有価証券報告書-第89期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
① 財政状態及び経営成績の状況
a. 経営成績
当連結会計年度における世界経済は、米国・中国間の貿易摩擦問題や地政学的リスクなどで景気の先行きは不透明な状況で推移いたしました。一方、わが国の経済につきましては、企業収益の改善や所得環境の改善を背景に、個人消費の回復などにより、緩やかな回復基調で推移いたしました。
このような中、当社グループは、新たな経営基本方針である「エンジニアリングアプローチによる製品事業の付加価値向上」「受託事業からエンジニアリングサービス事業への転換」「早い変化と多様性に対応できる経営基盤の整備」のもと、当社グループの強みであり基盤である「塗る・切る・磨く」の技術で、お客様の成功のための付加価値を目指す各種取り組みを進めてまいりました。
売上面においては、「製品事業」では、光ファイバー関連市場における売上、日本研紙製品の売上が増加した一方、ハードディスク関連市場の売上が減少しました。「受託事業」では、光学系特殊フィルムの受託塗布の需要減が主要因で売上が対前年同期比で大幅に減少しました。
この結果、当連結会計年度における売上高は前年同期比3.4%減の75億58百万円となりました。
損益面においては、売上の減少や売上構成差による利益減の影響に加え、適正在庫の見直しによるたな卸資産の評価損及び廃棄損1億3百万円の計上や人件費を中心に販管費が増加した結果、2億81百万円の営業損失(前年同期は3億86百万円の営業利益)を計上することとなりました。
経常利益は、為替差益の発生や貸倒引当金の戻入などがあったものの、2億53百万円の損失(前年同期は3億27百万円の経常利益)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、当社の連結子会社であります日本研紙株式会社に対するのれん及び固定資産の減損損失5億79百万円を計上した結果、9億67百万円の損失(前年同期は2億65百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
・ 製品事業
製品事業の売上高は、70億83百万円(前年同期比1.1%増)となりました。光ファイバー関連市場の売上、研磨装置を中心に日本研紙製品の売上が増加した一方、ハードディスク関連市場の売上が減少しました。適正在庫の見直しによるたな卸資産の評価損及び廃棄損の計上や人件費を中心とする販管費の増加もあり、セグメント損失は41百万円(前年同期は3億64百万円のセグメント利益)となりました。
・ 受託事業
受託事業の売上高は、4億74百万円(前年同期比41.9%減)となりました。光学系特殊フィルムの受託塗布の需要減が主要因で売上が大幅に減少しました。この結果、セグメント損失は2億39百万円(前年同期は21百万円のセグメント利益)となりました。
b. 財政状態
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ5億1百万円増加の125億68百万円となりました。
主な内容は、現金及び預金の増加1億9百万円、有価証券の増加5億円、たな卸資産の増加2億80百万円、減損損失の計上等による有形固定資産の減少1億79百万円およびのれんの減少2億62百万円等であります。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ9億円増加の81億2百万円となりました。主な内容は、短期借入金の増加3億円、長期借入金の増加4億31百万円、リース債務の増加1億14百万円等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ3億99百万円減少の44億66百万円となりました。主な内容は、新株予約権の行使等による資本金の増加3億37百万円及び資本剰余金の増加3億34百万円、親会社株主に帰属する当期純損失9億67百万円、配当金の支払による利益剰余金の減少1億5百万円等であります。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、35.5%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ7億41百万円増加の36億17百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、44百万円の減少(前年同期は5億10百万円の増加)となりました。主な内容は、税金等調整前当期純損失8億41百万円、減価償却費4億8百万円、減損損失5億92百万円、売上債権の減少による増加90百万円、前受金の増加99百万円、収用補償金の受取額2億43百万円、たな卸資産の増加による減少2億93百万円、未収入金の増加による減少3億17百万円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、2億45百万円の減少(前年同期は6億78百万円の減少)となりました。主な内容は、定期預金の払戻による収入1億35百万円、有形固定資産の取得による支出4億26百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、10億23百万円の増加(前年同期は2億75百万円の増加)となりました。主な内容は、短期借入金の純増額3億円、長期借入れによる収入12億円、長期借入金の返済による支出7億68百万円、社債の償還による支出2億43百万円、株式の発行による収入6億70百万円、配当金の支払額1億5百万円等であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(千円) | 前年同期比(%) |
| 製品事業 | 5,643,447 | 106.3 |
| 受託事業 | 474,653 | 58.1 |
| 合計 | 6,118,101 | 99.9 |
(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 受託事業の生産実績が減少した主な理由は、主に光学系特殊フィルムの受託塗布の需要が減少したことによるものであります。
b. 受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)の事業は、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(千円) | 前年同期比(%) |
| 製品事業 | 7,083,437 | 101.1 |
| 受託事業 | 474,653 | 58.1 |
| 合計 | 7,558,091 | 96.6 |
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 受託事業の販売実績が減少した主な理由は、主に光学系特殊フィルムの受託塗布の需要が減少したことによるものであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
なお、見積り及び評価につきましては、過去の実績や状況に応じて最も合理的と考えられる方法等に基づいて行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績の状況
当社グループでは、コア技術である「塗る・切る・磨く」を軸に、当社保有の技術、設備、人員を最大限に活用し工場稼働率向上させるという考えのもと、「製品事業」及び「受託事業」を展開しております。
製品事業におきましては、ハードディスク関連市場をはじめとする精密研磨分野に加え、2016年7月より日本研紙株式会社が当社連結子会社となったことにより、一般研磨分野においても幅広い製品の提供が可能となり、特定の分野に左右されにくい売上構成の確立を図ってまいりました。
当期は前期より光ファイバー関連市場、日本研紙製品の売上が増加した一方、主力であるハードディスク関連市場で売上が減少しました。利益率の高い製品の売上が減少することも当期の利益率減少の要因であると認識しております。今後、新たな中期経営方針のもと、「エンジニアリング」をキーワードに、お客様の成功を支える高付加価値製品の開発と展開を推し進め、特定の分野に左右されない利益体質を図ってまいります。
受託事業におきましては、受託塗布のみならず、受託スリットや受託研磨等のビジネス展開を図ってまいりました。当期は、前期に好調でありました受託塗布の売上が大幅に減少いたしました。また、準備を進めておりました長崎県長崎市の新工場の建設を、昨今の建設関連費用の急速な高騰などの理由により延期することといたしました。
今後も引き続き、お客様にとってのエンジニアリングパートナーになるべく、お客様のニーズに継続的に応え付加価値の高いサービスを提供できる体制づくりを図ってまいります。
b. 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c. 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは、国内外での事業活動について中長期的な視野から資金需要を認識しており、運転資金及び設備投資資金については、主に営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金の他、社債の発行及び金融機関からの借入等による資金調達にて対応しております。
資金調達については、調達コストとリスク分散を勘案し、調達手段の多様化を図ることで、低コストかつ安定的に資金を確保するよう努めております。
また、これらの資金需要に対応するため、GCMS(グローバル・キャッシュ・マネジメント・システム)を導入し、当社グループにおける資金の可視化、資金の有効活用や金融費用の削減、またリスク管理の高度化を図っております。
当連結会計年度においては、主に山梨工場のB07号棟建屋建設、生産設備の増強、また、Mipox (Thailand) Co., Ltd.の新工場生産設備等の設備投資を行っております。この結果、有形固定資産の取得による支出は4億26百万円となりました。
また、これらの資金需要に対しては、調達手段の多様化と自己資本比率の維持等の観点より、金融機関からの借入等に加え、エクイティファイナンスによる資金調達などの施策を実施しております。
この結果、当連結会計年度末における社債および借入金、リース債務を含む有利子負債残高は、6億3百万円増加し、55億44百万円となりました。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は36億17百万円となりました。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。