四半期報告書-第72期第2四半期(令和1年7月1日-令和1年9月30日)

【提出】
2019/11/07 9:04
【資料】
PDFをみる
【項目】
18項目
当第2四半期連結累計期間における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は以下のとおりとなりました。
(1)財政状態及び経営成績の状況
(財政状態)
資産合計は、前連結会計年度末に比べ129億円減少の6,421億円となりました。
流動資産は、現金及び現金同等物の減少などがあったものの、その他の金融資産の増加などから153億円増加の2,099億円となりました。
非流動資産は、IFRS第16号適用に伴い使用権資産を計上したことによる有形固定資産の増加などがあったものの、その他の金融資産の減少などから282億円減少の4,322億円となりました。
負債は、IFRS第16号適用に伴うリース負債の増加や引当金の増加などがあった一方で、仕入債務及びその他の債務や未払法人所得税の減少などから51億円減少の872億円となりました。
親会社の所有者に帰属する持分は、利益剰余金の増加などがあったものの、自己株式の取得などから79億円減少の5,495億円となりました。
(経営成績)
(単位:百万円)
2019年3月期
第2四半期連結累計期間
2020年3月期
第2四半期連結累計期間
対前年同期
増減額
対前年同期
増減率
売上収益144,395149,0084,6133.2%
営業利益35,15141,8786,72719.1%
税引前四半期利益36,91743,0426,12516.6%
四半期利益
(親会社の所有者帰属)
28,84532,8163,97113.8%

[売上収益]
売上収益は、前第2四半期連結累計期間比46億円(3.2%)増加の1,490億円となりました。
・抗悪性腫瘍剤「オプジーボ点滴静注」は、昨年11月の薬価見直しや競合他社製品との競争激化の影響を受けましたが、腎細胞がん等での使用が拡大したことや消費税増税に伴う薬価改定による仮需要があったことなどにより、前第2四半期連結累計期間比14億円(3.1%)増加の468億円となりました。
・その他の主要新製品では、2型糖尿病治療剤「グラクティブ錠」は133億円(前第2四半期連結累計期間比3.3%減)、関節リウマチ治療剤「オレンシア皮下注」は100億円(同16.0%増)、糖尿病治療剤「フォシーガ錠」は87億円(同24.4%増)、抗悪性腫瘍剤投与に伴う悪心・嘔吐治療剤「イメンドカプセル」、「プロイメンド点滴静注用」は合わせて59億円(同10.4%増)、アルツハイマー型認知症治療剤「リバスタッチパッチ」は44億円(同3.7%減)、血液透析下の二次性副甲状腺機能亢進症治療剤「パーサビブ静注透析用」は35億円(同28.4%増)、多発性骨髄腫治療剤「カイプロリス点滴静注用」は29億円(同13.5%増)となりました。
・長期収載品は、後発品使用促進策の影響を受け、末梢循環障害改善剤「オパルモン錠」は45億円(前第2四半期連結累計期間比19.2%減)、骨粗鬆症治療剤「リカルボン錠」は26億円(同41.1%減)となりました。
・ロイヤルティ・その他は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社およびメルク社からのロイヤルティ収入などが増加したことにより、前第2四半期連結累計期間比29億円(7.3%)増加の422億円となりました。
[営業利益]
営業利益は、前第2四半期連結累計期間比67億円(19.1%)増加の419億円となりました。
・売上原価は、前第2四半期連結累計期間とほぼ同額の417億円となりました。
・研究開発費は、創薬提携に係るライセンス料などが減少したことにより、前第2四半期連結累計期間比21億円(6.4%)減少の309億円となりました。
・販売費及び一般管理費(研究開発費を除く)は、営業経費が減少したことなどにより、前第2四半期連結累計期間比5億円(1.4%)減少の337億円となりました。
[四半期利益](親会社所有者帰属)
親会社の所有者に帰属する四半期利益は、税引前四半期利益の増加に伴い、前第2四半期連結累計期間比40億円(13.8%)増加の328億円となりました。
なお、当社グループの事業は医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
(2)キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
2019年3月期
第2四半期連結累計期間
2020年3月期
第2四半期連結累計期間
対前年同期
増減額
現金及び現金同等物の期首残高65,27359,981
営業活動によるキャッシュ・フロー35,59134,875△716
投資活動によるキャッシュ・フロー△11,9522,68114,633
財務活動によるキャッシュ・フロー△10,514△42,218△31,704
現金及び現金同等物の増減額
(△は減少)
13,125△4,662
現金及び現金同等物に係る
為替変動による影響額
129△247
現金及び現金同等物の四半期末残高78,52755,072

当第2四半期連結累計期間の現金及び現金同等物の増減額は、47億円の減少となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人所得税等の支払額156億円などがあった一方で、税引前四半期利益430億円や減価償却費及び償却費68億円などがあった結果、349億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預入による支出102億円、無形資産の取得による支出90億円、有形固定資産の取得による支出49億円などがあったものの、定期預金の払戻による収入252億円などがあった結果、27億円の収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出296億円や配当金の支払額116億円などがあった結果、422億円の支出となりました。
(3)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。
(4)事業上および財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上および財務上の対処すべき課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(5)研究開発活動
当社グループは、「病気と苦痛に対する人間の闘いのために」という企業理念のもと、これまで克服されていない病気や、いまだ患者さんの治療満足度が低く、医療ニーズの高い疾患領域に挑戦し、独創的かつ画期的な医薬品の創製に向けて努力を積み重ねています。
現在、開発パイプラインには、オプジーボに加えて、抗体医薬品を含む抗がん剤の新薬候補化合物をはじめ、変形性関節症の治療薬候補などがあり、早期の上市に向けて開発を進めています。なかでも、がん治療の領域はアンメット・メディカル・ニーズが高いことから、重要な戦略分野と位置づけています。
創薬研究においては、特長のある生理活性や独自の標的分子に着目して画期的な新薬候補化合物の創製を目指す創薬手法「化合物オリエント」をベースに、新たに重点領域毎に設置した「オンコロジー研究センター」、「イムノロジー研究センター」、「ニューロロジー研究センター」、「スペシャリティ研究センター」で、それぞれの疾患ノウハウを蓄積し、医療ニーズを適切に捉えることで、医療インパクトのある画期的新薬の創製につなげることに取り組んでいます。さらに、オープン・イノベーションをグローバルで積極的に展開し、世界最先端の技術や情報を取り入れ、世界トップクラスの研究者とのネットワークを構築するとともに、従来の低分子創薬に加え、抗体や細胞、ウイルスなどの生物製剤も利用することで、医療現場に革新をもたらす新薬の創製を目指します。また、ライセンス活動による有望な新薬候補化合物の導入にも努め、研究開発活動の一層の強化に取り組んでいます。
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は31,001百万円であります。
当第2四半期連結累計期間における研究開発活動の主な成果(本年10月25日までのものを含む)は、以下のとおりです。
[開発品の主な進捗状況]
<がん領域>「オプジーボ/ニボルマブ」(他剤との併用療法を含む)
悪性黒色腫
・本年5月、台湾で「根治切除後のリンパ節転移を伴うまたは転移性悪性黒色腫患者の術後補助療法」を効能・効果とした承認を取得しました。
・本年7月、IDO1阻害薬「ONO-7701」との併用療法について、悪性黒色腫を対象としたフェーズⅢ試験を実施しておりましたが、類薬のIDO1阻害剤と抗PD-1抗体の併用試験の結果を踏まえ、ONO-7701とオプジーボの併用療法の開発計画を見直したことにより中止しました。
ホジキンリンパ腫
・本年5月、台湾で「自家造血幹細胞移植(自家HSCT)およびブレンツキシマブベドチンによる治療後、または自家HSCTを含む3レジメン以上の全身療法後に再発または進行した古典的ホジキンリンパ腫」を効能・効果とした承認を取得しました。
結腸・直腸がん
・本年5月、台湾でオプジーボ単剤または「ヤーボイ」との併用療法について、「フルオロピリミジン、オキサリプラチンおよびイリノテカンによる治療後に病勢進行した高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはDNAミスマッチ修復機構欠損(dMMR)の転移性結腸・直腸がん」を効能・効果とした承認を取得しました。
・本年7月、国内で「ヤーボイ」との併用療法について、「高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはDNAミスマッチ修復機構欠損(dMMR)を有する転移性結腸・直腸がん」を対象としたフェーズⅢ試験を開始しました。
食道がん
・本年5月、国内で「切除不能な進行または再発食道がん」を効能・効果とした承認申請を行いました。
肝細胞がん
・本年9月、日本、韓国および台湾で「ヤーボイ」との併用療法について、「肝細胞がん」を対象としたフェーズⅢ試験を開始しました。
固形がん
・本年6月、国内でエーザイ株式会社とともに、「ハラヴェン」のリポソーム製剤との併用療法において、固形がんを対象としたフェーズⅠ/Ⅱ試験を開始しました。
・本年7月、抗CD137抗体「ONO-4481」との併用療法において、固形がんを対象としたフェーズⅠ試験を実施しておりましたが、戦略上の理由により開発を中止しました。
「ONO-4059/チラブルチニブ」
・本年8月、ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬「ONO-4059/チラブルチニブ」について、国内で「再発又は難治性の中枢神経系原発リンパ腫」を効能・効果とした承認申請を行いました。
<がん領域以外>「オノアクト/ランジオロール塩酸塩」
・本年8月、β1遮断剤(短時間作用型)「オノアクト」について、国内で「敗血症に伴う頻脈性不整脈(心房細動、心房粗動、洞性頻脈)」を効能・効果とした承認申請を行いました。
「コララン/ONO-1162/イバブラジン」
・本年9月、HCNチャネル阻害薬「コララン/ONO-1162/イバブラジン」について、国内で「洞調律かつ投与開始時の安静時心拍数が75回/分以上の慢性心不全」を効能・効果とした承認を取得しました。
「ONO-4685」
・本年6月、PD-1×CD3二重特異性抗体「ONO-4685」は、国内で自己免疫疾患を対象としたフェーズⅠ試験を開始しました。
[ライセンス活動の状況]
・本年6月、米国のラファエル社と、同社が開発中のがん代謝阻害剤であるCPI-613(devimistat)について、日本、韓国、台湾およびASEAN諸国で独占的に開発および商業化するライセンス契約を締結しました。
・本年7月、米国のフォーティ セブン社と、同社が開発中の抗CD47抗体である「5F9」について、日本、韓国、台湾およびASEAN諸国で独占的に開発および商業化するライセンス契約を締結しました。
[開発提携活動の状況]
・本年7月、バイエル社、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社および当社は、転移性大腸がんで最も発現頻度が高いマイクロサテライト安定性の転移性大腸がん患者を対象に、バイエル社のマルチキナーゼ阻害剤であるスチバーガ(レゴラフェニブ)とブリストル・マイヤーズ スクイブ社/小野薬品の抗PD-1免疫チェックポイント阻害剤であるオプジーボ(ニボルマブ)との併用療法を評価する開発提携契約を3社間で締結しました。
(6)主要な設備
当第2四半期連結累計期間において、新たに確定した重要な設備の新設計画はありません。