有価証券報告書-第70期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/27 10:51
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【項目】
111項目
(1) 経営成績
当連結会計年度のわが国経済は、好調な企業業績や雇用・所得環境の改善を背景に個人消費は底堅く、設備投資は高水準の企業収益を背景に堅調に推移するなど、着実な回復基調が続きました。
世界経済については、米国は個人消費や設備投資が増加し、欧州は堅調な雇用環境を背景に、また中国は世界経済の回復を背景に輸出が増加するなど主要な先進国を中心に全体として堅調に推移いたしました。
このような事業環境のもと、より快適で豊かな暮らしに貢献できる製品造りをコンセプトに、お客様の多様なニーズに迅速・的確に対応するため、新技術・新製品開発へ積極的に取り組んでまいりました。また、生産能力の向上と生産体制の効率化を狙い、最新の生産設備の増設と拡充により増築を展開した新栃木工場はフル稼働が継続し、収益に大きく寄与いたしました。継続的な生産能力の強化により増産体制の構築と生産性向上が実現いたしました。さらに、総人員の圧縮と適正配置、在庫管理の徹底による削減と適正数量確保、間接費用の継続的削減活動の展開など、生産体制の合理化と業務の効率化を継続して推進し、企業体質の強化と強固な事業基盤の構築に努めてまいりました。なお、これらの実現に向けた新たな生産体制の構築を展望し、一部工場の新築・移転計画に着手いたしました。
医療機器事業の展開する主力のコンドームについては、国内市場環境は依然として厳しい状況が続くものの、海外市場においては継続的かつ安定的な受注が確保できました。精密機器事業においては、国内外の製造関連企業を中心とした顧客ニーズに対応すべく、ハイレベルな製品開発と積極的な提案営業を展開いたしました。また、生産体制強化を狙いとした工場増設により生産設備の稼働も安定し、業績向上に大きく寄与いたしました。
その結果、当連結会計年度の売上高は、79億2千7百万円と前年同期と比べ6億9千7百万円(9.6%)の増加となりました。
また、利益面につきましては、価格競争激化、新製品販売に向けた販促費投入、設備導入による減価償却費負担や在庫評価減等の利益圧迫要因の一方、増収増産効果に加え、生産合理化と諸経費の節減に努めた結果、営業利益は6億4千8百万円と前年同期と比べ9千8百万円(17.8%)の増益、経常利益は5億6千3百万円と前年同期と比べ5千6百万円(11.2%)の増益となりました。しかしながら、一部事業用資産について減損損失4億9百万円の特別損失を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は9千1百万円と前年同期と比べ3億円(△76.6%)の減益となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。なお、セグメント損益は、営業利益または営業損失に基づいております。
医療機器事業
主力のコンドームは、国内市場においては主要な販売チャネルとしての大型小売店・ドラッグストア・コンビニエンスストアを中心に販路開拓に注力いたしました。加えて継続的にWeb広告や販促企画を含めたネット販売への取り組みを強化、推進すると同時に、ドラッグストア、量販店とのタイアップ企画や販促キャンペーンへの展開、SNSを媒体とした販促活動にも取り組みシェア拡大を推進いたしました。また、安定生産と増産に向けて継続的に設備の更新、整備に取り組みました。
国内市場では依然として消費の減少傾向、価格の2極化、加えて天然ゴムに代わる新素材製品のシェア上昇傾向も続きました。天然ゴム素材製品を主体とする当社は厳しい展開を余儀なくされましたが、新素材コンドームSKYNに新商品を投入しラインナップを充実させた結果、増収となりました。また、輸出については、日本製高品質をポイントに継続的な営業活動と生産体制構築により受注は継続的・安定的に確保することができました。冷却商品は定番化し売上、利益とも前年の水準を維持いたしました。
メディカル製品については、医療現場での感染防止意識の高まりやアレルギーフリー素材製品の認知度の向上につれて、超音波診断装置等のプローブカバー(感染予防製品)、内視鏡用の医療バルーンを中心として引き続き堅調に推移いたしました。
この結果、売上高は21億9千4百万円と前年同期と比べ9千6百万円(4.6%)の増加となりました。
セグメント損益は、増産・増収効果は認められたものの、製造ライン改造途上による稼働率の低下や減価償却費負担、不良在庫の処分等により、9千5百万円の損失(前年同期は2千1百万円の損失)となりました。
精密機器事業
主力のショックアブソーバおよびロータリーダンパーは、景気回復に伴い国内市場の受注は引き続き堅調に推移いたしました。ユーザー評価の高い主力製品の小型ショックアブソーバおよび小型ロータリーダンパーが、製品バリエーション強化と性能面の進化により、売上と利益に安定的に寄与いたしました。主要な市場として位置付け、開拓を継続している住宅設備関連は、住宅着工件数の減少があったものの新規採用の増加等により安定的な売上を確保できました。半導体、液晶等の製造設備関連は中国での需要が拡大し、一般産業用生産設備向けショックアブソーバは大幅な受注増となりました。また、家電、複合機関連、自動車関連の分野でも受注は堅調に推移いたしました。一方、輸出は新たな海外からのオファーが具体化したものの、当社の既存大手取引先の生産調整等が続き前年を下回る実績となりました。
利益面については、増収増産効果によるコスト低減に加え、従来から推進している製造ラインの全自動化・半自動化をベースにした増設が生産効率化に大きく寄与したことで原価低減が実現いたしました。また、人員の適正配置を含めた生産効率化と製造経費の低減、販売費節減への継続的取り組みを行いコスト圧迫要因を吸収いたしました。
この結果、売上高は51億円と前年同期と比べ5億8千1百万円(12.9%)の増加となりました。
セグメント利益は、11億3千万円と前年同期と比べ2億6百万円(22.4%)の増益となりました。
売上高、セグメント利益とも過去最高を達成することとなりました。
SP事業
主力のゴム風船が中心となる販促用品市場はニーズの多様化が続き、景気が回復基調にある中、広告販促活動やイベント等も徐々に拡大し、加えて従来から継続している提案営業による新企画商品や主力のゴム風船およびフィルムバルーンの受注も徐々に回復し売上に寄与いたしました。売上、利益とも回復基調にて推移いたしました。物流の見直しにより間接コストを削減したものの、他社競合等により採算面が厳しく利益を圧迫し減益となりました。
この結果、売上高は5億9百万円と前年同期と比べ6百万円(1.2%)の増加となりました。
セグメント利益は、2千1百万円と前年同期と比べ1百万円(△7.2%)の減益となりました。
その他
売上高は1億2千1百万円と前年同期と比べ1千2百万円(11.6%)の増加となりました。
セグメント利益は、1千7百万円と前年同期と比べ1百万円(12.9%)の増益となりました。
生産、仕入、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
セグメントの名称生産高(千円)前年同期比(%)
医療機器事業2,346,56912.2
精密機器事業4,969,15414.8
その他105,09916.9
7,420,82314.0

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 仕入実績
セグメントの名称仕入高(千円)前年同期比(%)
医療機器事業270,78126.2
精密機器事業94,080△20.6
SP事業298,4781.1
その他17,381133.6
680,7217.1

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、仕入価格によっております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 受注実績
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
精密機器事業4,169,073△9.5554,297△10.3
4,169,073△9.5554,297△10.3

(注) 1 精密機器事業の一部についてのみ受注生産を行っており、他の精密機器事業及び他のセグメント事業については見込み生産を行っております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
④ 販売実績
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)
医療機器事業2,194,4044.6
精密機器事業5,100,89112.9
SP事業509,9801.2
その他121,96311.6
7,927,2389.6

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先前連結会計年度当連結会計年度
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
ダイドー株式会社857,43011.9993,02412.5

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、59億2千9百万円で前年比3億8千3百万円増加しました。主な増加要因は、受取手形及び売掛金の1億9千万円、仕掛品の8千6百万円、原材料及び貯蔵品の8千8百万円などであります。これは主に精密機器事業の売上高の増加に伴う増加であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、46億4千2百万円で前年比6億8千万円増加しました。主な要因は、土地の6億6千8百万円の増加や建設仮勘定の8千7百万円の増加、および建物及び構築物の9千6百万円の減少などであります。これは主に栃木千塚工場の新設に伴う増加であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、44億8千6百万円で前年比3億2千万円増加しました。主な増加要因は、精密機器事業の仕入れに伴う電子記録債務の2億4千9百万円、短期借入金の4億円、1年内返済予定の長期借入金の9千万円、未払法人税等の8千8百万円などであり、主な減少要因は、1年内償還予定の社債の4億2千万円、設備関係電子記録債務の1億9千万円などであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、31億6千3百万円で前年比6億7千4百万円増加しました。主な増加要因は、社債の2億円、長期借入金の4億6千9百万円などであります。これは主に栃木千塚工場の新設に伴う資金調達による増加であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、29億3千1百万円で前年比7千2百万円増加しました。主な増加要因は、利益剰余金の2千8百万円、その他有価証券評価差額金の2千9百万円などであります。この結果、自己資本比率は27.7%となりました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、12億5千5百万円と前年同期と比べ2百万円(△0.2%)の減少となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動により得られた資金は、前年同期と比べ5億5千5百万円(182.7%)増加し、8億5千8百万円となりました。
資金の主な増加要因は税金等調整前当期純利益の1億5千1百万円、減価償却費の3億9千2百万円、減損損失の4億9百万円、仕入債務の増加1億8千9百万円などであり、主な減少要因は売上債権の増加2億2千5百万円、たな卸資産の増加2億3千6百万円などであります。
投資活動により支出した資金は前年同期と比べ3億4千万円(33.4%)増加し、13億5千9百万円となりました。
資金の主な減少要因は栃木千塚工場の新設を含めた医療機器事業や精密機器事業における有形固定資産の取得13億3千9百万円であります。
財務活動により得られた資金は前年同期と比べ2億1千4百万円(△30.2%)減少し、4億9千5百万円となりました。
資金の主な増加要因は短期借入れによる収入4億円、長期借入れによる収入9億8千7百万円、社債の発行による収入2億円などであり、主な減少要因は長期借入金の返済4億2千6百万円、社債の償還4億2千万円などであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主として営業活動から得られるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入を資金の源泉としております。運転資金等の短期の資金需要につきましては自己資金に加えて30億円のコミットメントライン契約により機動的な調達を確保しております。設備投資等の長期資金需要につきましては、資金需要の期間及び目的を勘案し、金融機関からの長期借入やリース等の選択肢から最適な調達方法を検討して対応しております。