四半期報告書-第74期第2四半期(令和3年7月1日-令和3年9月30日)

【提出】
2021/11/05 9:06
【資料】
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【項目】
40項目
当第2四半期連結累計期間における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は以下のとおりとなりました。
(1)財政状態及び経営成績の状況
(財政状態)
資産合計は、前期末に比べ261億円増加の7,729億円となりました。
流動資産は、現金及び現金同等物やその他の金融資産の増加などから285億円増加の2,761億円となりました。
非流動資産は、その他の金融資産の減少などから24億円減少の4,968億円となりました。
負債は、仕入債務及びその他の債務や未払法人所得税の減少などから125億円減少の932億円となりました。
親会社の所有者に帰属する持分は、利益剰余金の増加などから385億円増加の6,740億円となりました。
(経営成績)
(単位:百万円)
2021年3月期
第2四半期連結累計期間
2022年3月期
第2四半期連結累計期間
対前年同期
増減額
対前年同期
増減率
売上収益150,474174,07723,60315.7%
営業利益52,40158,1715,77011.0%
税引前四半期利益53,67459,2315,55710.4%
四半期利益
(親会社の所有者帰属)
39,84946,2906,44116.2%

[売上収益]
売上収益は、前年同期比236億円(15.7%)増加の1,741億円となりました。
・抗悪性腫瘍剤「オプジーボ点滴静注」は、競合他社製品との競争が激化する一方、非小細胞肺がん一次治療や食道がん二次治療における使用が拡大したことなどにより、前年同期比70億円(14.3%)増加の561億円となりました。
・その他の主要新製品では、糖尿病、慢性心不全および慢性腎臓病治療剤「フォシーガ錠」は156億円(前年同期比49.3%増)、2型糖尿病治療剤「グラクティブ錠」は127億円(同1.7%減)、関節リウマチ治療剤「オレンシア皮下注」は112億円(同3.3%増)、血液透析下の二次性副甲状腺機能亢進症治療剤「パーサビブ静注透析用」は45億円(同15.6%増)、多発性骨髄腫治療剤「カイプロリス点滴静注用」は42億円(同18.6%増)となりました。
・長期収載品は、後発品使用促進策の影響を受け、末梢循環障害改善剤「オパルモン錠」は24億円(前年同期比16.8%減)、アルツハイマー型認知症治療剤「リバスタッチパッチ」は16億円(同61.7%減)となりました。
・ロイヤルティ・その他は、前年同期比109億円(24.8%)増加の549億円となりました。
[営業利益]
営業利益は、前年同期比58億円(11.0%)増加の582億円となりました。
・売上原価は、製品商品の売上が増加したことなどにより、前年同期比38億円(9.1%)増加の456億円となりました。
・研究開発費は、被験者登録を含めた開発活動が徐々に回復し開発に係る費用が増加するとともに、研究に係る費用が増加したことなどにより、前年同期比68億円(26.5%)増加の326億円となりました。
・販売費及び一般管理費(研究開発費を除く)は、新型コロナウイルス感染症の影響によりMRの医療機関訪問自粛など活動制限はあるものの、積極的なWeb講演会実施などにより営業活動経費が増加しました。また、新製品の上市および効能追加に係る費用やフォシーガ錠の売上拡大に伴うコプロフィーが増加したことにより、前年同期比78億円(26.3%)増加の377億円となりました。
[四半期利益](親会社所有者帰属)
親会社の所有者に帰属する四半期利益は、税引前四半期利益の増加に伴い、前年同期比64億円(16.2%)増加の463億円となりました。
なお、当社グループの事業は医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
新型コロナウイルス感染症による事業および業績への影響につきましては、引き続き一定の活動制限が継続されることを想定しておりますが、営業利益に与える影響は引き続き軽微と見込んでおります。
(2)キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
2021年3月期
第2四半期連結累計期間
2022年3月期
第2四半期連結累計期間
対前年同期
増減額
現金及び現金同等物の期首残高69,00561,045
営業活動によるキャッシュ・フロー31,31440,3699,055
投資活動によるキャッシュ・フロー△4,033△5,385△1,352
財務活動によるキャッシュ・フロー△12,488△14,968△2,480
現金及び現金同等物の増減額
(△は減少)
14,79320,016
現金及び現金同等物に係る
為替変動による影響額
356
現金及び現金同等物の四半期末残高83,80081,117

当第2四半期連結累計期間の現金及び現金同等物の増減額は、200億円の増加となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人所得税等の支払額181億円などがあった一方で、税引前四半期利益592億円などがあった結果、404億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、無形資産の取得による支出56億円などがあった結果、54億円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額137億円などがあった結果、150億円の支出となりました。
(3)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。
(4)事業上および財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上および財務上の対処すべき課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(5)研究開発活動
当社グループは、「病気と苦痛に対する人間の闘いのために」という企業理念のもと、これまで克服されていない病気や、いまだ患者さんの治療満足度が低く、医療ニーズの高い疾患領域に挑戦し、独創的かつ画期的な医薬品の創製に向けて努力を積み重ねています。
現在、開発パイプラインには、オプジーボに加えて、抗体医薬品を含む抗がん剤の新薬候補化合物をはじめ、自己免疫疾患や神経系疾患の治療薬候補などがあり、開発を進めています。なかでも、がん治療の領域はアンメット・メディカル・ニーズが高いことから、重要な戦略分野と位置づけています。
創薬研究において、当社は、医療ニーズの高いがんや免疫、神経、スペシャリティ領域を重点領域に定め、それぞれの領域における創薬競争力の強化を目的に、ヒト疾患バイオロジーを掘り下げ、医療ニーズを適切に捉える取り組みを推進します。また、オープンイノベーションを推進することで、独創的な創薬シーズを獲得し、インフォマティクス技術やヒト疾患モデル作製技術、化合物作製技術などの最新技術を利用して、医療インパクトのある画期的新薬の創製をめざします。
重点領域において7つの新薬候補化合物が臨床ステージに移行しており、今後さらに創薬のスピードと成功確率を向上させるために、基礎と臨床の橋渡しを担うトランスレーショナル研究も強化します。研究早期段階からヒトゲノム情報やヒトiPS細胞などの研究ツールとバイオインフォマティクス技術を有機的に活用することで、標的分子の疾患との関連性を深く理解し新薬候補化合物のヒトにおける有効性をより正確に予測するとともに、臨床試験において疾患に対する有効性を評価できる生理学的指標(バイオマーカー)を見出すことをめざします。また、ライセンス活動による有望な新薬候補化合物の導入にも努め、研究開発活動の一層の強化に取り組んでいます。
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は32,600百万円であります。
当第2四半期連結累計期間における研究開発活動の主な成果(第2四半期連結会計期間末以後のものを含む)は、以下のとおりです。
[開発品の主な進捗状況]
<がん領域>「オプジーボ/ニボルマブ」(他剤との併用療法を含む)
胃がん
・本年6月、フルオロピリミジン系薬剤およびプラチナ系薬剤を含む化学療法との併用療法について、韓国で「進行または転移性胃がん、胃食道接合部がんおよび食道腺がん」を効能・効果とした承認を取得しました。
・本年10月、フルオロピリミジン系薬剤およびプラチナ系薬剤を含む化学療法との併用療法について、台湾で「HER2過剰発現を伴わない進行又は転移性胃がん、胃食道接合部がんおよび食道腺がん」を効能・効果とした承認を取得しました。
食道がん
・本年9月、「ヤーボイ」との併用療法および化学療法との併用療法について、国内で「根治切除不能な進行・再発の食道がん」を効能・効果とした承認申請を行いました。
悪性胸膜中皮腫
・本年5月、「ヤーボイ」との併用療法について、国内で「切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫」を効能・効果とした承認を取得しました。
・本年6月、「ヤーボイ」との併用療法について、韓国で「切除不能な悪性胸膜中皮腫」を効能・効果とした承認を取得しました。
・本年9月、「ヤーボイ」との併用療法について、台湾で「切除不能な悪性胸膜中皮腫」を効能・効果とした承認を取得しました。
腎細胞がん
・本年8月、「カボメティクス錠」との併用療法について、国内で「根治切除不能又は転移性の腎細胞がん」を効能・効果とした承認を取得しました。
膵がん
・本年4月、「ONO-7913」との併用療法において、国内で「膵がん」を対象としたフェーズⅠ試験を開始しました。
結腸・直腸がん
・本年4月、「ONO-7913」との併用療法において、国内で「結腸・直腸がん」を対象としたフェーズⅠ試験を開始しました。
非小細胞肺がん
・本年6月、ベバシズマブと化学療法との併用療法について、国内で「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果とした添付文書の改訂を行いました。
原発不明がん
・本年4月、国内で「原発不明がん」を効能・効果とした承認申請を行いました。
ホジキンリンパ腫
・本年9月、国内で「再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫」に対する小児の用法及び用量の追加に係る承認を取得しました。
固形がん
・本年8月、「ONO-7119」との併用療法において、国内で「固形がん」を対象としたフェーズⅠ試験を開始しました。
・本年4月、「固形がん(子宮頸がん、子宮体がん及び軟部肉腫)」を対象とした開発を実施していましたが、戦略上の理由により国内での開発を中止しました。
中枢神経系原発リンパ腫/精巣原発リンパ腫
・本年4月、「中枢神経系原発リンパ腫/精巣原発リンパ腫」を対象とした開発を実施していましたが、戦略上の理由により国内での開発を中止しました。
頭頸部がん
・本年7月、「ヤーボイ」との併用療法について、「頭頸部がん」を対象とした開発を実施していましたが、主要評価項目を達成できなかったため、開発を中止しました。
「ベレキシブル錠/チラブルチニブ塩酸塩」
・本年7月、「ONO-4059」について、米国で「中枢神経系原発悪性リンパ腫」を対象としたフェーズⅡ試験を開始しました。
「ビラフトビカプセル/エンコラフェニブ」「メクトビ錠/ビニメチニブ」
・本年8月、「ビラフトビカプセル/エンコラフェニブ」について、セツキシマブとの併用療法で、韓国で「治療歴を有するBRAFV600E変異を有する成人の進行・再発の結腸・直腸がん」の効能・効果とした承認を取得しました。
・本年8月、「ビラフトビカプセル」「メクトビ錠」について、韓国で「悪性黒色腫」を対象としたフェーズⅢ試験を実施していましたが、戦略上の理由により開発を中止しました。
・本年8月、「メクトビ錠」について、韓国で「結腸・直腸がん」を対象としたフェーズⅢ試験を実施していましたが、戦略上の理由により開発を中止しました。
「ONO-7475」
・本年4月、「ONO-7475」について、国内で「EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん」を対象としたフェーズⅠ試験を開始しました。
「ONO-7913」
・本年4月、「オプジーボ」と「ONO-7913」との併用療法において、国内で「膵がん」、「結腸・直腸がん」を対象としたフェーズⅠ試験を開始しました。
・本年4月、「ONO-7913」について、国内で「骨髄異形成症候群」を対象としたフェーズⅠ試験を開始しました。
「ONO-7119」
・本年8月、「オプジーボ」と「ONO-7119」との併用療法において、国内で「固形がん」を対象としたフェーズⅠ試験を開始しました。
「ONO-4578」
・本年7月、「ONO-4578」について、国内で「ホルモン受容体陽性HER2陰性乳がん」を対象としたフェーズⅠ試験を開始しました。
「ONO-4483」
・本年7月、「ONO-4483」について、「固形がん」を対象とした開発を実施していましたが、戦略上の理由により国内での開発を中止しました。
「ONO-4685」
・本年10月、「ONO-4685」について、米国で「T細胞リンパ腫」を対象としたフェーズⅠ試験を開始しました。
<がん領域以外>「フォシーガ錠/ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物」
・本年8月、「フォシーガ錠」について、国内で2型糖尿病の有無に関わらず、「慢性腎臓病(ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く)」を効能・効果とした承認を取得しました。
「フオイパン錠/カモスタットメシル酸塩」
・本年6月、「フオイパン錠」について、国内で「新型コロナウイルス感染症」を対象としたフェーズⅢ試験を実施していましたが、有効性が認められなかったことから、開発を中止しました。
「ONO-2910」
・本年4月、「ONO-2910」について、国内で「糖尿病性多発神経障害」を対象としたフェーズⅡ試験を開始しました。
「ONO-4685」
・本年9月、「ONO-4685」について、欧州で「自己免疫疾患」を対象としたフェーズⅠ試験を開始しました。
[創薬/研究提携活動の状況]
・本年8月、英国Healx社と、同社独自の人工知能技術を活用した、アンメットメディカルニーズを満たす革新的な治療薬の創製を目的とした研究提携契約を締結しました。
・本年8月、ミラバイオロジクス株式会社と同社独自の環状ペプチド探索法とタンパク質工学を融合させた新技術(LassoGraft Technology®)を活用した次世代バイオ医薬品の創製を目的とした創薬提携契約を締結しました。
(6)主要な設備
当第2四半期連結累計期間において、新たに確定した重要な設備の新設計画はありません。