四半期報告書-第199期第3四半期(平成30年10月1日-平成30年12月31日)

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2019/02/01 10:25
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当第3四半期連結累計期間における当社グループ(当社および子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
また、当社グループは、前連結会計年度末よりIFRSに準拠した連結財務諸表を開示しており、前第3四半期連結累計期間の数値をIFRSに組み替えて比較分析を行っております。
なお、文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績
(業績管理指標「コア営業利益」について)
当社グループでは、IFRSの適用にあたり、会社の経常的な収益性を示す利益指標として、「コア営業利益」を設定し、これを当社独自の業績管理指標として採用しております。
「コア営業利益」は、営業利益から当社グループが定める非経常的な要因による損益(以下「非経常項目」)を除外したものとなります。非経常項目として除かれる主なものは、減損損失、事業構造改善費用、企業買収に係る条件付対価公正価値の変動額等です。
当第3四半期連結累計期間の当社グループの連結業績は、以下のとおりであります。
(単位:億円)
前第3四半期連結累計期間
(自 2017年4月1日
至 2017年12月31日)
当第3四半期連結累計期間
(自 2018年4月1日
至 2018年12月31日)
増減増減率
(%)
売上収益3,5523,469△83△2.3
コア営業利益780559△221△28.4
営業利益709468△241△33.9
税引前四半期利益738532△206△27.9
親会社の所有者に
帰属する四半期利益
439400△39△8.9


■ 売上収益は3,469億円(前年同四半期比2.3%減)となりました。
当社グループの収益の柱である非定型抗精神病薬「ラツーダ」や抗てんかん剤「アプティオム」の増加等により北米セグメントは増収となりました。一方、薬価改定や長期収載品の売上減少の影響により日本セグメントが減収となったこと等から、連結合計では減収となりました。
■ コア営業利益は559億円(前年同四半期比28.4%減)となりました。
日本セグメントにおいて薬価改定の影響等により売上総利益が減少したことに加え、北米セグメントにおいて販売費及び一般管理費が増加しました。また、前第3四半期連結累計期間には、販売権の譲渡に伴うその他の収益の計上がありましたが、当第3四半期連結累計期間には、このような要因がないことから、コア営業利益は減益となりました。
■ 営業利益は468億円(前年同四半期比33.9%減)となりました。
コア営業利益の減益に加え、事業構造改善費用の増加等により、営業利益はさらに減益となりました。
■ 税引前四半期利益は532億円(前年同四半期比27.9%減)となりました。
受取利息の増加に加え、当第3四半期連結会計期間末は、為替換算レートが前連結会計年度末に比べ、米ドルに対し円安に振れたことから当社が保有する外貨建て金融資産において為替差益が発生しました。これらの結果、金融収益が増加しました。
■ 親会社の所有者に帰属する四半期利益は400億円(前年同四半期比8.9%減)となりました。
親会社の所有者に帰属する四半期利益の売上収益に対する比率は11.5%となりました。
(セグメント業績指標「コアセグメント利益」について)
当社グループでは、IFRSの適用にあたり、セグメント別の業績では、各セグメントの経常的な収益性を示す利益指標として、「コアセグメント利益」を設定し、当社独自のセグメント業績指標として採用しております。
「コアセグメント利益」は、「コア営業利益」から、グローバルに管理しているため各セグメントに配分できない研究開発費、事業譲渡損益等を除外したセグメント別の利益となります。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
【日本】
■ 売上収益は1,006億円(前年同四半期比10.9%減)となりました。
2型糖尿病治療剤「トルリシティ」や「シュアポスト」等の売上は増加しましたが、薬価改定に加え、新たに後発品が発売された高血圧症治療剤「アイミクス」をはじめ長期収載品の売上減少の影響が大きく、減収となりました。
■ コアセグメント利益は232億円(前年同四半期比33.9%減)となりました。
薬価改定による売上総利益の減少等により、大幅な減益となりました。
【北米】
■ 売上収益は1,906億円(前年同四半期比4.5%増)となりました。
「ラツーダ」が堅調に推移したことに加え、「アプティオム」の売上が伸長したこと等から、増収となりました。
■ コアセグメント利益は825億円(前年同四半期比3.9%減)となりました。
売上総利益は増加しましたが、販売費及び一般管理費の増加が大きく減益となりました。
【中国】
■ 売上収益は163億円(前年同四半期比5.8%増)となりました。
主力品であるカルバペネム系抗生物質製剤「メロペン」等の売上が増加したことにより増収となりました。
■ コアセグメント利益は67億円(前年同四半期比15.0%増)となりました。
売上総利益が増加したことにより、増益となりました。
【海外その他】
■ 売上収益は102億円(前年同四半期比3.8%減)となりました。
東南アジアにおける「メロペン」の販売は増加しましたが、その他の輸出が減少したこと等から、全体では微減となりました。
■ コアセグメント利益は30億円(前年同四半期比3.2%増)となりました。
売上原価率の改善により、増益となりました。
上記報告セグメントのほか、当社グループは、食品素材・食品添加物および化学製品材料、動物用医薬品、診断薬等の販売を行っており、これらの売上収益は291億円(前年同四半期比13.9%減)、コアセグメント利益は23億円(前年同四半期比3.9%増)となりました。
(2) 財政状態
資産については、非流動資産は、のれんや無形資産が為替換算等により増加したことに加え、その他の金融資産が増加した結果、前連結会計年度末に比べ208億円増加しました。
流動資産は、棚卸資産や営業債権及びその他の債権が増加しましたが、現金及び現金同等物やその他の金融資産が減少した結果、前連結会計年度末に比べ微減となりました。
これらの結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ204億円増加し、8,301億円となりました。
負債については、引当金やその他の金融負債が増加しましたが、社債の償還等による有利子負債の減少に加え、営業債務及びその他の債務や未払法人所得税が減少した結果、前連結会計年度末に比べ249億円減少し、3,321億円となりました。
資本については、主に利益剰余金とその他の資本の構成要素における在外営業活動体の換算差額等が増加した結果、前連結会計年度末に比べ453億円増加し、4,980億円となりました。
なお、当第3四半期連結会計期間末の親会社所有者帰属持分比率は60.0%となりました。
(3) キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、四半期利益の減少や営業債務及びその他の債務の減少等によるキャッシュの減少要因に加え、法人所得税の支払額が増加したこと等により、前第3四半期連結累計期間に比べ356億円収入が減少し、192億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出は増加しましたが、無形資産や投資の取得による支出が減少したこと等により、前第3四半期連結累計期間に比べ29億円支出が減少し、42億円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還や配当金の支払額の増加等により、前第3四半期連結累計期間に比べ102億円支出が増加し、276億円の支出となりました。
上記のキャッシュ・フローに、現金及び現金同等物の為替換算による影響額を加えた結果、当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は1,396億円となり、前連結会計年度末に比べ82億円減少しました。
(4) 事業上および財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上および財務上の対処すべき課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は620億円(前年同四半期比1.7%減)であります。なお、当社グループは、研究開発費をグローバルに管理しているため、セグメントに配分しておりません。
日本で販売中のパーキンソン病治療剤「トレリーフ」(一般名:ゾニサミド)について、昨年7月、レビー小体型認知症に伴うパーキンソニズムの効能・効果を追加する一部変更承認を取得しました。
また、日本で販売中の非定型抗精神病薬「ロナセン」(一般名:ブロナンセリン)について、昨年7月、日東電工株式会社と共同開発中であるテープ製剤の製造販売承認申請を行いました。
一方、米国において成人および小児の注意欠如・多動症(ADHD)を対象として新薬承認申請を行っているドパミン・ノルエピネフリン再取り込み阻害剤dasotraline(一般名)について、昨年8月、米国食品医薬品局(FDA)から審査結果通知を受領しました。審査結果通知において、FDAは、現時点では本剤をADHD治療剤として承認できないと判断し、本剤の有効性および忍容性をさらに評価するために追加の臨床データが必要であることを示しました。申請を実施したサノビオン社では、今後FDAと協議のうえ、次のステップを決定する予定です。
さらに、フロンティア領域開拓の一環として、昨年10月に株式会社メルティンMMIとの間で出資および共同研究開発契約を締結しました。同社の生体信号処理技術・ロボット技術を利用した医療機器などの共同研究開発を行い、患者さんに貢献できる新たな価値を提供することを目指します。
当社グループにおける開発状況は以下のとおりであります。
1.精神神経領域(2019年1月31日現在)
製品/コード名
(一般名)
予定適応症地域開発段階
SM-13496
(ルラシドン塩酸塩)
統合失調症日本フェーズ3
双極Ⅰ型障害うつ日本フェーズ3
SEP-225289
(dasotraline)
注意欠如・多動症(ADHD)米国申請(2017/8)
審査結果通知(CRL)を受領(2018/8)
日本フェーズ1
過食性障害(BED)米国フェーズ3
APL-130277
(アポモルヒネ塩酸塩水和物)
パーキンソン病に伴うオフ症状米国申請(2018/3)
審査結果通知(CRL)を受領(2019/1)
ロナセン
(ブロナンセリン)
(新剤形:テープ)統合失調症日本申請(2018/7)
(新用法:小児)統合失調症日本フェーズ3
EPI-743
(バチキノン)
リー脳症日本フェーズ2/3
EPI-589パーキンソン病米国フェーズ2
筋萎縮性側索硬化症(ALS)米国フェーズ2
日本フェーズ1
SEP-363856統合失調症米国フェーズ2
日本フェーズ1
パーキンソン病に伴う精神病症状米国フェーズ2
SEP-4199双極Ⅰ型障害うつ米国・日本フェーズ2
(国際共同試験)
DSP-2230神経障害性疼痛米国・日本フェーズ1
DSP-6745パーキンソン病に伴う精神病症状米国フェーズ1
SEP-378608双極性障害米国フェーズ1
DSP-3905神経障害性疼痛米国フェーズ1
SEP-378614治療抵抗性うつ米国フェーズ1


2.がん領域(2019年1月31日現在)
製品/コード名
(一般名)
予定適応症地域開発段階
DSP-1958
(チオテパ)
小児固形がんにおける自家造血幹細胞移植の前治療(単剤)
※未承認薬・適応外薬の開発品
日本申請(2018/7)
BBI608
(ナパブカシン)
結腸直腸がん(併用)米国・日本フェーズ3
(国際共同試験)
膵がん(併用)米国・日本フェーズ3
(国際共同試験)
悪性胸膜中皮腫(併用)日本フェーズ1/2
肝細胞がん(併用)米国フェーズ1/2
消化器がん(併用)米国フェーズ1/2
固形がん(併用)米国フェーズ1/2
血液がん(単剤・併用)米国フェーズ1
BBI503
(amcasertib)
肝細胞がん(併用)米国フェーズ1/2
固形がん(単剤・併用)米国フェーズ1/2
固形がん(単剤)、肝細胞がん(併用)日本フェーズ1
DSP-2033
(alvocidib)
急性骨髄性白血病(AML)(併用)
(再発・難治性患者対象)
米国フェーズ2
(国際共同試験)
骨髄異形成症候群(MDS)(併用)米国フェーズ1/2
急性骨髄性白血病(AML)(併用)
(初発患者対象)
米国フェーズ1
急性骨髄性白血病(AML)(併用)
(初発および再発・難治性患者対象)
日本フェーズ1
DSP-7888
(アデグラモチド酢酸塩/ネラチモチドトリフルオロ酢酸塩)
膠芽腫(併用)米国・日本フェーズ2
(国際共同試験)
骨髄異形成症候群(MDS)(単剤)日本フェーズ1/2
小児悪性神経膠腫(単剤)日本フェーズ1/2
固形がん、血液がん(単剤)米国フェーズ1
固形がん(併用)米国フェーズ1
BBI608+BBI503
(ナパブカシン+amcasertib)
固形がん(併用)米国フェーズ1
TP-0903慢性リンパ性白血病(CLL)(単剤・併用)米国フェーズ1/2
固形がん(単剤・併用)米国フェーズ1
DSP-0509固形がん(単剤)米国フェーズ1
TP-0184固形がん(単剤)米国フェーズ1
DSP-0337固形がん(単剤)米国フェーズ1
TP-1287固形がん(単剤)米国フェーズ1
TP-3654固形がん(単剤)米国フェーズ1


3.再生・細胞医薬分野(2019年1月31日現在)
製品/コード名
(一般名)
予定適応症地域開発段階
SB623慢性期脳梗塞米国フェーズ2
他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞パーキンソン病日本フェーズ1/2
(医師主導治験)
HLCR011
(他家iPS細胞由来網膜色素上皮)
加齢黄斑変性日本治験開始に向けて準備中

4.その他の領域(2019年1月31日現在)
製品/コード名
(一般名)
予定適応症地域開発段階
PXL008
(imeglimin)
2型糖尿病日本フェーズ3