有価証券報告書-第153期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
経営者の視点による当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、当社グループの事業は、医療用医薬品の研究開発、仕入、製造、販売並びにこれらの付随業務を事業内容とする単一セグメントであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。重要な会計方針及び見積りの詳細等につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 4.会計方針に関する事項」をご参照ください。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績等
a.財政状態
当連結会計年度末の総資産は7,225億円で、前連結会計年度末に比べて522億28百万円増加しました。
流動資産は、「現金及び預金」並びに余資運用の「有価証券」が増加し、前連結会計年度末に比べて478億81百万円増加しました。固定資産は、「販売権」が減価償却により減少しましたが、「投資有価証券」が主に株価の上昇により増加し、前連結会計年度末に比べて43億47百万円増加となりました。
負債合計は1,176億59百万円で、前連結会計年度末に比べて264億円減少しました。
流動負債は、主として「未払法人税等」及び「未払金(流動負債のその他に含みます)」の減少により、180億28百万円の減少、固定負債は、83億71百万円の減少となりました。
純資産は6,048億40百万円で、前連結会計年度末と比べて786億29百万円増加しました。
株主資本は、主として親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加と配当による減少及び自己株式の取得・消却による増減と合わせて、前連結会計年度末に比べて568億11百万円増加しました。その他の包括利益累計額は、主として株価の上昇により、前連結会計年度末に比べ217億15百万円増加しました。また、新株予約権は1億10百万円増加し5億27百万円、非支配株主持分は8百万円減少し34億66百万円となりました。
b.経営成績
売上高は、3,447億円(前連結会計年度比1.7%増)となりました。主な売上として国内医療用医薬品は1,392億円(前連結会計年度比11.9%減)となりましたが、ロイヤリティー収入1,550億円(前連結会計年度比34.0%増)が増収に貢献しました。
営業利益は、1,152億円(前連結会計年度比6.5%増)となり、3期連続で過去最高を更新しました。新製品の販売活動費が増加しましたが、前述の増収要因もあり、増益となりました。
経常利益は営業利益の増加に加え英国ヴィーブヘルスケア社(以下、ヴィーブ社)からの受取配当金の増加もあり1,387億円(前連結会計年度比12.7%増)となり、6期連続で過去最高を更新しました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、営業利益、経常利益の増益により1,089億円(前連結会計年度比29.8%増)となり、1,000億円を超え2期連続で過去最高益を更新しました。
・国内医療用医薬品
国内医療用医薬品の売上高は、クレストールとイルベタンの後発品発売の影響を受け、1,392億円(前連結会計年度比11.9%減)となりましたが、当連結会計年度よりサインバルタ、インチュニブ、スインプロイク、ゾフルーザ錠を新たな戦略品として定義し、戦略品と新製品に経営資源を集中させたことにより、戦略品売上は284億円(前連結会計年度比49.5%増)、新製品売上は486億円(前連結会計年度比24.2%増)となりました。
また、抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ錠についても、2017年度に販売を開始することができました。
・輸出/海外子会社
海外事業の売上高は、236億円(前連結会計年度比19.1%減)となりました。
海外事業におきましては、当社グループが初めて日・米・欧同時開発を行ったSymproicを米国にて上市いたしました。米国におけるパデュー社との連携を最大限活用し、より少ない自社の経営資源で、効率的に販売体制を構築してまいりました。
・ロイヤリティー収入及びヴィーブ社からの配当金収入
ヴィーブ社に導出した抗HIV薬テビケイ及び配合剤トリーメクのグローバルでの売上が順調に伸長しており、同社からのロイヤリティー収入は1,035億円(前連結会計年度比41.2%増)となりました。また当連結会計年度も、前連結会計年度と同様にヴィーブ社の好調なグローバルでのHIVビジネスに基づいて、当社が受領する配当金収入が伸長しました。
さらに、当連結会計年度は抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ錠の開発進捗に伴いスイス ロシュ社からの支払いも受領しました。
英国アストラゼネカ社からのクレストールのロイヤリティー収入は、226億円(前連結会計年度比31.6%減)となりましたが、前述の要因によりロイヤリティー及び配当金収入全体として1,801億円(前連結会計年度比36.2%増)となりました。
c.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、税金等調整前当期純利益の増加、利息及び配当金の受取額の増加及び法人税等の支払額の増加などにより、前連結会計年度に比べ178億87百万円多い1,297億90百万円の収入となりました。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、3ヵ月を超える期日の定期預金の預入による支出が前連結会計年度に比べ増加したことにより、前連結会計年度に比べ195億95百万円少ない512億38百万円の支出となりました。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、当連結会計年度は自己株式の取得による支出及び配当金の支払いにより538億93百万円の支出となりました。この結果、当連結会計年度末の「現金及び現金同等物の期末残高」は、前連結会計年度末に比べ230億76百万円多い1,724億円となりました。
[キャッシュ・フロー指標のトレンド]
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
1.指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3.キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
4.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を払っている全ての負債を対象としております。
5.2015年3月期より研究開発費に関する会計方針の変更を行っております。
また2014年3月期について、当該変更による遡及修正後の数値を記載しております。
② 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。
(注)1.金額は、正味販売見込価格により算出したものであります。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績は次のとおりであります。
(注)1.金額は、実際仕入額によっております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 受注状況
当社グループは、主として販売計画に基づいて生産計画をたてて生産しております。
当社及び一部の連結子会社で受注生産を行っておりますが、受注高及び受注残高の金額に重要性はありません。
d. 販売実績
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
(注)1.販売金額は、外部顧客に対する売上高を表示しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
3.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は上記「① 経営成績等」に記載のとおりであります。
財務政策につきましては、当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、必要に応じて内部資金の活用及び金融機関からの借入金や社債の発行により資金調達を行っております。
主な資金需要につきましては、運転資金として、医薬品に係る製造原価、研究開発費を含む販売費及び一般管理費等があります。また、設備資金として、医薬品に係る研究開発及び生産のための設備投資等があります。
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2016年10月に更新した中期経営計画(SGS2020)の中で、「成長性」「効率性」「株主還元」の3つのフレームワークで目標を設定しており、自己資本利益率(ROE)、投下資本利益率(ROIC)、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)を重要な指標として位置付けております。
当連結会計年度における、ROEは19.4%(前連結会計年度比3.1%改善)、ROICは14.9%(前連結会計年度比1.6%改善)、CCCは6.2ヶ月(前連結会計年度比0.5ヶ月改善)となりました。
引き続きこれらの指標について、改善されるよう取り組んでまいります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。重要な会計方針及び見積りの詳細等につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 4.会計方針に関する事項」をご参照ください。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績等
a.財政状態
当連結会計年度末の総資産は7,225億円で、前連結会計年度末に比べて522億28百万円増加しました。
流動資産は、「現金及び預金」並びに余資運用の「有価証券」が増加し、前連結会計年度末に比べて478億81百万円増加しました。固定資産は、「販売権」が減価償却により減少しましたが、「投資有価証券」が主に株価の上昇により増加し、前連結会計年度末に比べて43億47百万円増加となりました。
負債合計は1,176億59百万円で、前連結会計年度末に比べて264億円減少しました。
流動負債は、主として「未払法人税等」及び「未払金(流動負債のその他に含みます)」の減少により、180億28百万円の減少、固定負債は、83億71百万円の減少となりました。
純資産は6,048億40百万円で、前連結会計年度末と比べて786億29百万円増加しました。
株主資本は、主として親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加と配当による減少及び自己株式の取得・消却による増減と合わせて、前連結会計年度末に比べて568億11百万円増加しました。その他の包括利益累計額は、主として株価の上昇により、前連結会計年度末に比べ217億15百万円増加しました。また、新株予約権は1億10百万円増加し5億27百万円、非支配株主持分は8百万円減少し34億66百万円となりました。
b.経営成績
売上高は、3,447億円(前連結会計年度比1.7%増)となりました。主な売上として国内医療用医薬品は1,392億円(前連結会計年度比11.9%減)となりましたが、ロイヤリティー収入1,550億円(前連結会計年度比34.0%増)が増収に貢献しました。
営業利益は、1,152億円(前連結会計年度比6.5%増)となり、3期連続で過去最高を更新しました。新製品の販売活動費が増加しましたが、前述の増収要因もあり、増益となりました。
経常利益は営業利益の増加に加え英国ヴィーブヘルスケア社(以下、ヴィーブ社)からの受取配当金の増加もあり1,387億円(前連結会計年度比12.7%増)となり、6期連続で過去最高を更新しました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、営業利益、経常利益の増益により1,089億円(前連結会計年度比29.8%増)となり、1,000億円を超え2期連続で過去最高益を更新しました。
・国内医療用医薬品
国内医療用医薬品の売上高は、クレストールとイルベタンの後発品発売の影響を受け、1,392億円(前連結会計年度比11.9%減)となりましたが、当連結会計年度よりサインバルタ、インチュニブ、スインプロイク、ゾフルーザ錠を新たな戦略品として定義し、戦略品と新製品に経営資源を集中させたことにより、戦略品売上は284億円(前連結会計年度比49.5%増)、新製品売上は486億円(前連結会計年度比24.2%増)となりました。
また、抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ錠についても、2017年度に販売を開始することができました。
・輸出/海外子会社
海外事業の売上高は、236億円(前連結会計年度比19.1%減)となりました。
海外事業におきましては、当社グループが初めて日・米・欧同時開発を行ったSymproicを米国にて上市いたしました。米国におけるパデュー社との連携を最大限活用し、より少ない自社の経営資源で、効率的に販売体制を構築してまいりました。
・ロイヤリティー収入及びヴィーブ社からの配当金収入
ヴィーブ社に導出した抗HIV薬テビケイ及び配合剤トリーメクのグローバルでの売上が順調に伸長しており、同社からのロイヤリティー収入は1,035億円(前連結会計年度比41.2%増)となりました。また当連結会計年度も、前連結会計年度と同様にヴィーブ社の好調なグローバルでのHIVビジネスに基づいて、当社が受領する配当金収入が伸長しました。
さらに、当連結会計年度は抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ錠の開発進捗に伴いスイス ロシュ社からの支払いも受領しました。
英国アストラゼネカ社からのクレストールのロイヤリティー収入は、226億円(前連結会計年度比31.6%減)となりましたが、前述の要因によりロイヤリティー及び配当金収入全体として1,801億円(前連結会計年度比36.2%増)となりました。
c.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、税金等調整前当期純利益の増加、利息及び配当金の受取額の増加及び法人税等の支払額の増加などにより、前連結会計年度に比べ178億87百万円多い1,297億90百万円の収入となりました。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、3ヵ月を超える期日の定期預金の預入による支出が前連結会計年度に比べ増加したことにより、前連結会計年度に比べ195億95百万円少ない512億38百万円の支出となりました。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、当連結会計年度は自己株式の取得による支出及び配当金の支払いにより538億93百万円の支出となりました。この結果、当連結会計年度末の「現金及び現金同等物の期末残高」は、前連結会計年度末に比べ230億76百万円多い1,724億円となりました。
[キャッシュ・フロー指標のトレンド]
2014年3月期 | 2015年3月期 | 2016年3月期 | 2017年3月期 | 2018年3月期 | |
自己資本比率 | 79.9% | 78.7% | 79.6% | 77.9% | 83.2% |
時価ベースの 自己資本比率 | 110.3% | 216.3% | 269.6% | 273.4% | 238.9% |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 | 0.4 | 0.2 | 0.1 | 0.1 | 0.1 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ | 87.3 | 145.1 | 533.6 | 538.5 | 238.0 |
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
1.指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3.キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
4.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を払っている全ての負債を対象としております。
5.2015年3月期より研究開発費に関する会計方針の変更を行っております。
また2014年3月期について、当該変更による遡及修正後の数値を記載しております。
② 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) | |
医薬品事業 | 104,145 | △1.8 |
(注)1.金額は、正味販売見込価格により算出したものであります。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) | |
医薬品事業 | 21,222 | △23.1 |
(注)1.金額は、実際仕入額によっております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 受注状況
当社グループは、主として販売計画に基づいて生産計画をたてて生産しております。
当社及び一部の連結子会社で受注生産を行っておりますが、受注高及び受注残高の金額に重要性はありません。
d. 販売実績
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) | |
医薬品事業 | 344,667 | 1.7 |
(注)1.販売金額は、外部顧客に対する売上高を表示しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
ヴィーブ社 | 73,294 | 21.6 | 103,876 | 30.1 |
㈱スズケン | 53,382 | 15.8 | 47,120 | 13.7 |
3.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は上記「① 経営成績等」に記載のとおりであります。
財務政策につきましては、当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、必要に応じて内部資金の活用及び金融機関からの借入金や社債の発行により資金調達を行っております。
主な資金需要につきましては、運転資金として、医薬品に係る製造原価、研究開発費を含む販売費及び一般管理費等があります。また、設備資金として、医薬品に係る研究開発及び生産のための設備投資等があります。
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2016年10月に更新した中期経営計画(SGS2020)の中で、「成長性」「効率性」「株主還元」の3つのフレームワークで目標を設定しており、自己資本利益率(ROE)、投下資本利益率(ROIC)、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)を重要な指標として位置付けております。
当連結会計年度における、ROEは19.4%(前連結会計年度比3.1%改善)、ROICは14.9%(前連結会計年度比1.6%改善)、CCCは6.2ヶ月(前連結会計年度比0.5ヶ月改善)となりました。
引き続きこれらの指標について、改善されるよう取り組んでまいります。