四半期報告書-第200期第3四半期(令和1年10月1日-令和1年12月31日)
当第3四半期連結累計期間における当社グループ(当社および子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
また、文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績
(業績管理指標「コア営業利益」について)
当社グループでは、IFRSの適用にあたり、会社の経常的な収益性を示す利益指標として、「コア営業利益」を設定し、これを当社独自の業績管理指標として採用しております。
「コア営業利益」は、営業利益から当社グループが定める非経常的な要因による損益(以下「非経常項目」)を除外したものとなります。非経常項目として除かれる主なものは、減損損失、事業構造改善費用、企業買収に係る条件付対価公正価値の変動額等です。
当第3四半期連結累計期間の当社グループの連結業績は、以下のとおりであります。
なお、ロイバント社との戦略的提携に伴う株式譲渡等の手続きが、2019年12月27日付けで完了しました。これに伴う当第3四半期連結累計期間の業績に与える影響は軽微であります。
■ 売上収益は3,570億円(前年同四半期比2.9%増)となりました。
日本セグメントは、長期収載品の売上が減少しましたが、2型糖尿病治療剤「トルリシティ」の売上が拡大したことや、2型糖尿病治療剤「エクア」および「エクメット」の販売を開始したことから増収となりました。また、当社グループの収益の柱である非定型抗精神病薬「ラツーダ」等の売上が伸長したことにより、北米セグメントが増収となったことに加え、中国セグメントでも増収となりました。
■ コア営業利益は643億円(前年同四半期比15.0%増)となりました。
増収に伴う売上総利益の増加に加え、販売費及び一般管理費等が減少したことから、コア営業利益は増益となりました。
■ 営業利益は815億円(前年同四半期比73.9%増)となりました。
がん領域等において、開発計画を含む事業計画の見直しを実施したことにより、無形資産である仕掛研究開発の減損損失を計上しました。また、事業計画の見直しに伴い、Boston Biomedical, Inc.およびTolero Pharmaceuticals, Inc.の買収に係る条件付対価公正価値が大きく減少することとなり、減損損失を上回る費用の戻入が発生しました。この結果、コア営業利益の増益に加え、営業利益は大幅な増益となりました。
■ 税引前四半期利益は844億円(前年同四半期比58.8%増)となりました。
金融収益が金融費用を上回ったことから、税引前四半期利益は営業利益に比べ増加しました。
■ 親会社の所有者に帰属する四半期利益は440億円(前年同四半期比10.0%増)となりました。
ナパブカシンの膵がん患者を対象としたフェーズ3試験中止の決定等に伴い、米国において認識していた繰延税金資産の取り崩しを行ったこと等により、法人所得税が大幅に増加しましたが、税引前四半期利益の増益が大きく、親会社の所有者に帰属する四半期利益においても増益となりました。
なお、親会社の所有者に帰属する四半期利益の売上収益に対する比率は12.3%となりました。
(セグメント業績指標「コアセグメント利益」について)
セグメント別の業績では、各セグメントの経常的な収益性を示す利益指標として、「コアセグメント利益」を設定し、当社独自のセグメント業績指標として採用しております。
「コアセグメント利益」は、「コア営業利益」から、グローバルに管理しているため各セグメントに配分できない研究開発費、事業譲渡損益等を除外したセグメント別の利益となります。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
【日本】
■ 売上収益は1,043億円(前年同四半期比3.6%増)となりました。
非定型抗精神病薬「ロナセン」の経口剤や高血圧症治療剤「アイミクス」などの長期収載品の売上は減少しましたが、「トルリシティ」の売上増加に加え、「エクア」および「エクメット」の販売を開始したこと等が寄与し、増収となりました。
■ コアセグメント利益は201億円(前年同四半期比13.2%減)となりました。
品目構成の変化により売上総利益が減少したことにより、減益となりました。
【北米】
■ 売上収益は1,957億円(前年同四半期比2.6%増)となりました。
「ラツーダ」に加え、抗てんかん剤「アプティオム」等の売上も伸長したことから、増収となりました。
■ コアセグメント利益は902億円(前年同四半期比9.4%増)となりました。
増収による売上総利益の増加に加え、販売費及び一般管理費が減少したことにより、増益となりました。
【中国】
■ 売上収益は202億円(前年同四半期比23.4%増)となりました。
カルバペネム系抗生物質製剤「メロペン」等の売上が増加したことにより、増収となりました。
■ コアセグメント利益は94億円(前年同四半期比40.4%増)となりました。
増収による売上総利益の増加により、大幅な増益となりました。
【海外その他】
■ 売上収益は87億円(前年同四半期比14.7%減)となりました。
「メロペン」の輸出が減少したこと等から、減収となりました。
■ コアセグメント利益は32億円(前年同四半期比5.6%増)となりました。
販売費及び一般管理費が減少したこと等から、増益となりました。
上記報告セグメントのほか、当社グループは、食品素材・食品添加物および化学製品材料、動物用医薬品等の販売を行っており、これらの売上収益は282億円(前年同四半期比2.9%減)、コアセグメント利益は25億円(前年同四半期比4.9%増)となりました。
(2) 財政状態
非流動資産では、無形資産が仕掛研究開発の減損等により減少し、繰延税金資産が米国での取り崩しにより減少しました。一方、ロイバント社との戦略的提携に伴う株式譲渡等の手続きが完了したことに伴い、のれんやロイバント社株式の取得により非流動資産のその他の金融資産が大きく増加したことに加え、IFRS第16号「リース」の当期首からの適用に伴い有形固定資産が増加しました。これらの結果、前連結会計年度末に比べ3,055億円増加しました。
流動資産は、現金及び現金同等物や、短期貸付金の減少によりその他の金融資産が減少した結果、前連結会計年度末に比べ251億円減少しました。
これらの結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ2,804億円増加し、1兆1,152億円となりました。
負債については、条件付対価公正価値の減少に伴い、その他の金融負債が減少しましたが、当該戦略的提携の対価の支払いに係る資金調達により借入金が大きく増加した結果、前連結会計年度末に比べ2,562億円増加し、5,928億円となりました。
資本については、利益剰余金が増加した結果、前連結会計年度末に比べ242億円増加し、5,224億円となりました。
なお、当第3四半期連結会計期間末において、当該提携において取得した資産および引き受けた負債は、公正価値評価が完了していないため、暫定的な金額であります。
当第3四半期連結会計期間末の親会社所有者持分比率は46.6%となりました。
(3) キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益の増加等により、前年同四半期に比べ176億円収入が増加し、368億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、ロイバント社との戦略的提携の手続きが完了したことに伴い、同社株式を取得したことによる投資の取得による支出として1,098億円、子会社の支配獲得による支出として2,058億円が発生したこと等により、前年同四半期に比べ2,805億円支出が増加し、2,847億円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、当該戦略的提携の対価の支払いに伴い、2,700億円の資金調達を実施したことにより、短期借入金が大幅に増加したこと等から、前年同四半期に比べ2,681億円収入が増加し、2,405億円の収入となりました。
上記のキャッシュ・フローに、現金及び現金同等物の為替換算による影響額を加えた結果、当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は1,293億円となり、前連結会計年度末に比べ79億円減少しました。
(4) 事業上および財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上および財務上の対処すべき課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は837億円(前年同四半期比35.1%増)であります。なお、当該金額は当第3四半期連結累計期間に計上した減損損失225億円を含んでいることから、これを除いたコアベースの研究開発費は612億円(前年同四半期比1.2%減)となりました。また、当社グループは、研究開発費をグローバルに管理しているため、セグメントに配分しておりません。
日本において、昨年6月、非定型抗精神病薬「ロナセンテープ」(一般名:ブロナンセリン)の統合失調症を適応症とした承認を取得し、昨年9月に発売しました。また、昨年7月、ルラシドン塩酸塩(一般名、米国製品名「ラツーダ」)の統合失調症および双極性障害うつを対象とした承認申請を行いました。
米国において、昨年5月、ドパミン・ノルエピネフリン再取り込み阻害剤dasotraline(一般名)の成人の過食性障害(BED)を対象とした承認申請を行い、昨年7月に受理されました。また、新薬承認申請後に米国食品医薬品局(FDA)から審査結果通知(Complete Response Letter)を受領していた、アポモルヒネ塩酸塩水和物を有効成分として含有する舌下投与フィルム製剤(開発コード:APL-130277)については、昨年11月、成人のパーキンソン病に伴うオフ症状の改善を適応症とした再申請を行い、昨年12月に受理されました。再生細胞薬SB623については、昨年12月、米国SanBio, Inc.との慢性期脳梗塞を対象とした北米における共同開発を中止しました。
抗がん剤として開発中のナパブカシンについては、米国、日本等において結腸直腸がんおよび膵がんを対象とした併用での国際共同フェーズ3試験を実施しておりましたが、結腸直腸がんを対象とした試験は、昨年6月、独立データモニタリング委員会(DSMB)より中間解析の結果が事前に設定した基準を満たしたとの判断による試験継続の推奨を受け、継続しております。一方、膵がんを対象とした試験は、昨年7月、DSMBより、中間解析の結果が無益性基準に該当したことによる試験中止の勧告を受け、中止しました。
昨年12月、当社とロイバント社との戦略的提携に伴う株式譲渡等の手続きが完了したことに伴い、レルゴリクス(子宮筋腫等を対象に米国でフェーズ3段階)、ビベグロン(過活動膀胱を対象に米国で申請中)をはじめとする複数の開発品目を取得しました。
当社グループにおける開発状況は以下のとおりであります。
(6) 生産、受注及び販売の実績
当第3四半期連結累計期間において、「ラツーダ」等の売上の伸長により生産量が増加したため、北米セグメントにおける生産実績が著しく増加しました。
また、「トルリシティ」の売上増加に加え、「エクア」および「エクメット」の販売を開始したこと等により、日本セグメントにおける仕入実績が著しく増加しました。
また、文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績
(業績管理指標「コア営業利益」について)
当社グループでは、IFRSの適用にあたり、会社の経常的な収益性を示す利益指標として、「コア営業利益」を設定し、これを当社独自の業績管理指標として採用しております。
「コア営業利益」は、営業利益から当社グループが定める非経常的な要因による損益(以下「非経常項目」)を除外したものとなります。非経常項目として除かれる主なものは、減損損失、事業構造改善費用、企業買収に係る条件付対価公正価値の変動額等です。
当第3四半期連結累計期間の当社グループの連結業績は、以下のとおりであります。
(単位:億円) | ||||
前第3四半期連結累計期間 (自 2018年4月1日 至 2018年12月31日) | 当第3四半期連結累計期間 (自 2019年4月1日 至 2019年12月31日) | 増減 | 増減率 (%) | |
売上収益 | 3,469 | 3,570 | 101 | 2.9 |
コア営業利益 | 559 | 643 | 84 | 15.0 |
営業利益 | 468 | 815 | 346 | 73.9 |
税引前四半期利益 | 532 | 844 | 313 | 58.8 |
親会社の所有者に 帰属する四半期利益 | 400 | 440 | 40 | 10.0 |
なお、ロイバント社との戦略的提携に伴う株式譲渡等の手続きが、2019年12月27日付けで完了しました。これに伴う当第3四半期連結累計期間の業績に与える影響は軽微であります。
■ 売上収益は3,570億円(前年同四半期比2.9%増)となりました。
日本セグメントは、長期収載品の売上が減少しましたが、2型糖尿病治療剤「トルリシティ」の売上が拡大したことや、2型糖尿病治療剤「エクア」および「エクメット」の販売を開始したことから増収となりました。また、当社グループの収益の柱である非定型抗精神病薬「ラツーダ」等の売上が伸長したことにより、北米セグメントが増収となったことに加え、中国セグメントでも増収となりました。
■ コア営業利益は643億円(前年同四半期比15.0%増)となりました。
増収に伴う売上総利益の増加に加え、販売費及び一般管理費等が減少したことから、コア営業利益は増益となりました。
■ 営業利益は815億円(前年同四半期比73.9%増)となりました。
がん領域等において、開発計画を含む事業計画の見直しを実施したことにより、無形資産である仕掛研究開発の減損損失を計上しました。また、事業計画の見直しに伴い、Boston Biomedical, Inc.およびTolero Pharmaceuticals, Inc.の買収に係る条件付対価公正価値が大きく減少することとなり、減損損失を上回る費用の戻入が発生しました。この結果、コア営業利益の増益に加え、営業利益は大幅な増益となりました。
■ 税引前四半期利益は844億円(前年同四半期比58.8%増)となりました。
金融収益が金融費用を上回ったことから、税引前四半期利益は営業利益に比べ増加しました。
■ 親会社の所有者に帰属する四半期利益は440億円(前年同四半期比10.0%増)となりました。
ナパブカシンの膵がん患者を対象としたフェーズ3試験中止の決定等に伴い、米国において認識していた繰延税金資産の取り崩しを行ったこと等により、法人所得税が大幅に増加しましたが、税引前四半期利益の増益が大きく、親会社の所有者に帰属する四半期利益においても増益となりました。
なお、親会社の所有者に帰属する四半期利益の売上収益に対する比率は12.3%となりました。
(セグメント業績指標「コアセグメント利益」について)
セグメント別の業績では、各セグメントの経常的な収益性を示す利益指標として、「コアセグメント利益」を設定し、当社独自のセグメント業績指標として採用しております。
「コアセグメント利益」は、「コア営業利益」から、グローバルに管理しているため各セグメントに配分できない研究開発費、事業譲渡損益等を除外したセグメント別の利益となります。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
【日本】
■ 売上収益は1,043億円(前年同四半期比3.6%増)となりました。
非定型抗精神病薬「ロナセン」の経口剤や高血圧症治療剤「アイミクス」などの長期収載品の売上は減少しましたが、「トルリシティ」の売上増加に加え、「エクア」および「エクメット」の販売を開始したこと等が寄与し、増収となりました。
■ コアセグメント利益は201億円(前年同四半期比13.2%減)となりました。
品目構成の変化により売上総利益が減少したことにより、減益となりました。
【北米】
■ 売上収益は1,957億円(前年同四半期比2.6%増)となりました。
「ラツーダ」に加え、抗てんかん剤「アプティオム」等の売上も伸長したことから、増収となりました。
■ コアセグメント利益は902億円(前年同四半期比9.4%増)となりました。
増収による売上総利益の増加に加え、販売費及び一般管理費が減少したことにより、増益となりました。
【中国】
■ 売上収益は202億円(前年同四半期比23.4%増)となりました。
カルバペネム系抗生物質製剤「メロペン」等の売上が増加したことにより、増収となりました。
■ コアセグメント利益は94億円(前年同四半期比40.4%増)となりました。
増収による売上総利益の増加により、大幅な増益となりました。
【海外その他】
■ 売上収益は87億円(前年同四半期比14.7%減)となりました。
「メロペン」の輸出が減少したこと等から、減収となりました。
■ コアセグメント利益は32億円(前年同四半期比5.6%増)となりました。
販売費及び一般管理費が減少したこと等から、増益となりました。
上記報告セグメントのほか、当社グループは、食品素材・食品添加物および化学製品材料、動物用医薬品等の販売を行っており、これらの売上収益は282億円(前年同四半期比2.9%減)、コアセグメント利益は25億円(前年同四半期比4.9%増)となりました。
(2) 財政状態
非流動資産では、無形資産が仕掛研究開発の減損等により減少し、繰延税金資産が米国での取り崩しにより減少しました。一方、ロイバント社との戦略的提携に伴う株式譲渡等の手続きが完了したことに伴い、のれんやロイバント社株式の取得により非流動資産のその他の金融資産が大きく増加したことに加え、IFRS第16号「リース」の当期首からの適用に伴い有形固定資産が増加しました。これらの結果、前連結会計年度末に比べ3,055億円増加しました。
流動資産は、現金及び現金同等物や、短期貸付金の減少によりその他の金融資産が減少した結果、前連結会計年度末に比べ251億円減少しました。
これらの結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ2,804億円増加し、1兆1,152億円となりました。
負債については、条件付対価公正価値の減少に伴い、その他の金融負債が減少しましたが、当該戦略的提携の対価の支払いに係る資金調達により借入金が大きく増加した結果、前連結会計年度末に比べ2,562億円増加し、5,928億円となりました。
資本については、利益剰余金が増加した結果、前連結会計年度末に比べ242億円増加し、5,224億円となりました。
なお、当第3四半期連結会計期間末において、当該提携において取得した資産および引き受けた負債は、公正価値評価が完了していないため、暫定的な金額であります。
当第3四半期連結会計期間末の親会社所有者持分比率は46.6%となりました。
(3) キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益の増加等により、前年同四半期に比べ176億円収入が増加し、368億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、ロイバント社との戦略的提携の手続きが完了したことに伴い、同社株式を取得したことによる投資の取得による支出として1,098億円、子会社の支配獲得による支出として2,058億円が発生したこと等により、前年同四半期に比べ2,805億円支出が増加し、2,847億円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、当該戦略的提携の対価の支払いに伴い、2,700億円の資金調達を実施したことにより、短期借入金が大幅に増加したこと等から、前年同四半期に比べ2,681億円収入が増加し、2,405億円の収入となりました。
上記のキャッシュ・フローに、現金及び現金同等物の為替換算による影響額を加えた結果、当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は1,293億円となり、前連結会計年度末に比べ79億円減少しました。
(4) 事業上および財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上および財務上の対処すべき課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は837億円(前年同四半期比35.1%増)であります。なお、当該金額は当第3四半期連結累計期間に計上した減損損失225億円を含んでいることから、これを除いたコアベースの研究開発費は612億円(前年同四半期比1.2%減)となりました。また、当社グループは、研究開発費をグローバルに管理しているため、セグメントに配分しておりません。
日本において、昨年6月、非定型抗精神病薬「ロナセンテープ」(一般名:ブロナンセリン)の統合失調症を適応症とした承認を取得し、昨年9月に発売しました。また、昨年7月、ルラシドン塩酸塩(一般名、米国製品名「ラツーダ」)の統合失調症および双極性障害うつを対象とした承認申請を行いました。
米国において、昨年5月、ドパミン・ノルエピネフリン再取り込み阻害剤dasotraline(一般名)の成人の過食性障害(BED)を対象とした承認申請を行い、昨年7月に受理されました。また、新薬承認申請後に米国食品医薬品局(FDA)から審査結果通知(Complete Response Letter)を受領していた、アポモルヒネ塩酸塩水和物を有効成分として含有する舌下投与フィルム製剤(開発コード:APL-130277)については、昨年11月、成人のパーキンソン病に伴うオフ症状の改善を適応症とした再申請を行い、昨年12月に受理されました。再生細胞薬SB623については、昨年12月、米国SanBio, Inc.との慢性期脳梗塞を対象とした北米における共同開発を中止しました。
抗がん剤として開発中のナパブカシンについては、米国、日本等において結腸直腸がんおよび膵がんを対象とした併用での国際共同フェーズ3試験を実施しておりましたが、結腸直腸がんを対象とした試験は、昨年6月、独立データモニタリング委員会(DSMB)より中間解析の結果が事前に設定した基準を満たしたとの判断による試験継続の推奨を受け、継続しております。一方、膵がんを対象とした試験は、昨年7月、DSMBより、中間解析の結果が無益性基準に該当したことによる試験中止の勧告を受け、中止しました。
昨年12月、当社とロイバント社との戦略的提携に伴う株式譲渡等の手続きが完了したことに伴い、レルゴリクス(子宮筋腫等を対象に米国でフェーズ3段階)、ビベグロン(過活動膀胱を対象に米国で申請中)をはじめとする複数の開発品目を取得しました。
当社グループにおける開発状況は以下のとおりであります。
1.精神神経領域 | (2020年1月30日現在) | ||
製品/コード名 (一般名) | 予定適応症 | 地域 | 開発段階 |
SM-13496 (ルラシドン塩酸塩) | 統合失調症 | 日本 | 申請(2019/7) |
双極性障害うつ | 日本 | 申請(2019/7) | |
SEP-225289 (dasotraline) | 過食性障害(BED) | 米国 | 申請(2019/5) |
注意欠如・多動症(ADHD) | 米国 | 申請(2017/8) 審査結果通知(CRL)を受領(2018/8) | |
日本 | フェーズ1 | ||
APL-130277 (アポモルヒネ塩酸塩水和物) | パーキンソン病に伴うオフ症状 | 米国 | 申請(2018/3) 審査結果通知(CRL)を受領(2019/1) 再申請(2019/11) |
ロナセン (ブロナンセリン) | (新用法:小児)統合失調症 | 日本 | フェーズ3 |
SEP-363856 | 統合失調症 | 米国 | フェーズ3 |
日本 | フェーズ1 | ||
パーキンソン病に伴う精神病症状 | 米国 | フェーズ2 | |
EPI-743 (バチキノン) | リー脳症 | 日本 | フェーズ2/3 |
EPI-589 | パーキンソン病 | 米国 | フェーズ2 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS) | 米国 | フェーズ2 | |
日本 | フェーズ1 | ||
SEP-4199 | 双極Ⅰ型障害うつ | 米国・日本 | フェーズ2 (国際共同試験) |
DSP-6745 | パーキンソン病に伴う精神病症状 | 米国 | フェーズ1 |
SEP-378608 | 双極性障害 | 米国 | フェーズ1 |
DSP-3905 | 神経障害性疼痛 | 米国 | フェーズ1 |
SEP-378614 | 治療抵抗性うつ | 米国 | フェーズ1 |
SEP-380135 | アルツハイマー病に伴う行動障害 | 米国 | フェーズ1 |
DSP-1181 | 強迫性障害 | 日本 | フェーズ1 |
2.がん領域 | (2020年1月30日現在) | ||
製品/コード名 (一般名) | 予定適応症 | 地域 | 開発段階 |
リサイオ (チオテパ) | (新効能)悪性リンパ腫における自家造血幹細胞移植の前治療 ※未承認薬・適応外薬の開発品 | 日本 | 申請(2019/3) |
BBI608 (ナパブカシン) | 結腸直腸がん(併用) | 米国・日本 | フェーズ3 (国際共同試験) |
肝細胞がん(併用) | 米国 | フェーズ1/2 | |
消化器がん(併用) | 米国 | フェーズ1/2 | |
固形がん(併用) | 米国 | フェーズ1/2 | |
レルゴリクス | 前立腺がん | 米国 | フェーズ3 (国際共同試験) |
DSP-2033 (alvocidib) | 急性骨髄性白血病(AML)(併用) (再発・難治性患者対象) | 米国 | フェーズ2 |
骨髄異形成症候群(MDS)(併用) | 米国 | フェーズ1/2 | |
急性骨髄性白血病(AML)(併用) (初発患者対象) | 米国 | フェーズ1 | |
急性骨髄性白血病(AML)(併用) (初発および再発・難治性患者対象) | 日本 | フェーズ1 | |
DSP-7888 (アデグラモチド酢酸塩/ネラチモチドトリフルオロ酢酸塩) | 膠芽腫(併用) | 米国・日本 | フェーズ2 (国際共同試験) |
骨髄異形成症候群(MDS)(単剤) | 日本 | フェーズ2 | |
小児悪性神経膠腫(単剤) | 日本 | フェーズ1/2 | |
固形がん(併用) | 米国 | フェーズ1/2 | |
TP-0903 (dubermatinib) | 慢性リンパ性白血病(CLL)(単剤・併用) | 米国 | フェーズ1/2 |
固形がん(単剤・併用) | 米国・日本 | フェーズ1 | |
DSP-0509 | 固形がん(単剤・併用) | 米国 | フェーズ1/2 |
TP-0184 | 固形がん(単剤) | 米国 | フェーズ1 |
DSP-0337 | 固形がん(単剤) | 米国 | フェーズ1 |
TP-1287 | 固形がん(単剤) | 米国 | フェーズ1 |
TP-3654 | 固形がん(単剤) | 米国 | フェーズ1 |
骨髄線維症(単剤・併用) | 米国 | フェーズ1 |
3.再生・細胞医薬分野 | (2020年1月30日現在) | ||
製品/コード名 (一般名) | 予定適応症 | 地域 | 開発段階 |
RVT-802 | 小児先天性無胸腺症 | 米国 | 申請(2019/4) 審査結果通知(CRL)を受領(2019/12) |
他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞 | パーキンソン病 | 日本 | フェーズ1/2 (医師主導治験) |
HLCR011 (他家iPS細胞由来網膜色素上皮) | 加齢黄斑変性 | 日本 | 治験開始に向けて準備中 |
4.その他の領域 | (2020年1月30日現在) | ||
製品/コード名 (一般名) | 予定適応症 | 地域 | 開発段階 |
ビベグロン | 過活動膀胱 | 米国 | 申請(2019/12) |
前立腺肥大症を伴う過活動膀胱 | 米国 | フェーズ3 | |
過敏性腸症候群関連疼痛 | 米国 | フェーズ2 | |
PXL008 (イメグリミン塩酸塩) | 2型糖尿病 | 日本 | フェーズ3 |
レルゴリクス | 子宮筋腫 | 米国 | フェーズ3 (国際共同試験) |
子宮内膜症 | 米国 | フェーズ3 (国際共同試験) | |
rodatristat ethyl | 肺動脈性肺高血圧症(PAH) | 米国 | フェーズ2 |
MVT-602 | 不妊症 | 米国 | フェーズ2 |
URO-902 | 過活動膀胱 | 米国 | フェーズ2 |
(6) 生産、受注及び販売の実績
当第3四半期連結累計期間において、「ラツーダ」等の売上の伸長により生産量が増加したため、北米セグメントにおける生産実績が著しく増加しました。
また、「トルリシティ」の売上増加に加え、「エクア」および「エクメット」の販売を開始したこと等により、日本セグメントにおける仕入実績が著しく増加しました。