四半期報告書-第157期第3四半期(令和3年10月1日-令和3年12月31日)

【提出】
2022/02/10 14:11
【資料】
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【項目】
39項目
(1)経営成績等
①経営成績
当第3四半期連結累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年12月31日)の経営成績は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
当第3四半期
連結累計期間
前第3四半期
連結累計期間 ※2
増減増減率(%)
売上収益219,626224,419△4,793△2.1
営業利益60,422105,160△44,738△42.5
コア営業利益 ※161,91779,974△18,057△22.6
税引前四半期利益74,784119,789△45,004△37.6
親会社の所有者に帰属する
四半期利益
71,00089,032△18,031△20.3

※1 会社の経常的な収益性を示す利益指標として「コア営業利益」を設定し、これを当社独自の業績管理指標として採用しております。「コア営業利益」は、営業利益から非経常的な項目(減損損失、有形固定資産売却益等)を調整した利益となります。
※2 前連結会計年度において、Tetraの企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前第3四半期連結累計期間の数値を遡及修正しております。
売上収益につきましては、前年同期比2.1%の減収となりました。国内医療用医薬品の売上収益につきましては、インチュニブの売上収益が拡大しましたが、サインバルタの後発品参入の影響による売上収益の減少により前年同期比3.2%の減収となりました。海外子会社及び輸出の売上収益につきましては、多剤耐性グラム陰性菌に効果を示すセフィデロコル(米国の製品名:Fetroja、欧州の製品名:Fetcroja)が欧米で好調に推移したことに加え、米国において、FORTAMETの販売権等の移管に関する一時金を受領した結果、前年同期比49.7%の増収となりました。製造受託による売上収益につきましては、医薬品製造を請け負うナガセ医薬品を2020年度第3四半期連結会計期間に連結子会社化したことに加え、ヴィーブからのドルテグラビル原薬の受注増により、前年同期比15.3%の増収となりました。ロイヤリティー収入につきましては、ヴィーブによる抗HIV薬テビケイ、トリーメク、ジャルカ及びドウベイトのグローバル販売は引き続き堅調に推移し、同社からのロイヤリティー収入は前年同期比1.2%の増収となりました。また、HIVインテグラーゼ阻害薬S-365598の導出に伴う一時金をヴィーブより受領したものの、アストラゼネカからのクレストールのロイヤリティー収入につきまして、契約に基づき2020年度第4四半期連結会計期間より受領額が減少したことから、ロイヤリティー収入全体では前年同期比10.8%の減収となりました。
利益面では、海外子会社及び輸出、製造受託は増収となった一方、売上原価の増加が上回った結果、売上総利益は前年同期比で4.6%減少しました。営業利益につきましては、セフィデロコルの販売活動費用の増加、新型コロナウイルス感染症に対する治療薬、ワクチン等の最優先課題や注力プロジェクトへの研究開発投資の増加により、販売費及び一般管理費、研究開発費が増加し、さらに2020年度第3四半期連結会計期間に発生したシオノギ渋谷ビル再開発に伴う交換益の影響により、その他の収益が減少した結果、前年同期比42.5%の減少となりました。コア営業利益は、前述のシオノギ渋谷ビルの交換益、有形固定資産の除却損や法人税等の還付加算金等を調整した結果、前年同期比で22.6%の減少となりました。税引前四半期利益につきましては、営業利益の減少に伴い、前年同期比37.6%の減少となりました。また、親会社の所有者に帰属する四半期利益につきましては、大阪国税局からの更正処分に対する取消請求訴訟の勝訴に関する還付金を受領したものの、税引前四半期利益の減少に伴い、前年同期比20.3%の減少となりました。
②財政状態
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は1兆388億98百万円で、前連結会計年度末に比べて399億5百万円増加しました。
非流動資産は、主に有形固定資産の増加により4,522億21百万円となり、前連結会計年度末に比べて94億66百万円の増加となりました。流動資産は現金及び現金同等物、3ヶ月超の定期預金及び債券(流動資産のその他の金融資産に含みます)の増減等の結果、5,866億77百万円となり、前連結会計年度末に比べて304億39百万円増加しました。
資本については9,123億9百万円となり、四半期利益の計上、配当金の支払の結果、前連結会計年度末に比べて477億59百万円増加しました。
負債については1,265億88百万円で、前連結会計年度末に比べて78億53百万円減少しました。
非流動負債は320億94百万円で、前連結会計年度末に比べて21億66百万円の減少となりました。流動負債は主に法人税等の納付による未払法人所得税の減少等の結果、944億93百万円となり、前連結会計年度末に比べて56億86百万円の減少となりました。
③キャッシュ・フロー
当第3四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益が減少した一方、大阪国税局からの更正処分に対する取消請求訴訟の勝訴に関する還付金を受領したため、前年同期に比べ180億69百万円多い767億9百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の増減、余資運用に係る有価証券の取得等により、前年同期に比べ699億91百万円多い1,179億64百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前第3四半期連結累計期間に自己株式の取得、第三者割当による自己株式の処分及び平安グループとの子会社設立に伴う株式発行収入があったため、前年同期に比べ223億90百万円多い357億33百万円の支出となりました。
これらを合わせた当第3四半期連結累計期間の現金及び現金同等物の増減額は748億90百万円の減少となり、当第3四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物の四半期末残高は、2,012億82百万円となりました。
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき課題について重要な変更はありません。
(3)研究開発活動
研究開発活動の状況につきましては、新型コロナウイルス感染症に対する治療薬、ワクチン等の研究開発を最優先で取り組み、製品化に向け進展しました。3CLプロテアーゼを選択的に阻害する低分子経口抗ウイルス薬S-217622につきましては、2021年9月末より国内第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験を開始しました。この試験は、第Ⅱa相臨床試験と第Ⅱb/Ⅲ相臨床試験Partから構成されており、2022年1月時点で第Ⅱb/Ⅲ相臨床試験を実施中です。第Ⅱa相臨床試験の解析を実施した結果、速やかな抗ウイルス効果を確認しています。遺伝子組み換えタンパクワクチンS-268019につきましては、2021年10月より、安全性、忍容性ならびに免疫原性の評価を目的とした第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験を開始しました。本試験の被験者登録および接種はすでに完了しています。また、コミナティ筋注を2回接種後6ヶ月以上経過した成人を対象に、S-268019のコミナティ筋注に対する非劣性検証および安全性評価を目的とした追加免疫比較試験を2021年12月より開始しました。こちらもすでに全被験者の登録および接種を完了しています。この他、S-268019の2回接種後のCOVID-19発症予防効果の検証を目的としたプラセボ対照発症予防比較試験を2021年12月よりベトナムで先行開始しました。また、バキスゼブリア筋注との比較検証を目的とした中和抗体価比較試験も2022年1月より開始しています。
注力プロジェクトでは、新規作用機序を有する抗うつ薬候補S-812217の第Ⅲ相臨床試験を開始しました。その他、再生誘導医薬候補S-005151の急性期脳梗塞患者を対象とした第Ⅱ相臨床試験において主要評価項目を達成するなど、開発が着実に進展しました。
こうした活動の結果、当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費は、482億19百万円となり、売上収益に対する比率は22.0%となりました。