半期報告書-第77期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2024/11/06 9:00
【資料】
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【項目】
40項目
当中間連結会計期間における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は以下のとおりとなりました。
(1)財政状態及び経営成績の状況
(財政状態)
資産合計は、前期末に比べ1,327億円増加の1兆464億円となりました。 流動資産は、有価証券やその他の流動資産が増加する一方で、その他の金融資産が減少したことなどから122億円減少の4,014億円となりました。 非流動資産は、その他の金融資産が減少する一方で、デシフェラ社買収に伴いのれんを計上したことなどから1,449億円増加の6,450億円となりました。
負債は、デシフェラ社買収の資金調達のために金融機関から借入を実施したことなどから1,432億円増加の2,583億円となりました。
親会社の所有者に帰属する持分は、中間利益の計上があった一方で、剰余金の配当やその他の資本の構成要素の減少などから105億円減少の7,825億円となりました。
(経営成績)
(単位:百万円)
2024年3月期
中間連結会計期間
2025年3月期
中間連結会計期間
対前年同期
増減額
対前年同期
増減率
売上収益258,713240,339△18,374△7.1%
営業利益97,03655,881△41,155△42.4%
税引前中間利益99,29654,637△44,659△45.0%
中間利益
(親会社の所有者帰属)
74,49141,641△32,850△44.1%

[売上収益]
売上収益は、前年同期比184億円(7.1%)減少の2,403億円となりました。
・国内製品売上
抗悪性腫瘍剤「オプジーボ点滴静注」は、薬価引き下げの影響により、前年同期比124億円(16.5%)減少の626億円となりました。
糖尿病、慢性心不全および慢性腎臓病治療剤「フォシーガ錠」は、慢性腎臓病での使用が拡大したことにより、前年同期比78億円(21.7%)増加の437億円となりました。
その他の主要製品では、関節リウマチ治療剤「オレンシア皮下注」は135億円(前年同期比3.5%増)、2型糖尿病治療剤「グラクティブ錠」は96億円(同11.2%減)、抗悪性腫瘍剤「ベレキシブル錠」は52億円(同3.7%増)、多発性骨髄腫治療剤「カイプロリス点滴静注用」は46億円(同1.0%減)、血液透析下の二次性副甲状腺機能亢進症治療剤「パーサビブ静注透析用」は42億円(同0.7%増)、パーキンソン病治療剤「オンジェンティス錠」は38億円(同21.4%増)となりました。
・海外製品売上
デシフェラ社買収により獲得した消化管間質腫瘍治療剤「キンロック」の売上(7-9月)は、81億円となりました。
・ロイヤルティ・その他
ロイヤルティ・その他は、前年同期にアストラゼネカ社との特許関連訴訟の和解に伴う一時金収入170億円を計上した反動減や、メルク社などからのロイヤルティ収入がロイヤルティ料率の低下に伴い減少し、前年同期比218億円(22.0%)減少の770億円となりました。
[営業利益]
営業利益は、前年同期比412億円(42.4%)減少の559億円となりました。
・売上原価は、前年同期に販売権の減損損失を54億円計上した反動減などにより、前年同期比79億円(12.2%)減少の569億円となりました。
・研究開発費は、研究に係る費用や臨床試験に係る開発費用が増加したことなどに加え、開発化合物に係る無形資産の減損損失35億円を計上したことや買収したデシフェラ社の研究開発に係る費用を計上したことにより、前年同期比194億円(39.4%)増加の688億円となりました。
・販売費及び一般管理費(研究開発費を除く)は、「フォシーガ錠」の売上拡大に伴うコ・プロモーション費用の増加に加え、買収したデシフェラ社の事業運営に係る費用およびデシフェラ社の買収に係る費用を計上したことにより、前年同期比108億円(22.7%)増加の584億円となりました。
[中間利益](親会社所有者帰属)
親会社の所有者に帰属する中間利益は、税引前中間利益の減少に伴い、前年同期比329億円(44.1%)減少の416億円となりました。
なお、当社グループの事業は医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
(2)キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
2024年3月期
中間連結会計期間
2025年3月期
中間連結会計期間
対前年同期
増減額
現金及び現金同等物の期首残高96,135166,141
営業活動によるキャッシュ・フロー36,72134,723△1,998
投資活動によるキャッシュ・フロー20,713△160,930△181,643
財務活動によるキャッシュ・フロー△46,647129,687176,334
現金及び現金同等物の増減額
(△は減少)
10,7873,480
現金及び現金同等物に係る
為替変動による影響額
782△2,530
現金及び現金同等物の中間期末残高107,704167,090

当中間連結会計期間の現金及び現金同等物の増減額は、35億円の増加となりました。 営業活動によるキャッシュ・フローは、法人所得税等の支払額222億円などがあった一方で、税引前中間利益546億円などがあった結果、347億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入2,006億円などがあった一方で、子会社の取得による支出3,648億円などがあった結果、1,609億円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額188億円などがあった一方で、長期借入れによる収入1,500億円などがあった結果、1,297億円の収入となりました。
(3)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループの経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。
(4)事業上および財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、当社グループの事業上および財務上の対処すべき課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(5)研究開発活動
当社グループは、「病気と苦痛に対する人間の闘いのために」という企業理念のもと、これまで克服されていない病気や、いまだ患者さんの治療満足度が低く、医療ニーズの高い疾患領域に挑戦し、独創的かつ画期的な医薬品の創製に向けて努力を積み重ねています。
現在、開発パイプラインには、オプジーボに加えて、抗体医薬品を含む抗がん剤の新薬候補をはじめ、自己免疫疾患や神経疾患などの新薬候補があり、開発を進めています。なかでも、がん領域は医療ニーズが高いことから、重要な戦略分野と位置づけ、デシフェラ社のパイプラインも加えて更なる充実を図っています。
創薬研究においては、医療ニーズの高いがんや免疫、神経、スペシャリティ領域を重点領域に定め、それぞれの領域でヒト疾患バイオロジーを掘り下げ、医療ニーズを満たし得る新薬の創製を目指して、創薬力の強化に努めています。そして、創薬力を強化するために、当社が得意とするオープンイノベーションを積極的に推進するとともに、独創的な創薬シーズを見出し、インフォマティクスやヒト疾患モデル作製、新薬候補作製など、様々な社内外の最新技術を利用して、医療インパクトのある画期的新薬の創製を目指します。
重点領域において、現在、臨床ステージには14品目(内、2品目はデシフェラ社)の新薬候補が移行しています。今後さらに創薬のスピードと成功確率を向上させるために、基礎と臨床の橋渡しを担うトランスレーショナル研究も強化しています。研究早期段階からヒトゲノム情報やヒトiPS細胞などの研究ツールとインフォマティクスを有機的に活用することで、標的分子の疾患との関連性を解析し、新薬候補のヒトにおける有効性をより正確に予測・評価できる生理学的指標(バイオマーカー)を見出せるよう努めています。
臨床開発のスピードと成功確率を向上させるために、より早い段階から研究本部と強固に連携して、最適で最良な開発戦略を立案するよう努めています。また、これまでに蓄積した多くの臨床試験データや実際に治験で得られた臨床サンプルを利用して様々な解析を行い、臨床試験結果の解像度を上げることに役立てています。新薬候補の価値を最大化するために、複数の臨床試験を並行して実施するとともに、グローバル(日本、米国、欧州)で国際共同試験を実施できる体制を構築すべく、欧米の臨床開発機能の充実を加速しています。
また、ライセンス活動による有望な新薬候補の導入にも努め、研究開発活動の一層の強化に取り組んでいます。
当中間連結会計期間の研究開発費の総額は68,851百万円であります。
当中間連結会計期間における研究開発活動の主な成果(中間連結会計期間末以後のものを含む)は、以下のとおりであります。
[開発品の主な進捗状況]
<がん領域>「オプジーボ/ニボルマブ」
肝細胞がん
・本年8月、「オプジーボ」と「ヤーボイ」との併用療法について、日本で「切除不能な肝細胞がん」を効能・効果とした承認申請を行いました。
尿路上皮がん
・本年7月、「オプジーボ」について、韓国で「根治切除不能または転移性尿路上皮がん(一次治療における化学療法併用)」を効能・効果とした承認を取得しました。
・本年10月、「オプジーボ」について、台湾で「根治切除不能または転移性尿路上皮がん(一次治療における化学療法併用)」を効能・効果とした承認を取得しました。
結腸直腸がん
・本年9月、「オプジーボ」と「ヤーボイ」の併用療法について、日本で「治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)またはミスマッチ修復欠損(dMMR)を有する結腸直腸がん」を効能・効果とした承認申請を行いました。
ラブドイド腫瘍
・本年7月、「オプジーボ」について、日本で「ラブドイド腫瘍」を対象としたフェーズⅡ試験を開始しました。
卵巣がん
・本年6月、「オプジーボ」とPARP阻害薬「Rucaparib」との併用療法について、Pharma&社主導の「卵巣がんの初回化学療法後の維持療法」を対象とした国際共同第Ⅲ相試験に日本、韓国および台湾から参加していましたが、主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)を達成することができませんでした。
「ビラフトビカプセル/エンコラフェニブ」および「メクトビ錠/ビニメチニブ」
・本年5月、「ビラフトビカプセル」および「メクトビ錠」について、日本で2剤併用療法による「がん化学療法後に増悪したBRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺がん」「BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺未分化がん」を効能・効果とした承認を取得しました。
「ONO-7018」
・本年8月、MALT1阻害薬「ONO-7018」について、日本で「非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病」を対象としたフェーズⅠ試験を開始しました。
「ONO-7122」
・本年4月、TGF-β阻害薬「ONO-7122」と「オプジーボ」との併用療法について、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社主導の「固形がん」を対象とした国際共同フェーズⅠ試験に日本から参加していましたが、戦略上の理由により開発を中止しました。
「ONO-7226」
・本年4月、抗ILT4抗体「ONO-7226」と「オプジーボ」との併用療法について、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社主導の「固形がん」を対象とした国際共同フェーズⅠ試験に日本から参加していましたが、戦略上の理由により開発を中止しました。
<がん領域以外>「ONO-4915」
・本年9月、PD-1/CD19二重特異性抗体「ONO-4915」について、日本で健康成人を対象としたフェーズⅠ試験を開始しました。
「ONO-2910」
・本年7月、シュワン細胞分化促進薬「ONO-2910」について、日本で「糖尿病性多発神経障害」を対象としたフェーズⅡ試験を実施していましたが、期待された有効性が確認できなかったため、「糖尿病性多発神経障害」を対象とした開発を中止しました。
<デシフェラ社パイプライン>「DCC-3014」
・本年7月、CSF-1R阻害薬「DCC-3014/Vimseltinib」について、欧州で「腱滑膜巨細胞腫」を効能・効果とした承認申請が受理されました。
・本年8月、CSF-1R阻害薬「DCC-3014/Vimseltinib」について、米国で「腱滑膜巨細胞腫」を効能・効果とした承認申請が優先審査の対象として受理されました。
[創薬/研究提携活動の状況]
・本年4月、株式会社PRISM BioLabと、がん領域における新薬候補の創製を目的とした創薬提携契約を締結しました。
・本年8月、豪州Monash大学と自己免疫疾患および炎症性疾患領域における新たな抗GPCR抗体を創製するためのオプション権付き研究提携契約を締結しました。
[ライセンス活動の状況]
・本年10月、韓国LigaChem Biosciences社と固形がんを対象とした抗体薬物複合体(ADC)「LCB97」に関するライセンス契約および同社のADCプラットフォームを用いた新規ADC創製に向けた創薬提携契約を締結しました。
・2022年12月に米国Equillium社と締結した「itolizumab」に係る独占的オプション権付アセット買収契約について、本年10月、戦略上の理由によりオプション権を行使しないことを決定しました。
(6)主要な設備
当中間連結会計期間において、新たに確定した重要な設備の新設計画はありません。