有価証券報告書-第73期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、年度初めに全国を対象とした緊急事態宣言が発出されたことを受けて景気が急速に悪化し、第1四半期の実質GDP成長率は大幅に落ち込みましたが、その後宣言が解除されると景気は緩やかに持ち直しました。年末にかけて感染症が拡大し、年明けに一部地域を対象に2回目の緊急事態宣言が発出・延長されるなど、新型コロナウイルス感染症拡大の収束時期と経済活動への影響の見通しは不透明な状況が続きました。
世界経済についても、欧州や米国でロックダウン等の強力な行動制限措置が実施され景気は急速に悪化しましたが、大規模な経済対策やワクチン接種の進展により、景気回復の力強さは各国間でばらつきがでるものの、経済回復途上にあるとの見通しがIМFから発表されています。
このような状況の下、当社は年度初めに社内計画比12%程度減収との想定をしており、第2四半期終了時点では減収幅が更に拡大しておりましたが、2020年12月以降、第4四半期にかけて精密機器事業での受注急増を受けた業績の急回復により、ほぼ想定通りの売上となりました。
当社は「世界の人々の健康と豊かな暮らしに貢献する」との経営理念に基づく製品造りに注力し、お客様の多様なニーズに迅速・的確に対応するため、新技術・新製品開発へ積極的に取り組んでまいりました。また、生産能力の向上と生産体制の効率化を狙い、生産設備増設と増築をした新栃木工場に続き、医療用メディカル製品の生産を柱とする栃木千塚工場を竣工し、旧工場からの生産移管が2021年3月に完了いたしました。
生産設備の整備により生産体制の強化と生産性向上が実現いたしましたが、さらに、総人員の適正配置、間接費用の継続的削減活動の展開など、生産体制の合理化と業務の効率化を継続して推進し、企業体質の強化と強固な事業基盤の構築に努めてまいりました。
医療機器事業が展開する主力のコンドーム事業については、国内市場向けは依然として少子高齢化に伴う市場縮小の傾向が続いておりますが、取扱いアイテムの構成見直しと製造コストの削減による採算強化、新ブランド構築による新たな市場拡大に取り組んでおります。
精密機器事業においては、国内外の製造関連企業を中心とした顧客ニーズに対応すべく、ハイレベルな製品開発、「with コロナ」時代に即した新たな非対面営業による提案営業の試み、QCDの強化に取り組んでおります。
その結果、当連結会計年度の売上高は、6,850百万円と前年同期と比べ362百万円(△5.0%)の減少となりました。
また、利益面につきましては、生産合理化と投資計画の見直しや諸経費の節減を実施したことにより、営業利益は269百万円と前年同期と比べ233百万円(652.9%)の増益、経常利益は226百万円と前年同期と比べ193百万円(569.1%)の増益となりました。また親会社株主に帰属する当期純利益は170百万円(前年同期は26百万円の損失)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。なお、セグメント損益は、営業利益または営業損失に基づいております。
医療機器事業
主力のコンドームは、国内市場においては主要な販売チャネルとしての大型小売店・ドラッグストア・コンビニエンスストアを中心に販路開拓に注力いたしました。また引き続きネット販売への取組みを強化すると同時に、ドラッグストア、量販店とのタイアップ企画や販促キャンペーンへの展開、SNSを媒体としたWeb広告に取り組みました。また、安定生産と増産に向けて継続的に設備の更新、改良および整備に取り組みました。
国内市場では消費の減少傾向、価格の二極化、新素材製品のシェア上昇傾向が続きました。天然ゴム素材製品を主体とする当社は厳しい展開を余儀なくされましたが、新素材コンドームSKYNが好調だったことや、ネット販売の伸長により増収となりました。輸出については、日本製高品質を訴求した営業活動を継続したものの、海外市場での景気足踏みに伴う在庫調整により受注が減少し、大幅な減収となりました。
利益面では不採算製品の見直し、生産歩留まりの向上、販売費節減へ継続的に取り組んだ結果、前期比で改善となりました。
メディカル製品については、上半期の緊急事態宣言下での一般診療の急減に伴う需要急減やロックダウンによる欧州への輸出停止の影響が大きく、下半期に売上が回復したものの通年では減収となりましたが、生産部門・販売部門一体による効率化、費用削減、生産歩留まり向上策により、前期比増益となりました。
この結果、売上高は2,145百万円と前年同期と比べ42百万円(△2.0%)の減少となりました。
セグメント損益は、コンドームの生産調整に伴う原価率上昇、在庫調整、不良在庫の処分、メディカル製品生産の新工場通年稼働による減価償却費負担増などの利益圧迫要因を主な要因として、73百万円の損失(前年同期は195百万円の損失)となりました。
精密機器事業
精密機器事業は国内・海外ともに新型コロナウイルス感染症の売上への影響が年間を通して続くことにより約2割の減収を想定していましたが、実質的に6ヶ月で影響が収束し、減収幅も縮小いたしました。特に、第3四半期の後半以降は取引先の需要が急回復し、生産設備用市場では半導体・通信機器装置に続いて他の業種向けの需要も拡大いたしました。また、海外向け取引では部材調達確保に向けた動きが国内よりも早く、年度後半の伸び率は国内向けよりも高くなりました。
製品別ではユーザー評価の高い主力製品の小型ショックアブソーバおよび小型ロータリーダンパーは、より一層の製品バリエーション強化と性能面の進化により前年比若干の減収にとどまりました。生産設備向けショックアブソーバは横這い、住宅設備関連分野向けダンパーは年度前半の生産調整の影響を受けるも米国市場向けが好調で前年比若干の減収となりました。また、免制振機器は販路強化や地震発生による防災意識の高まりにより増収となりました。
利益面では受注増に伴う生産効率向上、人員の適正配置や工数削減による製造経費削減、販売費節減へ継続的に取り組んだ結果、原価率が改善しました。
この結果、売上高は4,200百万円と前年同期と比べ228百万円(△5.2%)の減少となりました。
セグメント利益は、731百万円と前年同期と比べ44百万円(6.5%)の増益となりました。
SP事業
年度初めの時点では新型コロナウイルス感染症による売上への影響が第2四半期で収束する想定でしたが、2度にわたる国内緊急事態宣言により、主力のゴム風船およびフィルムバルーンがプロモーションツールとして各種イベントで使用される機会や対面型販売の減少が通年で発生いたしました。また、新商材開発により下半期から売上回復傾向にありましたが、海外からの部材調達に一部遅れが生じたことによる売上減少も重なりました。
この結果、売上高は310百万円と前年同期と比べ112百万円(△26.6%)の減少となりました。
セグメント損益は、29百万円の損失(前年同期は8百万円の損失)となりました。
食品容器事業
海外向け案件や主力販売先との取引が伸びたことにより、売上高は194百万円と前年同期と比べ21百万円(12.5%)の増加となりました。
セグメント利益は、単価の改善効果もあり、76百万円と前年同期と比べ43百万円(131.2%)の増益となりました。
生産、仕入、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4 当連結会計年度から、「その他」に含まれていた「食品容器事業」について量的な重要性が増したため報告セグメントとして記載する方法に変更しております。
5 当連結会計年度の食品容器事業におきまして、生産実績に著しい変動がありました。これは、食品容器の需要増加に伴う生産体制の見直しを行ったことにより、生産量が増加した事が要因であります。
② 仕入実績
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、仕入価格によっております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4 当連結会計年度から、「その他」に含まれていた「食品容器事業」について量的な重要性が増したため報告セグメントとして記載する方法に変更しております。
③ 受注実績
(注)1 精密機器事業の一部についてのみ受注生産を行っており、他の精密機器事業及び他のセグメント事業については見込み生産を行っております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 当連結会計年度の精密機器事業におきまして、受注残高に著しい変動がありました。これは、新型コロナウイルス感染症の影響により減少しておりました受注が当連結会計年度後半より急回復し、特に半導体、通信機器、住宅設備等の緩衝器の受注高が増加したことによるものであります。
④ 販売実績
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4 当連結会計年度について、当該割合が100分の10未満の相手先は記載を省略しております。
5 当連結会計年度から、「その他」に含まれていた「食品容器事業」について量的な重要性が増したため報告セグメントとして記載する方法に変更しております。
(2)財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、6,131百万円で前年比211百万円増加しました。主な要因は、現金及び預金の145百万円、電子記録債権の108百万円の増加、および受取手形及び売掛金の57百万円の減少などであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、6,303百万円で前年比431百万円減少しました。主な要因は、機械装置及び運搬具の148百万円の増加、および建物及び構築物の158百万円、建設仮勘定の379百万円の減少などであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、5,802百万円で前年比377百万円増加しました。主な要因は、1年内償還予定の社債の200百万円、短期借入金の205百万円の増加、および未払消費税等の115百万円の減少などであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、3,329百万円で前年比786百万円減少しました。主な要因は、社債の200百万円、長期借入金の496百万円の減少などであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、3,304百万円で前年比187百万円増加しました。主な要因は、利益剰余金の132百万円の増加などであります。この結果、自己資本比率は26.6%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,320百万円と前年同期と比べ145百万円(12.4%)の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、前年同期と比べ266百万円(60.5%)増加し、705百万円となりました。
資金の主な増加要因は税金等調整前当期純利益の225百万円、減価償却費の476百万円、仕入債務の増加額の83百万円などであり、主な減少要因は未払消費税等の減少額115百万円などであります。未払消費税等の減少額は、当期の中間納付額が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は前年同期と比べ403百万円(78.4%)減少し、111百万円となりました。
資金の主な減少要因は有形固定資産の取得104百万円であります。これは主にコンドーム生産設備の導入によるものであります。なお、主に前期に建設仮勘定で計上していた設備が当期に完成したこともあり、当期の支出は減少しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は前年同期と比べ134百万円(42.6%)増加し、450百万円となりました。
資金の主な増加要因は短期借入れによる収入205百万円などであり、主な減少要因は長期借入金の返済541百万円、リース債務の返済156百万円などであります。営業活動によるキャッシュ・フローを設備投資、有利子負債の削減、内部留保、株主還元にバランス良く配分する方針に基づき活動し、財務体質の強化に努めております。
当社グループの資本の財源および資金の流動性については、主として営業活動から得られるキャッシュ・フローおよび金融機関からの借入を資金の源泉としております。運転資金等の短期の資金需要につきましては自己資金に加えて35億円のコミットメントライン契約により機動的な調達を確保しております。設備投資等の長期資金需要につきましては、資金需要の期間および目的を勘案し、金融機関からの長期借入やリース等の選択肢から最適な調達方法を検討して対応しております。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いております。これらの見積りおよび仮定については過去の実績等に基づいて合理的に判断しておりますが、実際の結果は異なる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については不確実性を含んでおりますが、2021年9月末で収束するシナリオを前提とし、期末時点で入手可能な情報を元に見積りを行っております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、年度初めに全国を対象とした緊急事態宣言が発出されたことを受けて景気が急速に悪化し、第1四半期の実質GDP成長率は大幅に落ち込みましたが、その後宣言が解除されると景気は緩やかに持ち直しました。年末にかけて感染症が拡大し、年明けに一部地域を対象に2回目の緊急事態宣言が発出・延長されるなど、新型コロナウイルス感染症拡大の収束時期と経済活動への影響の見通しは不透明な状況が続きました。
世界経済についても、欧州や米国でロックダウン等の強力な行動制限措置が実施され景気は急速に悪化しましたが、大規模な経済対策やワクチン接種の進展により、景気回復の力強さは各国間でばらつきがでるものの、経済回復途上にあるとの見通しがIМFから発表されています。
このような状況の下、当社は年度初めに社内計画比12%程度減収との想定をしており、第2四半期終了時点では減収幅が更に拡大しておりましたが、2020年12月以降、第4四半期にかけて精密機器事業での受注急増を受けた業績の急回復により、ほぼ想定通りの売上となりました。
当社は「世界の人々の健康と豊かな暮らしに貢献する」との経営理念に基づく製品造りに注力し、お客様の多様なニーズに迅速・的確に対応するため、新技術・新製品開発へ積極的に取り組んでまいりました。また、生産能力の向上と生産体制の効率化を狙い、生産設備増設と増築をした新栃木工場に続き、医療用メディカル製品の生産を柱とする栃木千塚工場を竣工し、旧工場からの生産移管が2021年3月に完了いたしました。
生産設備の整備により生産体制の強化と生産性向上が実現いたしましたが、さらに、総人員の適正配置、間接費用の継続的削減活動の展開など、生産体制の合理化と業務の効率化を継続して推進し、企業体質の強化と強固な事業基盤の構築に努めてまいりました。
医療機器事業が展開する主力のコンドーム事業については、国内市場向けは依然として少子高齢化に伴う市場縮小の傾向が続いておりますが、取扱いアイテムの構成見直しと製造コストの削減による採算強化、新ブランド構築による新たな市場拡大に取り組んでおります。
精密機器事業においては、国内外の製造関連企業を中心とした顧客ニーズに対応すべく、ハイレベルな製品開発、「with コロナ」時代に即した新たな非対面営業による提案営業の試み、QCDの強化に取り組んでおります。
その結果、当連結会計年度の売上高は、6,850百万円と前年同期と比べ362百万円(△5.0%)の減少となりました。
また、利益面につきましては、生産合理化と投資計画の見直しや諸経費の節減を実施したことにより、営業利益は269百万円と前年同期と比べ233百万円(652.9%)の増益、経常利益は226百万円と前年同期と比べ193百万円(569.1%)の増益となりました。また親会社株主に帰属する当期純利益は170百万円(前年同期は26百万円の損失)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。なお、セグメント損益は、営業利益または営業損失に基づいております。
医療機器事業
主力のコンドームは、国内市場においては主要な販売チャネルとしての大型小売店・ドラッグストア・コンビニエンスストアを中心に販路開拓に注力いたしました。また引き続きネット販売への取組みを強化すると同時に、ドラッグストア、量販店とのタイアップ企画や販促キャンペーンへの展開、SNSを媒体としたWeb広告に取り組みました。また、安定生産と増産に向けて継続的に設備の更新、改良および整備に取り組みました。
国内市場では消費の減少傾向、価格の二極化、新素材製品のシェア上昇傾向が続きました。天然ゴム素材製品を主体とする当社は厳しい展開を余儀なくされましたが、新素材コンドームSKYNが好調だったことや、ネット販売の伸長により増収となりました。輸出については、日本製高品質を訴求した営業活動を継続したものの、海外市場での景気足踏みに伴う在庫調整により受注が減少し、大幅な減収となりました。
利益面では不採算製品の見直し、生産歩留まりの向上、販売費節減へ継続的に取り組んだ結果、前期比で改善となりました。
メディカル製品については、上半期の緊急事態宣言下での一般診療の急減に伴う需要急減やロックダウンによる欧州への輸出停止の影響が大きく、下半期に売上が回復したものの通年では減収となりましたが、生産部門・販売部門一体による効率化、費用削減、生産歩留まり向上策により、前期比増益となりました。
この結果、売上高は2,145百万円と前年同期と比べ42百万円(△2.0%)の減少となりました。
セグメント損益は、コンドームの生産調整に伴う原価率上昇、在庫調整、不良在庫の処分、メディカル製品生産の新工場通年稼働による減価償却費負担増などの利益圧迫要因を主な要因として、73百万円の損失(前年同期は195百万円の損失)となりました。
精密機器事業
精密機器事業は国内・海外ともに新型コロナウイルス感染症の売上への影響が年間を通して続くことにより約2割の減収を想定していましたが、実質的に6ヶ月で影響が収束し、減収幅も縮小いたしました。特に、第3四半期の後半以降は取引先の需要が急回復し、生産設備用市場では半導体・通信機器装置に続いて他の業種向けの需要も拡大いたしました。また、海外向け取引では部材調達確保に向けた動きが国内よりも早く、年度後半の伸び率は国内向けよりも高くなりました。
製品別ではユーザー評価の高い主力製品の小型ショックアブソーバおよび小型ロータリーダンパーは、より一層の製品バリエーション強化と性能面の進化により前年比若干の減収にとどまりました。生産設備向けショックアブソーバは横這い、住宅設備関連分野向けダンパーは年度前半の生産調整の影響を受けるも米国市場向けが好調で前年比若干の減収となりました。また、免制振機器は販路強化や地震発生による防災意識の高まりにより増収となりました。
利益面では受注増に伴う生産効率向上、人員の適正配置や工数削減による製造経費削減、販売費節減へ継続的に取り組んだ結果、原価率が改善しました。
この結果、売上高は4,200百万円と前年同期と比べ228百万円(△5.2%)の減少となりました。
セグメント利益は、731百万円と前年同期と比べ44百万円(6.5%)の増益となりました。
SP事業
年度初めの時点では新型コロナウイルス感染症による売上への影響が第2四半期で収束する想定でしたが、2度にわたる国内緊急事態宣言により、主力のゴム風船およびフィルムバルーンがプロモーションツールとして各種イベントで使用される機会や対面型販売の減少が通年で発生いたしました。また、新商材開発により下半期から売上回復傾向にありましたが、海外からの部材調達に一部遅れが生じたことによる売上減少も重なりました。
この結果、売上高は310百万円と前年同期と比べ112百万円(△26.6%)の減少となりました。
セグメント損益は、29百万円の損失(前年同期は8百万円の損失)となりました。
食品容器事業
海外向け案件や主力販売先との取引が伸びたことにより、売上高は194百万円と前年同期と比べ21百万円(12.5%)の増加となりました。
セグメント利益は、単価の改善効果もあり、76百万円と前年同期と比べ43百万円(131.2%)の増益となりました。
生産、仕入、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
セグメントの名称 | 生産高(千円) | 前年同期比(%) |
医療機器事業 | 906,039 | △7.5 |
精密機器事業 | 4,072,203 | △5.2 |
食品容器事業 | 174,561 | 71.9 |
計 | 5,152,804 | △4.1 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4 当連結会計年度から、「その他」に含まれていた「食品容器事業」について量的な重要性が増したため報告セグメントとして記載する方法に変更しております。
5 当連結会計年度の食品容器事業におきまして、生産実績に著しい変動がありました。これは、食品容器の需要増加に伴う生産体制の見直しを行ったことにより、生産量が増加した事が要因であります。
② 仕入実績
セグメントの名称 | 仕入高(千円) | 前年同期比(%) |
医療機器事業 | 585,722 | 17.8 |
精密機器事業 | 79,958 | 3.2 |
SP事業 | 254,042 | 5.5 |
食品容器事業 | 8,892 | △24.0 |
計 | 928,615 | 12.3 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、仕入価格によっております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4 当連結会計年度から、「その他」に含まれていた「食品容器事業」について量的な重要性が増したため報告セグメントとして記載する方法に変更しております。
③ 受注実績
セグメントの名称 | 受注高 (千円) | 前年同期比 (%) | 受注残高 (千円) | 前年同期比 (%) |
精密機器事業 | 3,788,045 | 1.4 | 788,767 | 61.2 |
計 | 3,788,045 | 1.4 | 788,767 | 61.2 |
(注)1 精密機器事業の一部についてのみ受注生産を行っており、他の精密機器事業及び他のセグメント事業については見込み生産を行っております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 当連結会計年度の精密機器事業におきまして、受注残高に著しい変動がありました。これは、新型コロナウイルス感染症の影響により減少しておりました受注が当連結会計年度後半より急回復し、特に半導体、通信機器、住宅設備等の緩衝器の受注高が増加したことによるものであります。
④ 販売実績
セグメントの名称 | 販売高(千円) | 前年同期比(%) |
医療機器事業 | 2,145,898 | △2.0 |
精密機器事業 | 4,200,034 | △5.2 |
SP事業 | 310,001 | △26.6 |
食品容器事業 | 194,828 | 12.5 |
計 | 6,850,762 | △5.0 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
販売高(千円) | 割合(%) | 販売高(千円) | 割合(%) | |
ピップ株式会社 | 763,481 | 10.6 | 826,269 | 12.1 |
ダイドー株式会社 | 767,754 | 10.6 | 790,037 | 11.5 |
株式会社テック | 768,677 | 10.7 | - | - |
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4 当連結会計年度について、当該割合が100分の10未満の相手先は記載を省略しております。
5 当連結会計年度から、「その他」に含まれていた「食品容器事業」について量的な重要性が増したため報告セグメントとして記載する方法に変更しております。
(2)財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、6,131百万円で前年比211百万円増加しました。主な要因は、現金及び預金の145百万円、電子記録債権の108百万円の増加、および受取手形及び売掛金の57百万円の減少などであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、6,303百万円で前年比431百万円減少しました。主な要因は、機械装置及び運搬具の148百万円の増加、および建物及び構築物の158百万円、建設仮勘定の379百万円の減少などであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、5,802百万円で前年比377百万円増加しました。主な要因は、1年内償還予定の社債の200百万円、短期借入金の205百万円の増加、および未払消費税等の115百万円の減少などであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、3,329百万円で前年比786百万円減少しました。主な要因は、社債の200百万円、長期借入金の496百万円の減少などであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、3,304百万円で前年比187百万円増加しました。主な要因は、利益剰余金の132百万円の増加などであります。この結果、自己資本比率は26.6%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,320百万円と前年同期と比べ145百万円(12.4%)の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、前年同期と比べ266百万円(60.5%)増加し、705百万円となりました。
資金の主な増加要因は税金等調整前当期純利益の225百万円、減価償却費の476百万円、仕入債務の増加額の83百万円などであり、主な減少要因は未払消費税等の減少額115百万円などであります。未払消費税等の減少額は、当期の中間納付額が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は前年同期と比べ403百万円(78.4%)減少し、111百万円となりました。
資金の主な減少要因は有形固定資産の取得104百万円であります。これは主にコンドーム生産設備の導入によるものであります。なお、主に前期に建設仮勘定で計上していた設備が当期に完成したこともあり、当期の支出は減少しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は前年同期と比べ134百万円(42.6%)増加し、450百万円となりました。
資金の主な増加要因は短期借入れによる収入205百万円などであり、主な減少要因は長期借入金の返済541百万円、リース債務の返済156百万円などであります。営業活動によるキャッシュ・フローを設備投資、有利子負債の削減、内部留保、株主還元にバランス良く配分する方針に基づき活動し、財務体質の強化に努めております。
当社グループの資本の財源および資金の流動性については、主として営業活動から得られるキャッシュ・フローおよび金融機関からの借入を資金の源泉としております。運転資金等の短期の資金需要につきましては自己資金に加えて35億円のコミットメントライン契約により機動的な調達を確保しております。設備投資等の長期資金需要につきましては、資金需要の期間および目的を勘案し、金融機関からの長期借入やリース等の選択肢から最適な調達方法を検討して対応しております。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いております。これらの見積りおよび仮定については過去の実績等に基づいて合理的に判断しておりますが、実際の結果は異なる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については不確実性を含んでおりますが、2021年9月末で収束するシナリオを前提とし、期末時点で入手可能な情報を元に見積りを行っております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。