | 無形資産に係る減損損失 | その他の営業収益および営業費用(注)2 | その他(注)3 | Core財務指標 (Non-IFRS) | |
| 売上収益 | 45,057 | - | - | - | - | 45,057 |
| 売上原価 | △15,716 | - | - | - | △10 | △15,726 |
| 販売費及び一般管理費 | △10,842 | - | - | - | △5 | △10,847 |
| 研究開発費 | △6,759 | - | - | - | △0 | △6,760 |
| 製品に係る無形資産償却費 | △5,043 | 5,043 | - | - | - | - |
| 製品に係る無形資産(注)1減損損失 | △1,293 | - | 1,293 | - | - | - |
| その他の営業収益(営業費用) | △5,342 | - | - | 5,342 | - | - |
| 営業利益 | 62 | 5,043 | 1,293 | 5,342 | △15 | 11,725 |
(注)1 製品に係る無形資産には、仕掛研究開発品を含みます。
2 その他の営業収益(営業費用)には、事業譲渡及び子会社株式売却益、サブリースに係る賃貸借料、事業構造再編費用、承認前在庫に係る評価損、寄付金、条件付対価契約に関する金融資産及び金融負債の公正価値変動額、有形固定資産および投資不動産の売却損益、訴訟引当金、オプション権に係る評価損、非定常的なその他の営業収益(営業費用)を含みます。
3 その他:売上原価には、2019年3月期に完了したShire社の買収に関連する有形固定資産の公正価値の費用化を含みます。
前年度の売上収益および営業利益からCore売上収益およびCore営業利益への調整は次のとおりです。
(単位:億円)
| 財務ベース(IFRS) | 無形資産に係る償却費 | 無形資産に係る減損損失 | その他の営業収益および営業費用(注)2 | その他(注)3 | Core財務指標 (Non-IFRS) | |
| 売上収益 | 45,816 | - | - | - | △17 | 45,798 |
| 売上原価 | △15,802 | - | - | - | △16 | △15,818 |
| 販売費及び一般管理費 | △11,048 | - | - | - | △3 | △11,050 |
| 研究開発費 | △7,302 | - | - | - | △1 | △7,304 |
| 製品に係る無形資産償却費 | △5,482 | 5,482 | - | - | - | - |
| 製品に係る無形資産(注)1減損損失 | △950 | - | 950 | - | - | - |
| その他の営業収益(営業費用) | △1,805 | - | - | 1,843 | △38 | - |
| 営業利益 | 3,426 | 5,482 | 950 | 1,843 | △75 | 11,626 |
(注)1 製品に係る無形資産には、仕掛研究開発品を含みます。
2 その他の営業収益(営業費用)には、条件付対価契約に関する金融資産及び金融負債の公正価値変動額、有形固定資産および投資不動産の売却損益、事業譲渡及び子会社株式売却益、寄付金、 サブリースに係る賃貸借料、事業構造再編費用、承認前在庫に係る評価損、治験終了後投与に係る費用、売却目的で保有する資産の減損、訴訟引当金、オプション権に係る評価損、非定常的なその他の営業収益(営業費用)を含みます。
3 その他:売上収益およびその他の営業収益(営業費用)には、2025年3月期に行った武田テバ薬品株式会社(以下、「テバ社」)の株式売却に伴う、テバ社に売却した資産について認識された17億円の繰延収益および38億円のテバ社への事業譲渡に係る繰延利益を含みます。売上原価には、2019年3月期に完了したShire社の買収に関連する有形固定資産の公正価値の費用化を含みます。
当年度の当期利益(△は損失)(親会社の所有者帰属分)からCore当期利益(親会社の所有者帰属分)への調整は次のとおりです。
(単位:億円、%以外)
| 財務ベース(IFRS) | 無形資産に係る償却費 | 無形資産に係る減損損失 | その他の営業収益および営業費用 | その他(注)1 | Core財務指標 (Non-IFRS) | |
| 営業利益 | 62 | 5,043 | 1,293 | 5,342 | △15 | 11,725 |
| 対売上収益比率(%) | 0.1% | - | - | - | - | 26.0% |
| 金融収益及び費用(純額) | △1,464 | - | - | - | 132 | △1,332 |
| 持分法による投資損益 | △22 | - | - | - | 20 | △1 |
| 税引前当期利益(△は損失) | △1,424 | 5,043 | 1,293 | 5,342 | 137 | 10,392 |
| 法人所得税費用(注)2 | △98 | △1,072 | △175 | △854 | △49 | △2,248 |
| 当期利益(△は損失) | △1,521 | 3,971 | 1,117 | 4,488 | 89 | 8,144 |
| 非支配持分 | △3 | - | - | - | - | △3 |
| 当期利益(△は損失) (親会社の所有者帰属分) | △1,524 | 3,971 | 1,117 | 4,488 | 89 | 8,141 |
(注)1 その他:金融収益及び費用(純額)には、超インフレ経済下にあり、IAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」が適用されている子会社の非資金項目に係る損失、ならびにノン・コア取引に係る金融収益および費用を含みます。持分法による投資損益には、事業売却および清算に係る損益ならびにその他の公正価値調整を含みます。
2 IFRS会計基準に基づく業績とCore業績との間の調整に係る税金は、当該調整が計上される管轄地域において項目に適用される法定税率を考慮しています。税引前当期利益に対するCore調整額(1兆1,815億円)に係る法人所得税費用は2,150億円であり、Core調整に係る平均税率は18.2%でした。
前年度の当期利益(親会社の所有者帰属分)からCore当期利益(親会社の所有者帰属分)への調整は次のとおりです。
(単位:億円、%以外)
| 財務ベース(IFRS) | 無形資産に係る償却費 | 無形資産に係る減損損失 | その他の営業収益および営業費用 | その他(注)1 | Core財務指標 (Non-IFRS) | |
| 営業利益 | 3,426 | 5,482 | 950 | 1,843 | △75 | 11,626 |
| 対売上収益比率(%) | 7.5% | - | - | - | - | 25.4% |
| 金融収益及び費用(純額) | △1,635 | - | - | - | 228 | △1,407 |
| 持分法による投資損益 | △40 | - | - | - | 51 | 11 |
| 税引前当期利益 | 1,751 | 5,482 | 950 | 1,843 | 204 | 10,231 |
| 法人所得税費用(注)2 | △669 | △1,149 | △234 | △451 | 32 | △2,473 |
| 当期利益 | 1,081 | 4,333 | 716 | 1,392 | 236 | 7,758 |
| 非支配持分 | △2 | - | - | - | - | △2 |
| 当期利益 (親会社の所有者帰属分) | 1,079 | 4,333 | 716 | 1,392 | 236 | 7,756 |
(注)1 その他:金融収益及び費用(純額)には、超インフレ経済下にあり、IAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」が適用されている子会社の非資金項目に係る損失、ならびにノン・コア取引に係る金融収益および費用を含みます。持分法による投資損益には、事業売却および清算に係る損益ならびにその他の公正価値調整を含みます。
2 IFRS会計基準に基づく業績とCore業績との間の調整に係る税金は、当該調整が計上される管轄地域において項目に適用される法定税率を考慮しています。税引前当期利益に対するCore調整額(8,480億円)に係る法人所得税費用は1,803億円であり、Core調整に係る平均税率は21.3%でした。
CER(Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベースの増減
CER ベースの増減は、当期の国際会計基準(IFRS)に準拠した業績またはCore財務指標(Non-IFRS)について、前年同期に適用した為替レートを用いて換算することにより、前年同期との比較において為替影響を控除するものです。ただし、超インフレが発生し、IAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」が適用されている子会社の業績についてはCERベースの増減調整は行わないこととし、当該子会社の業績はIAS第29号に基づいて算出しています。
当社グループがCERベースの増減を表示する理由は、変動する為替レートが当社グループの事業に与える影響を踏まえ、為替影響がなかった場合の経営成績の増減について投資家に理解していただくにあたり有用であると考えているためです。CERベースの増減は、当社グループの経営陣が経営成績を評価するに際して使用する主な指標になっています。また、製薬業界における各社が為替影響を調整した同様の業績指標を頻繁に用いているため、証券アナリスト、投資家その他の関係者が各社の経営成績を評価するに際しても、本指標が有用であると考えています。
ただし、CERベースの増減の有用性には、一例として次の限界があります。例えば、CERベースの増減は、前年度においてIFRSに準拠した業績を算定するために用いた為替レートと同一の為替レートを用いますが、そのことは必ずしも、当年度の取引が前年度と同一の為替レートで実施され得た、あるいは計上され得たことを示すものではありません。また、類似の名称の指標を用いている同業他社が、当社グループとは異なる方法で指標を定義し、算定している可能性があるため、そのような指標との比較可能性に欠け得るものです。従って、CERベースの増減はIFRSに準拠して作成、表示された業績と切り離して考慮してはならず、また、これらの代替と捉えてはならないものです。
以下は、対前年度の増減率を含む、IFRSに準拠して算定、表示された当社グループの経営成績であり、各項目についてCERベースの増減率を示しております。
CERベースの増減(財務ベース指標)
| (単位:億円、%以外) | |||||||
| 前年度 | 当年度 | AERベース (IFRS) | CERベース (Non-IFRS) | ||||
| 増減額 | 増減率 | 増減率 | |||||
| 売上収益 | 45,816 | 45,057 | △758 | △1.7 | % | △2.7 | % |
| 売上原価 | △15,802 | △15,716 | 86 | △0.5 | % | △1.9 | % |
| 販売費及び一般管理費 | △11,048 | △10,842 | 206 | △1.9 | % | △2.5 | % |
| 研究開発費 | △7,302 | △6,759 | 543 | △7.4 | % | △7.0 | % |
| 製品に係る無形資産償却費及び減損損失 | △6,432 | △6,335 | 97 | △1.5 | % | △1.7 | % |
| その他の営業収益 | 262 | 247 | △15 | △5.6 | % | △4.4 | % |
| その他の営業費用 | △2,067 | △5,590 | △3,522 | 170.4 | % | 168.9 | % |
| 営業利益 | 3,426 | 62 | △3,364 | △98.2 | % | - | |
| 金融収益及び費用(純額) | △1,635 | △1,464 | 171 | △10.5 | % | △7.5 | % |
| 持分法による投資損益 | △40 | △22 | 18 | △45.4 | % | △52.9 | % |
| 税引前当期利益 (△は損失) | 1,751 | △1,424 | △3,174 | - | - | ||
| 法人所得税費用 | △669 | △98 | 572 | △85.4 | % | △97.6 | % |
| 当期利益 (△は損失) | 1,081 | △1,521 | △2,603 | - | - | ||
| 非支配持分 | △2 | △3 | △0 | 22.9 | % | 30.8 | % |
| 当期利益 (△は損失) (親会社の所有者帰属分) | 1,079 | △1,524 | △2,603 | - | - | ||
CERベースの増減(Non-IFRS)
| (単位:億円、%以外) | |||||||
| 前年度 | 当年度 | AERベース | CERベース | ||||
| 増減額 | 増減率 | 増減率 | |||||
| Core売上収益 | 45,798 | 45,057 | △741 | △1.6 | % | △2.6 | % |
| Core売上原価 | △15,818 | △15,726 | 92 | △0.6 | % | △1.9 | % |
| Core販売費及び一般管理費 | △11,050 | △10,847 | 204 | △1.8 | % | △2.5 | % |
| Core研究開発費 | △7,304 | △6,760 | 544 | △7.4 | % | △7.0 | % |
| Core営業利益 | 11,626 | 11,725 | 98 | 0.8 | % | △0.9 | % |
| Core金融収益及び費用(純額) | △1,407 | △1,332 | 75 | △5.3 | % | △1.9 | % |
| Core持分法による投資損益 | 11 | △1 | △13 | - | △82.1 | % | |
| Core税引前当期利益 | 10,231 | 10,392 | 161 | 1.6 | % | △0.9 | % |
| Core法人所得税費用 | △2,473 | △2,248 | 225 | △9.1 | % | △12.8 | % |
| Core当期利益 | 7,758 | 8,144 | 386 | 5.0 | % | 2.9 | % |
| 非支配持分 | △2 | △3 | △0 | 22.9 | % | 30.8 | % |
| Core当期利益 (親会社の所有者帰属分) | 7,756 | 8,141 | 385 | 5.0 | % | 2.9 | % |
フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フロー
当社グループのフリー・キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローから有形固定資産の取得による支出を控除したものです。調整後フリー・キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローから、有形固定資産の取得による支出、無形資産の取得による支出、投資の取得による支出(公正価値ヒエラルキーのレベル1に区分される債券投資の取得による支出の控除後)、関連会社株式の取得による支出、事業の取得による支出(取得した現金及び現金同等物の純額の控除後)およびそれらに実質的に関連または類似していると見做されるその他の支出を控除した上で、有形固定資産の売却による収入、投資の売却・償還による収入(公正価値ヒエラルキーのレベル1に区分される債券投資の売却・償還による収入の控除後)、関連会社株式の売却による収入、事業の売却による収入(処分した現金及び現金同等物の純額の控除後)を加味し、さらに、当社グループが即時的または一般的な業務用に使用できないいかなるその他の現金の支出入を調整し、算出しています。
当社グループがフリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローを表示する理由は、証券アナリスト、投資家その他の関係者が製薬業界における各社の評価を行うに際して頻繁に用いられる流動性についての同様の指標として、これらの指標が投資家にとって有用であると考えているためです。調整後フリー・キャッシュ・フローは、流動性要件を満たす能力を測り、資本配分方針をサポートする指標として流動性及びキャッシュ・フローの評価を行うに際して、当社グループの経営陣によっても使用されています。また、フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは、投資家が、当社グループの戦略的な買収や事業の売却がどのようにキャッシュ・フローや流動性に貢献するかを理解される上で有用であると考えています。
投資家にとってのフリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローの有用性には、一例として次の限界があります。例えば、(i) 同業他社を含め、用いられている類似の名称の指標との比較可能性に欠け得るものです、(ii) 当社グループの、資本の使用又は配分を必要とする現在及び将来の契約上その他のコミットメントの影響は反映されていません、(iii) 投資の売却・償還による収入、事業の売却による収入(処分した現金及び現金同等物の純額の控除後)は、中核である継続的な事業からの収入を示すものではありません。フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは、IFRSに基づく指標である営業活動によるキャッシュ・フロー及びその他の流動性指標と切り離して考慮してはならず、また、これらの代替と捉えてはならないものです。IFRSに準拠した指標の中で、フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローが最も類似します。
下表は、2025年3月期および2026年3月期における、IFRSに準拠して表示された最も対応する指標である営業活動によるキャッシュ・フローからフリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローへの調整を示しております。
(単位:億円)
| 前年度 | 当年度 | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー(IFRS) | 10,572 | 10,414 |
| 有形固定資産の取得による支出 | △2,008 | △1,760 |
| フリー・キャッシュ・フロー(Non-IFRS) | 8,564 | 8,654 |
| 当社が第三者に代わり一時的に保有するキャッシュの調整(注)1 | 21 | 266 |
| 有形固定資産の売却による収入 | 1 | 65 |
| 無形資産の取得による支出(注)2 | △1,470 | △2,349 |
| ライセンスを獲得するためのオプションの取得による支出 | △318 | △37 |
| 投資の取得による支出(注)3 | △174 | △159 |
| 投資の売却、償還による収入 | 294 | 70 |
| 関連会社株式の取得による支出 | △10 | △6 |
| 関連会社株式の売却による収入 | 577 | 9 |
| 事業売却による収入(処分した現金及び現金同等物控除後) | 206 | 333 |
| 調整後フリー・キャッシュ・フロー(Non-IFRS) | 7,690 | 6,845 |
(注)1 当社が第三者に代わり一時的に保有するキャッシュの調整は、当社が即時的または一般的な業務用に使用できない、ワクチン運営および売上債権の売却プログラムに関係して当社が第三者に代わり一時的に保有する現金の変動を指します。
2 一部の重要性が低い取引を除き、無形資産の売却による収入は、営業活動によるキャッシュ・フローに含まれています。
3 前年度において、公正価値ヒエラルキーのレベル1に区分される債券投資の取得による支出801億円を控除しております。
EBITDAおよび調整後EBITDA
当社グループにおいて、EBITDAは、法人所得税費用、減価償却費及び償却費、ならびに純支払利息控除前の連結当期利益を指します。また、調整後EBITDAは、減損損失、その他の営業収益及びその他の営業費用(減価償却費及び償却費ならびに減損損失を除く)、金融収益及び費用(純支払利息を除く)、持分法による投資損益、株式報酬に係る非資金性の費用を含むその他の非資金性項目、および売却した製品に係るEBITDA、企業結合会計影響や買収関連費用などの当社グループの中核事業に関連しないその他の項目を除外するように調整されたEBITDAを指します。
当社グループがEBITDA及び調整後EBITDAを表示する理由は、これらの指標が証券アナリスト、投資家その他の関係者が製薬業界における各社の評価を行う際に頻繁に用いられるものであり、投資家にとって有用であると考えているためです。 当社グループは、調整後EBITDAを主に財務レバレッジをモニターするために使用しています。「(c)流動性および資金調達源 補足的分析:財務レバレッジ(調整後有利子負債/調整後EBITDA倍率)(IFRSに準拠しない指標)」 および以下の「調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率」をご参照ください。また、調整後EBITDAは、継続的な事業に関連しない特定の事象(変化に富み予測が困難である一方で、経営成績に重大な影響を与える可能性があり、一定期間にわたる業績を一貫性をもって評価することが困難な事象)から生じる不透明さを排除することから、投資家にとって、事業の動向を把握するに際して有用な指標であると考えています。
投資家にとってのEBITDA及び調整後EBITDAの有用性には、一例として次の限界があります。例えば、(i) 同業他社を含め、用いられている類似の指標との比較可能性に欠け得るものです。また、(ii) 企業買収や無形資産の償却による影響などを含む、当社グループの業績、価値又は将来見通しの評価において重要とみなされる可能性のある財務情報や事象が除外されています、(iii) 将来にわたって継続的に発生する可能性のある項目又は項目の種類が除外されています、(iv) 投資家が当社グループの業績を理解する上で重要とみなす可能性のあるすべての項目が含まれていない、又は、重要とみなさないであろうすべての項目が除外されていない場合があります。EBITDAおよび調整後EBITDAは、IFRSに準拠した指標である営業利益、当期利益、その他の業績指標と切り離して考慮してはならず、また、これらの代替と捉えてはならないものです。IFRSに準拠した指標の中で、EBITDAおよび調整後EBITDAは、当期利益が最も類似します。
下表は、2025年3月期および2026年3月期における、当期利益からEBITDAおよび調整後EBITDAへの調整を示しております。
(単位:億円)
| 前年度 | 当年度 | |
| 当期利益 (△は損失)(IFRS) | 1,081 | △1,521 |
| 法人所得税費用 | 669 | 98 |
| 減価償却費及び償却費 | 7,614 | 7,211 |
| 純支払利息 | 1,177 | 1,312 |
| EBITDA(Non-IFRS) | 10,542 | 7,100 |
| 減損損失 | 1,065 | 1,457 |
| その他の営業収益及びその他の営業費用(減価償却費、償却費及びその他の非資金性項目を除く) | 1,632 | 5,167 |
| 金融収益及び費用(純支払利息を除く) | 458 | 151 |
| 持分法による投資損益 | 40 | 22 |
| その他の調整項目(注) | 673 | 675 |
| 調整後EBITDA(Non-IFRS) | 14,410 | 14,572 |
(注)その他の調整項目には、株式報酬にかかる非資金性の費用を含む非資金性項目、および企業結合会計影響や買収関連費用などの当社グループの中核事業に関連しないその他の項目の調整、調整後EBITDAの算出にあたり除外された、前年度におけるテバ社への資産売却に係る17億円の非資金性の収益調整を含む、売却した製品に係るEBITDAの調整が含まれます。
調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率
当社グループは、純有利子負債を連結財政状態計算書上の社債及び借入金の簿価に現金及び現金同等物のみを調整したものと定義しており、当社グループの調整後純有利子負債は、次のとおり算出しています。まず、連結財政状態計算書に記載されている社債及び借入金の流動部分と非流動部分合計を計算します。その上で、(i) 第4四半期期首時点に残存する外貨建て負債を当年度末時点の直近12か月の期中平均レートを用いて換算し、第4四半期中に計上した新規の外貨建て負債および償還した既存の外貨建て負債については対応するスポットレートを用いて換算し、当社グループの経営陣が当社グループのレバレッジをモニターするために使用する方法論を反映しています。また、(ii) 当社グループの劣後特約付きハイブリッド債について、その株式に似た特徴を踏まえ、S&Pグローバル・レーティング・ジャパンの格付手法に基づきエクイティクレジットを適用しています。この数字から、ワクチン運営および売上債権の売却プログラムに関係して当社が第三者に代わり一時的に保有している現金を除いた現金及び現金同等物、およびその他の金融資産に計上され公正価値ヒエラルキーのレベル1に区分される債券投資を控除し、調整後純有利子負債を算出しています。
当社グループが、純有利子負債および調整後純有利子負債を表示する理由は、当社グループの経営陣が、当社グループの現金及び現金同等物控除後の負債をモニター及び分析するためにこれらの指標を使用し、また当社グループのレバレッジをモニターするために本指標を調整後EBITDAと併せて使用しており、投資家にとって有用であると考えているためです(なお、調整後純有利子負債および調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率は、当社グループの流動性の指標を表すものではないことにご留意ください)。また、負債についての同様の指標が、証券アナリスト、投資家その他の関係者が製薬業界における各社の評価を行うに際して頻繁に用いられるものであると考えています。 特に、Shire社買収に伴い、投資家、アナリストおよび格付機関は、当社グループの(調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率で表される)財務レバレッジを綿密にモニターしています。格付機関が本指標を特に重視していることから、これらの情報は、当社グループの財務レバレッジだけではなく、格付機関が当社グループの信用力評価にあたって財務レバレッジの水準をどのように評価しているかについて、投資家が理解していただくにあたり有用であると考えています。そのため、後述のとおり、当社グループは、調整後純有利子負債を調整して、格付機関が一部の劣後債に適用している「エクイティクレジット」を反映しています(ただし、IFRS上、当該債務は資本として取り扱われません)。
調整後純有利子負債の有用性には、一例として次の限界があります。例えば、(i) 同業他社を含め、用いられている類似の指標との比較可能性に欠け得るものです、(ii) 当社グループの負債に係る利息の金額を反映していません、(iii) 負債の早期返済又は償還に係る制限を反映していません、(iv) 当社グループが現金同等物を現金に換金する際に、現金をある通貨から他の通貨に換金する際に、又は当社グループ内で現金を移動する際に係る手数料や費用を反映していません、(v) 有利子負債には、資金調達の契約と整合性のある平均為替レートを適用・調整していますが、これは当社グループがある通貨を他の通貨に換金することができる実際の為替レートを反映していません、(vi) 当社グループの劣後債はIFRS上資本として取り扱われないものの、エクイティクレジットを反映しています。当該調整は、合理的で、投資家にとって有用な調整であると考えています。調整後純有利子負債は、IFRSに基づく指標である社債及び借入金、又はその他の負債指標と切り離して考慮してはならず、また、これらの代替と捉えてはならないものです。IFRSに準拠した指標の中で、純有利子負債は、社債及び借入金が最も類似します。
当社グループの調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率は以下のとおりです。
(単位:億円、倍率以外)
| 前年度 | 当年度 | |
| 調整後純有利子負債 | △39,755 | △38,176 |
| 調整後EBITDA | 14,410 | 14,572 |
| 調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率 | 2.8x | 2.6x |
下表は、2025年3月31日および2026年3月31日現在の社債及び借入金から調整後純有利子負債への調整を示しております。
(単位:億円)
| 前年度 | 当年度 | |
| 社債及び借入金の非流動部分(IFRS) | △39,663 | △43,697 |
| 社債及び借入金の流動部分(IFRS) | △5,489 | △5,122 |
| 社債及び借入金(IFRS) | △45,153 | △48,818 |
| 現金及び現金同等物(IFRS) | 3,851 | 5,951 |
| 純有利子負債(Non-IFRS) | △41,302 | △42,868 |
| 当社が第三者に代わり一時的に保有していた現金(注)1 | △1,058 | △792 |
| レベル1負債性金融商品(注)1 | 793 | 851 |
| 為替調整(注)2 | △689 | 2,132 |
| エクイティクレジットの適用(注)3 | 2,500 | 2,500 |
| 調整後純有利子負債(Non-IFRS) | △39,755 | △38,176 |
(注)1 ワクチン運営および売上債権の売却プログラムに関係して当社が第三者に代わり一時的に保有する、即時的または一般的な業務に使用できない現金、およびその他の金融資産に計上され公正価値ヒエラルキーのレベル1に区分される債券投資を調整しております。
2 期中平均レートで換算される調整後EBITDA計算と整合させるため、外貨建て負債の換算において、当年度末時点の直近12ヶ月の平均為替レートを用いることにより、月末為替レートとの差異による変動を調整するものです。第4四半期期首時点に残存する外貨建て負債については、当年度末時点の直近12ヶ月の期中平均レートを用いて換算しております。また、第4四半期中に計上した新規の外貨建て負債および償還した既存の外貨建て負債については、当該日の対応するスポットレートを用いて換算しております。
3 ハイブリッド(劣後)社債及びローンの元本総額5,000億円分について、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン(格付機関)より認定された50%のエクイティクレジットを適用し、2,500億円を負債から控除しております。これらの金融負債は、レバレッジ評価において一定のエクイティクレジットが認められております。