四半期報告書-第200期第2四半期(令和1年7月1日-令和1年9月30日)

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2019/11/01 13:18
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【項目】
18項目
当第2四半期連結累計期間における当社グループ(当社および子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
また、文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績
(業績管理指標「コア営業利益」について)
当社グループでは、IFRSの適用にあたり、会社の経常的な収益性を示す利益指標として、「コア営業利益」を設定し、これを当社独自の業績管理指標として採用しております。
「コア営業利益」は、営業利益から当社グループが定める非経常的な要因による損益(以下「非経常項目」)を除外したものとなります。非経常項目として除かれる主なものは、減損損失、事業構造改善費用、企業買収に係る条件付対価公正価値の変動額等です。
当第2四半期連結累計期間の当社グループの連結業績は、以下のとおりであります。
(単位:億円)
前第2四半期連結累計期間
(自 2018年4月1日
至 2018年9月30日)
当第2四半期連結累計期間
(自 2019年4月1日
至 2019年9月30日)
増減増減率
(%)
売上収益2,2622,306442.0
コア営業利益3724487620.5
営業利益296668372125.7
税引前四半期利益37664126570.6
親会社の所有者に
帰属する四半期利益
279303258.8

■ 売上収益は2,306億円(前年同四半期比2.0%増)となりました。
日本セグメントは、長期収載品の売上減少の影響が大きく減収となりましたが、北米セグメントにおいて、当社グループの収益の柱である非定型抗精神病薬「ラツーダ」の売上が伸長したことや、中国セグメントが増収となったことから、連結合計では増収となりました。
■ コア営業利益は448億円(前年同四半期比20.5%増)となりました。
増収に伴う売上総利益の増加に加え、販売費及び一般管理費等が減少したことから、コア営業利益は増益となりました。
■ 営業利益は668億円(前年同四半期比125.7%増)となりました。
がん領域において、開発計画を含む事業計画の見直しを実施したことに伴い、同領域の事業に係る無形資産である仕掛研究開発の減損損失を計上しました。また、この事業計画の見直しに伴い、ボストン・バイオメディカル・インクおよびトレロ・ファーマシューティカルズ・インクの買収に係る条件付対価公正価値が大きく減少することとなり、減損損失を上回る費用の戻入が発生しました。この結果、コア営業利益の増益に加え、営業利益は大幅な増益となりました。
■ 税引前四半期利益は641億円(前年同四半期比70.6%増)となりました。
当第2四半期連結会計期間末は、為替換算レートが前連結会計年度末に比べ、米ドルに対し円高に振れたことから当社が保有する外貨建て金融資産において為替差損が発生したため、金融費用が増加しました。この結果、税引前四半期利益は営業利益に比べ減少しました。
■ 親会社の所有者に帰属する四半期利益は303億円(前年同四半期比8.8%増)となりました。
ナパブカシンの膵がん患者を対象としたフェーズ3試験中止の決定等に伴い、米国において認識していた繰延税金資産の取り崩しを行ったこと等により、法人所得税が大幅に増加しましたが、親会社の所有者に帰属する四半期利益においても増益となりました。
なお、親会社の所有者に帰属する四半期利益の売上収益に対する比率は13.2%となりました。
(セグメント業績指標「コアセグメント利益」について)
セグメント別の業績では、各セグメントの経常的な収益性を示す利益指標として、「コアセグメント利益」を設定し、当社独自のセグメント業績指標として採用しております。
「コアセグメント利益」は、「コア営業利益」から、グローバルに管理しているため各セグメントに配分できない研究開発費、事業譲渡損益等を除外したセグメント別の利益となります。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
【日本】
■ 売上収益は642億円(前年同四半期比3.3%減)となりました。
2型糖尿病治療剤「トルリシティ」の売上増加に加え、ノバルティスファーマ株式会社が販売する2型糖尿病治療薬「エクア錠50mg」および「エクメット配合錠 LD/HD」の販売提携を開始したことによる売上増加の要因があったものの、高血圧症治療剤「アイミクス」や、新たに後発品が発売された非定型抗精神病薬「ロナセン」の経口剤等、長期収載品の売上減少が大きく、減収となりました。
■ コアセグメント利益は133億円(前年同四半期比13.2%減)となりました。
減収による売上総利益の減少等により、減益となりました。
【北米】
■ 売上収益は1,293億円(前年同四半期比5.6%増)となりました。
「ラツーダ」の売上増加に加え、抗てんかん剤「アプティオム」等の売上も伸長したことから、増収となりました。
■ コアセグメント利益は621億円(前年同四半期比13.3%増)となりました。
増収による売上総利益の増加に加え、販売費及び一般管理費が減少したことにより、増益となりました。
【中国】
■ 売上収益は140億円(前年同四半期比23.2%増)となりました。
カルバペネム系抗生物質製剤「メロペン」等の売上が増加したことにより、増収となりました。
■ コアセグメント利益は75億円(前年同四半期比47.5%増)となりました。
増収による売上総利益の増加等により、大幅な増益となりました。
【海外その他】
■ 売上収益は43億円(前年同四半期比38.0%減)となりました。
「メロペン」の輸出が減少したこと等から、減収となりました。
■ コアセグメント利益は12億円(前年同四半期比28.3%減)となりました。
減収による売上総利益の減少により、減益となりました。
上記報告セグメントのほか、当社グループは、食品素材・食品添加物および化学製品材料、動物用医薬品等の販売を行っており、これらの売上収益は187億円(前年同四半期比0.8%減)、コアセグメント利益は16億円(前年同四半期比7.1%増)となりました。
(2) 財政状態
資産については、非流動資産は、IFRS第16号「リース」を当期首から適用したことに伴い、有形固定資産が増加しましたが、無形資産が仕掛研究開発の減損等により減少したことに加え、米国において繰延税金資産の取り崩しを行った結果、前連結会計年度末に比べ391億円減少しました。
流動資産は、短期貸付金の減少によりその他の金融資産が減少しましたが、現金及び現金同等物等が増加した結果、前連結会計年度末に比べ94億円増加しました。
これらの結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ297億円減少し、8,050億円となりました。
負債については、条件付対価公正価値の減少に伴い、その他の金融負債が減少したことに加え、引当金等が減少した結果、前連結会計年度末に比べ432億円減少し、2,934億円となりました。
資本については、在外営業活動体の換算差額等のその他の資本の構成要素が減少しましたが、利益剰余金が増加した結果、前連結会計年度末に比べ135億円増加し、5,117億円となりました。
なお、当第2四半期連結会計期間末の親会社所有者帰属持分比率は63.6%となりました。
(3) キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益の増加に加え、営業債務及びその他の債務の増加等によるキャッシュの増加要因等により、前年同四半期に比べ248億円収入が増加し、318億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、無形資産や投資の取得による支出は増加しましたが、短期貸付金の減少等により、前年同四半期に比べ115億円収入が増加し、108億円の収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前第2四半期連結累計期間には、社債の償還や短期借入金の減少等がありましたが、当第2四半期連結累計期間には発生しなかったことから、前年同四半期に比べ119億円支出が減少し、112億円の支出となりました。
上記のキャッシュ・フローに、現金及び現金同等物の為替換算による影響額を加えた結果、当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は1,647億円となり、前連結会計年度末に比べ274億円増加しました。
(4) 事業上および財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上および財務上の対処すべき課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における研究開発費の総額は602億円(前年同四半期比45.6%増)であります。なお、当該金額は当第2四半期連結累計期間に計上した減損損失191億円を含んでいることから、これを除いたコアベースの研究開発費は410億円(前年同四半期比0.7%減)となりました。また、当社グループは、研究開発費をグローバルに管理しているため、セグメントに配分しておりません。
日本において、本年6月、非定型抗精神病薬「ロナセンテープ」(一般名:ブロナンセリン)の統合失調症を適応症とした承認を取得し、本年9月に発売しました。また、本年7月、ルラシドン塩酸塩(一般名、米国製品名「ラツーダ」)の統合失調症および双極性障害うつを対象とした承認申請を行いました。
米国において、本年5月、ドパミン・ノルエピネフリン再取り込み阻害剤dasotraline(一般名)の成人の過食性障害(BED)を対象とした承認申請を行い、本年7月に受理されました。
抗がん剤として開発中のナパブカシンについては、米国、日本等において結腸直腸がんおよび膵がんを対象とした併用での国際共同フェーズ3試験を実施しておりましたが、結腸直腸がんを対象とした試験は、本年6月、独立データモニタリング委員会(DSMB)より中間解析の結果が事前に設定した基準を満たしたとの判断による試験継続の推奨を受け、継続しております。一方、膵がんを対象とした試験は、本年7月、DSMBより、中間解析の結果が無益性基準へ該当したことによる試験中止の勧告を受け、中止しました。
当社グループにおける開発状況は以下のとおりであります。
1.精神神経領域(2019年10月28日現在)
製品/コード名
(一般名)
予定適応症地域開発段階
SM-13496
(ルラシドン塩酸塩)
統合失調症日本申請(2019/7)
双極性障害うつ日本申請(2019/7)
SEP-225289
(dasotraline)
過食性障害(BED)米国申請(2019/5)
注意欠如・多動症(ADHD)米国申請(2017/8)
審査結果通知(CRL)を受領(2018/8)
日本フェーズ1
APL-130277
(アポモルヒネ塩酸塩水和物)
パーキンソン病に伴うオフ症状米国申請(2018/3)
審査結果通知(CRL)を受領(2019/1)
ロナセン
(ブロナンセリン)
(新用法:小児)統合失調症日本フェーズ3
SEP-363856統合失調症米国フェーズ3
日本フェーズ1
パーキンソン病に伴う精神病症状米国フェーズ2
EPI-743
(バチキノン)
リー脳症日本フェーズ2/3
EPI-589パーキンソン病米国フェーズ2
筋萎縮性側索硬化症(ALS)米国フェーズ2
日本フェーズ1
SEP-4199双極Ⅰ型障害うつ米国・日本フェーズ2
(国際共同試験)
DSP-6745パーキンソン病に伴う精神病症状米国フェーズ1
SEP-378608双極性障害米国フェーズ1
DSP-3905神経障害性疼痛米国フェーズ1
SEP-378614治療抵抗性うつ米国フェーズ1
SEP-380135アルツハイマー病に伴う行動障害米国フェーズ1


2.がん領域(2019年10月28日現在)
製品/コード名
(一般名)
予定適応症地域開発段階
リサイオ
(チオテパ)
(新効能)悪性リンパ腫における自家造血幹細胞移植の前治療
※未承認薬・適応外薬の開発品
日本申請(2019/3)
BBI608
(ナパブカシン)
結腸直腸がん(併用)米国・日本フェーズ3
(国際共同試験)
肝細胞がん(併用)米国フェーズ1/2
消化器がん(併用)米国フェーズ1/2
固形がん(併用)米国フェーズ1/2
DSP-2033
(alvocidib)
急性骨髄性白血病(AML)(併用)
(再発・難治性患者対象)
米国フェーズ2
骨髄異形成症候群(MDS)(併用)米国フェーズ1/2
急性骨髄性白血病(AML)(併用)
(初発患者対象)
米国フェーズ1
急性骨髄性白血病(AML)(併用)
(初発および再発・難治性患者対象)
日本フェーズ1
DSP-7888
(アデグラモチド酢酸塩/ネラチモチドトリフルオロ酢酸塩)
膠芽腫(併用)米国・日本フェーズ2
(国際共同試験)
骨髄異形成症候群(MDS)(単剤)日本フェーズ1/2
小児悪性神経膠腫(単剤)日本フェーズ1/2
固形がん(併用)米国フェーズ1
TP-0903
(dubermatinib)
慢性リンパ性白血病(CLL)(単剤・併用)米国フェーズ1/2
固形がん(単剤・併用)米国・日本フェーズ1
DSP-0509固形がん(単剤・併用)米国フェーズ1/2
TP-0184固形がん(単剤)米国フェーズ1
DSP-0337固形がん(単剤)米国フェーズ1
TP-1287固形がん(単剤)米国フェーズ1
TP-3654固形がん(単剤)米国フェーズ1
骨髄線維症(単剤・併用)米国フェーズ1


3.再生・細胞医薬分野(2019年10月28日現在)
製品/コード名
(一般名)
予定適応症地域開発段階
SB623慢性期脳梗塞米国フェーズ2
他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞パーキンソン病日本フェーズ1/2
(医師主導治験)
HLCR011
(他家iPS細胞由来網膜色素上皮)
加齢黄斑変性日本治験開始に向けて準備中

4.その他の領域(2019年10月28日現在)
製品/コード名
(一般名)
予定適応症地域開発段階
PXL008
(imeglimin)
2型糖尿病日本フェーズ3


(6) 生産、受注及び販売の実績
当第2四半期連結累計期間において、日本セグメントにおける生産実績が著しく減少しました。これは、主に長期収載品の生産数量が減少したことによるものであります。
また、当第2四半期連結累計期間において、北米セグメントにおける生産実績が著しく増加しました。これは、「ラツーダ」等の売上の伸長により生産量が増加したことによるものであります。