四半期報告書-第157期第2四半期(令和3年7月1日-令和3年9月30日)

【提出】
2021/11/11 9:37
【資料】
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【項目】
36項目
(1)経営成績等
①経営成績
当第2四半期連結累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年9月30日)の経営成績は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
当第2四半期
連結累計期間
前第2四半期
連結累計期間 ※2
増減増減率(%)
売上収益145,085148,452△3,367△2.3
営業利益42,66458,266△15,602△26.8
コア営業利益 ※143,85255,804△11,952△21.4
税引前四半期利益50,83270,147△19,315△27.5
親会社の所有者に帰属する
四半期利益
53,13152,3397911.5

※1 会社の経常的な収益性を示す利益指標として「コア営業利益」を設定し、これを当社独自の業績管理指標として採用しております。「コア営業利益」は、営業利益から非経常的な項目(減損損失、有形固定資産売却益等)を調整した利益となります。
※2 前連結会計年度において、Tetraの企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前第2四半期連結累計期間の数値を遡及修正しております。
売上収益につきましては、前年同期比2.3%の減収となりました。国内医療用医薬品の売上収益につきましては、インチュニブの売上収益が拡大しましたが、サインバルタの後発品参入の影響による売上収益の減少により前年同期比で僅かに減収となりました。海外子会社及び輸出の売上収益につきましては、多剤耐性グラム陰性菌に効果を示すセフィデロコル(米国の製品名:Fetroja、欧州の製品名:Fetcroja)が欧米で好調に推移したことに加え、米国において、FORTAMETの販売権等の移管に関する一時金を受領した結果、前年同期比58.2%の増収となりました。製造受託による売上収益につきましては、医薬品製造を請け負うナガセ医薬品を2020年度第3四半期連結会計期間に連結子会社化したことにより前年同期比25.1%の増収となりました。ロイヤリティー収入につきましては、ヴィーブによる抗HIV薬テビケイ、トリーメク、ジャルカ及びドウベイトのグローバル販売は引き続き堅調であるものの、為替の影響により、同社からのロイヤリティー収入は前年同期比4.2%の減収となりました。また、HIVインテグラーゼ阻害薬S-365598の導出に伴う一時金をヴィーブより受領したものの、アストラゼネカからのクレストールのロイヤリティー収入は、契約に基づき2020年度第4四半期連結会計期間より受領額が減少したことから、ロイヤリティー収入全体では前年同期比15.5%の減収となりました。
利益面では、海外子会社及び輸出、製造受託の増収に伴い売上原価が増加した結果、売上総利益は前年同期比で6.0%減少しました。営業利益につきましては、セフィデロコルの販売活動費用の増加、新型コロナウイルス感染症に対する治療薬、ワクチン等の最優先課題や注力プロジェクトへの研究開発投資により販売費及び一般管理費、研究開発費が増加した結果、前年同期比26.8%の減少となりました。コア営業利益は、有形固定資産の除却損や法人税等の還付加算金等を調整した結果、営業利益とほぼ同様の実績となり前年同期比で21.4%の減少となりました。税引前四半期利益につきましては、営業利益の減少に伴い、前年同期比27.5%の減少となりました。また、親会社の所有者に帰属する四半期利益につきましては、大阪国税局からの更正処分に対する取消請求訴訟の勝訴に関する還付金を受領した結果、前年同期比1.5%の増加となりました。
②財政状態
当第2四半期連結会計期間末の資産合計は1兆204億50百万円で、前連結会計年度末に比べて214億58百万円増加しました。
非流動資産は、仕掛研究開発資産(無形資産に含みます)が増加した一方で、時価の下落等によるその他の金融資産の減少により4,385億28百万円となり、前連結会計年度末に比べて42億26百万円の減少となりました。流動資産は現金及び現金同等物、3ヶ月超の定期預金及び債券(流動資産のその他の金融資産に含みます)の増減等の結果、5,819億22百万円となり、前連結会計年度末に比べて256億84百万円増加しました。
資本については8,988億96百万円となり、四半期利益の計上、配当金の支払の結果、前連結会計年度末に比べて343億45百万円増加しました。
負債については1,215億54百万円で、前連結会計年度末に比べて128億87百万円減少しました。
非流動負債は、25億68百万円の減少となりました。流動負債は、主に法人税等の納付による未払法人所得税の減少等の結果、103億18百万円の減少となりました。
③キャッシュ・フロー
当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益が減少した一方、大阪国税局からの更正処分に対する取消請求訴訟の勝訴に関する還付金を受領したため、前年同期に比べ80億30百万円多い550億8百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の増減、余資運用に係る有価証券の取得等により、前年同期に比べ479億19百万円多い761億83百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額は増加した一方、前第2四半期連結累計期間は第三者割当による自己株式の処分があったため、前年同期に比べ323億86百万円収入が減少し、183億24百万円の支出となりました。
これらを合わせた当第2四半期連結累計期間の現金及び現金同等物の増減額は401億14百万円の減少となり、当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物の四半期末残高は、2,360億59百万円となりました。
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき課題について重要な変更はありません。
(3)研究開発活動
研究開発活動の状況につきましては、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン、治療薬等の研究開発を最優先で取り組み、製品化に向けて進展しました。ワクチンにつきましては、2020年12月から国内における第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験に取り組む中で、高い安全性と一定の細胞性免疫誘導を確認した一方で、十分な中和抗体価の誘導は確認出来ませんでした。そこで、旧来のアジュバントと比較してより高い中和抗体価の誘導が期待できるアジュバントへの変更を行い、2021年8月に新製剤での第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を開始しました。全被験者60例への2回目の投与を完了し、重篤な有害事象や中止に至る有害事象は発現しておりません。治療薬につきましては、自社創薬による3CLプロテアーゼというウイルスの増殖に必須の酵素を選択的に阻害する低分子経口抗ウイルス薬を創製し、2021年7月より国内第Ⅰ相臨床試験を開始しました。本臨床試験では、忍容性を確認するとともに安全性に大きな問題は認められておらず、薬物動態についても、目標とする血中薬物濃度を上回る良好な結果が確認されました。この結果を基に、2021年9月より国内第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験を開始しました。抗HIV薬につきましては、新たに超長時間作用型薬剤となる第3世代インテグラーゼ阻害薬S-365598を創製し、ヴィーブに導出するライセンス契約を締結しました。また、その他の注力プロジェクトでは、新規作用機序を有する抗うつ薬候補S-812217の第Ⅱ相臨床試験の結果、主要評価項目を達成するなど、開発が着実に進展しました。
こうした活動の結果、当第2四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費は、281億75百万円となり、売上収益に対する比率は19.4%となりました。