有価証券報告書-第198期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
また、当社グループは当連結会計年度より、従来の日本基準に替えてIFRSを適用しており、前連結会計年度の数値をIFRSに組み替えて比較分析を行っております。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。
連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。
連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるために、これらの見積りと異なる場合があります。
(2) 経営成績
当連結会計年度のわが国経済は、個人消費の持ち直し、設備投資や生産の緩やかな増加、企業収益や業況判断の改善など、基調としては、景気は緩やかに回復しています。世界経済についても、米国の景気は着実に回復が続いており、中国では、景気の持ち直しの動きが続いています。わが国経済の先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されます。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要があります。
医薬品業界では、日本での薬価制度の抜本改革をはじめ、増大する社会保障給付費を抑制するための世界的な動きとして、先発医薬品の価格抑制や後発医薬品の使用促進が一段と進むなか、新薬開発の難度の高まりや研究開発費の高騰などにより、事業の予見性が低下しており、事業リスクも増大しています。
このような状況のもと、当社グループは、日本において、「トレリーフ」、「ロナセン」、「トルリシティ」などの売上拡大を図るべく経営資源を集中し、情報提供活動を行いました。
北米においては、サノビオン社が、グローバル戦略品である「ラツーダ」を中心とする主力製品のさらなる売上拡大に向けて事業活動を行いました。当社は、当社グループの収益の柱である「ラツーダ」について、複数の特許を保有しています。当社およびサノビオン社は、後発品申請への対応措置として、米国において2015年1月に物質特許に基づき、後発品申請に対する特許侵害訴訟を提起していましたが、さらに、2017年11月に成立した用途特許に基づき、2018年2月に後発品申請に対する特許侵害訴訟を提起しました。
がん領域では、ボストン・バイオメディカル社が、現在開発中であるナパブカシンの早期上市を最優先課題と位置付け、臨床開発を推進しました。また、2016年度に買収したトレロ社が、alvocidibの臨床開発などに注力しました。
中国においては、住友制葯(蘇州)有限公司が、「メロペン」などの売上拡大を図るべく事業活動を展開しました。
欧州においては、「ラツーダ」の販売拡大を目的としてアンジェリーニ社と提携契約を締結しました。
(新たな業績管理指標として「コア営業利益」を採用)
当社グループでは、IFRSの適用にあたり、会社の経常的な収益性を示す利益指標として、「コア営業利益」を設定し、これを当社独自の業績管理指標として採用します。
「コア営業利益」は、営業利益から当社グループが定める非経常的な要因による損益(以下「非経常項目」)を除外したものとなります。非経常項目として除かれる主なものは、減損損失、事業構造改善費用、訴訟関連費用、企業買収に係る条件付対価公正価値の変動額などです。
当連結会計年度の当社グループの連結業績は、以下のとおりであります。
(単位:億円)
■ 売上収益は4,668億円(前連結会計年度比14.3%増)となりました。
北米セグメントにおいて「ラツーダ」が売上を大きく拡大したことに加え、日本セグメントにおける「トルリシティ」や中国セグメントにおける「メロペン」などの伸長により増収となりました。
■ コア営業利益は906億円(前連結会計年度比40.8%増)となりました。
販売費及び一般管理費の北米セグメントにおける増加や研究開発費の増加がありましたが、売上収益増加に伴う売上総利益の増加により、コア営業利益は増益となりました。
■ 営業利益は882億円(前連結会計年度比118.9%増)となりました。
事業構造改善費用が減少したことに加え、ボストン・バイオメディカル社で開発中のナパブカシンについて、2017年6月に、胃または食道胃接合部腺がんを対象とした国際共同フェーズ3試験の盲検の解除を決定したことに伴い、条件付対価の公正価値が減少し、費用の戻入が発生したことなどにより大幅な増益となりました。
■ 税引前当期利益は849億円(前連結会計年度比98.4%増)となりました。
当連結会計年度は期末にかけて円高基調となったため、当社が保有する外貨建て金融資産において為替差損が発生したことなどにより、金融費用が大きく増加しました。
■ 親会社の所有者に帰属する当期利益は534億円(前連結会計年度比70.7%増)となりました。
税引前当期利益に対する法人所得税の負担率は37.0%となり、米国税制改正の影響等により、前連結会計年度に比べ10.2%増加しましたが、親会社の所有者に帰属する当期利益は増益となりました。
また、親会社の所有者に帰属する当期利益の売上収益に対する比率は11.4%となり、前連結会計年度に比べ3.7%増加しました。
(セグメント業績指標として「コアセグメント利益」を採用)
当社グループでは、IFRSの適用にあたり、セグメント別の業績では、各セグメントの経常的な収益性を示す利益指標として、「コアセグメント利益」を設定し、当社独自のセグメント業績指標として採用します。
「コアセグメント利益」は、「コア営業利益」から、グローバルに管理しているため各セグメントに配分できない研究開発費、事業譲渡損益などを除外したセグメント別の利益となります。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
【日本】
■ 売上収益は1,433億円(前連結会計年度比1.8%増)となりました。
「トルリシティ」の売上が大きく伸長したことに加え、高血圧症治療剤「アイミクス」、「トレリーフ」、ファブリー病治療剤「リプレガル」などの売上増加が、長期収載品の売上減少を補い、増収となりました。
■ コアセグメント利益は403億円(前連結会計年度比6.2%増)となりました。
従業員数の削減による人件費の減少や販売関連費用の削減などにより販売費及び一般管理費が減少し、増益となりました。
【北米】
■ 売上収益は2,408億円(前連結会計年度比23.7%増)となりました。
主力品である「ラツーダ」の売上が引き続き大きく拡大したことに加え、「アプティオム」などの売上が伸長したことにより増収となりました。
■ コアセグメント利益は1,095億円(前連結会計年度比18.3%増)となりました。
新製品の発売に伴う販売関連費用の増加などにより販売費及び一般管理費は増加しましたが、売上収益増加に伴う売上総利益の増加により、増益となりました。
【中国】
■ 売上収益は234億円(前連結会計年度比33.0%増)となりました。
主力品である「メロペン」などの売上が堅調に推移し増収となりました。
■ コアセグメント利益は107億円(前連結会計年度比59.3%増)となりました。
売上収益増加に伴う売上総利益の増加により、増益となりました。
【海外その他】
■ 売上収益は165億円(前連結会計年度比42.7%増)となりました。
「メロペン」などの輸出が好調であったため増収となりました。
■ コアセグメント利益は51億円(前連結会計年度比81.1%増)となりました。
売上収益増加に伴う売上総利益の増加により、増益となりました。
上記報告セグメントのほか、当社グループは、食品素材・食品添加物および化学製品材料、動物用医薬品、診断薬などの販売を行っており、これらの売上収益は428億円(前連結会計年度比2.0%減)、コアセグメント利益は27億円(前連結会計年度比11.5%増)となりました。
(3) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は販売価格により換算したものであります。
2 セグメント間取引については相殺消去しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は仕入価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 受注状況
当社グループの生産は見込生産で、受注生産は行っておりません。
④ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(4) 財政状態
資産については、非流動資産は、その他の金融資産が有価証券の公正価値測定により増加しましたが、米国税制改正の影響により繰延税金資産が大きく減少したことに加え、のれんや無形資産が為替換算などにより減少した結果、前連結会計年度末に比べ104億円減少しました。
流動資産は、未収法人所得税は減少しましたが、現金及び現金同等物やその他の金融資産が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ410億円増加しました。
これらの結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ306億円増加し、8,097億円となりました。
負債については、未払金などの営業債務及びその他の債務などは増加しましたが、社債及び借入金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ98億円減少し、3,570億円となりました。
資本については、主として利益剰余金の増加により、4,527億円となりました。
なお、当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は55.9%となりました。
(5) キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益が大幅な増益となったことに加え、法人所得税の支払額が大きく減少したこと等により、前連結会計年度に比べ743億円収入が増加し、934億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、製品導入に伴う無形資産の取得や有価証券の取得による支出などがありましたが、前連結会計年度は、子会社の支配獲得による多額の支出があったことから、前連結会計年度に比べ396億円支出が減少し、165億円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度は、資金調達を実施したことにより、全体で収入となりましたが、当連結会計年度は、社債の償還や借入金の返済などにより、296億円の支出となりました。
上記のキャッシュ・フローに、現金及び現金同等物の為替換算による影響額を加えた結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,478億円となり、前連結会計年度末に比べ422億円増加しました。
当社グループの資本の財源および資金の流動性は、以下のとおりであります。
当社グループの財務活動の方針は、自己資金に加えて、必要に応じて借入によるレバレッジの活用などにより必要資金を確保することであり、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、銀行借入などにより、必要資金を調達し、買収で取得した開発品への先行投資等を行っております。
当社グループでは、現金及び現金同等物に短期貸付金を加えた金額を運用資金と定義しており、当連結会計年度末の運用資金は1,690億円であります。また、流動比率(流動資産/流動負債)は165.8%であり、高い資金の流動性を維持しております。
(6) 並行開示情報
連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」)により作成した要約連結財務諸表は、以下のとおりであります。
日本基準により作成した要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
また、前連結会計年度におけるTolero Pharmaceuticals, Inc. の買収に関する企業結合の会計処理について、前連結会計年度末において暫定的な会計処理を行っておりましたが、当連結会計年度において確定したため、前連結会計年度の関連する数値について遡及修正しております。
なお、要約連結財務諸表は百万円未満を四捨五入して記載しております。
① 要約連結貸借対照表
② 要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書
要約連結損益計算書
(注)返品調整引当金繰入額または戻入額は、売上高に含めて表示しております。
要約連結包括利益計算書
③ 要約連結株主資本等変動計算書
前連結会計年度(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)
当連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
④ 要約連結キャッシュ・フロー計算書
⑤ 要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更
前連結会計年度(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)
(連結の範囲に関する事項)
当連結会計年度において、新たに設立されたDSファーマプロモ株式会社並びに買収したCynapsus Therapeutics Inc.(現:Sunovion CNS Development Canada ULC)及びTolero Pharmaceuticals, Inc.を連結の範囲に含めております。
なお、Cynapsus Therapeutics Inc.は、買収日における同社を含むAmalgamation(カナダ連邦のブリティッシュ・コロンビア州法上の組織再編)によりSunovion CNS Development Canada ULCが設立されたため、同社が当社の連結子会社となっております。
(会計方針の変更)
「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第26号 2016年3月28日。以下「回収可能性適用指針」という。)を当連結会計年度から適用し、繰延税金資産の回収可能性に関する会計処理の方法の一部を見直しております。
回収可能性適用指針の適用については、回収可能性適用指針第49項(4)に定める経過的な取扱いに従っており、当連結会計年度の期首時点において回収可能性適用指針第49項(3)①から③に該当する定めを適用した場合の繰延税金資産及び繰延税金負債の額と、前連結会計年度末の繰延税金資産及び繰延税金負債の額との差額を、当連結会計年度の期首の利益剰余金及びその他の包括利益累計額に加減しております。
この結果、当連結会計年度の期首において、繰延税金資産(投資その他の資産)が193百万円、利益剰余金が385百万円増加し、その他有価証券評価差額金が194百万円減少しております。
当連結会計年度の期首の純資産に影響額が反映されたことにより、連結株主資本等変動計算書の利益剰余金の期首残高は385百万円増加し、その他有価証券評価差額金は194百万円減少しております。
(表示方法の変更)
(連結貸借対照表関係)
前連結会計年度において、「固定負債」の「その他」に含めておりました「条件付取得対価に係る公正価値」は、当連結会計年度において負債及び純資産の総額の100分の5を超えたため、独立掲記しました。この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の連結財務諸表の組替えを行っております。
この結果、前連結会計年度の連結貸借対照表において、「固定負債」に表示していた「その他」21,152百万円は、「条件付取得対価に係る公正価値」8,968百万円、「その他」12,184百万円として組み替えております。
(連結損益計算書関係)
前連結会計年度において、独立掲記しておりました「営業外収益」の「投資事業組合運用益」は、当連結会計年度において営業外収益の総額の100分の10以下であるため、「その他」に含めて表示しております。この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の連結財務諸表の組替えを行っております。
この結果、前連結会計年度の連結損益計算書において、「営業外収益」に表示していた「投資事業組合運用益」1,296百万円及び「その他」277百万円は、「営業外収益」の「その他」1,574百万円として組み替えております。
(連結キャッシュ・フロー計算書関係)
(1) 前連結会計年度において、独立掲記しておりました「営業活動によるキャッシュ・フロー」の「投資事業組合運用損益(△は益)」及び「有形固定資産売却損益(△は益)」は、重要性が乏しくなったため、当連結会計年度より「営業活動によるキャッシュ・フロー」の「その他」に含めて表示しております。この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の連結財務諸表の組替えを行っております。
この結果、前連結会計年度の連結キャッシュ・フロー計算書において、「営業活動によるキャッシュ・フロー」に表示していた「投資事業組合運用損益(△は益)」△1,296百万円、「有形固定資産売却損益(△は益)」△0百万円及び「その他」△231百万円は、「その他」△1,528百万円として組み替えております。
(2) 前連結会計年度において、独立掲記しておりました「投資活動によるキャッシュ・フロー」の「有形固定資産の売却による収入」及び「投資事業組合からの分配による収入」は、重要性が乏しくなったため、当連結会計年度より「投資活動によるキャッシュ・フロー」の「その他」に含めて表示しております。この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の連結財務諸表の組替えを行っております。
この結果、前連結会計年度の連結キャッシュ・フロー計算書において、「投資活動によるキャッシュ・フロー」に表示していた「有形固定資産の売却による収入」22百万円、「投資事業組合からの分配による収入」3,071百万円及び「その他」37百万円は、「その他」3,131百万円として組み替えております。
(3) 前連結会計年度において、「財務活動によるキャッシュ・フロー」の「その他」に含めておりました「短期借入金の純増減額(△は減少)」は、重要性が増加したため、当連結会計年度より独立掲記しました。この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の連結財務諸表の組替えを行っております。
この結果、前連結会計年度の連結キャッシュ・フロー計算書において、「財務活動によるキャッシュ・フロー」に表示していた「その他」1,077百万円は、「短期借入金の純増減額(△は減少)」1,080百万円及び「その他」△3百万円として組み替えております。
当連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
(連結の範囲に関する事項)
当連結会計年度において、Boston Biomedical Pharma, Inc.は、Boston Biomedical, Inc.を存続会社とする吸収合併により消滅したため、連結の範囲から除外しております。
(持分法の適用に関する事項)
当連結会計年度において、株式会社クリエイトワクチンは清算結了したため、持分法の適用範囲から除外しております。
(7) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
前連結会計年度(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 32.初度適用」をご参照ください。
当連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
(のれんの償却)
日本基準では、のれんの償却は、その効果が発現すると見積られる期間(20年)にわたり均等償却を行っておりましたが、IFRSでは、のれんの償却は行われず、毎期減損テストを行っております。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が6,696百万円減少しております。
(研究開発費の資産計上)
日本基準では、すべての研究開発費を費用処理しておりましたが、IFRSでは、これらのうち一定の要件を満たしたものを無形資産として計上し、見積耐用年数にわたって定額法で償却しております。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が364百万円増加し、研究開発費が5,100百万円減少しております。
(条件付対価の負債計上)
日本基準では、買収時に日本基準による企業結合が適用された取引に係る条件付対価について、企業結合後にその交付又は引渡しが確実となる時点まで負債を認識しておりませんでしたが、IFRSでは、条件付対価の公正価値を測定し、当該公正価値を金融負債として計上しております。当該金融負債の公正価値の増減については、販売費及び一般管理費として認識しております。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が14,744百万円減少しております。
また、当社グループは当連結会計年度より、従来の日本基準に替えてIFRSを適用しており、前連結会計年度の数値をIFRSに組み替えて比較分析を行っております。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。
連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。
連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるために、これらの見積りと異なる場合があります。
(2) 経営成績
当連結会計年度のわが国経済は、個人消費の持ち直し、設備投資や生産の緩やかな増加、企業収益や業況判断の改善など、基調としては、景気は緩やかに回復しています。世界経済についても、米国の景気は着実に回復が続いており、中国では、景気の持ち直しの動きが続いています。わが国経済の先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されます。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要があります。
医薬品業界では、日本での薬価制度の抜本改革をはじめ、増大する社会保障給付費を抑制するための世界的な動きとして、先発医薬品の価格抑制や後発医薬品の使用促進が一段と進むなか、新薬開発の難度の高まりや研究開発費の高騰などにより、事業の予見性が低下しており、事業リスクも増大しています。
このような状況のもと、当社グループは、日本において、「トレリーフ」、「ロナセン」、「トルリシティ」などの売上拡大を図るべく経営資源を集中し、情報提供活動を行いました。
北米においては、サノビオン社が、グローバル戦略品である「ラツーダ」を中心とする主力製品のさらなる売上拡大に向けて事業活動を行いました。当社は、当社グループの収益の柱である「ラツーダ」について、複数の特許を保有しています。当社およびサノビオン社は、後発品申請への対応措置として、米国において2015年1月に物質特許に基づき、後発品申請に対する特許侵害訴訟を提起していましたが、さらに、2017年11月に成立した用途特許に基づき、2018年2月に後発品申請に対する特許侵害訴訟を提起しました。
がん領域では、ボストン・バイオメディカル社が、現在開発中であるナパブカシンの早期上市を最優先課題と位置付け、臨床開発を推進しました。また、2016年度に買収したトレロ社が、alvocidibの臨床開発などに注力しました。
中国においては、住友制葯(蘇州)有限公司が、「メロペン」などの売上拡大を図るべく事業活動を展開しました。
欧州においては、「ラツーダ」の販売拡大を目的としてアンジェリーニ社と提携契約を締結しました。
(新たな業績管理指標として「コア営業利益」を採用)
当社グループでは、IFRSの適用にあたり、会社の経常的な収益性を示す利益指標として、「コア営業利益」を設定し、これを当社独自の業績管理指標として採用します。
「コア営業利益」は、営業利益から当社グループが定める非経常的な要因による損益(以下「非経常項目」)を除外したものとなります。非経常項目として除かれる主なものは、減損損失、事業構造改善費用、訴訟関連費用、企業買収に係る条件付対価公正価値の変動額などです。
当連結会計年度の当社グループの連結業績は、以下のとおりであります。
(単位:億円)
前連結会計年度 (2017年3月期) | 当連結会計年度 (2018年3月期) | 増減 | 増減率 (%) | |
売上収益 | 4,084 | 4,668 | 585 | 14.3 |
コア営業利益 | 644 | 906 | 262 | 40.8 |
営業利益 | 403 | 882 | 479 | 118.9 |
税引前当期利益 | 428 | 849 | 421 | 98.4 |
親会社の所有者に 帰属する当期利益 | 313 | 534 | 221 | 70.7 |
■ 売上収益は4,668億円(前連結会計年度比14.3%増)となりました。
北米セグメントにおいて「ラツーダ」が売上を大きく拡大したことに加え、日本セグメントにおける「トルリシティ」や中国セグメントにおける「メロペン」などの伸長により増収となりました。
■ コア営業利益は906億円(前連結会計年度比40.8%増)となりました。
販売費及び一般管理費の北米セグメントにおける増加や研究開発費の増加がありましたが、売上収益増加に伴う売上総利益の増加により、コア営業利益は増益となりました。
■ 営業利益は882億円(前連結会計年度比118.9%増)となりました。
事業構造改善費用が減少したことに加え、ボストン・バイオメディカル社で開発中のナパブカシンについて、2017年6月に、胃または食道胃接合部腺がんを対象とした国際共同フェーズ3試験の盲検の解除を決定したことに伴い、条件付対価の公正価値が減少し、費用の戻入が発生したことなどにより大幅な増益となりました。
■ 税引前当期利益は849億円(前連結会計年度比98.4%増)となりました。
当連結会計年度は期末にかけて円高基調となったため、当社が保有する外貨建て金融資産において為替差損が発生したことなどにより、金融費用が大きく増加しました。
■ 親会社の所有者に帰属する当期利益は534億円(前連結会計年度比70.7%増)となりました。
税引前当期利益に対する法人所得税の負担率は37.0%となり、米国税制改正の影響等により、前連結会計年度に比べ10.2%増加しましたが、親会社の所有者に帰属する当期利益は増益となりました。
また、親会社の所有者に帰属する当期利益の売上収益に対する比率は11.4%となり、前連結会計年度に比べ3.7%増加しました。
(セグメント業績指標として「コアセグメント利益」を採用)
当社グループでは、IFRSの適用にあたり、セグメント別の業績では、各セグメントの経常的な収益性を示す利益指標として、「コアセグメント利益」を設定し、当社独自のセグメント業績指標として採用します。
「コアセグメント利益」は、「コア営業利益」から、グローバルに管理しているため各セグメントに配分できない研究開発費、事業譲渡損益などを除外したセグメント別の利益となります。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
【日本】
■ 売上収益は1,433億円(前連結会計年度比1.8%増)となりました。
「トルリシティ」の売上が大きく伸長したことに加え、高血圧症治療剤「アイミクス」、「トレリーフ」、ファブリー病治療剤「リプレガル」などの売上増加が、長期収載品の売上減少を補い、増収となりました。
■ コアセグメント利益は403億円(前連結会計年度比6.2%増)となりました。
従業員数の削減による人件費の減少や販売関連費用の削減などにより販売費及び一般管理費が減少し、増益となりました。
【北米】
■ 売上収益は2,408億円(前連結会計年度比23.7%増)となりました。
主力品である「ラツーダ」の売上が引き続き大きく拡大したことに加え、「アプティオム」などの売上が伸長したことにより増収となりました。
■ コアセグメント利益は1,095億円(前連結会計年度比18.3%増)となりました。
新製品の発売に伴う販売関連費用の増加などにより販売費及び一般管理費は増加しましたが、売上収益増加に伴う売上総利益の増加により、増益となりました。
【中国】
■ 売上収益は234億円(前連結会計年度比33.0%増)となりました。
主力品である「メロペン」などの売上が堅調に推移し増収となりました。
■ コアセグメント利益は107億円(前連結会計年度比59.3%増)となりました。
売上収益増加に伴う売上総利益の増加により、増益となりました。
【海外その他】
■ 売上収益は165億円(前連結会計年度比42.7%増)となりました。
「メロペン」などの輸出が好調であったため増収となりました。
■ コアセグメント利益は51億円(前連結会計年度比81.1%増)となりました。
売上収益増加に伴う売上総利益の増加により、増益となりました。
上記報告セグメントのほか、当社グループは、食品素材・食品添加物および化学製品材料、動物用医薬品、診断薬などの販売を行っており、これらの売上収益は428億円(前連結会計年度比2.0%減)、コアセグメント利益は27億円(前連結会計年度比11.5%増)となりました。
(3) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
日本 | 148,308 | 4.2 |
北米 | 223,291 | 14.6 |
中国 | 22,670 | 20.3 |
海外その他 | 12,051 | 31.4 |
その他 | 101 | 7.1 |
合計 | 406,421 | 11.3 |
(注) 1 金額は販売価格により換算したものであります。
2 セグメント間取引については相殺消去しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
日本 | 13,019 | 119.1 |
北米 | 2,530 | 20.0 |
中国 | - | - |
海外その他 | - | - |
その他 | 36,082 | 1.9 |
合計 | 51,631 | 18.8 |
(注) 1 金額は仕入価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 受注状況
当社グループの生産は見込生産で、受注生産は行っておりません。
④ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
日本 | 143,325 | 1.8 |
北米 | 240,791 | 23.7 |
中国 | 23,444 | 33.0 |
海外その他 | 16,468 | 42.7 |
その他 | 42,810 | △2.0 |
合計 | 466,838 | 14.3 |
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
マッケソン社(米国) | 70,003 | 17.0 | 82,506 | 17.7 |
カーディナル社(米国) | 49,594 | 12.0 | 64,301 | 13.8 |
アメリソースバーゲン社(米国) | 45,784 | 11.1 | 59,783 | 12.8 |
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(4) 財政状態
資産については、非流動資産は、その他の金融資産が有価証券の公正価値測定により増加しましたが、米国税制改正の影響により繰延税金資産が大きく減少したことに加え、のれんや無形資産が為替換算などにより減少した結果、前連結会計年度末に比べ104億円減少しました。
流動資産は、未収法人所得税は減少しましたが、現金及び現金同等物やその他の金融資産が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ410億円増加しました。
これらの結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ306億円増加し、8,097億円となりました。
負債については、未払金などの営業債務及びその他の債務などは増加しましたが、社債及び借入金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ98億円減少し、3,570億円となりました。
資本については、主として利益剰余金の増加により、4,527億円となりました。
なお、当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は55.9%となりました。
(5) キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益が大幅な増益となったことに加え、法人所得税の支払額が大きく減少したこと等により、前連結会計年度に比べ743億円収入が増加し、934億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、製品導入に伴う無形資産の取得や有価証券の取得による支出などがありましたが、前連結会計年度は、子会社の支配獲得による多額の支出があったことから、前連結会計年度に比べ396億円支出が減少し、165億円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度は、資金調達を実施したことにより、全体で収入となりましたが、当連結会計年度は、社債の償還や借入金の返済などにより、296億円の支出となりました。
上記のキャッシュ・フローに、現金及び現金同等物の為替換算による影響額を加えた結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,478億円となり、前連結会計年度末に比べ422億円増加しました。
当社グループの資本の財源および資金の流動性は、以下のとおりであります。
当社グループの財務活動の方針は、自己資金に加えて、必要に応じて借入によるレバレッジの活用などにより必要資金を確保することであり、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、銀行借入などにより、必要資金を調達し、買収で取得した開発品への先行投資等を行っております。
当社グループでは、現金及び現金同等物に短期貸付金を加えた金額を運用資金と定義しており、当連結会計年度末の運用資金は1,690億円であります。また、流動比率(流動資産/流動負債)は165.8%であり、高い資金の流動性を維持しております。
(6) 並行開示情報
連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」)により作成した要約連結財務諸表は、以下のとおりであります。
日本基準により作成した要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
また、前連結会計年度におけるTolero Pharmaceuticals, Inc. の買収に関する企業結合の会計処理について、前連結会計年度末において暫定的な会計処理を行っておりましたが、当連結会計年度において確定したため、前連結会計年度の関連する数値について遡及修正しております。
なお、要約連結財務諸表は百万円未満を四捨五入して記載しております。
① 要約連結貸借対照表
(単位:百万円) | ||
前連結会計年度 (2017年3月31日) | 当連結会計年度 (2018年3月31日) | |
資産の部 | ||
流動資産 | 376,455 | 404,480 |
固定資産 | ||
有形固定資産 | 59,253 | 56,632 |
無形固定資産 | 294,000 | 269,478 |
投資その他の資産 | 53,932 | 70,835 |
固定資産合計 | 407,185 | 396,945 |
資産合計 | 783,640 | 801,425 |
負債の部 | ||
流動負債 | 228,447 | 206,335 |
固定負債 | 94,804 | 112,040 |
負債合計 | 323,251 | 318,375 |
純資産の部 | ||
株主資本 | 400,963 | 430,539 |
その他の包括利益累計額 | 59,426 | 52,511 |
純資産合計 | 460,389 | 483,050 |
負債純資産合計 | 783,640 | 801,425 |
② 要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書
要約連結損益計算書
(単位:百万円) | ||
前連結会計年度 (自 2016年4月1日 至 2017年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | |
売上高(注) | 411,645 | 477,966 |
売上原価 | 100,078 | 119,852 |
売上総利益 | 311,567 | 358,114 |
販売費及び一般管理費 | 259,066 | 292,291 |
営業利益 | 52,501 | 65,823 |
営業外収益 | 3,521 | 2,607 |
営業外費用 | 1,939 | 7,543 |
経常利益 | 54,083 | 60,887 |
特別利益 | 5,754 | - |
特別損失 | 12,878 | 14,062 |
税金等調整前当期純利益 | 46,959 | 46,825 |
法人税等 | 18,225 | 9,300 |
当期純利益 | 28,733 | 37,525 |
非支配株主に帰属する当期純利益 | - | - |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 28,733 | 37,525 |
(注)返品調整引当金繰入額または戻入額は、売上高に含めて表示しております。
要約連結包括利益計算書
(単位:百万円) | ||
前連結会計年度 (自 2016年4月1日 至 2017年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | |
当期純利益 | 28,733 | 37,525 |
その他の包括利益合計 | △7,853 | △6,915 |
包括利益 | 20,880 | 30,610 |
(内訳) | ||
親会社株主に係る包括利益 | 20,880 | 30,610 |
非支配株主に係る包括利益 | - | - |
③ 要約連結株主資本等変動計算書
前連結会計年度(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)
(単位:百万円) | |||
株主資本 | その他の 包括利益累計額 | 純資産合計 | |
当期首残高 | 378,999 | 67,474 | 446,473 |
会計方針の変更による累積的影響額 | 385 | △194 | 191 |
会計方針の変更を反映した当期首残高 | 379,384 | 67,280 | 446,664 |
当期変動額 | 21,579 | △7,854 | 13,725 |
当期末残高 | 400,963 | 59,426 | 460,389 |
当連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
(単位:百万円) | |||
株主資本 | その他の 包括利益累計額 | 純資産合計 | |
当期首残高 | 400,963 | 59,426 | 460,389 |
当期変動額 | 29,576 | △6,915 | 22,661 |
当期末残高 | 430,539 | 52,511 | 483,050 |
④ 要約連結キャッシュ・フロー計算書
(単位:百万円) | ||
前連結会計年度 (自 2016年4月1日 至 2017年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 21,624 | 96,326 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △59,729 | △20,493 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | 9,881 | △28,546 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 | △1,748 | △5,115 |
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) | △29,972 | 42,172 |
現金及び現金同等物の期首残高 | 135,575 | 105,603 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 105,603 | 147,775 |
⑤ 要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更
前連結会計年度(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)
(連結の範囲に関する事項)
当連結会計年度において、新たに設立されたDSファーマプロモ株式会社並びに買収したCynapsus Therapeutics Inc.(現:Sunovion CNS Development Canada ULC)及びTolero Pharmaceuticals, Inc.を連結の範囲に含めております。
なお、Cynapsus Therapeutics Inc.は、買収日における同社を含むAmalgamation(カナダ連邦のブリティッシュ・コロンビア州法上の組織再編)によりSunovion CNS Development Canada ULCが設立されたため、同社が当社の連結子会社となっております。
(会計方針の変更)
「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第26号 2016年3月28日。以下「回収可能性適用指針」という。)を当連結会計年度から適用し、繰延税金資産の回収可能性に関する会計処理の方法の一部を見直しております。
回収可能性適用指針の適用については、回収可能性適用指針第49項(4)に定める経過的な取扱いに従っており、当連結会計年度の期首時点において回収可能性適用指針第49項(3)①から③に該当する定めを適用した場合の繰延税金資産及び繰延税金負債の額と、前連結会計年度末の繰延税金資産及び繰延税金負債の額との差額を、当連結会計年度の期首の利益剰余金及びその他の包括利益累計額に加減しております。
この結果、当連結会計年度の期首において、繰延税金資産(投資その他の資産)が193百万円、利益剰余金が385百万円増加し、その他有価証券評価差額金が194百万円減少しております。
当連結会計年度の期首の純資産に影響額が反映されたことにより、連結株主資本等変動計算書の利益剰余金の期首残高は385百万円増加し、その他有価証券評価差額金は194百万円減少しております。
(表示方法の変更)
(連結貸借対照表関係)
前連結会計年度において、「固定負債」の「その他」に含めておりました「条件付取得対価に係る公正価値」は、当連結会計年度において負債及び純資産の総額の100分の5を超えたため、独立掲記しました。この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の連結財務諸表の組替えを行っております。
この結果、前連結会計年度の連結貸借対照表において、「固定負債」に表示していた「その他」21,152百万円は、「条件付取得対価に係る公正価値」8,968百万円、「その他」12,184百万円として組み替えております。
(連結損益計算書関係)
前連結会計年度において、独立掲記しておりました「営業外収益」の「投資事業組合運用益」は、当連結会計年度において営業外収益の総額の100分の10以下であるため、「その他」に含めて表示しております。この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の連結財務諸表の組替えを行っております。
この結果、前連結会計年度の連結損益計算書において、「営業外収益」に表示していた「投資事業組合運用益」1,296百万円及び「その他」277百万円は、「営業外収益」の「その他」1,574百万円として組み替えております。
(連結キャッシュ・フロー計算書関係)
(1) 前連結会計年度において、独立掲記しておりました「営業活動によるキャッシュ・フロー」の「投資事業組合運用損益(△は益)」及び「有形固定資産売却損益(△は益)」は、重要性が乏しくなったため、当連結会計年度より「営業活動によるキャッシュ・フロー」の「その他」に含めて表示しております。この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の連結財務諸表の組替えを行っております。
この結果、前連結会計年度の連結キャッシュ・フロー計算書において、「営業活動によるキャッシュ・フロー」に表示していた「投資事業組合運用損益(△は益)」△1,296百万円、「有形固定資産売却損益(△は益)」△0百万円及び「その他」△231百万円は、「その他」△1,528百万円として組み替えております。
(2) 前連結会計年度において、独立掲記しておりました「投資活動によるキャッシュ・フロー」の「有形固定資産の売却による収入」及び「投資事業組合からの分配による収入」は、重要性が乏しくなったため、当連結会計年度より「投資活動によるキャッシュ・フロー」の「その他」に含めて表示しております。この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の連結財務諸表の組替えを行っております。
この結果、前連結会計年度の連結キャッシュ・フロー計算書において、「投資活動によるキャッシュ・フロー」に表示していた「有形固定資産の売却による収入」22百万円、「投資事業組合からの分配による収入」3,071百万円及び「その他」37百万円は、「その他」3,131百万円として組み替えております。
(3) 前連結会計年度において、「財務活動によるキャッシュ・フロー」の「その他」に含めておりました「短期借入金の純増減額(△は減少)」は、重要性が増加したため、当連結会計年度より独立掲記しました。この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の連結財務諸表の組替えを行っております。
この結果、前連結会計年度の連結キャッシュ・フロー計算書において、「財務活動によるキャッシュ・フロー」に表示していた「その他」1,077百万円は、「短期借入金の純増減額(△は減少)」1,080百万円及び「その他」△3百万円として組み替えております。
当連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
(連結の範囲に関する事項)
当連結会計年度において、Boston Biomedical Pharma, Inc.は、Boston Biomedical, Inc.を存続会社とする吸収合併により消滅したため、連結の範囲から除外しております。
(持分法の適用に関する事項)
当連結会計年度において、株式会社クリエイトワクチンは清算結了したため、持分法の適用範囲から除外しております。
(7) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
前連結会計年度(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 32.初度適用」をご参照ください。
当連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
(のれんの償却)
日本基準では、のれんの償却は、その効果が発現すると見積られる期間(20年)にわたり均等償却を行っておりましたが、IFRSでは、のれんの償却は行われず、毎期減損テストを行っております。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が6,696百万円減少しております。
(研究開発費の資産計上)
日本基準では、すべての研究開発費を費用処理しておりましたが、IFRSでは、これらのうち一定の要件を満たしたものを無形資産として計上し、見積耐用年数にわたって定額法で償却しております。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が364百万円増加し、研究開発費が5,100百万円減少しております。
(条件付対価の負債計上)
日本基準では、買収時に日本基準による企業結合が適用された取引に係る条件付対価について、企業結合後にその交付又は引渡しが確実となる時点まで負債を認識しておりませんでしたが、IFRSでは、条件付対価の公正価値を測定し、当該公正価値を金融負債として計上しております。当該金融負債の公正価値の増減については、販売費及び一般管理費として認識しております。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が14,744百万円減少しております。